外国新聞の並んだラックや、300均絵本箱に目をやりつつ、ウィンドウに万国旗のように下げられたカラフルなハガキに顔を近付けると、『ハンガリーとチェコの絵本市』の文字が。ちょっと見て行くか、と小さな店内にスルリと入る。先客は浴衣姿の女性に明るい柄のワンピースの女性、それに入口付近で写真を撮影中のカップルさん。なんの負けるもんかと、即座に入口付近で展開されている、読めぬ言語の絵本たちに自分なりの闘いを挑んで行く。無条件に可愛い絵、独特なアクを持つ不気味とも見える絵、作家性の強い絵、グラフィカルな絵、ケースの中で輝くダーシェンカ!…古いものほど魅力的なのは何処の国も一緒だが、やはり値段もそれなりとなる。背が布張りで、手にした瞬間に紙の軽さを如実に実感出来るのは、本の多様性を今更ながら感じ取れる楽しいひと時である。窓際には丁寧にラッピングされた可愛い紙物も多数並べられている。見知らぬ国の絵本に溺れるように、何を買おうかと散々多数の絵本を手にした挙げ句、結局は一冊の写真絵本が目に留まる。二人の兄弟と思しき少年が、港に停泊していた巨大客船にそっと乗り込んだところ、船が出港してしまい、密航者として船旅を余儀なくされる…と言うようなストーリーらしい。写真はすべてモノクロで、日本の写真絵本の名作「よるのびょういん」を彷彿とさせる、不安と寂しさと切なさと楽しさが交錯する、魅力的な一冊である。値札の説明によると、フィンランドの本のハンガリー語版らしい(複雑な…)。奥の帳場でにわとりさんご夫妻に挨拶し、Mora「Potyautasok/Tutta es kristiasn Runeberg」を1800円で購入する。この市は8/31まで。
家に帰って『Potyautasok』の意味を検索してみると、やはりハンガリー語で『密航者』であることが判明する。

