そして色々終えて午後五時にお店に戻り、本日の労い本を買わせていただく。同盟出版社「怪奇冒険 謎の骸骨島/水谷準」を、扉欠けの貸本仕様の店員特別価格ということで二千円で購入する。昭和二十三年刊の、書誌にも載っていない稀少本とのこと。盛林堂さんも、今までに四冊しか扱ったことがないそうである。しかしこの表紙絵、完全に歌川国芳の浮世絵『相馬の古内裏』の影響下にあり、素敵ですな。
2025年08月12日
8/12途方に暮れる男。
午前九時半に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前に姿を現し、“盛林堂・イレギュラーズ”となり、レンタカーの軽ワゴンで登場した小野氏を迎えた後、上がったシャッター内に飛び込み、素早く『フォニャルフ』棚に補充する。最近入手した探偵小説仙花紙本なども並んでいるので、よろしくお願いいたします!そんな軽い一仕事を終えた後、小野氏とともに比較的近所の武蔵野の一角にある買取現場に向かう。2025/06/29に続く、海外移住を目前に控えた超『坊ちゃん』&日本近代文学マニアの筋金入りの古本青年の買取なのである。現場のアパートは二週間後に解約予定である。さぞかし引き払う準備が進んでいると思い、扉を開けると、一ヶ月半前とさほど変化がない……そして本日運び出すために床に積み上げられた本はおよそ三百冊ほど。壁沿いの本棚には、まだ二千冊ほどの本が悠然と残されている……よ、余裕なのか?だ、大丈夫なのか?無事にアパートを引き払えるのか?海外に雄飛できるのか?と色々即座に心配になる。実は蔵書はすべて処分するわけではなく、どうしても残したい本は近所の実家にて保管予定なのである。だがそれにしても、この量は明らかに無理であろう。というわけで小野氏が発破を掛けまくり、さらに処分する本を捻出してもらう。本人は「がんばります!」と言いつつも、すでに心は泣きまくり、棚からセレクトした本を引き出す度に、顔の表情は悲しみに覆われる……これだけ本を愛しているんだ。それは当然のことなのである。だが、今ここにあるすべてを、海外には持って行けない、実家には運び込めないんだ!などとことあるごとに、小野氏と二人で応援だか恫喝だかもはやわからぬ言葉を掛けつつ、ようやく処分本が五百冊近くに到達する(ちなみにここまで踏み込めるのは、古本青年と盛林堂さんが長年の関係を築いており、すでに客と店主の間柄を超えてしまっているからこそなのであります)。ここで一旦作業を打ち切り、昼飯休憩を兼ねてお店に本を運んだ後、午後に実家で落ち合う約束をする。とにかく今後の保管場所である、実家の様子を一度見てみなければ、どのくらいの本を残せるか不明な状況でこれ以上作業を続けるのは、得策ではないと決まったからである。というわけで午後に実家で落ち合うと、実は保管場所はそれほど確保出来ないことが判明する。今現在ここにある本を運び出しても、およそ千冊が限界であろう……やはりもっと本は減らさねばならないのだ。それを聞き、古本青年は途方に暮れる……いや、もう今日会った時から、途方に暮れていたのだ。時々「もう海外に行けない気がする……」とこぼすほど、途方に暮れていたのだ。いや、だがそれでも、後二週間あるのだ。今からでも遅くはない。馬力をかければ、何とか間に合う!と懸命に海外雄飛に向けて丸め込み、取りあえず実家の本をある程度結束して運び出した後、再びアパートに戻り、今後の計画を綿密に立てる。次回の買取は一週間後。果たしてそれまでにどれほど撤収作業が進んでいるのだろうか?一抹どころか、二抹三抹の不安を残し、途方に暮れた古本青年を残し、現場を離脱する。そんな色々憂いの作業の合間に、小野氏から買取本の中に紛れていた不思議な本を見せられる。「これ、案件なんだよ」と差し出されたのは、イヴニングスター社「大學の門/田村泰次郎」である。河野鷹思装幀の戦後のガード下の光景が魂を震わす仙花紙本であるが、表紙をめくると、あぁっ!表2・表3には、不思議なことにカミの「名探偵オルメス」の表紙が印刷されているのであった。つまり「名探偵オルメス」の表紙紙の裏を再利用して、この本の表紙が印刷されているのである。これは確かに案件だ(ちなみにこの案件は、すでに小野氏より北原尚彦氏に伝えられているとのこと)!

そして色々終えて午後五時にお店に戻り、本日の労い本を買わせていただく。同盟出版社「怪奇冒険 謎の骸骨島/水谷準」を、扉欠けの貸本仕様の店員特別価格ということで二千円で購入する。昭和二十三年刊の、書誌にも載っていない稀少本とのこと。盛林堂さんも、今までに四冊しか扱ったことがないそうである。しかしこの表紙絵、完全に歌川国芳の浮世絵『相馬の古内裏』の影響下にあり、素敵ですな。
そして色々終えて午後五時にお店に戻り、本日の労い本を買わせていただく。同盟出版社「怪奇冒険 謎の骸骨島/水谷準」を、扉欠けの貸本仕様の店員特別価格ということで二千円で購入する。昭和二十三年刊の、書誌にも載っていない稀少本とのこと。盛林堂さんも、今までに四冊しか扱ったことがないそうである。しかしこの表紙絵、完全に歌川国芳の浮世絵『相馬の古内裏』の影響下にあり、素敵ですな。
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こちらですね→
https://x.com/naohikoKITAHARA/status/1955273077392085206
『大学の門』、前から知ってて、わたしが小野氏に教えたんだったかなあ。買ったのは確かに盛林堂です。
わたしのオルメスはイラスト部分です(笑)
そして「イヴニングスター社」と入っているので、同社から刊行の予定だったことがはっきりわかります。出て欲しかったなあ>幻の『名探偵オルメス』!