2018年01月09日

1/9古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第一章】

午前八時、西荻窪集合。新年早々ミステリ評論家&稀代のアンソロジスト・日下三蔵氏の書庫整理に、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに向かう。今回は古本社会科見学&助太刀を兼ねて、以前から「盛林堂」店員として活躍中の、小野氏の愛妻も同行。午前十時前には現地に到着し、まずは本邸で日下氏と合流する。その時玄関の書類&書簡山が消えているのに驚き、玄関上がり口から廊下へのアクセスが格段にスムーズになったことを大いに讃える。そしてすぐさま日下号と車列を連ね、ご近所のマンション書庫へと向かう。もはやここに来るのも三回目となると、街の景色や道筋や匂いさえも記憶しており、すっかり見知った書庫への通い路である。

到着すると、まず日下氏は玄関ドアをゲラや書類の入った紙袋二つをドアストッパーにし、皆を招き入れる。いつも通り本の渓谷のような通路をたどり、まずは前回作業整理(2017/12/27参照)したお風呂場を見に行くと、おおっ!日下氏のさらなる努力により、洗面所には新しい棚が入り、風呂桶の上には簀子が敷かれ、合理的に収納力を増加させていたのである。その自主的努力をさらに讃え祝ったのも束の間、ただちに気を引き締めて作業に取りかかる。本日のミッションは、キッチン部分とその周囲のコミック山&雑誌山を整理し仕分け、キッチンを作業が出来るほどに解放し、新しい棚を組み上げ据えるところまでを目標とする。
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午前十時過ぎに作業開始。小野氏が混沌の海に飛び込み、ブツを掘り出して行く。それを私が受け取り、コミックは風呂場で仕分ける日下氏に託し、たくさん出て来るVHSビデオを玄関側の小野夫人に託し結束してもらうこととなる(雑誌はひとまず後回し)。すぐに積み上がるコミックタワーを、日下氏の仕分け具合を確認しながら、小出しに渡して行く。仕分けが滞ると本が溜まってしまい、たちまち全体のスピードが低下することを日下氏は熟知しており、なかなかのスピードで仕分けをこなして行く。だが三十分も続けば「何でこんなにコミックばっかり」「どうしてこんなにたくさん」「あぁっ!三巻がない!」などと苦しみ始めるので、「何故ならこれはみんな日下さんの業なのです」と言い放っておく。途中、長年本の山に塗り込められたような冷蔵庫が発掘される。冷凍庫は空だったが、冷蔵庫には……ふぎゃぁっ!結局午後一時前まで、全員が未来の管理社会下で、コミックを掘り出す者・コミックを運ぶ者・コミックを仕分ける者となったように、ひたすらコミックとVHSの奴隷となる。だが、そんなに頑張った甲斐があって、キッチン部分はその半分が解放され、奥のリビングへの通路がさらに解放される。床が見える!人がぶつからずに擦れ違える!ここはまるで、ちょっと本が置いてあるだけのキッチンだ!とその成果を喜び、昼食と買い出しを兼ね、ひとまず南風の吹き荒れる外へと出かける。
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お寿司をお腹に補給し、メジャーを金物屋で購入し、午後は雑誌の仕分け&搬出作業を行いつつ、同時に第一次リビング解放作戦にも取りかかる。するとコミックばかりと言っていた区画から、おぉ、博文館文庫「猛犬燈台/押川春浪」がっ!九鬼紫郎の時代劇が次々と!極美の函バージョンの山田風太郎「笑う肉仮面」!城昌幸の「古城の秘密」だとっ!などが次々と見つかり腰を抜かしかけ驚いている最中、見たことのない楠田匡介の「フランダースの犬」を手にする…こんなバージョンもあったのか…と思っていると、すぐさま別バージョンの「フランダースの犬」を発掘する。よし、この二冊は取りあえず一緒にしておこう。リビングの整理と並行して雑誌の整理も進めると、嬉しいことに意外に手放す雑誌が多く出たので、さらに驚くほどのスペースが誕生してしまった。後はリビングのコミック・古本・献呈本・VHSの分類整理を行い、美しい山を新たに築いて行く。その過程で、壁棚にたくさんの付録本が横積みになっているのを目撃し、興奮する。
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そのなかのダブり本を「盛林堂」が引き取ることになるのだが、その仕分け過程で日下氏が、梶竜雄の「フィルムの秘密」を見付け出し「これ持ってたんだ。やった!梶竜雄の付録本が、これでようやく全部揃った」と喜んでいる…だがそれって『揃った』んじゃなくて、すでに『揃っていた』のでは…まぁ何はともあれ整理の結果、意外な喜びが生まれるのは素晴らしいことである。そして袋に入ったままの本を取り出していると、その中から驚くべき一冊が飛び出してきた。またも楠田匡介訳の「フランダースの犬」がっ!しかもちゃんとバージョン違いなのである。これで三人のネロと三匹のパトラッシュが揃ったことに!とそのあまりに馬鹿らしい光景に、全員大爆笑する。
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その後、おニューの棚を組み立て据え置き、空き部分の寸法を測り、さらなる棚の設置を計画する。時刻は午後五時半に至り、本日の目標を無事に達成し作業終了となる。いやぁ皆様、古本とVHSとの大乱闘、お疲れさまでした!清々しい気持ちで、夕食にハンバーグやトルコライスを食べながら、次回の作業について早くもミーティングする。(つづく)
posted by tokusan at 22:39| Comment(4) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
写真中央の「フランダースの犬」は昨年の古ツアさんの一人古本市で購入させていただいたのですが、三種類もバージョン違いがあるのですね。(ブックオフの値段シールがまた、探求心を窺わせていいですね)
探すと異装版が揃ってしまう日下三蔵さんは凄いですが、それを探しだして並べて一枚の写真に収める古ツアさんも素晴らしいです。
本年の更なる御活躍を楽しみにしております。
Posted by 古本極道 at 2018年01月10日 21:37
楠田の「フランダースの犬」は、実はまだ異装本が存在します。なぜこんなにも…との驚きを超える、さらなるネロとパトラッシュ!いつか全部を並べてみたいものです。今年もよろしくお願いいたします。
Posted by 古ツア at 2018年01月10日 23:08
古ツア様。
日下先生邸の整理お疲れさまです。
余りの本の多さに驚愕していますが、私もお手伝いに参加したいくらい、楽しそうです。
話は変わって、先日鷹山堂に行った際に、古書会館での古ツア様の展示の話になりました。オヤジさんもしっかりと観に行かれたそうですよ。
Posted by 縦溝狭史 at 2018年01月11日 21:54
縦溝狭史様。まさかあの展示を「鷹山堂」さんに観られていたとは!お恥ずかしい限りです。すっかり足が遠退いているので、今年は何処かで顔を出したいと思っております!
Posted by 古ツア at 2018年01月12日 16:26
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