2019年06月30日

6/30神奈川・鎌倉 古書 アトリエ くんぷう堂

午前のうちに動き出し、湘南新宿ラインを使って一路鎌倉へ向かう。途中の新川崎〜横浜間において、対向電車で異音が発生したため十五分ほど停車してしまうが、どうにか午前のうちに、すでに観光客で混み合う鎌倉に到着する。東口に出て生暖かく湿った海風を浴びながら、本日で惜しまれながら閉店する「books moblo」(2011/10/10参照)を目指し進む。鯉の泳ぐ川を超え、『閉店』の貼紙がある立看板を唇を噛んで眺めてから、小さなショッピングモールビルの二階へ。
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店内はすでに別れを惜しむ多くの人で賑わっているようだ。通路に立錐の余地無く、みな楽しそうにおしゃべりに興じている。とても華々しい営業最終日である。本はすべて50%オフとなっているので、先客さんたちと位置を譲り合いながら、このお店での最後の買物となる一冊を求めて目を光らせる。すると左側の棚で、昭和十四年出版のアトリエ社「西洋美術文庫 ダリ/瀧口修造」を見つける。おぉ!戦前の瀧口本!とニヤつき、一も二もなく購入することに決める。奥の帳場にたどり着き、mobloご夫妻と挨拶を交わしながら、昔話に花を咲かせる。奥さまが当ブログをよく読んでくれていて、時系列で「moblo」が登場した記事について熱く語れるのに苦笑する。ここにお店を開いて八年。様々なことがあり、様々な事情があり、古本屋さんとしての役目を終えることになったのだが、ここで売られた本は必ず何処かで何かの花が開くのに役立ち、訪れた人々の心の中には、お店の記憶が朧げながらでも残り続けるはずである。古都鎌倉で、新しいタイプの古本屋さんを開いたことも、後に続くお店たちの指針として輝いていたはずである。さらば、そしてありがとう「books moblo」。ひとまずはおつかれさまでした。先ほどの「ダリ」を、半額の1750円で購入し、お店を後にする。

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西口に出てそのまま真っ直ぐ西へ向かい続ける。北側の歩道を、南にちょっと丹下健三スタイルな低層の『鎌倉市役所』見ながら、『御成隧道』を潜り抜ける。すると途端に緑が深まり、この鎌倉という街が、山に囲まれているのを教えてくれる。長く続く石垣をなぞるように、さらに西へ進んで行くと、突然目の前に椅子の上に本を積み重ねた看板が現れた。今年二月にオープンした、民家を改装した古本屋さんである。導かれるようにコンクリのステップを上がり、雨に濡れた紫陽花を眺め、回り込んで玄関で靴を脱ぎ店内へ。一階は玄関付近だけに本が並んでいる。百均文庫に百五十均新書、それに結構大きな千円以下の本が並ぶ単行本棚である…ちょっとクセと光のある並びだな…何故かミリタリー物が目立っている。階段をゆっくりと上がって二階へ。するとそこはかなり広めの空間で、壁際に棚が低めに張り巡らされ、中央に飾り台が二つデデンと置かれている。クルクルの髪の毛のご婦人が、本の補充を進めながら「いらっしゃいませ」と優しく華麗に囁く。階段上がって直ぐ横には、雑誌箱が床に置かれ、背後の棚には文庫本が並び、鎌倉所縁作家コーナーも設けられている。低く始まる壁棚には、「暮しの手帖」・神奈川&鎌倉関連本・郷土本がまずは並び、奥で高くなる棚に自然・詩歌・植草甚一・幻想文学・海外文学と渋く続き、折り返した棚は女流作家・女性関連の思想・社会・風俗などで一本が構成されている。中央の飾り台には、日本文学と古書が集まり、良い景色である。さらに奥の台には、アートブックや写真集・洋書絵本などが続いている。奥まで入り込んで壁棚に近付くと、そこはアートでびっしりと固められている。そして左壁棚には、ファッション・自然・文化全般・暮らし・児童文学・絵本と続いて行く。ビシッと背骨の入ったお店である。各ジャンルにしっかりと核となる本が混ざり込み、店主の趣味と気概を伝えるとともに、お店のしなやかな雰囲気を創出している。値段は普通。床に置かれた安売絵本箱の中から、箱ナシの講談社「オバケちゃんの本2 ねこによろしく/松谷みよ子・作 小薗江圭子・絵」を見付けたので、大喜びで購入する。足取り軽く階段を下り、靴を履こうとすると目の前のある貼紙が飛び込んで来る。『注意!靴の中を確認!!※虫が入り込んでいる場合があります。ご注意してください』…ひえっ!と慌てて靴を逆さに振るが、どうやら何も入り込んでいないようなので、安心して靴を履く。

その後混雑を極める『小町通り』に出て「藝林荘」(2013/02/17参照)に向かうが、あれ?お店がなくなってるじゃないか…場所、間違ってないよな…えぇ〜っ、いったいどうしたんだろう…?

またもや湘南新宿ラインに乗り込み、東京へ舞い戻る。新宿で間違って快速に乗ってしまったので、観念して荻窪まで足を延ばす。せっかくなので「竹陽書房」(2008/08/23参照)に入り込むと、何と、後見返しと本扉に蔵印ありだが、昭和十二年第二版の岩波書店「墨東綺譚/永井荷風」(本来はさんずいに“墨”)を発見。値段を見ると500円なのでウホウホと購入する。こりゃぁ、怪我の功名!予想外の素敵な買物だ!
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posted by tokusan at 17:18| Comment(2) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。秋川にあるBook Bookあきる野が8月一杯で閉店らしく半額セールをやっていました。
Posted by t at 2019年07月01日 11:02
情報ありがとうございます。「BooK BooK」は何だか閉店が相次いでいるようですね。悲しい連鎖反応を何処かがストップして、一店でも良いから生き残っていただきたいものです。
Posted by 古ツア at 2019年07月01日 18:57
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