2019年09月20日

9/20東京・神楽坂 アルスクモノイ

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「新宿支部に新しい人が入ったんですよ。お店もやるらしいですよ」と随分前から「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏にタレ込まれていたお店が、いよいよ本日開店を迎えるという。色々と片付けてから、東西線で神楽坂に向かい、構内を吹き抜ける強風に嬲られながら『1b』出口から地上に出る。するとそこは露店が参道に並んだ『赤城神社』の前。露店の誘惑に抗い、鳥居前から離れ、『白銀公園』方向に足を向け緩い坂を東に下る。そしてすぐに行き当たる北北東に延びる道に曲がり込む。趣きのある神楽坂の裏路地が、たちまち変哲の無い住宅街へと変化する。道なりにぐいぐい進むと、道は急激にガクンと落ち込み、神田川沿いの谷間へと誘い込んでいる。コンクリに刻まれた丸い滑り止めを踏み締めて、落込むように北北東に進み続ける。途端に街の雰囲気は一変し、スクエアな街区に、集合住宅と雑居ビルや小工場が殺風景に建ち並んで行く。大小印刷会社・箔押し会社・孔版印刷…フォークリフトがやけに目につくのも、この辺りの特色である。ずんずんずんずん進み、『目白通り』一本手前の通りを西へ。すると小さな十字路の先、右手の小さなビル一階に、シンプルなファサードの、白っぽいお店が見えて来た。白い立看板の上の壁には、丸傘の付いた電灯が備え付けられている。夜になったら、路上に明るく看板を、照らし出すのだろう。蜘蛛の巣をモチーフにしたロゴマークの刷られたサッシ扉を開き、店内へ。板敷き白壁のシンプルな広めの空間である。右側にはしっかりしたカウンターが据えられ、先客の数人が楽しくお酒を飲みながら、有名グラフィックデザイナーについて熱く論議を交わしている。入って直ぐ右側のゾーンには、アンティークな机の上に、古い紙物が飾られている。足元にはマッチ箱を詰めた箱も置かれている。忍者記念館のパンフレット、いいな。左壁沿い初っ端には、ミシン台が置かれ、洋書などを並べている。腰高に平台を備え、下部が大判棚となった壁棚には、海外文学(充実)・洋絵本・パリ・アート・デザイン・海外詩集・言葉・民俗学・西洋思想・ビジュアルブックなどが、良く練られた感じで端正に並んで行く。ヨーロッパを核とした偏愛の棚である。古書も良く混ざり、時々太宰治や林芙美子の古書が混ざるのもまた面白い。奥には、洋雑誌や「暮らしの手帳」が入った箱が床に置かれている。さらに右奥のゾーンに進む。手前壁際には小さな文庫棚があるが、思想・学術・民俗学・歴史・江戸などの特殊な並びである。右奥の壁棚には、性風俗・志村ふくみ・ファッション・児童文学・澁澤龍彦・佐野繁次郎装幀本・料理・金持ち・建築・武田百合子・女性関連(何故か『女性便所』の強烈な木札あり!)・旅などが収まっている。所々に額装された古い変な紙物があり、お店の雰囲気を造り出すのに一役買っている。こだわりが美しく顕在化した、見ていて気持ちの良いお店である。右奥の資料的にいががわしい本も混ざる棚がとにかく魅力的で、欲しい本が何冊も見つかってしまう。値段は普通〜ちょい高。店主はショートボブの、笑顔と笑い声を絶やさぬ女性で、お客さんとの会話で「砂漠のような場所に店を出したかったんです。寂しいところにポツンと灯りが浮かんでいるようなお店」と語っていたのがとても印象的であった。帝國出版協會「世界建築めぐり/藤島亥治郎」(カバーカラーコピー)を購入する。開店おめでとうございます。この地での古本オアシスとしての活躍を、心より祈っております!

「世界建築めぐり」に載っていた、ニューギニヤの住宅がスゴ過ぎて、思わず口アングリ。
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posted by tokusan at 18:29| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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