2015年12月27日

12/27神奈川・白楽 ランドリー

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昨夜はわめぞの忘年会にお呼ばれし、様々な方と語り合い、飲む(ただし私はすぐ限界を迎えるのであった…)。その中で、遅れて登場し対面に座った落語・笑い・芸能界関連古本屋の「ドジブックス」さんに、ふと思い出したことを聞いてみる。「そういえばドジさん、白楽の猫企画跡(2014/11/21参照)のお店に、古本箱を置いてましたよね?」「ええ、置いてます置いてます」「結局何のお店になったんでしたっけ」「古本屋です」「えっ!」「ランドリーっていう、二階でマッサージもやってる古本屋さんです」「…それってまるで猫企画じゃないですか…何日までやってます?近々見に行きます」「あ…でも…30日で閉店しちゃうんですよ」「げっ!」「じゃあ28か29日にでも…」「あ…開いてないかもしれません…」「だって30日に閉店なんでしょ?」「でも、もしよかったら…ボクが店を開けますよ」「そんなこと出来るんですか?」「大丈夫です!」ということで本日、白楽の『六角橋商店街』の坂道を、約束の時間である午後三時過ぎに下っているのである。お店に近付くと、それは確かに古本屋さんで、店舗の周りを100〜200均ダンボール文庫箱(質高し)が取り巻いている。中に進み、帳場に身体を折って座り、有馬記念のラジオ放送に耳をそばだてるドジさんにご挨拶。久々に踏み付けた床の色タイルを美しく思い、三方の棚を見ると、ほぼ昔のままである。ただし今は四軒の古本屋さんが同居している状態なのだが、全体にサブカル色が強めとなっている。足元にもダンボール箱がひとつふたつ…。お店が年末で閉店すると勘違いしていたが、実はお店はまだまだ続くとのこと。四人でお店を回しているため、営業は不定期になることが多いようだが、この「猫企画」(2010/12/17参照)→「Tweed Books」(2014/12/11参照)そして「ランドリー」と続いて来た場所が、まだまだ古本屋として続いてくれることは、大変ありがたいことである。集英社文庫「カスバの男/大竹伸郎」創元推理文庫「キング・コング/ウォーレス&クーパー」小学館コロタン文庫「推理クイズ大百科/緑川良」赤々舎「昭和40年会の東京案内」を購入する。さらに昨日深夜のわめぞ忘年会二次会で手に入れたという、大量の『うまい棒』の一部をお裾分けされる。本当に寒く忙しい年の瀬なのに、わざわざお店を開けていただきありがとうございました。

この後は坂道を上がり、駅前を通り過ぎて移転開店日以来の「Tweed Books」(2015/07/10参照)へ。くぅ…ファッション関連に強いお店なのだが、そのファッション度がアップし、元々和風のお店を居抜きで使うという奇妙な捩じれが、ある意味新しい空間を生み出している。奥の和室帳場も、壁に店主のトラディショナルなワードローブが下がり、本がドッサリ積み上がる畳の上では、山高帽を被った店主・細川氏が椅子に座って本の査定をしている…これも奇妙ないい光景だ。岩波文庫「断腸亭日乗 上下/永井荷風」ミリオン・ブックス「少年/神西清」を計900円で購入する。ここに移転しての五ヶ月について話を伺いつつ、持参したこのお店にあるのが相応しいファッション関連本二冊を買い取っていただく。
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2015年12月19日

12/19神奈川・海老名 さがみ国分辻書房

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東口に出て、カーブするダイナミックな空中歩廊を東に進み、巨大原色商業施設『ビナウォーク』ビルの谷間の、日陰だが女子と子供で賑わう長細い広場に下り、さらに東に進んで行く。道路に突き当たったら南に曲がり、『中央公園口交差点』から再び東へ歩き続ける。『国分坂下交差点』を過ぎ、上り坂にちょっと足を掛けた所で、すぐに北に進路を採る。美しい斜度とカーブの坂をぐんぐん上がり、薄緑の『海老名歩道橋』を潜ると、古い大木や民家が現れ始め、時代をぐっと遡った雰囲気が漂い始める。さらに道なりに坂を上がり、右手に白い鉄骨の火の見櫓が見えてくると、左手が見晴らしよく開け始める。遠くに『相模国分寺跡』の史蹟らしい広い原っぱが清々しく臨める。坂をどうにか上がり切ると、そこは歪な形の丘の上の交差点になっており、その際に緑色の学習塾兼住宅が建っている。ところが窓には『古本 古書 珈琲』の文字が…ここは古本好き&ダジャレ好きの塾長が、その好きが高じて今年の十月に始めた古本屋さんなのである。聞けば教室をひとつ潰してお店にし、古本と共に珈琲も提供しているとのこと。横断歩道を渡って玄関に近付くと、まずは無料のリサイクル除籍本箱が展開。中に進むと、左におススメ絵本や三島由紀夫・原節子関連・単独行登山家加藤文太郎を飾ったラックがあり、右側に古本屋フロアが広がっている。ウッディな明るい空間で、古本屋というよりは、児童館などの図書室のようである。入口右横のカウンター内にいたご婦人に「靴のままどうぞ」とニッコリ招き入れられる。カウンター横にちょっとぐらつく本棚が一本あり、その奥に大きなテーブル席。フロアには、右に長い背中合わせの棚が一本、左に短めの背中合わせの棚が一本。左奥には木のベンチが置かれ、そこを壁棚が見守っている。カウンター横の棚には、日本文学の古書や絶版文庫が多く集まるが、中には非売品もある模様。長いフロア棚右側には、セレクト詩集・野坂昭如・永井荷風・絵本・随筆類・女流作家文庫・日本文学文庫・日本文学・日本近代文学・海外文学・文学評論・幻想文学・詩歌句。左側には絵本・宗教・精神・新書・江戸・古本・海外都市・旅・登山・歴史・近現代史が収まって行く。短い棚には、役者・テレビ・落語・児童文学・映画・音楽・コミック・美術・食が両面に集まっている。左壁にはミステリ・時代小説・海外ミステリ文庫が並び、下には横積みのダブり本やLPレコードあり。奥には日本純文学文庫を並べた棚が一本あり、映画パンフを飾った壁ラックと肩を並べている。これでフロアの棚は全部だが、実は入口正面奥の廊下にも、古本棚が設置されている。誰もいない薄暗い教室の前を過ぎ、本棚があるために狭くなった廊下に身を寄せる。村上春樹・吉行淳之介・開高健・北杜夫・井上ひさし・芥川賞&直木賞・小林信彦・宮脇俊三・中上健次・本関連・司馬遼太郎・松本清張・川本三郎・南方熊楠・藤沢周平・山形関連がビッシリ。各ジャンルには単行本と文庫本が入り交じり、塾長が己の眼と脚で集めた古本たちが、質実に堅実にその奮闘を形作っている。値段は普通で、良い本にはしっかりとプレミア値が付けられている。ぐるぐると二周して、講談社「拳銃を磨く男/島田一男」ウェッジ文庫「荷風のいた街/橋本敏男」を購入する。あぁ、この塾に通う子供たちは、必ず古本屋を通って教室に入り、また古本屋を通って、帰路に着くのだな。勉強はいつでも大変だが、それはそれで羨ましい…。

帰りに気まぐれに相鉄線に乗り込み、ツアーしてからまだ一週間も経っていない鶴ヶ峰の「往栄堂書店」(2015/12/13参照)をテクテク訪ねる。いや、前回とお店の棚は寸分変わっていないのだが、何となく来てみたかったのだ。山口書店「虹の花びら/火野葦平」を帳場に差し出すと、ご婦人は私の顔を見て「アラっ!」と小さな声を上げ、どうやら覚えてくれていた模様。続いて差し出した本を見て「渋いわね」とポツリ。500円で購入し、そういえば今日は外に100均棚が出ていたなと気付きつつ、駅へテクテク引き返す。
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2015年12月13日

12/13神奈川・鶴ヶ峰 往栄堂書店

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コメントタレコミにて、今までまったく存在を感知出来なかった古本屋さんがあることを知る。なので、焦り慌てて横浜駅で乗り込んだ相鉄線で現地へ急行。橋上駅舎から北口に出ると、踏切と地元的商店街が迫り来る駅前。細かな商店街を北西に突破し、突如視界が開ける『鶴ヶ峰バスターミナル』に入り込む。寒空の下でバスを待つ人たちを尻目に、北東方面へテクテク進む。すると奥には、折れ曲がり下る階段があるので、トントン谷に下り、予想外に大きく勇壮に流れる帷子川を越えて北へ。大きな集合住宅脇の急な坂道を上り詰め、『国道16号線』を『鶴ヶ峰地下横断歩道』で潜ると、『白根交差点』をすでに越えた『白根通り』の入口である。後はこの丘陵地の谷にウネウネと走る大きな道を、北に向かって進んで行けばよいのである。車通りは激しく、街は昭和と平成が溶け合った新興住宅地となっている。ちょっと上がり、谷に下り、左右にうねる道を歩いて行く。途中、高圧電線の下で小さな川を越え、大きなスーパーを二つやり過ごせば、駅から一キロ強で『白根小入口交差点』に到達する。だがそのちょっと手前の時差式信号交差点で、西に目を移す。すると、丘に広がる住宅地のための商店街が、まるで門前町のように、十店ほどのお店を道の左右に集め、歩道に屋根を架けて密やかに佇んでいた。左手のアーケード歩道を進んで行くと、三軒目に確かに、本当に未知の古本屋さんがあるじゃないか!軒には『古書 古本』と書かれた店名看板があり、左には白いカーテンが引かれ、芹沢_介全集を飾った古風なショウウィンドウがある。店舗前面は古い商店という感じだが、店内は明るく白く清潔でカーペットも敷かれ、古さは何処にも滲み出ていない。棚は白く頑丈なスチール棚ばかりで、左右の壁と入口左側に張り付き、奥の帳場左脇にも一本。フロアには背中合わせの同型スチール棚が二本置かれ、通路には雨のためか、100均文庫&廉価コミックワゴン・100均文庫棚・100均雑誌ラック・三冊100円箱(カバー無しの単行本が多い)・300均箱などが所々に配置されている。本が積み上がる奥の帳場には、パーマ頭のご婦人が隠れるように存在し、「いらっしゃいませ」と言いつつも、屈み込んで本のクリーニングに集中している。ただ本を紙鑢が削る音が、規則的に響く店内。右壁には料理・暮らし・女性実用・児童文学・絵本・コミック。向かいには女流作家文庫が並ぶ。真ん中通路は右に日本文学文庫、左にミステリ&エンタメ・エッセイ類・A5判コミック・新書のラインナップ。入口左横には、植物・自然・旅・海外都市・東京・鉄道・戦争・横浜・骨董が集まる。左端の通路棚には、時代劇文庫・ちくま文庫・中公文庫・日本純文学系文庫が収まり、左壁に政治・社会・全集類・映画・民俗学・辞書・文学評論・哲学・宗教・歴史・幻想文学・古書・俳句・絶版漫画が続く。奥壁には文学復刻本・児童書・美術など。とてもしっかりとした街の古本屋さんである。棚に淀んだ所がなく、構成もしゃんとしている。80年代以降の新しい本がメインだが、古い本が少しでもあるのは、個人的にとても嬉しい。値段はちょい安〜普通で、プレミア値もあるが相場より安めな印象。東都書房「恐怖博物誌/日影丈吉」安田信託銀行「昭和の横顔 あの時この時・思い出の40年」を購入する。どうやらレジがないようなので、素早く準備された領収書をレシート代わりに受け取る。表に出て、こんな所にこんなお店が潜んでいた喜びを、ガリッと噛み締める。巡り尽くしたと思っていた首都圏内で、未知の古本屋さんに出会えた喜びも、一緒にガキッと噛み締める。
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2015年11月22日

11/22神奈川・日本大通り ZOU-SUN-MARCHE BOOK PICNIC

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電車からホームに降り立つと、鴎の鳴き声がスピーカーから聞こえる、横浜ベイスターズ色に染まった地下世界。『1番出口』から冷たい地上に顔を出すと、すぐ目の前に『横浜市開港記念会館』ジャックの塔がスマートに建っている。『みなと大通り』で東の海方面に向かえば、右手にスクラッチタイルで覆われた重厚な『神奈川県庁本庁舎』がキングの塔を冠し、海が近くなった交差点の向こうには、つるんとしたイスラム様式の『横浜税関本関庁舎』が、海に向かってクィーンの塔を誇っている。50m強歩く合間に、異国情緒的な横浜っぷりを思いっきり堪能する。横断歩道を渡り、今や遊歩道となった『山下臨港線プロムナード』の高架を潜ると、巡視船や遊覧船の集まる船溜りの先に、明治中期の姿に復元された防波堤、通称『象の鼻』が海の中に横たわっている。昔はこの辺りは荒廃した感じで、猫の死骸が浮かんでいたり、錆びたレールの残った引込み線も草ぼうぼうで、臨港線高架も不気味な鍾乳石が出来るほど老朽化が甚だしく、赤レンガ倉庫方面に渡る鉄橋下にはダルマ船がギュウギュウに詰まって浮かんでいたものだが(そんな当時の姿は、TVドラマ『あぶない刑事』や往年の日活アクション映画で見ることが出来る)、今は完璧に整備され、観光地ヨコハマの一部と化している。そんなゾーンの左手に、屋根に盛土をして展望テラスにした、ガラス張りの洒落た休憩施設『象の鼻テラス』があった。ここでは毎週日曜に『ZOU-SUN-MARCHE』という市が開かれているのだが、今回東京と神奈川の新鋭古本屋さんが集まり、明日までの二日間、古本を並べているのである。施設内は親子連れ・カップル・女子グループで賑わい、右手海側に主に飲食ブースが並び、フロア中央ではライブパフォーマンスが進行中。入ってすぐのガラス際に「Tweed Books」(2015/07/10参照)と「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)が仲良く肩を並べ、大きな平台を前にニコニコとしている。左奥では「たけうま書房」(2013/03/29参照)「books moblo」(2011/11/10参照)「SUNNY BOY BOOKS」(2013/06/03参照)+ZINEのお店が稲妻型に台を並べて、景気よく古本を販売中である。並ぶ本はキレイな本が多く、絵本・ビジュアルブック・詩集・ファッション・アート・音楽・自然などを軸に、女子寄り&子供寄りになりながらも、それぞれのお店を連想させるような本が数冊紛れ込んでいるカタチ。このマルシェに来た人と本との良い出会いを、願っているかのようである。表の芝生の丘には放浪中の古本屋さん「MAME BOOKS」(2014/11/08参照)も棚を組み上げている。この出店メンバーは明日になると一部が入れ替わるが、そちらも含めて充分注目に値する店選である。2010年以降に登場したこれらのお店が目指す店造り&棚造りが、恐らくこれから新しく誕生する古本屋さんの、スタンダードとしての、大きなひとつの流れとなることが予想されるからである…いや、もうなっているのだ。それは今までの古本屋界にはあまりなかった、風であり、良い香りであり、若さと新しさなのである。結局店主全員に面が割れているので、緊張しながらも楽しくお話しさせていただき古本を買い、そんなことを考えてしまう。古本だけ買ってテラスを離れ、冷たい潮風にほてった頬を冷やされながら、ぐるっと回り込んで象の鼻の突端まで歩く。そこで取り出したのは、今日一番の収穫である「books moblo」で千円で購入した、岩崎書店「ネコちゃんの花 ネコの童話集/安泰・絵」である。とにかく安泰の猫の絵が、すべてど真ん中ストライクのプリティーさで、ページをめくる度に目尻を下げ、激しく身悶えしてしまう…。
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2015年11月12日

11/12神奈川・みなとみらい 書籍バーゲンセール

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病み上がりの身体をふらつかせながら、横浜へ向かう。『第17回図書館総合展』の下北沢の本屋さん『B&B』のブースで南陀楼綾繁氏と、平日の午前中から一時間ほどトークするためである。地下駅から東に向かい、横浜港に向かって帆を開いたイメージの『パシフィコ横浜』へ、冷たい潮風になぶられながら、現代的な通路をトボトボ進む。大きな展示場の端で開かれている会場に到着すると、すでに場内は静かなる熱気を発していた。今は開場したばかりの午前十時。トークは午前十一時半からなのだが、何故こんなに早く会場入りしたかというと、古本が会場の片隅で販売されているからである。勇猛果敢な神奈川古書組合の十五店が、かなりアウェーな雰囲気に抗いつつ、毎年古本を運び込み並べているのである。まぁ図書館に関する展示がメインの催しなので、きっと小規模な販売なのだろうと、ちょっと高を括って販売スペースに向かうと、おぉ!物凄く本格的ではないか!およそ五十のワゴンが集まり、三本の通路を造り出している。今日が展覧会の最終日なのだが、慌ててワゴンに飛びついてみると、まだまだいい感じの並びを保っている雰囲気。これは何か買えそうだと、真剣に血眼に本の背に集中しながらジリジリと移動して行く。「橘書房」(2010年11月08日参照)と「古書リネン堂」には特に心躍らされ、待ち合わせ時間を経過しているのに、本の吟味を優先させて、ガシガシ抱え込む。法藏館「お伽詩集 光り草/柏樹玲花」(本願寺系の出版社が大正十三年に出したモダンな少女系詩集。函ナシ)和同出版社「花のオランダ坂/菊田一夫」(裸本)犬の研究社「作業犬の研究/エリオット・ハムフリイ」海洋文化社「少年船長第一巻 錨/関谷健哉」日本書房「鉄仮面/ボアゴベー原作」時事新報社「大正五年四月 少年」(江見水蔭の「怪車と怪人」他にも覆面冠者「一等室の秘密」松美佐雄「巨獅子像」「三百年目に孵った卵」など、探偵小説・冒険小説が!)を計3500円で購入する。すっかり今日の任務を果たし終えた態で、ブース入り。様々なざわめきが広い空間を支配する中、こんな日にあつまっていただいたお客さんを前に、南陀楼氏と古本&古本屋話に終始する。後半に展開した、最近の獲物見せ合い合戦が、自分たちも楽しく会場にも受けが良かった。集まっていただいたみなさま、本を買っていただいたみなさま、南陀楼さん、そして『B&B』のみなさま、ありがとうございました!
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2015年11月07日

11/7神奈川・反町 APT#207

昼食を摂ってから外出し、東横線の車窓から空を覆う雲がどんどん厚くなるのを見ながら、タレコミのあったお店を目指す。深い地下ホームからどうにか地上に出ると、目指すお店より先に、閉店した「ひだ文庫」(2015/09/18参照)のことがどうしても気になってしまう。それならば見に行くべきだろうと、まずは『国道一号』を西に向かう。やがて遠くにお店だった建物が見えてくる…建物はちゃんと残っている。看板も残っている。しかしシャッターが重く閉ざされ…あれ?軽やかに開いている!店頭に本が並んでいる!営業しているぞっ!何故だっ?色めきたち、お店に詰め寄るように近付くと、閉店の幟が立ち、閉店SALEはいつの間にか『全品50%OFF』となっている。そして『11/23(月・祝)閉店』とある貼紙を発見する。
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そうか、閉店日が延長したのか。ならば見に来て良かった!と、予想もしなかった閉店したはずのお店との再会に小さくはしゃぎ、本棚を次々と見て回る。リブリオ出版大活字オールルビ版くらしっくミステリーワールド「第6巻 小酒井不木集」「第9巻 大下宇陀児集」番町書房「平賀源内捕物帖/八切止夫」(帯が付いており、それによりNHKドラマ『天下御免』の原作であることを知る)を計1500円で購入。最後の最後まで何かが出て来そうだなぁ…また見にこうようかなぁ…。

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「ひだ文庫」を出てからすっかり見失っていた本来の目的を思い出し、再度駅頭に立つ。目の前の歩道橋を渡って、高架線の跡地である『東横フラワー緑道』を電車気分でガタゴト北に歩いて行く。かつての軌道そのままに優雅な弧を描いており、レールも一部モニュメントとして残されていたりする。およそ100m強進み、地下を失踪する電車の音が漏れ聞こえる通気口を三本やり過ごすと、左手の家並に立看板を表に出した住宅が一軒。玄関ドアが通りに向けて開け放たれ、内部は古本と雑貨を扱うシンプルなお洒落ショップになっている。入ってすぐ、目線の下に小さな棚があり、村上春樹やほしよりこが並んでいる。目線を上げるとそこは小さなカウンターレジの側面で、ニット帽を被ったハンサム・ガイが「いらっしぃませ」と迎えてくれる。「土足でいいんですか?」と一段高くなった焦げ茶の板の間に、恐る恐る上がり込む。窓際壁際に腰高の棚や台が据えられ、様々な雑貨が置かれているが、脇目もふらず奥のボックス棚に向かって一直線。何故ならそこに古本が集まっているからである。食・料理・旅・冒険・紀行・滞在記・セレクト日本文学・松浦弥太郎・谷川俊太郎・辛酸なめこ・アート・カルチャー・サブカル・書店・暮し系ムックなどのキレイな本が、白く輝いている。値段は普通〜ちょい高。古本修羅たる私の突破口は“冒険”辺りにしかねぇ!と、集英社「最後の冒険家/石川直樹」を「お近くですか?」と聞かれながらも、あくまで通りすがりの客を装い購入する。
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2015年11月03日

11/3神奈川・淵野辺 古本屋カフェ Sunnyday ring

数冊の古本を携えて、毎度お馴染み西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。まずは『古ツアフェア@盛林堂三たび!』にライトに補充すると、識語署名捺印新刊の「それから」がすでに売り切れ、「首都圏沿線」も残り二冊になっていることを知らされる。というわけで近日中に追加補充予定である。さらについに『どひゃっほう本』が二冊売れたとの報告も!旅立って行ったのは集団形星「風光る丘/小沼丹」と東都ミステリー「光の塔/今日泊亜蘭」である。二人とも、大事にされるんだぞ!さて、これで残りは八冊。果たしてその運命や如何に…。

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その後は横浜線上りで神奈川入り。枯れススキが、秋の気配の記号として生え揃うホームから、橋上駅舎を経て北口に出る。細長く線路沿いに延びるロータリーを、北西に進む。やがてロータリーから脱出して、右手に歩道アーケードを見ながらさらに進み、北に延びる『並木通り』、またの名を『カシオペア通り』に入り込む。この辺りは駅から続く道に、ロマンチックな星座の名が付けられているのだが、星座天文感は皆目見当たらない。今歩く道も古い生活道路の成れの果てで、アスファルトから直接銀杏並木が生え出し、竜宮城のような古い中華食堂があったりする。『淵野辺三丁目交差点』を過ぎ、バス停を越えると、左手の小さなビル一階に、十月に出来たばかりの古本屋カフェが姿を現す。大きなウィンドウには本棚の意匠があしらわれており、入口前に『本屋』と書かれた立看板がひとつ。反応の鋭い自動ドアから中に入ると、話し声が交錯するちょっと広めな空間。左のウィンドウ前にレジカウンター厨房があり、その奥にカフェ席が広がる。そこはすでに奥様軍団に占領されており、スピード感のある茶飲み話が飛び交う状況。肝心の古本空間は入口正面に広がり、本を見るだけでもOKとなっている。右壁棚と奥壁棚&ラック、二つの小さな古本島に古本が並べられている。壁棚にはオススメ本・コミック・ミステリ&エンタメ・文庫・サブカル・タレント・実用と続き、奥壁に絵本・ビジュアルムック・アート・ちょっとキワドいオススメ本が飾られている。古本島は特集ゾーンで、男子向け本や『こんな本書いてたの?』と銘打ちタレント&俳優本などが集められている。奥は新ジャケの日本文学文庫・ラノベ・ミステリー・旅・ノベルス・映像化作品原作が固まる。とにかく、若く新しいラインナップの本ばかりである。分かり易く言うと、今時の文化系青春の匂いがどの棚にも横溢しているのである。う〜ん、若い!青い!甘酸っぱい!値段は普通。カウンター内で忙しく立ち働く、キリンジ・堀込高樹風青年に、礼儀正しく精算していただく。ハヤカワ文庫「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う/ゲイル・キャリガー」を購入。形態や棚造りはどうあれ、古本屋砂漠化が進む横浜線沿線に新店が誕生したのは、大変めでたいことである。どうか、地元星座を形作る輝ける古本屋カフェとして、定着することを願っております!

だが、古本修羅たる私は、新しめの本では古本血中濃度がピクリとも上昇しないので、街を東に横切り進み、「晶美堂 りら書店」(2013/11/14参照)にすべてをぶつける。店内の安売棚を、時に膝を屈してじっくり観察。桃園書房「さすらい雀鬼/山田克郎」旺文社文庫「安南の王子・その一年/山川方夫」徳間文庫「良平のヨコハマ案内/柳原良平」春陽文庫「能面殺人事件/高木彬光」を計861円で購入し、血中濃度をククッと上昇させるのに成功する。
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2015年10月08日

10/8夜の古本屋、矍鑠とした老作家、ヨコハマ古書まつり

昨日でいよいよ二冊の単行本制作作業が無事に終了!終盤の編集者さんとデザイナーさんの奮闘に喝采を送り、後は本が出来上がって来るのを待つばかりとなる。夜に飲み打ち合わせのために外出し、その前にすっかりご無沙汰の池尻大橋「江口書店」(2010/03/29参照)の明るい蛍光灯に吸い込まれ、天然社「船は生きてる/須川邦彦」スポーツ興國同盟「野球興國譜/服部喜久雄編著」(昭和二十五年発行の日本野球の歴史本。拾い物!)を計1000円で購入する。お店を出て振り返ると、蛍光灯の白い光は、意外にも暖かく路上のアスファルトを照らし出していた。
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そして本日は、午前からミステリ評論家の新保博久氏と「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と外出し、一昨年に開催した『古本屋ツアー・イン・ジャパン・ツアー・イン・ヨコハマ』(2015/12/23参照)から生まれた奇妙な縁でつながった、小説家・翻訳家・ジュブナイル作家の野田開作氏を表敬訪問する。一部では物故したと思われていたが、実は現在九十五歳でご存命なのである!お会いした氏は、実に聡明で矍鑠としており、三時間ぶっ通しで小説家としての過去から、現在までの半生を語り倒すほどのパワフルさを兼ね備えていた。三名とも、ただただ傾聴するしかなく、圧倒されっ放しとなる。中でも昭和三十〜四十年代のジュニアミステリ&SF界の裏事情などは、かなり貴重な証言であった。最後に新保氏と共に、持参した氏の著作に署名をいただき、大感激する(新保氏が署名してもらった本は、氏が子供時代に買い求め、補修を重ねながら保存していた偕成社「地球さいごの日」!そんな心暖まる光景にもまたまた感激!)。というわけで偕成社「名探偵ホームズ8 白銀号事件/野田開作 原作ドイル」が、とても素晴らしい本と化す!
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野田センセイ、ありがとうございます!いつまでもお元気で!

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すっかりのぼせ上がった三人は、帰りに関内で途中下車し、今日から開かれている『有隣堂』別館二階の「第39回ヨコハマ古書まつり」に雪崩れ込む。珍しくフォーマルな「中島古書店」さんに挨拶をし、ワゴン二十五台とガラスケースと大きな平台島で出来たL字型の会場を精査する。古書と紙物が多く刺激的で、欲しい本がたくさん見つかり、古本心が大いにときめいてしまう。「古書リネン堂」が古めかしいもの中心主義で、古書・雑誌・小冊子・小型本・紙物を特に輝かせている。「中島古書店」も気合いが入っており、ガラスケース内の稀少な詩集に見とれてしまう。色々悩んだ末、「橘書房」(2010/11/08参照)で発見した、少しへたっているが1000円の近江屋書店「記者探訪 裏面の東京 戦慄すべき暗黒面の暴露」と共に、「一心堂書店」で見つけた太陽閣「支那人街/四至本八郎」の名前にピンと来て、裸本だが1295円で迷わず購入する。この四至本八郎は、大伴昌司の父で国際ジャーナリスト。世界各地に存在する不可思議の別天地チャイナ・タウンの秘密に挑む、日中戦争開戦当時の本である。そんな獲物を抱えて夜に帰京し、それぞれの釣果を見せ合う古本打ち上げで、一日の疲れを癒す。まつりは十一日(日)までである。
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2015年09月03日

9/3千葉・市川真間 アトリエ*ローゼンホルツ+石英書房

「石英書房」さんが田端のお店を閉じ(2012/11/30参照)、その一部を市川真間の「アトリエ*ローゼンホルツ」(2010/11/16参照)に移してから、もうずいぶん経ってしまった。早く行かなければと思いつつ、不義理にもなかなか足を運ばずにいたら、母体の「アトリエ*ローゼンホルツ」が改装オープンしたとの情報が入った。これ幸いと、ようやく見に行くことにする。

まずは総武線で市川駅下車。色々寄り道しながら行こうと決めて、歩き出す。駅南側の「草古堂」(2008/09/20参照)がなくなっているのを確認し、踵を返して北へ。『千葉街道』を北に越えて、『市川八幡神社』前の「即興堂」(2011/11/23参照)。入口入ってすぐ左横の壁棚にピタリと張り付き、古書を漁る。小説朝日社「向日葵娘/源氏鶏太」と一緒に、2500円の改造社新鋭文學叢書「傷だらけの歌/藤澤桓夫」を買おうかどうか相当悩むが、「お前が藤澤桓夫を買わないでどうするんだ!」という説得力のない古本心の声に説得され、計3000円をお支払い。一戦交えて多少脱け殻のようになって「智新堂書店」(2008/09/20参照)前に立つと、今日は見事に定休日。ここでようやく京成線の線路を越え、住宅街の深部に迷い込み「アトリエ*ローゼンホルツ」を目指す。

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道路際に出された立看板を目印に、住宅横の長いアプローチに踏み込み奥に進むと、臙脂と緑に塗られて複雑な形状で敷地に広がる、元銭湯の古屋が現れる。渡り廊下のような屋根の下に入ると、左に二つの入口がある。奥は広い吹き抜けの板の間へのアプローチで、手前は文庫ゾーンを経由して同じ板の間へ進めるようになっている。店頭で戸惑いながらも歓迎してくれた、現在店内で絵画展を開催中の店主の母君(御歳九十歳!)に促され、まずは土足でも入れる文庫ゾーンへ。左壁に設えた棚に、単行本少々となかなかの量の文庫が並んでいる。値段はちょい安。ビーサンを脱いで板の間に上がり込むと、足元に料理・ファッションなどのビジュアルムック&雑誌棚が続き、その上では雑貨類やお菓子が売られている。壁に飾られた幸福な色彩の絵画群と、オススメ絵本を見ながら入口方面に向かい、横の折れ曲がる階段で二階へ上がる。するとそこから古本棚を置いた三間が続くのだが、最初が「石英書房」の間となっていた。左に鉱物や雑貨類を集めたアンティーク棚、向かいに鉱物関連本の小さな棚が置かれている。奥へ進むと薄暗く絵本と児童文学が棚に並び、さらに奥の部屋には少量の図鑑類。すべての部屋の窓は開け放たれ、吹き込む風が白いカーテンを優雅に踊らせている。古い民家の味わいが気持ちよく、古い机やカラーテレビが、心がムズムズしてしまう郷愁を湧き起こす。階段上に立って、しばらく低い吹き抜けを見下ろしてから、板の間に戻り、右側の広いカフェスペースにお邪魔する。とは言っても、ぶち抜きの日本間に大きなテーブルを据え、壁に自然・暮らし・女性関連オススメ本ラック、リトルプレスラック、それに詩集や長田弘や哲学や永六輔の棚を配した空間である。ではそろそろ精算をと、元気でフレンドリーな女性店主に声をかけると、板の間の奥に潜む急階段を指し示し「この上にも本があるんですよ」とニッコリ。言われるがまま手をつくようにして上階に向かうと、日本家屋特有の薄暗さの中に、壁一面の本棚が浮かび上がる。スピリチュアル・健康・自然・エッセイ・教育・カルチャー。さらに奥の部屋にも小さなラックがあり、猫の本が集められている。古本を探す楽しさよりも、複雑な古屋内をあっちへこっちへ上へ下へと、ギシギシ行き来するのが誠に楽しいお店である。それはまるで、受動的で物静かな民家アトラクション!各部屋には椅子とテーブルが必ず置かれているので、この不思議な空間に溺れながら本を読むことが出来るようになっている。値段はちょい安。角川文庫「魔女の呪い ハーディ短編集」小学館ライブラリー「多摩川探検隊/辻まこと」を計300円で購入。

お店を出て市川真間駅方面は向かうと、ああっ!「春花堂」(2008/09/20参照)が開いているじゃないか!もう、なくなっちゃたと思ってたのに!と涙を堪えて飛び込む。通路状の店内は以前の通りだが、店主に声をかけて奥の部屋に入ると、派手に片付け作業の真っ最中。「いやぁ、お店を移転するんですよ。もう、追ん出されるの」「ええっ!何処に?いつですか?」「移る所は、そこにデニーズがあるでしょ。そのそば。もう本当にここから近く。店開けられるのは、十月頭くらいかな…」ということであった。京北書房「駒鳥夫人/菊田一夫」を500円で購入しつつ、新店を必ずこの目にしなければと、密かに心に誓いを立てる。
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素晴らしい発明品である『扉棚』も、これで見納めか…。
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2015年08月30日

8/30神奈川・小田急相模原 移転開店!二の橋書店

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机の前に座り続け色々煎じ詰めていたら、作業に飽きが来てしまい、我慢出来ずに外出。結局即座に昨日偶然移転を知った「二の橋書店」に駆け付けることにする。八月らしからぬ曇り空の下、混ざる白石が光を帯びるアスファルトの上を滑り、南口ロータリーから大通りへ。東に向かうと、閉塞感のある巨大で黄色の『イトーヨーカ堂』が現れる。その向かいに、テナント募集中の旧店舗と、お洒落シックな新店舗が、冗談のように隣り合っていた。庇の下には西洋的に瀟洒な雰囲気の扉と縦長窓。入口横には存在感ある縦書き看板文字。窓下には小棚やプラケースが集まり、三冊100均文庫・100均単行本&雑誌を並べている。大きなガラスの嵌った木製扉を引き開け、小さな店内に上がり込むと、迫り来るのは本棚と珈琲の良い薫り。そして、まるでロッジのような内装である。左壁は本棚、その前にナナメに置かれた背中合わせの棚が一本。入口右横から、細い棚・カウンター平台・壁棚と続き、途中から奥はカウンター式のカフェ…というよりは懐かしい山小屋風喫茶店となっている。すでに三人の女性客が珈琲を楽しんでおり、一段低くなったカウンターの内側には、ツバ広ハットを被った島田洋七風オヤジさんが、店主として、そしてマスターとして働いている。左壁は海外文学・古典文学・日本文学・戦争・近現代史・禅・仏教。向かいにはちくま文庫・食関連文庫・岩波文庫・中公文庫・講談社文芸文庫・新書が、背を上に見せる特殊な並び。この通路は奥がすぼまっているので、圧迫感あり。棚裏には時代劇文庫とミステリ文庫が並び、カウンター客の背中を見守っている。入口右横には自然関連が集まり、台の上には美術図録や作品集など。お客さんにぶつからぬよう気をつかい、カウンター台の向こう側へ入り込む。壁棚に美術・幻想文学・文明・古書数冊・辞書・山岳などが並んで行く。以前の広く深いお店から一変、硬質に小さく知識が結晶する空間に変貌。カフェ度の高さが少し古本心を惑わせるが、入ってすぐがとにかく古本屋部分なので、一安心である。値段はちょい安〜普通。ちくま文庫「怪奇探偵小説傑作選4 城昌幸集」を400円でカウンター越しに購入すると、「コーヒーいかがですか?」とお誘いを受けるが「また今度」と、ただ古本買いに終始して本を受け取る。本には集英社文庫創刊三年記念の、エッシャーのブックカバーを巻いていただく。丈夫な織布製で、年月を経て来た色合いが、なかなか古本的であるな…。「お店、以前は隣りでしたよね?」と聞くと、オヤジさんは照れたように帽子の下で顔をほころばせ「エヘへ。移転しました。またよろしくお願いします」と答えてくれた。
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2015年08月29日

8/29神奈川・藤沢 太虚堂書店 藤沢駅北口支店一階バージョン

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元々は一・二階だったのが(2011/07/22参照)、いつしか一階のみに棚を凝縮させ、二階には上がれなくなってしまった。自然と一階の様相も大きく変わったので、再ツアーの仕儀となったわけである。店頭には右端に108均文庫棚があり、続く三台のワゴンは、右の二台が大体1000円以下単行本(古書含有率高し)で、残りの一台がまたもや108均文庫となっている。またその横には小さなシリーズ本棚がある。背後のガラスウィンドウには、古書絵本や明治本が良い値段でズラリと飾られている(江見水蔭が目立つ)。入口の左横には雑誌ラックと雑誌箱が据えられている。店内に進むと、右奥が延びて鋭角になった、直角三角形的フロア。手前右側奥に漫画揃いが集まる上がれない階段と、窓際に時代劇文庫棚、そしてプレミア本を飾るガラスケースが組み込まれた帳場スペースがある。そこ以外は、入口左横から壁棚がぐるっと覆い、真ん中には大胆にナナメに胸高の長めの棚が置かれ、歪なフロアの特異さを引き立てている。壁棚には入口左横から。辞書・古書絵本&児童雑誌・児童文学・絵本と続き、ナナメの壁に美術図録・書・版画・日本美術・現代美術・写真・工芸・骨董・新書・古観光地図類・函入学術資料本などが、なかなかに厳めしく続く。鋭角に折り返して、仏教・郷土・神奈川・横浜・藤沢、そして鉄道でフィニッシュ。フロア棚には、奥側に出版社別文庫・新書・CDが並び、上には「それいゆ」などの雑誌も置かれている。通路が狭くて見難い入口側には、出版社別文庫・探偵小説文庫・日本近代文学・幻想文学・児童冒険&探偵&SF&時代劇&伝記仙花紙本・海外文学が収まる。また奥の棚脇には、細めで高い本棚が一本あり、古い本をサブカル的にまとめた奇妙な並びを見せている。何処にでも紛れ込んでいる古い本に大いなる魅力あり。値段は普通だが、良い本珍しい本にはちゃんとプレミア値がプラスされている。東方社「写真記者物語/中山善三郎」(函ナシ)を324円で購入。

帰りにちょこっと乗り換えて、東海大相模の夏の甲子園優勝で未だに賑わう小田急相模原駅で途中下車。「イーストウッド」(2010/11/01参照)はシャッターを下ろしっ放しの状態がが久しい雰囲気。合掌しながら「ツヅキ堂書店」(2011/03/09参照)に向かうと、こちらはしっかりと路地に根を下ろして営業中。…あぁ、ということは、ここの古本屋さんは、この一軒だけになってしまったのか…よし、せめてはすでに閉店してしまったが、「二の橋書店」(2009/11/30参照)の跡地だけでも確認しに行くとするか。…ふむ…当然だが、すでにテナント募集の貼紙があり、看板もすべて取り払われている。む?横に『閉店のお知らせ』の紙が、打ち捨てられているな。なになに「7月19日(日)に開店…」あれ?閉店じゃない。えっ?開店?…これは、開店のお知らせじゃないか!と驚き顔を上げると、ぬはっ!隣りに新しい「二の橋書店」が出来ているじゃないかっ!そうか、移転復活していたのか!これはめでたいめでたい!と大いに喜ぶが、今日は古本市参加のために、お店はお休み…仕方ない、近日中に、ツアーしに来ることにしよう。いやぁ、諦めずに、足を運んでみると、こんな嬉しいこともあるのだな。
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2015年08月24日

8/24神奈川・古淵 ニトリモール古本市

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町田で横浜線下りに乗り換え、ひとつ先の駅で降りる。ホームは薄暗いコンクリの谷底。明るい地上に出ると、周囲に見えるのは巨大建築物ばかりの街。特に巨大な『イオン』の足元を伝い、南西の『国道16号』に抜け出る。するとすでに道沿い北西に、目指す『ニトリモール』の看板が見えている。歩いて行く。向かって歩いて行く…しかし看板はなかなか近付いて来ない。このバカでかいショッピングモールの何処かで、今日が最終日の古本市が開かれているのである。ようやくたどり着いた、四階建てのはずなのに背がやけに高い建築を見上げ、中へ。がらんと大きく高く広い通路に面して、似たような感じでお店が続いて行く…確か二階のエスカレーター近くで開かれているはず…取りあえず目についた、通路にあるエスカレーターで二階に上がると、そこに古本の姿はナシ。振り返って下り側の通路のどん詰まり方向を眺める。するとそこには、赤い『古書まつり』の幟が翻り、確かに十二のワゴンが集まっていた。ミステリ系文庫・古書・コミック・ビジュアルムック・紙物・児童文学・人文・文学・詩集・鉄道・戦争・歴史と、なかなかバラエティ豊かな展開。出店はすべて神奈川のお店である。この神奈川古本屋さんの、小回りの利いた神出鬼没具合はとても素敵である。「文雅新泉堂」から現代評論社「犯罪・海を渡る/平岡正明」を500円で購入する。そのまま帰ろうとするが、ふとワゴンに貼られた『古本市』のポスターが目に留まる。そこには会場が『2・3偕』とある。まさかと思い、エスカレーターで三階に上がると、ぬぉっ!二階とまったく同じ、古本ワゴン集合の光景!何だ、この立体的セパレート古本市は!と驚き面白がりながらワゴンを見ていると、帳場には文雅新泉堂さんの姿があった。挨拶を交わし「よくこんなところまで…」の言葉を受け、「りら書店」(2013/11/14参照)から河出文庫「文豪ナンセンス小説」を200円で購入。飲み物をご馳走になりながら、文雅さんとしばし古本屋雑談に耽る。ここで古本市が開かれるのは今回が初めてで、ワゴンを覗き込んで行くのは、家族連れが多いそうである。そう言えばさっき二階で、お母さんが子供に、古本の定義を優しく噛み砕いて説明してたっけ(「古本って言うのはね、人が一度読んだ本を、もう読まないから安く売っているのよ」)。楽しくお話しして二階に下りると、あっ!「中島古書店」さんだ!店番に来ていたのか。馴れ馴れしく近付き、現在の事務所店の営業日を問い詰める…あぁ、早く押し掛けなければ…。
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2015年08月09日

8/9神奈川・新逗子 勿忘草

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昨日は一日中、ある先達の古本屋巡りの旅の記録の中を彷徨い続ける、不思議な仕事に従事する。読むほどにうらやましさが募り、ただただ未知のお店に行きたくなってしまう…。明けて本日、そう遠くへは行けないので、京浜急行で補助いすに硬く腰掛け、南へ一時間。以前、逗子駅近くの『亀ヶ岡八幡宮』の骨董市で(2014/09/13参照)、古本を扱っていたアンティークショップを目指す。京急逗子線の最果てである南口から表に出てすぐ、東に足を向け、田越川を仲町橋で越えて川沿いに南へ。東から迫る山と、川に挟まれたこの一帯は、うねる道沿いに古い家も並び、車さえ頻繁に通らなければ、静かにささやかな旅情を味わえるだろう。通りを南に進んで行くと、山裾から大きな寺の敷地が山肌に広がるのが目に入り、その向かいの二階建てアパート先端を改造し、青い日除けの下の白い出窓を草花で飾り立てたお店を発見する。無料の貝殻類を眺めて、左横のなだらかなアパート敷地内へのスロープを上がり、ガラス器が多数置かれたドア前から通路に入ると、細かな陶器・ガラス器・小さな人形類・植物の実・小アンティーク類が、どっさり載った棚が壁際に続く。土足のまま奥に進むと、縦に二部屋が振り分けで並んでおり、そこに大小様々な棚や台や机やラックやガラスケースを設え、陶器人形やボタンや西洋アンティーク小物を中心にギュギュギュッと飾り、住居感と店舗感がせめぎ合う、濃密だが整頓された空間が組み上がっていた。電気が点いておらず、左の部屋の奥のテーブル前に、二人の男女が後ろ向きに腰掛けている…「すみません、見せてもらってもいいですか?」と声をかけると、「あぁっ!いらっしゃいませ」と二人は慌てて立ち上がり、「今、電気点けますね」「どうぞ、ゆっくり見て行って下さい」とにこやかに迎え入れてくれた。優しくフレンドリーな壮年のご夫婦である。まず右の部屋に入ると、ちょっと大きめの家具類と共に、人形や飾り物がひしめいている。左奥に絵葉書箱を見つけたので、肩ならしに『軍事郵便』『建築』『少年倶楽部』などに分けられた紙片を繰っていると、奥様がひょこっと顔を出され「どんなものを探されてます?紙物お好きなんですか?」と柔らかく探りを入れて来る。「紙物はそれほどではなくて、どちらかというと古本が…」と言うと、「古本はこっちの部屋にありますよ」と、心が大いにときめく殺し文句が出る。大喜びで左の部屋に赴き、たくさんの小さな陶器人形が、こちらを見詰める通路を擦り抜け、奥のテーブル前へ。おぉ!確かに片隅に、古本棚が一本存在している!しかも古い本ばかりだ!まずはテーブルで、激安の紙物箱をソワソワと浮き足立って吟味。目的の古本にとにかくむしゃぶりつきたくて、ソワソワは続く。面白そうなマッチ箱やイラスト紙片を取り分け、いよいよ本棚の前へ。本は薄手のものが多く、そのほとんどがセロファン袋に入っている。明治本・教科書・婦人洋裁本・児童雑誌・学習雑誌・絵本・附録が四段に茶色く収まっている。一番多いのは教科書だが、辛抱して漁って行くと、時に面白いものが飛び出して来る。それにしても、安いな。四桁いっているのは1200円の「赤い鳥」くらいのものだ。というわけで棚の前に跪き手に入れた収穫は、杉山書店「人形佐七捕物帳百話 日蝕御殿・他七編」文人社「物語小説 人間魔/野村胡堂」(表紙画は志村立美!)富士屋書店「幽霊船の怪宝/たかのてつじ」(落丁あり)婦人之友社「子供之友 昭和八年九月」、それに空マッチ箱六つ・象とライオンのイラスト紙片・少年倶楽部附録はがき二枚(あぶら蝉とインディアン酋長)・1924年蒲田映画「黄金地獄」カラー広告(雑誌の裏表紙)を計2000円で購入。あぁ、興奮した。楽しかった。この中で一番嬉しかったのは「子供之友」が350円で買えたことだが、一番気になる物は神戸の食堂『みかど』のマッチ箱。『みかど』は調べると神戸駅構内にあった、食堂車と同じメニューを提供していたレストランらしい。それにしてもこの粗雑な造りのマッチは、恐らく戦中〜戦後すぐのものだろうが、何が書かれているのかよく分からない(椅子?)表と、裏の神戸港の絵が、妙に心を捉えるのだ。誰か名のある絵描きが描いたものだろうか…。
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※写真は合成の展開図です。

帰りに近くの古本屋さんの消息を確認すると、「ととら堂」(2012/05/02参照)は店内の本の森加減が進行し、元気一杯に営業中。だが『逗子銀座通り』を抜けた交差点脇にある「古本よみま専科」(2010/02/27参照)は、夏の暑さに融けてしまったかのように、消滅していた。ひとつの古本屋が消えたことなどに、誰も心を砕くことなく、銀座通りは、ビーチへ向かう半裸の男女の陽気さに、満ちあふれている。
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2015年07月20日

7/20埼玉・高麗川 R市場 日高店

行き先は郊外のリサイクルショップなので、今日くらいは空振りしてもまぁいいだろうと、優雅な心持ちで灼熱の秩父山脈の足元を、八高線に乗り高麗川駅下車。小さな改札を抜けると広々とした駅前。高い建物は見当たらない。線路沿いに北に進んで、最初の踏切で四本のレールを跨いで東へ。スナックや飲み屋が目立つ住宅街をウネウネと進み、鮮やかな緑のイガが防御力高めな栗林を眺めて、やがて『市役所通り』。そこを北に300mほど進むと、大きな『R』の文字が目立つ妙な形状の建物が見えて来た…果たして古本は…。緩いスロープになった駐車場を横切り、洗車をするお店の人らしき女性を横目に、昼なお暗い店内へ。すると目の前にいたのは、暑さにうだり通路に横たわった白&アジ虎のスマートな猫!うぉっ、かぁいいな、としゃがみ込んで、逃げない人なつこい猫を撫でまくる…むっ?お前、サマーカットされているな?感触が妙に肉っぽいぞ!「ニャァァァァァァァ〜」とさんざんコミュニケーションし、ようやく店内の探索に移る。中央の空っぽの帳場を中心にして、左右に縦の通路が配置されているが、奥行きは意外にない。右側に家電・家具・ペット関連が集まり、左に文房具・雑貨・道具・玩具・懐かし系玩具が集まり、中央に古道具やアンティークが固められている。そしてその奥に四畳半ほどの小部屋があり、レコード(LP&EP)・ビデオ・アダルトビデオ・カセットテープ・CD・DVDが集まっている。レコード棚の下に、外タレツアーパンフや文庫セットなどの古本をようやく発見するが、レコードなどに比べあまりに貧弱な品揃えに、がっくりと肩を落とし、最後に猫をひと撫でふた撫でして、まだ洗車中の女性に会釈して、表に逃げ出す。…やはり冴えない結果になってしまったか…これではただ。猫を撫でに遥々来ただけではないか。
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というわけで、お店の写真より猫の写真を掲げておきます。

獲物なく寂しく帰り道をたどっていると、往きには気付かなかった『ポッポ道』という名の、アスファルトに二本のレールが埋め込まれた直線道の脇道を発見する。入口にある案内板を読むと、『太平洋セメント』が石灰石を運び出すために使っていた、引込み線跡地らしい。ならばこれを素直にたどれば、当然高麗川駅に苦もなく着けるはずだなと、テクテク歩き始める。すると道沿いには、鉄道の遺構や踏切までもが残されているので、ちょっとだけ己が鉄道自身になった気分を味わう。秩父山脈から、ゴロゴロと遠雷が響いて来る。
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帰りに飯能で、恐ろしく連続で光る稲妻と豪雨に襲われつつ、古本ナシの無聊を慰めるため、「文祥堂」(2009/12/28参照)に立ち寄り、扶桑社文庫「加田玲太郎全集/福永武彦」宝文館「植物学九十年/牧野富太郎」(裸本)を計800円で購入する。
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2015年07月14日

7/14神奈川・西横浜 三田商店

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昼食を摂って表に出ると、強過ぎるコントラストが、街を残酷に切り刻んでいる。しかしその光による区分が、街の異なる表情を浮かび上げ、正反対だがほんの少しだけ雪の日のような驚きを、与えてくれている。相鉄線の現代的な駅舎から外に出ても、そんな印象は変わらない。剥き出しの跨線橋を渡って、線路の向こうの南口。『西横浜交差点』から街をナナメに切り裂く直線道『水道道』を南東に進む。途中信号を通過して、そこから二本目の角に雑草生い茂る空地のある脇道を西へ。するとすぐに開けた三叉路があり、南に入ってすぐのモルタル建築一階に、大倉山から移転して来た元「BOOK APART」(2013/11/26参照)が新規開店していた。『7月11日オープン』の立看板があり、大きな黒い矢印が入口であるサッシ扉を示している。前店舗が入っていた妹島和世設計の建物に比べると、えらく庶民的な店構えになった。まぁこっちの方が遥かに好みだなと思い、カチャリと中に入る。するとそこは白く四面を塗装し、白木の棚が設けられた充分なお洒落空間。正面右奥のカウンター帳場で、「BOOK TRUCK」(2012/05/26参照)で名を馳せる店主・三田氏がユラリと立ち上がり、「いらっしゃいませ」と迎えてくれる。入ってすぐ右側には白い大判のファッション&カルチャー雑誌が集まり、帳場上のカルチャー・食を経由して、奥壁の「暮しの手帖」など再びの雑誌棚に到る。左壁には六段×八列の棚が控え、海外文学・日本文学・絵本・児童文学・現代思想・セレクトコミック・旅・紀行・建築・写真・アートをこだわって揃えている。値段は普通〜ちょい高。今は古本だけが販売されているが、ゆくゆくは“商店”の名に相応しく、食品や雑貨も扱うらしい。而立書房「シュールレアリスム宣言/加藤直」を購入。しかしこの相鉄線沿線は、古本屋さんが消失する一方だったのだが、ついにそれに抗うように新たな古本屋さんが出現した!西横浜の裏路地というなかなかシブいロケーションだが、切なる繁盛を願いたい。
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2015年07月12日

7/12埼玉・坂戸 蔦文庫

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濃緑の稲の葉が、剣山のように尖るのを車窓に見ながら、東武東上線で北上。駅北口に出て、よさこい祭のゲートから始まる欅並木の『坂戸駅東通り』をちょっと北へ。二本目の広い脇道『あけぼの通り』に入り、東に真っ直ぐ進んで行くと、護岸された飯盛川にぶつかる。かつてその対岸には「BOOK ONN 坂戸店」(2009/07/19参照)があったはずなのだが、今はコンビニに成り果てている…誠に残念である。そのまま交通量の多い県道に合流し、南東へと歩を進める。『坂戸陸橋』の下を潜ると、左手に天文台ドームのような屋根を持つ体育館が現れ、中学校や高等学校が道沿いに続く。その対岸である、中学校の正門斜向いに、メールタレコミで知ったお店が、置き忘れられたように、時の淀みを作り出していた。軒の古びた看板、くたびれた緑の日除け、文房具の看板、窓ガラスに貼られた騒音への抗議…だがしかし、何よりもこの目を惹き付けたのは、サッシの向こうに見える、キッチリと古本の並ぶ棚であった。興奮を抑えて戸を開けると、電子メロディがピロピロリ。即座に奥に人の蠢く気配が生まれ、和菓子職人のような白衣を着た、川端康成的オヤジさんが団扇片手に姿を現す。会釈してコンクリ土間の小さな店内を探索する。壁際にはスチール棚が置かれ、中央に上部が棚で下部がラック&平台の棚。これが店内を縦に二分し、右が新刊&文房具雑貨ゾーン、左が古本ゾーンの構成となっている。左壁棚には実用ノベルス・児童書・日本文学文庫・海外文学文庫・新書が並び、奥壁に学術系古書が集まる。中央棚には大衆小説・推理小説・時代小説・官能小説・漫画・雑誌が集まる。店内は古びているが荒れてはおらず、本は昭和四十年〜五十年代が中心で、時間の停まり具合が“何かあるのではないか?”という予感を絶え間なく走らせる。実際は本の数はそれほど多くなく、冷静に見るとそれほどでもないのだが、昭和タイムカプセルの魔法はとかく甘美なのである。裏表紙見返し下部に書かれた値段は激安。本を二冊抜き取り、右側ゾーンに入って、オヤジさんの視線に晒されながら棚を見て行く。古ぼけた新刊書・絵本・新潮文庫・岩波文庫、それに蔦文庫が出した新刊も並ぶ。こちらで特に目を惹くのは、棚の所々に横積みされたプラモデルであろうか。青樹社「屈辱の太陽/高村暢児」番町書房「愛猫記/吉行淳之介・伊丹十三ほか」を購入。包装はかなり劣化した文庫カバー(店名入り)で、のり巻き方式。こういうお店が残っていたことも、そしてタレコミにより出会えたことも幸せな、日射しの強い日曜の午後。部活に勤しむ子供たちの声が、高いフェンスと道路を越えて届いて来る。
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2015年07月10日

7/10神奈川・白楽 Tweed Books 真店!

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崖下のホームから跨線橋を渡り、裏路地然とした小さな西口に出る。緩い坂道の駅前通りに出て、この街の古本屋さんを目指すのなら、いつもは南西の商店街を下るのだが、今日は北東に足を向け、緩くカーブし緩く上る商店街を進む。商店街はどこまでも続く。坂の頂上に達すると、遥か妙蓮寺まで続いているようにも見える。結局駅から300m弱も歩くと、左手集合住宅一階に連なる店舗群の右端に、本日オープンした古本屋さんが、午前中の強い日射しの中に輝いていた。同じ白楽にあった期間限定仮店舗(2014/12/11参照)を脱ぎ捨て、堂々と再びこの地に、真店舗として覚悟を決めて、腰を据えたのである。表には立看板と小さな100均雑誌ワゴンが二つ、それに100均文庫ワゴンがひとつ置かれている。隣りで身代り地蔵の幟が、明るくはためくのを目の隅に捉えながらお店の中へ。するとそこは広々として見通しの良い、何かの居抜き空間!…元は呉服屋だろうか?入口左には函入り文学本が目立つ300均単行本棚があり、シンプルな左壁面はギャラリーとして使用されている。その下の低めで妙に落ち着いた長い平台には、内外新旧のファッション雑誌がどっさりと並ぶ。フロア中央には、ちょっと野暮ったいほど立派な逆L字型平台が鎮座し、ファッション雑誌・紙物・ファッション実用ムック・ビジュアルムック・美術図録が飾られ面陳され、棚にも収められている。右の壁棚には日本文学・詩集・海外文学・幻想文学・オカルト・ミステリー・郷土・片岡義男・世界各国・本&古本と並び、奥の本棚二本にこのお店の魂であるメンズファッション・イギリス・レディスファッション・少女ファッションが、レア本を含め固められている。また左奥にはコの字型の小空間があり、音楽・映画・セレクト文庫・哲学・思想・建築・写真がピッチリ収まっている。以前のお店と比べると、雑誌や通常の古本屋部分が増えた印象。値段は普通である。そして奥にはオープンな六畳床の間付きの畳空間が存在し、そこを帳場と決めた、クルクルパーマでトラッドスタイルの店主・細川氏が座っていた。聞けばここは元は器屋さんとのこと。どおりで棚が丈夫で重厚で和風なわけだ。新開店の祝い酒を振る舞われながら、電光石火の早業移転や、このちょっと変わったお店の生かし方未来予想図などを、お互い思うがままに語り合い、気が付けば小紙コップの祝い酒が二杯目に。午前中の古本屋さんで、俺は何を酔っ払っているんだ!と己を曖昧に戒め、春陽文庫「わが恋やまず/北条誠」未来社「詩はいかにつくるべきか/マヤコフスキー」を計1000円で購入する。それにしてもかつてここに売りに来た「くろす・としゆき資料」(2015/01/14参照)がちゃんと販売されていて、しかもしっかり売れていて、ちょっと安心した。やっぱりこの『BROOKS BROTHERS』の広告は、こういう場所にこそ良く似合うものである。
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2015年07月05日

7/5神奈川・阪東橋 BOOKS Garage

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極度に湾曲した日ノ出町駅ホームで、赤い電車がブレーキを軋ませると、車内の子供が「動物園だ!野毛山動物園だ!」と騒ぎ出した。丘の上の動物園に対する、彼の大きな期待と興奮が勝手に伝わり、思わず微笑んでしまい電車を降りる。再開発が進んで、昭和の味が薄まった駅前から、それでも混沌とした街並の中を南に下って行く。『イセザキモール』の自由な雑踏に身を任せ、幾つかの古本屋さんの店先を覗き込みながら、西へ向かう。途中で南寄りの『国道16号』に出て、『曙町三丁目交差点』〜『曙町四丁目交差点』間に固まるアダルト古本屋さん地帯へ。そしてその中の一店である、以前は三丁目信号寄りにあった時はアダルト一色(2012/04/16参照)だったのが、四丁目信号寄りに移転して古本棚を備えるようになった、黒い看板のお店に入り込む。通り側の部屋が廉価コミック・一般DVD&ビデオ・古本で、奥がメインのアダルトゾーンという構成である。通り側には四本の短い通路があり、左壁際半ばに帳場が据えられている。右端通路は廉価コミック一色。第二通路は廉価コミック+右奥の一本に文庫が集まる。第三通路はDVDでまとまり、右奥の一本と帳場下が文庫棚になっている。左端通路は懐かしいVHSビデオと、左壁に本棚が張り付き、文庫メインの単行本少々の構成。そして帳場前から右に延びているアダルトゾーンとの仕切り棚に、文庫と単行本が並んでいる。意外に本は多めで、文庫は108均で単行本も激安である。だが、あくまでも雑本的であり、なかなか手強く凪ぎまくっている。エクスナレッジ「コルビュジェを歩こう/BIR+TUE有志 吉野弘」を購入する。

『イセザキモール』に戻って「バイアップ」(2011/11/05参照)店頭台から創元推理文庫「真夜中の檻/平井呈一」を100円で助け出し、心躍らせて「たけうま書房」(2013/03/29参照)へ。宝石社「死の内幕/天藤真」河出新書「女優への道/遠藤慎吾」新潮社「アトリエにて/高村光太郎」を計1100円で購入し、たけうま夫妻にご挨拶しながら、さらにたけうまさんと長話。お店のことや毎月開催しているイベントのこと、それに神奈川県の古本屋さん情報を少々入手。黄金町の古本屋ライフは、相変わらず大変そうだけど楽しそう!そして帰り際、帳場脇に積まれたVHSビデオの一束に目を取られると、やっ!「わんぱく探偵団」のビデオじゃないか。値付&動作チェック前のものなのだが、たけうまさんにワガママを言い、500円で譲っていただく。株式会社にっかつ「わんぱく探偵団 原作・江戸川乱歩」(虫プロ初の手塚治虫以外原作モノクロアニメ。第1話「二十面相登場」第2話「生きていた死神」第3話「夜光怪人」第4話「二十面相の復讐」を収録)を購入。良し、早く帰って楽しい上映会だ!
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2015年06月15日

6/15千葉・妙典 古書肆スクラム

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外れた当てを取り戻すため、昨日の行動をそのままなぞるようにして、高架ホームの妙典駅。扇形に近い改札から南口に出て、西南に進んで白い砂の公園をナナメに横切り、『マリン通り』をヒタヒタと南東へ。低層ビルや住宅が、直線道の間に規則正しく収まる光景が、どこまでも続いて行く。500m進んで『新浜通り』に入って西南へ。そして次の交差点で再び南東に進み、さらに次の信号で西南へ。静かな完全なる住宅街である。行く手の右側に『下道公園』の緑が見え始め、その向かいの低層マンション一階に、昨日はなかった『古本』と大きくプリントされた二本の幟が翻っている…これは、確実にやっているな!近付くと、大きなガレージを改装した店舗である。軒に簀子風板製の看板があり、店頭には100均文庫棚・100均文庫プラ箱四つ・地図&ムック箱がひとつずつ置かれている。ちょっとスロープになっている店内に進むと、右壁に三本のスチール棚があり、比較的新しめのミステリ&エンタメ系単行本が安値で収まっているそしてメインフロアとなるのは、左にガッポリと設えられた柵付きの大きなウッドデッキで、左壁に大きくシックな本棚を備えている。真ん中には丸テーブルが置かれ、奥にはカウンター平台と本棚が一本。その本棚を整理しているのは、「東京ベンチ」(2014/07/02参照)の砂金氏である。あちらのお店をしばらく休業とし、この古本販売をベースとする就労支援事業所に全力投球中なのである。相変わらずの行動力と目線の高さに、気高さを感じながらも、心と視線はたちまち古本棚に釘付けとなる。絶版漫画・児童文学・ミステリ少々・古雑誌・歴史・戦争・日本近代文学・日本文学・実用・古書新書・仙花紙本…古書が意外に目立ち、それがとても心地良い。カウンターにはビニール袋入りの古雑誌が置かれ、棚には全集・文学・歴史などが集まっている。とにかく古書が多めなのが魅力である。こちらも基本は安値だが、古書にはプレミア値が付いているものも。笑顔の砂金氏とは、古本売買を源にした、社会の妙な垣根を緩くブレイクスルーする話など。いや、話だけに終わらず、実際に行動に移すところが氏のスゴいところである。その間に、働くみんながあっちこっちと入り交じり、店頭箱を公園に遊びに来た子供が覗き込み、近所のオジさんも古本を買うついでに買取の話などをして行く。こんな風に何気なく、地元にお店の存在がジワリジワリ浸透して行くのか…などと殊勝に感じつつも、ちくま文庫「兎とよばれた女/矢川澄子」秋田書店「悪魔の手鞠唄/横溝正史原作 つのだじろう画」、そして偕成社ジュニア探偵小説3「怪獣男爵/横溝正史」(カバーなしで値段がなかったが、なんと300円!…う〜ん、氏がこの本の価値に気づきながらも安値にしてくれた節が…だがそれでも、どひゃっほう!)を見つけ、掘り出し物を見つける快感に酔い痴れる。あぁ、今日も古本修羅で、すみません。このように良い本を安値で見付けたお店は、記憶に強く刻まれ、すぐさま再訪したくなってくる。というわけで、また即物的な夢を求めて、買いに来ます!スクラム〜、ファイト!
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2015年05月28日

5/28埼玉・南鳩ヶ谷 山遊堂

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大きな古本屋さんだった「ブックセンター山遊堂」(2010/09/07参照)が姿を消し、隣接している同系列のレンタルDVD屋に、古本棚がギュウッと押し込まれているとのタレコミあり。埼玉高速鉄道で慌てて現場に駆け付ける。駅から『岩槻街道』を北上し、新芝川を越えると、橋のたもと右手の大きなレンタルDVD屋『will』に、新たに「山遊堂」の看板が架けられている。。旧店舗は、ダーツなどが遊べる遊戯場に成り果てていた…。高圧電流鉄塔を仰ぎ見て、自動ドアから大きな倉庫的店内に進むと、そこは廉価コミック棚とレジ&作業場の脇で、右手に高い棚が整然と林立している。通路の多くをセルDVDとコミックが占領しているが、手前から二番目の通路奥に100均文庫&単行本棚があり、右奥のアダルトゾーン仕切り壁にミステリ&エンタメ単行本が並ぶ。五番目の通路右奥に文庫とノベルスが集まり、最奥通路のレジ側に暮らし・女性実用・住宅・映画・音楽・スポーツ・歴史・カルチャー雑誌・コンピュータ・資格・辞書・新書・ビジネス・文明が集まる。以前のような古書の影はなく、新しめの本で作り上げられた少数リサイクル店的構成。何とも味気ない気分を噛み締めつつ、扶桑社文庫「横溝正史翻訳コレクション 鍾乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密」ちくま文庫「定本 二笑亭綺譚/式場隆三郎・藤森照信・赤瀬川原平・岸武臣・式場隆成」(また見つけてしまった…)を計950円で購入する。

せっかくなので近くの古本屋さんの消息確認に参ろうではないかと、芙蓉の花が咲き乱れ、ついでにオートレースのマークシートが舞い散るサイクリングロードを、長閑に歩いて歩いて「しん理書房」(2010/11/14参照)へ。くぅ、シャッターが下ろされ、そこに「所沢古本まつり」のポスターが貼り出され、さらにその上に一枚の白い紙が貼られている。『出店の為5/25〜6/2休業』…そうか。タイミングが悪かったな。しかし“休業”とあるからには、それはお店が開いている証でもあるわけだ。

そこから鳩ヶ谷駅方面に長々と歩き、「あゆみ堂」(2010/03/03参照)も見に行くが、看板がようやっと見えて来ると同時に“木曜定休”のショッキングな文字が飛び込んで来た。…連続でやってしまったか…。

そんなこんなで阿佐ヶ谷まで帰り着き、北口の「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭で100均単行本に視線を落としていると、アーケード通路の方から「こんにちは」と穏やかな挨拶が降り注ぐ。顔を上げると、そこにはTシャツ姿の夏葉社・島田氏が!二冊同時発売の新刊(黒田三郎と田村隆一夫人の本!)の営業で「コンコ堂」(2012/06/20参照)に行った帰りとのこと。二人して少し顔を赤らめながら少し立ち話。「野呂邦暢古本屋写真集」を褒めていただき歓喜する。うぅ、見ていてくれて、ありがとうございます!なんだか分からぬが、無闇に勇気を分けていだいた心持ち。よし、引き続き色々がんばろう!
posted by tokusan at 19:17| Comment(8) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする