2020年10月24日

10/24久方ぶりの「江口書店」。

本日は世田谷の奥深くの深沢の住宅街に流れ着く。時刻はすでに午後五時前である…せっかくこんなところに来たのならば、やはり池尻大橋の「江口書店」(2010/03/29参照)に寄って行くべきだろうな。そう決心して、暮れなずんで行く見慣れぬ街をトボトボ歩き始める。『駒沢公園通り』から『玉川通り』に出て渋谷方面へ。オレンジの光を落とす外灯と、詰まり気味の車列のライトが、夜の寂しさを多少なりとも軽減してくれている。そんなに時間はかからないだろうと思っていたら、一時間弱かかってしまった…だが、交差点の向こうには、古書を棚にたっぷりと湛えた「江口書店」の柔らかな姿が見えて来たではないか!
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下手をすればおよそ二年ぶりの訪問である。横断歩道を渡り、早速店頭の小さな木製ワゴンを、店内の灯りで必死に透かし見る。すぐさま気になる二冊を確保して店内に滑り込む。相変わらず本当に茶色い古書で満たされた空間である。棚よりその手前に積み上がる古本たちを見ると、ちゃんと古本屋さんとして動いている息吹が伝わって来る。しばらく熱心に眺めていると、本に囲まれた帳場には誰もいなかったのだが、やがて階段から老婦人が姿を現し着席した。お元気そうでなによりです。角川文庫「皇帝のかぎ煙草入れ/ディクスン・カー」文藝春秋社「文藝春秋選書4 水仙/太宰治」晋北政府「大同雲崗石佛寫真帖」を計500円で購入する。老婦人からはアルコールによる本の消毒を勧められるが、「いや、大丈夫です。ありがとうございます」と丁重にお断りする。
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「江口書店」、やっぱり面白い古書が売っていますな。本日の収穫もとてもとてもいい眺め。「皇帝のかぎ煙草入れ」の訳者は守屋陽一。創元推理文庫のレア本、旧訳「幽霊の2/3」の訳者でもある。「雲崗石佛寫真帖」は、大同陸軍特務機関検閲済で昭和十四年に京城(日本占領下のソウル特別市)で印刷されたものである。外地の出版物が現代の日本にある、この不思議さよ。
posted by tokusan at 21:49| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんですか、その「皇帝の〜」! 欲しくなる〜。
江口書店さん、いい店構えですね。福岡も昔、六本松(徘徊堂の近く)の九大前に、こんな感じの古本屋さんがありました。そこは、天井が低く、床のコンクリも一部剥がれていて…。保育社のカラーブックスが充実していたこと、「九大の先生もお得意さんだよ」と店のおやじさんが言ってたことを思い出しました。
Posted by ヘイスティングス at 2020年10月25日 01:40
海外ミステリはポケミスや創元推理文庫に目が行きがちですが、昭和三十年代の新潮文庫や角川文庫にも捨てがたいものがあります。特にカバー付きは、その時代の雰囲気が満点!
Posted by 古ツア at 2020年10月26日 17:50
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