午後二時過ぎに上馬五丁目に流れ着く。本来ならここから下北沢にでも伸して行きたいところだが、先日行ったばかりなので即座に諦め、高円寺を目指すことにする。というわけで、東急世田谷線『松陰神社前駅』にトコトコ向かうことにする。『世田谷通』でしばし信号待ちし、横断歩道を渡って北にある駅へと続く『松陰神社通り』に入る。するとその瞬間、東側の超小公園の前から丸椅子が連続し、その上に絵本が置かれているのが目に留まる。うぉっ!これは、古本!?と近付き、並ぶ絵本を目で追って行く。するとその先には小さく瀟洒な、緑がもじゃっと絡まるお店があり、店頭には単行本木箱や雑誌木箱等が出されている。小さなガラス窓から店内を覗くと、中にもしっかりと古本が並んでいるようだ。いつの間にこんなお店が出来たのだろうか?と突然の出会いを喜びながら店内に進む。そこは狭く横長の、まるでサーチライトの光が放射した形のような空間で、店主らしき初老の男性が、囁くような声で「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。中には、小さな、文学文庫本棚が二本、和洋絵本棚、奥に文学・美術・紀行・美術・図録・古書の並ぶ棚、そして窓際に食べ物・文庫本・海外文学・美術・児童文学の収まる棚があり、足元にはエンタメ系日本文学が並ぶ横長平台が二本、そして帳場も兼ねるテーブルには、アートブックなどがディスプレイされている。本の量はそれほど多くはないが、どの棚もどの本も、店主の好みが色濃く反映されているらしく、アート・キュート・ビューティ・ファンタジー・ファンシーが入り交じっている。値段は普通〜ちょい高。二階堂奥歯「八本脚の蝶」たむらしげる「一千一秒物語」「谷中安規の夢」「欧州スクーター旅行」などの楽しいレア本が所々に見えているが、どれもジャストなプレミア値が付けられている。欲するならば、覚悟とお金を持って来店すべし。サンリオ「人形ファンタジー クルミ割り人形/文=辻信太郎」を購入する。
その後は、東急世田谷線→京王線→総武線と乗り継ぎ高円寺へ乗り込む。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『高円寺均一まつり』一日目(二百円均一)で、集英社「どぼらや人生/黒岩重吾」(昭和38年刊の随筆集。釜ヶ崎時代についての記述あり)筑摩書房「小説 黄金バット/加太こうじ」を計400円で購入する。さらに「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)に回り込み、各極狭通路に潜む先客さんたちと位置を巧みに入れ替えながら、出版芸術社 ふしぎ文学館「月光学園/平井和正」を五百円で購入し、すっかり暗くなった『早稲田通り』をトボトボ伝って帰宅する。

