2017年07月30日

7/30復刻「死靈」!

本日は午後三時過ぎに浜田山駅の南に漂着し、緩やかな傾斜の上に広がる『柏の宮公園』の、午前に上がったはずの雨を彷彿とさせる、本当に降るような耳を覆うほどの蝉の多重鳴き声に圧倒され、コミュニティバス・すぎ丸に乗り込み、阿佐ヶ谷にただ逃げ帰る。その阿佐ヶ谷では、「千章堂書店」(2009/12/29参照)でハヤカワ・ミステリ文庫「二壜の調味料/ロード・ダンセイニ」を400円で購入し、表1袖に鉛筆で書かれた値段を消してもらい、いつもの書皮をかけていただく。

家に帰って一息ついてから、ある本の捜索に取りかかる。確か居間の古本山脈の何処かに…と朧げな記憶で当たりを付けて、ひたすら居並ぶ古本タワーを下層へ下層へ…。すると案の定、三つめのタワーを最深部まで退けたところで、捜索対象を無事発見する。やった!と喜びつつ、せっかくここまで久々に上の本を退かしたのだ。この際最深部に何があるのかちゃんと確認しておこうと、さらに底部まで掘り下げると、おおっ!「埴谷雄高全集」の別巻と久方ぶりの対面を果たす。全集最終刊の資料集成本で、値段は高い高い9500円(税別)である。2001年の刊行当時に、他の全集は一冊も買っていなかったが、これだけは何としても手に入れなければならないと、思い切ってちゃんと新刊で購入していたのである。なぜなら、その分厚い函の中には、資料集成本とともに、あの超難解ド級陰鬱探偵小説風形而上実験小説の金字塔「死靈」の「近代文學」掲載時の復刻版が、一冊の本としてまとめられ、挿さっていたからである!
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日本の三大奇想探偵小説「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」の斜め上に恐らく屹立しているであろう、この世界の真理をとことんしつこく独自の思考で追求しまくる「死靈」!この未完の大小説がなければ、竹本健治の「匣の中の失楽」もこの世には生まれていなかった!その「死靈」のオリジナルを、雑誌を綿密に再現した二色刷りで、挿絵も含み四章までを収録している。単行本収録時には手直しが施されているので、これでしか読めない原初のオリジナル版なのである。いやぁ、またこのバージョンで読みたかったんだ。その難解さ故に、突如強暴に襲い来る睡魔と激しく戦いながら、どんなに脳をフル回転させても、決して百パーセント理解出来ない埴谷雄高の崇高で気高く、人生のすべてを費やした独自の思考の記録。恐らく、こちらが今後の人生すべてを賭けて、何度チャレンジしても、同じ挫折を味わうことになるであろう。だがそれでも、これを読み込んだ後に、何か開けるのか待ち構えているのか、馬鹿故にまったく想像つかないのだが、懸命に読み進めれば、何かが脳髄の何処かに痕跡を残すものと信じて、時々眉間に皺を寄せながら、読み返しているのである。せっかく見つけたんだ。これを機に、久々にチャレンジしてみるか…。
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写真は第四章までをまとめた復刻本と、昭和二十四年発行の眞善美社の単行本「死靈」。こちらは第三章までを収録している。
posted by tokusan at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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