2020年07月08日

7/8未来派と「呪ひの塔」とカネゴン。

すでに昨日のことである。早朝に田山花袋「生」を読み終える。花袋の自伝的な、母の死に際にまつわる出来事を、巧みに詳細にドロリと描いた物語であった。死と生に正面と側面から向き合う暮らしとともに、舞台である早稲田・戸塚・目白などの、明治の様子が活写されるのが、心にジンワリと暖かで静かな感動を呼び起こす仕掛けが、素晴らしかった。午後に所用で中野へ外出。『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2014/02/15参照)で文研出版「新訳シャーロック・ホームズの冒険/ドイル作 飯島淳秀」を110円で購入する。昭和45年刊の児童用ホームズ。収録阪は『赤毛連盟』『口のねじれた男』『青いルビー』『まだらのひも』『黄色い顔』『六つのナポレオン』となっている。最初の四作は「〜冒険」の収録作だが、『黄色い顔』は「シャーロック・ホームズの思い出」、『六つのナポレオン』は「シャーロック・ホームズの帰還」収録作である。背文字の“シャーロック”の入れ方が、なかなかアナーキー。
bunken_holmes.jpg
さらに二階の「BOOKSロンド社」(2008/08/28参照)にて、大和書房ヤングアダルトブックス「怪獣ゴジラ/香山滋」を400円で購入する。北から表に飛び出し『早稲田通り』を歩いていると、よく「みちくさ市」出店時に古本を買ってくれる常連さんに偶然お会いする。今回のコロナ禍で家に閉じこもると、大量の古本と改めて対峙することになり、これは整理しなければ!とハタと気付いたそうである。読了本や雑本整理処分の真っ最中で、「いやぁ、もうそんなに本を買ってられないですよ。先行きのことも考えなきゃね」「これから何処行かれるんですか?」「あっ、盛林堂に行って、新刊のミステリアス文庫がまだ店頭にあるかどうか、見に行くんですよ」「か、買う気満々じゃないですか…」などとやり取りする。夜、ソニー・マガジンズ「モービー・ディック航海記/たむらしげる」をゆっくり楽しむ。漫画屋絵本ではなく、小説に寄った絵物語。72歳の“Q”が、伯父の遺産である機械生物とも言えるクジラの潜水艦(オタマジャクシのような大きさから、段々成長してようやく乗れるようになる。可愛い)に乗り、宇宙を旅するお話。たむら版「星の王子さま」ではないだろうか。

そして本日は祖師ケ谷大蔵の果てに流れ着いたので、エッチラオッチラ表通りに出て、久々の「祖師谷書房」(2009/03/05参照)の様子を伺う。シャッターは上がっているが、カーテンが閉まってしまっている…お昼休み中か。残念也。楽しみにしていたので落胆しながら駅に向かっていると、「DORAMA」が消滅しているのに気付いてしまう。店頭百均ワゴン、時々面白いのが拾えて好きだったのに。残念也。そんな落胆たちを家まで引き摺らぬように、下北沢で途中下車して「ほん吉」(2008/06/01参照)に立ち寄る。今日の店頭は何だか三百円本が豊かだ。双葉社「本棚探偵の冒険/喜国雅彦」(二刷。帯・月報付き)河出書房新社「ごっこ/山田稔」扶桑社「未来派2009/坂本龍一+細川周平編集」を計990円で購入する。「未来派2009」は1986年刊で、一見すると当時出された坂本龍一のアルバム『未来派野郎』の副読本のようだが、中を開くと正統なイタリア“未来派”のガイドブックなので吃驚。機械的ビジュアルが全ページに炸裂し、見応えあり。と言うわけですっかり現金に元気になり、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかると、東方社「長編探偵小説 呪ひの塔/横溝正史」(貸本仕様。カバーナシ。背にテープ補修あり)が店頭にてギラリと輝いたので、即座に110円で購入する。

おまけ:祖師ケ谷大蔵の商店街は、駅から広がる様々な商店街が力を合わせ、『ウルトラマン商店街』と名乗り、幟や外灯やゲートで、ウルトラ的雰囲気を共有している。駅北口に出て、西に商店街を伝って行くと、かなり奥の方の『祖師谷ふれあいセンター』のエントランス部分に、実物大のカネゴンが座っているのを、本日初めて発見する。おぉ、これはまるで『ウルトラQ』の『カネゴンの繭』で、銀行前で女子行員の運ぶ小銭を狙うシーンか、腹が減って胸のカウンター数がドンドン下がって行くシーンのようではないか。こんな素晴らしいものが、いつの間にか建っていたんだ!と、いつまでもウルトラを卒業出来ない人間として、大いに感動する。
kanegon.jpg
posted by tokusan at 18:16| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: