※作業前のトランクルーム小。スッキリしているように見えるが、恐ろしいほど文庫本が二重にビッシリ詰まっている…。
途端に汗塗れになりながら、水分をこまめに補給し、途中にアイス休憩を挟み、それでも確実に早い限界に近づきながら、文庫束四十本を造り出し、棚を五本解体する。するともう午後三時になっている。まだもう少し大丈夫だろうと、大部屋の雪崩れているダンボール箱を多数小部屋に逃がし、右側に現れた文庫本の集合住宅…いや、増築に増築を重ねたような文庫本・九龍城の全貌を露にする。
これらは旧新保邸の台所周りや、押入れに収納されていたケースである。これらをスパスパ抜き出し、小野氏が素早く結束する。だが三十分も続けたところ、「小山さん、ゴメン。これ戻して。もう縛る手が限界だ!」と文庫束五十五本を作ったところで作業を中止し、撤収作業に取りかかる。時刻は午後四時半…酷暑の中の古本&その他もろもろとの格闘は、やはり三時間が限界であった…。だが、エネルギーをすべて使い果たし、身体は疲労の極地に達しようとも、今日の収穫は掠め取らねばならない!トランクルーム大の壁棚に齧り付き、あかね書房 少年少女世界推理文学全集「魔女のかくれ家/ディクスン・カー」(扉セロファンには、教授の手によるインク消しで描かれた魔女の横顔が!)「マギル卿さいごの旅/クロフツ」盛光社ジュニア・ミステリ・ブックス「物体Xの恐怖/ジョン・キャンベル・Jr」の三冊を拝受する。教授に報告すると『むむむ、痛いところを突いてきますね。でも可愛がってやってください』と返って来る。教授、大事にします!その後はゼエハァ西荻窪に本を運び出し、本日のお務め終了となる。お疲れさまでしたぁ!
そして家に帰ると、嬉しいヤフオク落札品が到着していた。表紙は黄色い布張りのオリジナルになってしまっているが、中身はちゃんと奥川書房「孔雀屏風/横溝正史」!昭和十七年出版の短篇集であるが、このタイトルから思わず想像してしまう捕物帳ではなく、探偵小説・奇妙な味の小説・防諜小説・戦意高揚ミステリーなど、1932〜1941に執筆した十編を収録しているのである。これが何とライバルゼロで三千円!姿形はちょっと異なるが、まさか手に入る日が来るとは!読める日が来るとは!これが俺の「孔雀屏風」!と小躍りする。『二千六百萬年』は、何と横溝のSF作品!少女探偵小説『ヴィナスの星』では、三津木俊助が荻窪に住んでいることが判明する。ウヒヒヒ、素敵だな。楽しいな。たちまち昼間の疲れが、何処かに霧散した気になる。

