2019年11月27日

11/27古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第四章】

すでに昨日のことである。盛林堂・イレギュラーズとして、まだシャッターの上がっていない西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店頭に、午前七時半に立つ。およそ一年ぶりの日下三蔵氏邸の片付けに、うんとこやっとこ駆り出されるのである。程なくして、今日のハードワークのために昨晩の飲みを控え目に抑えた盛林堂・小野氏が現れ、ともに備品を抱えて盛林堂号の待つ駐車場へ向かう。その途中、二人とも同じ衣料量販店の同色同タイプパーカーを着ていることが判明し、期せずしてペアルックであることを認識する…まぁ、今日これが盛林堂の仕事ユニフォームということで…お互いにそうムリヤリ納得し、盛林堂号に乗り込み、いざ神奈川県某所へ。時々降る小雨と、強い風の中を突っ切り、一般道路と自動車道路を疾走して、およそ一時間半で目的地着…予想以上にスムーズだったので、ちょっと早く着いてしまった…というわけでマックで少し休憩した後、頃合いを見計らい日下氏に連絡を入れる。すると今日は本邸には寄らずに、直接マンション書庫を目指すことに決まる。数十分後、コンビの駐車場で日下氏と合流。書庫と同道する。一年ぶりのご対面である。あの通路を開通し、奥の和室まで片付けた魔窟と書庫の中間のような空間は、いったいどうなっているのだろうか…。「さぁどうぞ〜」。日下氏が鉄扉を開き、資料が詰まった紙袋をドアストッパーにし、招き入れてくれる。玄関&廊下は相変わらずの本棚と古本と紙袋とCD類の怒濤のがぶり寄りで、峻嶮な激狭通路となっている。おまけに、古本を詰めた新しい紙袋が通路に置かれ、所々跨ぎ越さなければ先へ進めぬ箇所が頻発する。だがそこを抜ければ、通路はちゃんと開通したままで、奥の和室までたどり着ける状態を、しっかりとキープしていたのである。所々新たな不安定コミックタワー&古本タワーが建立されているが、これはスゴいですよ、日下さん。感心しながら、まずは和室に残っていたブラウン管テレビを搬出する。そして本日のメイン作業は、リビングルーム書庫の中央にドでかく横たわり積み上がっている、巨大古本軍艦島を整理し、新通路をもう一本開通させること。だが一見したところ、絶望的な乱雑さと高さが、困難な作業を予想させる。
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聞けばこの上に乗り過ぎた資料袋やコミック山の崩れを退ければ、下部は文庫やノベルスで埋め尽くされているとのこと。「だから大したものはありませんよ」…日下氏は宣う。いや、絶対にそんなことはない。きっとスゴい何かが、忘れ去られて埋もれているはずだ!小野氏とともにそう信じて、早速決死の作業に取りかかる。まずは私が上に乗ったものを、下ろしたり引きずり出したりして、それを日下氏と小野氏がある程度仕分けた後、和室に逃がすことに決まる。身体と腕を必死に伸ばしまくり、上部をズルズルと崩して行く…パンパンの紙袋がすべて重い…引っ張ろうとした途端にプツンと紙の持ち手が切れ、閉口すること頻り。くぬやろ、くぬやろととにかく引き摺り下ろし、島の高度を低くして行く…人間やれば出来るものである。小一時間ほどの奮闘で、外郭の高度は危うくキープされてしまっているが、とにかく中央付近はへこみ、次第に奥の廊下も見透しが利くようになってきた。…おぉ、ついに下層から文庫の山が出現し始めた。本当に文庫やノベルスが、。けっこうしっかり積み上がり、土台を成していたのだ。ここで小野氏とバトンタッチし、氏が版型を揃えて文庫やノベルスを詰み直し、島を掘り進んで行くことになる。何故か簀子も発掘される…。
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私の次のミッションは、文庫を和室に控える日下氏に運び続け、必要・不必要の仕分けをひたすら促して行く作業となる。というわけで、文庫束を島からひっぺがし、働き蟻のように日下氏に文庫をお届けして行く。日下氏は「むぅ」「これは」「あぁ」「こんなものが」「上下が揃った」「ダブってる!」などと様々な叫び声を上げ、文庫本と楽しく格闘している。その間に、掘削作業に従事する小野氏も、奇妙な叫び声を上げることが増えて来た。「やっぱりスゴいのあるじゃん」「大倉Y子の『踊る影絵』が!」「佐藤有文「骨なし村」ぁ〜〜〜〜」「あまとりあのエロチック・ミステリーが大変なことに。ほら」。
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うひゃぁ、こりゃあ“あまとりあロイヤル・ストレート・フラッシュ”じゃないか!…やっぱり物凄い本が続々と発掘される、古本の底無し沼、日下三蔵邸…。などとやっていると、小野氏が興奮して掘り進め過ぎ、島の外郭の一部が崩れて雪崩落ちて来た。すかさず奥から現れた日下氏が、積み上がっていた一冊のコミックを掴み、こちらに向かって突き出した。手塚治虫の「落盤」である。「ハハハハハ、ここにちょうどあったんですよ。アハハハハハ」…このように、楽しく作業は進んで行く。
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さらに二冊のダブりを含む「新青年」付録の久生十蘭訳本束が発掘される。「え〜、ダブってるんじゃないでしょ。もう一冊は付録じゃなくて博文館文庫でしょ」と日下氏、小野氏から受け取りよく見てみると、これが見事にすべて付録本。ダブりは「ルレタビーユ」と「第二フアントマ」である。「何でだろ、なんで買ってんだろ…しょうがない。ダブりだから今日のお礼に小山さんに差し上げます」と、あっさりと今日の報酬が決定する。やったぁ!こりゃ嬉しい。お土産本が決まったので、奮起して作業を継続する。いつの間にかかなり掘り進み、段々と整理整頓が行き届くようになって来た。
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結局三人とも四時間余りを、ぶっ続けで作業。午後二時に休憩を入れ、車で街に出て、美味しいお寿司で栄養補給する。午後三時過ぎに書庫に戻り、しばらく小野氏は文庫の結束作業に入る。その間に、島の再建築作業を進め、結束が終わったら、エッチラオッチラと玄関外に本を運び出したりする。またもや作業にひたすら没頭。ようやく通路が開通し、。人が完全に書庫内で行き違えるようなった。台所側からも、リブング側からも廊下に出られるぞ!大きな軍艦島は三つに分離され、右壁下と台所壁周りと、周囲の棚下に低層に固められることになった
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。おぉ、更にスッキリ!日下氏も疲弊しまくりながら仕分けを続け、およそ六百冊ほどの不要本を捻出する。…気がつけば午後六時過ぎ。すっきりしたリビングを日下氏に見てもらい、「もうパーティーが出来ますよ」「ここで寝られますよ。大の字になれますよ!」などと報告する。すると日下氏が本当に通路に笑顔で大の字になってくれた。「あはははっは。こりゃスゴい」と言いつつも、その光景は完全に『古本殺人事件』と呼ばれるような、とても不可思議な光景であった…。
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あぁ、それにしても疲れた。だがお土産に件の二冊をいただき、さらに日下氏が編集したハルキ文庫「敗北への凱旋/連城三紀彦」ちくま文庫「紙の罠/都筑道夫」(名作面白日活映画『危いことなら銭なる!』の原作だ!)もいただき、ちょっと元気になる。その後書庫を離れ、夜の焼肉屋で肉をたらふくご馳走になり、かなり元気を取り戻して午後十時半には帰京する。大変におつかれさまでした。…実はこの作業の続き、近々にも行われる予定なのである。次回はいったいどうなることやら…。
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posted by tokusan at 18:15| Comment(2) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
重箱の隅の老人より伝言。連城三紀彦のハルキ文庫は『敗北への凱旋』ではないか、と。
Posted by 新保博久 at 2019年11月27日 23:33
いつまで経っても不肖の生徒ですみません。感謝しながら直させていただきました。ありがとうございます!
Posted by 古ツア at 2019年11月28日 16:18
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