
そしてトーク開始までの一瞬の隙を突き、NHK札幌放送局「NHK特集 網走刑務所〜鉄鎖と更生と〜(打合稿)」(1981年放送のドキュメンタr−番組の台本であるを500円で購入する。トークにはこの二〇一八年が後二日半で終わろうとする忙しい時に、十三人の古本勇者にお集りいただき、感謝感激雨霰!おかげさまでおよそ二時間を、岡崎氏と楽しくおかしく古本屋さんや古本について喋りまくる。先日の古本市裏話、鉄道旅と古本屋、最近の古本屋トピック、今年の古本二冊(私は銅線に凶悪に縢られた橘外男「ルーレット紛擾記」と松本竣介装幀挿絵の「海から来た使」を紹介。岡崎氏は学年誌付録の森山良子のギター教室と雑誌「フォークリポート」であった)、「むしくい堂」さんを交えお店のことなど色々、そしてプレゼント大会。やはり、岡崎氏と話すのはとても楽しい。人前関係なく、自然に素直に好きなことや思いが、ポロポロと口をついて出て来るのだ。そんな愉快な年末を迎えられたことに、岡崎氏、会場の十三人、そして「古書むしくい堂」さんに大いなる感謝を捧げたい。本当にありがとうございました。
そして本日は午後から自主的に古本屋さんへの挨拶回りを決行する。私にしては珍しく言葉を交わせる、日頃からお世話になっているお店を巡り、古本を買って感謝の意を表すためである(いや、実はそんな大層なことではない。要するに、ただ古本が欲しいのである…)。まずは高田馬場駅に降り立ち、トコトコ歩いて早稲田を目指す。谷底の陽の当たらぬ神田川沿いを、冷たい水のせせらぎを聞きながら歩き続けるが、何故かそれほど寒くはない。『明治通り』から『高田馬場口交差点』を経由して、「古書現世」(2009/04/04参照)に至る。サッシをカラリと開けると、いつもは手元に視線を落とし、帳場に近付くまで来訪には気付かぬ向井氏が、珍しくこちらに視線を寄越し「今日は入って来た途端に気付きました」と笑顔で誇らしく宣言する。函ナシの實業之日本社「素顔のハリウッド/上山草人」(口絵写真の神山が扮したチャアリイ・チヤンが不気味で格好良い!)を4500円で購入しつつ、向井氏といつものように楽しく無駄話する。「あれ?今日コト(店猫の名である。2018/08/29参照)はいるんですか?」「そこで寝てますよ」と指差された本棚裏を見ると、屋根のないクッションの置かれたダンボールハウスの中で丸くなっている…か、可愛い!

「でも店猫ですよね。お正月休みの間はどうするんですか?」「家はすぐ近くなんで、エサやりとトイレの片付けに店に来ることにします」とのことである。無事に年を越すんだよ、と願いお店を後にする。高田馬場駅まで戻り、新大久保駅の身動きままならぬ殺人的混雑に目を丸くしながら西荻窪駅へ。まずは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、先日の古本市残り本の買取金を受け取る。店主・小野氏の「欲しい本あったらショーケースの鍵開けるよ。安くしとくよ」という悪魔の誘惑を振り切り(盛林堂では最近高い本をちゃんと買っているので…)、一年お世話になった挨拶を交わし、再び街路へ飛び出す。駅北側に赴き、「古書音羽館」(2009/06/04参照)でヤマケイ文庫「ビヨンド・リスク/ニコラス・オコネル」を700円で購入しつつ、広瀬氏と布由さんと、来年辺りご近所に出来るはずの古本屋さんについてあれこれお話しする。『西荻ブックマーク100回記念』のポストカードをいただき、お店を後にして、駅への近道に『西友』内を歩いていると「忘日舎」さん(2015/09/28参照)とバッタリ出会い、慌てて年越しの挨拶を交わす。続いては高円寺に移動。ここでも『庚申通り』でバッタリbar『ペリカン時代』のお二人にお会いし、慌てて年越しの挨拶を交わす。よくバッタリ人と会う日だなぁ。心臓をドキドキさせながら、そのまま歩き続けて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)着。三省堂「那須の植物/生物科学研究所編」番町書房「葦の髄から/檀一雄」を計600円で購入し、表の均一棚でダッカンダッカン棚の整理をしていた粟生田さんと「来年もよろしく」「よいお年を」とニッコリ挨拶を交わす。
今年も色々とお世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。