2021年11月19日

11/19一位と展示。

冬が近づいているような午前の寒さを感じながら、水道橋に出る。すぐに『白山通り』を南下して「日本書房」(2011/08/24参照)へ。今日はパラフィンを巻いた古書が多く出されているな…と思いながら右側の安売台の下に屈み込み、収納された箱を探る。見つけたのは昭和二年刊の精華堂「おもしろいおとぎばなし? さるのへんぽう/みやましげる」。創作おとぎばなし23編が収められた短篇集だが、『魔の窟』『不思議の女』『化物屋敷』『玉子の願望』など、冒険譚や怪談や現代怪談や玉子が戸棚の中で人間になりたがる話など、一筋縄ではゆかぬおはなしが集められているので、千円で購入する。続いて『靖国通り』に入って「原書房」(2014/05/15参照)へ。店頭ワゴンの霊や占い本の中に、創元社「猫と庄造と二人のおんな」(昭和十四年刊の普及版で函ナシ)が挟まり喘いでいたので、救出し五百円で購入する。安井曽太郎の猫の絵が可愛い。さらに『靖国通り』を東に進みつつ、一旦裏の『すずらん通り』に足を向け、『東京堂書店』のガラスウィンドウ前。こじんまりと展示されている「野呂邦暢 古本屋写真集」のパネルを眺め、文庫売り上げ一位を大いに喜ぶ。
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ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」編者署名入り本は、まだまだ販売中ですので、神保町にお立ち寄りの際にお手に取っていただければ幸いです!そして『靖国通り』に戻り、半ば戦場と化している「田村書店」(2010/12/21参照)店頭に身をねじ込む。良さげな文学系の古書の山に手を突っ込み、掴み出したのは亞細亞ヘラルド社「英國社會劇 腕環 附・萬里の長橋」である。当時帝国劇場で上演され、評判になった劇の脚本である。二百円で購入する。次に「玉英堂書店」(2010/10/31参照)の店頭小説単行本箱を何気なく覗くと、すぐに異様な一冊が目に留まった。講談社「けものたちは故郷をめざす/安部公房」昭和三十二年初版のオリジナル版である。後見返しには道玄坂時代の「文紀堂書店」(2010/03/02参照)の古書ラベルアリ。何故これが店頭に出されている!と驚きながら取り上げ、値段を見ると激安の八百円なので即座に購入してしまう。…神保町…やはり恐るべし…。そして最後に「東京古書会館」(2010/03/10参照)に立ち寄り、今日から二階の展示場でスタートした『東京古書組合百年史展』を観覧する。入口に飾られた四代目古書会館の看板文字の立体感と存在感に度肝を抜かれ(何故こんなものがちゃんと保存してあったんだ)、茶色い多種多様な古書目録の嵐に眩惑させられ、古い支部報や古書店地図に涎を流す。ちなみに『古本屋分布図』もパネル展示されており、その元となった手書きの地図もケース内に飾られていたので、ただただ感謝である。展示は12/7までで、なんとその後北海道小樽にて巡回展示がされるとのことである。
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嬉しい本日の収穫。下が「英國社會劇 腕環」である。
posted by tokusan at 14:04| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツア様、いやぁ、本日のコースは、かっての私のたどったもの。案件がおわりに近いので、来年には神田古書街へ。夢見ています。なんだかなあ、と思う次第。
Posted by おいもさん at 2021年11月19日 16:47
無事にお仕事が片付き、上京の暁には、神保町にたっぷり一日中滞在し、古本を買いまくってください!
Posted by 古ツア at 2021年11月20日 18:20
ちくま文庫の「野呂邦暢古本屋者写真集」を購入してから、編者の小山さんのこのページを読んでいましたら、11.19の記事に出ていましたので、コメントさせてもらっています。わたしは長崎市出身で、諫早出身の野呂さんについてはひとかたならぬ親愛感があります。「愛についてのデッサン」が、これもちくま文庫ででたのもすぐに購入しました。大学時代を京都の左京区で過ごしたものですから、古本屋は私にとってはいくら時間がたっても飽きずに時間を過ごせる世界です。野呂さんの今度の文庫本は快挙ではないでしょうか。古本屋好きにとってはたまりませんね。ありがたく感謝しています。小山さん、岡崎さんほどの「古本パワー」は私にはないのですが、せめて福岡市内で開催の「ジュンくの古本市」には常連で出かけています。
これからも、このサイトをたまには覗いてみたいと思っています。
Posted by 松田和夫 at 2021年11月23日 14:42
松田和夫様。コメントありがとうございます。そして「野呂邦暢古本屋写真集」をお買い上げ&お楽しみいただき、重ねてありがとうございます。長崎県人として慕い感じる野呂邦暢さん、その関係性がとてもうらやましいです。きっと野呂さんの東京の古本屋への思いも、ぐっと身近に感じ取れることでしょう。古本屋&古本好きに、パワーの大小は関係ありません。ただ、好きであれば良いのです!これからも野呂さんのように、どうか古本屋さんを好きでい続けてください。そして時々、当ブログも暇つぶしに覗いていただければ幸いです。
Posted by 古ツア at 2021年11月23日 19:37
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