「それは、YOUCHANさんの個展で出す一箱です。全部山田風太郎で、八十冊ほど入っています」…オゥ、クレイジー!しかもほとんどが百円。「忍法相伝'73」も入っている…。「まだたくさんあると思うので、後で補充本を探しましょう」とのこと。そして廊下で小野氏と日下氏は、あるお仕事の打ち合わせに入る。
冷たい冷える廊下に座り込み、意見を擦り合わせた後、まずは午前の軽作業を開始する。本邸書庫の第一通路に壁のように積み上がる単行本群を、裏の物置に運びつつ仕分けし、物置行きと不要本に分けて行くのである。それにより第一通路脇のビデオ棚通路が露出されるので、後にそのVHSを運び出し、SF関連をその棚に収めようという目論見である。だがその前に、入口脇のカラーボックに内に詰まった本がダブり本なので「好きなの持って行っていいですよ」とのことなのだが、まずは小野氏がスパスパ気になる本を抜き取って行く…あぁ!創元推理文庫「女郎ぐも/パトリック・クエンティン」(和田誠カバー)なんてのが!などと悔しがった後に、こちらも気になる本を少し抜かせていただく。その後、ようやく作業開始。小野氏が山を切り崩し、それを私が書庫裏口に積み上げ、日下氏が物置に運び入れつつそれらを選別。不要本がある程度堪ったら、それを私が玄関に運び、小野氏がタイミングを見て結束すると言う連携プレイで、およそ二時間作業する…結果、全員寒さと重労働に、あっという間にヘトヘトになる…軽作業じゃねぇ、重作業だ……。
午後一時前、駅前に出て恒例の美味しい寿司昼食を摂り、後半戦はマンション書庫に移動。こちらでは和室とリビングに積み上がる文庫&ノベルスの山をひたすら選別し、なるべく不要本を出す、つまりは本を減らす作業に従事する。日下氏にとにかく選別スピードを上げてもらい、後は二人で本の山をタイミングを見て差し出して行くカタチである。
その過程で、たくさん見つかる山田風太郎新書サイズ本…結局最後には百冊ほど集まり、過剰過ぎる補充本のプールに成功してしまった。これは、おかしい。それにもっとあるはずだ。さらに文庫本と単行本も混ぜると、とんでもないことになるぞ…日下氏は、もしかしたら単独で、「山田風太郎書店」を開店出来るかもしれない。そう戦慄した、新年早々の日下邸ツアーであった。
そして嬉しいことに、文庫の山の中から、小野氏が新たな「女郎ぐも」を発見。本邸の翻訳ミステリ棚にもう一冊あるので、計三冊のトリぷりであることが判明した。というわけで、一冊は私の手に回って来ることになったのである。やった!そんな風にして、午後五時半には選別を終え、新たなスペースを作り出し、およそ八百冊弱の不要本を出すこことに成功した。新年一発目としては、まずまずの成果である。そして本日の労いとしていただいた本で嬉しかったのは、「女郎ぐも」と東都ミステリー「夜よりほかに聴くものもなし/山田風太郎」である。「夜よりほかに聴くものもなし」は、最初超ダブり本の中から東京文芸社版をいただこうとしたのだが、日下氏が「それ八坂刑事が活躍する短編連作なんですけど、どれも犯人の動機が異常なんですよ。『えっ、そんなことで!?』という感じの。昭和三十年代にそんなこと考えてたのは、本当に凄いと思います。面白いですよ。でも、それには入ってないんですけど、東都ミステリー版には、『あとがき』という形で、八坂刑事の独白が入ってるんですよ」「えっ、じゃぁ東都ミステリーじゃないとダメじゃないですか」「もし何処かでダブりが見つかったら出しますよ」と言うやり取りがあり、マンション書庫と入れ前の本の山を崩している時に、見事にダブり本を発掘したのである。ありがとうございます!

