2018年12月30日

12/30昨日のトークと今日の古本屋さん挨拶回り。

昨日は朝から静かに件の「室内」を読み耽り、改めてその作品群から受けるイメージが、受容器官の違いはあるのだが、清宮質文の版画作品に肌触りが似ているな、などと勝手に気付く。午後四時に家を出て、まずは12/29日からお休みに突入する「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。取り扱っていただいている「青春18きっぷ古本屋への旅」が何冊か売れているようなので、少しホッとしながら東京三世社「少年少女SFマンガ競作大全集2」ポプラ社「お化けの愛し方/荒俣宏」を計463円で購入し、今年も一年お世話になりましたと、天野氏に挨拶をする。コンコ堂の年始営業開始は1/5から。駅から都心より気温の明らかに低い八王子にガタゴト向かい、街の賑わいと裏腹な冷たさに脅かされながら「佐藤書房」(2009/08/26参照)に飛び込む。岩谷選書「私刑(リンチ)/大坪砂男」を千円で購入する。さらに夜道を切り開き、すでにトークの準備のために閉店し、会場を整え中の「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)に到達。一人で汗を流す店主の高橋氏に挨拶をした後、すでに会場入りしていた岡崎武志氏と近所の喫茶店に移動して少し打ち合わせる。お店に戻ると、すでにキャスター付きの通路棚を二隅に動かし、丸椅子が並べられ、会場の準備は万全となっていた。
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そしてトーク開始までの一瞬の隙を突き、NHK札幌放送局「NHK特集 網走刑務所〜鉄鎖と更生と〜(打合稿)」(1981年放送のドキュメンタr−番組の台本であるを500円で購入する。トークにはこの二〇一八年が後二日半で終わろうとする忙しい時に、十三人の古本勇者にお集りいただき、感謝感激雨霰!おかげさまでおよそ二時間を、岡崎氏と楽しくおかしく古本屋さんや古本について喋りまくる。先日の古本市裏話、鉄道旅と古本屋、最近の古本屋トピック、今年の古本二冊(私は銅線に凶悪に縢られた橘外男「ルーレット紛擾記」と松本竣介装幀挿絵の「海から来た使」を紹介。岡崎氏は学年誌付録の森山良子のギター教室と雑誌「フォークリポート」であった)、「むしくい堂」さんを交えお店のことなど色々、そしてプレゼント大会。やはり、岡崎氏と話すのはとても楽しい。人前関係なく、自然に素直に好きなことや思いが、ポロポロと口をついて出て来るのだ。そんな愉快な年末を迎えられたことに、岡崎氏、会場の十三人、そして「古書むしくい堂」さんに大いなる感謝を捧げたい。本当にありがとうございました。

そして本日は午後から自主的に古本屋さんへの挨拶回りを決行する。私にしては珍しく言葉を交わせる、日頃からお世話になっているお店を巡り、古本を買って感謝の意を表すためである(いや、実はそんな大層なことではない。要するに、ただ古本が欲しいのである…)。まずは高田馬場駅に降り立ち、トコトコ歩いて早稲田を目指す。谷底の陽の当たらぬ神田川沿いを、冷たい水のせせらぎを聞きながら歩き続けるが、何故かそれほど寒くはない。『明治通り』から『高田馬場口交差点』を経由して、「古書現世」(2009/04/04参照)に至る。サッシをカラリと開けると、いつもは手元に視線を落とし、帳場に近付くまで来訪には気付かぬ向井氏が、珍しくこちらに視線を寄越し「今日は入って来た途端に気付きました」と笑顔で誇らしく宣言する。函ナシの實業之日本社「素顔のハリウッド/上山草人」(口絵写真の神山が扮したチャアリイ・チヤンが不気味で格好良い!)を4500円で購入しつつ、向井氏といつものように楽しく無駄話する。「あれ?今日コト(店猫の名である。2018/08/29参照)はいるんですか?」「そこで寝てますよ」と指差された本棚裏を見ると、屋根のないクッションの置かれたダンボールハウスの中で丸くなっている…か、可愛い!
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「でも店猫ですよね。お正月休みの間はどうするんですか?」「家はすぐ近くなんで、エサやりとトイレの片付けに店に来ることにします」とのことである。無事に年を越すんだよ、と願いお店を後にする。高田馬場駅まで戻り、新大久保駅の身動きままならぬ殺人的混雑に目を丸くしながら西荻窪駅へ。まずは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、先日の古本市残り本の買取金を受け取る。店主・小野氏の「欲しい本あったらショーケースの鍵開けるよ。安くしとくよ」という悪魔の誘惑を振り切り(盛林堂では最近高い本をちゃんと買っているので…)、一年お世話になった挨拶を交わし、再び街路へ飛び出す。駅北側に赴き、「古書音羽館」(2009/06/04参照)でヤマケイ文庫「ビヨンド・リスク/ニコラス・オコネル」を700円で購入しつつ、広瀬氏と布由さんと、来年辺りご近所に出来るはずの古本屋さんについてあれこれお話しする。『西荻ブックマーク100回記念』のポストカードをいただき、お店を後にして、駅への近道に『西友』内を歩いていると「忘日舎」さん(2015/09/28参照)とバッタリ出会い、慌てて年越しの挨拶を交わす。続いては高円寺に移動。ここでも『庚申通り』でバッタリbar『ペリカン時代』のお二人にお会いし、慌てて年越しの挨拶を交わす。よくバッタリ人と会う日だなぁ。心臓をドキドキさせながら、そのまま歩き続けて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)着。三省堂「那須の植物/生物科学研究所編」番町書房「葦の髄から/檀一雄」を計600円で購入し、表の均一棚でダッカンダッカン棚の整理をしていた粟生田さんと「来年もよろしく」「よいお年を」とニッコリ挨拶を交わす。
posted by tokusan at 17:39| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「来年辺りご近所に出来るはずの古本屋さん」!貴重な情報ありがとうございます。
今年も色々とお世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。
Posted by 北原尚彦 at 2018年12月30日 19:37
先日、龍ヶ崎古書モールへ行ったところ2月で閉店との貼り紙がありました。寂しい…。よいお年を。
Posted by 名無しの古本 at 2018年12月31日 13:13
北原尚彦様。こちらこそ、情報提供に、古本トレードに、古本販売に、古本立ち話に、様々にお世話になりました。来年もまた古本的に良い年にしていきましょう。よろしくお願いいたします!
Posted by 古ツア at 2018年12月31日 14:34
名無しの古本様。うぉぉぉぉぉぉぉ、ついにこの日が来てしまいましたか。閉める閉めると言ってなかなか閉まらないので、もしやこのままずーっと続くのではと思い込んでいましたが…残念です。行ってたくさん買わなければ。何はともあれ情報をありがとうございました。良いお年を。
Posted by 古ツア at 2018年12月31日 14:36
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