それを見て、日下三蔵氏は「昔と全然違うでしょ」と高笑い。さらに屋外の物置も見学した後、和室の仕事部屋に向かい、ここの状況も説明。その際小野氏が日下氏に、「いつも本を買っていただいているお礼です」と一冊の異様な本を差し出す。一見すると都筑道夫訳(名義は伊藤照夫)のジュニアミステリ「銀のたばこケースの謎」なのだが、カバーに違和感があり(実は手描きイラスト)、中を開くとこれがコピー製本なのであるが、見返しには都筑道夫の署名がしっかりと入っている。実はこの本、都筑道夫を敬愛する推理作家の故・掘燐太郎氏が手作りした私家本なのである。一目見た瞬間日下氏は「あぁ、これ、新評社「都筑道夫の世界」に公式本として載っているヤツですね」と喝破する(「都筑道夫の世界」の著作リストでは、この本の写真がカバーとして掲げられているのである。それに対する説明は一切なく、ただ面白いからとの理由でそうなったとのことである)。そして「いやぁ、これは嬉しいなぁ」と喜び、早速収めるべき場所を考えている模様。
そんなことがあって、いよいよ本日の作業を開始する。臨時アパート書庫撤収を完全に視野に入れ、残るブツを出来るだけマンション書庫に運び込むのがメインのミッションである。と言うわけで、盛堂号&日下号二台で出動し、まずはVHS&コミックを搬出する。小野氏がコミック山を結束し、私がCD山を移動させ、それを日下氏が箱詰めし、さらにそれを杉江氏が玄関に積み上げて行く…おぉ、四人いると、すごく作業が早いぞ!ちなみに杉江氏はやはり数々の現場で鍛えられているだけあって、無駄な動きがなく、先のことを考え細かく行動している…完全に古本屋さんの動きである。
たちまち作業は終了し、バンバン二台に積み込んでマンション書庫へ移動。まずは杉江氏に現状を見てもらうと、本邸同様に「ウワァースゴい!」を連発し、各部屋を移動、それを見て再び日下氏が高笑い。一通り見終わった後に「いったいあれだけあった本は、何処に行ったんですか!」と杉江氏が絶叫する。…九年かけての整理の間をすっ飛ばしたら、それはそう思いますな……。持ってきたCDは玄関に積み上げ、コミックは和室の仕分け軍艦と合体させ、ここでひとまず午前中の作業を終え、ちょっと早いが駅前に出てお寿司昼食を摂る。午後は再びアパートに向かい、ゲームや仕分けした本を百円バッグに詰め、これも再びマンション書庫へ。
さらに大判や雑誌など、もうちょっとあれもこれも持って行きましょうと、もう一度同様の行動を繰り返すと、杉江氏が「ここ来るの何回目でしたっけ?脳がバグって来ました」と繰り返されえる移動と細かい本の移動に、普段の買取との違いを感じ取って混乱模様である。いや、正しい反応です。これは小さな引っ越しを、三つの書庫やそれぞれの書庫内で繰り返す整理作業ですからね。そしてマンション書庫で、VHSの山を台所に移動させたり、CD山の上澄みを選別したりして、本邸書庫に戻る。そこでは日下氏がダブり本や買取本を捻出している間に、小野氏が杉江氏にミステリ高価本の実物を介してのレクチャーを開始(本のスッキリ隊でそんな本を見つけたら連絡を!)、私はマンション書庫から持ち帰ったサンリオSF文庫のダブり本同定作業に勤しむ(たくさんありましたよ…)。
そんな感じで午後五時には作業終了となる。本日も大変にお疲れさまでした。アパートはすっかり片付いて来ているので、あとほんのひと頑張りすれば撤収完了するであろう。私の本日の労い古本は、講談社「秘鈔金瓶梅/山田風太郎」である。CD選別をしている時に、棚の最下段で発見し、その時は「日下さん、この「妖異金瓶梅」いただいていいですか」と聞くと、掲げた本を見て、「いいですけど、それ「秘鈔金瓶梅」ですよ、続きですよ」と言われたので、改めてカバーを見ると、あぁっ!「妖異金瓶梅」じゃない!と落胆。だがもちろんいただくことにして、さらに日下氏に「では次回「妖異金瓶梅」を是非…」とお願いしておく。妖異が手に入るまで、秘鈔を読む訳にはいかないな……。夜は四人で焼肉打ち上げ。延々ミステリとアニメについて、日下氏と小野氏からレクチャーを施される、杉江氏であった。

