2017年11月12日

11/12三冊の「看板建築」

木曜辺りからかなりハードな週末を過ごしたために、身体がすっかり疲弊しているのに気付いたので、今日はノンビリだらしなく過ごすことにする。そうと決まれば古本を買いに行かなければと、テクテク冷たい風の中を歩いて高円寺「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「好書会」二日目へ。午前十時半だが、古本修羅的殺気は何処にも感じられず、いたって長閑な館内である。じっくりと棚を見て行くが、なかなか心を掴む本には出会えない。それでも二冊を手にして、最後に「古書ワルツ」(2010/09/18参照。現在は事務所店に)の棚に集中すると、薄手小型の年季の入った本が気になったので、古本修羅の習慣として引き出してみる。よっ!プラトン社「苦楽」大正十三年四月特別号附録「近代情話選集」じゃあないか。
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里見ク・小山内薫・久米正雄・泉鏡花・谷崎潤一郎が収録されているが、特に鏡花の「第一菎蒻本」が嬉しいぞ!と小さくはしゃぎ、報知新聞社「長編小説 空手風雲録/牧野吉晴」学習研究社「三年の科学」昭和三十二年7月号第1付録「こんな人になりたい」とともに計500円で購入する。続いてすでに午前十一時半なのですっかり出遅れているが、荻窪の「ささま書店」(2008/08/23参照)に電車で向かい古本を求める。河出文庫「ホームズ贋作展覧会/各務三郎編」富文館「傳記小説 雨ニモマケズ 宮澤賢治の生涯/斑目榮二」白地社「ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影/内堀弘」を計735円でスパッと購入し、テクテク歩いて阿佐ヶ谷に舞い戻る。

ところで昨日の一箱古本市で唯一買い求めた古本、三省堂「看板建築/藤森照信・文 増田彰久・写真」は、実は三冊目の所蔵となる「看板建築」なのである。だがこの三冊はすべて異なる三冊で、昨日手に入れたハードカバーの『都市ジャーナリズム』シリーズの一冊は1988年出版。次のソフトカバー選書版は新たに「看板建築始末記」を収録し1994年出版。そして1999年出版の“新版”を冠され本文用紙の厚くなったソフトカバー本は、カラーグラビアページと新たに書き下ろした「はじめに」を収録。
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十年の間に基本的内容は変わらず形だけを変え、同じ出版社から三度著作が出版されるのは、ちょっと稀なことではないだろうか。単行本→文庫本、新書本→文庫本、単行本→ノベルス→文庫本などの道筋は良く見られるとしても、ハードカバー単行本→ソフトカバー単行本→ソフトカバー単行本と単行本を渡り歩くのは、ちょっと不思議な流れである。この本については、かつて渋谷・道玄坂にあった「文紀堂書店」(2015/03/31参照)の貴重な写真が掲載されているので、2010/03/02『古本屋遺跡・繁華街の盲点』記事内で言及しているが、実は他にも今はもうない看板建築の古本屋さんが紹介されているのである。神保町の「澤書店」と九段下の「ペンギン文庫」と高円寺の「西村屋書店」(2010/04/11参照)。そしてもう一店が、月島「文雅堂書店」である。「西村屋」以外は、どれも行ったことのない八十年代の古本屋さん…当然夢の中で入ることしか叶わぬお店ばかりであるが、それでも「文雅堂書店」二階壁面の本を模した意匠は、一度で良いから目にしたかった…。いや、この写真が見られるだけ、幸せっていうものなのか。
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posted by tokusan at 18:18| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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