2019年10月11日

10/11台風が来る前に横田順彌追悼展を観に行く。

巨大台風接近に伴い、段々雲行きが怪しくなって来た、十月の金曜日の午前九時。神保町パトロールを兼ね、「東京古書会館2F情報コーナー」で今日からスタートする、『横田順彌・ヨコジュンのびっくりハウス 横田順彌追悼展』を観に行くことにする。新宿まではすし詰めの中央線に乗り、途中四ツ谷駅で総武線に乗り換え、水道橋駅に午前九時四十九分着。少し雨粒の落ちる『白山通り』を南へ歩いて行く。銀杏が白く踏み潰された歩道をさらに踏み締め、テクリテクリ。今のところ古本は買えていない…『靖国通り』に入る。「明倫館書店」(2012/04/04参照)は、珍しく店頭ワゴンがスカスカな光景を見せている。どうやらこれからドカドカと補充するようだ。結局「田村書店」(2010/12/21参照)店頭台に早くも行き着いてしまう。まだあまり人が手を付けていないようだ。その上人の気配もない…で、じっくりと見る。日本文学が多い…そう感じながら、薄手の詩集を一冊抜き出す。大正十五年刊の新潮社「情艶詩集/佐藤惣之助」である。背の金文字もピカピカで美しく、表紙の青赤の波模様もバタ臭く鮮烈である。中の数編に目を通すと、選ばれた言葉たちが、美しく尖りながら、都会の中を跳梁跋扈している。これは俺の求めていた佐藤惣之助だ!と即座に確信し、1200円で購入する。続いて「慶文堂書店」(2012/01/14参照)に立ち寄ると、端っこのワゴンに明治&大正の雑誌がちょっと放り出されていた。大正十一年刊の趣味の雑誌、土の鈴會「土の鈴 第十二輯(地蔵號)」を手に取る。文字通り“地蔵”を特集しており、表紙は地蔵の胸掛を再現した凝った仕様。その上カラー口絵があり、絵葉書が挟み込まれたり、折り込み図解があったりと、ただならぬ編集者の意気込みを感じながら目次に目を通すと、おぉぉぉっ!何と南方熊楠が寄稿しているではないか!良く見たら佐々木喜善も!と大喜びで300円で購入する。
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後は「東京古書会館」(2010/03/10参照)に一直線。二階への階段をカタコト上がると、受付には『日本古典SF研究會』会長の北原尚彦氏と会員の一人である「盛林堂書房」小野氏が座っており、にこやかに浅田飴を渡してくれた。横田氏の名駄洒落フレーズ『朝だ。雨だがふっている。朝だ雨だ。』に因む、株式会社浅田飴の粋な計らいである。さらに受付脇の長テーブルには、まるで書店のように横田氏の著作が山と積み上げられている。遺族からご好意で、一冊好きなものをいただけるとのこと。うむむ、こりゃスゴい(飴も本もなくなり次第終了)。そして展示もスゴいことになっている。ハチャハチャSF作家、古典SF研究家、押川春浪&天狗倶楽部研究家、SFファン、落語&野球ファンなど、様々な方角からの濃密な展示で、横田順彌という偉人を炙り出している。「宇宙塵」がぁ!「冒険世界」がぁ!天狗倶楽部の資料がぁ!「超革命的中学生集団」平井和正識語献呈署名本が泣ける…などと一渡り眺めたところで、北原氏に中央テーブルに置かれたスケッチブックに横田氏へのメッセージを書くよう促される。まだ誰も書いていないので、火付け役に任命されたようである。もにゃもにゃとどうにか書き付け、本はピラールプレスの「近代日本奇想小説史 入門編」をいただくことにする。さらに小野氏からは日本古典SF研究會「未来趣味 増刊 横田順彌追悼號」(ぶ、分厚い!盛林堂の店頭&通販サイトで発売中)をいただく。この展示は10/19(土)まで。そのまま地下の会館展に向かい、しゃがんで古書の棚を眺めていると、いつの間にかついさっきまで二階受付に座っていたはずの北原氏に、後を取られてしまっていた!どうやらというか当然というか、早く見に来たくてしょうがなかったらしい。「昼から小野さんが入札があるんで、今のうちに、ね…」。たちまち本を一冊二冊と抜き取って、奥の古本修羅ゴミに紛れて行った…。こちらもじっくりと棚を見て回るが、実は地上で買った佐藤惣之助と熊楠論文掲載の冊子で大いに満足してしまっているので、あまり古本心ががっつかないのだ。結局、宝文館「現代詩の実験」に北園克衛の論考が掲載されていたので、これを200円で購入し、地上へと帰還する。
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posted by tokusan at 14:01| Comment(8) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お越し頂き、ありがとうございました。
古書即売会、あれでもアサイチでは行かず、あの時間まで我慢したんですよ?(笑)
Posted by 北原尚彦 at 2019年10月12日 00:58
SFはあまり読まないのですが、横田順彌さんは同郷ということもあり、数冊持っています。最近も、古本市で「銀河パトロール報告」を帯付きでゲット。古典ミステリのパロディとハチャハチャSFが入り乱れた構成、畑農照雄さんの装幀…読む前から楽しませてくれる本です。そんなヨコジュンさんのマイ・ベストは、ポエムくんシリーズ!ブリット・ポップのようなドリーミーな世界、何度読んでも新鮮で飽きません。ポエムくんの新作、読みたかったなぁ。
Posted by ヘイスティングス at 2019年10月12日 01:04
北原尚彦様。我慢してたんですね、やはり!でも最終的には地下に飛び込んだ北原さんを空の上から見て、横田さんも笑っておられることでしょう。良い展示をありがとうございます!
Posted by 古ツア at 2019年10月12日 13:10
ヘイスティングス様。もぅ十分過ぎるほどの横田ファンじゃないですか!『ポエムくん』シリーズをそんな風に語る人がいるなんてびっくりです。読みたくなってきちゃうじゃないですか!
Posted by 古ツア at 2019年10月12日 13:15
えへへf(^^; “ブリットポップ”はちょっと言い過ぎたかもしれません。スティーヴン・ダフィ(ライラック・タイム)の幾つかのアルバムの世界観に似ているかなぁ、と思います。秋冬によく聴くアーティストなのですが、オススメです。
Posted by ヘイスティングス at 2019年10月12日 18:16
ヘイスティングス様。言い直した感じも、また独特ですよ!
Posted by 古ツア at 2019年10月13日 16:56
ひいぃィっ! 恥の上塗りになりますが、ブリットポップではなく、トリップホップのほうが妥当でしたぁっ!(//////∇//////) ドリーミーなエレクトロニカというか…嗚呼、もう手遅れ…。
Posted by ヘイスティングス at 2019年10月13日 19:25
ヘイスティングス様。大丈夫です。何の問題もありません。私もしょっちゅう色々間違っています。
Posted by 古ツア at 2019年10月14日 16:47
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