2019年04月30日

4/30平成最後の買い物は。

雨の三鷹に流れ着くと、住宅街のある民家のガレージ…いや、ここは車庫と言うべきか。そこに高校生が男女十人ほど集まり、バーベキューをしている。「次焼きそば作ろうぜぇ」などとやっているのだが、そこに流れている音楽が、妙に格好良い。ちょっと気になり耳をそばだててみると、何とYMOの『体操』が流れているのだ。曲の正体に気付いた瞬間、鉄板から煙を立て、紙皿で肉を食らう高校生たちを二度見してしまう。みな、それほどのお洒落感はなく、テクノ感も皆無な、極普通の高校生たちに見える…むぅ、なんとシュールな!これは何だか良い物を見たぞ!と、ひとり破顔しながら駅方面へ向かう。今日は火曜日…今までだと「水中書店」(2014/01/18参照)が定休日なので、即座にスゴスゴと三鷹を離れねばならなかったのだが、今は違う。新しく出来た「りんてん舎」(2019/03/30参照)は月曜が定休日なので、火曜でも安心して古本を買いに走ることが出来るのだ。というわけでタラタラ『三鷹通り』を北上していると、いつかのコメントタレコミにあった、「点滴堂」(2013/03/27参照)階下の「福田銘茶園」に古本が並んでいるのに気付いてしまう。
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本当だ。売ってる。立ち止まり中腰になり、ガラス越しに並んでいる本を注視する。『「小さな本屋さん」どの本も200円です!』とあるが、単行本・新書・文庫本、どの本も政治経済の本ばかりである。…こ、これは興味がなさ過ぎてとても手が出ない。早く自分好みの古本を買いに行こう。そして「りんてん舎」前。雨なのに均一棚を見ている人がいる。店内にも蠢いている客がいる。左側通路の窓際棚下に、床直置き100均単行本ゾーンが生まれている。入口右横のラック前には、結束本が積み上げられしまっている。そして空いている棚は、まだちょっとあるのだな。などと色々確認し、中央通路の右側手前の文学棚に集中力を向ける。三本目の中段に、古そうな本あり。まるで石焼き芋の皮のような背だが、うっすらと文字が浮かび上がっている。アンチックな太明朝体で『で…す…ぺ…ら』…で、で、で、で、「ですぺら」だとっ!と慌てふためき抜き出すと、途端に色鮮やかな表紙が目をバシッと撃つ。うわぁ、辻潤の「ですぺら」だ!敬愛するダダイストの「ですぺら」だ!函ナシ(もしくはカバーナシ。初版でも函とカバーの二種が存在するらしい)だが、奥付を見ると大正十三年の初版だ!値段はなんと千円だ!これを買わぬ手はないんだ!などと興奮しながら帳場に持ち込む。どひゃっほう!と心の中で何遍も唱えながら、新作社「ですぺら/辻潤」を購入する。というわけで、平成最後の古本購入は、九十五年前のダダイストの著作となった。こんな昔の本がサラリと買える古本屋さんは、やはりとても素敵な商売である。
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posted by tokusan at 18:38| Comment(4) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小さな本屋さん。以前は半分近く小説文庫だったので、棚が動いているんでしょうか。昨年は、日に焼けて色が褪せるまで枝野幸男の「魂の3時間大演説」が面陳されていました。
Posted by 海野又十郎 at 2019年04月30日 20:04
良き買物をされましたね。わたしも平成最後の古本屋はりんてん舎でした(笑)。
Posted by 北原尚彦 at 2019年04月30日 20:24
海野又十郎様。いやぁ、まったく手も足も出ませんでした。おそらく読了した本を並べているのでしょうが、興味の範囲が一光年くらい離れている感があります。でも、この販売はずっと続けて欲しいですね。
Posted by 古ツア at 2019年05月01日 14:57
北原尚彦様。同じお店で平成最後の買い物をしていたとは光栄です!「りんてん舎」さん、ポテンシャルが高いですよね。三鷹の古本懐(ふところ)が、グッと深くなった感じがします。
Posted by 古ツア at 2019年05月01日 15:00
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