2020年08月01日

8/1百均本で谷内六郎のモダンさを知る。

先日「りんてん舎」(2019/03/30参照)で購入した指月社「鳥居昌三詩集」を楽しんでいると、1961-64の詩誌「VOU」に発表した未刊詩編の章があるのだが、タイトルや詩中に、『高い窓』『ミス・ブランデッシ』『世界をおれのポケットに』『血の収穫』『ダイヤモンドは永遠に』『フィリップ・マアロオ』などの、ミステリファンならときめかずにはいられない語句が、散りばめられているのを発見する。おぉ、これは詩的に素敵だ!ダシール・ハメット、ハドリー・チェイス、レイモンド・チャンドラーなど、ハードボイルド系に傾倒しているようだ。1960年代の翻訳ミステリ…限り無くハヤカワポケミスと創元推理文庫の薫りが漂う…。この時代、詩人(堀口大学・田村隆一・北村太郎・鮎川信夫・衣更着信・中桐雅夫などなど、さらに北園克衛は、ミステリの装幀を多く手掛けている)は生きる糧として多くのミステリーを翻訳しているが、ミステリーそのものを詩作に取り入れた詩人という存在は(しかも翻訳出版作品と同時代に)、珍しいのではないだろうか。まぁ『世界をおれのポケットに』なんて、元々たった一行の鮮烈な詩みたいなものなのだ。その相性は、良く、見事にプラスティック・ポエムの中に溶け込んでしまっている。眼から鱗の詩体験であった。

本日は松庵に流れ着いたので、テクテク北に歩いて西荻窪「盛林堂堂書房」(2012/01/06参照)へ。講談社「冒険ダン吉大遠征/島田啓三」(復刻版)を百円で購入しつつ、店主・小野氏と少し仕事の打ち合わせをする。そして荻窪へ移動し、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に参上。店内はわりと混み合い、棚の内容とともに完全に古本市的空間と化している…スゴいな。実は連日見に来てしまっているので、軽く流し気味に棚を見て行くことにする。それでも、売れた本や新たに登場している本に、たくさん気付いてしまう…やはり補充はマメに行われているようだ。平和新書「世界の謎と怪奇/黒沼健」ハヤカワポケミス「鑢/P・マクドナルド 黒沼健訳」(函付き)文藝春秋新社「谷内六郎画集/谷内六郎」(カバーナシ)を計660円で購入する。一番嬉しいのは店頭百均棚で見つけた、拾い物の「谷内六郎画集」である。昭和三十年初版。いわゆるノスタルジックな「週刊新潮」的昔の日本風景の谷内という感じではなく、タッチは同様だが、シュールでモダンな谷中安規や茂田井武や松本竣介を思わせる作品が多く収録されている。
taniutirokurou.jpg
posted by tokusan at 18:48| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
シュールでモダンな谷内六郎……暗めのトーンや目立つ細い線の描写が、どこか腺病質というか…。
甥の谷内こうたも「のらいぬ」からのファンなのですが、温かいトーンなのに人物はみなのっぺらぼう。メルヘンとシュールが合体した独特の世界ですね。去年の7月に亡くなられたのが残念です。
Posted by ヘイスティングス at 2020年08月02日 02:46
本当に知らない谷内六郎でした。そんなことに、ふと気づかせてくれる古本ワールドが、たまりません!それにしても谷内に興味がおありとは。
Posted by 古ツア at 2020年08月02日 17:44
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: