2023年09月15日

9/15古本神に導かれ…。

午後はお天気が悪くなりそうなので、午前のうちに古本を買ってしまおうと家を出る。中央線に乗り御茶ノ水駅下車。坂を長々と下って「東京古書会館」(2010/03/10参照)の『趣味の古書展』が開催されている。奥の「扶桑書房」の古書棚はすでにブランクが生まれているのに、人垣がスゴいことになってるなと思いつつ、やはり気になるので、厚い背中越しにチラリチラリ…しかしなかなか全部を確認出来ないので、ひとまず諦め他の棚を見て回ることにする。すると「畸人堂」が大量の古い「宝石」を並べていたので、昭和二十三年七月刊の岩谷書店「別冊宝石 第二號 尖端探偵小説號」を選び、改めて扶桑棚へ。すると確保していた人が戻したのか、先ほどは見かけなかった昭和十三年刊の新潮社「半七捕物帳 全/岡本綺堂」が出現していたので、すぐさま確保し、計1000円で購入する。この「半七捕物帳」は函かカバーのない裸本であるが、表紙には鈴木朱雀という人の、錦絵風イラストが散りばめられており、登場人物や作品の舞台&小道具が描かれていて楽しい。もちろん半七も粋に描かれている。
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「半七さん」と書かれている。

会館を出て神保町入りし、「三茶書房」(2010/10/26参照)店頭を眺めていると、「なごみ堂」(2010/02/12参照)さんが声をかけてくれた。今日はあまり収穫ナシとのこと。そして「ついこの間、この台に饅頭本がたくさんあったんですよ」と教えてもらう。残念ながら、今は影も形も見当たらないのだが…。その後さらに街を進んで行くと、今度は古本神・森英俊氏が颯爽と現れ声をかけてくれた。挨拶を交わしただけですぐさま別れたのだが、何故か踵を返してこちらに引き返して来た。そして「「@ワンダーJG」(2023/06/20参照)、少し変わったんですが行かれました?スゴいのが出たらしいですよ」「いや、行ってないです。な、なにが出たんですか?」「島久平です。買い逃してしまいました」「うひゃぁ〜〜〜〜」となる。そんなことを古本神に言われてしまったら、大変に気になるので、いつもとはコースを変えて『靖国通り』北側に渡る。お店に入り込むと、奥の北側の通路状スペースに新たな壁棚が増設され、そこに大衆小説や探偵小説類が集められている。なるほどなるほどと見て行くと、おおっ!カバーナシだが、東成社 ユーモア小説全集「地下鉄伸公/三木蒐一」があるではないか!これはずっとずっと読みたかった本。戦後の浅草を舞台にした(浅草の風景描写が事細かで、戦後の混沌とした街を存分に楽しめる)、元凄腕掏摸の、その芸術的テクニックを駆使した。人情物語である。550円なら謹んで買わせていただきます。古本神の導きで、憧れの本が買えました!
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※「日本古書通信2023年9月号」のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は北原尚彦氏の番。武蔵境のガレージ古本市で出会った、格安激安の「春浪快著集 全四巻」(函ナシ)の、文章を追うだけで古本ハンターの心が熱く燃え上がるお話です。
posted by tokusan at 15:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「地下鉄伸公/三木蒐一」……マッカレーの「地下鉄サム」を訳したものかパロディでしょうか?

自分は、開催中の小倉駅の古本市で「依光隆画集 宇宙英雄ペリー・ローダンの世界」を帯付きで買いました。SFファンではないのですが、依光隆のあのタッチを、大きなサイズで見られてホクホクです。
Posted by ヘイスティングス at 2023年09月16日 00:37
こんにちは、9月も半ばを過ぎたのに未だに出歩くのを躊躇うような日差しと暑さに閉口してしまってます。

先日、店主の一周忌をむかえました。
その折として当店お客様が追悼文を書いてくださいましたので近況かねてリンクを置いてゆきます。

https://ehonkuruma.blog.fc2.com/blog-entry-1132.html?sp
Posted by 港文堂書店 at 2023年09月17日 11:47
ヘイスティングス様。「地下鉄伸公」は「地下鉄サム」の設定をいただいた、何というか掏摸冒険探偵小悦と言いますか、サトウ八チローの「エンコの六」や片山秀子の女掏摸ものや、城昌幸の「新地下鉄サム」などに類するオリジナルな一作です。いつの日か手を出してみて下さい。おもしろいですよ。
Posted by 古ツア at 2023年09月17日 12:03
港文堂書店様。酷暑が続きますがお元気でしょうか。なかなか横須賀の方に顔を出せず、不義理をしまくっている私に、ご連絡感謝です。クルマノエホンさんの記事、素晴らしいですね。常連さんの嘆息と、お店への愛情が溢れまくっていて、涙です。それにしてもお店飲み会の様子は痛快の一言に尽きますね。これからもぜひとも続けて下さい。不義理を続けているこちらも、必ずやおうかがいするつもりです。ではではまだまだ暑い日が続きそうなので、お気をつけて。
Posted by 古ツア at 2023年09月17日 12:15
古ツア様、地下鉄、といえば、城戸禮氏の、地下鉄三四郎、浅草の三四郎、なんて言うのもあります。なんか、触発された一点のような気がいたします。
Posted by おいもさん at 2023年09月18日 05:05
おいもさん様。「地下鉄三四郎」…盲点でした。今度入手して確認してみます!
Posted by 古ツア at 2023年09月18日 18:19
いえいえ、こちらこそ毎度馴れ馴れしく近況報告などして恐縮でしかありません。

お店飲み会は私がヤケクソで始めた事ではありますが思いの外評判が良くて大体月1ペースで10名ほど集まり店主を偲んでおります。いつまで続けられるかはわかりませんが母とは違う形での皆様に楽しんで頂けたらと思います。
もし、御迷惑でなければコチラに書き込んで宜しればお誘いいたしますよ?
Posted by 港文堂書店 at 2023年09月18日 23:21
港文堂書店さま。ありがとうございます!タイミングが合えばぜひ!お手数ですがコメント欄ではなく、プロフィール欄記載のメアドにお知らせくだされば嬉しいです。
Posted by 古ツア at 2023年09月20日 20:19
「東成社ユーモア小説全集」って、カバーありましたっけ? どこかにまとめておいたので確認しようと思ったのだけれど、どこに置いたのかまるっきりわからず確認できませんでした。帯つきというのは覚えているのですが。
いずれにせよ「地下鉄伸公/三木蒐一」が550円は羨ましい限り。
Posted by よしだ まさし at 2023年09月21日 10:11
よしだ まさし様。えっ?このシリーズ、もともとカバーナシなのですか?「地下鉄伸公」がこの安さと、何となく裸本ぽかった(例えば表紙には作者名がない)のでそう思ったのですが…。なるほど、ここに帯がというパターンなのかもしれないのですね。これから気を付けて『ユーモア文学全集』をチェックしてみます!
Posted by 古ツア at 2023年09月21日 17:34
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