2019年05月25日

5/25「鬼の言葉」がモンガ堂への道を阻む。

昨日仕事の待ち時間に「不知火奉行」を宣言通りに読み進めていると、表題作の次に『どくろ検校』という中編が収録されていた。勢いに乗ってさらに読み進めると、なんだか様子がおかしいアナーキーなストーリー展開。長崎近くの絶島から、不知火検校と名乗る謎の総髪の男が江戸に現れ、夜な夜な美女を襲って行く。襲われたものは、血を求める浅ましい吸血鬼となって蘇り、さらに犠牲者をねずみ算式に増やしていく…おかげで江戸は吸血鬼だらけに…って、これ、ブラム・スト―カーの『吸血鬼ドラキュラ』そのままじゃないか!やるなぁ、知らなかったなぁ。横溝センセイがこんな伝奇作品を書いていたなんて。江戸に吸血鬼がたくさん蔓延る章のタイトルが『江戸地獄変』だもんなぁ。不意打ちでシビレまくってしまった。そんなことを思い出しながら、今日は暑い太陽が二つ輝いているような西荻窪に流れ着く。そのままダラダラと「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、店頭に犇めく人々に紛れて、新装店頭の様子を窺う。きっちりした統一感を漂わせる多種の新品什器に、いつも以上に古本が収まっているようである。ふむふむと、什器と古本を眺めながら、何も買えるものがなかったら、このまま店を離れることにしよう…などと薄情なことを思っていると、均一本の補充に来た店主・小野氏にたちまち発見され、店内に引き込まれ、二十二歳の若者が訳したリトルプレスの「万象綺譚集/アルジャナン・ブラックウッド 渦巻栗訳」を激推しされ、あえなく購入する。「フォニャルフ」棚がだいぶ歯抜けになっているので、近々補充しなければ。しばらく色々お話ししてから、お店を後にする。テクテク北に歩き、駅も越えてさらに北へ北へ。一度谷に下り、再び上がって「benchtimebooks」(2019/03/09参照)にたどり着く。前回来た時は、まだ一階部分しか開いていなかったが、そろそろ奥の中二階も開いていることだろう。店内に入ると、額縁棚も相変わらずで、以前より少し本が増えている印象。ただし入口横が雑貨類になり、製本関連は奥の階段横に移動している。その階段に足をかけ、トトトと数段上がると、ちょっと薄暗い雰囲気のある空間である。右は太宰本や「グスコーブドリの伝記」などが飾られたショウケースと帳場兼作業場で、今日は可憐な女性が店番中である。左側には小さな棚や台が不規則に連続し、寿岳文章・谷崎潤一郎・民芸関連などが並んでいる。奥の押入れのような台には、日本文学古書がディスプレイ。なかなか素敵な景色である。などと思っていると、突然お腹がグゥグゥ恥ずかしいほど鳴り始めてしまう。…おかしい、さっきパンを食べたばっかりなのに…一歩足を踏み出すごとに“グゥ”と鳴ってしまうのだ。恥ずかしさのあまり、帳場に背を向け外に逃げ出そうとすると、壁の飾り棚にも古書が飾られているのに初めて気付く。藤森成吉・坂口安吾…おっ!春秋社「鬼の言葉/江戸川亂歩」も飾られている!ワクワクしながら手に取ると、2800円だったので恥ずかしさも忘れ購入を即決する。
bench_oni.jpg
嬉しかったので、お店の前で記念撮影。そして本来はこの後「モンガ堂」さん(2012/09/15参照)にも寄る予定だったのだが、予定外の散財をしてしまったので、そのまま『青梅街道』を東に向かい、徒歩で帰路に着いてしまう。モンガさん、すまなんだ!
posted by tokusan at 16:15| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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