午前のうちに家を飛び出し、御茶ノ水駅方面から神保町入りする。今日はわりと暖かくなるはずなのに、ずいぶんとまだまだ寒いじゃないかと、冷たい風にかじかむ手を擦り合わせて『駿河台下交差点』に立つ。すると対岸からでも、「大島書店」(2012/11/08参照)跡地に入った古本屋さんが、店頭棚を出しているのが確認出来るではないか。歩行者信号が青になるのを待ちかね、長い横断歩道を踏み締めながらお店に近づく。小さなお店の軒には、小豆色の店名看板があり、店頭には二本の白い両面棚と、小さめのスチールラック、それに箱がひとつ出されている。箱にはファイルなどの文具類が入れられている。ラックには書道用品が安値で並べられている。棚には、新書・岩波写真文庫・絶版文庫・雑本・古書・古雑誌・資料冊子など。値段は300円〜1500円と様々であるが、なかなか質の良い並びが魅力的である。「新青年」「苦楽」「宝石」「日活」「コギト」「ロマンjス」「幼稚園」「死刑台へどうぞ/飛鳥高」「新造軍艦(口絵&裏表紙ナシ)/押川春浪」「放浪漫記/大谷光瑞」などが見つかるのをウハウハと楽しむが、小学館「中学生の友 昭和三十七年7月号付録 海外推理小説 ふたつのワナ/ヒュー・ペンテコースト」が梶竜雄(文)なのに気付き、値段も600円の激安なので、優しく握り締めて店内へ向かう。自動ドアのボタンを押す…開かない…もう一度推す…開かない…もう一度押す…やはりドアはピクリとも動かない。などとやっていると、ガラスの向こうで帳場にいた青年が慌ててドアに駆け寄り、ガチャガチャと扉を解錠する。ンが〜とドアが開くと「す、すみませんでした。開けてませんでした。申し訳ないです。ありえないですよね」と照れながら平謝り。いえいえ、結果的に入店出来れば何の問題もありません!中は高級感溢れる空間で、両壁に恭しく硯や墨や古典籍が上品にディスプレイされている。店頭と店内がまったく別なお店であるが、店頭に並ぶ本はスコブル魅力的である。これから必ず立ち寄るお店のひとつとなりそうだ。先述の小さな付録本を購入する。
その後は隣りの「三茶書房」(2010/10/26参照)で光文社文庫「落語推理 迷宮亭」を100円で購入し、「田村書店」(2010/12/21参照)で平凡社 別冊太陽「探偵・怪奇のモダニズム 竹中英太郎・松野一夫」を600円で購入し、『神保町交差点』近くの『白山通り』沿いの「東西堂書店」が閉店してしまったのを目撃してから(貼紙に書かれた『閉店の原因は、新刊書店業界の長期低落と新型コロナウィルスです』が切ない…)、水道橋駅より帰路に着く。

