2018年10月28日

10/28古本神と古本屋行!

午前十時前に家を出て、午前十時半過ぎの神保町に御茶ノ水駅からアプローチする。すでに街は、古本を求める人たちで、激しい賑わいを見せている。ツラツラと特設ワゴンを流して行き、「古書かんたんむ」では背の無い中綴じの一冊を抜き出してみる。1934年の大阪の都市風景を活写した、英文の「A GLIMPS OF OSAKA/The Osaka Municipal Office」という本であった。大阪市役所が外国向けに出した、写真豊富な素晴らしい都市ガイドらしい。値段を見ると激安500円なので、ウハハと購入する。
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他には「山本書店」(2012/04/25参照)の店頭箱で弘道館中国文學選書「ホンコン脱出記/茅眉」を100円で買ったりした後に、「神田古書センター」の二階へ上がり「夢野書店」(2015/03/13参照)内で、共訳書の国書刊行会「探偵小説の黄金時代」が発売されたばかりの、古本神・森英俊氏と待ち合わせる。今日は氏と、いくつかの古本屋さんを巡り倒すつもりなのである。そう言えばちょうど一年前も、森氏と連れ立って「くまねこ堂」(2017/10/29参照)を訪れたんだっけ。出会うや否や、氏が特撮関連のレア本が出たのを目撃した「澤口書店 神保町店」(2011/08/05参照)をチェックした後に、地下鉄を乗り継ぎ、最初の目的地である南北線・王子神谷駅を目指す。

古本話に打ち興じながら『1番出口』から地上に出ると、目の前には『北本通り』。そこを真っ直ぐ北に向かい、五百メートルほど歩けば、巨大な神谷陸橋が圧し掛かる『神谷交差点』に到着。交差点を北に渡り、『環七通り』を西に進むと、すぐにお地蔵さんが並ぶお寺に入口が現れる。すると、そこから歩道沿いに連続する古びたコンクリ壁に、小さな茶色い案内版が掛かっているのに気付くだろう。『古本あぶらや ←20メートル先 開店 お昼から日暮れまで』…その案内に誘われるように西にちょっと進むと、緩やかな坂道アプローチが和風に優雅な、お店への入口が見えて来る。そこには立看板が置かれ、この坂小道の奥に、小さな古本屋があることを教えている。
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…どう見てもお店と言うよりは、人の家の気配しかしない…。だが看板を信じて、坂に足を掛け、樹木に囲まれた緑の庭に入り込んで行く。右には古い平屋の家屋があるがさらに奥へ進むと、ガラス扉に古本屋名のある小さなプレハブ小屋がようやく姿を見せてくれた…おぉ!自宅の敷地内に、離れ古本屋が開かれている!つい最近訪れた本牧の「古書けやき」(2018/06/27参照)や蒲田の「石狩書房」(2014/05/17参照)と同種のお店である。実はここの店主は、以前から私のトークイベントや古本販売時に顔を出してくれていて、一年以上前についに古本好きが高じて、土日週末営業のお店を開いたことを教えてくれていたのだが、いつか行かねばと思いつつ、無情にも放置していたのである…いや、すみません。それにしても、よくちゃんと続いている。今日も開いてくれていて、ありがとうございます!森氏は、外壁に貼られたホームズ映画のポスターに「これは北原案件でしょう」と早速激しい興味を示している。靴を脱いで中に入ると、カーペットが敷かれた六畳ほどの空間で、壁沿いに大スチール棚が五本と、上に駄菓子を並べた小文庫棚が二本置かれ、奥にカウンター席兼帳場があり、中央に背もたれのないソファが鎮座している。…うむ、静謐で清潔で端正なお店である。品揃えは、セレクト日本文学・海外文学・文学評論・児童文学・美術&写真・文化・文学文庫・セレクト文庫が並ぶ、店主の趣味を大いに反映させた中濃なものである。ウムムムムと眺めながら、三人で様々な古本話に花を咲かせていると、「どうです。ビールでもいかがですか?」と提案される。一も二もなく承諾し、冷蔵庫から取り出された缶ビールで喉を潤し、本箱の下から出て来たおつまみを摘む。森氏も「半分だけ」と、久しぶりだと言うアルコールに手をつける。古本の話をしながら、古本に囲まれ、ビールを飲む大人幸福タイム。もはや気持ちは、中学生時代に秘密基地的な離れの勉強部屋を持つ友達の所を訪れた、居心地良く甘酸っぱいものに包まれて行く。これは、楽しい。すっかりビール一缶+森氏の残り半分を飲み干し、酔っぱらい状態になったところで、講談社「にっぽん・あなあきい伝/殿山泰司」を購入する。オリジナル本は、こんなに和田誠のイラストが入っていたのか…気付けば森氏は、本を買うとともに、最初に目を付けたホームズポスターもいただくことになっていた…やはりこの人は剛腕である。この居心地良い空間を、また訪れることを約束し、緩い坂道を下って『環七通り』に酔っ払って舞い戻る。

続いて王子に移動して、森氏がまだ訪れていないという「コ本や」(2016/07/19参照)へ。おぉっ、河出文庫「怪獣文学大全/東雅夫編」が1200円で売られているではないか。文庫としては高値であるが、この本としては安値である!と未だ酔った頭で考え購入し、オリジナルの書皮をプレゼントされる。さらに「山遊堂」(2008/08/31参照)を冷やかした後は、地下鉄を乗り継ぎ亀戸に移転した「丹青通商」(2017/10/20参照)を目指す。押上まで出てバスで行こうとしたら、色々あって本数の少ないバスを逃してしまい、結局北十間川沿いを歩いて歩いて、夕暮れの住宅街の中のお店に到着する。『古書・電子部品』のアンビバレンツな取扱品目が相変わらずおかしい。引戸を開けて中に入ると、階段を少し下る半地下の細長い空間である。店主に挨拶して、狭い四本の通路を森氏と共に行ったり来たりして、絶版漫画・ミステリ&SF文庫の渦巻く棚を楽しむ。この時点でもまだまだ酔いは醒めないので、正式なツアーは後日行うつもりである。創元推理文庫「蜘蛛と蠅/F・W・クロフツ」を500円で購入し、近々の再訪を約束する。
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帰りは亀戸天神近くの骨董屋に向かってみるが、残念ながらお休み。交差点の角にある老舗豆屋の、机の上で食事中の虎猫を目を細めて眺め、終了間際の歩行者天国の薄闇を古本神と肩を並べて闊歩する。見事に古本に塗れられた、日曜日であった。
posted by tokusan at 21:15| Comment(3) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「神田古本まつり」!ワッショイ、ワッショイ!
毎年神保町ブックフェスティバルに行くと、嗚呼!僕は一人じゃなかったんだ、、、本好きな人がこれだけいるんだーー!!!とハイテンションになります。今年は昨日行ってきました。
初めて古書好きの友達を連れて神保町を案内して、東京古書会館地下の市で僕も彼もウヒヒヒとなる紙モノを発見してしまい、お財布には打撃でしたが存在を知ってはいても実物は初めてみたものを購入するという幸運に恵まれました。

それはさておき、古書かんたんむさんの特設ブースのお話は出ていましたが店舗の方には行かれましたか?「文字通り”掘り出し”ものが見つかるお店です!」と友達をかんたんむさんに案内したら閉店セール中でした。。。店内全品50%オフになってました。お店の方にお尋ねしたら11月4日まで営業なさるそうです。今のお店は8年間続けられたそうです。

池袋の夏目書房さんはおととい行ったらすでに看板もなくなってしまっていました。夏目さんもかんたんむさんも昔ながら的で好きなお店だったので、無くなってしまうのがさみしいです。諸行無常ですが、だからこそ、今訪ねられるお店に行ける幸せを噛みしめて古本との出会いを続けたいと思います。
Posted by アサガヤン at 2018年10月28日 22:13
誰も古本話を聞いてくれる人がいないのでこちらに昨日見つけて嬉しかった本を書かせてください。
『碧い目の見た日本の馬』という日本馬の歴史の本です。おそらく市井の学者だっただろう日本通運にお勤めだった坂内誠一さんという方が書かれた本です。何より僕がこの本を特別だと思うのは、目次の前に司馬遼太郎さんが文章を寄せられていることです。題して「日本馬への魂鎮めの書として」。
この本は3年ほど前に現在は閉館している図書館でたまたま見つけました。すごい本だなと思って買おうとネットで調べたら当時は販売しているお店がなくて、それ以来忘れていました。
その本が昨日神保町のお店の特価本コーナーにひょこっと置いてあってカバー無しでしたけど400円でした。プチひゃっほう!でした。
これ以外にも時々古書店で見かけるんだけど、その都度ちょっと高いな、、と思っていた図録が500円で売っていたり、やはり神田古書祭りはワッショイ!ワッショイ!です。
Posted by アサガヤン at 2018年10月28日 22:36
まつりはやはり楽しんで、そして買ってなんぼですね!素晴らしい収穫もあったようで、良かったです。収穫と言うのは、市場的に価値のあるものだけではなく、個人的に価値のあるものが殊更輝くからまた面白い。だからこそ、自分のマスターとなる人間を求め、あんなにも大量の古本が集まり、楽しいまつりと化しているのでしょう。まだまつりは11/4まで続きます。あきらめずにしつこく何度も足を運ぶ者の頭上に、さらなる栄冠が燦然と輝くことでしょう。まつりだ、ワッショイ!
Posted by 古ツア at 2018年10月30日 17:37
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