単純なホーム端の改札を出ると、小さな駅前広場に地元的商店街が直結している。藤沢の名を冠し、一駅離れただけだが、あの大きな都会的街並とは正反対の、静かで長閑な郊外である。そんな緩めの街並とお店の並びをキョロキョロ見回しながら東に進むと、大きな県道に行き当たる。そこを北に進んで行くと、すぐに正面に立派な『白旗神社』の鳥居が臨め、その交差点脇には白いショッピングセンター『トレアージュ白旗』。ここで八月までの長期間、200円均一の古本市が開かれているのである。うまいこと何か買えるであろうか…。一階は塾や飲食店なので二階へ迷わず上がると、早速『神奈川県古書組合』の赤い古本まつり幟があったので、まずは一安心。中に入るとそこは催事場のような空間で、主に文具のワゴンが場を占めている。だが右奥には、やっぱり嬉しい古本棚の凛々しい姿が見えているではないか!近寄ると、二本の背中合わせの棚が並び、五本×四面の計二十本に、神奈川のお店が送り込んだ200均の古本が収まっている。まぁ200均だから…と失礼ながらさほど期待はせずに棚に視線を走らせるが、これがなんとなかなかに上質なのである。こ、これは!買える、買えるぞ!と、期待以上の本を見つける喜び(言い換えれば『200円でこの本が買える喜び』である)を味わいながら、たちまち腕の中に本が集まる。「海風舎」(2010/09/25参照)「文雅堂書店」「高村書店」が特に良い感じ。市が八月まで続くということは、補充も入れ替えも定期的に行われるのだろう。もしこれが家の近くだったら、相当マメにチェックを入れることになりそうだ…でもここは藤沢…本町…くぅ。雲井書店「日の果て/梅崎春生」六興出版「風眼抄/山田風太郎」中央公論新社「懐かしい未来/長山靖生編著」「砂の城/鮎川哲也」文藝春秋「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」を計1000円で購入する。
「諫早菖蒲日記」は、見返し裏に『諫早花菖蒲』の言葉とともに署名落款が。さらに章扉には、この本の最初の購入者により『昭和五十二年十一月二十五日 長崎、諫早の街にてこの本を求む』と書かれている。「諫早菖蒲日記」の初版は五十二年四月で、これは八月発行の第三版。ということは、諫早では新刊書店で野呂のサイン本が売られていたのであろうか…そんなことを考えるのも楽しい一冊である。さらに「風眼抄」は写真ページ裏に毛筆署名入り。最初は本扉に作家名が入っていないので、ここに作家名が印刷されているのかと思ったが、細部を良く見ると、印刷では出せない墨の濃淡や掠れを確認し確信。でも実はまだ半信半疑…同じ本をお持ちの方、冒頭写真ページ裏に名が入っていますか?ご教授いただければ幸いです。というわけで今のところ、半どひゃっほう!

