2021年09月30日

9/29古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第八章】

さて、今月初めから怒濤のように進める日下三蔵邸古本大移動の第二回目である(作業理由の詳細は2021?09/02参照)。午前七時前に家の近くで「盛林堂書房」店主・小野氏の運転する盛林堂号にピックアップしてもらい、盛林堂・イレギュラーズに身も心も変身しつつ、いつものようにおよそ一時間半で、神奈川県某所の日下邸に到着する。やあやあと日下氏が出迎えてくれ、美しさがキープされた廊下にまずは感心し、さらに整理収納の進んだ仕事部屋に感心し(仕事机として使用しているラックの上に、山田風太郎の文庫&新書が、屋根の上に一夜で降り積もった新雪のようにどっかりと積み重なる凄まじい光景などもあるが…)、さらに小野氏は禁断のメイン書庫に実を無理矢理滑り込ませ、レア本の嵐に大興奮したりする。そしてまず本日の第一ミッションは、空けるべき本邸和室の文庫・コミック・単行本を、半年限定倉庫のアパートに運び込むこと。この部屋も素晴らしく整理が進んでおり、すでに出入り自由となっているので、作業はいたってスムーズである。部屋内で日下氏が本の山を切り崩し、残す本を仕分けてから窓の外に待機している私に渡し、それを玄関ポーチで待つ小野氏にせっせと渡し、箱詰めして車に詰め込むという流れ作業の布陣を採る。もはや十月になろうとするのに、夏のような強力な日射しに耐えながら、大量の本の移動に腐心する。作業は単純で肉体労働であるが、やはり時々見つかるレア本たちに鼓舞され、気合いで乗り切る。
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これは宮敏彦付録推理小説本の麗しい山。

途中、日下氏が、「うわっ、ここにあったのか!やった!これで仕事が進む!…あぁ!「ガールフレンド」も出て来たぞ!」と小躍りせんばかりに喜んでいる。仕事に必要なため長らく探していた柴田錬三郎「盲目殺人事件」と、ここ十年ばかり『いったちどこにあるんだろう?』と見かけていなかった伊藤人譽「ガールフレンド」を発見したのである。
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まだ作業して二時間も経っていないのに「これが今日一番の収穫です」と満足げ。釣られてこちらも嬉しくなる。おかげで和室も畳が見えたりスペースがもっと空いたりと、ある程度スッキリ状態に。そして力を合わせて生まれた三十ほどのダンボール箱を、盛林堂号と日下号に積み込み、アパート倉庫に出発。到着するや否やすぐにリレー方式で、窓からバンバンダンボールを運び込む。うひゃぁ、アパートの中もだいぶ本で埋まって来ているぞ。
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午前中後半戦は持って来た箱を開いて仕分けし、分かり易いように各所にひたすら積み上げて行く…こんなことをしていたら、いつの間にか午後二時前。ここで駅近くに出て美味しいお寿司をご馳走になり、満腹後は近くのホームセンターでカラーボックスやプラケースを購入し、久々に訪問するマンション書庫の方に向かう。こちらにはもう一年以上盛林堂組は足を踏み入れていなかったので、いったいどんなカオスな状態に…と心配するが、中に入ると意外や意外、本は確実に増えているのだが、各部屋に向かう通路はまだしっかりと確保され、どうにか破綻を免れていたので、ホッと一息。さて、続いてこちらでのミッションは、中央のフローリング間にある本をある程度運び出し、その中に埋もれている二本のカラーボックスを救出することである。こちらでも本を日下氏が仕分けし、それを私が玄関まで運び、小野氏がダンボール詰めするという布陣で作業に臨む。細く危うい古本獣道を、本束を抱えて身を横に細くして、六十回ほど往復する……ぜぇぜぇ。
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その過程で、本邸仕事部屋に集めた岩谷選書のダブり具合を確認するため、マンション書庫で岩谷選書グループを見つけ出し、持ち帰ることにする…すでにすげぇダブってるんですけど…。そんなこんなで午後四時半過ぎに作業は終了し、ここで生まれたダンボールおよそ二十箱を、またまたアパート書庫に運び込む。今回は仕分けはせず、運び込むだけで作業終了。不要本となって引き取られる三百冊ほどを小野氏が結束し、それを車に運び込み、ここでの作業は終了。
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窓際で作業する日下氏。なんかつげ義春の漫画的な良い情景。

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こちらは作業過程で発見されたレア本推理小悦「水の鎧」。三冊あるなんてありえない!

そして続いて本邸に移動し、カラーボックスを仕事部屋に運び込み、本日のお仕事無事に終了となる。いやぁ〜〜〜〜、おつかれさまでした。ここで日下氏から、「キミはもっと山田風太郎を勉強するように」と厳命され、ダブり本の山田風太郎忍法全集「外道忍法帖」と山田風太郎妖異小説「首」を下賜される…ま、まずは前回いただいた「誰にも出来る殺人」を早く読まなければ…。そしてさらに労いとして、双葉社「生島治郎の誘導尋問 反逆の心を取り戻せ」(生島の対談集。野坂昭如・戸川昌子・田中小実昌.吉行淳之介・森村誠一・井上ひさし・佐野洋)を手渡される。その後は焼肉を焼きに焼きまくり、消耗し切ったエネルギーの回復に努める。すっかり満腹し、「ごちそうさまです!」とお礼を言い、さて駐車場で別れる段になって、日下氏が「ちょっとマンション書庫に戻りませんか?岩谷選書がまだ合える場所を思い出しました」と言うので、再びすっかり夜のマンション書庫へ。三人で本のミニ山を乗り越えて台所付近に当たると、確かに二冊の選書を発見…おぉ、やはり見事にダブってますなと満足し、再び山を乗り越える。だが、日下氏が山を乗り越えようとした時、「だめだ、崩れる」と一部の山を崩してしまい、足の下には風太郎の「韋駄天百里」が。「あぁ、これは申し訳ない」と慌てて拾い上げ、山の上に積み上げる。あれ?その下にあるのは東京文藝社「悪霊の群/山田風太郎・高木彬光」!すかさず「「悪霊の群」ダブってますよ。ほらここに」と手近にあったもう一冊の「悪霊の群」を手渡すと、その馬鹿らしさに大笑い。「ワハハ、本当だ。ではこちら差し上げますよ。これで、風太郎をさらに勉強してください」。やった!“棚から牡丹餅”ならぬ“足元に「悪霊の群」”!ありがたく頂戴いたします。
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というわけで嬉しい今日の労いトップ2。

その後、『環八』で酷い工事渋滞に巻き込まれながらも、午後十時前にどうにか西荻窪に帰還する。本日も大変にお疲れ様でした。そして十月もまた二回ほど、こんな過酷な作業の様子をお伝えする予定なのです。
posted by tokusan at 00:04| Comment(2) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宮敏彦付録推理小説本の山に登りたい…。


まったく別件で申し訳ないですが、情報を。
「熊野筆」で有名な広島県の熊野町に神鳥書店という古本屋さんがあるのですが、その神鳥書店さんのツイッターに北原さん案件が出ていました。ある不動産の名称がモロ…。ご一報まで。
Posted by ヘイスティングス at 2021年10月01日 20:25
宮敏彦、このほかにハードカバーの少女探偵小説もあり、ダブってました…。案件報告は北原さんにぜひ!
Posted by 古ツア at 2021年10月02日 17:36
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