2018年02月19日

2/19『ラジオ・スターの悲劇』とJ・G・バラード

色々乗り切った昨晩、BS-TBSの音楽ドキュメンタリー番組『SONG TO SOUL』を見ていると、特集はイギリスのバンド・バグルスの『ラジオ・スターの悲劇』。聴く度に魂がキュンキュンしてしまう名曲であるが、常々『ビデオがラジオ・スターを殺してしまった』の部分に得体の知れぬ悲哀と難解さを感じていた(『新しいビデオ文化が古いラジオ文化を衰退させた』ことを歌っているなどの説はあったが)。だが番組中メンバーのインタビューで、この曲はJ・G・バラードの短篇SF『音響清掃』をベースに作られていると、驚くべきことを語っているではないか!知らなかった!そしてSF小説を元に楽曲を作るとは、なんてロマンチック!と即座に大いに盛り上がり、原作を読むことを決意する。調べると創元推理文庫SF「時の声」に収録されているようだ。と言うわけで本日午前、早々と神保町入りし、いつものようにパトロールしながら「時の声」を探すことにする。読みたい古本を探しに神保町に来る純粋行動は、何だかとても久しぶりである。まずは「田村書店」(2010/12/21参照)店頭100均箱に引っ掛かり(ちょっと箱の置き場所が変わり、以前は通りに面した左側店頭に出されていたが、今は入口アプローチの左側に集められている)、河出文庫「群集の中のロビンソン/江戸川乱歩」ウェッジ文庫「東海道品川宿/岩本素白」を計200円で購入する。続いて「明倫館書店」(2012/04/04参照)では鱒書房「ろんどん怪盗伝/野尻抱影」を200円で購入し、『白山通り』をずっと北にたどって「丸沼書店」(2009/12/17参照)で静山社文庫「名探偵クマグスの冒険/東郷隆」を100円で購入する。通りをバカみたいに引き返して『靖国通り』に舞い戻り、「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)で、横丁を吹き抜ける冷た過ぎる風が長時間の鑑賞を許さぬ外壁棚からアルス日本児童文庫「飛行機/富塚清編」を抜き出して店内へ。中央通路の創元推理文庫SFゾーンに目を凝らすが「時の声」は見当たらず、「飛行機」を216円で購入する。ならばとこれもバカみたいに『靖国通り』を引き返して裏通りに入り、「羊頭書房」(2014/05/02参照)へのコンクリステップを上がる。すると創元推理文庫SFコーナーに、無事「時の声/J・G・バラード 吉田誠一訳」(4版)を見つけたので600円で購入する。「羊頭書房」、そして神保町よ、ありがとう。
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『音響清掃』は、超音波音楽の発明により落ち目となって潰れたラジオ局に住むプリマドンナと、物に残留してしまう音の滓を特殊な掃除機で掃除する口のきけぬ若者の物語。読み進めて行くと、物語の設定やシーンが、『ラジオ・スターの悲劇』の歌詞(私が読んでいるのは訳詞である)に、かなりダイレクトに使われているのが分かって来る。歌に感じていた世界観がクルリとひっくり返る!こりゃあ面白い!だからと言って、歌詞の意味をすべて理解できるわけではないのだが、その由来にたどり着いただけで、あの楽曲がより印象深く素晴らしいものに変容して行く読書の瞬間を味わい、気分が高揚する。

家に帰ると、本の雑誌社新刊「絶景本棚」が届いていた。連続する本棚写真を見ていると目眩を起こすほど楽しい。多くの方が意外にも棚の一部をミステリに割いているんだな…。私の巻末エッセイ『家に本棚がない曖昧な理由』とともにお楽しみいただければ幸いです!
posted by tokusan at 16:14| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
重箱の隅で恐縮ですが、『外壁棚からアルス日本児童文庫「飛行機/富家清編」を抜き出して』の
富家清は、富塚清が正しいのでは。先人の名誉の為に、ひとこと。
Posted by 宮崎繁幹 at 2018年02月19日 20:19
ご指摘ありがとうございます。確かに間違っていましたので、修正させていただきました!
Posted by 古ツア at 2018年02月19日 20:23
古ツア様、あっ、たしかに、羊頭書房の入り口です!必ずおとずれていた、神田に勤め先があった頃。その頃(何年前?)と同じだ!「絶景本棚」、もちろん買いです。盛林堂で売り出さないかなと思います。
Posted by 広島桜 at 2018年02月19日 20:36
広島桜様。よもやそんなに「羊頭書房」店頭を喜ばれる方がいたとは…。そして「絶景本棚」、よろしくお願いいたします!
Posted by 古ツア at 2018年02月20日 17:33
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