2017年12月28日

12/28家庭文庫に本を買いに行く。

総武線に一時間ちょっと揺られ、千葉の新検見川駅で下車。橋上駅舎から北側に出ると、階段の柵に店舗や住宅が間近に迫る、たて込んだ駅前である。階段を下りて家並の低い街に入り込んで行くと、すぐに懐っこい笑顔を浮かべたひとりの男が近付いてきた。移動古本屋さん「自動車古書店 いい日旅立ち」(2011/11/08参照)店主の石倉氏である。今日はその古本屋たる荷台を、オレンジの幌で覆い尽くした白いトラック・ボンゴにすぐさま乗り込み、近所の彼の自宅へと走り出す。途中、団地脇のミニミニ商店街で、営業しているのかどうか、いや店舗なのかどうかも定かでない古本屋さんを偵察した後、かつての新興住宅街の一角に建つ一軒家に到着する。階段を上がり、和風玄関から招き入れられ、スリッパを履いて廊下を進む。突き当たった右側の部屋に入ると、開いた本棚や机に囲まれた部屋。そこを通過して奥に進むと、本の詰まったダンボールと、まだ本がキレイに並ぶ色んな種類の本棚が立つ和室にたどり着いた。ここは石倉氏の母親が長年主催してきた“家庭文庫(自宅の一室を近所の子供たちに開放した小さな私設図書館)”で、残念ながらこの十一月にその役割を終え、閉鎖となってしまったのである。それを機に氏から連絡を貰い、児童文学がたくさんあるので箱に仕舞い込んでしまう前に見に来ないかと、嬉しいお誘いをいただいたのである。文庫の名は、息子二人の頭文字を並べた『TY文庫』。欄間には、かつて開かれた読書会などの写真飾られ、天井の際を名作絵本「やこうれっしゃ」の絵がぐるりと、列車のように取り巻いている。途端に岩波新書「子どもの図書館/石井桃子」が高速で頭を掠める。熱心に本を読みに来る子や、ただ遊びに来る子、ず〜っとひたすら本を読んでいる子、時間を潰しに来る子、新しい本を楽しみに来る子…色んな子供がここを居場所にして、やがては離れて行ったんだろうな、とかつての文庫の面影を想像する。ここを利用する時は、玄関から入るのではなく、左の庭先から直接上がり込むカタチになっていたそうだ。絵本や本の半分はすでに箱に詰められているが、奥一面だけは往時のままの姿である。私にとって懐かしい本から、最近の本までしっかりと集められている。気になる本は売ってもらえるとのことなので、子供に戻って棚を眺め、ダンボールの中も覗かせてもらい計四冊を手にする。その他にもサービスで、「いい日旅立ち」用の在庫古本棚も見せていただき、さらに二冊を選ぶ。途中帰宅した文庫主催者の母君と挨拶を交わし、「みんな子供たちが読んだ本ばっかりですみません」「児童文学の研究資料もだいぶあるんですよ〜」「最後の方は、みんなに本を読んでもらえるまでが、大変でねぇ〜」「残った本はどうしようかしらねぇ〜。この子が売ってくれるなら、それでいいんだけど」などとお話しする。いや、今まで本当にお疲れさまでした。この住宅街の中の、本好きの子供の居場所であった小さな文庫は、きっとみんなの心の中に、文字や物語の小さな種を宿し、何処かに受け継がれていることでしょう。理論社「かくれんぼ物語/今江祥智・作 長新太・絵」(カバーナシだがこれは嬉しい)宝文館「NHK放送 ヤンボウ ニンボウ トンボウ/飯沢匡」光信社「海底の探検/安川静夫」(カバーナシ)偕成社名作冒険全集「怪盗ルパン(1)/ルブラン 朝島靖之助編著」春陽文庫「無敵先生/小川忠悳」小学館てんとう虫ブックス「チャレンジ!名探偵カゲマンの推理クイズ/山根青鬼」を計2500円で購入する。
ty_bunko.jpg

そして来年一月、「自動車古書店 いい日旅立ち」は、クラウドファウンディングで資金の一部を集めた
『新刊書店の無い九州の自治体へ行き、古本を売りに行きたい!』という志高いプロジェクトを実行に移すそうである。
◆1月5日(金)熊本県合志市 ひのくにふれあいセンター
◆1月6日(土)熊本県南阿蘇村 ひなた文庫さんと共に。
◆1月7日(日)宮崎県串間市 あかつき荘
◆1月8日(月)鹿児島県垂水市 ベイサイドホテルアザレア

果たしてお客が本当に来るかどうかも分からない、あくなき古本販売チャレンジ!南の国の方々、ぜひこの多少オンボロトラックな移動販売古本屋をお楽しみに!
posted by tokusan at 17:50| Comment(1) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。こちらの記事内で偵察して頂いた古本屋の者です。
別件で検索している時にこちらに辿り着きました。こちらの記事に出会うまで近所に「自動車古書店 いい日旅立ち」さんがいらっしゃる事を全く知りませんでした。

当方はたまに店先に本を出す事もありますが、ご推察の通り店舗というよりは買取とネット販売の作業場+倉庫です。

大した在庫も無いですしわざわざ来る所では有りませんし不在が多いですが、お近くにいらした時には少しお立ち寄り下さい。
Posted by 花見川おさんぽ堂 at 2018年01月27日 01:05
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: