2017年11月11日

11/11愛知・中京競馬場前 安藤書店

少し暖かな南風の吹く東京を夜明け前に立ち、愛知県・知立(ちりゅう)で行われる一箱古本市&トークに向かう。こだま号にて三河安城駅に午前九時に降り立ち、『正文館書店知立八ツ田店』店長さんに出迎えられ、会場である書店に車で向かう。そうして十分ほどでたどり着いた巨大書店は、ほぼ広大な田んぼの真ん中に位置し、地域の読書文化を一身に担う、お城のようであった。店長さんが「日の入りが見えるのが取り柄です」と柔和に微笑む。一箱古本市の会場は、その巨大店舗と道路を挟んで向かい合う第二駐車場。こちらは二面がダンプなどが頻繁に行き交う道路に接し、後の二面をダンプが停まる駐車場と土建会社のプレハブ小屋が建つ、なかなかハードで殺風景なロケーション…おまけに雨が上がり晴れたは良いが、恐ろしいほどの強風が吹き荒れているのだ。さらにおまけに!トーク会場もこの駐車場なので、すでにネームプレートの止められた長机が道路を背にしてセッティングされている…だ、大丈夫なのだろうか…。
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この荒れた状況を四時間共にする他店も準備を終え、とにかく午前十時には一箱古本市が時間通りにスタート。余りにも寒いので、場を離れる時用に支給された布を身体に巻き付け、風を凌いだつもりになって暖を取ったつもりになり、寒さから自分を誤摩化し続ける。お客さんは一時間に五人ほどという、こちらも過酷な状況が展開するが、どうにか二十三冊を売り上げ古本市のカタチとなる。お客としては三省堂「看板建築/藤森照信・増田彰久」を500円で購入。いやぁ、ちょっとした罰ゲームのようだったが、終わってみればこれはこれで楽しいひと時であった。そんなもはや荒天とも言える強風のため、結局トークは会場を店内に急遽移動して開催。初対面の目黒考二氏の胸を盛大に借り、本と古本と古本屋と書店と書評と読書と「本の雑誌」について、あちこち行き来しながら楽しくお話しする。その過程で氏の著作の一冊、ご尊父のことを書き記した角川書店「昭和残影」に、原書房「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の一節(佐藤さとるの「わんぱく天国」を追体験するための塚原公園行。実は目黒氏も横須賀で活動していた父の足跡をたどっていたら、偶然「わんぱく天国」に行き着き、同様に塚原公園フィールドワークを行っていたのである)が引かれているのを知り、驚く。イベント後、恐縮して同書を購入し、署名していただく。そんな風に無事に任務を達成した後、京都競馬に向かう目黒氏を早々に見送り、こちらも負けじと古本屋ツアーへ向かうことにする。本を買って下さったみなさま、会場でご一緒したみなさま、トークを聞きに集まっていただいたみなさま、そして貴重な機会を与えていただいた『正文館書店』のみなさま、大先輩の目黒考二さま、ありがとうございました!

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またもや店長さんに車で送っていただき、名古屋鉄道牛田駅。各駅停車に乗り込み、ガタゴトと名古屋方面に向かう。日がすっかり落ちたところで目的駅にたどり着き、改札を抜けて駅前北口に出ると、おぉっ!目の前にもう古本屋さんが見えているではないか!駅舎の屋根が、そのまま店まで伸びる下を、競馬帰りの人たちと擦れ違いながら、藍色の大きな看板を壁面に巡らせたお店に近付く。店頭には鉄製の立体ワゴンが三台並び、100均文庫と100均単行本が収まっている。ほぅ!いきなり梶龍雄のノベルス発見。それにちょっと古く見かけない本が多く含まれているではないか。たちまち期待に胸が轟き、あっという間に四冊を手にして、早くも満足感を覚えながら店内に進む。壁面は棚で覆われ、入って左に文庫棚が二本、右に背の高い通路棚が一本鎮座し、その奥はさらに広がり、四面の柱状の正方形棚が二本並んでいる。右奥が帳場になっており、未整理の古本タワーに囲まれた棟梁的店主が横向きに座り、高尚な店内BGMに目をつぶり耳を傾けている。入ってすぐ左の『100均ではない』と書かれた文庫棚には、絶版&品切れ文庫と海外文学文庫・日本純文学文庫が並び、すでにただ者でない気配を漂わせている…店頭から感じた通り、このお店は一味違うぞ。そこを囲む壁棚には、ジャンル別新書・鉄道・料理・つげ義春・自然・動植物・園芸・趣味絵本・ビジュアルムック・日本美術・建築が並ぶ。右側に進むと、入口側壁面には美術・漫画評論類・古代中世・中国関連。向かいの通路棚には時代劇文庫・日本文学文庫・絶版文庫・古書の域に突入した文庫・ミステリ&探偵小説文庫(質の良い春陽文庫あり)・出版社別文庫が集まり、かなりハイレベルな構成を見せている。裏側には郷土・名古屋関連・歌句が詰まり、柱的四面棚には美術・近現代史・戦争・映画・歴史・ミステリ。帳場横の棚では歴史・風俗・民俗学・幻想小説・探偵小説(少々)が、奥の板の間のバックヤードを背景にして燦然と輝いている。そして最奥の壁棚には、純文学と大衆小説が絶妙に混ざり合い支え合う、日本文学がドッサリ!深く古く絡み合い混ざり合う棚造りに、思わず血眼になってしまう…ちょっと二度三度見ないと、良い本を見逃していそうでコワイなと思っていると、突然店主が声をかけてきた。「ごめん、もう閉めたいんだ。わるいなぁ〜」と片目をつぶり片手で拝まれてしまう。えぇ〜っ!こんなに心が燃え上がっている時に、それは切ないなぁ〜…だが、駄々をこねてもしょうがないのは百も承知である。仕方なく今手にしている本を精算すべく、帳場に潔く向かう。店主は「悪いね」を連呼しつつ、一冊の高値の文庫を目にすると「これ高いよ。いいの?」と聞いてきたので「がんばります!」と間髪入れず答えると「じゃあ…」と2500円をたちまち2000円にしてくれた。ありがとうございます!そして、「いやぁ、この辺は午後四時半を過ぎるとダメなんでね」と早めの閉店理由を簡潔に語ってくれた。品揃えはゾクゾクワクワク。良い本・珍しい本に値段はしっかりつけられているが、相場よりは安めで、また所々に隙もあり、とても楽しめるお店である。じっくり見られなかったのが返す返すも残念なので、今度は夕方前に訪れ、存分に探索することを心に誓う。角川文庫「臨海樓綺譚/スティーブンソン」「ボロ家の春秋/梅崎春生」バニーブックス「ミステリ博物館/間羊太郎」光文社文庫「幻のNHK名番組 私だけが知っている 第二集」徳間書店「連続殺人 枯木灘/梶龍雄」流動「すたこらさっさ/田辺茂一」を購入する。外に出ると、教えられた通り人影の少な過ぎる寂れた駅前。朝とは正反対の冷たい北風が吹きまくり、早めの帰宅を促しているようなので、名古屋駅にさっさと向かい、速い速いのぞみ号に飛び乗って、帰京の途に着く。
posted by tokusan at 23:08| Comment(2) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 残念ながら、12月1日中京競馬場に行った際に帰りに寄ろうかと思っていたら、建物は解体されていました。消息不明です。
Posted by at 2018年12月03日 16:40
ぎょえーっ!本当ですか。出来ればまた行きたい名店だったのに…。今となっては一年前に行けて良かったとおもうしかありません。情報ありがとうございました。
Posted by 古ツア at 2018年12月03日 17:49
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