2024年01月17日

1/17古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第三十五章】

すでに昨日のことである。午前七時ちょい過ぎに、家の近所の交差点で“盛林堂・イレギュラーズ”となり、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏の駆る盛林堂号に拾われる(この文章、『盛林堂』って、たくさん…)。西荻窪の店舗を経由し、目指すは神奈川県某所にある日下三蔵氏邸である。この日は東京〜横浜辺りまで車が非常に多く、大都市部脱出にずいぶんと時間をかける。午前九時半に日下邸に到着し、玄関から出て来た晴れやかにニコヤカな日下氏と「今年もよろしくお願いします」と新年の挨拶を交わす。そして邸内に招き入れられ、書庫の中に進むと、いきなり日下氏に「小山さん、ありがとうございます」と言われる。へっ?私まだ何もしてないですが……。「いや、実は今回小山さんに風太郎の「妖異金瓶梅」を差し上げることになっていたじゃないですか。それでほら、このように補充したんですよ」「ええっ!またたくさん買ったんですか!?」「「妖異金瓶梅」と一緒についでだから「秘鈔金瓶梅」も注文したんですが」…こ、この人は何を言っているんだ…?「そうしたら「妖異金瓶梅」の二刷の存在が判明し、しかもその内の一冊には、登場人物紹介が印刷された元パラが付いていたんですよ。小山さんのおかげです」…と言うことであった。
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「それにしてもこんなに買うことないじゃないですか。しかも「妖異金瓶梅」、あちこち探せばまだ絶対出て来ますよ」「いや、一冊減るんだから補充はしておかないと。あ、おまけに「妖異金瓶梅」のラジオドラマ台本も見つけました。ありがとうございます。小山さんが「妖異金瓶梅」を欲しいって言わなかったら、検索なんてしなかったはずなんで」……これが『道化の方舟事件』(2023/09/06&10/18参照)に続く『妖異金瓶梅事件』である。やはりこの人はクレイジーだ………。そして本日の大事なミッションであるが、アパート書庫のほぼ撤収と、本邸書庫の第二第三通路解放と言うことに決まり、まずはアパート書庫に盛林堂号と日下号が連れ立って向かう。もうここに残っている本はだいぶ少ないのだが、これを『マンション書庫』『本邸』『処分』と選別し、まずはマンション書庫へ大移動させるのが午前中の作業となる。日下氏が選別した単行本・新書サイズ本・文庫本・コミックを、文庫本&新書サイズ本&コミックは袋に詰め、単行本は結束して運ぶことに。底冷えする寒さに三人震えながらも、一時間半で作業終了。
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ほぼこれでこの臨時書庫に本はなくなった。残りは日下氏がひとりでも運べる量を残し、ほぼ撤収完了。今月中には契約解除となるそうである。アパート書庫よ、今までたくさんの古本をプールしてくれていて、ありがとう!万感の思いを込めて別れを告げ、続いてそれらを車に満載しつつマンション書庫に向かい、前回アパートから移動させた本と選別中の本と棚入り待ちの本で、ちょっと以前のように現状細くなってしまっている“古本けもの道”を巧みに通過し(それでもすべての動線は塞がれる事無く確保されているのだ)、次々と激重な袋たちと結束本をひとまず運び入れて行く。
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ここで作業を一旦中断し、お寿司昼食を摂る為に駅前へ。午後はマンション書庫に戻って運び込んだ袋詰めの文庫&新書&コミックを取り出し、どうにか作ったスペースに積み上げて行く……これでマンション書庫の現状が見えた訳だが、やはり将来的にもっともっと本を減らさなければ、この書庫を完璧に稼働させるのは難しいだろう。後は日下氏の地道で思い切る選別作業と入れ替え作業が、大いに進展することを願うしかない。それにしてもこの津原やすみのティーンズ文庫ゾーン、全部帯が付いていて不思議なほどピンピン状態で、まるで本屋さんのようだ。
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その後は本邸に移動して、書庫の整理に突入する。第二第三通路奥に積み上がった文庫本や書類を運び出し、玄関にいる日下氏が選別。早めに必要な本と書庫居座り本とマンション書庫行きと処分本に分けて行く。おかげで書庫通路から玄関の日下氏がいるところまでは、文庫本トレインが連結し、選別を今か今かと待つ状態が続く…。
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これは二時間ほどで終了し、通路に戻す本・棚に入れる本・アパート書庫から持ち込んだ本を、空いた通路をキープしながら、積んだり棚に収めたりして行く。おっ、その過程で池袋「高野書店」の包装紙に包まれた本を発見。
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これはいいねぇ…などとやっていると、午後五時過ぎに無事に作業は終了。日下氏より本日の作業の労いとして事件の渦中の品である講談社「妖異金瓶梅/山田風太郎」(初版)を拝受されるが、実は他にもアパート書庫整理時にカバーナシで背が上下欠けの同光社「魔境原人/香山滋」をいただいていたのだが、それを見た小野氏が「風太郎に香山か…じゃあ今日は、後、高木彬光・島田一男・大坪砂男を付けてもらって“戦後五人男”(江戸川乱歩が探偵小説界の発展を願い、将来有望な作家を選んで命名)セットにしてもらえばいいじゃん」と笑いながら提案。と言うわけで厚かましくそれを日下氏にお願いすると「大坪が難しいなぁ…」と悩みつつも、残り三冊を捻出してくれた。岩谷選書「私刑/大坪砂男」春陽文庫「素浪人無惨帖/島田一男」ソノラマ文庫「白蝋の鬼/高木彬光」であった。急場凌ぎの日下三蔵セレクト戦後五人男セット、完成!ありがとうございます!
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しかしこの時、新たなる事件はすでに始まっていた……「小山さん、◯◯◯◯持ってますか?」「いや、持ってないですよ」「じゃあ次の作業時には、それを差し上げます」「本当ですか、ありがとうございます!」というようなやり取りがあったのだが、夜の打ち上げ焼肉パーティー時に「そう言えば小山さん、◯◯◯◯、もう三冊注文しておきました」「ええっ。また買ったんですか!だってすでにダブってたじゃないですか」「いや、やっぱり三冊は持っていないと…」「ダブってるのに三冊注文したら、五冊になっちゃうじゃないですか!」「ハハハハハハハハ」……次の事件に続く…。
posted by tokusan at 09:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツア様、1冊譲られると、3冊増えていく論理、納得いたしました。私も、ブログの頃、何かのことで、1冊いただきましたが、日下氏の蔵書を3冊、増やしたんですね、うーん、凄すぎて、すごすぎます。
Posted by おいもさん at 2024年01月17日 19:44
もう補充と言う発想がどうかしてます。これはただの補充というよりは、精神的な補充なのではないかと。いやぁ、遥かな高みにおられます。
Posted by 古ツア at 2024年01月18日 18:48
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