2015年05月23日

5/23群馬・高崎 珈琲と古本 ギンガム

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わりと遅く起き出したが、少しは遠くの古本屋さんを見に行きたくてしょうがなくて、一週間前に乗ったはずの湘南新宿ラインで午後一時の高崎駅。立喰いそばで昼食を摂り、西口駐輪場で無料のレンタサイクルを借り受け、街に解き放たれる。すでに初夏の爽やかさ溢れる高崎市街を、エンジ色の自転車が快調に滑って行く。やがて、西側の住宅街に滑り降りるが、目標には近付いているのに、盛大に迷ってしまう。走って来た道を見失うほどに、盛大に迷ってしまう。そこで後ほど判明した、分かり易いルートをここに記すことにする。駅からは西に進み、『渋川街道』をぐんぐん北へ。もはや繁華街の外れとなる『本町1丁目交差点』で西に入る。『旧中山道』であり『赤坂通り』でもある道は、店舗営業を辞めた「赤坂堂書店」(2009/10/04参照)前から下り坂となり、南西に下って行く。古い商家や醤油醸造所の並ぶ景色を楽しみ、下り切った『常盤町交差点』で、今度は北西へ。しばらく行くと右手に大きな『パークレーン高崎』が現れるので、正面を通過して敷地沿いに北東へ。すると左手に、小さな駐車場があり、店頭に大きな瓶と目立たぬ看板を置いた、シックなお店を発見する。日光の加減か、大きな前面の窓はピカピカとこちらの景色を映し込んでおり、店内の本棚がなかなか見え難い。それにしても、横に大きなボーリング場&スポーツジムがあるとはいえ、こんな所に古本喫茶…たどり着けた喜びと、ロケーションの意外さを心の中で捻り絡ませ、自転車を停めて店内へ進む。左に仕切られた厨房と、窓際にカウンター。そこに座っていた、ゆず・岩沢風青年が慌てふためき「いらっしゃいませ」と立ち上がる。「本を見せていただいてもいいですか?」と断りを入れ、右に広がる古本屋的スペースへ。焦げ茶を基調にしたシンプルシックで抑制が効き、整った空間である。奥壁と右壁に大きな本棚が据えられ、中央のテーブル席を囲むように、低めの本棚が展開。入口から奥に向かう狭い通路には、幻想文学・澁澤龍彦・種村季弘・海外幻想文学・バラード・バロウズ・中上健次・野坂昭如・赤瀬川原平・諸星大二郎・植草甚一・伊丹十三・安部公房・開高健・吉田健一・山口瞳・セレクトライター本などと共に、回転式音楽CDラックが置かれている。奥の壁棚には、コバルト文庫もおさえた片岡義男・小林信彦・田中小実昌・後藤明生・函入り日本純文学・平岡正明・現代思想・文芸評論・ちくま文庫・河出文庫・講談社文芸文庫・セレクト女流作家・暮らしや雑貨類のビジュアルムック・雑誌が並ぶ。向かいには写真・アート・建築・犯罪・サブカル・カルチャー雑誌。右壁棚には、中公・新潮・集英社・旺文社・講談社などの出版社別セレクト文庫の他、ロマン文庫・探偵小説系文庫と共に、下段に映画・音楽・CDが固まっている。端正でよく練られた徹底的な棚である。好みを突き詰め集めて、そこに立ち止まらずに、ちょっとだけはみ出すような一冊にも手を伸ばしているため、棚に滋味が滲んでいる。古い本はあまりなく、値段は普通〜ちょい高。これからさらにもっと突き詰め、さらに徹底的に集め、さらなる高みに上がって欲しいお店である。河出文庫「ドラキュラ ドラキュラ/種村季弘編」ちくま文庫「定本 二笑亭綺譚/式場隆三郎・藤森照信・赤瀬川原平・岸武臣・式場隆成」を購入すると、店主に古本屋ツアーであることを看破される。ひいっ、恐れ入りました。そこからこの場所での経営の厳しさや、実は本業があり、今はそちらに支えられた土日営業であることを知る。店主は「いやぁ、いつまで保つのか…」と笑いながら言っているが、いつ何時化けることがあるか分からないのだ。棚の気配が素敵なので、ふんばって化ける準備を、これからも続けていただきたい。まずは店頭がシック過ぎてアピール性5%ほどなので、『珈琲と古本』をもっと目立たせて行きましょう!

しまった、珈琲を飲めばよかった、と後悔しつつ、自転車に跨がり市街へ戻る。「文京堂」(2014/05/25参照)にキキッと乗り付け、表紙写真の中村梅之助がナイスな巨朋社「伝七捕物帳 美女夜叉/陣出達郎」とボナンザ「本の本 1976年6月号ミステリーと名探偵特集」を計300円で購入。さらに「みやま書店」(2009/02/08参照)と久しぶりの「うさぎの本棚」(2011/01/29参照)を見に行ってみるが、残念ながら共にお休みであった。
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2015年05月17日

5/16群馬・前橋 「敷島。本の森」ブックマルシェ

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午前六時過ぎに、古本ではち切れそうになった衣装ケースをキャリーカートに括り付け、雨の中をゴロゴロと駅へ。湘南新宿ラインと両毛線で午前九時過ぎの前橋駅に、時間通りに降り立つ。まだ移動しているだけなのに、すでに疲れが見え始めている…。しかしここからさらに二十分ほどバスに乗り、なかなか雨の上がらぬ敷島公園にたどり着く。公園バスターミナルから、さらにゴロゴロと広大な敷地内を彷徨い、本来の会場である松林に進入…誰もいない…当然だ。雨がまだポツポツ残っているのだから。雨天時は近くの『フリッツ・アートセンター』で開催だったな。林の白砂の道に、深い轍を残しながら、さらに彷徨いを継続する。センターは公園西側の外れに建つ現代建築である。すでに様々な準備が着々と進む入口前に、よろぼいながら到着すると、中から元気一杯の「suiran」さん(2014/05/25参照)が飛び出して来て、長旅の労をねぎらってくれた。すぐさま館内奥の小ホールに案内されると、吉祥寺「百年」さん(2008/09/25参照)「青と夜ノ空」さん(2014/10/13参照)、長野「ch.books」さん(くぅ、未踏!)が売場設営の佳境を迎えていた。みなディスプレイを工夫し、それぞれの個性をセンス良く発揮している。それは外にテントを立てて準備を進める、群馬新勢力古本屋軍団も同様である。しかし特にスゴいのは「百年」さんで、台車で古本をこれでもかと運び込み、もはやバックヤード的な状況を呈している。…いったいどうするつもりなんだ?しかしそんな人の心配をしている場合ではないので、急いで長テーブルをナナメに並べ、苦労して運び込んだ古本を面陳とブックエンド陳列に分け、いつものようにシンプル過ぎる剥き出しのディスプレイを準備万端整える。開始時間の午前十一時を迎えると、お客さんが早速館内にも流れ込んで来る。唯一外の様子がうかがえる高窓を見上げると、雨はすでに上がったようだ。お客さんは途切れることなく入って来るが、全体の雰囲気は明らかにオシャレ寄りなので、異端側の「フォニャルフ」は大いに苦戦する。目の前の「青と夜ノ空」さんでのリトルプレスと新刊への食いつき、「百年」さんのゾーン分け宝探し的激安均一祭(これも思えば会場内では異端である)の混雑っぷりに、とにかく圧倒される。それでも時折、天使のように現れるブログの読者たちに勇気を貰い(みな群馬でのそれぞれの古本屋&古本エピソードを披露され、古本屋ツーリストとして愛おしさを覚えてしまう)、おかしな本を笑いながら手にしてくれるお客さんに感謝する。中でも、ポケミス「気ちがい(サイコ)/ロバート・ブロック」を鋭い目をしながら素早く買って行った奥様、ヒチコック映画『鳥』原作のポケミスと日本野鳥の会「山野の鳥」の二冊を喜びながら買ってくれた小鳥好きのお嬢さんに、素敵な手応えを覚える。古本って、やはり偉大で奥深い!文庫はほとんど動かなかったが、絵本と古書、それにアート系が主力で売れていった。そんなこんなで午後五時半までに、計四十冊を販売。古本を買っていただいた方々、声をかけていただいた方々、本当にありがとうございました!少しだけ軽くなった荷物をまとめ、出店者のみなさんに別れの挨拶。「ch.books」さんには「お店に必ず行きます!」と取りあえず宣言しておく。一日飛び回りっ放しだった「suiran」さんに送り出され、いつの間にか夕暮れの公園内へ。するとそこには撤収作業に入っていた「kiji books」さん(2011/05/14参照)の姿が!慌てて改めてご挨拶し、もう四年前にもなる、あの苦しかった冒険と、その報酬として野呂邦暢文庫群を与えていただいたお礼を告げる。あぁ、今日は本当にここに来てよかった!そう素直に思える一日を過ごし、疲れた身体と売れ残った古本を引き摺り、帰路に着く。帰りは奮発して湘南新宿ラインのグリーン車。差し入れでいただいたキッシュと串揚げを肴に、ビールでひとり乾杯。…ハッ!そう言えば、今日は古本を一冊も買っていないじゃないか………。このイベントは明日、日曜日も開催される。
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2015年05月03日

5/3栃木・栃木 蔵の街古本まつり

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緑燃える北関東を、電車は車体を斜めにして走り続ける。まだ午前中の久方ぶりの栃木駅前は、白く閑散としていた。あっ!お気に入りの立食いそば屋が閉店している…ここで昼食を摂ろうと楽しみにしていたのに…。意気消沈してロータリーから、『蔵の街大通り』をひたすら北に向かう。帰りに寄りたかった「長谷川枕山堂」(2011/03/02参照)は、日曜定休であったか…。さらに気を落としながらも白い街路を歩き続け、巴波川を越えると、看板建築と昭和四十年代建築と蔵が混ぜこぜになった古い街並となり、やがて段々と黒い蔵が数を増して来る。ここでは『ファミリーマート』でさえも、焦茶と白の蔵カラー。駅から一キロ弱の『山車会館』に近付くと、古本市のチラシを配っている人に遭遇。さらに先へ進むと、ちょうど会館向かいの、三階建て看板建築一階の『ギャラリー煌』で、小さな古本市が開かれていた。古本市というよりは、小さな街の古本屋さんのようなので、レンガ化粧の看板建築も含め、なかなか良い眺め。店頭には古道具箱・絵本箱・鉄道箱・古漫画雑誌箱、それに文庫ワゴンの布陣。会場は逆“L”字型で、右側は帳場から始まり木箱+テーブルが連なっていく。奥と左側にはワゴン、それに木箱で造った凹型ゾーンと、奥まる左手前にはワゴンとおよそ三十の木箱が壁際に積み上がる。エッセイ・ビジュアルムック・実用・絵本・日本文学・詩集・風俗・文化・児童文学・児童書・美術・古書・栃木郷土・岩波文庫・時代劇文庫・文学復刻本・人文・科学・自然・ミステリ・雑誌・紙物(双六多し)・古道具&雑貨が寄せ集まる。値段は出店している北関東六店ごとに違うが、総じて安め〜普通な印象。帳場でレモンのように初々し過ぎる少年少女に精算してもらう。昭森社「婦人帽子の下の水蜜桃 近藤東詩集」第一書房「カメラ日記」ロマン・ブックス「恋に朽ちなん/大林清」を計1000円で購入。市は5/6まで。

そして帰りに寄ろうと思っていた所に、ことごとく寄れなかったので、うっぷんを晴らすために、激混みの両毛線で足利へ向かう。途中の富田駅が『藤まつり』のために、駅の限界を超えた地獄のような混雑に陥っているのを目撃する。栃木よりさらに寂しく白い足利の街に降り立ち、「秀文堂書店」(2009/06/14参照)に直行。行く度に梶龍雄が安値で買える不思議なお店である…おぉ、今日もあったぞ!立風ノベルス「清里高原殺人別荘/梶龍雄」ケイブンシャ「自動車大百科」山梨シルクセンター出版部「詩集 愛する歌 第二集/やなせ・たかし」小学館「長島茂雄の少年野球教室」誠文堂新光社「ネコの小事典/乾信一郎」竹村書房「皮膚と心/太宰治」を計850円で購入する。
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本日の嬉しい収穫はこの二冊。「皮膚と心」はちゃんと函付きの昭和十五年モノで500円(函は少しへたっているので、あの人に直してもらうとするか…)。「カメラ日記」は写真ハンドブックとカメラノートを兼ねた革装本。刊行者はちゃんと長谷川巳之吉で、100円!

そして明日から岡崎武志氏と新潟・長岡の旅に行って参ります。上越・中越・下越のみなさま、何とぞよろしくお願いいたします!大事なGWの二日間を、古本話に終始してみようではありませんか!
『岡崎武志&小山力也トークライブ』
1. 5月4日(月・祝)新潟・北書店 18:30〜(18:00開場)1,000円
http://www.kitashoten.blogspot.jp/
2. 5月5日(火・祝)長岡市・アオーレ長岡3F『第1協働ルーム』 17:30〜(17:00開場) 入場無料
http://nagaokabook.seesaa.net/

両日共、すでに方々で売り切れてしまった「野呂邦暢古本屋写真集」の販売あり(販売数に限りがあります)。またトーク後には有料の懇親会もあり。5月5日の『長岡一箱古本市』には岡崎氏と共同一箱を出店。
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2015年05月01日

5/1千葉・千葉 家族みんなで楽しめるゴールデンウィーク古書まつり

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今日もおかしなタイトルの古本市に心惹かれ、初日の午前中に駆け付けてみる。東口から外に出て、建物内にあるような横断歩道を渡って、巨大デパート『そごう千葉』に入り込む。広大な化粧品売場でエスカレーターを探し出し、長い時間をかけて九階へ。食べ物の匂いと共に水の流れる音がする、エスカレーター脇の『滝の広場』に足を向けると、透明ガラスを伝い落ちる涼し気な薄い水流の前に、二十台の立体ワゴンが慎ましく集合していた。わりと小ぶりな市である。ワゴンの集まる反対側には、古道具棚もある小さなステージがあり、今しもそこで紙芝居の実演が始まろうとしていた。古本を見ている人は少ないが、紙芝居を見ようとする人がポツポツ集まって来ている。ということで、暢気で朴訥とした紙芝居をBGMに、古本をのんびり眺めていく。相撲・特撮・歴史・児童絵本・文庫・コミック・プレミア漫画・大衆文学・雑誌・芸術などが並び、1/3は古道具類が占めている。ペコちゃんグッズ・ソフビ人形・おもちゃ・レコード・ソノシートもあり。本の量は多くはないが、ちょっと質の良い頼もしい市である。値段も安め。プレミア玩具や古書を飾ったガラスケース横の帳場で、超丁寧にデパート流で精算してもらう。旺文社文庫「ルコック探偵/E・ガボリオ」サンコミックス「青春裁判」「はだしのブン 下巻」共に永島慎二、小学館小学五年生昭和四十九年三月号ふろく「世界一大百科」(三人の執筆者の一人が梶竜雄(龍雄)だ!)を計1200円で購入。市は五日まで。

せっかくここまで来たので、帰りに新検見川と幕張の「草古堂」(2011/05/29&2011/01/30参照)を古本パトロールしていくことにする。すると幕張店店頭の古書棚で、文芸評論社艶筆文庫「蛇性の婬/栗田信」を500円で見つけ、頭に血を上らせる。おおぅ、これは自力で見つけた安値の『マイ・ファースト・栗田信』!貸本系のスゴい本よりは一段落ちるが、それでも私にとっては充分どひゃっほうである。100円の弘文堂「白塔の歌/豊島與志雄」(裸本)と共に購入する。

東京に戻って神保町で途中下車。すでに大物を手に入れているので、多少ぼけっとしながら「文庫川村」(2008/11/20参照)の均一台に視線を落としていると、何だか強い日射しにキラキラした「海ねこ」さん(2012/12/17参照)に声をかけられる。そしてそのまま彼女は、キラキラしながら古書会館の方へ。こちらはダラダラと街の中へ進入していく。すると「アムールショップ」(2011/08/12参照)店頭左側棚の上段に、春陽堂文庫と日本小説文庫が固まっているのに遭遇。やややっ、日本小説文庫「新奇談クラブ3/野村胡堂」発見。表紙がボロいが、喜びの方が断然大きい!
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五月最初に喜びがこみ上がる収穫二冊である。
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2015年04月29日

4/29群馬・前橋 澤口書店プロデュース大古本市

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このまるで、音楽アーティストか一流シェフの如き冠サブタイトルに惹かれ、高崎線で北関東を目指してしまっている。かつて、こんな斬新なタイトルの古本市が、あったであろうか…。午前十時前の駅頭に、室生犀星よろしく降り立ち、派手な背広の萩原朔太郎を幻視しながら、北口の自転車置場でレンタサイクルを借り出し、北へ。駅からおよそ500mほどの、白昼の閑散とした繁華街からヌッと白い身体を突き出した『スズラン百貨店』の本館へ。新しくとも、古い昭和の匂いを拭い切れない地方デパートの店内を、コツコツ歩く。エスカレーターで懸命に八階まで上がると、降り口右手に大量の古本ワゴンの気配。会場である催事場は、わりと細長く、壁に沿いながらおよそ七十台のワゴンがカクカクと連なっていく。すでにゆるゆるとお客も散らばっている。文庫多し。女性実用ムック多し。コミック多し。新しめのミステリ&エンタメ多し。美術ビジュアル本多し。というちょっと変わった古本市。古書はあまり見かけず、プレミアコミック&玩具・和本・浮世絵・プレミア古書のガラスケースあり。変わり種は除籍本のコーナーで、ワゴン五台ほどにラベルの貼られた研究学術本がドッサリと並ぶ。これもちゃんとした売り物で、値段はわりとしっかり付けられている。そして会場の様子を端的に伝えるなら、神保町の「澤口書店」(2014/04/12参照)がそのまま前橋にやって来た!という感じなのである。ちくま文庫怪奇探偵小説傑作選「城昌幸集」「横溝正史集」を計千円で購入する。市は5/5まで。

結構あっさりと見終わってしまったので、前橋の古本屋さんを少し再訪していくことにする。「煥乎堂 ふるほん書店」(2011/10/08参照)は、やはり何度訪れても何かを掴ませてくれる良いお店。講談社文芸文庫「草のつるぎ・一滴の夏/野呂邦暢」河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」国書刊行会ドラキュラ叢書「黒魔団/デニス・ホイートリ」「星を駆ける者/ジャック・ロンドン」「スカル・フェイス/R・E・ハワード」徳間書店「SF未来戦記 全艦発進せよ!/光瀬龍・福島正美・高橋泰邦・今日泊亜蘭・眉村卓」を計1850円で購入する。続いて店の外も中も風化が進みつつあるがしっかりと営業中の「大成堂書店」(2010/04/04参照)内を旅人の如く彷徨い、みやま文庫「群馬の昭和の詩人」を500円で購入。
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※以前はあった、逆さまでかろうじて付いていた『堂』の文字も、ついに無くなってしまった…。
最後に駅南側の「かっぱ文庫」(2010/04/04参照)に行ってみると、正面サッシ扉の向こうはカーテンが引かれ、扉前にはプランターが置かれてしまっている。しかし脇道側の入口は生きており、ガラスの向こうにブランクのある本棚と平台が見えている。サッシに手をかけるも…開かない。う〜む、これはお店としてやっているのだろうか?ちょっと気にかかる状態だな…。
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2015年04月21日

4/21千葉・西千葉 二代目MOON LIGHT BOOK STORE

初動は西荻窪に向かい、「フォニャルフ」&実はまだ続いている「古ツアフェア再び!@盛林堂」に補充。店内の『野呂邦暢古本屋写真展』を眺め、やはりこの写真は異常で素晴らしい!と再認識する。

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続いて総武線に乗り込み東を目指す。途中を快速でショートカットし、一時間強で西千葉駅。テクテクと目指すのは、最近店主が若い二代目に交代し、店内も改装したとの情報がある「MOON LIGHT BOOK STORE」(2011/04/06参照)である。記事タイトルが、何だかヤンキー系アーティストグループのようになってしまったが、他意はない。たどりついた店先は以前よりすっきりした感じで、100均文庫箱が二つだけ並び、あとは古道具の箱も置かれている。…改装で出た不要物だろうか…。中に入ると、先客と早速二代目が立っており「いらっしゃいませ」とぎこちない笑顔を見せる。入口右横のスペースに飛び込むと、海外文学文庫と日本文学文庫とノンフィクション系文庫、それに日本文学などが続いているが、以前とあまり変わらぬ印象…ただしとてもすっきりしている。入口左横は、ちくま文庫と講談社学術文庫棚になっており、ここはちょっと変わった模様。だがメインの左壁棚は、旅・紀行・児童文学食・酒・ノンフィクション・歴史・随筆&エッセイ・日本文学・文学評論・海外文学・詩集・出版・古本・SF・推理小説…って、これはまったく変わっていない気が。ただフロアはスッキリとしており、今は木箱をテーブルの上に載せた棚がひとつあるのみ…。本が変わっていないということは、値段はしっかり値なのである。一冊掴んで、カウンターの向こうに移動した、次長課長・河本がメガネをかけた風二代目店主に精算をお願いする。するとそこで自然と会話が交わされ、代官山「蔦屋書店」(2012/03/05参照)の元店員さんであったこと、今年の一月にお店を引き継いだこと、今はまだ棚の構築中で、これから若者向けの棚造りをして行くことなどを教えていただく。この新たなスタート地点から、何処まで個性的に変化して行くのか、また来た時に己の目でしっかと確かめることにしよう。東京文藝社「喧嘩渡り鳥/千樹大平」を500円で購入する。

さて、せっかくの西千葉だと、半地下の駅コンコースを南に抜けて、眠ったような繁華街の外れをスタスタ歩いて「鈴木書房」(2009/07/26参照)へ。すると店頭の三十均文庫でヒートアップしてしまい、粒ぞろいなヤツを九冊スパッと抜き出して店内へ。各通路をすべて通過すると、ズッシリとした一束が腕の中に!双葉文庫「怪奇探偵小説集3/鮎川哲也編」「怪談ミステリー集/中島河太郎編」創元推理文庫「ビッグ・ヒート/W・P・マッギヴァーン」「最悪のとき/W・P・マッギヴァーン」「グリーン家殺人事件/ヴァン・ダイン」(すべて白帯元パラ)「恐怖の愉しみ 上/レ・ファニュ他」「毒薬ミステリ傑作選/レイモンド・T・ボンド編」文春文庫「なんだか・おかしな・人たち」中公文庫「大阪自叙伝/藤沢桓夫」コバルト文庫「トワイライト・レディ/菊地秀行」近代社「歓楽の想い出/J・クリーランド」にれ双書「地名アイヌ語小辞典/知里真志保」(札幌「南陽堂書店」のラベルが貼られたままだ!)サンコミックス「かんぱりソーダ/いしかわじゅん」を計600円で購入し、古本買い満足感を大いに得る。
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2015年04月02日

4/2埼玉・蓮田 文具のやない

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コメントタレコミに導かれ、午前のうちに目的駅着。東口に出ると、ロータリーの向こうにはローカル低層デパート『mine』の姿。そんな駅前の大通りを南南西に100m弱。右手に青い文房具屋さんの建物が見えて来るのだが、店頭がとっても素敵なことになっている。青壁から張り出すオレンジの日除けの下に、右側には古雑貨類、中央から左にかけては魂の騒ぐ古本棚が置かれているのだ。これはどう見ても文房具屋さんではなく、完全に古本屋さんの店頭である。CDワゴンと単行本ワゴンを覗いてから、左側にはコミック棚。最近刊がバンバン含まれている。そして二つの入口の間に跨がる、大きな本棚を物色し始める。ラノベ・ティーンズ文庫・ハヤカワ文庫・新書・一般文庫・SF・ゲームソフト・ビジネス・歴史小説・図書館廃棄本・絵本が並び、多くの本が前後二重に収まっている。そこを丁寧に見て行くと、妙にSF本が多いことに気付く。値段は、ワゴンも棚も、コミックも文庫も単行本も、オール85円!質はともかく、この物価高のご時世にこの値付には、充分な賛辞を捧げたい。本を選んで店内に入ると、古本など一冊もない正真正銘文房具屋さん。奥のレジで「へい、いらっしゃい」とオヤジさんに丁重に迎えられ、サンリオ「トム・スイフトの冒険1/ビクター・エイプルトン」早川書房「あけましておめでとう計画/野田昌宏」新書館「黄昏のウィーン/須永朝彦」ちくま文庫「笑芸日記/高田文彦」集英社文庫「野の墓標/水上勉」を購入。

ビニール袋の持ち手を指に食い込ませながら、川越まで移動して「西武本川越 ぺぺ古本まつり」(2012/04/05参照)を秘密取材。緩い白昼の時間の中で、テントをはためかせるほどの風に嬲られながら、安い本ばかりを買い込んでしまう。そんな安値本の中の一番の収穫は、フレーベル館 トッパンのステレオえほん「アンデルセン名作選 おやゆびひめ」である。人形を撮影して製作した絵本で、表紙には懐かしいステレオ写真があしらわれている。値段は驚愕の300円。これが、四月最初のどひゃっほう!となる。
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「おやゆびひめ」と、もう一冊嬉しかったのは大正九年誠文堂書店「海のロマンス/米漥太刀雄」が200円。ある船乗りによる世界一周旅行記。序文は夏目漱石だが、『あなたは才に任せて書き過ぎました。文を縮める工夫に少し頭を使わなかったかを遺憾に思ふ』と作者に激しいダメ出し!スゴいな、漱石!
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2015年03月15日

3/15栃木・佐野 レトロ和家

午前八時過ぎに駅に向かい、みどりの窓口で青春18きっぷを購入し、群馬・前橋へと向かう。そして秘密の取材で「上州・大古本まつり」(2014/03/02参照)に潜入する。だがそこで8000円の新正堂「熱線博士/蘭郁二郎」と出会ってしまう。ビニール袋に入った本を手にしたまま、ピキッと派手に硬直…。背が補修してあり、裏表紙の細い袖がなく、広告ページに記名が入っている…それ以外はちゃんとしている。8000円は普通なら激高だが、蘭郁二郎が、蘭様が8000円なんてありえない!と取材そっちのけで頭に血を上らせてしまい、『今お前が買わなくてどうするんだ!』と己を叱咤して勢いで購入。財布に入っていたお札が、みんな羽根を生やして飛んで行ってしまった…た、足りてよかった。こんなはずじゃなかったのに…こんな高い本を買いに来たんじゃなかったのにと、多少後悔しながらも蘭様を家にお招きする喜びが迸り、市会場の県庁前で記念撮影。
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旅先で小銭しか持たぬ心もとない状況のまま、「煥乎堂 ふるほん書店」(2011/10/08参照)に古本修羅の習性から吸い込まれてしまうと、オレンジの函はないが昭和三十五年初版の理論社「とべたら本こ/山中恒 さしえ・岩崎ちひろ」を発見し、胸を一杯にする。素晴らしいことに100円だったのでどうにか購入。

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ATMで無事にお金を下ろし、両毛線に乗って東へガタンガタン向かう。一時間ほどで着いた佐野駅。南口に出ると、噴水広場から『駅前通り』が始まり、ここら辺一帯はゆるキャラの『さのまる』に支配されてしまっていた。静かな通りを南に下り、『佐野駅入口交差点』で『あいさつ通り』を西へ。途端にさのまるの支配感は消え去り、代わりに古く歴史ある商家が街並を支配する。三つ目の信号『本町交差点』から『昭和通り』を南に進んで行くと、これまた三つ目の信号際に商家をアレンジした古民具・古雑貨のお店が建っていた。二階に飾られたホーロー看板や、駐車場に集められた赤ポストや古家具を眺め、ナマコ壁のお店の中へ。横長な店内はガラスケースと帳場を中央にして、両側に行き止まりの通路を延ばしている。左側は古い食器(キャラ物あり)・陶器・古布・ガラス器が並び、ガラスケースには小物・人形・玩具類が飾られている。右側には古ボタン・古家具・ホーロー看板・古道具・デッドストック文房具・お菓子パッケージ・缶&壜・小家電などが集まり、立派な古道具&アンティーク屋さんなのだが、わりと女子寄りな品揃えとなっている。そしてガラスケース右側の裏に、二十冊ほどの古本が固まっていた。服飾関連を中心に、絵本・人形とこちらも女子寄り。棚の中に『ハリスの旋風』や漫画本が横積みになっているが…よし、いっちょう聞いてみるか。帳場に座るご婦人に「あのぅ、古い本はこれだけですか?」「あぁ〜、本はね、主にネットで売ってるんですよ。だから店にはこれしか置いてなくて。多分倉庫にまとめてあるのよ」というお答え。くぅ、残念。蘭様ショックから未だに抜け出せずに、財布の紐をガッチリ硬くしてしまっているので、何も買わずにお礼を言って退却する。

両毛線で小山まで出て、宇都宮線。後は真っ直ぐ帰ればいいのに、古河で途中下車して「古河書店」(2011/11/12参照)へ。しかし自転車が店内に置かれてしまうほど店が閉まっていたので、急いで西口の「たわしや」(2010/06/06参照)へ。通路がダンボール箱と古本山で、酸鼻を極めた状態になっているが、一応通行は可能。身体を横に縦にし、箱と本を大いに跨ぎ、指先を黒くしながら、春陽文庫「無法松の一生/岩下俊作」文藝春秋「笑い地獄/後藤明生」日本文芸社「物まね鳥の飼い方仕込み方/実吉達郎」を計700円で購入する。北関東一回りの、小さな旅であった。
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2015年03月08日

3/8神奈川・日ノ出町 昭和堂

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今日は純粋にツアーに行きたくなって、古本神・森英俊氏より情報を授かっていたのに放置していた、懐かしおもちゃ屋さんに向かってみる。京浜急行を横浜で各駅停車に乗り換え、ホームが弧を描く日ノ出町駅。改札から街へ、JRAに向かうオッチャンたちと共に吐き出されると、今は亡き「文昇堂」(2012/02/26参照)跡地一帯にどデカイビルが完成している嫌な光景。月日と時代の流れを目撃して、北に『野毛坂』を上がって行く。大きな坂の両側には建物がひしめいているが、左は上下に立体的な重なりを見せているので、かなりの斜面がビル群の下に隠されているようだ。坂の角度がちょっとずつ上がり始めたところで、『日ノ出町1丁目バス停』前の脇道を西へ。小さな坂の行く手には、建物がごちゃついて立ちはだかっており、上がり切ったら北へ。すると左手マンション一階右側にひっそりと、だが物欲を焚き付けるようなお店が姿を現す。巨大ケロヨン・百恵ちゃんポスター・東芝高速エスパー看板・アイドルうちわ・ドラえもんグッズ・月光仮面ぬいぐるみなどが視界に入るが、おっ!二つのプラケースに古本が!とそこに一直線。安売り絶版漫画セットと100均絶版漫画&児童文学が入っている。一冊掴んで店内に進むと、センサーに反応して「こんにちは。ぼくドラえもんです」とドラえもん(大山のぶ代)の声が響き渡る。店内はゆったりとしており、壁際にガラスケースが連続し、真ん中にコの字のレコードラックと音楽グッズガラスケースがある構造。右には小物キャラグッズ・シンプソンズ・ディズニー類・ペコちゃん・企業ものが集まり、左に仮面ライダー・ウルトラ系・アニメキャラグッズが集まる。古い物が中心だが、意外に新しいところまで手を伸ばしている。また、アニメ映画パンフ・メンコ・附録類などの紙物も混ざり込んでいる。値段は全体的に安めな印象。突然背後で「こんにちは」とドラえもんの声がするが、そこには誰もいない…こ、恐いじゃないか!気を落ち着けて、ふむふむと宝でも愛でるように、目線をあちこちに走らせて古本のありかを探して行く。奥の帳場ガラスケースに、カルタやアルバム類と共にプレミアアニメムックが飾られ、横の小さな本棚に、アニメ特撮系ムック一列と漫画が並んでいた。…これだけか。まぁ表から一冊手にしているので形にはなるのだが、それよりもすでに私の心は、左側ガラスケース下段の一体のソフビ人形に、盗まれてしまっているのだ。ドリルとキャタピラをモチーフにした、独特過ぎるフォルムの侵略ロボット兵器『モゲラ』(ブルマァク製)にである。値札には4000円とあるが、この人形は確か恐ろしく高値のはずでは…復刻なのだろうか?盗まれた心は、興奮に興奮を重ねつつ、買うべきか買わざるべきかの葛藤を深刻に深めて行く…何だかどうしようもなくなってきたので、帳場に座る東野栄治郎似のオヤジさんに「すみません、これは昔の物ですか?それとも復刻ですか?」と問い掛けてみると、「あぁ、それはね、本物なんだけど、ジャンク品。鼻のドリルがないでしょ。すぐ無くなっちゃうんだよね。だから4000円。ちゃんとしてたら、それ何十万もするから」。ああぁっ!ホントだ!鼻のドリルがない!ちょっと欲に目が眩んで、そんなことにも気付けなかったなんて(ちなみに強者はドリルを自作したりするとのこと)。大いに反省しながら講談社「名犬ラッシー/ナイト作 久米元一訳」と謎の円谷怪獣ミニカルタシートを購入する。

坂を上がって東に下って「天保堂 苅部書店」(2009/07/20参照)に立ち寄る。坂の途中にある、棚も床も坂道的に微妙に傾く古い店内を満喫し、改造社「巴里の秘密/シュー 武林夢想庵訳」を500円で購入。続いて関内に突入し、3/15で移転してしまう「中島古書店」(2012/08/14参照)へ。一階の店頭文庫棚から二冊を手にして急階段を上がると、残念なことに店は暗く閉ざされてしまっていた…あぁ、このお店に最後の挨拶をしたかったのに。上階の『ビルさよならパーティー』のざわめきを耳にしながら、落胆して階段を下りて行くと、無様に最後の一段を踏み外し、すってんころりん!降り口にまとめられた様々な物を巻込み、すってんころりん!ガラガラドシャン!と漫画のような盛大な音に、通りかかった女性が血相を変えて近寄り「大丈夫ですか?」と不安そうに一言。「大丈夫です」とすぐさま立ち上がって猛スピードで散らかった物を片付け、平気さをアピール。あぁ恥ずかしい。そして最後に手にしていた文庫を、そっと棚に戻した。何とも冴えない現店舗との別れを苦く噛み締め、痛むお尻をさすりながら帰路に着く。
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2015年02月24日

2/24埼玉・南与野 アワーズ

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先日の「孫悟空」(2015/02/09参照)に続き、コメントタレコミを基にちょっとだけ春めいた曇天の下、外出。埼京線で久々に降り立った駅西口に出て、うろ覚えの街と目前の街を同期させながら、北の『埼大通り』に出て、ただただ西へ。『新大宮バイパス』の下を潜って、およそ駅から一キロ弱。左手三階建て低層住宅の一階に、赤い看板と白ヌキ文字に取り囲まれた一軒のお店…アダルトの気配が濃厚に路上に流れ出ている…。通行人の視線を気にしながら、薄暗く退廃的な店内に入り込むと、そこは小さなセレクトコミックゾーンである。カルトコミックを主として、石森章太郎などの重鎮までを並べ、意外なほどピリッとした品揃えを見せている。そこから右を見ると、むっ!古本棚が気怠く眠るように、だが品良く、その勢力を伸ばしているじゃないか。しかも本にはパラフィンがしっかりと掛けられ、このお店がただの雑本店やリサイクル店ではないことを、如実に表している。入口から右側に歩を進めると、壁際にはラックがあり、写真集やイラスト集と共に杉浦茂。次に手塚プレミア漫画の飾られたガラスケースが続き、殿山泰司・田中小実昌・野坂昭如・大西巨人などが並んで行く。右壁にはまず猫本が飾られ、下には寺山修司なども。壁棚には映画・VHS・現代美術・竹中労・平岡正明・現代思想・社会問題・文学評論・性愛&官能・金井美恵子・笙野頼子が収まる。フロアに立つ背中合わせの棚には、水木しげる・カルトコミック・ホラー・殺人・平山夢明・澁澤龍彦・海外幻想文学・みうらじゅん・糸井重里・サブカル・江戸・杉浦日向子・山田風太郎・プロレス・大山倍逹・野球などが濃厚に並ぶ。奥は、左が広大なアダルト迷路、右奥が小ぶりのハードコアパンク空間となっており、ちなみに店全体にはハードコアパンクのBGMが流されっ放しなのである。その左側にも本棚があり、漫画評論&研究・音楽がコアに固まる。アダルト店に、物凄くしっかりしたサブカルの背骨を持つ古本屋さんが寄生している、そんなイメージを抱く。値付は高くもなく低くもなく見事にジャストで、店主が古本に対してしっかりした知識を持つことを裏付けている。しかもそれは様々なジャンルに渡って。殿山も小実昌も杉浦茂も漫画類も、ましてや後藤明生さえも的確な値付がされているのだ。なので闘いを挑むように、堅固なダムのヒビを探すように、お得な本を探し求めてしまう。そして相場より安値の、ちくま文庫「ヴィクトリア朝空想科学小説/風間賢二編」をどうにか見付け、黒ずくめのお兄さんから購入する。

帰りに北赤羽で途中下車し、丘の上のボロ本王国「桐北書店」(2014/09/16参照)を五ヶ月ぶりに訪れる。狭い通路に巧みにしゃがみ込み、タトル「老人と海/ヘミングウェイ 福田恆存訳」(裸本)春陽堂文庫「源義朝/田山花袋」ミリオンブックス「白い人・黄色い人/遠藤周作」(三版)美術出版社「大発明物語/中原祐介」を計700円で購入する。
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2015年02月21日

2/21千葉・布佐 利根文庫

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2015/02/07の意趣返しである。とうに営業を辞めているお店なのだが、どうにかコンタクトを取ることに成功し、目出度く店内を見られることになったのである。我孫子駅から成田線に乗り換え、四駅進んで下車。前回と同じく古本神・森英俊氏が同道しているが、今回は何と中古レコード&貸本神の渡辺俊文氏も一緒なのである!それにしても、田舎道をテクテク歩きながら、後ろから森氏と渡辺氏の丁々発止のやり取りを見ていると、それはまるで映画『スターウォーズ』のC-3POとR2-D2コンビのようで……おぉ、これではまるで古本スターウォーズ!などと愚かな妄想をしてしまう。東口に出ると小さな郊外の町の小さなロータリー。東北方面に駅前通りをテクテク進む。商店がチラホラ点在するが、基本的にはかなり寂し気である。『布佐駅入口交差点』で北に曲がり、およそ90度のカーブをクリアすると、道は次第に上り坂になって行く。それは土手下の街道と家々の上に差し掛かり、やがて行く手の利根川を越える『栄橋』となるのだが、土手上の信号手前で足下の街道への袖階段を下る。すると街道を挟んだ目の前に、凛々しく利根川の水気と街道の粉塵を被り続けて乗り越えて来た、THE・しもた家な古民家が建っていた。しかし訪問を連絡してあるのに、通りに面したカーテンは、前日のように閉じられていた。さらに人影も見えぬので不安になるが、しばらくすると横手のドアがカチャッと開き、鳥打ち帽を被り、袖の無い毛織ダブルのジャケットを着込んだ、老紳士が笑顔と共に丁重に迎え入れてくれた。太い梁が天井を支える横長な店内。窓際には背の低い本棚が横長く続き、その正面に背中合わせの長く立派な本棚が立ちはだかる。壁際には本棚が連なり、中央にはテーブルと応接セット。ドアの左横は少し奥まっており、店主の指定席とさらなる本棚が据えられている。店内は手入れも行き届き、現役感充分…だが!とても硬い!どこもかしこも重厚に教養深く硬い!すでに店内に散った二人の神も、この状況に少なからず戸惑っているようだ。街道側の通路には、海外文学文庫・原発関連・旅・中国・ヨーロッパ・創価学会関連・新潮文庫・講談社文庫・講談社文芸&学術文庫・政治学・マルクス関連・資本論・社会科学系スクラップ…ちなみに文庫も見事なまでに硬めなのである。棚の裏側には、経済学・新書・音楽が並び、壁棚には社会科学・映画・世界旅行写真アルバム(大量)・さらに新書などが、ガチガチガチガチ連続する。森氏はこの厳しい状況の中、どこから見つけ出したのかと呆れてしまう、創元推理文庫を一冊手にしている。渡辺氏は棚の隅っこに固められたシングルレコード、点在するLPレコードを目ざとく発見し、集中力を最大限に発揮して選別中。こちらもどうにか二冊を見出し、後は応接セットで珈琲をご馳走になりながら、実は元大学の学長である店主の、社会経済学講義を神妙に拝聴する。百年以上経った古建築の屋根の下で、アベノミクスやピケティやアメリカ経済が一刀両断されて行く…。止まらぬ弁舌を三十分近く受け止めるが、森氏の「電車の時間が…」と腕時計を指し示す機転により、こちらが値付けする精算タイムに移る。ケイブンシャの大百科「カメラ入門教室大百科」新潮社「帰りたい風景/洲之内徹」を計千円で購入させていただく。わざわざお店を開けていただき、ありがとうございました。

帰路はまずは柏で途中下車し、「太平書林」(2010/06/03参照)にて、ちくま文庫「虫類図譜(全)/辻まこと」ソノラマ文庫「怪人摩天郎/飯野文彦」を計500円で購入し、この寒いのにモナカアイスを頬張る二神に挟まれてさらに電車移動。「鷹山堂」(2009/05/17参照)に突入し、意外な三人の組み合わせに、いつも以上に大きな目玉を眼鏡越しにギョロつかせる店主・沖田氏に挨拶。三人でそれぞれの目指す場所をそれぞれのやり方で精査し、とても嬉しいボーイズサスペンスライブラリー「恐怖を買う男/山下輸一」を森氏に薦められるまま握り締め、大都書房「理想の新婚/鹿島孝二」と合わせて計2500円で購入する。最後は駅外階段下でそれぞれタイヤキを買い、ホームにて三人とも早速かぶりつき、上総の小さな古本旅に幕を下ろす。
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「理想の新婚」の巻末広告を見ると、ふわっ!大坂圭吉「ほがらか夫人」の広告が!一円六十銭か…。
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2015年02月15日

2/15フェアと市をハシゴする

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●神奈川・センター南「有隣堂センター南駅店・古書フェア」
東横線日吉駅から乗り換えた横浜市営地下鉄グリーンラインは、小さく短い四両編成で、関東ローム層下の闇を疾駆する。センター北で、丘陵が都市に侵食されつつある地上に出て、至近の次駅で下車。ホームからさらに上の駅舎に上がり、改札を抜けて前進する。四角く延びる構内通路は、やがて明るく人工物だらけの広場に出るが、その手前右側の『有隣堂』前で、柱やウィンドウ前に細長く地味に広がる古本を満載した26のワゴンが、開始間もないのに多くの人を捕らえていた。雑本・横浜・歴史・絵本・児童書・ビジュアル洋書・文庫・新書・映画・宝塚・戦争・文学復刻本・雑誌・紙物・古書・全集・料理などが、お店ごとの様々な値で並んでいる。もちろん私は安い本狙いでかぶりつき、「ほづみ書店」「古書リネン」「橘書房」に魅入られる。通路を吹き抜ける冷たい風に震えながら、ひのまる出版社「探偵たん子」実業之日本社「忍法小説 怪異二挺根銃/山田風太郎」自由国民文庫「近世名勝負物語2 細菌の猟人・黄金街の覇者/村松梢風」新潮文庫「音楽少年漂流記/細野晴臣」を購入。市は今月24日まで。

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●東京・自由が丘「みかも一箱古本市」
来たコースを逆戻りし、自由が丘で下車。南口からお洒落な雑踏に吐き出され、『マリクレール通り』を東に進み、『自由通り』を南に進み、『奥沢教会』前で東に折れると、たちまち高級住宅街の中。その真っ直ぐな道の先に、こんもりとした緑が見えている。近付いて行くと、杉の生垣に囲まれた立木と小ぶりで瀟洒な洋館の屋根が見えている。まるっきり児童文学的ロケーションなのだが、ここは『読書空間みかも』というスペースで、今日は一箱古本市が開かれているのである。小さな門に近付くと「いらっしゃいませ」と、市の主催者である「まりら書房」さん(2009/03/23&2013/09/10参照)に声を掛けられる。いつぞやは何も買わずに失礼しましたと平身低頭しながら、ずーっと気になっていたことを聞いてみる。「あの、まりら書房の“まりら”は、やっぱり『赤毛のアン』から…」「そう。マリラとマシュウ。カスバートよ」とズバリ返って来た。やはりそうだったんですか。これが聞けただけでも来た甲斐がありましたと、八面六臂の活躍をするレインボーブックスさんにも挨拶し、いよいよ門内へ。踏み込んだ途端に、もう市は始まっていた。曲がりくねって玄関まで続く飛石の両脇に、古本や雑貨の入った箱が連続する。ひとつひとつ覗き込んで前進し、靴を脱いで邸内にお邪魔すると、玄関から廊下、それに応接間にかけて出店が続いて行く。出店は十五ほどで、本とも人とも距離が近く、しかも結構賑わっているので、誰が店主なのか客なのか微妙に分からぬほどに渾然!しかしそれが何やら人の間に親しみを生み出し、皆この古本修羅にも無垢な笑顔を投げ掛けてくれたりする。応接間に入り込む陽光と、人の優しさが胸にグサリ。それでもしっかりと古本は吟味し、やけに水木しげるの本が多いことを感じつつ、鶴書房「すばらしい超能力時代/北川幸比古」光文社古典新訳文庫「秘書綺譚/ブラックウッド」岩波書店「ききみみずきん/文・木下順二 絵・初山滋」味の素本舗鈴木商店「四季の支那料理」(以下、この本を買ったとき代金を預かってくれた隣りのご婦人との会話。「これは何の本?」「昔の支那料理の作り方の本です」「まぁ。お料理なさるの?」「いいえ、ただ読むんです」「えっ…」「あっ、こういう昔の本って、その当時の風俗や様子が分かって面白いんですよ」「まぁ…そうなの。でも料理はなさらないんでしょ」「えぇ、そうなんですけど。でも、ほら絵も載ってますし、あまり見ない料理も載ってますし、読むだけでも楽しめるんですよ」「そうなの…でも料理しないのに…不思議…」)を購入する。市はこれからも偶数月の第三日曜日に開かれるとのこと。
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2015年02月09日

2/9神奈川 反町 孫悟空

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コメントタレコミに導かれ、東急東横線で横浜一歩手前まで進む。地下深くにあるホームから、長い時間をかけて地上に出ると、小さな駅前広場の向こうには『国道1号』がのさばっている。そのまま西に向かい、独特な片流れの屋根が途切れ途切れに架かる古い商店の前を掠めて行くと、すぐに『反町駅前交差点』。さらに先へ進んで、巨大三叉路『泉町交差点』に到達。対岸には、後で寄ろうと決めている「ひだ文庫」(2009/04/19参照)営業中の姿が、頼もしく輝いている。坂には上がらず道なりに国道を進めば、100mほどでいかがわしい装飾のお店が目に入り出す。一見は毒々しいアダルト店で、看板には店名由来の如意棒や筋斗雲らしきイラストが散りばめられている。賑々しい自動ドアから中に入れば、フィギュアや雑貨プラケースが出迎えてくれる。ごちゃごちゃと棚が迫って見通しは利かぬが、恐らく左側に三本の通路が潜み、右側の棚裏に帳場、そして正面最奥通路の向こうにアダルトゾーンが控えている模様。右には雑本の棚が見えているが、まずは真ん中通路に歩を進めると、コミック・グラビア雑誌・廉価コミック・VHSが棚の両側に蔓延っているが、下半分に文庫や単行本が、立体的に、そして二重にどっしりと詰まっているのが目に入る。こ、これは侮っていたな、と屈服するようにしゃがみ込み視線を走らせて行くと、おっ!買える、買えるぞ!とたちまち数冊を掴み出し、さらに目を血走らせて行く。通り側の通路は袋小路になっており、コミック・ノベルス・ソノラマ文庫(SF)・ラノベ・雑貨・ビジュアルムック・児童書などが集まっている。通路を引き返して最奥通路にに入り込む。ここで右側にようやく帳場が見え、どっしりした青年が作業中。ここにも文庫棚があり、それ以降は資格・ビジネス・文学中心雑本50音順・アダルトゾーン入口(人気)・新書・海外文学・辞書・映画DVD・絶版VHSが揃って行く。非常に雑本的であるが、アダルト店的外見に反して本の量は意外に多く、所々から面白い本がひょこっと見つかる。何たって本が安いのがいい。大体216円〜315円平均!ウハウハと小さな喜びを味わい、ちくま文庫「尾崎翠集成 上・下」「テロルの系譜/かわぐちかいじ」講談社大衆文学館「髑髏検校/横溝正史」CQ出版社「コミック版ハム問題集/すがやみつる」を購入する。二重の奥をしっかり掘り返せば、まだまだ買えそうだな…。

ビルの陰の寒さは厳しいが、足取り軽く「ひだ文庫」に向かい、店頭と狭い通路の店内をじっくりと見て行く。すると奥の通路でキラッと光ったのは、集団形星「風光る丘/小沼丹」である。昭和43年刊のユーモア小説だが、これは確か珍しいのでは…恐る恐る値段を見ると、3000円である。普通に考えると値は張るが、この本にしては安いのでは…か、確信が持てない…ぐっ、買うべきか、買わざるべきか…本を手にしたまま、凍ったように動きを停めて、かなり悩む。…あっ、そうか。この話は確か未知谷から再刊されたはずだが、定価は3000円以上したはずだ。ならば、こっちの方がお得じゃないか。何たってオリジナルだし、と己の説得に成功し、ようやく心を決める。帳場でオヤジさんに本を手渡すと、「オッ」と声を上げ、一瞬色めき立つ。他に学研「クトゥルー怪異録」角川書店「喘ぎ泣く死美人/横溝正史」と合わせ、計3500円で購入してしまう。
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小沼本の価値については、追跡調査しなければ…。
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2015年02月03日

2/3神奈川・鶴見 道具屋C,1

閉まっているのを覚悟して、京浜東北線に乗って古本屋さんの幻影を追い求める。東口に出て、京浜急行の高架を潜り『第一京浜』に出る。中央分離帯に生い茂る緑を見上げ、南にスタスタ進めば、やがて『本町通入口交差点』。東に向かって行く手がパァッと開けると共に、潮の香りが鼻をくすぐる。幅が100mほどと雄大になった鶴見川を、湾曲した潮見橋で渡る。橋の上には何故だか警官が五人も集まっている。橋を渡り切ると、ごちゃついた裏町的な鶴見から、川を隔てたうらぶれた下町へと変化する。真っ直ぐ進めば、歩道に屋根の架かる『本町通商店街』で、半分ほど開いているのは、ほとんどが昔ながらの個人商店である。そのひとつに、目指して来た古本屋さんを見出すが、残念ながらシャッターは下ろされたまま。
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看板やテント日除けはしっかりしているが、予想通り長らく営業していない雰囲気が漂う。はぁ…この長細いお店には、どんな棚と古本が並んでいたのだろうか…。古本修羅の習慣として、いたずらに想像を逞しくして、来た道を引き返す。残念な結果であるが、実はそう落胆はしていない。何故なら途中の古道具屋さんの奥に、古本棚があるのを目撃していたからである!

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潮見橋からは100mほどの右手、店頭歩道に古着や古雑貨を並べたお店がある。中に入ると、昭和的に古く横長で、右側ガラスケースの奥に、大小の棚を寄せ集めた古本ゾーンが見えている。棚の上にはダンボール製の『BOOK』看板が乗り、古本が決してないがしろにされていないのが伝わって来る。単行本・文庫本・ムックが200冊ほど並ぶが、妙に高尚で文芸的で、出版や本関連が目立っている。つまりは街のような大衆性があまり認められないのだ。単行本は500円で文庫は200円。ちくま文庫「たましいの場所/早川義夫」を購入する。

橋の向こうに戻って、裏町にある「閑古堂書店」(2009/04/05参照)に立ち寄る。店主と言葉を交わし、右奥の通路に入れるようになったことを讃え、カッパ・ノベルス「虹の舞台/陳舜臣」集英社文庫「恐怖省/堀晃」双葉社「別冊実話特報 歴史の蔭に踊った世界の海賊・群盗」を計700円で購入。陽が落ち始めて気温の段々下がる中、続いて西口の「西田書店」(2010/01/07参照)。ぬぉ!今日は店頭棚との相性が、物凄くグッドな気配だと、たちまち七冊を手にしてしまう。第二書房「女探偵/中山保江」(序文江戸川乱歩)角川書店「愚連隊/獅子文六」駿河台書房「冗談十年(上)/三木鶏郎」(裸本)アロー出版社「森村誠一氏推理小説の間違い探し/秋庭俊孝」とここまではまぁまぁ。しかしその後は見事なまでのどひゃっほう三連発に!小山書店「乗合馬車/中里恒子」(函ナシ。奥付の印影は何故か横光利一作!)新潮社「反少女の灰皿/矢川澄子」(わりと珍しく、奇麗な本でパラフィンも掛かっているのに何故100円?)譚奇會「不適応者の群れ(下)/珠州九」(千草忠夫別名儀のSFSM小説。さし絵は椋陽児!)を、やった!とガサガサ抱え込み、店頭の木の下で興奮。もう一度漏れがないかすべての棚をチェックして店内に駆け込み、計700円で購入する。ありがとう鶴見。ありがとう西田書店!
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左から「乗合馬車」「不定応者の群れ(下)」「反少女の灰皿」。
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2015年01月28日

1/28埼玉・大宮 フタバ図書 GIGA大宮店

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西口に出ると、大都会の趣きの空中広場。南に回り込んで地上に下りて、後は『三橋中央通り』を愚直に西進して行く。ビルの足下で冷たい強風に巻かれながら300mも歩くと、途端に空の大きい地方都市の光景が広がり始める。さらにセカセカと西に歩き続け、静電気を体内に着々とチャージし、八つの信号をやり過ごして駅から一キロ強。道路沿いの住宅街の中に、ドカンと大きな工場のような店舗が姿を見せる。「南砂町店」(2013/09/06参照)などもある、リサイクル本も扱う大型新刊書店である。中に入ると、一階は広い新刊書店。ボコボコ足音を階段に響かせて二階へ上がると、メインは新刊コミック売場だが、奥にしっかりとリサイクル本ゾーンが設けられている。そこでも中古コミックが幅を利かせているが、古本の流れは右側中ほどのレジ前から、右奥のスペースへと大きく続く。レジ前には100〜150円文庫ワゴンが置かれ、奥に向かってさらにコミックセット棚・300均単行本ワゴン・100〜150円文庫ワゴンが続き、壁棚には月ごとの近刊単行本が並ぶ。奥に進んで四本の古本通路を持つ空間の前。特価本ラックや、ここにも100〜150円文庫ワゴンが三つ…結構ワゴンの多いお店である(しかもワゴンは大抵が二階建て)。右の第一通路からタレント・サブカル・実用・映画・スポーツ・ノンフィクション・児童本・ミステリ&エンタメ・海外文学・ケータイ小説・ライトファンタジー、そして心理学・文芸・歴史など硬いものが少しだけ。奥壁は学参・雑学文庫・ノベルス・新書・100〜150児童本が並ぶ。第二通路は日本文学文庫、第三通路は時代劇文庫・海外文学文庫・ビジネス、そして左端の通路は100〜150円文庫・オールジャンル特価本が壁棚に収まっている。新しい本ばかりで、見た目はまるっきり新刊書店。値段は定価の半額である。ワゴン・特価棚・100〜150円文庫に少しだけ古い本も含まれるが、それでも本はピカピカツヤツヤである。う〜むう〜むと唸りつつ、何も買えないかもと危惧していると、ややっ!100円ノベルスの端に、ツヤツヤの梶龍雄を二冊発見して大喜び!桃園書房「野天風呂殺人事件」サンケイ出版「浅草殺人ラプソディ」共に梶龍雄、ちくま文庫「クマにあったらどうするか/姉崎等」を購入。

冷風にまたもや巻かれて駅方面に引き返し、せっかくなので「橋本書店」(2008/11/22参照)に立ち寄ることにする。店頭から店内まで、さっきまでとは打って変わった、古い本満載のうらぶれた空間に身を落ち着かせ、文春文庫「ホシは誰だ?」集英社文庫「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」講談社カラーテレビ版ムーミン名作絵ばなし「さよならガオガオ」(函ナシ)を計400円で購入する。やっぱり街の古本屋さんは、こうモヒャッとしてて、いいなぁ。
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2015年01月24日

1/24千葉・我孫子 本のさんぽ道

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常磐線で手賀沼の畔に広がる街へ。ウルトラスタンプラリーの『ガラモン』への列を横目に北口へ下りる。小さなロータリーを東寄りに北に抜けると『西原地下歩道』の入口が出現するので、素直に入り込んで、北側の窪地に広がる住宅街へ進む。そのまま道なりに北に200m強進むと、目線の上に『水戸街道』の激しい流れ。しかしそこには合流せずに、またも現れた地下道を潜って北側歩道に顔を出す。後は街道沿いに東に歩いて行けば、『久寺家交差点』手前に建つ、大きく細長く黄緑色の古本屋さんにたどり着く。入口は目立たず、何だか閉じた函のようなお店である。中に進むと、まずはゲームコミックゾーンが見通し悪く広がり、奥に入り込んで行くと左に細長い帳場を確認する。そこには新入荷の単行本と文庫本の並ぶ棚が、一本ずつ置かれている。さらに奥に入り込むと、そこにはまたもやコミック売場が広がって行くのだが、透かし見た右壁に六本の110均単行本棚を発見。ビジネスやエッセイが多いが、古い文学や人文書も混ざり、ちょっと油断の出来ない感じ。横向きの雑誌&ムック・海外文学文庫棚を過ぎると、壁棚はさらに古本で埋まり続け、雑学文庫&翻訳文庫・スポーツ・芸能・映画・美術・句集・哲学思想・ノンフィクション・海外文学・ミステリ&エンタメとつながって行く。この辺りにはセロファン梱包された本のゾーンがあり、ネット販売と共用の模様。中にはプレミア値の付けられた本もチラリ。向かいの通路棚には、児童文学・女性実用・資格・語学・ビジネス・政治社会・旅・雑学が並ぶ。奥のハーレクイン棚を回り込み、左隣の通路に滑り込むと、そこは平台も含めた十一本の棚が対になる十メートル余の日本文学文庫通路であった。しっかりとしたリサイクル古書店である。新しめの本がメインだが、110均棚に希望があり、プレミア本にちょっとだけ光あり。値段は普通。新潮社「随筆集 遠くのこだま/福永武彦」光文社文庫「眼/水上勉」を購入。しかしこの収穫では、最近とみに貪欲な古本魂が到底満足出来るわけはないので、常磐線で一下りして柏の「太平書林」(2010/06/03参照)へ。何だか古い本がいやに目につくので、ついつい気になっていちいち見てしまう。たっぷりと細い通路を回遊し、春陽堂文庫「日和下駄/永井荷風」光文社 少年1964年6月号ふろく「鉄人28号/横山光輝」(極美で400円なので焦って買ったら、本文の最初の三ページが破られていた…くくぅ)隆文館圖書「奇物凡物/鵜崎鷺城」(裸本だが300円とはどひゃっほう!大正四年刊。華族・政治家・軍人・博士について書かれた人物評論だが、酒乱の大博物学者・南方熊楠の項には殊更爽快感を覚える)盛文館書店「山の伝説と情話」(大阪朝日新聞が読者より募集した、山に関わる隠れた怪奇なる伝説情話集。大正十三年七版。姉妹編に「海の伝説と情話」もあり、こっちも欲しい!)を計1350円で購入する。カッコ内でこれだけ語ってしまうほど、大満足す。今日の「太平書林」は物凄く良かった…。

そのまま勢いに駆られるようにして、新松戸で武蔵野線に乗り換えて南に向かい、さらに総武線で昨日来たばかりの新小岩。心残りをやはりどうにかしたいと「誓和堂」(2015/01/24参照)に二日連続で駆け付けると、今日は開いていた!早速中に飛び込み店主に挨拶し、奥の棚から心残りをズイッと掴み出す!それは、東宝映画「獣人雪男」の海賊版ビデオ!本多猪四郎監督・岡本喜八監督助手・香山滋原作で、様々な表現問題から封印されてしまった作品である(名画座では上映されることあり)。4500円という値段に最初は臆し、そっと棚に戻してしまったのであるが、一度気になってしまうとどうしても欲しくて見たくなり、結局悶え苦しむ心残りの一週間を過ごす羽目に陥ったのであった。これでめでたしめでたしなのだが、憑き物が落ちたところで、ここ最近の散財を反省し、しばらくの間財布の紐をギュッと締めることを、己に課すことに決める…果たして守れるかどうか…あぁ…。
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期せずして“山の伝説”コンボになった気が。右は「奇物凡物」。
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2015年01月10日

1/10神奈川・鴨宮 古書店 楽々堂

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青春18きっぷのラストで、東海道線に乗車。神奈川県の湾岸沿いを流れ落ちるように進み、湘南や別荘地帯を駆け抜け、観光地・小田原の一歩手前で下車する。駅の周囲には低層の住宅が建て込み、南には西湘バイパス越しの相模湾のきらめきがチラリと見え、北と西には迫り来る丹沢山系の勇姿。北口に出ると小さなロータリーで、そこから雰囲気は古いが現役な『鴨宮北口商店街』を北進する。途中に、横尾忠則が喜びそうなY字路が見事に向かい合ったX型の部分が現れるので、そのまま北へ東寄りの道を選び、殺風景な東海道新幹線高架にぶつかったらそれをなぞるように一直線に北東へ。やがて車通りの多い『巡礼街道』の『菊川ガード下信号』に出る。街道を松の木の生えた『美濃里橋交差点』まで東に進み、橋は渡らず酒匂堰の左岸を北に進んで高架を潜り、後はひたすらまっしぐら。するとおよそ駅から1.5キロ。左側に『本・CD・DVD』『古本市』などの幟を翻す、広い敷地が現れる。奥を見ると倉庫然とした巨大な建物があり、その中央の一部が、小さな古本屋さんとして胸襟を開いてくれていた。ここは、本体の買取専門店『ネットショップGAKU』が倉庫の一角を利用して、週末だけ開けている100均のお店なのである。存在だけでもはや嬉しい、ひゃっほうなお店!もしかしたら、良い出物がしれっと並んでいるかもしれない…いつものようにそんな都合の良い期待に勝手に震え、ちょっと薄暗くうすら寒い、棚で仕切られ造られた八畳ほどの空間に潜り込む。すると目に入った貼紙により、ここが無人販売店であることを知る。入ってすぐ右に文庫棚があり、下には廉価コミックの列。そして奥の下部に、無人店の要である料金箱が取付けられている。左にはムック&雑誌ラックがあり、裏には同様に100均のCD棚が立っている。中に進むと左にフロアが広がっており、正面の五本の棚には旅・ガイド・児童文学・実用全般・ミステリ&エンタメが収まり、下には括られた安値の全集やお香が端正に並べられている。フロア中央には、コミック・辞書・写真集・DVD・VHSを並べた棚やラックが固まる。入口側にはCD棚と共に、絵本・パンフ類・ビジュアルムック・図録の並ぶ大型ラックがあり、下には絵本やムックの詰まったプラ箱が二つ置かれている。そして左壁は、ニンマリと嬉しい『古書・なつかし本』棚となっており、ここまでキレイで新しめの本が多かったのが、まるで嘘のように茶色く長い時を潜り抜けて来た本ばかりを揃えている。美術・詩集・復刻本・児童文学・野球・日本文学・仙花紙本・学術本・文化・ハヤカワポケSF・政治社会など、少し硬めな傾向である。だが、おぉ100円!と貪るように本を積み重ねて行く。ロマン・ブックス「誰も知らない/藤沢桓夫」小山書店「詩學敍説/ヴァレリー」三瀬商店「現代婦人手藝全集 欧風刺繍篇」荒地出版社「ポケット続冗談辞典/関保義編」学研「六つのナポレオン像/コナン・ドイル」文禄堂書店「筆の雫/大町桂月」サン企画「サンえかきうたテレビえほん バビル2世」中央公論社「マイアミ沖殺人事件/デニス・ホイートリー」文藝春秋「明治・大正・昭和 日本の作家一〇〇人」。そして本日一番の獲物は、大阪の出版社・巧人社の「ヴェルレームの詩/松山敏訳」。函から本を抜き出すと、表紙に立体的なレリーフ装が施されているのだ!その立派な存在感は、まるで映画『死霊のはらわた』のネクロノミコンのようである!おまけに“ヴェルレーム”が誰のことかと思えば、ポール・ヴェルレーヌのことなのである。扉や本文は“ヴェルレーヌ”なので、函や表紙の“ヴェルレーム”はやはり誤植なのでは…。
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と、これでぴったり千円!定点観測をしなければならぬお店が、また新たに出現してしまった。そう確信して、本を詰めた袋を抱えて駅へスタコラ。

せっかくなので小田原まで出て、コインロッカーに本を預けて「高野書店」(2010/03/13参照)。郷土色が増大した小さな店内を一周し、夢工房「トーマス栗原/服部博」を700円で購入する。続いて「お壕端古書店」(2009/05/03参照)にも足を延ばすが、電光掲示板はキラキラしているのにシャッターダウン…最近何だか入れていないので非常に残念。その憂さを晴らすために『守谷製パン店』に急行して甘食を買おうとするが、まだ午後二時なのにもう売り切れ。悄然として、代わりにおはぎのような形状のピーナッツとレーズンのクッキーを買うことにする。帰りの電車でむしゃぶりついてみると、ザクザクポロポロで、これがちゃんと美味しいのであった。
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2014年12月11日

12/11神奈川・白楽 Tweed Books

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西側の地上改札からダイレクトに街に流れ出て、大きな広い坂道の『六角橋商店街』を南西へ下る。坂の途中で「たけうま書房」さん(2013/03/29参照)とバッタリして、慌ててご挨拶。今日は惜しまれつつ当地での店舗を畳んだ「猫企画」(2014/11/21参照)の跡地に、半年の期間限定ではあるが、スマートに尖った古本屋さんが高らかに産声を上げたのである。坂の途中の『六角橋仲見世入口』の角にある、そのお店に近付くと、当然「猫企画」と寸分変わらぬ佇まいなのだが、自由奔放なイラスト看板は塗り潰され、通りに面したウィンドウも洒落た雑誌類が飾られ、アート系古書店的雰囲気を醸し出している。横丁から店内に入ると、立ちはだかったのは予想だにしなかった岡崎武志氏だったので、ご挨拶…まさか六角橋でお会いする日が来るなんて…。右隅の小さな帳場から立ち上がった、ツイードスーツに蝶ネクタイにハンチングという古本屋にあるまじきトラッドスタイルの、すでに顔見知りの店主とも挨拶を交わす。あぁ、本当に古本屋さんになったとは。何と思い切り、何と頼もしいことか!床の丸タイルの感触と色彩を楽しみ、小さな空間の壁際に巡らされた棚を見る。左の窓側にはセレクトされた日本文学・探偵小説・幻想文学・シブサワ&タネムラ・古本関連・海外文学・これらに準ずる文庫・ジャズ・音楽と並び、奥の階段下の新刊リトルプレスやCD類までつながって行く。白い正面壁棚には、ファッション・服飾風俗が登場し、右側のトラッド・アイビー・ファッションビジュアル・ファッション雑誌へと連鎖する。最下段には店主の私物であろう高そうな、本革のウィングチップシューズが飾られている。帳場前にはアート関連の棚があり、フロア中央には小さな100均文庫棚と小さな安売りワゴンが置かれている。限定店舗+特急開店準備ということで、冊数はそこまで多くなく、本は古くて1960年代。意外なのは店主が人生を賭けるファッション系一辺倒ではなしに、文学やミステリにも棚を割くところに、将来正式開店した店舗の様子が、薄ぼんやりと頭に浮かぶ。値段は安めのものもあれば、しっかり値のものも。三省堂「田村隆一ミステリの料理事典」朝日文芸文庫「十字街/久生十蘭」桃源社「怪異あさひの鎧/国枝史郎」ハヤカワ・ライブラリ「狂乱の1920年代/大原寿人」を購入する。ヨコハマに、新たな暖かい古本屋の灯りが、ポツリと点る。ひとまず開店おめでとうございます!

この後は、もはや古本屋開店指導員のように、様々に役立つアドバイスをする岡崎武志氏と肩を並べて、坂の先の「鐵塔書院」(2008/08/15参照)に突入。春陽文庫「パノラマ島奇談(改訂版)/江戸川乱歩」(裸本)を500円でついつい購入してしまう。さらに氏と極狭アーケードの喫茶店に腰を落ち着け、古本屋情報交換+段々と死刑執行のように迫って来る21日の2人古本市とトークショーについて、対策を協議する。

そして夜、地元駅の改札越しに、編集M氏より「古本屋ツアー・イン・神保町」二刷の献本を受け取る。じいんと胸に嬉しさが込み上げる、一足も二足も早いクリスマスプレゼント!
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2014年12月10日

12/9古本屋のバイトに身をやつし日下三蔵氏の書庫に潜入する

時刻は午前八時。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店主・小野氏、井山夏生氏、そして私を乗せたワンボックスカーが、神奈川県東南のある市の高台の住宅地にある、一軒の住宅を目指してひた走っている。二時間をかけてちょうど午前十時に目的地に到着し、「本の雑誌」でお馴染みのおじさん三人組と合流する。本日は「本の雑誌」による、ミステリ・SF評論家の日下三蔵氏が古本屋に本を初めてまとめて売るという、前代未聞な企画の取材日なのである。一度でいいから、あの喜国雅彦氏の『本棚探偵シリーズ』で全国に名を轟かせることになった、日下氏の壮絶で壮大な古本生活を目にしたくて、日下氏の指名により本を買い取る役目を請け負った盛林堂のバイトAとして、密かに意気込み乗り込ませてもらったわけなのである。

日下氏宅は、一見して何の変哲もない普通の住宅…しかしドヤドヤと前庭に招き入れられ、ひとたび庭に面した部屋のシャッターを押し上げると、そこには突然本の壁が燦然とそびえ立っていた…うぉぉ、閑静な住宅街の家の中に、こんな楽しく鬼気迫る光景が隠されているとは…。全員が戦きながらも、次々と開かれた窓から、入り込む余地のない部屋(ここは仕事部屋で、働くスペースがまるでコックピットのように、人間ひとりを収めるカタチとなっている)。ひとりひとりが覗き込む順番待ちをしているその光景は、まるで家宅捜索に入る寸前の捜査員のよう!それを日下氏は冷静に見やりながら、裏の倉庫や家の構成や書庫の範囲について細かく案内を続けている。
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そして続いて招き入れられたのは玄関部分。「全員は絶対に入れませんから」の言葉にワクワクしながら列を成して中に進むと、待ち構えていたのは非常に不安定で結構な高度を誇る本タワーの連続であった。新しめのミステリ系文庫や単行本に挟まれ、突然の栗田信!そして不安定なタワーの上部に永瀬三吾っ!
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クラクラと目眩を覚え、決してこれは崩してはならぬと思っているところに、日下氏の「本は崩さないで下さい。無闇に触らないで下さい。気をつけて下さい」の言葉が届く…思わず緊張。奥の階段前にも容赦無く本タワーが連なって行く。トイレのドア前にも本の山が立ちはだかっている…しかも結構な少年探偵系レア本がしれっとしれっと…。寝室の扉の前にも当然の如く本の山が積み重なっている。現時点でかろうじて入れそうなのは、半開き出来る扉が嬉しい、書庫と仕事場のみ。それでもそこに入るには、決して崩してはならぬ本の山を乗り越えなければならない。小野氏・カメラマン氏の後に、赤外線センサーの赤い光線を華麗に避ける怪盗のように、苦しいポーズを取りながら書庫の中へと入り込む。日下氏の監視の元、一歩も動けぬ状態ながら、三本の通路に物凄い本が吹き荒れるのに圧倒され、気が付けば視線の先には崩れている楠田匡介ゾーン…ぎゃああ!「都会の怪獣」がっ!とワナワナしてしまい、書棚から一冊の本を引っかけて落としてしまう。すみません…「火星のおとしあな」を落としてまいました、というと「それは都筑道夫訳」ですと親切に教えていただく。これ以上ここにいたら危険である。慎重を期して玄関部分に無事に戻ったと思ったら、下駄箱の上にあった郵便物の山を崩してしまう…ひぃぃ、ごめんなさいと、素早く現状復帰に勤しむ。しかし戦きながらも、書庫の前にも寝室の前にもトイレの前にも本の山がありますが、これはどうしているんですか?と聞いてみると、「入る時は退かします」とのこと。おぉ、日下氏は、まるでドアノブを捻るが如く、不安定な本の山を退かすことが、当たり前の行動となっていたのである!それはあくまでも日常の所作なのである!…もう本当に尊敬します。その後は寝室の本の山をまたもや表の窓側から鑑賞し、裏手に回って三棟の物置倉庫を見学。あの喜国氏のレポートは、大げさではない真実だったことを、改めて実感していると、「次は別宅の倉庫を見に行きましょう」ということになる。まずは現状を把握してもらい、それから対策を立てて行こうということらしい。しかし皆を先導する日下氏の小型車にさらなる驚愕を覚える!トランク部分・後部座席・助手席が、紙袋に入った本やDVDにより埋め尽くされているのである。聞けば二年間溜め込んだらこの状態になったとのこと…ひとりしか乗っていないのに、サスペンションの沈み切った車に先導されながら、次なる倉庫を目指して移動する…。

ほどなくしてたどり着いたマンションは、予想はしていたが玄関から奥の三室すべてが、本やDVDやコミックやビデオで、やはり非日常的に埋め尽くされていた。三十年本を買い続け、溜めまくると、このような凄まじい光景を、人間は造り出すことが出来るのだ!あぁ、すごいすごいと細心の注意を払って奥に入り込んで行くと、気付けばかなり危険な状況に陥っていた。周囲はすべて捩じれた微妙なバランスを保つ本タワーの世界!この不思議な世界に慣れぬ我々は、少しショックを与えただけでタワーを無様に崩してしまい、日下氏の嘆息を引き出してしまいながらも、崩れたタワーの下から恐るべきレア本をへこまされるほど見つけたりして、それでもやがて立ち直り、今後の行動方針を模索する。

取りあえずは、この玄関部分を片付けて、部屋の中の本をある程度出せる状況を造り出そうということで、意見は一致。早速ドバドバと玄関の外から階段下まで、本タワーを連携リレープレーで運び出して行くと、玄関部分の片側にあった本だけで、あっという間に確保したスペースが埋まってしまう。その本の群れは、まるで押収された証拠品のような存在感。
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そこから必要なものとそうではないものを仕分けし、少しずつ整理と整頓を進め、スムーズな玄関の実現に向けて、おじさん三人組+古本屋チームで蟻のように細々と働きまくる。ほんのきっかけの作業であるはずなのに、そこには様々なドラマが生まれては消えて行く。次々と発見される日下氏も忘れていた&覚えのないレア本の数々!さらに次々と見つかるダブり本と異装本!しかしそんな作業を進めたのに、仕分けでほとんどの本が必要と判断され、多くの本はまた玄関部分へと舞い戻って行ったのである…。

う〜むう〜む〜と皆で唸っていると、次の行程は古本カーの本をすべて運び出し、それを整理して部屋の中に収めるという、大変アクロバチックなミッションインポッシブル!しかし我々は、この短時間にバリバリと成長を遂げていた!こんなにもたくさんの本があの小型車の中に入っていたのかと、信じられない思いを抱きながらも、テキパキと分類と搬入を行い、日下氏が感嘆するほどに難度の高いミッションを、見事完遂したのである。

そうして細いながらも動線をどうにか確保し、いよいよ大量に今回売る本が部屋の奥から吐き出されて来ることとなった。ここからの細かい顛末は、どうか来年の「本の雑誌3月号」をご覧下さい。すべての作業を無事に終えると、もはや日も暮れかけ、気温も下がって来た午後四時過ぎ。本日のお礼として、室町書房「腹話術師」(カラーコピーカバー付き)「鬼の末裔」(裸本)共に三橋一夫、偕成社「悪魔博士/西条八十」「海賊船イーグル号/久米元一」(共に裸本)を譲っていただく。やった!来た甲斐がありました!それにしても分かってはいたのだが、古本神・日下三蔵恐るべし!もはやここにあるのは、欲しい本が見つかるなどという生易しいレベルではなく、これから掴み取るべき夢のすべてが、すべてここに集められてしまっているのである!何処に眼をやっても、恐るべき本が眼に飛び込んで来るのを羨みつつへこみつつ、尊敬と畏敬の念を込め、これからも素晴らしい評論と稀少でマニアックなアンソロジーを編み出されることをお願いして、古本を抱えて夜道を走り、おつかれさまと東京に帰り着く。本当に今日も、刺激的で楽しい一日であった。それにしても、二日続けてスゴい人たちの書庫を整理出来るとは、思ってもみなかった。これもまた、古本屋ツアーのひとつのカタチ…。
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2014年11月30日

11/30埼玉・上福岡 SUNDAY GARAGE

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色々予定が詰まっているので素早く行動を起こし、正午前には川越一歩手前の東口駅頭に立つ。ロータリーから『サンロード』を北東に抜け、スクランブル交差点から北北東に進路を採り、巨大団地群や普請中の市役所、新日本無線と大日本印刷の広大な敷地をやり過ごすと、どうにか『川崎交差点』。東に進んで趣きのある新河岸川を渡り、道なりに東南へと歩き続ける。橋を渡ったら地方都市の光景がくるりと変わり、農地と新しい住宅とヤードが点在する広々とした世界。そんな風にして駅から2.5kmも歩いて来れば、『渋井交差点』にたどり着く。広い道路を渡ってさらに東へちょっと進むと、右手に正面が木材で化粧され、何本もの梯子や壷や棚や木の車輪などを表に置いた、大きな倉庫建築が見えて来た。基本日曜日営業の、巨大ジャンク&アンティーク屋さんである。だが、おぉ!すでに開いたシャッターからは、古本の並ぶ棚が見えているじゃないか!興奮を気取られぬよう、古本修羅の気配を悟られぬよう、粗いレンガを踏み締めて入口を潜り、ピンク色の大きな棚に近寄る…これは幼稚園か小学校の木製ロッカーが転用されているのだろうか?五×五の棚の半分ほどに、鳥・魚・昆虫・植物・自然・南洋・地球・鉱物・猫・絵本・ほんの少しの文庫が並ぶ。図鑑や児童書が目立ち、値段は安めである。その中から殊更古い二冊を抜き出して、古道具&アンティークで造り出された迷路の中を探索し続けると、つづらに入った雑誌附録類・漆塗りの盆に盛られた観光案内や地図・ケースに入ったマッチ箱・トランクに詰まったアンティーク絵葉書&紙物類を発見する。店内は絶妙にジャンク品とアンティーク品が混ざり、楽しく見易い気配りが為されている。奥の誰もいないキャッシャーで「すいませ〜ん」と声を上げると、頭上の中二階から「ハイ」と返事があり、ギシギシミシミシキュウキュウカンカンと、様々な所を通って来る音がした後に、スキンヘッドの日ハム・中田翔風青年が登場する。保育社のえばなしぶんこ「アラジンのふしぎなランプ/平井房人・文画」金蘭社「おもしろい科學の話 第一編 空の巻 地球の巻/松平道夫」(函ナシ)を購入する。

ツラツラと駅へ戻って行くと、『川崎交差点』脇にある平屋の「ブックオフ埼玉上福岡店」が気になって、フラリ入り込む。
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奥の100均単行本壁棚に拾い物があり、天井近くに張り巡らされた大量の全集端本&函入り本コーナーが首の痛みと共に見応えあり。初山滋装幀の「日本の住居のうつりかわり/國立博物館編」が300円で買えたのも良かった。何故こんな仙花紙本がブックオフで売られていたのか…そんなことを考えて表に出ようとすると、入口近くの辞書棚の前に、背中合わせのフレーム棚があることに気付く。一応見ておくかと近付くと、これが何だかいい感じの、古本古書・探偵ミステリ・怪談・70年代文学・カウンター&サブカルチャーの棚だったので、少し狼狽えてしまう。しかも文庫は210円、単行本は310円の値段設定!何故こんな所に隔離されているのか?一体誰が棚造りをしているのか?何故安いのか?とたちまち五冊も手にしてしまう。角川ホラー文庫「幽霊狩人カーナッギ/W・H・ホジスン」中公文庫「日本橋檜物町/小村雪岱」講談社江戸川乱歩文庫「鬼の言葉」青弓社「古本泣き笑い日記/山本善行」集英社「二十世紀のパリ/ジュール・ベルヌ」を再びレジに並んで購入する。ここはちょっと、不思議でおかしなブックオフである。
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