
女性店主の病没により、休業を余儀なくされていたのだが、お店を愛する有志たちの奮闘により、九月から営業を細々と再開していたのである(詳しくは「十二月文庫」のコメント欄をご覧下さい)。雨の中に立ち尽くし、しばしお店のしなやかな姿を、うっとりと凝視する。続いてビニールシートの掛けられた店頭100均を一渡り眺めてから、珈琲の香り漂う店内へ。基本スタイルはほぼ昔と変わらぬ状態だが、帳場には二人の男女がおり、「棚はそのまんま?」「ちょこちょこ手を加えてるよ。眺めてみて、感想教えて」などと会話している…おぉ、彼らが、お店を継いでくれた素晴らしい人たちなのだな!この度は、古本屋さんを受け継いでいただき、誠にありがとうございます!と心の中でお礼を絶叫する。時が経ったために、皺が寄り見難くなったパラフィン越しに本の背を必死に透視し、狭い通路に次々と入り込んで行く。やはり私の興味は、以前と変わらず左奥の文庫棚にあるようだ。一冊手にして、さらにサンリオSF文庫のい二冊を抜き出すと、値段が書かれていない。ちょっと以前から読みたかった二冊なので、安かったら買おうと思い、帳場に立つ女性に「値段のない本があるんですが…」と聞いてみると「これから値付する本なんですよ。次はいついらっしゃいます?その時までに値付けしておきますよ」とのこと。ならば仕方ない。次の訪店予定は未定だが、ひとまず値付をお願いしておく。日本小説文庫「大川端/小山内薫」を500円で購入する。何はともあれ、祝復活!
帰りは環七をトボトボたどり、世田谷代田駅から小田急線に乗り込む予定。地下への長いエスカレータを下り、ようやくホームにたどり着く…だが、何かおかしい。良く見るとホームには誰もおらず、その際はすべて柵で囲まれ、線路も封鎖されている。

これは、新しい未使用の線路とホームなのか。煌々と明かりが点いているので、危うく来ない電車を待ち続けるところだった。線路の上の仮橋を渡り、さらに地下へ下ると、そこに本来のホームが存在していた。それにしても何故新旧二つのホームが上下に…。
小田急では、来年3月の開通を目指し、梅ヶ丘〜代々木上原の複々線化を進行中です。この区間では、横並びではなく、上下で線路2組が並ぶのです。現在は先に開通した下にあるホームを全ての電車が通るが、完成するとここは急行以上の列車専用となります。世田谷代田は各駅停車しか止まらないので、いずれ立ち入れなくなると思います。
世田谷代田、新代田周辺には古本屋さんがありません。昔(もう30年以上かな)は、両駅の中間あたりに、1軒だけあったのだが。環7が開通して以来、商店街と呼べるものは無くなってしまいました。
昨年8月の営業予定日は8日間で、おじさんのイラストの横に営業予定日に赤い○印をつけたカレンダーが、たしかについ最近まで商店街のサイトに掲載されていましたが、この11月に入って、サイトの案内は定休日や曜日ごとの営業時間帯を記載したものに更新されているからです。ちなみに定休日は水曜日のみで、曜日によって営業時間が変動するのは三宿の江口書店のごとし。
今後、この店がどのように展開して行くのか、また、コーヒーの味がいまは亡き女性店主のときよりも美味になるかどうか、しっかり見守っていきたいと思います。