2020年06月03日

6/3「ゆたか。書房」は七月末日閉店予定。

昨晩、ちくま文庫「紙の罠/都筑道夫」を思いの外読み進め、クライマックスに差し掛かったところで、どうしても日活映画『危いことなら銭になる』が観たくなってしまう。読めば読むほど、この原作の雰囲気を存分に生かした映画が素晴らしいことに気付き、読み終えるより、とにかく映画が観たくなってしまったのである。生憎とソフトは持っていないのだが、大昔に録画したVHSテープがその辺に転がっているはずだ…と、気持ちは一生懸命なのだが、わりと探し方は適当なので、見つかったのは『殺しの烙印』のテープだけであった…しかしこれも確か後の方にも何か録画しているはず。もしかしたら…と、デッキにガチャコンと放り込み、早送りする。…あぁっ!次に入っていたのは、同じ日活映画『拳銃(コルト)は俺のパスポート』(1967年)だったか。九十年代に日本テレビの深夜枠で放送されたのを録画したものである。ついついそのまま観始めてしまうと、たちまちVHSで滲みながらも硬質なモノクロ画面で進む、逃亡する殺し屋の物語に魅了されてしまう。原作は藤原審爾「逃亡者」である。うつむき加減の凄腕殺し屋・宍戸錠!弟分のジュリー藤尾!悪〜い内田朝雄!超絶可愛い小林千登勢!ラストの埋め立て地での、一人対四人+ほぼ装甲車ベンツ(悪者満載!)の銃撃戦は、間違いなく日本映画史に残るスピードと美しさとアイデア!そう言えばこのシチュエーションを、谷口ジロー+関川夏央の劇画「事件屋稼業」で、そのままいただいている回があったな。だが、あの深町丈太郎も、宍戸錠に負けず劣らず、しぶとく華麗であった…イカン、俺は何をやってるんだ…それにしても、映画内で宍戸錠の愛用している拳銃はベレッタなのに、なぜタイトルは『拳銃
(コルト)は俺のパスポート』なのだろうか…?

そして今日は「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の、待ちに待った営業再開日である。午後三時にいそいそと駆け付けると、入口には当然消毒液、帳場にはビニールカーテン。マスクをしっかり装着し、手指消毒して店内に進む。フフフフ、やっぱりいいなぁ、楽しいなぁ。ぬぉっ、中央通路のミステリ系棚に、古めの大下宇陀児が十冊ほど並んでいるぞ。仙花紙本や昭和二十〜三十年代の単行本で、中には裸本や貸本仕様のものも。古本屋さんならではの、ワクワクワクワクする景色である…値段が安めで嬉しい……よし、今日はこっから思い切って何か買って行こう。そして選んだのは、あまり見かけたこのない、文芸図書出版社「どろんこ令嬢/大下宇陀児」である。明るいタッチの装幀函から本を取り出し、パラパラページを繰ってみると、どうやら明朗系のミステリらしい。帳場で久々に天野氏と顔を合わせ、お互いの無事を喜びつつ3150円で購入する。また今日からよろしくお願いいたします。
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ウキウキと家路をたどるが、その途中で衝撃的な貼紙を発見してしまう。「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)のシャッターは相変わらず下がりっ放しなのだが、どうやら貼紙が変わっているようだ。近付いてみると『都合により七月末日にて閉店します。永い間のご愛顧ありがとうございました』と書かれていたのである。…くぉぉぉぉぉぉ、やっぱりそうなってしまったか…。だが、悲しんでばかりはいられない。まずはまたお店が一時でも開いて、古本が買える時が来ることを、楽しみにしておこう。
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posted by tokusan at 17:48| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして!
「ゆたか。書房」さんの閉店にとてもショックを、受けている者のひとりです。
近所に住んでおり、子どもの絵本をよく買わせていただいていました。
今日(6/16)お店の前を通るとシャッターが開いていたので、中にはいると(おそらく)、棚から本を出し更に値札を全て外している奥さまがいらっしゃっいました。
どうやら、入院をされていてついにお店を閉めることにされたそうです。
そして、今週土曜日に買い取りの方が来ると。
けど、「お店の名前が入っているのは嫌だ」と旦那さんがおっしゃっるので、値札の紙を全て出していたそうです。
その話を伺い、とても悲しくなったので忙しい中ですが絵本を選ばせていただきました。
また、子どもも連れて行きたいので次はいつ開くのか聞いたところ、今週木曜日とのことでした。ぜひ、足を運んでみてくださいませ。
(拙い文章で申し訳ございませんでした。けど、どうしてもお伝えしたく、コメントをさせていただきました)
Posted by 阿佐ヶ谷在住 at 2020年06月16日 21:41
詳細なご報告、ありがとうございます。うわぁ、ご店主、やはりご病気だったんですね。お店の閉店はもうしょうがないですが、ぜひぜひ快癒して、元気を取り戻していただきたいです。そして私もちょくちょく女性二人が作業をしてるのをみかけていたのですが、そんな事情があったとは…。木曜日、タイミングが合えばお店に行ってみます。重ねてありがとうございます!
Posted by 古ツア at 2020年06月17日 17:56
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