2019年05月16日

5/16「ねこじたゴリラ堂」健在!

今日は午後二時過ぎに、巨大な相輪のような武骨な鉄骨組の『田無タワー(正式名称スカイタワー西東京)』の足元に流れ着く。すでに初夏のような暑さと日射しに、すっかり体力を削られてしまったが、やはり古本は買って帰りたい…よし、ここなら花小金井がわりと近いはずだ。およそ六年ぶりに、絵本専門の古本屋さん「ねこじたゴリラ堂」(2013/12/03参照)を訪ねることにしよう。そうと決まれば、早速西に向かってテクテク歩き始める。ところがちょっと予測を誤ったのか、花小金井が意外に遠く、なかなか近付いて来ない。その代わりに『田無タワー』はいつまでも背後に高く聳えており、なんだか西東京の罠に嵌り込んだ気分である。だが歩き続ければ、いつかはお店にたどり着くものである。そんな風にして記憶をたどりながら店前に到着すると、店頭に安売絵本や児童文学を並べ、堂々営業中である。うむ、素晴らしい。最初は街の奥に落ちた一滴の古本の雨粒が、いつの間にやらコンコンと湧き出る泉と化し、必死に街に古本の潤いを与えているようである。そんなけなげさとしぶとさに感謝しながら、店頭で一冊を手にして中へ進む。主に中央棚の絶版ゾーンに意識を集中する。むっ?背の一番上に『ディアストーカー』が描かれた児童文学が…思わず気になり取り出すと、大日本図書「ぼくはめいたんてい1 きえた犬のえ/マージョリー・W・シャーマットぶん マーク・シマントえ」というシリーズ物の日常系探偵児童文学であった。すわ!北原案件か!?と色めき立つが、主人公の少年の絵は、ディアストーカーは被っているが、コートはトレンチで、パイプも天眼鏡も持っていない(裏表紙に天眼鏡は描かれているが…)…これでは条件を満たさない、案件モドキである。だがすでに愛着を覚えてしまったので、文研出版「かさ/太田大八」(珍しく、文章のない全編絵だけで構成された絵本である。雨が降りしきる街の中に咲く、傘の叙情性が心を掴んで離さない)とともに計900円で購入する。
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ところで先日手に入れた島田一男先生の「七色の目」を楽しく愉快に読み進めているのだが、主人公の探偵助手・五郎少年の憧れの存在である香月名探偵の駄目っぷりが、本当に笑える。悪党にあっけなく眠り薬を飲まされ無様に眠りこけるわ(本当にただ眠らされている)、悪党にグルグルに縛られ捕まった五郎の前に現れるわ(本当にただ捕まっている)、大事な少女をすぐに見失うわ攫われるわで、どこが名探偵なんだっ!と読み進める度に、ニヤニヤしながら激しく突っ込みまくっているのである。また、『黄金紳士がギョッとした顔で立っていた。ツツッと、机にかけより金をながしこんだかたへ手をのばしたが、ハッと手をひっこめるーーまだあついのだ』とか『そのようすを、とおくから、黄金紳士が見ていた。じつは、ねらっている五郎とイズミを、ひとあしちがいで、不良につれて行かれ、黄金紳士はいらいらしていたのである……。』などと楽しい文章も頻出!あぁ、未知のマイナー・ジュニア探偵小説は、予想外の荒い乱暴で強引な展開をたくさん見せてくれるので、本当に面白いなぁ。
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左上が凛々しいが、かなりアレな香月名探偵。手前がスーパー名助手五郎。後は黄金紳士の変装姿である。伊勢田邦彦絵。


posted by tokusan at 17:40| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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