2018年10月26日

10/26ワッショイ!神田古本まつり!

朝からめんどくさい仕事のやり取りを、気もそぞろに行い、ようやく少しだけ解放されることになり、午前九時二十分に家を出る。水道橋駅に滑り込み、学生を掻き分けて、銀杏が踏みつぶされた『白山通り』を南下する。すると『神保町交差点』では、平日金曜日の午前中なのに、すでに「第59回 神田古本まつり」の賑わいが盛大に華々しく巻き起こっていた。慌てて交差点を渡り、『靖国通り』の「一誠堂書店」前に駆け付ける。ここに「盛林堂書房」(2012/01/06参照)が出店しているので、陣中見舞い…と言うか、正直に言うと古本が欲しくて駆け付けたのだが、ワゴン前はすでに押すな押すなの大騒ぎとなっており、とても後から来た人間が入る余地がない。人垣の向こうで盛林堂・小野氏が、お客に「スゴいねぇ。安いねぇ」と言われる度に「一年前からじっくり準備して来ましたから」と、壊れたレコードのように繰り返しているのが聞こえてくる。後の方でワッシャワッシャしながら、前に出ようともがいていると、北原尚彦氏や風書房さんに声をかけられる。共にワッシャワッシャしながら、少しの隙間を見出して、棚に手を伸ばし、気になる本を検分して行く。…良い本だらけ…そして気持ちが悪くなるほど安い…手当り次第に抱え込むと大変なことになりそうなので(現に周囲には大変なことになっている古本修羅がたくさん…)、函ナシの春秋社「観光船殺人事件/ビガース」を千円で購入するに留める。おっ、ちゃんと「青春18きっぷ古本屋への旅」も面陳されているではないか。探偵小説の薫りに誘われ、盛林堂ブースにお越しの際は、この新刊もどうかひとつよろしくお願いいたします。
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※これは開始一時間後の少しだけ落ち着いたところ。

人垣から離脱したところで、背後から「小山さ〜ん」と声をかけられる。振り返ると、駐車場を古本屋にしている本棚の脇から、「一誠堂書店」(2010/03/27参照)の番頭さんが笑顔で手を振っている。「店内一割引ですから、見て行ってくださ〜い」とのこと。まつりに歩調を合わせ、一誠堂も動いているのだなと感心し、二三言葉を交わし、店内も一巡する。その後は他ワゴンを軽めに流して行く。「古書ワルツ」(2010/09/18参照)で晶文社「ぼくのニューヨーク地図ができるまで/植草甚一」を300円で購入すると、お店のお姉さんが「植草、まだたくさんあるんですよ」と言って、ワゴンの裏側に姿を消す。しばらくするとスクラップ・ブック束一本を重そうに持ち出して来た。「いやいや持ってますんで、大丈夫です」と丁重にお断りすると「あ、やっぱり。ウフフフフ」と笑われる。ありがとうございます。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)のワゴンで原書房「鮪に鰯 山之口貘詩集」(昭和39年版)を500円で購入した後、戦記物の仙花紙本を大量に並べた「永森書店」(2012/11/28参照)ワゴンで足を留める。偶然にもあまり興味のない戦記物+読み難い背文字の中から、輝く一冊を視線が射抜いたのである。「姿なき空襲」…これは怪しい!“姿なき”と言えば、“怪盗”や“飛行機”が組み合わされる、ミステリやSFのキーワードでもあるのだ。スッと抜き取って味わい深い表紙をめくってみると、目次扉のタイトルの上には『科學小説』とあるではないか。パラパラ本文を捲ると、上海租界を舞台にした、中国秘密結社や各国諜報機関が鎬を削る、戦意高揚通俗科学小説らしい。キーワードは“放送局”…おもしろそうじゃないか!潔く買おう。新泉社「姿なき空襲/神宮寺晃」を二千円で購入する。未知の本に出会えるのは、本当にワクワクする。そんな思いを噛み締めながら、去年の神保町ツアーに参加してくれた(2017/10/07参照)北海道からわざわざまつり初日に駆け付けた強者と出会ったり、古本神・森英俊氏に見つけられたり、「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)鈴木氏と立ち話したりして、充実したあっという間の一時間半を過ごす。

家に帰ると面白い物が届いていた。本の雑誌社「絶景本棚」のオンデマンド印刷版である。なんとこれが、冗談みたいに大きなサイズのA4版なのだ。おかげで本棚に何が並んでいるか、さらに良く見える良く見える(ちなみにこの本、書店流通はなく、イベント時に販売したりプレゼントしたりするとのこと)。そして帰り道もずっと気になっていた「姿なき空襲」について調べてみると、どうやらこれがとても二千円で買える代物ではないことが判明する。やった!こんな本がひっそりと転がってるとは、さすが「神田古本まつり」!ワッショイ、ワッショイ!
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posted by tokusan at 14:43| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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