2021年11月25日

11/25古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第十一章】

すでに昨日のことである。盛林堂・イレギュラーズとなり、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏がハンドルを握る盛林堂号で、午前七時過ぎに東京を発ち、神奈川県某所にある日下三蔵邸を目指す。継続して続けている書庫片付けの続きである(詳しい経緯は、当ブログの『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』記事、もしくは「本の雑誌」連載中の『断捨離血風録/日下三蔵』をご参照下さい)。都内で早めの渋滞に巻込まれながらも、車中でTVアニメ『超時空要塞マクロス』の『板野サーカス』についての考察を互いに発表し合っていたら、あっという間に現場着。午前十時前に作業を開始する。本日のミッションは、日下本邸一階奥の納戸部屋の本の整理を進めつつ、不要となる洋服ダンス一棹・タンス一棹、大型スライド本棚を屋外に搬出するという、もはや古本屋の作業を越えた、ほぼ引っ越し的作業なのである。すでに先日、私が不参加の片付け作業時に、小野氏と日下氏が力を合わせ、床の上に堆く散乱していた本や紙類は、美しく摩天楼のように積み上げられ、部屋の半分ほどが作業スペースとして使用できるよう確保されている。
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そして一部発掘されて棚に収められた仙花紙本群が欲望を刺激する景色を見せたりしている…。
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ただし問題は、巨大な洋服ダンスと大型本棚が、ちゃんと出てくれるかどうか…。というわけで、まずは部屋入口横に積み上がる六つのカラーボックスを本の上や作業スペースの奥に避難させ、さらにはタンスの上にあるカラーボックスや何が入っているかわからぬ箱類も下ろすことにする。洋服ダンスの上にある大きな箱に手を掛けると、これが物凄く重い。ゆっくりと下ろし蓋を開けてみると、「うわっ!特撮・アニメのカード類がワンサカと!」「こっちはゲーム音楽のCDがギッシリと」「わわ、これ、漫画の切り抜きがっ!」と、日下氏自身もすっかり忘れていた過去のコレクションが、白日の下に晒される。
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これは大量の漫画の切り抜き。左端の一番上は、青山剛昌のデビュー作とのこと。

うぅむ、これはスゴいと驚き喜ぶことしきり。だがこういうことで引っ掛かっていたら、タンス搬出作業と言う難事はなかなか進まぬのである。そっと蓋を戻して端に寄せ、まずは小さいタンスの引き出しを抜き、外に出すことにする…のはずが、突然ダブり本が見つかり、即座にカバーや背や奥付を確認し合う日下氏と小野氏…こうしてダブり本と認定されれば、キレイな方を日下氏が確保し、もう一冊が盛林堂の買取に回されるのである…って、今はそんなことしてる場合じゃないでしょう!
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というわけで、タンスは無事に部屋を出て、トイレ前を通過して廊下に曲がり込み、玄関を経由して無事に庭に出すことが出来た。続いて洋服ダンスである…これ、出るのか?いや、入ったから出るんだろう。良く見ると上下が分かれるようになっているので、これならどうにかなりそうだ。ところが上の大きな方が、トイレ〜廊下クランクのところで引っ掛かってしまった。「もうちょと上に上げましょう」「今だ、そっち捻って」「こっち角度ないよ」などと苦心しながら、どうにかこうにか搬出に成功する。するとその騒ぎを聞き付け、日下氏のご両親が姿を見せ、懸念材料だった不要家具類の搬出成功に、身に余るほどの感謝の言葉を浴びせかけてくれた。どうやら、もう一生出せないものかと、諦めていたらしい…そりゃあ本が部屋一杯の誰も踏み込めぬ状況を見ていたら、そう思いますよね。
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午前のうちに洋服ダンスとタンスの搬出に成功!

重度の肉体労働後、部屋に戻って次は事務作業に突入する。タンスの消えた壁際に避けておいたカラーボックスを積み上げ、そこに多種の探偵小説雑誌を並べて行くのである。元々この部屋にあった物や、本邸書庫のものを合わせ、年代順に揃え、欠号を後から埋めることも考慮し、棚に挿して行く。小野氏が雑誌を掻き集め揃え、日下氏がそれを棚に入れて行くのだが、私は揃った雑誌を日下氏作成のチェック表に照らし合わせて、欠号を炙り出す作業に従事する。
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「宝石(増刊別冊含む)」「探偵倶楽部」「探偵実話」「LOCK」「密室」「推理ストーリー」「推理文学」「黒猫」「奇想天外」「獅子王」「宇宙塵」「幻影城」etcetc…その果てしなく地味な作業を、午後二時まで行う。そして昼食のために外出した帰りに、マンション書庫に立ち寄り、「妖奇」「探偵倶楽部」「奇想天外」「宇宙塵」を引き上げて本邸に戻り、ダブりや欠号を確認しつつ棚に収めていく、次第に出来上がって行く棚は、やはり壮観である。進めば進めるほど、日本最高峰の探偵雑誌棚に近づいて行くのである。だが、今日はまだ後ひとつ、やらねばならぬ難事が残っている。そpれは本の山の向こうに隠れた大型本棚を出すこと!ならばもうその準備にかからねばならぬのだ。というわけで、すでに大量に発生しているダブり雑誌を和室に逃がし、小野氏が窓際に本の山を移動させつつ、さらに雑誌確認作業を進めて行くことにする…そしておよそ一時間半、本棚の端が見えて来たが、本棚と奥の棚の間に、本を満載したガラスキャビネットが発掘されてしまう。ここに入っているのは日下氏のお父様の本なので、ババッと取り出し要不要を確認してもらうとともに(日下氏が「これはいる?」と横のお父様に聞くと「いらない…あっ、その『雨』は必要」「これは大事」などとやり取りし、しっかり吟味していく…むぅ、この親にしてこの子あり!と言ったところか)、キャビネットを庭に運び出し、さらなる作業スペースを確保する。そしてついに、本棚の偉容がチラリと見えた。
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ふわぁ、たくさん古い探偵小説系の文庫本がズラズラズラリ!俄然他も見たい意欲が湧き上がり、三人力を合わせて山の移動に取りかかる。…さらに三十分後、端の大量の紙物山を退かし、全貌を出すことに成功する。スライド本棚なんだ…と手前側をスライドさせると、奥には大下宇陀兒や木々高太郎や角田喜久雄が収まっているではないか。
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グむむむむむむ。急いでそれらを慈しみながら取り出し、本棚を空にする。棚板を取り出し、スライド棚部分も外し、重量の軽量化を図った後に、決死の搬出作業に入る。これも上下が分かれてくれたので、とても重いが洋服ダンスほど難儀はしなかったの救いであった。全員肩で息をしながら、日下氏と小野氏は美しく開けた壁にメジャーを当てて、カラーボックスが幾つ積み上げられるか検討する。
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その間に盛林堂号に不要本やダブり本を積み込み、本日作業終了…おつかれさまでした。日下氏から作業の労いとして、城昌幸時代小説セットをいただく。同光社の函入り『若さま侍捕物手帖』が嬉しいが、特に嬉しいのは今日の問題社「ちりめん蜘蛛」と違う「宝石」に挟まっていた雑誌付録、岩谷書店「獄門島 完結篇/横溝正史」である。おかげで疲れがぶっ飛びました。
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「いやぁ、本当にありがとうございます。おつかれさまです。スゴく進みました」と喜ぶ日下氏とともに、焼肉夕食を摂りに行こうとお家を出ると、二階ベランダからも「本当にご苦労さまでした」と声がかかった。部屋の灯りで暗闇に浮かび上がるのは、日下さんのお母様である…なんだか『一本刀土俵入り』みたいじゃないか…とホンワカ思いつつ頭を下げ、焼肉を食べに行く。そして午後十時半、東京に帰投する。
posted by tokusan at 09:33| Comment(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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