2024年06月09日

6/9高円寺の北と南で古本を。

午前九時半に家を出て、曇り空の下をテクテク高円寺へ。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『好書会』二日目を覗く。日本交通公社「外国旅行案内 総論」徳間書店「やきもの隨筆/加藤唐九郎」朝日ソノラマ 現代カメラ新書No.50「人物写真/林忠彦」アップリンク「ケン・ラッセル フィルムブック」を計700円で購入する。ガレーで見つけた「やきもの隨筆」は献呈署名入りであった。青いボールペンによる、唐九郎の花押のようなサイン!
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会館を出たら、至近の『オリンピック』でちょっと買物をしてから、駅南口に出て、北原尚彦氏よりタレ込まれた『第一回 高円寺ひとはこ古本市』を見に行く。場所は坂の途中の『氷川神社』境内である。二基のテントが建てられ、その下に八箱が並んでいる。“箱”とは言っても、本当に箱に並べている人や、シートに面陳している人、トランクを広げて並べている人など、様々である。中にひとつスゴい箱が!中町信のノベルスと文庫をズラリと揃え、他に久米元一のジュニア探偵小説等を売っている、ド・マニアックなミステリ箱なのである。うぅむ、範囲が狭過ぎて、潔いと言うか息苦しいと言うか……などと感心するが、結局何も買わずに退散する。この氷川神社での市は『昼の部』で、14:30分まで。そして16:00から『夜の部』が『北中通り』で開かれることになっている。
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その『北中通り』を伝って帰っていると、「ホワイトハウスのクリーニングまるや」【2021/05/10参照)が開いていたので、ニュルッと入り込み、毎日新聞社「宇宙への挑戦 七人のパイロット/ジョン・ディル編」新潮社「仁義なき戦い 菅原文太伝/松田美智子」を計250円で購入して帰宅する。するとしばらくして、古本神・森英俊氏より一通のメールが。『高円寺南口すぐの氷川神社で「ひと箱古本市」の昼の部をやっています。ひとり探偵小説ばかり持ってきている出品者がいて、久米元一や海野十三や乱歩なども。中町信もたくさんあり、かなりお買い得です』とのことであった。探偵小説のあるところ、氏の姿あり…さすがである。氏は何か買われたのであろうか…。
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2024年06月07日

6/7東京・御茶ノ水 萬書百景市

午前九時過ぎに家を出て、古本箱を抱えてまずは郵便局へ。某所に向けて八箱目の発送を行う。そのまま家には戻らず駅に向かい、割と空いている中央線に乗って御茶ノ水駅下車。時刻は午前九時五十八分である。『ニコライ堂』脇を通過する時、今読んでいる土屋隆夫「肌の告白」収録作品『奇妙な再会』にニコライ堂が出て来たのを思い出す。昭和三十年前半の作品だが、ニコライ堂の二三軒隣りに、ひとりの登場人物の邸宅があることになっているのだが、この辺りに人家があったなど、今はとても信じられない、大学の巨大ビルばかりの光景なのである。そんなことを感じながらダラダラと坂を下り、いつものように『太田姫稲荷神社』にお参りしてから「東京古書会館」(2010/03/10参照)へ。今日明日と地下ホールで、新しい催事「萬書百景市」が開催されているのである。開始十分後の地下に進むと、うわっ!荷物を預けるクロークが、黒鞄の黒山と化している…スゴい量だ。そこに荷物を預けて会場内に進むと、やはり大変な熱気が渦巻いている。入った「徳尾書店」の棚が目に入り、古い漫画本に吸引されてしまうが、そう言えば棚のレイアウトがいつもと違っていることに気付く。縦に棚が連結され、会場内に三本の長い通路を造り出しているのだ。それにしても開始と同時に飛び込んだ先客の多くが、すでに腕の中に十冊以上の古本タワーを積み上げ、棚から棚へ飛び回っている。そんな風に何処の棚前も古本と合体した古本修羅が鈴なりで、新規参入古本修羅が棚にアクセスするのは、なかなかに難儀なのである。それでも懸命に隙見しながら、やがて中央通路左奥の「盛林堂書房」棚はすでにガタガタになりつつある…まだ始まって二十分くらいなのに…そしてその間にもガタガタ化は進行しつつあるのだが、最前列組は目を血走らせ、どっしりと根を下ろしてしまっている…むぅぅぅぅぅ、また後で見に来よう。と会場をウロウロ。その間に、北原尚彦氏・森英俊氏・嵩平何氏・「三暁堂」さん・「七七舎」さんらと出会い、言葉を交わす。結局一時間ほど会場を、見られるところを見ながら何度も回遊し、どうにか全部の棚を見た気になる。その間、所々で常連客さんが見回りの古本屋さんに「補充は?いつ補充するんですか?」と聴いているのに出くわす。多くの猛者たちは、本日中の補充タイミングを狙い、会場に舞い戻って来る予定らしい。そのバイタリティを見習うべきなのだが、残念ながらもう疲れてしまった。と言うわけで、長い精算の列に並び、作品社「歌集 乳房喪失/中城ふみ子」廣文堂書店「脚のまにまに/進藤紫朗」洋泉社「幻の怪談映画を追って/山田誠二」を計1330円で購入する。新しい時代の古本屋、中堅の古本屋、老舗の古本屋、その全員が若めなパワーを発揮し、古本を渋くも派手にも輝かせて陳列している、とにかくやる気漲る古本市で、去年開催された「中央線はしからはしまで古本フェスタ」(2023/07/28参照)と同様の意気込みを感じる。帳場では「明日もたくさん補充しますので、是非ともお越しください」などと声が上がっている。これは明日も、良書を求めて混み合いそうだ。帰りに神保町に進入し、「田村書店」(2014/05/14参照)で薔薇十字社「ポトマック/ジャン・コクトオ 澁澤龍彦訳」を500円で購入し、帰宅する。家に帰ったならば、次の古本箱造りに取りかかる。まだまだいける、いけるはずだ!
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七版だが帯がちゃんと付いていて五百円は、やはり安い。
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2023年12月29日

12/29東京・高円寺 ヤンヤン

午後一時過ぎに、工事は進むが未だに表現主義的建築が健在の『和田堀給水場』裏に流れ着いたので、東松原に流れ落ちて「古書瀧堂」(2014/05/01参照)へ。朝日新聞社「インド放浪/藤原新也」芳賀書店「新しいノアの箱舟/ジェラルド・ダレル」を計220円で購入する。「インド放浪」は昭和四十七年の初版で函&帯付き。当初は書名は“印度”ではなく“インド”だったのか。以前親しんだのは朝日文庫の「印度放浪」だったので、元本を見るのは初めてである。そんな本を手に入れた後、再び『和田掘給水場』まで上がり、『甲州街道』から『井の頭通り』に入り、永福町までテクテク。駅北口から関東バスに乗り、一路高円寺へ。そして終点の南口に着く前に途中下車し、『PAL商店街』の南端から『エトワール通り』に入り、最初の横丁を南に曲がり込んで「えほんやるすばんばんするかいしゃ」にたどり着く。以前は同じ建物の二階で営業していたが(2014/09/11&2019/06/20参照)、現在は一階に移転している。その一階店舗に入るのは、実は初めて…。表の安売木箱を漁ってから、赤い桟のガラス戸を開けて木床の店内へ。左奥に帳場があり、マッシュルームカットの店主がチラリと顔を覗かせて「いらっしゃいませ」。ここは三方に棚があるが、新刊の絵本やカード類が主である。狭い通路に佇む先客に「すみません」と声をかけ、奥に進む。するとそこは薄暗い木造回廊の秘密部屋的空間。こちらは古本で固められており、ギャラリーも兼ねているようだ。洋書絵本・SF児童文学・児童文学…それにしても本当に薄暗い。何か『善光寺』の胎内巡りでもしているような……。岩崎書店 ポニー・ブックス6[復刻版]「和田誠*ぬすまれた月」を2640円で購入する(元本は1963年出版。本を開くと、創元推理文庫「首のない女」装画と似たタッチの街並!たまらん!)。
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すると店主が「隣りの二階に新しい本屋が出来たんですよ。すぐ隣りの急階段です。よろしかったら行ってみてください」と教えてくれた。そこで表に出てお店の横に目をやると、立看板が出ており、『日記・隨筆・文芸・写真など 本・記録の手しごと 新刊・古書あります 階段、上がって2Fです』と書かれている。その階段を見ると、空間が細く恐ろしく急角度の、階段というよりは梯子段なのであった。
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こりゃぁかなりの難所だ。恰幅の良い人や上背のある人は、上り下りに相当難儀することだろう。早速手を掛けて這うように上り始めると、早速ゴチンと頭をぶつけてしまう。そして苦労して二階に這い上がり、短い廊下を少し進むと、突き当たりには三十冊ほどの古書が並ぶ百均箱がまずは出迎えてくれた。ちょっと良さげな景色なので、しばらくゴソゴソと真剣に漁り、二冊を掴み、右手のドアを開けていよいよ店内へ。頭上は木造の屋根や梁が丸出しだが、美しく懐かしい空間である。左壁には小さな棚が一本置かれ、ドア脇の壁一面は棚になっており、主に写真関連やセレクト文学の新刊がズラッと並んでいる。窓際や右奥にも棚が置かれ、フロア中央にはまるで富士塚のようなディスプレイがそびえ立ち、その裏にメガネのスマートな今時文学青年が隠れている。棚の所々に古本は混ざっているようだが、一番固まっているのは、入って正面奥の棚である。新刊類には目もくれず、その棚前にしゃがみ込み、熱い視線を注ぐ。文学・ルポ・資料・写真集…古本の値付はおしなべて安かったので、ここでも二冊選ぶ。海口書店「くだん草紙/小杉天外」騒人社書局「名作落語全集第四巻 滑稽怪談篇」實業之日本社「奮闘活歴 裸一貫から」鐵十字社「ヒトラー總統演説集/工藤長祝譯」(裸本。『東京池袋 真砂書店』の古書店ラベルあり)を計1040円で購入する。古書は少ないが、その質は良かったので、また見に来ることにしよう。精算を済ませると店主に「帰り、急なんで頭をぶつけないように気をつけてくださいね」と言われたので「上がる時にもうぶつけてしまいました」と答える。その帰りは、急階段に身を滑らせるようにして、慎重に一段一段下って行くが、途中で結局ゴチンと頭をぶつけてしまう。痛くはなかったので、何だか妙に愉快な気分になる。
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2023年10月31日

10/31建築資材のお店で古本を。

昨日は中野「まんだらけ買取処」に特殊な不要&読了本を買い取ってもらったついでに、まずは階上の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で青心社「ピーナッツバター作戦/ロバート・F・ヤング」を880円で購入した後、『早稲田通り』に流れ出て家路をたどる。当然その途中で「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、新評社「ルポライターの世界〈全特集〉」広済堂「俺・勝新太郎 劇薬の書/勝新太郎」岩波写真文庫「やきものの町-瀬戸-」(復刻版田中長徳セレクション)を計700円で購入する。若かりし日の東松照明が撮影している「やきものの町」は、一九五五年出版のオリジナル版をいつでも探し求めているのだが、復刻版が出ていたとは知らなかった。ひとまずこれを買って我慢するとしよう。そして今日は朝からデザイン仕事と原稿書きを同時に進めつつ、ついでに「フォニャルフ」補充用古本も掻き集める。仕事たちを片付け午後に外出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。今日の神保町まつりワゴンはフミさんが担当で、こちらは小野氏が在店している。「フォニャルフ」を結構大幅に入れ替え、講談社「変った種族研究/吉行淳之介」を百円で購入する。そして来月も引き続き出番の多い盛林堂・イレギュラーズについて色々打ち合わせる。お店を出たら、吉祥寺まで歩いて古本を買いに行こうと、トボトボ西に進んで行く。やがて『五日市街道』を越えて、高架際を南に北に、吉祥寺駅に近づいて行くと、ビル一階の建築資材のお店『田島商店』の店頭に、お店の商品とはまったく相容れない、函入り大判本や籠に入った絵本群が出されているのが目に留まる。なんだろう?不要な本でも販売しているのだろうか?と古本好きなら当然の如く惹き付けられてしまい、恐る恐る眺めていると、道を歩いて来た北大路魯山人のようなオヤジさんが店に入ろうとしたので、「すみません」と声をかけ、これらが販売されているのかどうか聞いてみた。すると「いや、別に売ってるわけじゃないんだよ。好きな人に持って行ってもらおうと思ってね。ただし、ひとり一冊。もし、もう一冊欲しいのがあったら、また明日来てみなさい。フフ」とのことであった。ならば、遠慮なく一冊いただきます!と最初から目をつけていた、小学館 なぜなに学習図鑑1「きょうりゅうと怪獣/監修尾崎博」(文は梶竜雄!)をいただくことにする。まさか建築資材のお店で、こんな良い古本がいただけるとは、全く持って大ラッキーである。
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その後は高揚感を温めながら「古本センター」(2017/03/06参照)にたどり着き、サンリオ「夢みるバレリーナ/文・森下葉子 写真・西川治」創元社「小住宅の庭 住宅デザイン双書8/小林清編」を計百円で購入して帰宅する。
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2023年10月18日

10/18イレギュラーズの前に均一祭りを!

昨日に引き続き、今日も正午過ぎから盛林堂・イレギュラーズにならなければならないのだが、その前に早い昼食を摂って高円寺に駆け付け、今日明日(今日は二百均、明日は百均である)と開かれる「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「平日開催 高円寺均一祭り」を覗く。時刻は午前十一時なのだが、平日なのに会場は籠を提げた古本修羅たちで大賑わいである…すげぇな。そんな会場に足を踏み入れた途端、すでにハンティングを終えた古本神・北原尚彦氏とまずは出会い、通路奥では同じく古本神の森英俊氏に遭遇する。途端にメラメラと古本心に火が点き、一生懸命に古本を見て回る。学術書や研究資料や雑誌や映画ポスターなどが多いが、必ず何かあるはずだと信じて、通路を奥へ奥へと分け入って行く。結果、南光社「隨筆 犬の涎/林髞」(木々高太郎の林髞名義の随筆集だが、『殺人と自殺と探偵小説』『保健と探偵と惡口』などの、ミステリ寄りエッセイも!)春陽堂「好評講談 美人の生埋」(表題作は幕末探偵物で、他に『緑林門松竹』『鶴殺嫉刃庖刀』『英國女王イリザベス伝』を収録)風発行所「金子兜太句集」共同音楽出版社「〈対話〉オルガンへの巡礼」小学館入門百科シリーズ88「妖怪100物語/水木しげる」を計千円で購入する。表に出て時間を見ると、うわっ!午前十一時四十五分!急いで「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かわねばと焦り、あっという間にお店着……おや?店頭に何処かで見た人が……「北原さん、冗談じゃないですよ。何やってんですか!?」「ハハハ、お久しぶりです。待ってたんですよ」と笑顔で待ち伏せされてしまう。というわけで、お互いの獲物を見せ合ったり情報交換したり、婦人生活社「目立たず隠れずそおーっとやって20年/小松政夫」を百円で購入したりしていると、レンタカー軽ワゴンを取りに行っていた店主・小野氏が帰還したので、ついに盛林堂・イレギュラーズとなり、お仕事に出発する。ミッションはすでに二度訪れている買取先で、古本を台車にたっぷりと載せて、マンションから入口の坂道をクリアし、ちょっと離れたコインパーキングまで運び出し、荷台に丁寧に詰めて行くというもの。本がギッシリ詰まったダンボール二十一箱と、十本ほどの本束を一時間で運び終える。ゼェゼェハァハァ……。
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任務を無事に完了させ、西荻窪に取って返し、お店に荷物を運び下ろした後は、たった今空にした荷台に、月末の古本祭り用の本束七十本をドカドカ積み込み、「東京古書会館」(2010/03/10参照)のロッカーに収めに出かける。ところが往きも還りも首都高の多重事故と思われる甚だしい渋滞に巻込まれ、往復に三時間強もかかってしまい、精根尽き果てる……なんだかずっとトンネルの中に居た気がする。
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ほほほ、本日もお疲れさまでしたぁ。午後七時半前、フラフラと家路に着く。
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2023年10月06日

10/6東京・ひばりヶ丘 ひばりが丘の古本市

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朝から知恵を絞ってデザイン仕事に取り組み、昼食後に外出。陽射しは強いが吹き渡る風はカラッとしており、そこだけ秋である。トボトボ歩いて中村橋まで出て、西武池袋線に乗ってひばりケ丘へ。南口に出て駅前ロータリー西側に建つ『ひばりが丘PARCO』に正面入口から入ると、すぐにお客さんで賑わう古本市会場が目に飛び込んで来たので、何だか意表を突かれた感じである。長テーブルと木箱を巧みに組み合わせて作られた古本島が三つと四つで並んでいる。絵本・アートブック・洋書ビジュアル・懐かしカルチャー・お洒落カルチャー・絶版漫画・映画などが目立っている。その中で戦争関連古書をメインにしている「文紀堂書店」(2015/03/31参照)が異彩を放っている。そんな会場をくるくる一回りしてすべての面を眺め、府中まめほんの会「府中犯科帳/神門酔生」(『府中』は東京の府中ではなく、福井(越前)の国府が設けられた武生のことである。そこで長年寺社町奉行を務めた侍の、ある事件の回想記豆本である)集英社「ニューヨークひとりぼっち ミュージカル留学記/松島トモ子」を計千円で購入する。「ニューヨークひとりぼっち」は少し綴じが緩くなっているが、それでも500円ならめっけものである。この市は、10/22(日)まで。古本市だけ見てPARCOを出たら、駅を北に抜けて、気になっている「近藤書店」(2014/09/22参照)の様子を見に行く。…ああだがこれはもう、やっていなさそうだ。シャッターの閉められた店頭にはプラスチック鎖が回され、幾つものプランターがどっしりと根を下ろしている上に、立看板の店名が雑誌の切り抜きで覆われてしまっている…これではもう、さすがに開くことはなさそうだ。長い間、おつかれさまでした。と心の中で挨拶し、中村橋に引き返す。
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そして「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄り、講談社HOW TO BOOKS「なせば成る!続・おれについてこい/大松博文」ワニの本「にっぽん怪奇旅行 四次元ミステリーガイド/佐藤有文」ハヤカワ・SF・シリーズ「十八時の音楽浴/海野十
三」を計575円で購入する。その精算の際クマゴロウさんが、「この間はお店閉めていてすみませんでした。ちょっと体調を崩していたもので(2023/08/30参照)」「えっ!もう大丈夫なんですか?」「ハイ。決して潰れたわけではありませんので」「そんなことになったら、困りますよ。これからもよろしくお願いします」などとやり取りする。
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2023年08月20日

8/20東京・光が丘 光が丘 秋の古本市

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午前のうちに総武線から地下深くの大江戸線に乗り換え、小さな車両で北の終点・光が丘を目指す。『A4出口』から、巨大集合住宅が屹立する地上に出て、背後の複合商業施設の『IMASTREET』を奥へと進む。子どもたちが大勢集まり、恐竜人形に色を塗るイベントが開かれているアトリウムを抜け、『LIVIN』に到着。エスカレーターで五階まで上がると、新刊書店『LIBRO』に隣接する、パーテーションで仕切られたスペースで、二十六台の古本ワゴンを並べた古本市が開催されていた。東京東部・千葉・埼玉の古本屋さん九店が主催している。映画・人文・児童文学・アングラ・美術・カルト&絶版コミック・絵葉書・文庫・新書とバラエティに富んだ並びを見せていて、値段はなかなかお安めである。まだ行ったことのない「はじっこブックス」や「すずめ出版古書部」(クセのある新書サイズ本がズラズラ)が見られたのは嬉しい。好ましかったのは「平井の本棚」(2018/07/29参照)と「古書ほんの木」(2013/05/25参照)と「唯書館」(2012/02/25(気仙沼時代)&2011/07/29(中之条時代)参照)である。朝日ソノラマ「サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ/淀川長治」少年画報社「江戸川乱歩妖美劇画館vol.2」トパーズプレス「BOOKMAN #16 ●特集=SF珍本ベストテン 謎の名作・噂の怪作」を計880円で購入する。精算はリブロのレジにて行う。『SF珍本ベストテン』の座談会(横田順彌×鏡明×會津信吾×編集部(瀬戸川猛資)が抜群に面白い。あの稀代の珍本「醗酵人間」を最初にメディアに登場させた座談会として有名なことはもちろん、珍本について語る以上、古本&古本市&古本屋について多く語ることになるのは必然で、大変に興味深い充実した内容なのである。雑誌第四位の「洋酒天国 SF特集」が欲しい……。この市は10/15まで。
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2023年07月28日

7/28蝉と「中央線はしからはしまで古本フェスタ」。

昨日のことであるが、歩いているとリュックの中から時折『ジイジイ』という聞き慣れない音が聞こえる。最初はペットボトルから空気でも漏れているのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。気になったので立ち止まり、リュックを地面に下ろす。するとその途端に『ジイ』。チャックを開けて中を漁っていると『ジイ』。音の出所を求めてリュックの底にたどり着くと、何とそこには一匹の蝉がしがみついていた…い、いつの間に入ったんだ。不思議に思いながら羽と身体を一緒に掴むと『ジイジイ』。ちょっと小さめで、まだ艶が見られないので、羽化して間もない成虫のようだ。そっと近くの木の枝に移し、もっと大きく育つんだぞ、と願いをかける。そんなことがあって正午過ぎに、いつかのように世田谷の弦巻に流れ着く。世田谷線と小田急線を乗り継ぎ下北沢に出て、「古書明日」(2017/01/31参照)で買物する。福音館書店 こどものとも325号「たろうのひっこし/村山桂子さく・堀内誠一え」(英題は『TARO AND HIS OWN ROOM』である)演劇出版社「中村鴈治郎 一生青春」を計300円で購入する。明けて本日、午前中は色々わちゃわちゃと動き回り、正午過ぎに神保町に姿を現し、「東京古書会館」(2010/03/10参照)で今日明日開催の「中央線はしからはしまで古本フェスタ」を覗く。中央線支部の古本屋さんが中心の、全36店参加の新しい催事である。本来なら地元「西部古書会館」(2008/07/27参照)で開かれるはずのイベントであるが、あえて“中央進出”という新たな地平を求めるところが刺激的である。始まって二時間以上経つのに、会場はまだまだ賑わいを見せており、すでにブランクが生まれている棚も多い(特に「盛林堂書房」のミステリ&文学棚はゴッソリであった…)。映画・古い漫画・古雑誌・エロ・人文・80年代カルチャーなどが目立っている。そして結構足元部分まで本を並べているところが多いので、しゃがむ人多数…。通路をあっちにウロウロこっちにウロウロしていると、北原尚彦氏・樽見博氏・真田幸治氏らに遭遇する。「プリシアター・ポストシアター」さんの会計で、講談社「林の中の家/仁木悦子」東京文藝社「花の通り魔/横溝正史」(貸本仕様)を計1300円で購入する。仁木の長編二作目「林の中の家」が嬉しい。帯が傷んではいるが付いており、スリップや出版案内も封入されている。売れ残ってくれていて、ありがとう!
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帰りの中央線が安全確認のために緊急停車し、およそ二十分間車内に閉じ込められる。冷房がちゃんと効いていて良かった。
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2023年06月24日

6/24高円寺で新しい催事を。

午前十一時に今日も千歳船橋に流れ着いてしまったので、陽射しは薄いが湿度の高さに並行しながらも、経堂も下北沢も古本屋さんが開くにはまだ早い時間だ!と確信し、一気に高円寺を目指すことにする。「西部古書会館」では本日と明日、新しい催事「高円寺優書会」(西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)神保町「羊頭書房」(2014/05/02参照)「水平書館」(2014/05/23参照)も参加!)が開かれているので、これを見逃すわけにはいかないのだ。と言うわけで小田急線と総武線を乗り継いで、現地到着。ガレージには派手に横断幕が掲げられている。冷房が効いているため、戸が閉め気味の館内に進むと、もはや正午過ぎなのに、古本の入ったカゴを持つ古本修羅たちが多数跋扈中である。おぉぉぉぉぉぉ、本の背を天眼鏡で追いかけ続ける、旧式犯罪捜査的古本探索を進める修羅がいる!…これは良いものを目撃したな。そう小さく感動しつつ、すでに所々大きなブランクが発生している本棚を懸命に注視して行く。すべてが、油断のない並びと言うか、きっちり計算されている、目の行き届いた棚造りと言った感じである。だが決してつまらないわけではなく、買うべき本は次々と目に飛び込んでくる次第……それにしても「相澤書店」の医学関連書は、青いガスの燃焼のようにただひたすら孤高な輝きを、通路に向けて放射し続けている……三十分弱回遊し、春陽堂書店 長編探偵小説全集1「秘密結社/小栗虫太郎」(函天一部欠けアリ)岩谷書店「宝石 昭和二十六年四月号 書き下し捕物特集號」「宝石 昭和二十七年十一月号 入賞者競作特集」「宝石 昭和二十八年十二月号 贋作集」を計1100円で購入する。「宝石」は昭和二十年代の岩谷書店時代のものをセレクトして購入。「贋作集」は出色の出来で、ポオ『ユラリウム/城昌幸』ドイル『黄色い下宿人/山田風太郎』ルブラン『ルパン就縛/島田一男』チェスタトン『胡蝶の行方/大坪砂男』ヴァンダイン『クレタ島の花嫁/高木彬光』がラインナップされている。風太郎のホームズ物『黄色い下宿人』は有名だが、高木のヴァンダイン!? 大坪のチェスタトン!? と軽く興奮してしまう。
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さらに「宝石 昭和二十七年十一月号 入賞者競作特集」には『特選傑作小説陣』として香山滋の『キキモラ』が掲載されているのだが、挿画を山名文夫が担当している。題字も、不思議な少女・キキモラが持って現れる猫の頭を象った握りのある洋傘の絵も、物語にマッチしてプリティこの上ない。
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誠に雑誌には雑誌の良さというものが、厳然と存在している。だが、雑誌を収集するのは、とにかく果てしない茨の道になるのは必至…ほどほどにね、これは、ほどほどにしておこう。
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2023年06月20日

6/20東京・神保町 @ワンダーJG

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御茶ノ水駅を出て、歩道が広くなった『明大通り』を歩いていると、目の前には陽気に手を振る男の姿…「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の天野氏であった。今日はお休みなので、古書会館に荷物をとりに来たとのこと。いやぁ、地元以外でお会いすると、なんだか不思議な感じである。さて、そんなことがありながら、今年二月にオープンした神保町最大の古本屋さんを、ようやく見に行くことにする。神保町駅『出入口A5』から地上に出て、『靖国通り』を東へ。北への脇道を一本二本とやり過ごし、三本目の脇道に入ると、目の前にはすぐに『古本市』や『古本劇場』の文字があり、パチンコ屋『人生劇場』跡地を存分に使ったお店が登場する。店頭には多数の白い木箱を使い、安値の文庫・単行本などがドバドバ並んでいる。中に進むと、本当に広い。確かにちょっとした催事の規模であり、“古本屋”と言うよりは“古本市”と形容する方が相応しいかもしれない。ちなみに出入口は合計四つ。奥は裏通りに出られるようになっている。西側手前の入口から入ると、そこは一番広いフロア。十一本の通路があり、趣味・鉄道・児童文学・美術・新書サイズ本・猫本・文庫本・ことば関連・本関連・江戸・東京・落語・サブカル・アウトロー・性愛・テレビ・アイドル・歴史・世界・思想・哲学・宗教・特撮・80年代・古書・スポーツ・プロレス・映画などが、それぞれに古書や雑誌を交え、背の高い棚にギッシリ詰めたり時に面陳したりして並んでいる。最奥には映画ポスター&パンフのゾーンがあり、奥手前側には絶版漫画&漫画雑誌&CDの島あり。またフロア西側には、奥へと伸びる二つの長細いフロアがあり、『靖国通り』側には古典文学・日本文学・詩歌・幻想文学・ホラー(何故か山田風太郎がここに固められている)・海外文学・海外文学古書・新書が集まっている。北側のフロアは、なんだかちょっとしたディスプレイ空間になっており、映画ポスターや古雑貨や紙物や未整理本が場を占めている。入口近くのガラスケースには、レア探偵小説が多数飾られている。大きく広くちょっと薄暗く、どのジャンルも広く深く根を張っているような棚造りがされている。パチンコ店跡地を利用したお店は、これが全国で二店目ではないだろうか(一店目は土浦の「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)である)。値段は普通。だが丁寧に何百何千冊の本を見て行けば、時に安値のボーナス本が発見出来そうな雰囲気満点である。新教育研究会「怪奇傳説の科學/豊田清修」(献呈署名入り)を880円で購入する。
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2023年06月17日

6/17飲めるフリマにて。

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午後一時過ぎに笹塚に流れ着いたので、『環七』に出て、阿佐ヶ谷行きのバスに乗り、新高円寺にて下車。商店街を遡上して、駅北側に秘かに分け入る。最初は『あずま通り』に出て「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)を急襲。カバーナシの「ストリップの女/ベン・ベンスン」(初版)を300円で購入する。そして今日は催事はナシの静かな「西部古書会館」(2008/07/27参照)前を通過して『庚申通り』に出ると、『庚申塔』手前の西に伸びる脇道前に『古着 古本 レコード フリマ開催中』とある立看板を発見する。これは見逃す手はないと、すぐさま西に折れ曲がり、さらに『飲めるフリマ』の看板が出ている、「cafe&bar ront」に勇気を持って吸い込まれる…テラス席ではすでに女子が一人ビールをグイグイ…良い景色だ。お洒落でシックなカフェバーは、右にカウンター席があり、ここでは男性がひとり飲酒中。その手前の入口横に古本テーブルがあり、細かな手書きの説明POPとともに、糸山秋子・津村記久子などの文学本・現代思想・音楽関連など十数冊が面陳されている。左側には古着やスニーカー、それにレコード箱が展開しており、女子がレコード箱と真剣に格闘中である。目当ての古本は少ないのだが、まぁこれも何かの縁であろうと、飲むのはひとまず我慢して、立東舎「ハマクラの音楽いろいろ/浜口庫之助」を300円で購入する。そして最後に「古書サンカクヤマ(2015/02/02参照)にて、白水社「現代ドイツ幻想小説/種村季弘編」文藝春秋「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」を計200円で購入し、『早稲田通り』を、お行儀悪くアイスモナカを齧りながら帰宅する。

家には「日本古書通信 2023年6月号」が届いていた。リレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は北原尚彦氏の番で、八十年代に渋谷『東急文化会館』の屋上に存在した古本屋さんについてと、そこで安値で入手したピーター・ディッキンソンの児童SF小説について。うわぁ、こんな本、全然知らなかった……これから気をつけて見て行くことにしよう。
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2023年06月11日

6/11不思議な依頼人、素敵な日曜日。

雨模様の日曜日なので、外出するのは億劫だが、高円寺の即売会くらいは見に行こうか。そんな風にだらしなく考えているところへ、ブログに不思議なコメントが届く。未知の方から、近日中に実家を取り壊し始めるのだが、様々な本がたくさん残っており、これをそのまま捨てるのは偲びない。だがどうすれば良いかわからないので途方に暮れている。是非一度見に来てくれないか。という相談なのであった。すでに何軒かの古本屋さんが入っているということなので、その残りの本の処遇に窮しているのだろう。その家がある場所はわりと近所で、幸い雨も上がったことだし、奇特にも依頼を聞き入れ訪問することにする。ちなみにこちらは古本屋さんではないので、本の買取は出来ない旨と、本を見て相談に乗ることしか出来ない旨は、伝達済みである。トボトボテクテク歩いて、とある住宅街に分け入る。教えられた住所に該当したお家は、わりと大きく縦長なフォルムの二世帯住宅である。さて、どちらのドアに訪問したら良いものか…と思案していると、右側のドアがタイミング良く開き荷物を持った男性が姿を現わした。「あのすみません、こちら◯◯さんでよろしいでしょうか?」と問いかけると「そうです」と返って来るや否や、緩やかなスロープ状になったガレージから、ご婦人が「ようこそ。わざわざすみません」と現れた。この方が不思議な依頼人である。「さぁこちらです。どうぞどうぞ」と早速ガレージの奥の半地下物置に招き入れられる。横長で、左側は写真の暗室設備が様々な物品で雑然と埋まっており、右側1/3に“コ”の字型に丈夫な棚が設置され、正面の壁際はキャンバスを並べた絵画ゾーンとなっているが、右壁と手前壁が本ゾーンとなっている。だが棚は想像通り、すでに良書はあらかた捌けており、残っているのは美術雑誌や大判の美術全集・帙入りの蔵品目録・超大判画集・図録類・湿気を含んだ文庫本などがほとんどである。手元に残しておきたいものはすでに運び出しており、買取を依頼した古本屋さんには『お好きなものをどうぞ』的にお願いいたそうである。なので残っているのはそのほとんどが、古本屋さんに引き取ってもらっても、もったいないが廃棄処分になるようなものばかりである。だが依頼人は、残った本にも楽しさや美しさや思い入れがあり、どうしたら次の必要とする人に手渡せるか、悩んでいるのである。だがまぁ必要なものは運び出しているのなら(もちろん本だけではない。しかもそれを運び込んでいる倉庫が、もはや満杯に近いそうである)、こういうのは涙を飲んで、もはや廃棄した方が良いことを告げる。「そうねぇ、どこかで線引きはしなとねぇ…」。その上で残ったものを色々見て行くと、本以外の紙物で、だいぶ面白いものが残っている。この物置の物品の持ち主は依頼人の叔父さんで、某印刷会社付きのデザイナーだったそうである。古いカレンダーやポスター、また製版のアルミ板、写真、印刷&紙資料などなどは、ある方面ではまだまだ需要がありそうなものなので、確かにこれらを一気に廃棄するのはもったいない気がする。それに何が入っているかわからない袋もたくさん…聞けば依頼人は、このような本や紙物を売るお店を、漠然とだがいつかは開きたいという野望をお持ちのようだ。この残った廃棄の瀬戸際の物たちを見れば、確保してある物や本が、なかなか上質であることは容易に想像出来る。出来ればいずれはそれらも見せていただきたいし、返す返すも思うには、古本屋さんが入る前の棚が見てみたかった……(ちなみに私のことは、大量の本の行方に悩んでいる時に、古本について調べていたら、自然と岡崎武志氏や私のブログに行き着き、知ったとのことである)。こんな風に、宣言通りにほとんどお役に立てない次第だったのだが、あちこち色々お話ししながら検分していると、依頼人は「もう見ていただいただけで、去年亡くなった叔父も喜んでるはずです」と言っていただく。ありがたいことである。そんな風にあっという間に一時間が経つ頃、すっかり古本屋さんの手の入った図録類が並ぶ棚を見ていると、薄手の赤い本が二冊残されているのを発見する。あっ!両方とも瀧口修造の戦前本、アトリエ社の西洋美術文庫じゃないか!と手にしてみると、特殊な衝撃が背中を奔る!二冊とも署名入りなのである。「ダリ」は“著者”での献呈署名入り「ミロ」は何と瀧口修造直筆の星の絵が描かれており、『1940,3,27日「娯廊」にて 写真造型研究会水曜の日』と添え書きされている。「こ、これスゴいですよ。二冊とも署名入りですよ」と依頼人に伝えると「わっ、瀧口修造のサイン!こんなの残ってたの。すごいわぁ」と喜んでくれた。そして「これ、私たちが持っているんじゃなくて、価値の分かる方に持っていて欲しいわ。見つけてくれて叔父も喜んでると思うので、こちら差し上げますよ」と、畏れ多くも素晴らしい申し出が。というわけで二冊を拝受し、有り難く押し頂く。これは、受け継がれた者として、大事にいたします。あぁ、なんて素敵な日曜日だ。不思議な依頼人の不思議なお誘いに乗って、デザイナーさんの物置を訪ねることになり、瀧口修造の署名本をいただいてしまった。運命というものは、人間の想像を超えた素敵な展開を、時たま見せてくれるものである……。
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2023年05月06日

5/6東京・祖師ヶ谷大蔵 BOOK SHOP TRAVELLER

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極悪な風が吹き抜ける炎暑の祖師ケ谷大蔵に、午後二時前に流れ着く。駅に戻りがてら、下北沢から移転して来た棚貸し本屋+新刊書店の「BOOKSHOP TRAVELLER」を見に行くことにする。駅からは北口に出て、西に向かって建つウルトラマン像に挨拶しながら『ウルトラマン商店街』を北に進み、二本目の脇道を東へ。すぐに目に入る、黒地に白文字の『本』の軒看板が目印である。店頭には安売本の木箱が数箱並び、立看板には『小さな本屋が集まった本屋に出会うための本屋あります』などと書かれている。自動ドアから店内に進と、すでに多くのお客さんが、小さな本屋と真剣に対峙している。左右の壁とフロア中央に白木の棚が組まれ、ディスプレイ棚や特価本棚も存在するが、およそ百以上の小さな本屋が軒を並べている。好みの新刊・同人誌・古本を並べ、テーマやコンセプトは人それぞれだが、その多くは新しい本で、全体的に端正で、とても清潔な棚造りが為されており、細かな細かなセレクトブックショップと言った趣きである。だがそれでも中には異端がおり、J・P・ホーガンだけで構成していたり、クトルゥで埋め尽くしていたり…お、ヒラヤマ文庫の探偵小説を並べている棚もある。「七月堂古書部」も出店しているのか…などとぐるぐる通路を巡り、文学と音楽の書店から、彩流社「現代作家ガイド3 ウィリアム・ギブスン」を350円で購入する。ちなみに二階はギャラリースペースとして使用されているが、そこにも本が並んでいるとのことである。さて、私にはどうしても古書のエキスが必要なので、祖師ケ谷大蔵駅から下北沢駅に向かい、若者だらけの人波を巧みに擦り抜けて「ほん吉」(2008/06/01参照)へ。右側の店頭棚は数人のお客さんが張り付いているので、左側から見ることにする。するとたちまち、半ページの破れがあり函ナシだが、アルス「現代美術全集16 実用カット図案集」が550円!HORIZON PRESS「THE SOLOMON R・GUGGENHEIM MUSEUM/FRANK LLOYD WRIGHT」が550円!と店頭にしては大物を手にしてしまい、ほどなくして空いた右側へ。フムフムフムと見て行くと、棚の最下段に眼を疑う本が挿さっていた。講談社 世界の児童文学名作シリーズ「迷探偵スベントン登場/オーケ=ホルムベルイ作 眉村卓・ビヤネール多美子 竹俣共訳」である。
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おぉ、迷探偵スベントン!……って、知ってるスベントンシリーズとは違う本じゃないか。同じ講談社から『私立探偵スベントン』シリーズが発売されているのだが(ちなみに日下三蔵氏邸にはシリーズの揃いが所蔵されている(2021/09/02参照)、どうやらこれは単発もののようだ。函の背が割れているが、それでもちゃんとあるのはポイントが高い、そしてさし絵は湯村輝彦が手掛けており、口絵と本文ページに、洒落たテリー・ジョンソンのイラストが縦横無尽に踊りまくっている!これは感動の出会いである。実は私は十一年前に、福島県磐城棚倉の「BOOKランド棚倉店」(2012/12/21参照)で、函ナシの講談社「「私立探偵スベントン おばけ屋敷と四つの怪事件/ホルムベリイ作・眉村卓文」を見つけ、百円で買っているのだが、当時は貴重な本と知らずに、一読しただけで「フォニャルフ」に並べてしまい、すぐさま売れてしまった後に、盛林堂・小野氏から「スベントン、めったに出て来ない本なんだよ」と教えられ、悔悟悶絶したことがあったのだ。あれから幾年月…違う本ではあるが、ようやくまたスベントンに出会えたわけだ。今度は大事にしよう!と心に誓い、計1210円で購入する。
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折込口絵はこんな感じ。
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2023年04月30日

4/30第23回一箱古本市

午後に根津で開催されている「第23回一箱古本市」に向かう。主催者の南陀楼綾繁氏より、久々に賞のプレゼンターを仰せつかったのである。市はコロナ禍での中止を挟み、去年より再開。ただし開催は一日のみで、箱も三十弱と、慎重を期した縮小モードである。故に、一箱参加者にとっては、激しい争奪戦必至のプラチナチケットなのである。会場は二ヶ所で、駅裏手にある『忠網寺』と、上野動物園側にある『HOTEL GRAPHY NEZU』に、二十七箱が配置されている。強風が吹き抜けるとかホームから地上に上がり、まずは『忠網寺』へ。靴を脱いで上がり込む、本堂に一階と二階に古本箱が並べられている。「罪の話書店」は、犯罪に関わる本だけを集めた変わり種箱。店主さんが一冊一冊の説明に熱を込めまくる、マンツーマン型である。「書肆鯖」はマニアックな並びが相変わらずで、内田善美をさらっと紛れ込ませている。「モロ古書店」は揺るがぬ歴史深堀資料本で盤石の硬さを見せている。色褪せた古写真二枚を計400円で購入する。駄々猫さんがメンバーの「股旅同盟」を覗き込むと、途端に駄々猫さんから「古ツアさん来るのが遅い!せっかく古ツアさん用に古書を五冊用意していたのに、全部売れちゃったよ!」とプンスカ叱られる。そして私にとっては発お目見えとなる「竜蹄堂」に、心をグッとホールドされてしまう。『東京×ミステリ建築特集』と銘打ち、主にミステリに登場する古い名建築や消失した建築を手製マップ(五十枚ほど用意してきたそうたが、すでに品切れであった…)で紹介しつつ、それにリンクしたミステリ本を販売しているのだ。丁寧に作られた地図も良いが、店主が今までにフィールドワークして写してきた建築写真アルバムがまた良かった。軍艦島・同潤会アパート(代官山・江戸川・清砂通・大塚)や荻窪の西郊ロッヂまでも、内部に入り込んで撮影していたりして、大いに感激する。この時点で、古ツア賞はほぼこの箱に決めてしまう。続いてお寺を後にして『HOTEL GRAPHY NEZU』へ。手前と奥の二部屋に箱が並べられている。毎度お馴染み「RAINBOW BOOKS」では、店主が子供の頃の私物である怪獣ブロマイドが端っこに置かれていた。興奮しながら吟味し、ウルトラセブンがギエロン星獣にケリを入れている一枚と、ジャイアントロボが大魔球グローバーに捕捉牽引されている一枚を計600円で購入する。
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ロボットとは思えぬ大魔球グローバーの造形がたまらん!

「しば犬堂」ではすばる書房「茂田井武の世界」を800円で購入すると、その隣りには大阪から出張って来た「古書ますく堂」さんの姿が。久々の再会を喜びつつ、「行商ですよ行商」と斜に構える不遜な態度に微笑みながら、臼井書房「生ひたちの記/吉井勇」(函ナシ)を400円で購入する。そんな風に一人のお客さんとして会場を回り、後は曇り空の下の街をフラフラ。『へび道』入口にあった「bangobooks」(2011/07/28参照)が消滅しているのに気付き、入手していた「不忍ブックストリートMAP2023」で、ネット書店に移行していたことを知る。そして午後五時前に『忠網寺』に戻り、終了と同時に「竜蹄堂」さんに古ツア賞賞品の「疾走! 日本尖端文學撰集」と「ベスト・オブ・谷根千」とコカコーラミニボトルキーホルダーを手渡す。
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これが賞品三点セット。コカコーラミニボトルキーホルダーは、子どもの頃必死に集めていたもの。

そうしたら竜蹄堂さんにお礼にと、「東京×ミステリ建築特集MAP」を貼付けた展示用パネルを贈呈される。これじゃあ、どっちがプレゼンターだかわからない。いや、ありがとうございます!
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2023年04月24日

4/24三倍速で働け!

昨日は『SFカーニバル』二日目に、またもや盛林堂・イレギュラーズ・エキストラ(SF古書店店員)として、ひっそり参加する。ところで本や什器は置きっ放しにしておくわけにはいかなかったので、すっかり搬出してしまったのである。そこで早朝七時から、昨日とまったく同じ動きで、ボスの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに、荷物を重く積載したハイエースで、『代官山蔦屋書店』の駐車場に滑り込む…そこに待っていたのは、名車高級車スーパーカー揃いの謎のフェラーリ軍団の偉容…あれ、全部足すと何億になるんだ……そんな風にまたもや代官山という高級な土地柄を感じながら、売場を必死に設営する。昨日の繰り返しなので、作業はスムーズに進み、中身も補充分と合わせてかなり入れ替える。今日は新兵器の小型ダンボール組み立てラックが登場し、そこには井上雅彦氏監修のデッドストック『異形コレクション』を陳列し、完売を目指すことにした。
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…というわけで開始三十分前にはどうにか完成し、向かいの書店内スターバックスで、カフェラテとキャラメルマキーアトを買って来る余裕が生まれたのは、小さな幸せであった。この日は、昨日に比べて人出も緩やかで、ノンビリなスタートであったが、午後には日曜日の観光地的賑わいを見せ始め、結果昨日ほどではないが、なかなかの売り上げを記録することになった。途中、この日がサイン会の日下三蔵氏が『サイン会で売れた本の数だけ、ここで古本を買う!』と宣言。サイン会五に『あ〜ぁ〜』とため息をつきながら古本選びに奔走するが、終始エビス顔であった…やはり古本が買いたくてしょうがないんだな、この人は…。また懇親会に参加するため、午後二時過ぎに姿を現わした北原尚彦氏は、なんと財布を忘れるという凡ミスを犯していた。小野氏にお金を借り、どうにか切り抜けられることになったが、作家が古本屋さんからお金を借りる…昔の純文学作家か!とツッコミたくなるような、愉快な一幕であった。さらに『異形コレクション』が無事に完売したので、お礼に訪れた井上雅彦伯爵に、畏れ多くもこの日も拝謁。ただし私にとってこの方は、故・津原泰水氏の名作幻想怪奇短編小説『幽明志怪シリーズ』に、主人公、猿渡くんの相棒&豆腐仲間として登場する“伯爵”であり、お会いする度に『おぉっ、今伯爵が俺の目の前に!』などと、ミーハーで奇妙な感動を繰り返してしまうのであった。また、売場で楽しく古本を吟味していた若い女の子二人が、横田順彌氏著作の帯に書かれた『ハチャハチャSF』と言う惹句に過敏な反応を示し、「ハチャハチャSFって何?ハチャハチャって?」「滅茶苦茶ってことなのかな?」「楽しいSFってことじゃない?」「ハチャハチャか…一周回って、なんか新しいよね」などと“ハチャハチャ”に振り回された話をしているのが素敵であった。結局この日は、前日同様SFが売れたが、補充した大判ムック&雑誌やや幻想文學、海外文学も多く売れた印象。お買い上げのみなさま、誠にありがとうございました。そんな風に午後五時にはカーニバル二日目を無事に終え、素早く撤収作業に突入する。蔦屋書店側も早速動き始め、テントや長テーブル&椅子を片付け始める。ところが大量の古本と什器があるSF古書店は、そこまで素早く動き回ることが出来ない。小野氏と二人で(ただし日下三蔵氏と北原尚彦氏にはお手伝いしていただき、北原氏には車まで搬出する時の留守番まで引き受けていただいた。感謝である)、馬車馬のように力一杯動き回ることになった。そこへ、見兼ねたコンシェルジュさん三人がそれぞれ台車を引っさげ姿を現わし、「お手伝いしますよ」と言ってくれた。そうなると、小野氏と私は、台車への積み込みと車への積み込みを、三倍速で行わなければならぬ事態に追い込まれることになるが、無碍に断ることも出来ないので、結果お願いし、想像通りに三倍速で動きまくり、異様なスピードで撤収作業を完了することになった…ただし、体力の超限界…ハァハァハァハァ……。
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懇親会に参加する方々とお別れし、蔦屋書店の皆様にも挨拶し、ズタボロの身体で帰路に着く。西荻窪で荷物を下ろし、レンタカーを返却すると午後七時半。いやぁ、おつかれさまでした。一旦お店に戻り、一日店番をしていたフミさんと合流し、焼肉で完全に失われた体力の回復&打ち上げを行う。肉が、肉が身体にダイレクトに染み渡って行く……。
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そしてこの日の嬉しい収穫は、社員割引で購入した二冊、フレーベル館 こどもSF文庫宇宙シリーズ4「ひっかかった春/半村良・文 安野光雅・絵」少年少女講談社文庫「どくろ城/カー作 氷川瓏訳」で、計4000円也!石原豪人のイラストが強烈な「どくろ城」は元々の値付が何と500円…あり得ないっすよ…。
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2023年04月22日

4/22去年とは異なり屋外である。

4/22・23と『代官山蔦屋書店』で行われる『SFカーニバル』に参加するため、午前七時から盛林堂・イレギュラーズ・エキストラとなり、すでに什器とSF古本を満載したハイエースを駆った「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と合流し、西荻窪のお店を経由した後、下道で一路代官山へと向かう。非常にスムーズに移動し、午前八時過ぎにはお店の駐車場に到着。まだ早朝なのに十数台も車が停まっており、アストン・マーチンやトヨタ2000GTの美しき獣的姿と桁外れな高級感に度肝を抜かれつつ、ここがどのような土地であるのか、改めて再認識する…。そんなことはさておき、去年の『SFカーニバル』ではSF書店は室内での販売であったが(2022/04/16参照)、今回は作家さんたちのサインブースと同様の、屋外のテント二つ分を使用しての販売となる。まずは什器や木箱を下ろして、駐車場から台車でガタガタテントに運び込む。すべての什器が揃ったところで、借りている長テーブル四つと合わせ、小野氏がブースプランを大まかに設計し、すぐさま設営に入る。
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右側に長テーブルを“コ”の字型に並べ、右側は面陳新刊ブースとし、左側に文庫が収まる大量の木箱を並べて設置し、文庫本やハヤカワSFシリーズを大量にこれでもかと放り込む。正面にはプレミアSF児童文学を集めつつ、左粟中央に四方に古本が睨みを効かす古本タワーを建立し、奥に大判ビジュアルムックコーナーを配置…いや、これだけでもう疲労困憊ですよ。気温は低いし、本は重いし、通りかかる犬はすべて可愛いし…。などとやっていると、いつの間にか時刻は午前十時半。イベント開始まで後三十分あるのだが、通りがかりのお客さんや狙いを定めて来たお客さんが、何気なくブース内に入って来てしまうので、主催者より時間厳守を言い渡されている側としては、これをどうにか防がなければならない。そこで黄色の『CAUTION』テープをテントに張り渡し、まるで事件現場のようにしてみたら、効果覿面で、時間まで無事にブースを守り果せることが出来た。
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やがて午前十一時になり、テープを取り除くと同時に、イベントがスタート。待ち受けていたお客さんがどっとテント下に流れ込み、古本を掴みまくり始めたのであった。そこから始まる暗算精算地獄…いや、これがものの見事に、イベント終了の午後五時まで、切れ目なくひっきりなしに続いたので、またもやさらに疲労困憊してしまったのであった。SF本が売れるのは当然のことだが(ハヤカワSFシリーズは大人気!)、大判のビジュアルムック(イラスト・特撮・アニメ系)がかなり人気なのは、意外であった。ブースには様々な方が現れ、明日がサイン会の日下三蔵氏は、盛林堂ブースを基地として、古本を買い新刊を買い、カバンに大量の本を詰めるのに苦心惨憺していた。今日がサイン会なのに、神保町と五反田を経由して古本を買ってから現れた北原尚彦氏は、故・津原泰水氏から預かっていた楽器(ミュージックソー)を、津原氏の遺族に返却すべく勇ましく背負っていた。北海道から駆け付けた立原透耶氏は、日下三蔵氏に古本購入を煽られ煽られ「なんで私が掴む銀背はみんな200円じゃないのっ!?」と叫びつつ、満足げに買った古本の入った袋の重さを噛み締めていた。光文社文庫『異形コレクション』シリーズのデッドストックを並べた関係から、監修の井上雅彦氏が伯爵然として挨拶に現れ、拝謁の光栄に浴してしまったりした。そしてボスの小野氏は、あちこち挨拶に会食にと飛び回り、ブースをなかなかの時間留守にすること何度か……。だがそんなこんなで、どうにか午後五時を迎える。そしてこのまま本をこの場に置いておくわけにはいかないので、非常に面倒であるが什器とともにハイエースに一旦撤収する(撤収作業を、SF大賞授賞式までの時間を持て余した、北原尚彦氏と日下三蔵氏に手伝っていただきました。多謝!)。
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なので明日の二日目も、今日と同じくブースセッティングからスタートします。みなさま、ぜひとも代官山でお会いいたしましょう。古本は新ネタありだそうです。そんなハードワークだった本日の戦利品は、保育社の探偵冒険全集10「奇怪な道しるべ/フランクリン・ディクスン」新潮社「グレェタ・ガルボ/楢崎勤」(裸本)で計5500円也。一生懸命働いた、己へのご褒美であります。さて、明日もどうせハードワークなので、どんな褒美を己に与えようか。
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2023年04月06日

4/6東京・湯島 TOHTO records & books

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随分前にタレコミをいただいていたのに、放置していたネタをようやく回収すべく、午後に家を出る。だがその前に荻窪に立ち寄り、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、創元推理文庫「髑髏城/ディクスン・カー」(白帯元パラ。第六版)「二人の妻を持つ男/パトリック・クエンティン」(白帯あり元パラなし。初版)を計440円で購入し、東に向かう…。千代田線湯島駅の地下ホームから『5番出入口』で地上に出ると、似たような高さと大きさのビルが櫛比する『昌平橋通り』。北に少し進み、『湯島中坂下交差点』から、『湯島天神』方面にぐいんと伸び上がる『中坂』を西に上がり始めると、すぐにビル一階のレコード&CD&古本店に出会うはずである。入口には百均のCD箱や文庫本箱が置かれている。チラとそこを眺めてから、音楽の流れる店内に進と、痩身白髪ソバージュの男性が、直ぐ右側のプラスチックパーテーションに守られたレジカウンターに入り、小さな声で「いらっしゃいませ」と囁いてくれた。レコードが飾られた壁ラック前を通り、足元の300均単行本箱を眺めてからさらに奥へ。そこは基本的にレコード&CDの整然とした海である。こちらの目当ての古本は、主に左壁棚に展開している。しかもかなりしっかりした量とセレクトなのである。雑誌「宝島」と川崎ゆきおといしかわじゅんが目立つカルトコミックコーナーを経て、「ミュージックマガジン」・「レコードコレクター」・古めのカルチャー雑誌・音楽・映画・笑い・スポーツ・街・食・日本文学・エッセイ・小林信彦(充実)・乱歩と横溝と続きが目立つミステリ(棚上部に何故か水木しげるのサイン色紙が飾られている)・海外ミステリ&文学と奥まで続いて行く。奥壁で展開されているムーンライダースの展示前を通過し、右壁奥にたどり着くと、そこでは『伯父さんの本棚』と名付けられた、歌舞伎・落語・演劇・東京などの古本を並べた棚が設置されていた。店主の伯父さんの蔵書を並べているそうで、古い演劇雑誌や「苦楽」なども置かれている。趣味性が高く、方向性がしっかりした棚造りが行われ、ただレコードショップに古本売場が付属しているというカタチではなく、レコード売場と対等の価値を持つ古本売場となっている。良い本にはプレミア値が付けられているが、普通値が中心。東京スポーツ新聞社「プロレス名勝負物語」(水濡れ跡アリ)双葉社「真昼に別れの接吻を/中田耕治」を購入する。その際スタンプカードを作っていただき、店主から説明を受けるが、店内に流れる音楽+マスク+パーテーション+囁き声という条件が重なり、ほとんど聴き取れなかったので、取りあえず明るく「ハイ!」「ハイ!」と答えて凌ぎ切る。
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2023年04月02日

4/2東京・西荻窪 文武堂

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結局大阪から戻って来た“復讐の古本”たちは、手っ取り早く「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に引き取ってもらうことに決める。と言うわけでお昼前に盛林堂・小野氏が家を訪ねて来たので、すでに玄関脇に積み上げておいたダンボールを、台車を使い盛林堂号までピストン輸送する。もうざっくりでいいんでと小野氏に伝えると、夕方には査定が終わるとのことであった。なので午後五時くらいにお店にうかがうことを約束して家に戻り、原稿を書いたりしていると、午後三時前には早くも査定終了との連絡があったので、補充用の古本を携えて西荻窪に駆け付ける。すると店頭ラックに七洋社「夜の桃/西東三鬼」があったので、ダメだこれを百円で売っちゃ!と思いながら引っ掴む。店内で「フォニャルフ」棚に補充した後、百円で購入する。そして買取は無事に成立。ありがとうございます。おかげで部屋が空きました。さらに次の盛林堂・イレギュラーズについて打ち合わせたり、最近仕入れた珍し過ぎる大正探偵小説群を見せてもらったりして、しばらく過ごす。お店を出て「古書音羽館」(2009/06/04参照)に向かうと店主・広瀬氏とバッタリ。「疾走! 日本尖端文學撰集」取扱のお礼を伝えたり、古本四方山話に花を咲かせていると、「そうだ、タレコミがあるんですよ」と一旦店の中に戻り、一枚のショップカードを持って来てくれた。「近くに出来たらしいんですけど、この間挨拶に来られたんですよ」。そのカードに目を落とすと、『英会話・太極拳・琉球古武道の教室と古本屋』とあり、『文武堂は、太極拳と琉球古武道、そして、英会話の長い経験を持つブライアンが始めた古本屋です』とあるではないか。店名の由来は当然『文武両道』であろう。良い店名である。「外国の方が店主なんですか」「そうなんですよ」…という成り行きで、早速見に行ってみることにした。駅からは、北口から『女子大通り』をひたすら北西にたどり、北に曲がってからは『骨董通り』を北進。『地蔵坂交差点』をも通過し、お店の数が激減した道を、さらに北に300m弱進めば、右手に白いお店が見えて来る。本当だ、古本屋さんがある。店頭にはカラーボックスや椅子が置かれ、ビジュアル本や洋書ペーパーバックが置かれている。わりと広い店内に入ると、小さなおば様が「いらっしゃいませ〜」と軽やかに出迎えてくれ、その背後には長身でジャージ姿の白人男性が、独特のイントネーションで「イラッシャイマセ〜」と続く。その後の二人の会話から察するに、店主はもちろん白人男性で、おば様はご近所の方でお店をサポートしに訪れているようだ(実際彼女は「また夕方に来ますね〜」と姿を消してしまった)。元美容院を居抜きで使っている空間には、壁面に飾り棚が取り付けられ、足元から腰高辺りまでの棚が隙間無く並べられている。フロア中央にはおススメ本を並べた平台テーブルが置かれている。左側には、大江健三郎・安部公房・遠藤周作・村上春樹らを中心に日本文学が集まり、さらに古典文学・ビジネス・自己啓発・思想・食・デザイン・自然・旅・世界などが続き、折り返した壁部分には武道・ヨガ・お茶・陶器などが集められている。右側は洋書のペーパーバックやビジュル本がメインだが、奥にコミックと美術図録がまとまっている。なんだかちょっと、不思議な掴みどころのない古本屋さんである。各ジャンルが、決して滲まずに並んでいる雰囲気が、そう思わせるのか。ただし武道に関しては熱い熱がチリチリ伝わって来る。値段は安め。先ほどの店主とおば様の会話の中で「棚ヲモット増ヤシテ、本ヲコノ倍ニシタイ」と言っていたので、未だこの状態は完全ではないのだろう。ちょっと駅から遠いが、また見に来ることにしよう。そしてこのお店がここに出来たことにより、「古書音羽館」→「文武堂」→「benchtime books」(2019/03/09参照)→「古書西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)という、大回り西荻北口古本屋ルートが誕生したことになる。体力のある時に実行してみることにしよう。朝日新聞社「岡本太郎の眼/岡本太郎」を購入する。
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2023年02月19日

2/19東京・国立 トルコ・シリア地震救援古本市

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午前のうちから動き出し、総武線と中央線を乗り継ぎ国立へ。今日だけ「三日月書店」で『トルコ・シリア地震』の被災者たちを救援する古本市が開かれるのである(売り上げは全額寄付される)。イスラム圏に強い古本屋さんならではの、嬉しい心意気の行動である。古本修羅としても、古本を買って少しでも支援出来るなら、喜ばしい限りである。ちなみに情報源は北原尚彦氏。駅に午前十一時に降り立ち、久々の『旭通』を南東に向かう。相変わらず狭い歩道を伝い駅から三百メートル弱、お店の前の広いスペースと、脇にあるピロティ通路部分に、シートの上に並べ重ねられた古本や古本を詰めた木箱が散らばり(市は店頭だけで開かれており、お店自体はお休みである)、すでに何人かのお客さんを集めていた。また通りかかった人が次々と引っ掛かって行くので、こちらも慌ててその中に混ざり込む。絵本・児童文学・ビジュアルムック・図録類・古い外国絵葉書・洋書・人文系単行本・文庫本…単行本は一冊200円で三冊の場合は500円に。文庫本は100円である。ぐるぐると位置を譲り合いながら巡り、講談社文庫「お噺の卵 武井武雄童話集」吉川弘文館「モダン都市の誕生 大阪の街・東京の街/橋爪紳也」青土社「ユリイカ 特集*はっぴいえんど 35年目の夏なんです」評論社「クリスマスレター サンタ・クロースからの手紙/J・R・R・トールキン」みずのわ出版「佐野繁次郎装幀集成」を計800円で購入する。ありがとうございます。
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この二冊が手に入るとは、頑張って午前中に来た甲斐がありまくりである。
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2023年02月08日

2/8東京・西武柳沢 ブックスみたか

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西東京の『北原交差点』に午後一時過ぎに流れ着いたので、西武柳沢駅から帰ることにして、駅へトボトボ向かっていると、おぅっ!駅前の鄙びた商店街に古本屋さんがあるじゃないか!…そうか、これが三鷹から移転して来た「BOOKS三鷹」(2010/01/17参照)か。店名が改めて片仮名と平仮名になったのは、ここが三鷹ではなく西武柳沢だからであろうか…。駅北口に出ると、お店に囲まれた小さな駅前広場。そこからするっと『柳盛会柳沢北口商店街』に抜けて、西に足を向ける。百メートル弱も進めば、目指すお店はもうそこである。店頭に出ているテーブルや椅子の上には百均本がディスプレイ。右のガラスサッシには、子供が丁寧に描いた手描きポスターが貼られ、「ブックスみたか」をアピールし、古本屋のお仕事も丁寧に紹介している。自由研究の発表のようで、見ていて微笑ましい気分が、ぐんと胸にせり上がって来る。中に入ると、短い通路が縦に三本並び、左端には絵本・児童文学・実用・自己啓発・新書・ちくま文庫・コミック・百均ワゴン、中央にはエンタメ・科学・社会・政治・カルチャー・作家五十音順文庫、右端は歴史時代劇文庫・CD・百均文庫単行本が並んでいる。左端通路だけはさらに奥に延びており、岩波文庫・海外文学文庫・ビジュアル本・コミックセットを集めつつ、レシカウンターも据えられている。以前と変わらぬ新古書店の趣きである。それにしても駅前に古本屋さんがあるのは、やはり良いものである。昔は当たり前の光景であったのが、今や逆にそれが珍しくなるとは…。学陽書房「今村昌平の世界/佐藤忠男」を300円で購入する。そして駅南口に出て吉祥寺行きのバスに乗り込み、『武蔵野営業所』で下車して「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。新潮文庫「狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選/H・P・ラヴクラフト 南條竹則編訳」を495円で購入して帰路に着く。家に帰ると、project“S”のカバーと帯の色校が届いていた。いよいよここまで来たかと、大いに感激する。

※そろそろ書店に並ぶ「本の雑誌 麦こがし遠足号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、西荻窪の名店「古書音羽館」を秘密裏に取材。講談社カラー版まんが傑作選「墓場の鬼太郎1/水木しげる」なんてのが買えて、嬉しかったです。
posted by tokusan at 16:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする