2018年12月14日

12/14神奈川・みなとみらい 第1回駅ナカ古本まつり

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横浜方面へ向かう車中、日本小説文庫「隠亡堀/國枝史郎」を読み耽る。表題作の怪談の意外過ぎる展開に『國枝って天才だ!』と膝を打ったりしてしまう。やがて東横線は、横浜駅からみなとみらい線へと入り込んで行く。目的駅で降車し、エスカレータで階上へスルスルと向かう。だだっ広い階上はまだ地下で、クイーンズスクエア側の改札を抜けると、右手の大きく白く細長く、録音されたカモメの鳴き声がエンドレスで流れる空間に、古本のワゴンが大量に広がっていた。…まるで未来世界の古本市だ。ちょっと無機質で荘厳ですらある感じが…だが近寄ると、ワゴンにびっしりと詰まっているのは、紛れもなく見慣れた愛おしい古本たちである。四つのワゴンが一つの古本島を造り、それが五つ連なる列島が、三列並んでいる。ここは『みらいチューブ』という名のイベント会場で、ここで古本市が開かれるのは初めてのことである。これだけのワゴンがあるのだから、ジャンルはバラエティに富んでいる。全体的に古めかしい本はそれほどなく、一般的に寄った品揃えである。今は午前中で人影はチラホラだが、通勤客が帰る頃になると、恐らく混雑を極めるのだろう。空いている時間の利を生かし、一ワゴン一ワゴンを、耕すように検分して行く。…それにしても、吹き抜けて行く風が骨身に沁みる。地下空間故の独特な空気の流れが、古本の上を流れて行くのである。だがそれでも、大量の古本と妙な空間で対峙するのは、心ざわめく体験である。途中帳場台に近付くと、座っていた「グリム書房」さんから「昨日来るかと思ってましたよ」と声をかけられる。じっくりゆっくり見下ろして、河出書房市民文庫「太宰治集/小山清編」を購入する。いつ何処でも、時間を気にせず太宰が気軽に読めるようにと編まれた、二十三の短篇集。巻末の小山による解説が、太宰を天使の如く純真に褒めちぎっているのが、何ともいじらしく微笑ましい。この市は19日(水)まで。会期中は古本の無料鑑定も行うとのことである。

帰りに自由が丘で途中下車し、「西村文生堂」(2013/09/10参照)に立ち寄る。お店の七十パーセントが洋書屋さんになりつつあることに面食らいながら、それでもまだ残る和書に目を光らせる。中公文庫「ジゴマ/レオン・サジイ 久生十蘭訳」ハヤカワ文庫「ファントマ/スーヴェストル&アラン」を計550円で購入する。「ファントマ」が250円なのは嬉しい!
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posted by tokusan at 15:25| Comment(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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