2019年02月12日

2/12東京・西国分寺 むさし結いの家

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本日は西国分寺南西の武蔵台という、お初の土地に流れ着く。悲しいことに西国分寺は、古本屋が絶えて久しい、絶望的に乾いた土地であるが、何の因果か偶然にも、小さな古本オアシスを発見してしまったのである!場所は駅から、武蔵野線西側を南に下り、国分寺崖線の高低差を感じながら、『武蔵国分尼寺跡』や、何だか古墳のような『黒鐘公園』通り過ぎた『東八道路』手前の北の裏路地に、そのワゴンは突然現れる。ビル一階の小さな福祉センターなのだが、そのセンター頭に、古着と共に文庫の古本ワゴンが出されているのだ。オアシスと言ってしまったが、雨上がりの水たまりのようなものである。だが、だが!この駅から半径一キロ以内に古本の姿など皆無だった西国分寺に、ひっそりと古本が並んでいたことが、とにもかくにも嬉しいのだ。俺は、水たまりの水を、喜んで啜るぞっ!と近付き、ワゴンを注視する。…赤川次郎…西村京太郎…赤川次郎…斉藤栄…草野唯雄…島田一男…赤川次郎…あぁっ!文庫は皆背が陽に焼け、砂にざらつき、ひしゃげているものもある。だが、何か買わねば、啜らねば…と、創元SF文庫「宇宙消失/グレッグ・イーガン」を選ぶことにする。おっ、入口左側の棚には単行本が……ふぅ、全部「ゴーマニズム宣言」か…。中に入ると、テーブルがたくさん並び、たくさんの人が着席し、活気のある室内である。一斉にみんながこちらを注視する。すると奥の事務所スペースから、ヒゲ&スキンヘッドの男性が「ちょっとお待ち下さい!」と飛び出して来て、本を受け取り布巾で拭きつつ「50円です」と教えてくれた。国分寺崖線の裾野で、古本が偶然に買えるなんて、思ってもみなかった。

坂を上がって中央線で阿佐ヶ谷に戻り、「ネオ書房」(2019/01/06参照)に寄り道。国立国会図書館「本の装幀 展示会目録 特別出品 芹沢_介装幀本」を150円で購入する。

※お知らせ
そろそろ発売の「本の雑誌 流れ雲ビーフン号 No.429」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、大森の「松村書店」を大フューチャー!あのお店の人間サイズの小ささと古さを、今後も偏愛し続けるぞ!
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2019年02月08日

2/8東京・西荻窪 BREWBOOKS

早くから動き始め、午前十時過ぎの神保町に水道橋駅からアプローチする。『白山通り』を我が物顔に通過する冷たい風に抗いながら、まずは「丸沼書店」(2009/12/17参照)で評論社「アイルランドの怪奇民話」を400円で購入し、良い滑り出しを予感する。続いて「日本書房」(2011/08/24参照)の店頭中央和本ツインタワーから、春陽堂「武蔵の名香 阿剌比亞の林檎 東西短慮之刃/尾崎徳太郎」を800円で購入する。これは明治三十五年刊の、尾崎紅葉の講談物語に関する講演を筆記したもの。タイトルにある『武蔵の名香』『阿剌比亞の林檎』二つの話を弁じ比べ、共通点を炙り出す趣向である。こんなものが店頭に出ているとは、さすが「日本書房」!と褒めたたえながら、さらに南下を進める。「アムール」(2011/08/12参照)では日本経営史研究所「未踏世界への挑戦 味の素株式会社小史」角川文庫「娼婦の部屋/吉行淳之介」を計100円で購入する。光の当たる『神保町交差点』から『靖国通り』に入り、「明倫館書店」(2012/04/04参照)前で立ち止まる。ワゴン上に積み重なった古本もしっかりチェックして行くと、ちゃんと函付きの三省堂「趣味の植物採集/牧野富太郎」を300円で購入する。昭和十年刊で、牧野の活動している写真が豊富に掲載されているのがたまらない一冊である。
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さらに「八木書店」(2013/07/24参照)の店頭プラ箱から日本雄辯會「實業界大秘史 三菱王国/大瀧鞍馬」(巻末に『日本のコナンドイルと謳はるる』とある筑波四郎「探偵十種」の広告あり。どうやら実録犯罪ものらしい)日本書房「ディオール/杉野芳子」を計400円で購入する。すっかり身体を冷やしたところで、『東京堂書店』に赴き、待ち合わせていた神戸から上京した知り合いと無事に出会う。本の雑誌社に行きたいのだが、一人ではその勇気がないので引率して欲しいと頼まれていたのである。というわけで、珍しくメンバー全員勢揃いの本の雑誌社に優しく迎え入れられ、三十分ほど楽しく歓談させていただく。無事に役目を果たした後は、さらに古本屋を巡ると言う知り合いと別れ、帰路に着く。その時、「小宮山書店」(2014/05/31参照)の角をふいっと曲がったところで、店頭棚最下段に挿さっていた本が目に留まる。実相寺昭雄の「星の林に月の舟」であるが、背の一番下に大和書房の名がない。ということは、実相寺の饅頭本(葬式時に配る非売品本)じゃないか!と引き出すと、見返しに奥さま(映画『シン・ゴジラ』では逃げ遅れたおばあちゃんとして遠影で出演している)の挨拶カードと名刺が、ちゃんと挟まっていた。買わねば!と静かな店内に踊り込み、1080円で購入する。

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一旦家に戻ってから、午後三時前に西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に腰を据え、先月の売り上げを受け取りつつ、ひっそり出現している横田順彌棚に目を細めたり、打ち合わせや無駄話など。その中で小野氏が「そう言えばこの間、自転車で『西荻南児童公園』の脇道走ってたら、『本』って看板が出てる店が…」…!それって、もしかしたら遥か以前に「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の天野氏が、その辺に出来るらしいって言ってたお店じゃ!と気付き、「ひとたな書房」から高知県立文学館「探偵小説の父 森下雨村」を800円で購入しつつ、とにかく急行してみることにする。駅南口から『西荻南二丁目交差点』まで南に下り、後は東南に延びて行く『神明通り』をズンズカ進んで行く。200mも行けば『西荻児童館交差点』に差し掛かり、その際には小さな『西荻南児童公園』が現れる。そこで北へ向かう通りを覗き込むと、おっ!右手公園横の建物前に、確かに『本』の立看板が出ているではないか。一階がレンガタイルで化粧され、窓枠&扉が真っ青なお店である。窓際にはキレイな本が並び、中には本が上品にディスプレイされているのが伺える。扉を開けてお店に入ると、奥のカウンターの向こうから、身だしなみがファッショナブルな野比のび太風青年が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。表の立看板から引きちぎったチラシによると、新刊+古本を扱い、クラフトビールやソフトドリンクも楽しめ、さらには二階は『書斎』という名の時間制寛ぎ読書スペース&イベントスペースになっているとのことである。一階は左に洒落てシンプルな飾り棚がカクカクと繋ぎ合わさり、中央には木製の平台棚が二つ据えられている、右壁下はカウンター席となっており、最奥にはビール冷蔵庫を備えた広々としたカウンターがある。その右側は二階への通路となっており、そこにも棚が設えられている。本はそれほど多くはないが、全空間に、余裕を持ち満遍なく行き渡るようなカタチで、新刊と古本、単行本と文庫が混ざり合い、並んでいる。食・絵本・台所・暮らし・自然・妖怪・民俗学・本関連・酒・文学・西荻窪・旅・シベリア…アイヌの本を見つけて手にしてみると、アイヌ語の練習本のようなもので、語りのカセットテープ付き。思わず食指が動くが、三千円の値に二の足を踏む。気付けば青年店主は、カウンターの向こうで美味しそうにズバズバと麺を啜っている。セレクトブックショップに近いお店である。店主の審美眼が隅々まで行き届き、無駄のない潔い並びを見せている。新たに西荻窪本文化の一端を担う場所が、いつの間にか誕生していたとは。講談社「夜翔ぶ女/中井英夫」を購入する。
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2019年02月01日

2/1東京・谷保 小鳥書房

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『次は、ヤッホ、ヤッホ』のアナウンスに痺れながら、南武線から降車する。北口のロータリーに出てからは、すぐに住宅街に分け入り、まずは駅北東の『谷保第一公園』を目指す。開けた縦長の公園では、安全性の問題から使用が禁止され、ブルーシートで梱包された遊具が、ちょっとアート的な異彩を放っている。そしてその向こうには、『国立富士見台第一団地』を背にした、短い二本の双子のようなアーケード商店街『ダイヤ街』が見えている。ここは、2018/10/17に偶然訪れた、昭和過ぎる商店街ではないか。北原尚彦氏からのタレコミによると、ここについ先日新刊と古本を扱うお店が誕生したらしいのである。まずは西寄りのアーケードに入り込んで行くと、おぉ!左手手前が、その件のお店であったか。古風なモルタル壁に、磨りガラスのウィンドウと木枠のガラス戸がはめ込まれ、そこには店名と小鳥のマークが描かれている。脇には『新刊・古書』の立看板と、お店の成り立ちと在り方を短く紹介した(ひとり出版社が母体の本屋であること。日用品を買うように本を買って欲しいことなど)黒板が置かれている。扉を開けて中に入ると、奥の高いカウンターの向こうに座る二人の女性が「いらっしゃいませ」と鈴を振ったような声で出迎えてくれる。余裕のあるシンプルで洒落た店内である。左壁に自社出版本と、まっとうで優しくて理知的な瞳で選んだ新刊が、軽やかに並んでいる。おっ、香川県・高松の完全予約制古書店「なタ書」のショップペーパーが置かれているじゃないか。何時の日か行ってみたいものだ。一枚もらっておこう。中央には自社本と雑貨類が集まる棚。そして右には二階へ上がる小さな階段があり、その下の壁に小さな棚が一本置かれ、どうやらそこに古本が並んでいる。しゃがんで見てみると、これが水木しげる&京極夏彦&荒俣宏の妖怪尽くし。棚二段分に、これでもかと揃えられているのが、新刊との奇妙なギャップを生み出している。他にもカウンター下の木箱三つに、文学・自然・一般書の古本が収まっている。どちらかと言うと自社出版物と新刊がメインで、古本はお店にちょっとした彩りを添えている感じである。だから冊数は少ないが、値段は安めである。おかっぱ丸メガネのお姉さんに、木製フレーム&ボタン電卓でカポカポ計算してもらう。角川ONEテーマ21「京都妖怪紀行/村上健司」角川書店「水木しげるの異界探訪記/水木しげる」を購入。あぁ、時代から取り残されたような素敵な商店街で、古本が買える幸せよ。開店おめでとうございます。その後は団地外れの一角で、洋菓子屋『白十字』の工場直営店を発見してしまったので、フラフラと蟻のように吸い込まれる。途端に襲いかかる、幸福な甘い匂い!ショウケースの向こうでは、白い調理服を来た人々が忙しく立ち働き、甘いものを次々と造り出している!まるで工場見学している気分になり、ショートケーキやシブストやト音記号のクッキーなどをわちゃわちゃ購入する。すると「これ、割れちゃってるんでサービスです」とサブレを一枚いただく。ありがとうございます!すっかり身体に甘い匂いをまとわりつかせながら、国立駅までの千五百メートルを歩き通す。
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2019年01月23日

1/23東京・御徒町 第一回 上野広小路古本祭

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そう言えば日曜の「みちくさ市」(2019/01/21参照)の受付時に、「立石書店」さんが意気込みながら「上野で古本市やるんですよ。来て下さい!岡島一族(「岡島書店」(2010/02/02参照)「立石書店」「古書英二」)全員出るんですよ!」と言われ、思わず笑ってしまったことを思い出す。と言うわけでお昼ご飯を食べてから電車に飛び乗り、秋葉原から京浜東北線と競り合うように走る山手線で、御徒町駅下車。礫が混ざった凝固土の手摺を懐かしく感じながら階段を下り、北口に出る。高架下から西側に抜けると、北には『アメ横』の南端ゲートがあり、平日なのに多くの人でザワザワとしている。さらにザワザワは、そこから街中にあふれ出しているようで、パワーのある賑わいが続いて行く。『春日通り』をそのまま西に進むと、たちまち大きな『上野広小路交差点』である。北側には上野のお山が見え、南東には爽やかな建材パネルに包まれてしまった『松坂屋上野店』が『中央通り』に沿って、南へと伸びて行く。そして南西の角地には『凮月堂』に並び、緑色の演芸場ビル『上野広小路亭』が建っている。おぉ!その一階の『ギャラリー+スペース36』で、赤い『古本市開催中』の幟をはためかせ、教えられた通りに古本市が開かれているではないか。しかもかなり賑わっており、常にお客さんが出入りしている。表に出されたコンビニコミックワゴンや雑誌ワゴンや文庫ワゴンを眺めながら、窓に貼られたポスターにチラリと視線を移すと、『上野に古本催事が帰ってきました。個性豊かな古今の良書を揃えてお待ちしております』と書かれていた。入口横のワゴンも念入りにチェックし、その横に置かれたプラ箱も覗き込むと、古本ではなく演芸場のスリッパが大量に入っていた…すぐ隣りは階上の演芸場への入口なのか…。中に進むと、横長でそこまで広くはないスペース。壁際を本棚と木箱で造られた棚が覆い、中央にはプラ箱でまとめられた平台、右奥にはワゴン&木箱棚がつながって行く。左に帳場があり、その脇には貴重紙物のラックも置かれている。並んでいる本は、民俗学・郷土・歴史・江戸風俗・近代・戦争・自然・落語・演芸・映画・北杜夫・時代劇文庫・新書などが主で、独特な硬さを見せている。そして会場内は古書ファンと言うよりは、一般客でにぎわっている印象である。こりゃスゴい。最初は函が壊れている300円の木下杢太郎「其国其俗記」を買おうと思ったが、何となく気乗りせずに、未練たらしく一度見た棚を眺めていると、先ほどは不覚にもスルーしてしまっていた嬉しい一冊が目に留まった。白揚社「16の横顔 ボナールからアルプへ/滝口修造」である。カバーナシだが540円なので、「其国其俗記」はそっと元あった所に戻し、一冊だけをニコニコと購入する。この市は1/27(日)まで。
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2018年12月31日

12/31東京・新宿 詩歌系古書店が選ぶ「わたしの5冊」

ついに大晦日である。さすがにこの日になると、開いている古本屋さんは、グンとその数を減らす。おまけに一年の疲れが身体に淀んでいるのか、どうも身体が重い。なので近場で一年の締めくくりをキメることにする。向かったのは古本屋さんではなく、老舗の有名新刊書店『紀伊國屋書店新宿本店』である。ここで現在『詩歌系古書店が選ぶ「わたしの5冊」』という、選書フェアが行われているのだ。古本屋さんが絡んでいることならば、何でも味わい尽くさなければならない。そういつも通り盲信し、普通に賑わっている地下道をずいずいと進んで行く。『創業116年の中村屋でございます』と重々しい呼び込みをする『中村屋』地下入口前を通過し、前川國男のトレードマークとも言える陶タイルで覆われた壁沿いに、書店へのエスカレーターを上がる。地下一階からは階段を右に巻上がり、多種多様な手帳を店頭販売中の正面入口に出て、さらにエスカレータを上がって二階店内へ。入ってしまえば場所はすぐにわかるだろうと高をくくっていたら、何処でそのフェアをやっているのかまったくわからず、しばらく店内を彷徨いまくる。結局エスカレータを上がってすぐ右に進み、奥に詩歌句がある通路の一番手前の通路棚で、そのフェアはこじんまりと行われていた。立ち上がる棚と平台に詩歌句新刊の二十五冊が並び、それぞれの解説が掲載されたフリーペーパーも置かれている。参加店は「古書ソオダ水」(2018/01/28参照)「葉ね文庫」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」134ページ参照)「水中書店」(2014/01/18参照)「七月堂」(2018/01/18参照)「りんてん舎(仮。2019年上旬に三鷹にオープン予定)」である。この新鋭中心で斬新なラインナップは、しっかりと古本屋さんに通い、その目で見極めていなければ決められないセレクトである。新刊書店で古本屋絡みのフェアをすることと、これらのお店を選んだ担当者さんの英断と慧眼に、まずは頭を垂れる。フリーペーパーを手にすると、並べられている本+オススメの絶版本も掲載されている。だが、これを最初に読んで、楽をしてはいけない気がする。もうすでに目の前に本が並んでいるのだ。まずは先入観なしに、己のフィーリングに合った本との出会いを、楽しむべきではないだろうか。通常、古本屋さんでは、専門店以外は様々なジャンルの本を並べている。そこには、店主の個性や営業意志が反映され、独特な棚造りが為されている。その棚は、ある種地図のようなものである。知識や思想や未来や過去や異世界や妄想などに踏み込むための、誰もが読み慣れた地図である。そこにあるのは答えではなく、ただ進む方向の指針となる古本の並びで、完成度の高い良い地図に古本屋さんで出会えた時は、身体に電気が走るほどの、素晴らしい装置なのだ。だが詩歌句は、通常の棚とは少し異なり、聞き慣れない出版社や作家が連続し、多少取っ付き難くマイナーな面を持っている。その取っ付き難い棚は、大抵のお店では片隅に追いやられ、小さくうずくまっているのだが、ここに並んだ四店+一(仮)は、大きく詩歌句に棚を割いているお店ばかりである。例えて言えばその地図は、通常の地図ではなく、海図や星図みたいなものではないだろうか。何処か大きな世界を予感させる、馴染みの無い地図たち。だがそれは、接することにより、ルールを把握することにより、いずれは馴染み深く、そして興味深くなるものである。この今目の前に展開している小さくささやかな棚も、そんな見慣れない地図の一枚である。だが、何処かに地図と親しむ手掛かりは含まれているはずである。まずは装幀を眺め、一冊一冊手に取り、ページを捲って行く。詩集・詩論・詩人エッセイ・歌集・句集………しばらくフェア棚の前に佇み、迷いまくる。ちょっと高値の本も多いので、そこもしっかり吟味する。結果、一編二編、三首四首、五句六句さらりと読んで、心にピリッと引っ掛かったものを買うことにする。思潮社「リリ毛/小縞山いう」2200円+税である。アカシックレコードから無作為に選んだ言葉の羅列のようで(作者の名前もそうだ)、リズム感が密やかにこなれて弾む文字列が、何か妙に引っ掛かってしまう。読んで意味は即座に掴みかねるが(まぁ大抵の現代詩はそうだ)、読み込むと脳内がキレイに掃除され、そこに予想外の一言がポツンと残されてしまっているような想像をしてしまう。フリーペーパーを繙くと、選書は「水中書店」さんであった。ゆっくりと、読み進めていくことにしよう。
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帰りに大晦日も絶賛営業中の「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、岩波文庫「銀座復興 他三編/水上滝太郎」を350円で購入し、本年の古本買い納めとする。今年もたくさん古本を買いました。みなさま、来年もまたよろしくお願いいたします。それではよいお年を!
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2018年12月24日

12/24東京・荻窪 藍書店

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昨日の古本狂乱は過ぎ去り、すでに強風のクリスマス・イブである。舞い飛ぶ大量の枯れ葉に非日常を感じながら、いつもの月曜日のように、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)へ定点観測に向かう。だが珍しく店頭では何もつかまず、店内で欲しい本は見つかるが購入にまでは至らなかった。大量の古本を売ったことに起因する放心状態だろうか。…そうだ、移転した「藍書店」を、いい加減に見に行かなければ!と思いつき、クリスマスに賑わう『南口仲通り』に入り、最初の脇道を東へ…あっ、「おぎくぼ古本市」(2018/05/02参照)をまたやってるのか。営業は12時から…後で見に来よう。そのまま道を抜けると『電話局前交差点』である。大通りを鋭角に南西に進み、こちらも最初の脇道を南へ入り込む。すると50mほど進めば右手にビル一階のお店が…営業しているぞ。看板が以前の選挙事務所からすっかり新調されており、『藍書店 Indigo Books 古書買取』の文字が輝いている。店頭には頭上にプラ箱を載せた三つの小棚が出されており、上部には映画・芸術関連、下には美術系の大判本を収めている。細長く小さめな店内に進むと、壁はほとんどが本棚で覆われ、奥へと伸びて行く通路棚が二本の狭い通路を造り出してる。本棚には古本がびっしりと収まっているが、良く見ると通路入口側の合わせて十五本ほどの棚には、背をこちらに向け整然と本が並んでいるが、奥に進むと結束本束や横積み本となり、バックヤード的に変化する。どうやら今のところ、奥のレジ近くの部分は、フロントなのだがバックヤード的な役割を果たしているようだ。と言うわけで、店舗として機能しているのは、前部分だけなのである。そこには、文庫・映画(これが目立っている)・芸術・文学・思想・社会・歴史・新書・洋書などが、大体100〜500円の値付で混ぜこぜに並んでいる。だが、質はかなり高めで、古書も混じっているのが何とも嬉しい。筑摩書房「カツドウヤ水路/山本嘉次郎」講談社少年版江戸川乱歩選集「三角館の恐怖」アスベスト館「アスベスト館通信第3号」が、合わせて千円!これから月曜日は、「ささま」とともに定点観測することにししょう。

そういえば昨日、古本市で残った良書を「フォニャルフ」に補充しておいたので、来られなかった方はぜひご覧あれ!家に帰った後は(ハッツ!「おぎくぼ古本市」に寄るの忘れた…)、大阪へ送る古本集めと、土曜の岡崎武志氏とのトーク来場者に配布するプレゼントセレクトを行う。貰って嬉しいもの、貰って困るものアリ!…フフフフ。そんな歳末ギリギリ限界の古本トークですが、お時間ある方はぜひ八王子にお越しください。「佐藤書房」(2009/08/26参照)の濃厚さと「まつおか書房」(2010/01/05&2016/08/29参照)の大外棚を楽しんだ後に、「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)と『旅と古本』の世界(多くは古本屋さんと古本のことになると思いますが…)をお楽しみいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!

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旅について、古本屋について、古本について、青春18きっぷと鉄道について、縦横無尽に話しまくる予定です。八王子への小旅行を満喫した後、古本屋さんでのトークを、ぜひともお楽しみ下されば幸いです!冬の八王子でお会いいたしましょう!
【日時】12月29日(土)18:00スタート
【参加費】1,000円
【場所】八王子「古書むしくい堂」東京都八王子市横山町10-17グエルスクエア八王子102
【ご予約・お問い合わせ】info@mushikuido.com tel:042-698-3994 http://www.mushikuido.com/contact/
※二人のプレゼントが当たる抽選会あり
※終了後、有志で忘年会へ
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2018年12月16日

12/16東京・鶯谷 古書 木菟

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嫌気を覚えてしまう、粘っこく明度が低い曇天である。新宿駅から山手線の上半分を五分の二周し、昨日新しく出来た古本屋さんを見に行く。だが、間違えて南口で降りてしまった…本来は北口から改札を抜け、『言問通り』に上がって西を目指すのが正しいのだが、仕方ないのでこのまま歩き始めることにする。ぐるっと回り込むように、北西にある『言問通り』を目指して進んで行く。『寛永寺』の霊園と、『東京国立博物館』に挟まれた道に入り込んで行くと、人影はほとんどなく、タクシーが連なり憩っているほどの静けさである。整然とした情報の少なさと、空の広さが、まるで浮世絵を見るようである。こうなると嫌気を覚えた曇天も、俄然風雅なものに変貌して行く。徳川家綱廟の豪華な門や、威厳ある『東京文化財センター』前を通り、どうにか目的の『言問通り』へ出ると、浮世絵の面影は消え去り、下町の風景が広がり始める。通りを西にグイグイ進み、やがて『上野桜木交差点』。道を北へ入り込み、黄色い看板の『愛玉子』前を通過して、交番のある小さな交差点を西に入る。すると右手に、谷中の風景にベストマッチしたお店が見えて来た。小さく細長く新しく、三階建ての店舗兼住宅の一階がお店なのだが、大変に造作と意匠に手間をかけているのが一瞬にして見て取れる、驚きの店構えである。瀟洒な軒燈が可愛らしく、明り採りの小窓も美しい。上部がRになり、磨りガラスと透明ガラスを組み合わせた木枠戸は、まるで庵の入口のようである。そしてその左右には、何と龍と鳳凰のレリーフが飾られている。さらに左の店名看板が埋め込まれた部分は、いわゆる“梲(うだつ)”のようでもある。そんなこだわりの入口から中に進むと、おぉっ!これはまたまたスゴい!細長い店内は、両壁に造り付けの木棚を設え、七段×七列でずずいっと奥の帳場まで美しく続いている。足下には御影石のパネルが敷き詰められ、中央には細長い平台が三台縦列して行く。…完璧だ。完璧な空間造りだ!と感心しながら棚に眼を流し始める。右壁は、フランス・パリの歴史や社会や事件から始まり、東欧・ドイツ・ヨーロッパ全般・スペイン・ロシアと大きく広がり、やがて中国やアジアにも至る壮大な並びを展開し、見る者を圧倒する。それに続き、思想系エッセイ・民俗学・政治・思想・近現代史・上野英信・谷川雁・埴谷雄高・石牟礼道子・松下竜一・労働運動・抵抗運動・無政府主義・社会主義・共産主義などが、煉瓦の如く連続して行き、最後の棚は新刊書で埋められている。踵を返して左側の棚を帳場近くから眺め始めると、海外の思想書が集められ、それにつながるように大量の海外文学がきめ細やかに並び続ける…おぉ、ブルース・チャトウィンやジャック・ロンドンも網羅されているのが嬉しい。そして入口近くには、安部公房・大江健三郎・開高健・車谷長吉・金井美恵子・後藤明生・富岡多恵子などを核に、独特な日本文学の波が寄せ集まっている。平台には、カルチャー雑誌の揃い・海外文学・思想系雑誌の揃い等。とにかく体系的に並ぶ硬めの本(そこには松岡正剛の色濃い影が)たちに、圧倒されっ放しである。深く重い本棚である。こういう潔い古本屋さんを営むのは、とても勇気がいるのではないだろうか。値段は相対的にちょい高ではあるが、硬めの本にしては買い易いお値段と言えよう。帳場に近付き、ほんのちょっと高橋源一郎風と言えるような壮年男性に精算をお願いする。レジ操作に手間取るのは、開店二日目のご愛嬌である。大和書房「レムの宇宙カタログ/スタニスワフ・レム」(これは安値で、なんと喜びの六百円!)を購入する。表に出て、お店を視野に入れながら、辺りを見回してみる。長い白塀、墓場、木造家屋の裏側、蘇鉄、楠の巨木、反り返った寺の屋根…そんな景色の中に、新しい古本屋さんが出現していた。開店おめでとうございます。そしてあくまでも蛇足だが、その楠の巨木が生えている、南側の『大雄寺』の古めかしい境内に入り込むと、何と墓石と卒塔婆越しの古本屋さんと言う、奇景と言っても過言ではない幽玄な景色が拝めるのだ。ぬぉっ、素晴らしい!
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2018年11月23日

11/23タダで古本を手に入れる。

『早稲田大学坪内博士記念演劇博物館』で、ダブりの映画演劇関連書やパンフレットや台本やポスターなどを、無料で一人十点まで持ち帰られる青空市が開かれるというので、ワクワクしながら向かうことにする。阿佐ヶ谷駅に向かう道すがら、閉店した子供服店の店頭に、無料古本箱が置かれているのが目に留まる。浅ましく漁り、竢o版社「クリちゃんのアフリカ動物旅行/根本進」をいただくことにする…タダで古本を貰いに行く途中で、早速タダで古本を手に入れてしまった…。東西線・早稲田駅に到着すると、祝日なのにたくさんの学生が降車し、学校へと行進して行く。みな、燃え上がる学習意欲を、抑えられないのか…そんなことを勝手に思いながら、正門から『早稲田大学』内に突入し、大隈重信像手前の道を北に曲がり込むと、行く手に両翼を備えた近代建築の美しい博物館が見えている。そしてその正面広場には、すでに人垣が出来ているではないか!
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慌てて近付き状況を確認すると、長テーブルが並列して据えられ、その上に洋書・中文書・和書・映画・演劇と分けられ、二十個ほどのダンボールが置かれている。その量は思ったほどではない。そこを二十人ほどの列が三重四重に取り巻いている…こりゃぁ、人に対してブツが完全に足りないんじゃないか?現在午前十時五十分。スタッフが青空市についての説明を始める。「多くの人にお集りいただきましたので、五分前の午前十時五十五分にスタートします。最初は前二列の方々から。そして五分ごとに二列ずつ新たに参加していただくようになります」…なにかアバウトな感じがするが、大丈夫だろうか?そんなことを考えている間にも人は集まり続け、列の数は増して行く。程なくして開始時間となり、前二列の人たちが、ダンボール箱に襲いかかる。一部では喧嘩に発展しそうな、激しい競り合いが勃発している。そしてそれを見て血が騒いでしまったのか、順番を待つべき三列四列目の人たちの一部が、なし崩しに参戦して行く。スタッフが叫ぶ「あ、お待ち下さい。最初の二列だけです。まだあと五分…お待ちください…お待ち…おま……」叫びも虚しく、一度ダンボール前に吸収された人は、もはや戻ろうとしない。そしてちゃんと待っている人もいるのだが、気付かないフリをして列を抜かし、箱に取り憑く者も出始める始末…あぁ、嘆かわしい。きっと坪内逍遥博士も草葉の陰で嘆いているに違いない…。礼儀正しく十分後に参戦するが、一列のテーブルで、しかも箱の中に入っているものを、そうそう見られるものではない。とにかく人の隙間から腕を伸ばして本を引っ掴み、人塊から離れて掴んだ本を確認する作業を繰り返す…まるで地獄だ…。結果、丹生都比売神社「丹生都比売神社史」1916年のニューヨーク演劇雑誌「THE THEATRE」合本(写真満載で素晴らしいのだが、演劇とは別にカラーの広告ページやファッションページがとにかく素晴らしい!だが、尋常じゃなく重い…)日本アート・シアター・ギルド「アートシアター18・62(こちらは岡本喜八特集)」をいただくことにする。寄付金400円を募金箱に投入し、恐ろしい戦場を離脱する…ふぅ、疲れた。

重い本を携え高田馬場駅に向かいながら「平野書店」(2010/01/12参照)店頭に足を留めると、ひょいひょいたちまち三冊掴んでしまう。文雅堂書店「少年少女小説 源吾旅日記/赤川武助」大陸書房「図説・海の怪獣/ジェイムズ・B・スィーニ」至誠堂「旅から旅/加藤咄堂」を計300円で購入する。良い買物でした。さらに歩を進め、坂を下って「ブックオフ高田馬場北店」(2018/10/19参照)へ。ほほぅ、今日から三日間、本は20%オフなのか。これは何か買って行かなければ…当然奥の古書売場に赴き、まずは東京創元社 世界恐怖小説全集5「怪物/A・ビアース」を手にする。続いて何気なく講談社「女の踏絵/梶山季之」を手にすると、嬉しいことに献呈署名入りだったので、これもいただくことにする。合計で1336円。さらに古本で荷物を重たくし、西武新宿線で家路に着く。
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2018年11月08日

11/8東京・国立 古道具ニコニコ堂

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今日は国立北口の丘の上、日吉町に流れ着くが、その結果面白いものを発見する。場所は『国立駅北口』を出て真っ直ぐ北に向かい、『光町1交差点』を東へ。やがて北東にぐいんと曲がりながら蹴上がる急坂を丘の上まで登り詰め、直線道を三百メートルほど進む。すると右手白い雑居ビル一階の美容院の隣りに、いつの間にか恋ケ窪にあった古道具屋「ニコニコ堂」(2018/05/26参照)が引っ越して来ているではないか!店頭は恋ケ窪にあった時より、遥かにスッキリしており、木椅子や火鉢や少々の古雑貨類が出されているだけである。だが中に入れば、そこは以前と同じ古道具・古雑貨・アンティークが、圧縮陳列ながら秩序だって飾られた小宇宙である。古時計の音がコチコチ聞こえる、以前より狭くなった店内に、前回見覚えのあるものたちが、距離を縮めて並んでいる形である。奥にはこれもコンパクトになったガラス越しの帳場があり、老店主が文庫本に読み耽る横顔を見せている。紙物類は、レコード箱の上に乗ってプロマイド・切り抜き・切符ファイル・マッチラベルファイル。それに右側通路下の古パッケージ・小冊子・ハーモニカ教本・ノート類、さらに左側通路の絵葉書.手帳サイズ紙物・観光パンフ小箱。それにブルボン小林の「マンガホニャララ」サイン本。〆は帳場前の洋書三冊くらいであろうか。主に右側通路の紙物箱を漁り、昭和二十五年刊の教会系絵物語雑誌「はこぶね 1.2月合併号」を持ち出し、帳場の店主に差し出す。すると老店主は、読みさしの文庫本に何か栞の代わりになるものはないかと焦り探し、しばらく手と目を四方に泳がせまくる。…落ちついて下さい。いつまでも待ちますよ…と無事に紙を挟んだところで精算を済ませる。「ありがとうございます。これ、名刺」と、ハンコで作った名刺をいただく。無事の引っ越し、おめでとうございます。

すっかり暗くなり始めた阿佐ヶ谷の帰り道を歩いていると、「1960年代専門店 甘辛劇場 懐かし屋」(2017/02/22参照)の柔らかい光に誘われ、ドアを開けてしまう。たくさんのレアな玩具や駄玩具が飾られた店内に、古時計の音が重なり合い響いている。中央の二台のガラスケースに挟まれた部分に、見事に古本が横積みされ集められている。玩具関連本・「轟先生」・長谷川町子・テレビガイド雑誌・貸本漫画・西村賢太…おっ、晶文社「杉浦茂のモヒカン族の最後」が500円じゃないか。これを買おう。と、意気揚々と精算する。
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2018年11月03日

11/3前庭→屋上→ロビー!

午前九時に家を出て、まずは三鷹駅に向かう。駅南口に出て、一心不乱に南下していく。長〜い商店街を抜け、道を挟んで二つに分かれた『大成高校』の間を通過し、およそ二十分も歩くと『三鷹市立図書館』に到着する。ここで『第5回図書館フェスタ』が本日開催され、その一環として「サポーター古本市」と「一箱古本市」も行われるのである。場所は通りからも見える、石垣と生垣に囲まれた前庭である。時刻はちょうど午前十時で、今まさにフェスタが始まったばかりである。
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左側奥の風船ゲートを潜り、こじんまりとした芝生の庭に入り込む。入って直ぐ右から、長テーブルを並べた「一箱古本市」エリアが始まっている。参加者は五組ほどで、自作小説とオススメ本をパッケージしているお店や、絵本を取り揃えたお店や、自宅の本をそのまま持って来たようなお店や、近現代史本ばかりを並べたお店や、未だ本を並べていないお店が集まっている。左奥に進んで行くと、五本のラックと長テーブル一本、それにダンボールに本を詰め込んだ「サポーター古本市」である。一般小説・茶道関連・冒険小説・コミック・暮らし系雑誌&ムック・文庫・新書・絵本が、単行本・絵本・雑誌は100円、新書は50円、コミックは10円、文庫は三冊100円(海外文学文庫は三冊50円)で売られている。脇のステージで奏でられるジャズを聴きながら、出版芸術社「ふしぎ文学館 悦楽園/皆川博子」河出文庫「滑稽漫画館/宮武外骨」ちくま文庫「青空娘/源氏鶏太」を選ぶ。ご婦人が三人並ぶ帳場で精算をお願いすると、本を受け取ったご婦人が「文庫は二冊だと80円になっちゃうけど、いいの?いいならいいんだけど。つい主婦の感覚で、言っちゃうのよ。ウフフフフ」と言うことで、計180円で購入する。

古本を買うと同時に会場を離れ、またもや二十分ほど歩いて駅へと戻り、今度は荻窪駅に向かう。改札を抜けて地下から『ルミネ荻窪』に入り込み、エレベーターで最上階を目指す。今日はここの七階にある『グリーンテラス』で「あきぞらBOOK MARKET」と銘打ち、「TIMELESS」(2012/06/30参照)「百年と一日」(2008/09/25&2017/08/11参照)「旅の本屋のまど」(2009/06/30参照)「忘日舎」(2015/09/28参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「BOOK TRUCK」が集まり、太陽の下で古本を販売しているのである。ところがこの『グリーンテラス』への行き方が分かり難く、エレベーターで一旦八階の『ファーマーズテラス』に出て外階段を下るようにとある。八階の屋上に着いても、下の会場を見下ろすことは出来るが、下りる階段が見つからない…こりゃいったいどうしたことだ?
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仕方なく鎖で封鎖された階段から、コソコソと七階にたどり着く。フェンス沿いに立てられたテントの下に、古本が並べられている。絵本がとても多い。どうやらこの場所に合わせた選書を各店行っているようだ。…だが途中でおかしなことに気付く。お客さんが誰もおらず、みな何かバタバタと慌ただしいのだ。入口付近に近付き看板を見ると、開始時間が午前十一時からとなっている…いまは午前十時五十五分…ひえっ、開場前に会場入りしてしまっていたのか。そりゃ階段に鎖が掛かっているわけだ。と悄然とし、しばらくトイレの中に身を潜めて午前十一時を待つことにする…あぁ、バカみたい。その後無事に開いた会場に、正式にお客さんとして入場する。ちなみに屋上なので「BOOK TRUCK」のトラックは入って来られず、普通に自然&生物関連の本を並べている。そして「忘日舎」さんと色々お話ししていると、隣りが「にわとり文庫」さんで、その前に立つお客さんが「風書房」さんであることに気付く。「こんなこところにも朝一番に駆け付けて買いに来てるんですか!」と驚くと、にわとりさんが「こんなところだからこそ大事なんですよ。もしかしたらあそこに、◯◯の署名本がひっそりと並んでるかもしれないじゃないですか!」と、夢のあることを仰ってくれた。まさにその通りです。ただし、徒労に終わることがほとんどですが…。「百年」で座右寶刊行會「北滿民具採訪手記/染木煦 滿鉄総裁室弘報課編」を684円で購入する。

エレベーターで地階まで下りて、駅の南口に顔を出し、関東バスに乗り込んで芦花公園駅へ向かう。エッチラオッチラ『世田谷文学館』に向かい、一階ロビーで開かれている筒井康隆の蔵書即売会を覗く。午前九時半から整理券が配られ、整理券入場中は一人一冊の条件が付けられていたようだが、果たして本が残っているかどうか…と心配しながら自動ドアを潜り、一階ロビーに入り込んでいくと、ミュージアムショップ裏側の窓際に、黒布を掛けられた大テーブルが置かれ、その上に本がズラッと面陳されていた。並んでいるのは海外SF文庫・SF単行本・ハヤカワポケSFである。やはりレア本はとっくに捌けてしまったようだが、その代わり現時点では何殺でも買える模様。値段は500円or1000円のものがほとんどである。ふむむむと軽く悩み、ハヤカワ文庫SF「金星応答なし/スタニスワフ・レム」「ヒーザーン/ジャック・ウォマック」(こちらは『ギブスン絶賛、話題の大型新人』という三十年前の帯の惹句と黒丸尚訳に惹かれ)を計1000円で購入する。すべての本は扉に筒井康隆の蔵書印が捺されているためか、『転売お断り』が厳命されている。
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すべて本日限りの古本市や即売会である。
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2018年11月01日

11/1東京・西荻窪 best place PONTEPIA

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色々こなした一日の終わりに、すっかり陽の落ちた西荻窪に現れる。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の店頭を覗いていると、驚くことに先日訪れたばかりの「古本あぶらや」さん(2018/10/28参照)とバッタリ。まさかこんな出会いがあるなんてと、目を丸くしつつ白夜書房「インタビュー 小林信彦の世界」(非売品)を100円で購入する。そして「あぶらや」さんが「青春18きっぷ古本屋への旅」を取り扱ってくれることになりました。ばんざ〜い! あの奇妙に落ち着けるお店にお越しの際は、古本とともに出来立てホヤホヤの古本屋紀行集もお楽しみ下さい!そしてその後は、ある叢書に関するお仕事の打ち合わせ。帳場の脇に立ち、小野氏+主宰者の三人で、あ〜でもないこ〜でもないと話し合う。午後六時四十分、ある程度話がまとまったところでお店を後にする。駅への道をトボトボ歩いていると、この間の古本屋行の合間に、古本神・森英俊氏から、西荻窪に古本も扱うファッション雑貨屋さんが出来たことを聞いていたのを思い出す。確か午後遅くからの開店だと言っていたから、今なら大丈夫だろうと、足を向けることにする。駅北口から『北銀座街』に入り、東側の歩道を進む。歩道アーケードを抜けて、坂道を下ってたどり着いたお店は…ありゃりゃりゃりゃ、ここは「古着・雑貨・本 MAROGE」(2017/07/05参照)のあったところじゃないか。お店の名前が変わり、看板は白布になり、そこには古着・雑貨・玩具・etcと書かれている。古着が下がっているのは以前と同じだが、そのラインナップは男物中心である。狭い階段を上がり、いつか開けたことのある軽い扉を開いて店内へ。古着と雑貨が混ざり合うように並ぶ、お洒落で珍妙でモンドでチープな空間である。入ってすぐの所に帳場があり、スカジャン姿の青年と、背筋を伸ばして本を読む女の子が一人座っている。目指す古本は窓際に集められている。そこに向かうと、二本の小さな棚とその間に本が詰め込まれている。日本文学文庫・詩集文庫・コミック・ビジュアルムックが中心である。『本の値段は聞いて下さい』か…。本の前に立つウルトラ怪獣のソフビを退かしながら、本の背を眺めていく。東野圭吾や重松清や奥田英朗…うむぅ、と唸りながら角川文庫「暗い青春・魔の退屈/坂口安吾」を手に取り、青年に値段を聞いてみると、とても嬉しそうに「100円です!」と教えてくれた。というわけでこの文庫を購入する。
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2018年10月31日

10/31東京・下北沢 「詩」と「散歩」の古本市

昼食を食べてから家を出て、連載の取材をこなす。そして帰り道に下北沢に立ち寄り、南西口からナナメの日射しが眩しい地上に吐き出される。そのまま坂を下って、平日昼までも賑わう『下北沢南口商店街』の中ほどに出て、緩やかな坂道を下り、商店街の南端に出る。三叉路に立ち、西側角地に建つレンガで化粧された小さなビルを見上げると、おぉ!三階の窓際に、本がノドを見せて並んでいるのが、確認出来るではないか。この小さなビルは、丸ごと『三叉灯』というファッション雑貨のお店なのだが、10/27(土)〜11/4(日)まで、三階でささやかな古本市が開かれているのである。主催は『三叉灯』と詩歌に造詣の深い「七月堂」(2018/01/13参照)である。私には縁のない女性物の洋服が飾られた入口から中に入ると、左がすぐ小さな階段になっている。そこを、ゴトゴト音を立て、カクカクと旋回しながら、上昇していく。物品に紛れ、所々に額装された西尾勝彦氏の詩が分断して飾られ、階段を上り切れば、一編の詩が読めるようになっているようだ。二階〜三階の踊り場で古本や映画DVDが出現し、三階にたどり着けば、そこは緩やかに古本に囲まれた小さな空間である。窓が大きく採られているが、何だか“明るい屋根裏部屋”という印象を持ち、並ぶ古本との親和性を感じ取る。本は三方に、木箱や棚や飾り板の上に集まり、詩集・詩論・文学・絵本・エッセイ・暮らし・旅などが、“詩”をキーワードに多様な出店者のフィルターを通して、輝いている。値段は安めなものが多く文庫本も意外に多い。誰もいない誰も上がって来ない木床の空間で、孤独な靴音を立てながらゆっくり古本を選ぶ。「百葉箱」さんのゾーンから、北冬書房「まちづくし/鈴木清順」を選び取り、ゴトゴト一階へと下る。奥のレジで、明るく陽気なお姉さんに精算してもらう。尚この市は、11/4以降は縮小しながらも11/25まで古本を並べ続けてくれるそうである。
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帰り道に商店街の中で、偶然自転車に乗った「つぐみ文庫」さんと出会う。『三叉灯』の古本市に行ってきたことを説明し、乗っている実用的な使い込んだ自転車を、ちょっとだけ冷やかす。
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2018年10月28日

10/28古本神と古本屋行!

午前十時前に家を出て、午前十時半過ぎの神保町に御茶ノ水駅からアプローチする。すでに街は、古本を求める人たちで、激しい賑わいを見せている。ツラツラと特設ワゴンを流して行き、「古書かんたんむ」では背の無い中綴じの一冊を抜き出してみる。1934年の大阪の都市風景を活写した、英文の「A GLIMPS OF OSAKA/The Osaka Municipal Office」という本であった。大阪市役所が外国向けに出した、写真豊富な素晴らしい都市ガイドらしい。値段を見ると激安500円なので、ウハハと購入する。
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他には「山本書店」(2012/04/25参照)の店頭箱で弘道館中国文學選書「ホンコン脱出記/茅眉」を100円で買ったりした後に、「神田古書センター」の二階へ上がり「夢野書店」(2015/03/13参照)内で、共訳書の国書刊行会「探偵小説の黄金時代」が発売されたばかりの、古本神・森英俊氏と待ち合わせる。今日は氏と、いくつかの古本屋さんを巡り倒すつもりなのである。そう言えばちょうど一年前も、森氏と連れ立って「くまねこ堂」(2017/10/29参照)を訪れたんだっけ。出会うや否や、氏が特撮関連のレア本が出たのを目撃した「澤口書店 神保町店」(2011/08/05参照)をチェックした後に、地下鉄を乗り継ぎ、最初の目的地である南北線・王子神谷駅を目指す。

古本話に打ち興じながら『1番出口』から地上に出ると、目の前には『北本通り』。そこを真っ直ぐ北に向かい、五百メートルほど歩けば、巨大な神谷陸橋が圧し掛かる『神谷交差点』に到着。交差点を北に渡り、『環七通り』を西に進むと、すぐにお地蔵さんが並ぶお寺に入口が現れる。すると、そこから歩道沿いに連続する古びたコンクリ壁に、小さな茶色い案内版が掛かっているのに気付くだろう。『古本あぶらや ←20メートル先 開店 お昼から日暮れまで』…その案内に誘われるように西にちょっと進むと、緩やかな坂道アプローチが和風に優雅な、お店への入口が見えて来る。そこには立看板が置かれ、この坂小道の奥に、小さな古本屋があることを教えている。
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…どう見てもお店と言うよりは、人の家の気配しかしない…。だが看板を信じて、坂に足を掛け、樹木に囲まれた緑の庭に入り込んで行く。右には古い平屋の家屋があるがさらに奥へ進むと、ガラス扉に古本屋名のある小さなプレハブ小屋がようやく姿を見せてくれた…おぉ!自宅の敷地内に、離れ古本屋が開かれている!つい最近訪れた本牧の「古書けやき」(2018/06/27参照)や蒲田の「石狩書房」(2014/05/17参照)と同種のお店である。実はここの店主は、以前から私のトークイベントや古本販売時に顔を出してくれていて、一年以上前についに古本好きが高じて、土日週末営業のお店を開いたことを教えてくれていたのだが、いつか行かねばと思いつつ、無情にも放置していたのである…いや、すみません。それにしても、よくちゃんと続いている。今日も開いてくれていて、ありがとうございます!森氏は、外壁に貼られたホームズ映画のポスターに「これは北原案件でしょう」と早速激しい興味を示している。靴を脱いで中に入ると、カーペットが敷かれた六畳ほどの空間で、壁沿いに大スチール棚が五本と、上に駄菓子を並べた小文庫棚が二本置かれ、奥にカウンター席兼帳場があり、中央に背もたれのないソファが鎮座している。…うむ、静謐で清潔で端正なお店である。品揃えは、セレクト日本文学・海外文学・文学評論・児童文学・美術&写真・文化・文学文庫・セレクト文庫が並ぶ、店主の趣味を大いに反映させた中濃なものである。ウムムムムと眺めながら、三人で様々な古本話に花を咲かせていると、「どうです。ビールでもいかがですか?」と提案される。一も二もなく承諾し、冷蔵庫から取り出された缶ビールで喉を潤し、本箱の下から出て来たおつまみを摘む。森氏も「半分だけ」と、久しぶりだと言うアルコールに手をつける。古本の話をしながら、古本に囲まれ、ビールを飲む大人幸福タイム。もはや気持ちは、中学生時代に秘密基地的な離れの勉強部屋を持つ友達の所を訪れた、居心地良く甘酸っぱいものに包まれて行く。これは、楽しい。すっかりビール一缶+森氏の残り半分を飲み干し、酔っぱらい状態になったところで、講談社「にっぽん・あなあきい伝/殿山泰司」を購入する。オリジナル本は、こんなに和田誠のイラストが入っていたのか…気付けば森氏は、本を買うとともに、最初に目を付けたホームズポスターもいただくことになっていた…やはりこの人は剛腕である。この居心地良い空間を、また訪れることを約束し、緩い坂道を下って『環七通り』に酔っ払って舞い戻る。

続いて王子に移動して、森氏がまだ訪れていないという「コ本や」(2016/07/19参照)へ。おぉっ、河出文庫「怪獣文学大全/東雅夫編」が1200円で売られているではないか。文庫としては高値であるが、この本としては安値である!と未だ酔った頭で考え購入し、オリジナルの書皮をプレゼントされる。さらに「山遊堂」(2008/08/31参照)を冷やかした後は、地下鉄を乗り継ぎ亀戸に移転した「丹青通商」(2017/10/20参照)を目指す。押上まで出てバスで行こうとしたら、色々あって本数の少ないバスを逃してしまい、結局北十間川沿いを歩いて歩いて、夕暮れの住宅街の中のお店に到着する。『古書・電子部品』のアンビバレンツな取扱品目が相変わらずおかしい。引戸を開けて中に入ると、階段を少し下る半地下の細長い空間である。店主に挨拶して、狭い四本の通路を森氏と共に行ったり来たりして、絶版漫画・ミステリ&SF文庫の渦巻く棚を楽しむ。この時点でもまだまだ酔いは醒めないので、正式なツアーは後日行うつもりである。創元推理文庫「蜘蛛と蠅/F・W・クロフツ」を500円で購入し、近々の再訪を約束する。
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帰りは亀戸天神近くの骨董屋に向かってみるが、残念ながらお休み。交差点の角にある老舗豆屋の、机の上で食事中の虎猫を目を細めて眺め、終了間際の歩行者天国の薄闇を古本神と肩を並べて闊歩する。見事に古本に塗れられた、日曜日であった。
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2018年10月17日

10/17十月の三大難事業をクリアする。

昨日は補充用の古本を抱えて阿佐ヶ谷駅に着くと、そこで財布を忘れたことに気付く。幸いポケットの中に212円入っていたので、西荻窪までの切符は買えるわけだ…どうしよう…そうか、「フォニャルフ」棚に補充してはみ出た古本を、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に買い取ってもらえばいいんだ。そうすれば、帰りの電車賃も生まれるだろうと、気ままな感じで切符を買って改札を通り抜ける。そして「盛林堂」で補充するとともに、入れ替えた本を買い取ってもらう。財布を忘れたことを小野氏に話すと「それならお金貸したのに…」と優しく言われるが、「いや、お世話になっている古本屋さんに、お金を借りるわけにはいきません」と、潔く古本を手放す。…おぉ、2500円になってしまった。帰りの切符を買っても、充分お釣りがくるではないか……などということをしに来たわけではなく、「岡崎武志素描集」の色校を見に来たのだった。慌ただしく帳場脇で、岡崎氏とともにチェックした後、一足先に家にとんぼ返りし、修正データを作成、送信する。やった!これで十月の三大難事業(「青春18きっぷ古本屋への旅」・謎の取材・「岡崎武志素描集」)が終わったぁぁぁぁぁ〜。

そして本日は、南武線の谷保駅近くに流れ着き、広大な富士見台団地内で、何と鷹匠を目撃する。どうやら団地内のカラス対策の秘策として、雇われているらしい。鷹匠が腕をサッと振ると、鷹が大きな羽を広げてスイッと羽ばたき、ベランダや屋上に止まり、辺りを睥睨する。しばらくすると滑空しながら鷹匠の腕に戻り、また違う場所に向かって放たれる。そんなことを繰り返している。美しく鷹が舞うごとに、カラスが警戒音を発し、集団で慌ただしい動きを見せる。その甲高い鳴き声は『なんかスゲェヤツが来たぞ!コワいのが来たぞ!気をつけろっ!みんな気をつけろっ!』と叫び合っているよう。人間という生き物が造り出した、歪んだ人工の世界に展開される、自然界の本能を利用した争い……それにしても鷹は美しい上に強そうだな。さすが猛禽類。思わぬものを見られて喜びながら団地の南端に出ると、その団地通りに沿うようにして、懐かしい昭和的商店街が展開している。そしてさらにその風景の中を、南北に二本の短いアーケード商店街が貫いていた。誘い込まれるように、西側のアーケードに入り込むと、偶然にも椅子の上に置かれた古本が目に飛び込んで来た。手作り雑貨を扱う『アトリエはなれ』の前である。椅子の上に載せられた箱に並んでいるのは、100均の林真理子・平野啓一郎・葉室麟などなどが十冊ほど。ささやかだ。ささやか過ぎるが、贅沢は言うまい。偶然出会った昭和な商店街で、古本を買える喜びは何ものにも代え難いのだ!と文春新書「東京バスの旅/中島るみ子・畑中三応子」を購入する。
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料金は写真上方の郵便ポストに入れれば良い無人販売形式。

阿佐ヶ谷に帰り着き「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚から三冊。徳間文庫「暗いクラブで逢おう/小泉喜美子」講談社漫画文庫「フレドリック・ブラウンは二度死ぬ/坂田靖子・橋本多佳子・波津彬子」五稜郭タワー株式会社「五稜郭物語/北海道新聞函館支社編」を計309円で購入する。
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2018年10月05日

10/5東京・西調布 リサイクルショップ不思議屋

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今日は雨の西調布に濡れそぼり流れ着く。だが、先ほど偶然見かけたお店に向かわねば!と気力を振り絞り、歩を進める。駅北口から北東に駅前通りを進み、『西調布駅入口交差点』を東へ。またもやグングン歩いて信号をひとつ越え、さらに次の信号に到達すれば、北側の歩道沿いに、そのお店を発見出来るだろう。表に百均のファイルや帽子が出された、土地のリサイクル店である。中は表から見るより広い感じで、様々な激安物品が整理整頓され渦巻いている。レコードもLP・EPあるのか。そしてやはり古本もある。入口入って右側のボックス棚に、六十冊ほどが並んでいるのだ。値段はどれも十円である。はっきり言って全然期待していなかったのだが、ほぅ!ソノラマ文庫「読者への挑戦シリーズ 悪魔の玉手箱/斉藤栄」があるじゃないか。この一冊が手に入っただけで、このお店に来た甲斐があるというものである。さらに下段から、新潮少年文庫2「ユタとふしぎな仲間たち/三浦哲郎」を引っ張り出し、計二十円で購入する。

家に戻って色々片付けてから、日曜日の古本フリマの準備を進める。…だが、前回の「みちくさ市」からひと月も経たないのに、素人が完全新作で臨むのは、一苦労だなぁ…とか自分で宣言したのに恨みつつ、あちこちから引っ張り出し、色々諦めたり思い切ったりして、徐々に古本の暈を増して行く…まぁどうにかなるだろう。今日買ったレア・ソノラマ文庫「悪魔の玉手箱」も、さっさと読んで出しちゃおう!
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2018年10月01日

10/1東京・新井薬師前 股旅堂

色々と立て込みすぎ、机の前を離れてはいけない状況なのだが、しがらみの鎖を引き千切り、古本を買いに行くことにする。今日は以前から事務所を見せて下さい!とお願いしていた目録販売の雄「股旅堂」さんのところにお伺いするのである。何もかも忘れてウキウキしながら駅南口に到着する。ここで待ち合わせなのだが、少し早く着き過ぎたので「文林堂書店」(2008/08/04参照)でも覗いていようかと、お店に足を向ける。店頭棚を難しい顔して中腰で睨んでいると、「小山さん!」と店内から声をかけられる。通路から現れたのは、笑顔の股旅堂さんであった。やはり早く着き過ぎたので、ついついここに入ってしまったとのこと…あぁ、もはや笑い話の域である。早速事務所まで案内していただきながら、道々お話しする。ようやく過ぎ去った「股旅堂 古書目録19」の嵐のような発送作業や、催事のことや、これから訪れる事務所のあれこれ。棚の本に管理番号はなく、すべて何処に何があるか記憶していること。またそれほど広くない故に、催事や目録販売(年二回)を行うごとに、棚を新陳代謝していることなどなど。住宅街を縫いつつ進み、段々と細い路地に入って行く。五分強歩き、ある路地を曲がったところで「ここです」と二階建ての木造モルタル住宅を示される…渋い!激渋だ!外からは、とてもここに古本が大量に集まっているとは思えない。だが、開いたドアに導かれ、少し高くなった玄関に上がり込むと、そこは確かに見事な古本の世界であった。一階は一間なのだが、そこに二十本弱の棚が据えられ、薄暗い書庫となっている。玄関の端に積み上がる本の入ったプラ箱は、催事用の本とのことである。左右の壁に棚が連なり、真ん中に背中合わせの棚列、そして玄関右横からも右壁に向かって棚が続いている。「お邪魔します」と上がり込むと、股旅堂さんから二つの懐中電灯を手渡される。「こちらの大きいので全体を把握します。そしてピンポイントで見たい時はこちらを使うと便利です」…驚くべき懐中電灯の2丁拳銃!しかしこれでは古本に触れない。なにせ棚は二重になっているので、何処に何があるか分からない新参者は、やはり片手で本を移動させねばならぬのだ。そこでピンポイントの方だけを使用して、棚を見て行くことにする。
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最初は馬鹿正直に両手に持って見ていたが、気になる本にすぐに触れぬジレンマが、次第に心の中で大きくなっていった…。この、LEDの方だけ、使います!

左側の通路には、壁棚にアジア・満州・旅・紀行・探検関連が集まり、右の通路棚には経済・財界・戦記が並んでいる。その下には、これまた催事用の均一本束が結束されて積み上がっている。右側通路は玄関横から、民俗学・都市・江戸風俗が並び、通路棚には性研究・性医学・性風俗・エロ雑誌・風俗雑誌、壁棚には犯罪・切腹・心霊・性愛・売春・SM・ストリップ・官能劇画・タレント・サブカルなどが濃厚に集合している。
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これは玄関から右側を見たところ。

今はわりとスッキリ整理整頓が行き届いているのだが、目録販売前は棚はすべてパンパンで通路にも本が積み上がっていたとのこと。「でも少なくなった今でも、五千冊はありますかね」と股旅堂さんがつぶやく。都会の闇と人間の闇と世界の闇と、底知れない欲望が集められたような世界である。棚のそこかしこに開く、古書の妖しい花々。それは毒々しくもあり美しくもあり、とてつもない冥い魅力を放っている。私は主に都市関連の棚に食らいつき、まずは越山堂「創作 最期の東京/石丸梧平」という関東大震災小説を見つけたので、値段を聞いてみると千円。即座に買います!と答えつつ、二冊あった中央公論社「新版大東京案内/今和次郎編」について聞いてみると「六千円ぐらいですかね」とのこと。ちょっと大物買いになってしまうか…と未練タラタラながら諦めると、「あ、箱ナシもありますよ」と催事用のプラ箱からわざわざ取り出してくれた。これを千円にしてくれたので、大喜びで購入を決める。その後仕事場である二階も案内してもらい、ネット入力用の本や商品化を待つ本も見せていただく(ちなみに二階も整頓が行き届いていた)。元々は事務所なので、人を招くことは想定していなかったとのこと。そんな面白いところを特別に見せていただき、本当にありがとうございました!次回は飲むことを約束し、途中の路地まで見送っていただく。楽しかったぁ。
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懐中電灯で照らし、通路を探索するとこんな状態に。なんだか忍び込んだみたい…あぁ、ドキドキする!
posted by tokusan at 19:46| Comment(6) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月28日

9/28東京・神保町 山吹書房

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朝から不慣れなテープおこしと組んず解れつしていると、正午過ぎに古本神・森英俊氏より一通のメールが届く。神保町で今日初めて、一年前にすでに開店していた未知のお店を発見したと言う。名前を見ると確かに知らないお店で、教えられた住所にもそんなお店があったことは知らなかった。慌ててすべてを放り出し、神保町に駆け付ける。早足でパトロールしながら、「原書房」(2014/05/15参照)で好尚會出版部「最後のマッチ/岡田播陽」を函ナシだが500円で見つける。大正十一年の第五版。ちらと本文を流し読みしてみると、宗教も最新科学も地獄も極楽も東洋も西洋も現代も過去も、ひとつの鍋にぶち込んで、小説仕立てで世界の秘密と有様と在り方を暴いて行く非常に熱量の多い本らしい。限り無く奇書っぽいので、こりゃあ面白そうだ。さらに「明倫館書店」(2012/04/04参照)では平凡社「人造人間 ヨゼフ・チャペック エッセイ集」を300円で購入する。そんな風に寄り道しながら、『すずらん通り』に入って東端に向かい、『神保町シアター』目指して南に曲がり込む。すると「羊頭書房」(2014/05/02参照)のある裏通りに出るのだが、さらに南に進んで行くと、右手の小さな雑居ビル群の一階に、確かに古本が出されているではないか。近寄ると、小さな本棚二本と多数の木箱とプラ箱に本が詰められた店頭である。値段は100〜500円で、古い本が多く混ざり込み、好感の持てる並びを見せている…これは、良いな。児童書や珍しい新書もチラホラ。サッシ扉を開けて店内に進むと、そのまま店頭の雰囲気がつながった感のある、狭く細長い空間である。左の壁際には文庫棚が二本並び、後は結束された未整理本で埋め尽くされている。入口右横には古書箱・音楽箱・宗教箱・考古学箱・遺跡箱などが集まっており、右壁棚は文庫本から始まる。その奥は、歴史・世界・アメリカ・民俗学などが並んで行く。中央には大きく頑丈で年季の入ったスチール棚が鎮座し、左に歴史小説&時代小説をこれでもかと収め、右には日本全国の郷土本や郷土資料がこれもまた執拗に集められている。入口側の棚脇には木箱を積み重ね、風俗や食の姿が。また奥の左側には古書棚があり、歴史関連とともに古い児童書もほのぼのと並べている。その右横が帳場になっているのだが、大きな本の壁が聳えており、釣り銭トレイがかなり標高の高い上部に置かれてしまっている。古書へのアプローチが魅力あるお店である。店内はさすがに歴史や郷土関連でアカデミックに固められているが、面白そうな本もチラホラし、やはり特に店頭で何か買えそうな雰囲気がある。値段は安め〜普通。神保町の外れであるが、今後はパトロールにしっかり組み込むことにしよう。古書箱の中から引きずり出した、暮しの手帖社「暮しの手帖臨時増刊 思いつき工夫の手帖」を、本の壁越しに大学の研究室にこもっている若い研究者のような男性から購入する。『白山通り』を伝って帰ると、通りには踏み砕かれた銀杏の匂いが漂い、いつの間にか忍び寄った秋の気配。
posted by tokusan at 17:44| Comment(4) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月16日

9/16久々に大台に到達する。

朝からゴロゴロ重い古本を引いて、電車に乗り、地下通路の人ごみを掻き分け、動く歩道の上を素早く移動し、「みちくさ市」に午前十一時から楽しく参加する。早速お出ましの古本神や古本高校生と情報交換したり、上目遣いに近付く「ドジブックス」さんから古本屋開店情報をタレ込まれたり、トーク登壇に向かう角田光代さんと道を挟んで手を振り合ったり、画家・武藤さんに遠目に作家の樋口毅弘さんを教えられたり、子供の手を引いたお父さんがカレル・チャペックの「園芸家十二ヶ月」を示しながら「ペチャックはいいぞ!」と真顔で言っていたり、隣りで売っていた『大鉄人17』のソノシートをきっかけに「JUNGLE BOOKS」(2018/06/16参照)ケンさんと主題歌について記憶を探ったり、オカルト関連本をゴッソリ買い占める勇者に目を丸くしたり、ママの押すベビーカーが目の前に停まり赤ちゃんと目が合ってニンマリ笑顔を見せたところ泣き出されたり、お客さんとECDについて喧々諤々の議論を交わしていたら唐突にカレーパン(豆入りで美味しかった!)を差し出されたり、塩山芳明氏の日本共産党参議院議員“吉良よし子”のニッチ過ぎるポスターヤフオク売買の話に爆笑したり、「朝霞書林」さんに一万円の両替を頼まれたり…などなどと、午後四時までの五時間を楽しく過ごす。おかげで今回は久々の大台突破となる、五十一冊を売り上げることが出来ました!会場にお越しのみなさま、足を停めて下さったみなさま、話しかけてくれたみなさま、古本をお買い上げのみなさま、わめぞのみなさま、今回もありがとうございました!そして今日の唯一の古本収穫は、市開始前に眠そうな駄々猫さんがスススと近寄り、「ハイ、これ。ようやく見つけたよ」と渡してくれた一冊。学研 昭和三十八年「中学一年コース」6月号第3付録「中学生傑作文庫 いなか保安官/レイモンド・チャンドラー」である。駄々猫さんが松本の一箱古本市で買った時から「とにかくヒドい表紙なの!」と言っていた珍品なのである。「古ツアさん向き」だと、譲り受ける約束をしてから一年以上…ようやく、新しい猫を飼い始めたために家の中を整理せざるを得なくなり、奥の奥から発見したとのことであった。うぅむ、確かにこの表紙はヒドい!表1だけだと、まぁ宙を掻きむしり無惨に琴切れた男と言った感じなのだが、実は表4に跨がるイラストを全体で見ると、ガ.ガニ股で死んでいる…こんな学習雑誌の付録があって良いものだろうか。とにかく駄々猫さん、ありがとうございます!
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posted by tokusan at 19:06| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月05日

9/5東京・国分寺 第1回国分寺大古書市&大物古本トレード!

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午後十二時半に国分寺駅着。改札から北口側に足を向けると、いつの間にか商業ビル『ミーツ国分寺』が完成しており、北への通路がかなり長くなってしまっている。本日からその『ミーツ』三階で、古本市が開かれるとのタレコミを、作家&ホームズ研究家の北原尚彦氏よりいただていたのである。感謝しながらエスカレーターを上がり、真っ白い空間に茶色の古本が集まる会場にたどり着く。およそ六十台のワゴンで六本の通路が造り出され、一般的な本や文庫や雑誌に加え、戦記・ミステリ・映画・宗教・歴史・郷土・山岳・美術・文学などが、わりと硬めな顔を見せている。高知県の「ぶっくいん高知・古書部」や広島県「ひろしま文庫」の古本が見られるのは、なかなか良い経験である。ツラツラと会場を眺めていると、いつの間にか午後一時を回っていた。すると、キビキビとした黒い影がこちらに急接近し、「どうもどうも」と挨拶の言葉を発した。タレコミ元の北原尚彦氏である。だがこれは、偶然の出会いではない。実は、北原氏がかねてから所望する私のある蔵書を、ついにトレードに出す決心をしたので、打ち合わせて本日の古本トレード会合となったわけなのである。なので、メインは古本市より当然トレード!即座に交渉に入りたいところだが、北原氏も尊い古本神なので「もちろん見ますよ」とワゴンに食らいつき始める。その間にこちらは、汐文社「絵本 はだしのゲン/中沢啓治作・絵」晶文社「ただただ右往左往/岡本喜八」湯川弘文館「天日の子ら/藏原伸二郎」(カバーナシ)現代思潮社「赤瀬川原平の文章 オブジェを持った無産者」(輸送箱ナシ)を計1980円で購入する。「はだしのゲン」は、見返しに中沢啓二の絵本出版当時のサイン入りであった。やれ、嬉しや。市は10/3までと、結構長く一ヶ月近く続く。
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そして小さな文庫サイズの『カラーブックス』のパロディ同人誌を買った北原氏と、「まずはトレード済ませてしまいましょう」と合意し、同じ階にある喫茶店の片隅に腰を落ち着ける。そして飲み物をレトロなメイド服に身を包んだウェイトレスさんに注文するや否や、ナプキンで机をテキパキ拭き清め、お互いに茶色い本をドサリと出す。こちらは磯部甲陽堂「幽霊探訪/大窪逸人」と不二書房「鐡腕拳闘王/大下宇陀児」の二冊。「幽霊探訪」の作者は実は山中峯太郎なのだが、この本はディープな峯太郎ファンでも、見かけた事のない稀少な本だそうだ。なので北原氏は、ホームズ翻訳の大家の資料として、いつかは手にいれたい!と思っていたそうである。「鐡腕拳闘王」はドイルのホームズ物『六つのナポレオン像』を翻案した「六人の眠人形」が挿絵入りで掲載されているため、こちらもホームズ研究家としては、ぜひとも入手しなければならない本なのであった。…もうこんな風に切望されたら、ウチでいつまでも横積みしているわけにはいかないのである。必要としている人のところに行って、存分に役に立ってくれ!と決断し、本日の大物トレードが実現となったわけである。お前たち、幸せになるんだよ。そして北原氏が差し出したトレード要員は、何と三冊!香風閣「現代戦争文學全集3 猛る空中艦隊/フォン・ヘルデス少佐」(イギリスとフランスの航空線を描いた未来戦記物。うひゃっ、面白そう!)三教書院「不死人/伊藤銀月」(異様な妄想に次ぐ妄想で展開して行く、世界を旅して繙く狂った書。北原氏もあまりのクレージーぶりに内容を説明しかね「横田順彌氏の「SFこてん古典」を読めば、少しは内容がわかるだろう」とのことであった…ちゃんと読んだ横田さん、すげぇ。オレ、この奇天烈な本、最後まで読むことが出来るだろうか…)世間書房「黄金假面/江戸川乱歩」である。手にして思わずニンマリ。前々回(2017/11/07参照)と前回(2018/05/12参照)のトレード同様、やはり基本的には変化球…クセは強いが特殊能力を持つ、楽しい選手をトレードに出したのであった。よし、頭がどうにかなりそうなのを覚悟して、まずは「不死人」から読み始めるか!と心に決めて、本の入手を喜ぶ北原氏を記念撮影。人の喜ぶ姿を見るのは、いつでも楽しいものである。またトレードしましょう。
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その後は古本と古本探しと古本マニアと書庫と古本屋とSFとホームズなどについて話しまくった後、お店から神輿を上げて南口に出て「まどそら堂」(2015/06/08参照)へ。店主と挨拶を交わし、「国分寺大古書市」の情報を提供しながら、福音館書店こどものとも344号「とらのゆめ/タイガー立石 さく・え」を千円で購入する。続いて激変しつつある北口に向かい、これも激変しつつある「七七舎」(2016/02/06参照)へ。現在1号店の隣りのお店を改装して、お店の拡大を図っている真っ最中である。
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トランスアート「ブルーノ・ムナーリ」を100円で購入する。駅で北原氏と分かれた後は、西荻窪駅で途中下車。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に先月の「フォニャルフ」売り上げを受け取りに行く。すると思ったより売れていたので、ついつい四千円の芸文新書アクション・シリーズ「残酷なブルース/河野典生」を購入してしまう。
posted by tokusan at 18:25| Comment(2) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月30日

8/30古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第五章】

本日は“盛林堂・イレギュラーズ”に華麗に転身し、いざ新保博久教授の、毎回過酷を極めるトランクルーム整理活動へ!だがトランクルームに到着した途端、ボスの盛林堂・小野氏が「ごめん!」と泣き笑いの表情を見せる。「か、鍵を忘れて来ちゃった…トランクルームの鍵」…ガガァ〜〜ン!ぼ〜っとここで待っているのもなんなので、西荻窪に鍵を取りに戻る盛林堂号に同乗し、クーラーを満喫しながら一時間のドライブ………今度は無事に鍵が開き、トランクルームにようやく潜入成功となる。今回の教授不在のミッションは、文庫棚九龍城を空にすることと、以前結束した本&廃棄雑誌の運び出しである。まずはひたすら九龍城から文庫をマシンのように抜き出し、小野氏がそれをマシンのように結束して行く。するとすぐさま城は、明け渡された空家状態となる。
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続いて小さな部屋に押し込めていた結束本の束を廊下に出し、さらに大部屋の棚の上に教授の手によるあやふやな結束後に置かれた雑誌束を下ろしまくって行く。
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廊下に並べるといつもよりは少なめだが、全部を台車で車まで運び出すには、やはり三往復が必要な量である。チャチャチャッとすべてを二時間半ほどで済ませ、早々と撤収作業に入る。これで大部屋の棚以外の本はほとんど運び出したことになるので、次回からは、ダンボールに詰められた本を暴き、選別して後運び出しという行程に入ることになるだろう。だが、実は京都での教授の暮しに大きな変化が生じそうなので、それに合わせて今後の整理&運送計画も練り直しが必要となるのであろう、次回九月の教授上京時に、その打ち合わせを進めるつもりである…それにしても、昨年末からず〜〜〜っと、教授の蔵書整理をしている気がする…いや、気がするんじゃなくて、確実にしているのである。とても光栄で貴重な体験で楽しいのだが、まさかこんなにも長く深く関わることになるとは、夢にも思っていなかった。果たしてゴールは、いったいいつのことになるやら……。

そして本を台車に乗せ、車へと移して行く、最初は文庫本、次はハードカバーとノベルス、最後に雑誌類。だが、この最後の雑誌類が、軽い惨劇を巻き起こす。結束は緩いのだが、まぁちょっとの距離だ大丈夫だろうと、高を括ってガラゴロガラゴロ運んで行くと、振動により次第にバランスが崩れ始め、表に出て車まで後一歩のところで、哀れ崩壊してしまう…あぁ、やはり面倒くさがらずに、もう一度縛り直すべきであったか…。
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そんな今回の労働を癒す合法的強奪本は盛光社ジュニア・ミステリ・ブックス「耳をすます家/メーベル・イーリー 深夜の外科病室/クェンティン・パトリック」である。いつも通り、教授に大感謝を!西荻窪に無事に本を運び出し、献本していただいた盛林堂ミステリアス文庫新刊「冒険小説 宝島探検/森下雨村」とともに写真に収める。
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「冒険小説 宝島探検」は探偵小説の父・森下雨村が、“母子草”の名で十代の若さで著した、明治四十二年刊の幻の冒険小説である。
posted by tokusan at 20:17| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする