
今日はあるデザイン作業の入稿締め切り日。だが進行のボールは、相手側に投げられたところで停まっているのだ。なのであまり家を空けるわけにはいかないので、駅前に用事に出たついでに、総武線に乗り込んで三鷹へ急行。北原尚彦氏にタレ込まれた、新刊書店の古本棚を見に行くことにする。南口に出て、空中広場からそのまま隣接する商業ビル『CORAL』に入り、三階の『啓文堂書店』を目指す。だが入って直ぐの長いエスカレーターに乗ると、うわっ!四階への直通であった…馬鹿みたいに上がったら直ぐに折り返して下り、再び二階へ。そして今度は奥のフロア内のエスカレーターで三階の書店に到達すると、平台の奥の壁棚五本に、比較的キレイな古本たちがお行儀良く並んでいた。一般文庫・エンタメ・文学・人文・美術・映画・音楽・ビジュアル本・古地図・300均・500均などであるが、少し硬めの人文系が多い印象である。本を手に取り値札などの出品店に目を凝らすと、「ポトマック書房」「ことのは書林」など、数店のネット古書店がスクラムを組んで棚を造っているようだ。結構人が立ち止まって見て行くので、なかなか注目度が高いようである。小松崎茂・梶田達二・南村喬之らの粘り気のあるイラストが眩しい、小学館のおもしろ図鑑5「自動車なんでも百科」を550円で購入する。そしてすぐさま帰路に着くが、荻窪で途中下車し、「古書ワルツ荻窪店」(2020?07/30参照)に急行する。11/28のコメント欄に杉江松恋氏から熊本古本屋行の報告をいただき、その楽しく羨ましい顛末が書かれた氏のブログ『本芸』を読んでいると、氏は富士の「中村書店」(2013/10/06参照)にまで足を延ばしていることを知る。よくまぁ、あんな何もないところの古本屋さんまで…などと半分感心し、半分呆れながらその記事を読んでいると、朋文堂「海外山岳小説短編集 ザイルの三人/妹尾韶夫訳編」に、メースンのこの本でしか読めない短編が載っていることを知る。うわっ、なんだそれ…読みたい……いや、待てよ、確かワルツで「ザイルの三人」を見かけたよな……ということで、店奥の山岳本が集まっている通路棚の前に立ち、「ザイルの三人」の背文字を懸命に探す……やっぱりあった!ということで、新評社「泥棒の事典」とともに計660円で購入する。

A・E・W・メースンの作品は『青春の氷河』。訳者・妹尾韶夫のプロフィール『文芸作家協会、探偵作家クラブなどに属し、数多くの翻訳を手がける。〔訳書〕クイーン「殺人者は狐」ガードナー「レスターリースの冒険」ミルン「赤い家」カー「曲った蝶番」』ていうのがたまりませんな。