2020年07月20日

7/20「呪ひの塔」を読んでいて気づいたこと。

「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で百円で買った東方社「呪ひの塔/横溝正史」(作品発表は昭和七年)をチビチビ読み進めているのだが、その途中で、登場人物の一人、探偵小説作家の“大江黒潮”は江戸川乱歩をモデルにしていることに気付く。『探偵小説を書き始める前は、支那蕎麦の屋台を曳いたこともある』そんな描写があったので、これはもはや言わずもがなである(乱歩「陰獣」の探偵作家“大江春泥”もイメージのうちか)。ということは、狂言回し的な探偵小説雑誌編集者兼作家の由比耕作は、横溝正史自身がモデルと言うわけか。そう気付いたら、もうこの大江と由利の脳内ビジョンが、たちまち若き日の乱歩と正史にすり替わってしまった(それにしてもこの二人は、舞台のひとつ軽井沢で『恋愛合戦』なる、多人数の恋の鞘当てに巻込まれているのだが、乱歩と正史が女優さんや映画業界人に混ざって嫉妬の炎を燃やしたり、ドギマギしているのを想像すると、微笑を禁じえない)。ちなみに作中には、他の探偵小説作家として、“堀下氏”“大賀氏”“堂下氏”などの名が挙るのだが“堀下氏”は森下雨村、“大賀氏”は甲賀三郎、“堂下氏”は大下宇陀児であることが想像出来る。後ひとり、“白井三郎”という、大江の作風にに影響を与えた書かざる探偵小説作家が出て来るのだが(谷崎潤一郎『秘密』の主人公の部屋のような、浅草の四畳半に住み、猟奇的生活に耽溺している。いわば、乱歩の悪趣味的分身とも言えるキャラ)、これには誰かモデルがいるのだろうか…?

そんなことを思いあぐねながら、暇つぶしに読み進め、仕事の連絡待ちをしているのだが、何も音沙汰がない。仕方ないので蒸した戸外に出て、テクテク気晴らしに高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)でハヤカワポケミス「殺人混成曲/マリオン・マナリング」を100円で購入し、踵を返してスタスタと家に帰る。
noroi_no_tou.jpg
これが現在呼んでいる、背がセロテープで補修され裸本の「呪ひの塔」。表紙絵は作中で軽井沢に建つ五色に塗られた遊戯施設『バベルの塔』をモチーフにしている模様。
posted by tokusan at 17:51| Comment(6) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「呪いの塔」は角川文庫版で読んだのですが、そんな符号があったんですね。大江黒潮≒大江春泥しか気づきませんでした。古ツアさんが買われた東方社版裸本の表紙、創元ぽくていいですね(^^)

昨日のブログに登場した古書ワルツ荻窪店。たまたま同じ日に、青梅店の品をネットで購入していて、これも何かの符号…な訳ないかf(^^;
Posted by ヘイスティングス at 2020年07月20日 21:57
「呪ひの塔」、読んでて思わずニヤニヤしちゃいました。まだ軽井沢の途中なので、後半の東京変がどうなってしまうのか、ただただ楽しみです。そして「古書ワルツ」の恩恵が九州にも!色々落ち着いて上京の折には、ぜひとも荻窪店を訪れてみてください!
Posted by 古ツア at 2020年07月21日 17:22
氷川鬼道…
Posted by 東奔西走 at 2020年07月22日 04:03
東奔西走様。だ、誰ですか、それ。まさかこれから出て来るんですか!?…あぁ、誰がモデルか分からない!また考えなきゃいけないのか…。
Posted by 古ツア at 2020年07月22日 19:11
モデルはもちろん○○ですよ。名付けたのは小林信彦。
Posted by 東奔西走 at 2020年07月22日 19:49
東奔西走様。そうか、小林信彦の作品に出て来る。大御所探偵小説作家ですね。ふぅ、スッキリしました。
Posted by 古ツア at 2020年07月24日 16:06
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