早速小野氏と協力し、入口近くから手を付け始め、本を四六版・菊判・新書サイズ・文庫サイズと分類し、それを廊下奥の階段脇に積み上げて行く……だがたちまち階段はいっぱいになってしまったので、階段に積み上げた本をさらに納戸の棚に移して行くことにする。階段の山を小野氏が切り崩し、それを受け取り納戸の日下氏に渡して行く……う〜む、これは場所に限界があるなぁ……和室の本をすべて運び出せる場所があるのだろうか…?
一時間ほど作業を進め、だがそれでも和室にまだ本や仕事関係の資料が多く残っている状態である。日下氏は残っている本を入口近くに積み上げればスペースが生まれ、カラーボックスの組立や家具の移動が出来るのでは?と提案するが、小野氏はそこのスペースは絶対に埋めてはいけない。動線の確実な確保と組み立てスペースは大きく取らねばならないとしている。しばらく二人の意見が珍しく真っ向から対立する……そこで私が折衷案を出す。この状態でも取りあえず家具の移動は可能なので、それをどうにか動かし、その上に必要な仕事関連を固め、カラーボックス大も移動させ、本を箪笥の上に固めれば、作業スペースは保てるのではないかと。そんな意見を出し合い、とにかく家具の移動に着手することに決める。するとこれが見事に決まり、瞬く間にカタチとなる。おぉ、素晴らしい。
そこにお母さまが帰宅されたので、日下氏は早速その進捗模様を自慢する。お母さまは「床が見える。畳が見える」と大喜びである。日下氏はお母さまに和室の掃除をお願いし、我々は寿司昼食がてら、すでに注文してあったカラーボックス大を近所の家具量販店に引き取りに行くことにする。カラーボックスは二棹を上下に連結するタイプである。
これを盛林堂号に運び込み、駐車場から出ようとすると日下氏が「この駐車場の出庫の警告音が変なんですよ。ウルトラセブンの円盤みたいな音なんですよ」と教えてくれたので、出庫時に耳を澄ます。『フゥィイイイイイ〜〜〜〜〜〜〜ン』…まさにその通りの警告音に相応しくない奇怪な音だったので、大爆笑する……何処かに攫われてしまいそうだ……。日下氏邸に戻ると、和室はバッチリ美しく掃除され整えられていた。すると大奮闘のお母さまが現れ、「ここにあったものはそこ、そこにあったのはあそこ」とすべての物品の移動場所を明確に示し、日下氏に教えている……むぅ、スゴい。さすが長年日下氏の本の中で暮らして来ただけのことはある、と大いに感心する。運び込んだカラーボックスを小野氏が迅速に組み立て、これも設置に成功。
そんな合間に、日下氏から珍しい日産自動車のノベルティ附録風漫画「サニー坊やの冒険/桑田次郎」を見せてもらう…何だこれは、日産だから“サニー”なのか……。
和室片付けは順調に進み、午後四時前に作業終了となる。すると日下氏が「今日は岩谷選書を出します」と寝室にプールしてあった大量の粗悪な新書サイズ本を運び出して来た……うわっ!全部で二十冊くらいしか出てないのに。完全に八十冊はある…これはおかしい!ダブっている本を確認するため、テーブルに並べて行くと、まるで丁半バクチの賭場みたいな光景になってしまった。
さらにその後は、探偵小説文庫本も確認のため、奥の納戸から大量に掘り出して来た……くぅ〜、夢のような光景だ。大下宇陀児がハンパなく多く、しかもほとんどダブッっていない。これは仙花紙本の宇陀児も同様であった。日下氏は何故か大下宇陀児については、ピンポイントで一冊だけの購入がほとんどなのである。ある意味興味がそれほどないことの表れであろうか。
そんな探偵小説古本神経衰弱を二人が進めている時に、まだ何処かに残っていないかと岩谷選書や文庫本を探していると、ほぉぅ!城昌幸の「婦人警官捕物帖」(榊原書店)を発見してしまう。これはいつかは読みたい一冊。春陽文庫も値が張るので、未だに入手出来ずにいるのである…しかも帯付きかぁ。
そんな風に無事に本日のミッションを達成し、打ち上げ焼肉晩ご飯に向かう前に、マンション書庫に立ち寄り、五袋のCDを搬入しつつ、日下氏はCD部屋で歌会用のCDを血眼で探す…何処に何があるかは大体把握されているようだが、それでも咄嗟には見つからぬものもあるので、ここもいずれ大規模な体系的整理が必要であろう。
そんな本日の嬉しい労い古本は、数冊のトリプり岩谷選書と、とある場所で約束していた、浪速書房「推理連作 四つの幻影」の裸本である。焼肉屋近くのコンビニでカバーのカラーコピーを取らせていただく。ちなみにこのコンビニは、恐らく日本で一番カロリーの高い探偵小説古書のカバーコピーを取っているコンビニなのである!

