2020年10月19日

10/19「古書ワルツ荻窪店」で嬉しい大物を!

昨日は足の調子が良くなりつつあり、吉祥寺に流れ着く。当然駅に向かいながら古本屋さんを覗いて行く。「一日」(2017/08/11参照)では奇想天外社「魔法のお店/荒俣宏訳」を300円で。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で草思社「名探偵ポオ氏/ジョン・ウォルシュ」を100円で購入し、サッサと帰宅する。ところで、「文學時代 世界獵奇讀物全集号」をチビリチビリ、とっておきのお菓子を少しずつ食べ進めるように読んでいるのだが、巻頭特集の『現代文學獵奇選集』の一編、橋本五郎の『貸家ノート』が面白かった。金欠の失業者が、暇つぶしに借りもしない貸家を内覧し、次々と記録して行くお話なのだが、これがもう“獵奇”というよりは、完全に今和次郎の“考現学”的アプローチなのである。つまりは『考現学小説』!まぁ考現学自体、その調査対象が雑踏を歩く人々だったり、生活している部屋だったり、夜店の一覧だったり、尾行して浮かび上がる行動だったりと、広義の“獵奇”好奇心を満たすような、現代風俗の表層を大真面目に研究する学問である(昭和初期にブームになり、展覧会も開かれた)。この非常に新しい学問が、当時の世相と深くリンクしてたのは当然のことであろう。

そして本日は、足の調子を確かめるように、お昼前に荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に飛び込むと、入口手前右脇に大判本棚が出現していたり、店内に上林曉群があったり、中央奥の棚に古書が多めに入っていたりと、ジワリと変化が巻き起こっている。色々眺めた後、中央手前壁棚の新書ゾーンから左にスライドして行き、今やミステリゾーンになりつつあるポケミス中心棚を注視する。平凡社の乱歩全集の裸本が550円か。などとちょっと食指を動かしながら下へ下へと視線を移す。すると本と棚板の隙間に横向きに突っ込まれた背文字の読み難い一冊にたどり着く。取り出してみると、かもめ書房「幻影の城主 随筆集/江戸川亂歩」であった。外装は無いが文字が色箔押しされた灰色の粗雑なクロス装で、安かったら買って行こうと思い、後見返しの値段札を見ると1100円である。いや、ところがなによりそれより、そこに『著者署名』と書かれているではないか。慌てて表の見返しを見ると、青のペンで筆圧強く、『著者』名での献呈署名が本当に入っているではないか!くぅおぉぉぉぉ、これが、大乱歩の直筆!それが、せ、せ、1100円!これを買わずして何とする!と頭に血を急激に上らせ、探偵小説の鬼を心中でを思うがままに踊らせ、即座に購入する。あ、あ、あ、ありがとう、「古書ワルツ荻窪店」!大乱歩の書いたものが、ふいっと手に入るなんて驚天動地の古本屋出来事!やはりこのお店は、引き続き定点観測せねばならぬ重要店であることを、物凄く再確認してしまう。
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posted by tokusan at 14:07| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。久生十蘭【記ノ上一族】大道書房 昭和18年発行。検索してもあまり出てきませんが、この本は別に珍しいものではないのでしょうか。ご教示、お願いします。
Posted by 西荻モンガ堂 at 2020年10月20日 15:15
モンガ様。コメント欄で何聞いてるんですか!昭和十八年の十蘭「紀の上一族」、珍しいですよ。今度お店にうかがった時に、見せて下さいね。
Posted by 古ツア at 2020年10月20日 18:31
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