2018年09月01日

9/1木々高太郎の科學小説集!

荻窪の南辺りにヒィヒィ言いながら流れ着いたので、「竹陽書房」(2008/08/23参照)に少しだけ寄って、逃げるように家に帰る。映人社「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録/新藤兼人」ポプラ社ちびっこ絵本3「もりたろうさんのじどうしゃ/ぶん・おおいしまこと え・きただたくし」(名作「チョコレート戦争」のコンビニよる、3才〜7才向絵本。北田卓史のベストワークとも言って良いほど、車の絵が細密な上、微妙なデフォルメが施された可愛らしいメカがふんだんに登場する)を計900円で購入する。

そして家で健気に待ってくれていたのは、いつもの如く嬉しいヤフオク落札品であった。昭和十三年刊、ラヂオ科學社「科學小説集 或る光線/木々高太郎」である。
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一人のライバルと多少競り合い、4200円で購入する。ネット上で見つけた時は、思わず目を疑ってしまった。なんたって、木々の“医学小説集”ならぬ“科學小説集”なのである。出版元のラヂオ科學社と言えば、海野十三の「科學小説集 地球盗難」や小栗蟲太郎「軍事小説 地中海」(茂田井武の装画が素晴らしいのだ!)が即座に思い浮かぶのだが、まさか木々高太郎までもが“科學小説集”を出していたとは…。収録作は『或る光線』『跛行文明』『蝸牛の足』『絲の瞳』『債權』『死人に口あり』『秋夜鬼』『實印』『封建性』『親友』の十編である。先にあとがきである『作者の言葉』を読んでみると、まず木々自身が海野と小栗が本を出している出版社から、“科學小説集”を出せたことを盛大に喜んでいるのに、ニヤニヤしてしまう。三人が主宰していた探偵雑誌「シュピオ」以来の再會だそうだ。そして『科學小説』は『探偵小説』の双生兒と断じ、『探偵小説を書ける人に科學小説を書けぬわけはない筈』と試みてみたものが、収録作であると書かれている(科學小説だけではなく探偵小説も混じっているとのこと)。う〜ん、こりゃ読むのが非常に楽しみだ。試しに表題作の『或る光線』を読み始めると、純粋な小説作品ではなくラジオ劇の台本で、昭和二十二年の上海・昭和三十二年の東京を舞台に、『爆發光線』の一歩先を行く、人の延髄にある呼吸中枢を攻撃する発明『殺人光線』に関する物語であった。それにしても世の中には、まだまだ読みたい知られざる本が、たくさん埋もれているのだなぁ。
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何故か本文がとても大きい。おそらく18Qはあるのではないだろうか。だから木々先生、とても読みやすいです!
posted by tokusan at 15:58| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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