2014年11月21日

11/21さらば猫企画!こんにちは猫企画!

白楽『六角橋商店街』の「猫企画」(2010/12/17参照)が移転することになった。明日22日をもって彼の地での営業を終了するらしい。闇市的商店街の、おかしなおかしな古本屋さんは、夜の闇にバカみたいに温かく輝いていた。その輝きを眼底に刻むべく、午後二時過ぎに店頭に到着すると、シャッターはガッチリと下りてしまっている…まだ開店時間じゃないのか…ではその隙に『古本屋ツアー・イン・白楽』と洒落込めば、時間は矢のように過ぎ、シャッターもいつしか上がるだろうと。周辺の四軒の古本屋さんを次々急襲する。おっ、柴錬の偕成社ホームズがカバー無しで300円!講談社の福島正美ホームズが500円!角川文庫の小山清が300円!どひゃっほう!教養文庫の橘外男が300円!…などとやっていたら、たちまち一時間が経過してしまった。しかしお店に戻ってもシャッターは上がっておらず、仕方なく看板の写真を一枚撮って、お別れする…グスン。
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そのまま横浜に出て、湘南新宿ラインで小田原に急行する。「猫企画」の移転先…それは新装成った小田原駅東口の地下街『HaRuNe小田原』だというのである。黄金町の元チョンの間→白楽の闇市的商店街と来て、ついにはお洒落な地下ショッピングモールに進出…実に波瀾万丈な店生だ。東口の大階段を下ると、地上に地下街への入口が爽やかに輝いている。エスカレーターでさらに地下に下り、左に歩いて行くと『メトロ マルタ』というわりと大きめな服飾と雑貨のピカピカお洒落店にたどり着く。その真ん中辺りの柱に目を凝らすと、よっ!そこには小さな「猫企画」の看板と共に古本の姿が!
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中央通路から近付くと、柱の二面に木製台と柱棚が設置され、サブカル・アート・写真・へんなオカルト・アングラ・映画・音楽が、一筋縄では行かぬ妙な視点で並び、少しだけお洒落さも装っている。台の上には「STUDIO VOICE」層あり。ふ〜むと、二面を行ったり来たりして一冊抜き取り、通りかかったプリティーな店員さんに精算をお願いする。すると「本はこれから増えて行きますので、また見に来てくださいね」とニッコリ。うぉぉ、「猫企画」はこの空間に、さらに領土を拡張するつもりなのか!どんどん過激に、空間とズレて行くことを期待しておきながら、また見に来ることにしよう。ジャブラン出版「やばいダウンタウングッズ/ボブ・加藤」を500円で購入する。
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2014年11月20日

11/20千葉・松戸新田 つなん書房

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松戸駅で新京成線に乗り換え、郊外の少し起伏のある果てしない住宅街を、盛土された路線で切り抜けて行く。乗車時間わずか四分の二駅目で下車すると、車窓と変わらぬ住宅街。いつの間にか降り始めた冷たい雨に眉をひそめ、北口から踏切を渡り、駅前のメインストリート的坂道を南西へ下る。100mも進むと信号があるので、脇道を東南へ。何処かとの抜け道になっているのか、こちらに向かってひっきりなしに車が坂道を下って来る。そして行く手右手に『古書買入』とある店名袖看板を、ちょっと遠目に確認する。住宅兼店舗らしく、軒には青瓦が雨に濡れて鮮やかに輝き、赤い日除けは弛んで薄汚れてボロボロ。その下のサッシ四枚の向こうに見える店内は、少し荒れ気味だが蛍光灯を輝かせて、しっかりと営業中である。ぬぅぅ、私鉄小駅住宅街の忘れ去られたような個人店…古本魂がメラメラ燃え上がり、拳をギュッと握り締める。中に入ると、電子チャイムがピロンピロン鳴り響き、すぐに奥からカーテンを捲って、小さなショートカットのおばあちゃんが現れた。そのまま奥の帳場に腰を下ろすが、埋もれるように見えなくなってしまった…。本棚はすべて武骨実直なスチール棚で、両壁に高く張り付き、真ん中に分厚く背中合わせの棚が二本。また帳場下や背後にも本棚が置かれている。右端はコミック通路で、ほとんどの本がビニール梱包され、活発な気配を漂わせている。だが、真ん中通路に移ると途端に淀んだ空気がまとわりつき始め、時間の停まった古本屋さんの光景。右側に雑本単行本・海外文学・ミステリ&エンタメ、それに上段に取り残されたような全集端本類と古めの本、足元は低い本タワーが連なっている。埃まみれで動いていない棚が、ドキドキを加速させる。左側は時代劇文庫(ここは動きの気配あり)・日本文学文庫・歴史となり、最下段は文庫ストックで埋まっている。帳場下の廉価コミック・ノベルス・新書を眺めて左端通路。右側は女流作家文庫・カラーブックス・出版社別文庫・雑学文庫・日本文学文庫・官能小説が収まり、下段は何処も文庫の墓場となっている。左側は、ビジネス・ガイドブック・実用・タレント・ハウトゥノベルス・新書ノベルス(オカルト系多し)・ノベルス・辞書・アダルトとなっており、足元には本タワー、最上段は単行本の墓場となっている。コミックとノベルスと時代劇文庫以外は、完全に時が停まってしまっている。棚にはブランクもあるが、本棚の奥・本の墓場・本タワーの中に何か素晴らしいものが潜んでいる気配を勝手に感じ取る。埃との格闘を厭わぬ方には、ぜひとも挑んでいただきたい。本には値段が付いていないのもあるが、おばあちゃんにその場で吟味してもらうのだろう。帳場に向かい三冊を差し出す。「ありがとうございます」と立ち上がった彼女の後ろには、巨大な柱時計が!…これは、おばあちゃんよりデカイのでは…そんな風に度肝を抜かれていると「400円です」と激安値をあっさり告げられる。東方社「英語屋さん/源氏鶏太」(ひゃっほう!)ベップ出版「悪友記/吉行淳之介(著者代表)」ちくま文庫「死体と戦争/下川耿史」を購入。あぁ、こんな住宅街に、今まで潜んでくれていて、ありがとう!

帰りに阿佐ヶ谷「銀星舎」(2008/10/19参照)に久しぶりに顔を出して雨宿り。奥様と古本と古本屋と猫の話をアレコレ。創元推理文庫「イシャーの武器店/ヴァン・ヴォークト」スポーツ新書「サンボ入門/ボルヴィンスキー セニコ」を計700円で購入する。
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2014年11月08日

11/8神奈川・妙蓮寺 MAMEBOOKS

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先日の「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)で見つけた一枚のシンプルなチラシ…妙蓮寺に古本を売る週末限定のお店があるだと!と色めき立ってから二日目。笹塚での仕事を終え、京王線→東横線と乗り継ぎ、四十五分後には急行の停まらぬ駅に降り立っていた。改札を抜けて、傾斜地に建つ妙蓮寺とは反対の駅前商店街に出る。北にちょっと歩き、写真屋とおでん種屋の間の小道に入ると、西に向かってうねりながら下る、小さな坂道の地元商店街。書店前を過ぎて短い坂を早くも下り切ると、北側にマンション一階を貫通した、小さなアーケーケード商店街が現れる。そこをちょっとワクワクして抜けると、目の前にはシーズンオフの屋外プールが侘し気な『菊名池公園』。公園の周囲を取り巻く弧の道を、西側にトボトボ回り込み、サンクス裏の細道を通り抜ける。そこで南側の坂を見ると、奇妙に高いモルタル三階家の一階に、チラシと同名のお店が建物を支えるようにしてはまり込んでいた。しかし暖かな色味に満ちた店内には、たくさんのお客さんがおり、どう見ても入れる余地がない。何かの会合であろうか?彼らの後ろにチラと見えている本棚を、うらめしく盗み見て、一旦お店から離れることにする。ちょっとブラブラすれば、入れるようになるかもしれない…。散策気分のゆったりとした足取りで、菊名池公園を円く一周する。そうして再びお店の前に立つと、お客さんはいるにはいるがその数が減り、どうにか入店出来そうな気配。善は急げと、妙なドアノブを掴んで押し、ウッディですべてが押し寄せてくるような小空間へ闖入する。左にカウンター席があり、右壁に沿って椅子が置かれている。右壁棚には菓子類が並び、奥に本が上下に二列分並んでいる。そして奥壁の一面がざっくりとした棚になっており、割と多めに並ぶ古本の背が見えている。ホワホワした雰囲気の洒落たカップルがお店を切り盛りしており、カウンターの向こうの青年に「本を見てもいいですか?」と聞くと、フロアの女性と共に「どうぞどうぞ」と柔らかに迎え入れてくれた。奥の棚の前には、生物の毒への慣れと耐性について熱く語り、耳を傾ける人たちが三人ほど。その間に「すいません」と割り込み、本に素早く視線を走らせる。文学多めでなんとなく緩めな縛りの文庫と単行本が右壁奥に。奥壁に自然・ネイチャー・暮らし・写真集・ビジュアルブック・詩集・ことば・宮澤賢治・音楽・児童文学などが並ぶ。文庫は安めだが、単行本はしっかり値。素早く見終わり、素早く一冊抜き取り、コーヒーを入れているカウンターで講談社文芸文庫「詩人のノート/田村隆一」を購入し、ドアをよっこら開けて表に出たその瞬間、店主のひとりである女性が追いかけて来た。そして、実はお店は今週末が最後であることを告げ、一枚の感謝クッキーを手渡される…そうか、たくさんのお客は、みんなお店にお別れに来ていたのか…。しかし母体である移動式古書店スタイルはこれからも続け、またいずれは店舗も、とさらに教えていただく。最後の最後に滑り込めたのは良かったが、お店がなくなるのは悲しいことであり、何か複雑な感慨が湧き上がる。だが、古本を売り続けてくれる限り、また何処かで会うことになりましょう。その時まで、どうかお元気で!
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2014年10月25日

10/25神奈川・横浜 喫茶へそまがり

火曜日にも補充したが少量だったので、またもや少量の本を携えて西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい「フォニャルフ」に補充。表紙デザインを担当した、盛林堂ミステリアス文庫「爐辺子随筆抄/平井功」を受け取る。たまたまお店に来ていた「ぶっくめいと」(2009/08/05参照)さんにパワフルに話し掛けられ、昨今の古本屋さん話アレコレ。濃密でタメになるひと時…。

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お店を離れたら電車を乗り継ぎ神奈川県入り。喧噪の地下駅から喧噪の西口構内に出て、デパートの商店街モールを西に抜けて『みなみ西口』から外へ。目の前の、一直線に川を越して西に延びて行く『パルナードst』は、昭和を感じさせる横浜の狭い裏通りである。真っ直ぐ真っ直ぐ進んで行くと、やがて大きな『岡野交差点』にたどり着く。そこをナナメにスクランブルに渡り、さらに西へ進んで一本目の脇道を北へ入り込む。歩くほどに繁華街が遠退く住宅街の裏通りとなり、行く手の新田間川護岸階段の手前に、住宅を改造した喫茶店がひっそりと営業していた。壁に手書きの看板があり、道路にはバス停を模した看板も置かれている。玄関に足を掛け軽い網戸サラッと開けると、そこは民家の玄関だが、左に早速二本の古本棚が光り、奥には二階への階段と二間続く漫画棚空間…良く見ると、漫画の中に溶け込むようにして、人懐っこい笑顔を浮かべた大柄な青年が立っていた。靴を脱ぎ、古本棚に後ろ髪を引かれながら漫画部屋に進むと、「似てますね。小田ひで次に似てますね」「だ、誰ですかそれは?」「この漫画を描いている人です」と棚の一角を占める漫画群を指し示す。漫画家だと分かっても特に実感は湧かず、逆に『アナタはスカパラの沖さんに似てますよ』と心の中でつぶやいたりする。それからお店のシステム説明を受け、喫茶店かそれともフリースペースとして使用するのか選択を迫られる。古本を見に来ただけなので、喫茶店利用を申告し、野菜ジュースを注文する。ドロッとした健康な液体で喉を潤してから、おもむろに立ち上がって玄関へ。二本の棚にアートブック・文学系文庫・おっぱい&エロ関連・本&古本関連・タレント・カルチャー・100均コミックが並んでいる。一箱古本市でお馴染みの「ドジブックス」「TweedBooks」などこだわりの列に加え、「古書米」「ミラーボール回らズ」などの個性的な店名とそれに負けない棚造りが続く。フムフムと愉快に眺め、サイエンス・アイ新書「身近な雑草のふしぎ/森昭彦」朝日文庫「読書の整理学/紀田順一郎」ちくま文庫「日本エロ写真史/下川耿史」ちくま学芸文庫「少女古写真館/飯沢耕太郎」を購入する。しばし友達の家に来たような時間を味わい、優しく見送られ、明るい都会の川縁に出る。そしてブラブラと近くにあったはずの「尚古堂」(2009/05/31参照)を探し求めるが、影も形も無くなっていることを知る…さびしいなぁ…。

追伸。昨日の夜、素晴らしいものを受け取りました。今回の新単行本「古本屋ツアー・イン・神保町」の校正は、実は「古本屋の女房」「書肆ユリイカの本」の田中栞さんに畏れ多くも見ていただいたのです。それだけでも充分嬉しかったのですが、その奇縁が元で、何と『古本屋ツアー・イン・ジャパン』の消しゴム落款を作っていただいてしまいました!出来上がったものを見て、これはスゴい!どひゃっほうと大興奮。こうなったら、本が出来たら、捺して捺して捺しまくります!そして肌身離さず持ち歩きますので、私を見かけて捺印をご希望の際は、ぜひとも声をかけてください。何処かで手に入るかもしれない、さりげない古本者のダブルネームをお楽しみに!
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2014年10月19日

10/19群馬・桐生 桐生市市立図書館 第17回古本市

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宇都宮線で小山駅にたどり着き、世界の果てのように寂しいホームから両毛線に乗り込み、麗らかな北関東を東から西へ撫で斬りにして行く。一時間で桐生駅に到着し、手動ドアをガラリと開けて列車を降り、午前九時半過ぎの駅南口。暑いほどの陽光が降り注ぐ、閑散としたロータリーを縦断し、大通りを南へ下って行く。300mほど歩いてたどり着くのは、大きな公園の横に建つ白い図書館で、昭和なフォルムと所々傷んだ姿が妙にいじらしい。講談社の創立者『雑誌王』野間清治の碑の向こうの正面入口前に、タイル敷き広場が広がり、そこで市民古本市が後二十分で始まろうとしていた。文庫は50円単行本は100円で、地面に置かれた薄いダンボール箱の中に古本を詰め、色とりどりなシートを掛けられた状態で、午前十時のスタートを待っている。ダンボールは、実用書・コミック・児童書・新書・文芸・文庫・全集に分けられ、図書館前を取り巻くように配置されている。箱は120近くあるだろうか。中規模だが見応えは充分ありそう。いつの間にか周囲に増えつつある古本ハンターたちの姿。しかし殺気立ったところは無く、秋の朝を実感してしまうほどに、何だか全体的に長閑な雰囲気が漂っている。そうこうしているうちに、開会の挨拶と共に午前十時を迎え、シートがザババッと取り払われ、待望の古本市がスタートする。立ったまま足元をひたすら眺めるようにして、本の背文字をカシャカシャ読み取って行く。新書→文芸→文庫と流れるうちに、腕の中には当然本タワーが誕生。全集ゾーンを見てからひとまず精算して、ちょっと離れた実用書と児童書を見て回る。うひぃ〜、愉快だなぁ。楽しいなぁ。血湧き目玉が踊る!と三十分ほど集中し、結果十八冊で950円也。ちくま文庫率高し!

古本の詰まった袋を肩に担ぎ、無事に獲物を分捕った山賊気分で駅に引き上げると、次の電車まで時間があるので、北口に出て「雄文堂」(2010/10/09参照)を覗きに行く。なまこ壁のお店は、静かに上品に硬く営業中。中公新書「タイトルの魔力/佐々木健一」を300円で購入し、駅に戻って両毛線に再び乗り込む。

足利駅で下車し、見た目は凄まじいが、実は名店なんじゃないかと思い始めている「秀文堂書店」(2009/06/14参照)へ。
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店頭三冊100円棚で、山梨シルクセンター出版部「詩集 愛の歌 一・三・四/やなせ・たかし」と小学館入門百科シリーズ32「妖怪なんでも入門/水木しげる」を見つけ、さらにやっぱり名店なんじゃないかと思い続ける。一度店内文庫棚の下の方を思いっきり発掘してみたいものだ…。ここでは計七冊を700円で買い、二十六冊の古本を北関東から家まで運ぶこととなる。おぉ!古本にまみれた読書の秋の日曜日!
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これが本日の収穫である。西條八十「夕月乙女」は表紙を剥ぎ取られた貸本仕様だが300円。が、しかし!最後のページが落丁している!あぁぁ、一体どんな風に終わっているんだ…。
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2014年10月16日

10/16埼玉・明覚 刀剣.しのぎ

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飯能から東飯能まで歩いて八高線。高麗川で一度乗り換え、三十分ほどでワンマンカーを降りると、低山に囲まれた、農地と住宅地が長閑に緩やかにミックスした、田舎町であった。駅前から西に歩いて行くと、道路はキレイに整備されているが、ランドマーク的なものは何処にも見当たらず、ただ足元には、カマキリ(緑・茶)・トノサマバッタ・キリギリス・轢かれたヘビなど、小さな生き物の魂が煌めき流れて行く。目的のお店にたどり着くには、右の視界に長々と寝そべる小山を越えねばならぬのだが、峠道の入口がまったく見つからない。結局一キロ強歩いて、車通りの多い大きな道で、小さな峠を北に向かってエッチラオッチラ越える。麓に下ると、そこは『五明交差点』…これは目的地を完全に通り越してしまっている。ぐるっと回り込んで来た八高線沿いの県道を、東に一キロほど戻る。すると左手に、古いドライブインのような刀剣屋さんがようやく姿を現した。喫茶店や刀剣美術館を併設した、日本刀のお店である。普通に暮らしていれば用のない所であるが、残念ながらここでは古本が売られているのである!しかも日本刀関連のものばかりが!…ハードル高く、太刀打ち出来ないのも分かり切っているが、もしかしたら間違って面白い本が端っこにでも…。そんな薄く淡い期待を胸に、営業しているのか定かではない、民芸調店舗に近付きドアに力を込めると…開いた。そして電子音と共に、奥から意外な素早さで長身痩躯の飛松元刑事風老店主が現れる。薄暗く、重厚な古めかしいガラスケースが取り巻く店内には、日本刀の林が妖しくギラついている。そして正面帳場の横には、目的の二本の古本ガラス戸棚が立っていた。素早く視線を走らせると、大判本や函入り本が多く、すべて日本刀関連でまとめられている。それに付随する、鍔・刀匠・剣術・居合いなども混ざっているが、特殊専門な棚造りは揺るがない。「何かお探しですか?」と聞かれたので「あの…刀匠について知りたくてですね…」などと適当に口にしてしまう。「それは現代刀の?それても新刀の?」「いや、そんな、何も詳しくなく明確じゃなくてですね、非常に行き当たりばったりで…少し勉強したいなと思いまして…」「そうですか」と店主は棚に歩み寄り、「これは現代刀。つまり現代の刀匠のデータが載っています。4300円。これが一番安いかな」…う、高い…。「あの、まぁ何も知らないので、何か取っ掛かりになる本でもあれば…」「そうですね。初心者だったら、こちらはどうでしょうか。名刀について色々分かり易く書かれています。1000円。これは安い」。うぉぉぉ、突破口はここにしかないと、心中で焦り叫び、その秋田書店「日本名刀一〇〇選/佐藤寒山」を購入する。すると店主はニコリともせずに「せっかくなので、簡単に日本刀についてお教えしましょう」と嬉しい提案をしてくれた。二人で奥の日本刀に囲まれた応接セットに腰を下ろし、時代ごとの刀の名称や種類、刀の部位名と刀の作り方、またその五大産地などについて、無垢な生徒となって即席レクチャーを受ける。しかしこの中で一番心に響いたのは『刀を知りたいなら、刀を、鉄を、毎日見ることだ』である。木の古い新しいは見分けられるのに、鉄ではそれが難しくなる。我々が日常的に木を見ているように、鉄を目にして行けば、いずれは鉄の新古が分かるようになるはずだ。それが刀を楽しみ鑑定する目となるとのことである。一朝一夕で出来るものではなく、毎日の積み重ねということか…あぁ、すべての道に通じる言葉である。それにしても、古本を求めていたら、相も変わらず奇妙な隘路に迷い込んでしまったようだ…ビバ、古本!

そして帰り道、八高線を乗り捨て、東飯能から飯能まで歩き始めると、閉店したはずの「西村書店」がシャッターを全開し、しかも帳場にオヤジさんが座っている!すわ!と色めき立って戸に手を掛けると、ガチン…開かない。オヤジさんが音に気付いて振り向き、笑顔を見せながら顔の前で手をヒラヒラ。そして「やってないよ」のトドメの一言。あぁあぁ!こんなに近くに古本が見えているのにっ!
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今後の古本の行方が非常に気になる光景である…。
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2014年10月04日

10/4二年ぶりに野田市リサイクルフェア古本市へ

色々やるべきことが、ここ数日に集中してしまい、今にも心が決壊しそうになる。こういう時は、あえてとことん古本に溺れたいものだ。そうして一瞬でも、すべてを忘れたいものだ。と、完全に現実逃避な計画を立ち上げる。そう言えば千葉県野田市の古本市(2012/10/13参照)があるはずだ。都合良くすべてを忘れて行ってみるか!と、電車を乗り継ぎ乗り継ぎ一時間四十分。午前九時四十三分の東武野田線・愛宕駅に到着する。競歩のような早足で野田市役所を目指し、五十五分に市役所の吹き抜けエントランスに滑り込む。縦長の会場には、奥に古本を詰めたプラケースが床に大量に並べられ、いい感じに入れ込んだ古本修羅たちが封鎖ロープの前に一斉に並び、午前十時になるのをジリジリと待ち構えていた。
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スルスルとその中に紛れ込むと、たちまち時間いっぱいになり、会場に修羅がドッと流れ込む。もはや“古本市”と言うよりは“古本狩り”。覚悟を決めてこちらも修羅モードになり、見られるところからとことん見て行く。すると、たちまち一冊二冊、また二冊三冊と、腕の中の古本が小気味良く膨れ上がって行く。良い調子だ。これだ、これを求めていたんだ!そんな風に気分を高揚させながら、古本を抱えて精力的に動き回り、中腰で地べたに置かれたプラケースを素早く観察。一周しても二周三周し、見逃した獲物を掴み取って行く。追加補充も随時行われるので、なかなか回遊から離脱する決意がつかず、罠にかかったように会場をグルグルグルグル…。結果、五十分ほどで二十六冊を我が物にする。獲物トップ2は、学研ジュニアチャンピオンコース「空飛ぶ円盤を追え/並木伸一郎」と誠文堂新光社「子供の科学別冊 世界の戦闘機」(切り抜いて作るペーパーモデルの本。が、三機分だけ切り取られているのが残念!)で、この二冊だけで、早起きして遠征して来たのが大いに報われた。ところでこの市は、古本を入手する代わりに、寄付金を払うシステムになっている。良い本を手に入れたので、今回は太っ腹に千円札を一枚寄付金箱にねじ込むと、そこにいたスタッフ全員が「まぁ!いいんですか?」「本当に?」「そんなに!?」と一斉に声を上げた。そこまでの額じゃないのに、そこまで言われると逆に恥ずかしく、『やっぱり格好つけないで五百円にしておけば』などと思うが、「いいんです。いいんです」と平静を装い、恒例のズタ袋も辞退し、会場をギクギクと後にする。本の重みが手に食い込むが、これで何だかスッキリしたぞ!よし、素早く家に帰って、様々な難事に挑むとするか。
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2014年10月02日

10/2神奈川・梶が谷 川崎市橘リサイクルコミュニティセンター

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昨日に続いて、田園都市線で神奈川県入りし、谷に架かる橋上駅舎から外に出る。橋の上から大きなカーブを曲がって南に進むと、右側に斜面を利用した広い駐車場が広がり、車がナナメに駐車された不安な景色を楽しめる。道は上り坂となり、丘の上の『梶が谷駅入口交差点』にたどり着いたところで、住宅街丘の尾根を走る『市民プラザ通り』を南東に歩いて行く。500mも進めば下り坂になるので、セメント工場のある交差点で右手を見ると、巨大な煙突を背後に従えた、箱のような三階建てが建っていた。車の停まる敷地内にズンズン入り、正面玄関を突破して、薄暗い階段を上がって三階へ。するとワンフロアがリサイクルショップになっていた。右側が古着、左側が再生家具類に分けられているが、古着の奥の窓際にツカツカ歩み寄ると、背の高い文庫本スチール棚と、背の低い単行本棚が置かれていた。一冊十円の激安で、絵本・児童文学・実用小説・全集端本・海外文学&日本文学文庫・コミックが並んでいる。構成は雑本のエリートと言った感じで、買うべき本に出会う確率は低そうである。しかしラッキーにも、ちょっとグッとくる少年少女講談社文庫「おばけを探検する/北川幸比古」を見つけたので、スパッと抜き出し一階まで下りて、事務所に十円玉を渡して精算。しかしこの本、後で調べてみると、実は思っていたより高値の本で、しかも良く見ると嬉しい献呈書名入り(『78.なつ.山中で』とあるが、山中でおばけについてのワークショップでもしていたのであろうか…)であった。雑本のエリートなんて言って、大変申し訳ありませんでした!いや、雑本だからこその成果なのか。古本があるのなら、何処でも行ってみて確かめなければ。そんな一念をより強くして、来た道を駅まで戻る。

せっかくの久しぶりの梶が谷なので、駅北側住宅街の自宅敷地内古本屋さん「グリーンブック」(2010/02/05参照)を見に行くが、残念ながらシャッターが下ろされていた。営業時間の短いお店だったが、またいつか入れる時が、来るのであろうか…。仕方なく駅に戻り、ちょっと先に進んで高津の「小松屋書店」(2009/08/15参照)にも立ち寄る。各通路の半分を埋める、低めの本タワー山脈に注意しながら、春陽文庫「喬二捕物集/白井喬二」を500円で購入する。うむ、今日は、ニッカリと微笑むことのできる良いツアーになった。
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2014年09月21日

9/21茨城・友部 筑波海軍航空隊記念館 古本市

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突然少しでも遠くに行きたくなって、休日おでかけパスを買って、常磐線で二時間。田園地帯を抜けると現れる郊外の街は、南に大きく広がっている。南口に出て、街の真ん中を通るように、真っ直ぐ南下して行く。一キロも歩けば、辺りは早くも緑が濃くなってしまう。道なりにまだまだ南に進むと、すべての敷地が広くなり始め、玉蜀黍畑前の『こころの医療センター西交差点』にたどり着く。交差点からちょっと西に、その医療センターの門が見えている。周りには大量の水色の幟が、へんぽんと翻っている。このセンターの広大な敷地内には、『筑波海軍航空基地』の戦争遺跡が数多く残されている。そのひとつである本部棟は、現在『筑波海軍航空隊記念館』として公開されているが、映画『永遠の0』のロケ地となったことにより、人気沸騰中なのである。病院敷地内に入り、長い直線道をズンズン進むと、広い草グラウンドに向かい合うようにして、二階建て横長の白く簡素な近代建築が堂々と建っていた。そこに次々と人が向かい、入口に吸い込まれて行く。車寄せ上の物見台にも次々と人が姿を現す。入館料は500円。ちなみに私は、映画にも原作にも興味はない。それならば、何故遠路遥々ここへ来たのか?それはもちろん、古本が売られているとの情報をつかんだからである!エントランスに入って入館料は払わずに、すぐ左の窓際の部屋に広がる『空くんのSKYショップ』に潜り込む。ここは出入り自由のグッズショップである。様々なグッズに目もくれず、奥にグイグイ迫って行くと、しっかりと組まれた古本棚とご対面。棚の裏側では、映画の予告編が延々と流れている…。フロアに、仕切るような木箱の積み上がった棚があり、航空機・軍艦・兵器・戦争の雑誌・ムック・大判資料本を収めている。壁際にも五×四で積まれた木箱群があり、日本近代の戦争・戦記・戦史・軍隊・自衛隊・兵士&勇士・航空兵・武器などの単行本と文庫本が集まっている。予想通りものの見事に戦争一色である。ペタペタ貼られた古本市のちらしに、『大事な資料!売っちゃいます!!』と書かれているので、建物に秘蔵されていた本でも出しているのかと思ったら、すべて水戸「とらや書店」(2008/08/02参照)の出品であった。値段は安め〜しっかり値と様々。光人社「青春の河/楳本捨三」平和文化「茨城県の戦争遺跡/伊藤純郎編」(新刊)を購入する。

古本を見ただけで駅までテクテク戻り、常磐線上りに乗って土浦駅下車。大変ご無沙汰してしまった「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)へ。…やはり広い。激しく広い…。しかし休日なのにライバルの影は少なく、おかげでどこもかしこもじっくり吟味し、春陽堂文庫「江戸っ子武士道/城昌幸」(ひゃっほう!昭和十八年の発行で、珍しく奥付上に著者略歴が記されている。『明治三十七年六月生る・京華中學卒業・後文筆生活・著書櫻田門義學遺聞其他』とあるが、時局がらのプロフィールであろう。それにしても本当にこんな著書があるのだろうか?)角川文庫「SFジュブナイル 謎の冷凍人間/アンガス・マクヴィガー」講談社大衆文学館「蠅男/海野十三」を計1080円で購入し、帳場に立っていた「れんが堂書店」(2010/07/10参照)店主・佐々木氏にご挨拶する。色々とお話しし、楽しいエピソード、厳しいエピソードあれこれ。中でも雑本や紙束の山から、価値あるものを見出す&生み出す話を愉快に拝聴する。霞ヶ浦の畔の土浦で、ひたすら古本話に耳を傾ける、有意義なひと時であった。
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2014年09月13日

9/13葉山と逗子で未来派とラフレシア!

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巨大船のブリッジのような白い駅舎がまぶしい逗子駅前から、3番のりばの京浜急行バスに乗り、葉山方面に向かう。新逗子駅近くの神社で骨董市が開かれているのを目撃し、後で寄ろうと心にメモ。海沿いの狭い県道を走ることおよそ二十分、『森戸海水浴場』近くの『元町バス停』で下車し、交差点の裏側に隠れたような『もとまちユニオン葉山店』を探し出す。本日このスーパーの駐車場で、骨董アンティークと古書の市が開かれているのである。川を渡って駐車場ポールの脇を擦り抜け、騒がしい横長の駐車場に入って行く。すると、横長のスーパーの壁際に、規模はそれほど大きくはないがテント屋根を張った露店が連なり、結構人だかりがしている。右端、中央入口両端の三つに会場は分かれており、何だかとても環境に馴染んでいる。順々にテントの下に顔を出して行くと、アンティークと古本は半々の割合。古道具&懐かし物&骨董系、それに絵本・音楽・古雑誌・カルチャー・レコードなどなど。この辺りの市と言えば「books moblo」さん(2011/10/10参照)と「余白や」さん(2009/09/23参照)はしっかり出店。おぉ、一箱系古本市連続出店記録更新中の「RAINBOW BOOKS」さんも出ているのか。本はスムーズに見終わり、秋田書店「世界のスパイ/北川衛」福音館書店「はじめてのキャンプ/林明子」CBS・ソニー出版「レコード・プロデューサーはスーパーマンをめざす/細野晴臣」(表紙がスゴい…)、そして図録の東京新聞「未来派1909-1944」を千円で発見して、重いが喜び勇んで購入する。

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再びバスに乗って逗子方面へ。そして新逗子駅前でバスを乗り捨て、テクテク歩いて『亀岡八幡宮』の境内に乗り込む。参道を中心にして、木陰で小規模な骨董市が開かれている。嬉しいことに紙物や古本がわりと目について来る。お店からお店へと飛び移っているうちに、まずはフレーベル館「トッパンのこども絵本 とっきゅう」を200円でニヤリ。続いてその前の雑誌の山に、妖花ラフレシアが表紙になった、古い大正五年の雑誌がビニールに入って乗っかっている。迷わず引き出し中を見ると、『人間界現在の不思議』『人間界過去の不思議』『自然界の不思議』などのエピソードが多数集められた、冨山房「學生 第七巻第十號 世界不思議号」と言う雑誌であった。後藤新平や福来友吉も執筆しており、糸で製本してあるが300円だったので即購入。午後の強い日射しを浴びながら、束の間の海辺での古本探しを満喫し、湘南新宿ラインに乗って早々に帰宅する。
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2014年09月03日

9/3神奈川・海老名 海老名市リサイクルプラザ

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「フォニャルフ」を九月のために補充入替し、大家の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で日本初期SF映像顕彰会「燃える空飛ぶ円盤/北村小松」(新刊)を購入し、それを読みながら東京からちょっと離れる。本日の目的地は駅からちょっと離れているので、東口バスロータリーの3番乗り場で『国分寺台経由農大前』バスに乗り込む。急勾配の坂を上がって、丘の上の住宅地を縦に下って行き『杉久保入口』で下車。通りをちょっと戻って十字路を北西に進む。蝉時雨の森とトタンの塀と畑が広がる地帯である。しかしすぐに行く手に東名高速の高架が現れ、手前左手にガシャガシャ音を出している大きな工場の隣接する、平屋で三角屋根のリサイクルプラザが見えて来た。入口に入ると短い通路があり、奥が広々とした再生物の販売展示場となっている。中央に大きく広がる家具ゾーンの左側に、本棚が長く並んだ心弾む光景が待ってくれていた。ここに並ぶ古本は、海老名市民は持って来た本と交換が出来たりするのだが、一般人は一冊50円で三冊まで買うことが出来るのである。近付くと図書館のリサイクル本も混ざっているようだが、作家五十音別にしっかりと棚が造られている。文庫メインだが単行本も織り交ぜ、日本文学文庫四本・ラノベ一本・海外文学文庫一本・コミック三本・実用一本・児童文学+大判本が一本となっている。見た目の並びはしっかりしているが、本自体は一般的で雑本的。二冊を掴んで入口近くの事務所受付に向かい、「これをください」と座っていたご婦人に差し出す。すると「二冊で100円ですね。申し訳ありませんが、こちらにご記入願えますか」と住所氏名や買った品目を記入する用紙を渡される…嫌な予感がする…。途中まで書いたところで「海老名市民ですよね?」と聞かれたので、正直に東京都民であることを告げる。すると「あ〜〜、ゴメンなさい。市民以外の方には、お売りすることは出来ないの」と申し訳無さそうに微笑んだ。「ああ…交換だけじゃないんですか。買うのもダメなんですか」「そうなのよ〜、ゴメンなさいね」「し、仕方ありません。では棚に戻しておきます」。お礼を言って棚に向かい、置いてあった所を探し出す哀しい作業をしていると、先ほどのご婦人が事務所から飛び出して来て「ねえ、どうしても欲しいなら、アタシがそれを買って、そしてアナタに売ってあげるわ」と渡りに船の申し出をしてくれた。たかが二冊で百円の本をそこまでして、どうしても欲しいわけではないのだが…いや、私は古本屋ツーリスト!これでツアーが成立するのならばと、喜んで申し出を受諾する。リサイクルプラザで、人のささやかな優しさに触れる。ありがとうございました。と言うわけで、ここは海老名市民限定の空間でありました。海老名市民になったら行きましょう。講談社文庫「塔/福永武彦」ピュアフル文庫「光車よ、まわれ/天沢退二郎」を善意の裏技で購入。

帰りに往きのバス車窓で「えびな平和書房」(2010/08/06参照)のシャッターが半開きなのを確認していたので、ペタペタ坂を上がって見に行ってみる。ところが状況は変わらずで、しばらくすると店主が店内から現れて、シャッターをガシャンと下ろしてしまった…久々の再会だったのに、残念。
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2014年08月23日

8/23千葉・川間 生活応援隊 野田店

大宮から、『東武野田線』と『東武アーバンパークライン』の名が混在する路線に乗り、東へ。地下道を潜って北口に出ると、タクシーがたくさん停まった小さな行き止まりのロータリー。ここから朝日バスに乗り込んで、雑木林と江戸川土手下を走る『流山街道』を北上して行く。駅から五キロほど北にある、車でないと行き難いリサイクルショップを目指している。陸の孤島の如き本も売るリサイクルショップ…揺れる車内で妙な期待が撹拌されて行く。そんな風にして二十分。目的のお店にたどり着き、看板の『本』の文字を確認して突入する。しかし、網の目のような通路の何処にも、古本は見当たらずじまいであった…。落胆してお店を後にするが、先ほど車窓に流れた、荒れた雰囲気の野性的なリサイクルショップを発見していたので、そちらに希望を託して足を向ける。

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江戸川土手を背後にした『親野井バス停』前にそのお店はある。広い駐車場には、ナンバーの無い廃車のような中古車が数台並び、お店の周囲は廃物にしか見えぬ電化製品や家具やガラクタが寄せ集まり、まるで暴徒の襲撃にあったかのよう。少々身の危険を感じながら中に入ると、広大で薄暗い倉庫的空間である。多少埃っぽい気はするが、整頓は良く為されて見通しも良く、多数の通路の移動はスムーズである。さて、古本はあるのだろうかと、中古品とガラクタの迷路を奥へ奥へ…むむ、中央奥にCD棚とレコードラックに囲まれた、棚空間が形作られているではないか。明度が落ちる一方の奥で見たものは、壁に様々な種類の棚が並び、コミック・ゲーム攻略本・単行本雑本・ミュージカルパンフ・コミック文庫・全集端本・大判本を乱雑&無造作に収めた、意外に古本の目立つ光景。背中合わせの通路棚三本には、コミック・文庫・ラノベ・ビデオが並ぶ。本はほとんどが100均である。じっくり見て行くと、買うべき本が棚からちゃんと浮かび上がって来たので、ソノラマ文庫「ふくろうが死を歌う/加納一朗」ポケット文春「私の父は食人種/ステーン・ベルイマン」ワニの本「所ジョージさんの頭がパァ〜。/所ジョージ」を購入。この野性的なリサイクルショップには、他にも支店があるようだ。…やはり調査しなければイカンのだろうな…。

帰りもバスに乗るが駅から一キロ強の地点で途中下車し、立派な古本屋さんがこの地にあることが奇跡の「よんだら堂書店」(2011/04/28参照)に飛び込む。広く、本多く、見応えありの棚と久々に対峙。店主さんにはタレコミでお世話になっているので、精算時に挨拶しようと思いつつ、本探しにしばし溺れてしまう。ちくま文庫「ブラウン神父の無心/G・K・チェスタトン」日本文芸社「ああ!! 勝負師/阿佐田哲也」東京文芸社「湘南ゴルフ 麗人学校/鹿島孝二」現代思潮社「ニジンスキーの手記」を計千円で購入すると、帳場はご婦人に入れ替わってしまっていた…早めに挨拶しておくべきだったか…。
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2014年08月21日

8/21埼玉・北坂戸 古本 あしやま二代目!

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東松山の「あふたーゆ」(2014/03/20参照)で教えられていたことがあった。「古本 あしやま」(2010/05/22参照)は二代目がお店を引き継ぎ、今やまったく違うお店になっていると!だいぶ放置してしまったが、真相を確かめるべく、稲穂の熱気と匂いがドアの隙間から忍び込む、東武東上線。東口に出て、午睡しているかのような静かな街を歩んで『芦山公園』を過ぎれば、日除けの文字の捲れ具合がアップした、以前とさほど変わらぬお店の前。真新しい『SALE』『いらっしゃいませ』の幟だけが、ほんのちょっぴりの新しさを想像させる。しかし中に入ると、ふぅむ。スッキリして、一見して本の流れに意志とリズムを見て取れるではないか。確かにお店は、変わっていた。そして店主も、居眠りしていたおじいさんではなく、優しげな中年福留アナ風店主が「いらっしゃいませ」。入口近くには50均文庫棚や、コミックの入ったプラ箱が積み上がり、棚下には本の束やタワーはあるが、乱雑な印象は受けない。三方の壁棚、二本の背中合わせの通路棚、帳場下棚などの什器構成は変わらぬようだ。右壁は100均単行本棚から始まり、日本文学・文明文化・文学評論・映画・詩歌句・天文・戦争・本関連・海外文学・宗教・演劇・写真・建築・音楽などが続く。時に同ジャンルの文庫も挿入し、知的な棚造りが展開。向かいはコミックで埋まり、奥壁はカルト系コミック・美少女コミック・自然・博物学・古本関連など。真ん中通路の右側はコミックで、左側にSF文庫・漫画評論・落語・音楽・冒険・同時代ライブラリー・新書・現代思想などが並ぶ。帳場下の講談社学術文庫・児童文学・岩波文庫・辞書・ノベルスを見て左端通路へ。通路棚には海外文学文庫と女流作家文庫。そして右壁棚は全体的に凝った並びを見せており、上部に日本文学函入り本が集まり、江戸川乱歩&探偵小説文庫・日本文学セレクト文庫(豊かで見応えあり)・時代劇文庫・歴史と広がる。七十年代以前の古い本はないが、並びは見ていて楽しく、何かあるのではないかとワクワクする。それに値段は安めなので、ここはコンパクトな良店ではないかと、強く思う。常々気にしていた晩聲社「新宿群盗伝伝/渡辺克巳」を500円で発見し、どひゃっほうと有頂天。他に春陽文庫「白頭の巨人/耽綺社同人」「合作探偵小説 江川蘭子」を購入する。

『芦山公園』で脳内の店内見取り図をメモ帳に描き写してから、道を南に歩いて行く。あぁ、「Book NAVI」(2010/03/17参照)は残念ながらもぬけの殻になっていた。ちなみに同日の北坂戸レポ「ルパン」も、駅前で貸店舗の無惨な姿を晒している…。
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2014年08月17日

8/17神奈川・辻堂 tiny zoo こわい本フェア

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風邪は治ったが代わりに歯が痛くなり始め、治療で口腔内を派手に脅かされ、憂鬱な痛みと共に神奈川県の湘南地区へ。改札を抜けて南口に向かい、長い坂道の空中歩廊を伝って東側に出る。そのまま白い小石の埋め込まれた『くまの森モール』を東に進む。そこを抜けると、線路下を潜って来た県道と行き合うので、『湘南辻堂地下道南口交差点』で合流し、海へ向かう心持ちでそのまま南へ。車通りが激しく、飲食店がポツポツと連続し、人影はほとんど見られないが、変に活気のある道である。強い日射しに炙られながら500mも進んで行くと、左手に住宅から飛び出したような、オレンジのスレート葺き屋根のバラック建築が現れる。壁に『CAFE』と書かれているので正面に回り込むと、そのバラックはテラス席で、奥にしっかりとした森の中にあるようなカフェ本体があった。ここは本来古書絵本も販売する『えほんカフェ』で、現在納涼企画的な『こわい本フェア』を開催中なのである。本を見るだけでの入店もOKなので、臆せず堂々と木の扉に手を掛ける。入った所は左がカウンター厨房で、瓜実顔のお姉さんがひとり、右のフロアが本棚に囲まれたフェアスペースになっている。右壁に大きく深い本棚が二本あり、『夏休みによむ本』特集が組まれ、和洋の絵本がたっぷりと並んでいる。奥壁には低めの児童文学棚も。さらに奥にはテーブル席が並び、壁際に本棚が置かれているが、そちらはお茶を飲みながらの閲覧用らしい。恐らく普段はフェア部分にも絵本が飾られているのだろう。レジ前の「かがくのとも」「こどものとも」を見てからフェアのテーブルに目を移すと、妖精・妖怪・お化け・怪談・幻想文学・怪奇漫画・魔術・心霊・食虫植物などが幅を利かせ、児童文学棚上にも探偵小説類が置かれている。子供用の本が中核を成し、本は古くても七十年代。こわい本の雄「ちのり文庫」が一番ぶっ飛ばしており、いかがわしい超常現象的こわさから、虫や解剖などの生理的こわさまでをフォローしているのが、震えが来るほど憎らしい。ポプラ社文庫「悪霊をよぶ島/ブラックウッド作 榎林哲文」ちのり文庫「あいうえお怪談パズル」三種を購入する。フェアは8/31まで。

ここまで来たなら、一駅下ってでも覗かねばならぬ「ちがりん書店」(2014/06/01参照)!箱の増えた店内をモソモソと物色し、興風閣「鮮満支 駆け足の旅/小池卯一郎」古今荘書房「支那女人譚/村田孜郎」(裸本。巻末の海野十三・小栗虫太郎・木々高太郎の広告に幻惑されるが、この蘭郁二郎は特に強烈である…ほ、欲しい)
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原書房「定本 山之口獏詩集」ソノラマ漫画文庫「パニック・ワールド/松本零士」福音館書店「100まんびきのねこ/ワンダ・ガアク」(初版)「うさこちゃんとうみ/ディック・ブルーナ」を計600円で購入する。気付けば薬と古本のおかげで、歯の痛みは嘘のように薄れていた。
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2014年08月13日

8/13千葉・安房鴨川 あんちっく具里夢

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月曜日の敵討ちに、またもやレールに錆の浮いた外房線に朝から揺られている。エネルギー漲る稲穂の中と、緑が猛々しく茂る低山の裾を走り通し、やがて左手に白波を立てる暗い翡翠色の大洋が見えるようになったら、外房線の終点に到達する。月曜は三時間で来られたのに、今日は接続が悪く四時間かかった…。駅前に出ると、白く小さな田舎町。見上げると、トンビがグルグル雲の下を、目を光らせて旋回している。目の前の寂れた通りを北東に歩いて行くと、およそ400mで待崎川。潮の薫りが一段と強くなり、河口にはたくさんの魚影が煌めいている。川を渡れば『鴨川市広場歩道橋』の架かる交差点で、さらに横断歩道を渡り、北に延びる旧街道的な道に入る。ガソリンスタンドを過ぎると、右手に『古い物 珍しい物 面白い物』と書かれた看板が立ちはだかるので、鵜呑みにして、その前の私道のような小道を東に進む。おぉ、店頭に数々の古道具を晒した、蔦に激しく絡み付かれた蔵風の建物に到着…つい一昨日に見た光景である。ここは、ちょっと敷居の低いリーズナブルなアンティークショップで、多少古本も取り扱っているのである。虚しく哀れに引き返した月曜を思い起こし、暖簾の下がった入口に近付いて行くと、白髪短髪の筑紫哲也風店主と鉢合わせる。挨拶を交わして店内に滑り込むと、整理整頓されているが、奥に細長く、古道具・古雑貨・骨董・古着、それに記念写真が混ざり合った空間。戻って来た店主に「奥もあるし、裏にもまだ部屋があるんで、自由にゆっくり見てってね」と優しい言葉を投げ掛けられる。では遠慮なく、お言葉に甘えて古本のみを求めて探索を開始する。入口両側の戸棚や棚には、映画雑誌・学年誌・美術全集・映画パンフ・芸能誌附録が集まっている。七十〜八十年代が中心。奥に進むと右の長い棚に、ブロマイド・メンコ・「GORO」・地図類などを散見。さらに奥の古道具だらけの建て増しトタン小屋に入ると、映画ポスター・アイドル雑誌・「女性セブン」・駄玩具・レコード・広告紙物などが目を惹くが、今のところ心を掴む決定打はナシ。母屋に戻ると、店主が即座に「裏も見てみる?」「お願いします」と二人で外へ。裏の砂利敷きの駐車場には、たくさんの陶器と、ダンボールに入ったノベルティ&キャラクターグッズが広がり、開け放たれたトラックの荷台にも古着やレコードに紙物類が並んでいる。古い物置小屋には、民具や古家具が雑然と詰め込まれている。そんな中から、映画パンフ・俳句本・ミュージカルパンフ・映画雑誌の箱を見つけるが、それでも目欲しい物はナシ。仕方ない、格好良かった『マシンガンパニック』の映画ポスターでも買って帰るかと引き返そうとした時、トラック内にあった薄手のダンボール箱が妙に気になってしまう。印刷されたボタニカルアートが入っているのだが、二〜三枚めくってみると、下からB4サイズのアート紙の束が現れ、そこには丁寧に洋雑誌や英語新聞の広告が貼付けられているのだ。最初は何かの版下ではないか?と思ったのだが、ペラペラめくって行くと、どうやらこれはニューヨークファッションの、資料としてのスクラップであることが、おぼろげながら分かって来た。そして紙の裏面を見ると、年月日・『ニューヨークタイムズ』などの新聞雑誌名、そして『くろすとしゆき』の名が入っていた。日本のアイビー&トラッドファッション界の重鎮である。これは恐らく、勉強&記事を書くための、資料の一部と思われる。時代は1970年代が中心で、『BROOKS BROTHERS』のものが多い。うぉぉぉぅ!『VANヂャケット』名義の資料スクラップも混ざっているじゃないかっ!と荷台でひとり大興奮。うぅーむ、これは凄い。貴重な物だ。少しは買って行きたいなと気弱に思い、戻って来た店主に一枚の値段を尋ねてみる。すると「あ〜、そうゆうのは一枚とかじゃなくて、箱で買って欲しいんだよね。それだと一万一千円かな」「ぐぅ、そうですか…」と言葉に詰まると、「う〜ん、二千二百円ならどう?」と突然値段が1/5に!「じゃぁ、じゃあいただきます!」と反射的に購入してしまう。…いや、全部で三百枚はあるのだが…買ってどうするわけでもないのだが…まぁ貴重な資料を散逸もしくはゴミ箱行きにするわけにはいかない。次世代に引き継ぐために、少しの間私が持て余しながら持っていることにしよう…。二つの袋に分けてもらい、おまけに二千円に負けてもらい、重い紙の束を抱えて海を眺めている…夏だなぁ…。
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スクラップは縦長の『BROOKS BROTHERS』が一番多く、物凄く徹底している。
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『VANヂャケット』の一枚。燃える!くろす氏は石津謙介氏の右腕でもあった。
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2014年08月06日

8/6神奈川・元住吉 凸っと凹っと

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標高の高い帆船のような駅舎から、長いエスカレーターを下って東口の地上へ。踏切から東に延びて行く賑やかな商店街、『モトスミ・オズ通り』を東に進む。すぐに円形にモザイクタイルが敷かれた岐路に着くので、そこからは南へツラツラ進んで行く。100m弱で終わる道の左手に赤い雑居ビルが現れ、中央の小さなビル入口前に置かれた『古本 中古CD』と書かれた立看板に、胸をときめかせる。いつの間にか出現しているタイプの、古本屋ツーリスト泣かせなお店である。この世では、このようなお店が知らぬ間に、いくつも現れては消えたりしているのだろう。どうにかたどり着け、お店と人生の時間がクロスしたことに感謝して、狭く急な妙な色の市松模様の階段を上がる。二階で右手を振り返ると、つづら折りのように展開して並ぶ部屋のドアがあり、その真ん中だけが開け放たれ、店内の本棚を薄暗い廊下に覗かせている。ビニールカーテンを潜り中に入ると、小さなワンルーム空間で、入って正面にラックと白い本棚が並び、右奥がカウンター帳場になっている。フロア中央には小さく低い平台があり、入口右横は奥に少し広くなってCD棚に囲まれている。カウンターにはキャップを被った文化系クリエイター風男性が座り、「いらっしゃいませ」と絹のように優しい声で迎えてくれた。入ってすぐのラックには、音楽・サブカル・コミックのオススメ本とCDが飾られ、白い棚にはレアな電子ブロックと共に、サブカル本が店主の眼と腕とセンスで集められている。当然バカな本が多くなるのだが、すべての本をサブカル的視点で捉えているためか、社会運動・犯罪・仕事・技術・建築・昭和風俗などもジャンルとして確立し、真面目な本や専門書も同列に扱っている。帳場近くにはサブカル系文庫と新書が集中。平台はおもちゃのロボットアームをメインにオススメ本が飾られ、下の棚にはサブカル系エッセイを多く揃える。CD棚の下にも、おもちゃのゾイドシリーズと共に一部古本コーナーがあり、岡本太郎・アラーキー・ガンダム・UFOなど。冊数はほどほどだが、徹底的にサブカルである。このお店にとっては、もはやサブカルがメインカルチャーなのである。世の中に見捨てられて来た本の、小さな王国!値段は安めである。文春新書「不許可写真/草森紳一」講談社漫画文庫「一刀両断/つげ義春」を購入する。元住吉のサブカル文化(重複表現?)を、今後もよろしくお願いいたします。
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2014年08月02日

8/2埼玉・秩父 月のうさぎ

お昼前に西荻窪で「フォニャルフ」にたっぷりと補充する。暑い八月もこまめにビシバシ補充して行きますので、引き続きよろしくお願いいたします!

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午後に鷺ノ宮から西武線に乗り、先日の雨の日の秩父行(2014/07/19参照)の意趣返しに向かう。今日はくっきりと見える武甲山を背後に、色褪せぬ昭和前期の街中を歩む。秩父神社西側の大通りに出れば『本町交差点』。電線の無い道と荒川に向かって抜ける景色が、旅情をチクッと刺激する。交差点から西側の歩道をちょっと北へ。『ジョナサン』を過ぎてシャッターの下りた薬屋を過ぎると、舗装がガタガタの私有地への脇道が現れ、足下の小さな立看板が奥に『たべものや』があることをアピールしている。ジャリジャリ中に入り込んで行くと、空をバックに風情たっぷりの蔵造りのお店が、ドシンと待ってくれていた。表でビーサンを脱ぎ捨て、暖簾をオドオド潜ってみると、うぉっ、結構人が入っているじゃないか。カウンター厨房を掠めて右に進むと、十冊ほどの本の束を、五つテーブルに配置し、その前にノートを広げて座る涼しげな女性がひとり…これが土曜の午後四時から始まる古本販売なのか…なかなか変わった形式だ。屋号は「BOOKS1/2」となっている。テーブルの周りを女性陣が取り巻き、店主たる女性と言葉を交わしている。ちょっと気後れしてしまうが、異物である覚悟を固め、テーブルの本に手を出して行く。テーマは週ごとに変わるのかもしれないが、今は生き方や思想の本が多く、建築・暮らし・絵本なども交え、文庫も少しだけ含んでいる。すべての本はちゃんと値付が済んでおり、定価の半額より少し上くらい。四月社「大きな魚をつかまえよう/デイビッド・リンチ」を購入する。風のように現れ、本を手にして風のように去ってしまう…。

帰り道に「ポエトリーカフェ武甲書店」(2011/06/07参照)に寄り道。以前はいなかった、ウッドデッキの犬小屋前でハァハァとうだり喘ぐ可愛い雑種犬をワシャワシャと撫で、ちくま文庫「見えるものと観えないもの 横尾忠則対話録」を100円で購入する。
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2014年07月21日

7/21神奈川・追浜 第48回アイクルフェア 古本市

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わりと早起きして、京浜急行・快特の猛スピードで東京湾岸を南下し、金沢文庫駅で各駅停車に乗り換えて、午前九時半の追浜駅。東口に出て、昭和が淀むロータリーから東に延びて行く『夏島貝葉通り』を、海までひたすら歩いて行けば良いのである。歩道に屋根の架かる長い『追浜銀座』を抜けると、左手の公園奥から、これからゲームの始まる『横須賀スタジアム』の存在感が伝わって来る。ここで人影は途絶え始め、道は広がり、周囲は巨大な敷地の工場ばかりとなる。…海が近い。そう予感して、トラックの排気ガスと蝉の声を浴びながら、ヒタヒタと歩みを止めることなく道なりに東を目指す。やがて、『予科練誕生之地記念碑入口』『横浜マリノスサッカースクール』『動物愛護センター』が現れた所で、行く手に粘度の高そうな鈍色の海が見え、その際に城の如き意匠を施された恐ろしく巨大な『リサイクルセンター アイクル』が建っていた。すげぇ…丈夫なカリオストロの城みたいだ。正面から見ると和風な城にも見えるぞ…。そしてその敷地入口には、『ジーパン市』の幟と共に愛しい『古本市』の幟が、暑い海風にへんぽんと翻っていた。この施設の二階で、今日だけ一冊三十円の古本市が開かれるのである(ジーパンは一本300円)。露店の間を突っ切り、一階のリサイクル自転車&家具売場に興味を惹かれつつ二階へ。うぉぉぉおおお!広いフロアには、午前十時の開始を待ち構える人の壁が出来ていた!左半分がジーパン市で右半分が古本市だが、すでにその周囲を人垣が、三重四重に取り巻いている。しかもみっしりと強固で、暴動一歩手前のような熱気が漲っている。この状況を見て察するに、市がスタートすると同時に、人々が会場の通路に全方向から雪崩れ込むようだ。長テーブルの島で出来た長い平台が四つあり、奥の窓際に帳場が設えられている。どの平台の上にもブルーシートが掛けられており、そこにどんな本が並んでいるのか分からぬようになっている…何故だ。これは突入場所を良く見極めなければ…しかしブルーシートの端を良く見ると、並んだ本の一部がチラリと見えているのに気付く。右の二つはどうやらコミックの恐れあり。左の二本に山を張ることに決め、左側の人垣後ろでスタンバイ。緊張の午前十時、ブルーシートがめくられると共に、人垣がドワッと動き、あっという間に平台の周囲に密着する。やはり左の二本が古本台で、左端にビジュアルムック・写真集・絵本が並び、その隣りが文庫メインの大人用。それにしても人が多過ぎて、本がまったく見えない!これは過酷な古本市だ!最前列の人々は、ガッチリスクラムでも組むように隙間なく並び、それがベルトコンベアのようにズルズルと回転し続けている。そしてそれをさらにあぶれた人たちが取り囲む!本が次々と補充されるので、あまり列から離れる人はいない。あったとしてもそこは瞬時に埋まってしまい、あっという間に元通り…一本の文庫台に対して、人間が多過ぎるようだ…。結局ほとんど最前列になることはなく、隙間からどうにか九冊。ポプラ文庫「電人M/江戸川乱歩」河出i文庫「オノマトペは面白い/永田守弘」かもめ文庫「かながわ定食紀行/今柊二」中公文庫「転んでもただでは起きるな!/安藤百福発明記念館編」ちくま文庫「手業に学べ 技/塩野米松」講談社文庫「藤田嗣治「異邦人」の生涯/近藤史人」岩波新書「俳風動物記/宮地伝三郎」講談社「誰が映画を畏れているか蓮實重彦/山根貞夫」文遊社「いづみ語録/鈴木いづみ」を計270円で購入。

ついでに隣りのジーパン市の隅で開かれていた『古道具市』も冷やかし、キッコーマンのデッドストック前掛け二着を1000円で、さらにレコード箱の中から大瀧詠一「A LONG VACATION」と荒井由美ベストアルバム「Yuming brand」(3D眼鏡付き!)を計200円で救出し、およそ一時間の闘いを終え、会場を後にする。

横須賀スタジアムの大声援に心を泡立たせて駅まで戻り、線路沿いの『北原製パン所』で色々と買い込む。食パン丸ごと一枚のラスクも愉快だが、ソフトクリームのコーン生地でカステラパンをそっと挟んだ『ウエハース』は珍品で、シャクンシャクンポスッと不思議な食感が楽しいパンである。
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※レコードとウエハース。

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2014年07月17日

7/17埼玉・上福岡 BOOKBOOK 大井店

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東武東上線を池袋から三十分で乗り捨て、『赤の広場』のようにだだっ広い西口に出る。集合住宅下の「ブックマート 上福岡店」を冷やかし、店頭105均棚から講談社文庫「夢探偵 SF&ミステリー百科/石川喬司」を購入して、ロータリー南端から南西に大通りを下って行く。新しい扁平な街の中を500mも真っ直ぐに進めば、『上福岡駅西口入口交差点』で『川越街道』とクロスする。中央分離帯に銀杏や楠の大木が生える、まさに街道っぽい道を東南に200m進むと、黄赤のマイナーブックチェーン店にたどり着く。中に入るとまず広がるのはコミックゾーンで、奥に仕切られた大きなアダルトゾーンの気配。古本や文庫を求めて奥の仕切りに向かって行くと、アダルト入口横にライトな単行本棚が一本あり、その向かいの通路棚に105均文庫がズラリと並んでいた。日本文学文庫六割、海外文学文庫二割、ラノベ二割となっているが、並びはちょい古めの一般的なもので、それほど心は燃え上がらず、文春文庫「土俵に棲む鬼 相撲小説集/もりたなるお」を購入する。

せっかくの四年ぶりの上福岡だ。駅北側の「かみふくおか作業所 トトロ」(2010/04/16参照)を覗いて行くことにする。住宅街の裏道をたどって、久々のお店に到着。中に入ると構造はそのままだが、ちょっと雑然としている。だが本はしっかりと見られるので、二重の文庫棚に圧倒されながらも、何故か手にするのは漫画本…。講談社KCスペシャル「バチヘビ/矢口高雄」秋田文庫「幻魔大戦/平井和正・石ノ森章太郎」を計250円で購入。おぉ、外では雷が轟き始めている。涼しくなってくれると良いのだが。
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2014年06月20日

6/20神奈川・鎌倉 古書ウサギノフクシュウ

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湘南新宿ラインで滑り込んだホームに降り立ち、すぐに階段には向かわずに、西側に目を凝らしてウロウロと歩き回る…想像では線路のすぐ向こうに、新しく出来たお店が見えるはずだったのだが…頭上ではトンビが低空を、風に乗ってクルクルと旋回している…。西口に出ると、平日なのに恐ろしいほどの人波。それを避けるようにロータリーには近付かずに、線路際へと進む駅舎脇の北の小道に入り込む。喧噪は一瞬のうちに遠退き、自転車置場と緑のある地元的裏道となる。そのまま北に歩き続け、東西地下通路の上を乗り越え、左手にもはや格式があるんだかないんだか分からぬ風情の『ホテルニューカマクラ』を見たら、小さな二〜三階建ての建物が並び始める。その内の小ビル一階の、漆器屋さんと料理屋さんが入った端っこに、細い縦格子のドアがひっそりとあった。見上げると洋風袖看板に『古書』の文字。視線を落とすと立看板に『古本屋さんがOPENしました』の文字…それにしても、変わった勇気ある店名である。ちょっと気付き難く入り難くもあるドアを開けると、狭い急階段が待っている。二階には一本の廊下があり、ガラス窓鉄枠のドアが二枚並ぶ。手前がごはん屋さんで、奥が目指す古本屋さん。重いドアを開けてワンルーム的店内に滑り込むと、文学的シヴヤ系な青年が「いらっしゃいませ」。縦長白壁のシンプルなお店は廊下から続く板張りで、左壁にこれもシンプルな六段の棚を擁し、奥壁には棚が続くと共に帳場が置かれている。右側には大きな机がひとつあり、壁面はミニギャラリーとして使われ、現在は写真が飾られている。机上にはデザイン性の高いショップカードと共に、洋書絵本や石津謙介が飾られている。壁棚には、児童文学・猫・旅・食・ファッション・絵本・カルチャー雑誌・70年代カルチャー・植草甚一・クラフトエヴィング商會・堀江敏幸・フランス・パリ・音楽・アメリカ・ニューヨーク・幻想文学・セレクト文庫・哲学・詩集・建築・村上春樹・海外文学・ブローディガン・ディラン・古本・中上健次…店主の思考と嗜好が、純度高く顕現しているようなセレクト棚である。ハイブロウに男子と女子の両面を近付け混合中で、値段はしっかりめ。棚の上がまだ開いているので、蔵書数を増やしても強固な純度を保って行くのか、それとも純度を低めて柔軟に裾野を広げるのか、今後の鎌倉の古本屋さんとしての変化が楽しみである。創元社「モダン・シティふたたび 1920年代の大阪へ/海野弘」を購入したところで、あっけなく正体を喝破される。それもそのはず、店主は昨年の『西荻ブックマーク』でのトークを聴かれていたとのこと。しかもそこで買った単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の識語に『古本屋さんになってください!』と書かれていたため、『よし、なってやろう!』と古本屋さんになったのだと、恐るべきことを告白された!そんなバカなことが!まるで格闘家・須藤元気が、トイレに入った時に便器の上に『一歩前へ』と書いてあったので『よし、人生を、一歩前へ出よう!』と格闘家を辞め、アーティストに転身したような閃きの決意ではないか!驚愕し恐縮!嬉しいことだが、激しく責任を感じてしまう…いやもうこうなったら、この線路際の隠れ家のような古本屋さんを、喜んで応援させていただきます!か、開店おめでとうございます!

何だか仲人でも務めたかのようなお祝い気分になり、踏切を渡って『小町通り』に向かうと、うわっ!「木犀堂」(2012/12/01参照)がコメントタレコミの通りに閉店半額セール中だ!途端に弔い気分に襲われて、函入り本の多くなった店内を静かに一周し、河出書房「娘の家/小山いと子」を900円で購入。閉店日を聞いてみると「七月の中頃までやってます」とのこと。新しいお店が誕生したと思ったら、古いお店が引退間近…古都鎌倉も、こんな風に新陳代謝して行くのか…。
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最後に「books moblo」(2011/10/10参照)に立ち寄り、すっかり頼もしさを増した店主・荘田氏とあれこれお話し。講談社漫画文庫「タンク・タンクロー/阪本牙城」を1200円で購入する。
posted by tokusan at 18:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする