2017年09月12日

9/12東京・国立 丸信リサイクルショップ国立西店

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今日も国立に流れ着くが、だいぶ西寄りのほぼ立川との中間地点である。すでに空は夕暮れになるべくその色を、刻一刻と変えつつある。そして目の前には、三階建てのビルをお店とした、大きなリサイクルショップがあった…古本がありそうな予感…。駅からは南口に出て、中央線高架沿いを西にテクテクテクテク歩き詰め、『国立八小』の交差点を南へ。そして三本目の『国立音大附小』手前を再び西へ。500m弱進めば、スーパーに向かい合った左手に『激安販売』と看板に大きく書かれたお店を発見出来るだろう。洗濯機や冷蔵庫が並ぶ店頭から店内に進むと、家具や日用道具系が集まっている。たくさんいる定員さんの「いらっしゃいませ」を浴びるようにして、レジのさらに奥へ。すると右手に三段ボックスラックに、見事古本が入れられているのを発見!興奮しながら手を伸ばすと、和本・学術古書・美術図録・アメコミ・軍事系雑誌などである。むぅ〜、めぼしい本は見当たらないなぁ…唯一、安野光雅の1950〜1970年代の画集に食指が動くが、値段はしっかりめの千円が付けられていた。あきらめて棚に戻し、一旦店頭に出て右端の階段から、アンティーク&玩具&古道具が集まるらしい三階フロアを目指す。静かにゆっくり長い階段を上がると、そこには一階の半分ほどの店舗空間が広がっている。アンティーク・古雑貨・DVD・レコード・ゲーム・コミック・軍物関連…むっ、古本も少しだけあるじゃないか。写真家ユージン・スミスの図録もあるが、これも千円か…と色々諦めかけていると、軍物棚の下段に、四角い缶に詰められた500均の折り畳まれた地図を発見する。『明治時代から昭和の地図がたくさん!』と書かれているが、多くは国土地理院の地形図っぽい。だが、確かに古い戦前のものが多いな…と丁寧に探って行くと、おぉ!日本統治下の京城府の地図を発見!これが500円なら、大しためっけものだ!と己を褒めそやし、中央のレジでそそくさと精算する。十字屋(京城の地図屋である)「京城府管内圖」(昭和十三年五月五日発行、五萬分ノ一。裏は「仁川畧圖」一萬分ノ一)を購入する。

中央線沿いの屋根波を飲み込み、ビルの上だけに黄金の光が当たる、都会特有のマジックアワーに見蕩れながら帰宅する。そして買って来た地図を早速取り出し広げ、それに加えて韓国で出版された「京城の日本語探偵作品集」を古本タワーの中から探し出す。この本は、統治下当時に京城で出版されていた、日本語の雑誌に掲載されていた探偵小説を、複写復刻した探偵小説集なのである。もちろん中には東京や外国が舞台のものもあるのだが、これで京城を舞台とする小説は臨場感たっぷりに楽しめるはず!と期待に胸を膨らませ、地図と本に笑みを浮かべながら目を落とす。
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2017年09月01日

9/1東京・東京 TRAVELLER'S FACTORY

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今朝届いた、書皮狂の帰山健一氏が発信するメルマガ『本棚の溜息』で、東京駅のお店で古本が売られているのを知る。なので中野で所用を済ませた後、中央線で一直線に東京駅へ向かう。三階のホームから長いエスカレーターを下り、さらに地下一階へと向かい、『丸の内地下北口改札』を抜ける。すると直ぐ右手に、落ち着いた色合いの木材とガラスと花崗岩パネルで形作られた、シックでお洒落なミニ地下商店街が現れる。フラフラと近づいて行くと、手前右手が件の目指すお店であった。主に“旅”をイメージした統一感のある文房具類や雑貨を扱っているようだ。古本はレジ横の右壁奥隅に固まっているのだが、その棚が余りにも独特なので、つい笑顔が綻んでしまった。壁に錆びたレール二本と枕木が打ち付けられ、その上に本を並べた棚が貨車のように連なっているのだ。線路の幅は五十センチもないので、かなりの狭軌と言えよう。こんな素敵にやり過ぎたディスプレイは、「古書 赤いドリル」(2010/06/23参照)の旧店舗内にあった、侘しい昭和の街路を再現するための黒電柱と笠外灯以来ではないだろうか…。九台の貨車には、単行本と文庫本がほぼ交互に並んでおり、ヴォネガット・ブコウスキー・ブローディガン・シェパード・植草甚一・片岡義男・旅・紀行・旅情・自然・東京などが並び、透明感のある選書が為されている。文庫は300円〜600円くらいで、単行本も手頃な価格設定である(中にはプレミア値あり)。店内には若いお客が次々と吸い込まれ、それを若くお洒落な男女店員が接客して行く…なかなか人気のお店なのだな。岩波文庫「東京日記 他六編/内田百閨vを購入する。「八重洲古書館」(2008/07/03&2012/07/27参照)と「R.S.BOOKS」(2012/11/19参照)が閉店して以来、潰えていた東京駅の古本の灯りが、また復活する日が来るとは!小さいながらも、ここで古本を買って旅立てば、その旅は一層滋味深くなり、また有意義に暇も潰せることになるであろう!

帰りに高円寺で途中下車し「藍書店」(2014/01/14参照)の外壁大棚にへばりつくと、最下段に背のない大量の映画パンフが詰め込まれているのに気付く。その背群の所々に、明らかに紙質の違う古めのパンフが混ざり込んでいるので(とは言っても七十年代)、しゃがみ込んで一冊一冊夢中になって確認する。気になるものは取り出して地面に積上げて行くと、たちまち十冊以上になってしまったので、そこからさらに厳選。「アメリカングラフィティ」「デルス・ウザーラ」「フレンチ・コネクション」(これが一番嬉しい!)「オリエント急行殺人事件」「地球最後の男オメガマン」を計500円で購入する。

そして大阪「梅田蔦屋書店」での「夏の古書市2017」も、早いもので残すところ今日も含めて後三日!未見の方は、どうかカフェの壁面に並ぶ奇妙なセレクトの古本群を眺めに、ご足労ですが九階まで足を運んで下さいませ!

そしてさらに九月の「みちくさ市」にも大はしゃぎで出店いたしますので、9/17のもはや秋となる日曜日に、古本を介してお会いいたしましょう!
『鬼子母神通り みちくさ市』
■2017年9月17日(日)11:00〜16:00(雨天中止)
※当日8:00に天候による開催の有無を決定します
※みちくさ市本部 携帯電話:090-8720-4241
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ
michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
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2017年08月27日

8/27東京・吉祥寺 善行堂in夏葉社

京都・吉田山の麓の古本屋さん「古書 善行堂」(2012/01/16参照)が、様々なイベントや上梓した「埴原一亟 古本小説集」出版に合わせて上京。さらにそれに合わせて本日限りの限定店舗が、吉祥寺の『夏葉社』にオープンするので、開店時間の正午前に会社前に駆け付ける。するとすでにそこには、古本修羅&古本神の十人ほどの列が出来上がっていた。皆買う気満々である。ガラスウィンドウの向こうには、帳場にスタンバイする洒落た派手なシャツを纏った山本善行氏と、忙しく開店準備に勤しむ夏葉社・島田潤一郎氏の影がひらめいている。ほどなくして開店時間を迎え、善行氏自らがドアを開き、待ちかねた皆を店内に招き入れてくれる。たちまち右壁棚四本に収まったダンボール十二箱分の厳選古本が、櫛の歯が欠けるように抜かれまくって行く…。それを目の当たりにして、遅れをとってなるものかと、懸命に皆の背後から棚に熱い視線を注ぐ。そんな必死過ぎる姿勢が功を奏したのか、まず憧れの本を一冊掴むのに成功し、感激するとともにホッと一息。するとその後も、思わぬ本を手に出来て、まさに京都の「善行堂」にいる思いを、この胸に掻き抱く。棚を懸命に二度チェックした後、新刊の「埴原一亟 古本小説集」も手にして精算してもらうべく善行氏の前に立つ。黒白書房「黄色い犬/ジョルジュ・シムノン」(いつでも憧れの黒白書房の世界探偵傑作叢書の一冊。この山下謙一装幀の、控え目な表紙の黄色い犬がとにかく可愛過ぎる!)柳香書院「矢の家/A・E・メースン」(再版だが函付きで500円!)三一書房「恐怖幻想映画論 映像の魔術師たち/石崎浩一郎」を計3000円で購入する。いや、ちゃんと時間通りに来た甲斐がありました。もうこれから、月に一度開いてもらえれば言うことありませんな。
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その後は都内某所に移動して、岡崎武志氏主催の、美味しい料理とお酒とともにお宝映像を鑑賞する『ネギシアター』に参加。『本の家』(吹き抜けの居間も台所も廊下も本棚でぐるり埋め尽くされている)として知られるNEGI氏邸がその舞台。本に関わる様々な人が集う中、手料理を振る舞われながら荒井由美がホストを務めた幻とも言えるテレビ番組『遠くへ行きたい』・東映アニメ映画『わんわん忠臣蔵』・五七五の文字に青春を賭ける『俳句甲子園』を鑑賞する。そんな風にお酒を飲み続けて五時間…案の定すっかり酔っ払ってしまう。あ!そういえばNEGIさんから、家の中から発掘された「天牛書店」のダンボール箱を貰うのをすっかり忘れていた。仕方ない、次回『ネギシアター』まで保管しといてもらうとしよう。
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写真は『わんわん忠臣蔵』を食い入るように鑑賞中の荻原魚雷氏の後姿である。
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2017年08月13日

8/13東京・新宿 花園神社骨董市

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午前七時前の新宿駅東口駅頭は、爽やかな朝の光に包まれながらも、どこか饐えた匂いを漂わせ、夜を街で明かした疲れた顔の人たちが、数少なく帰路に着いている。鳩が路上にゴミを漁り、『靖国通り』にはタクシーを捕まえるために、間隔を置いて手を挙げる人々が目に留まる。ようやく長い夜が終りを告げ、朝に入れ替わり、新たな一日が始まろうとしているのだ。そんな街中をヒタヒタと影のように歩き、『靖国通り』沿いの『新宿五丁目交差点』が目前に近づいた、ビルの谷間の『花園神社』参道前に立つ。その狭い入口両脇には『骨董市』の幟が、頼もしくはためいている。薄暗い参道に踏み込むと、すぐに両側に骨董露店が並び始める。だが、午前六時からのスタートなのに、まだ準備中のお店が四分の一ほど見受けられる。骨董市には、なるべく開始時間に駆け付けるのが良いそうである(もしくはお店の常連で可能なら、もっと早く準備時間中から顔を出し、品定めが行えることも…)。だが余りに早過ぎるとお店が始まっていないことも多いので、早く来て、なるべく長く市に腰を据えて、次第に開店して行くお店も徹底的にチェックするのが、効率の良いパトロール方法かもしれない…(もちろん達人や常連さんは、お店の市での大体の開店時間を熟知しているのだろう)。おっ!早速入って数歩の右手に、紙物&古本を二十ほどのダンボール箱に収めたお店があるではないか!箱横のテントの下では、常連さんたちが車座になり、絵葉書や手紙の念入りな品定めを進行させている。シートの上に上がり込んで、色紙・和本・漫画雑誌・手紙・教科書・古写真・地図・雑誌・古本などなどの箱を、すぐに群れよる蚊を警戒しながら、丁寧に漁って行く。むぅ、本当だ。早いと結構良いものが出て来るものだ。そんな風に胸をトキめかせながら、映画ポスターが重なり寝そべる長テーブルを回り込み、端に置かれたダンボールも覗き込んで行くと、常連さんのひとりが近寄り「その辺のは、もう箱ごと買い手がついてるものですよ」と優しく諭してくれた…すげぇ、箱買いか…。結局三冊を手にして、誰が店主か分からぬのだが、「これ、お幾らでしょうか?」と車座に声をかけ、奥の人に手渡す。するとみんなで相談しながら「千円くらいか?」と値付。と言うわけで、誠文堂「子供の科學 昭和六年五月号」龍河洞保存會「天の降り石」(昭和二十二年発行の高知県の鍾乳洞『龍河洞』を紹介する小冊子。平面図・洞内写真・探勝案内・洞内の生物&水質研究など、洞窟大好き人にはたまらない一冊!)日本週報社 週報文庫「ヂーキル博士とハイド氏/ステイブンソン著 田中宏明譯」(今日一番の収穫。昭和二十三年刊の、文庫サイズ横開き本。表紙には週報社社長からの贈呈印あり。口絵グラビアは野口久光画!この文庫は巻末広告を見ると、他に七冊が確認出来る)を購入する。すでに役目を果たした開放的な気分になり、石畳の脇参道を抜け出し、本社前のメインの明るい参道に抜け出る。露店は全部で三十ほどであろうか。その中のご婦人の出されている平台に、古い大正時代の医学雑誌が一冊500円で売られているのを発見する。パラパラ捲ると、田中香涯がどの号にも激しく寄稿している。何か他に面白い人は書いていないかと、目次をひたすら確認して行くと、何冊目かで小酒井不木の『醫学に関する初版本』という記事にたどり着いたので、喜んで購入することに決める。醫文藝社「醫文學 第十一號」を購入。満足して参道を抜け出すと、午前八時の新宿は、先ほどまでの疲弊した物憂げな感じは何処へやら、いつの間にか激しく運動を開始していた。ビルに運び込まれる物流、町に流れ込む働きに出て来た人々、ビル下にとぐろを巻く謎の行列。動き始めた街路を後にして、驚くほど空いた電車で家へと戻る。
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2017年08月11日

8/11東京・吉祥寺 一日

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駅から、北口でも南口でもどちらかから出たら、線路沿いを心がけて西へ進む。北口からなら、やがて『PARCO』前の『中道通り交差点』に行き着き、南口からならバス通りの飲屋街を通った挙げ句『吉祥寺駅前交差点』に行き着くだろう。ここから取る行動はひとつで、信号を渡り、高架北側の脇道にスルリと入るのだ。行く手の高架の向かいには酒屋があるのだが、ここには街頭灰皿が置かれており、いつでも喫煙者が道端に集う光景を作り出している。そこを通り過ぎると、アコーディオンフェンスが現れ、鋭角な角地のビル一階で、「百年」(2008/09/25参照)の支店がオープン三日目を無事に迎えていた。窓際に架かる黄色い飾り鉄格子と、何だか正体の分からぬ緑の蔓草が、外観の特徴である。思い鉄扉を開けて中に入ると、一段上がる木材で内装された、ちょっと複雑な空間となっている。入口左側窓際にギャラリー室があり、その奥が幻想文学・オカルト・海外文学・現代文学・映画・ミステリー・建築・アート・「洋酒天国」・「銀座百点」・串田孫一(超充実)・荒木経惟・図録類などの本棚に挟まれたような古本ゾーン。右側にはまずは洋書絵本が集まり、奥にシンプルで美しい帳場が据えられている。表から見ていただけでは、これで終りかと思っていたのだが、気付けば右にさらなる出入口があり、その奥に薄暗い空間が広がっているではないか。当然の如く惹き付けられて入ってみると、そこはあのアコーディオンフェンスの内側であった。ここもお店だったのか!ここにはテーブルとソファが設置され、とても薄暗いが落ち着いて古本を楽しめるようになっている。壁際には、324or108円単行本棚&平台、それに大体324円中心の文庫台が置かれ、「百年」が催事に参加するときのような、良書安売ゾーンとなっているようだ。ミニコミやリトルプレスも多く紛れ込んでいる模様である。左側ゾーンの古本は良い本がたくさん並んでいるが、値段はきっちりぴったり。左側ゾーンの古本には、大いに探す楽しみに溢れている(「百年」の入口右横の小さな安売棚が拡大した感じ)。桃源社「西洋 暗黒史外伝/吉田八岑」を購入する。同じ吉祥寺に新たなお店を出した「百年」。その狙いはいったいなんなのか?そして次に出すお店は「一秒」か「一時間」か「千年」なのか?とても気になるので、今度店主にさり気なく探りを入れてみることを心に決める。

※お知らせです。去年同様、またまた大阪「梅田䔍屋書店」の「夏の古書市」に参加させていただきます!いや、もう去年出させてもらって以来、棚が常設となってしまっているのですが、そこは新たに力の限り、部屋中から集めまくった二百冊ほどのおかしなおかしな古本をドバババと送り込んだので、大いに私の趣味が炸裂する異様な本棚が、あの洒脱な店舗内に展開せざるをえない楽しい状況と化していること請け合いなのです!早い者勝ちのレア本も紛れ込ませていますので、どうか西のみなさま西に足を延ばすみなさま、何とぞよろしくお願いいたします。
■夏の古書市2017(こだわりの絶版ミステリ・SFから絵本やサブカルチャーまで)
■2017年08月16日(水) 〜 2017年09月03日(日)
■7:00〜23:00
■梅田 蔦屋書店 4thラウンジ
■共催・協力 小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン) /古書 鎌田 /ジグソーハウス/ひなたブック
http://real.tsite.jp/umeda/event/2017/08/2017sf.html
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2017年08月08日

8/8東京・西太子堂 Cat's Meow Books

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路面電車の面影を残す世田谷線のホームから出て、踏切の南に立つ。そこからすぐに西に真っ直ぐ延びて行く、住宅街の細道に入り込む。ツツツツと百メートルも進めば、本日オープンしたばかりの、猫のいる新刊屋+古本屋+カフェな新店が左に輝き現れる。すでに店内は激しく賑わっており、何やら取材も入っているらしい。その小空間の喧噪にユラッと飛び込むと、左奥の帳場に立つ男女二人が「いらっしゃいませ」と迎えてくれて、女性の方が「こちらは新刊コーナーになってまして、奥は古本を販売しています。奥は靴を脱いで入っていただくんですが、猫がおりますので逃げ出さないよう素早い開け閉めをお願いします」とレクチャーされる。ちなみにこのお店の猫は、全員元保護猫の店員さん(店長さんもいるのだが、この時は二階に籠っているらしく姿を見せず…)という位置づけである。新刊コーナーにはテーブルを真ん中にして猫本が多く並び(犬本もあり)、帳場前には洋書の猫写真集や絵本が飾られている。また帳場背後頭上には、グロテスクなほど巨大な猫の顔面ぬいぐるみアリ。狭いカウンター前を通過して、奥の木の格子戸をスラリと開けて、素早く身を入れて閉めて、靴を脱ぐ。左右が猫も遊べる壁棚(棚の棚板や側板には、猫が通れるほどの大きな穴が空いているのだ。もちろんそこに本は置かれていない)となっており、中央には大きなテーブルが置かれている。おぉ!窓際に鯵虎猫が寝ている!そしてその姿をお客さんがかわりばんこに激写している!他にも黒猫がチラチラ姿を見せ、鯵虎猫の横に身を横たえると、控え目な歓声とともに激しいシャッター音が連続して鳴り響く。完全に猫カフェ的一幕が展開され続けている。本当は私も撫でたり話しかけたりしたいのだが、この大いなる猫人気者状況ではそれも叶わぬので、一心不乱に古本を眺めることにする。並んでいるのはすべてが猫に関する本なのだが、ボックスごとにテーマが何となく設定されているのが楽しい。『猫と文学』『猫とミステリー』『「我が輩は猫である」と猫』『猫と美術』『猫と科学』『猫と民俗学』『猫と歴史』『猫と怪談』『猫とパリ』『猫と海』『猫と島』『猫と町』『猫と犬』『空飛ぶ猫』etc.etc.etc.…と、かなりバラエティ豊かに展開して行くのである。私的には『猫と怪談』ブロックに注目し、もしや橘外男の怪猫物がしれッと紛れ込んでいるのではと、視線を何度も往復させるが、残念ながら最初から一ミリたりとも存在していなかった…。中には値段の付いていない本があるので、棚の整理をしているお姉さんに聞いてみると「今値付けしているところなんです。気になったのがあったらお調べしますよ」と言われたので、さっき目ざとく見つけておいた、サンリオSF文庫「猫城記」を差し出してみると、ネットでしっかりと調べられてしまい、4500円の値付が為されてしまった…大体ネット値付の中位を参考にしているらしい。と言うわけで、値付はわりとしっかりしております。裏表紙に値札の貼られた「猫城記」をそっと棚に戻し、別な本を取り出して、早々にスヤスヤ眠る猫店員さんたちに別れを告げて、格子戸の向こう側へ。人文書院「のら猫トラトラ/鴨居羊子」を購入する。まるで星新一の短編小説のように、猫にすべてが支配されているお店である。可愛い猫たちに振り回されたければ、この西太子堂の新店へどうぞ!

帰りに寄り道して、渋谷で『宮益坂』を上がり、「巽堂書店」(2008/07/04参照)で広済堂ブルーブックス「不連続殺人事件/坂口安吾」を100円で購入する。
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2017年08月05日

8/5東京・とうきょうスカイツリー駅 書肆スーベニア

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昨日向島方面に古本も扱う書店が出来たことを察知し、地下鉄を乗り継いで、スカイツリーの足元にひょっこり顔を出す。ここまで来たならまずは「イセ屋」(2014/07/13参照)に向かわねばと、押上駅から人気の少ない東北方向に足を向けるが、残念ながらお店はお休みであった…ちぃっ。慌てて北西に足を向け、「甘夏書店」(2014/10/22参照)の入るカフェ前から『水戸街道』に入る。駅からは『言問通り』を経由して『水戸街道』に入り、北側の歩道を北東に進んで行けば、歩道橋を過ぎたところ右手のマンション一階に、小さなお店が姿を現すだろう。その前に差し掛かると、ちょうど若くさっぱりした髪の毛の強いうじきつよし風青年が店頭の小さな100均棚に補充をしているところ。バチッと目が合ってしまったので、覚悟を決めてお辞儀しながらお店へと近づく。その100均棚から二冊を抜き取り、ビニールカーテンの掛かった入口から小さな店内に入り込む。ほぼ正方形の空間の壁際には木製の壁棚が巡らされ、入口左横から、世界文学全集・「現代思想」・「彷書月刊」・A5サイズ雑誌・面陳新刊絵本・絵本・「美術手帖」・昆虫・動植物・自然・食&料理・都市&場所&土地・言葉・出版&本・散歩・写真集などが左壁を経由して奥壁まで続く。右壁には「暮しの手帖」関連・セレクトコミックと新刊が並び、わりと大きく採られたコミックゾーンは、そのジャンルに寄せた文学本が唐突に混ざり込む個性的な並びを見せている。未だこれが完成形ではないだろうが、複雑多様化した世界に様々な方法で向き合うための健全な並びが、古本にも新刊にも展開するお店である。冊数は多いとは言えないが(今のところは意外に古本多め)、その目指すべき個性はすでにじわりとにじみ始めている模様。値段は安め。右奥の小さな帳場に向かい、国際空港ニュース社「空の旅一万時間/青木正雄」(何故か奥付が天地逆に印刷されている…)暮しの手帖社「暮しのなかで考える/浦松佐美太郎」(これはなかなか見かけない良書!嬉しい!)愛宕書房「日本の面影/小泉八雲作」(カバーナシ)を計500円で購入する。開店おめでとうございます!どうか末永く、こちらの本&古本文化を支える一端になっていただければ、とても幸いです!

そのまま『とうきょうスカイツリー駅』方面に歩き続け、駅前で「業平駅前書店」(2009/04/20参照)に差し掛かると、そのドアには『あと数年でなくなるお店』の寂し過ぎる貼紙が!
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慌てて店内に飛び込み、ロマン・ブックス「黒いトランク/鮎川哲也」安田書店「福井名探偵実話集 第一集/安田輝雄編」を計800円で購入しつつ、しばし店主さんと話し込む。聞けば今年の一月に、一帯の再開発が本格始動する話が役所から持ち込まれたのを機に覚悟を決めて、貼紙を出したそうである。だがそれ以来役所からは何の音沙汰なく、何となく中途半端な宙ぶらりん状態に陥っているそう。しかし再開発はいずれ確実に行われるので、そろそろ色々考え行動を起こさなければいけないとのことであった。何とも差し迫った話であるが、だがここで頼もしい言葉が店主の口から飛び出した。何処に移ろうが店舗はしっかり継続したいそうである。営業形態はネットに比重が傾いているが、それでもお客さんと話し対面で古本を売ることは、とても手放せぬ楽しさに満ちているとのこと。それを聞いて一安心し、また近々去就を確かめに来店することを約束する。

そこからまたまた地下鉄を乗り継ぎ池袋に出て、二代目「ますく堂」(2014/07/20参照)最後の「スナックますく堂」(2012/09/14参照)に参戦する。持参した差し入れ缶ビールを飲みながら、結局いつも通りの「ますく堂」で、居合わせたお客さんたちと楽しくワイワイと過ごす。講談社「君は花の如く/藤澤桓夫」青林堂「沈黙の弾機 上野昂志評論集」(「暮しのなかで考える」に続く本日二番目の収穫!ますくさんありがとう!)を計600円で購入。缶ビール二本を空けて、お店に居合わせた『ポエカフェ』終りの近代詩伝道師・ぴっぽさんと小説家志望の山梨青年とともに帰路に着く。「ますく堂」の引越しはどうやら八月中旬に行われそうだが、引越し後の新店舗では8/31(木)にそれを祝し、岡崎武志氏×世田谷ピンポンズさんトークと、ピンポンズさんのミニライブが開かれるとのこと。この池袋にへばりつく守り神的魔窟を応援するために、みなさまどうか奮ってご参加ください。予約&問い合わせは「ますく堂」まで。
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2017年07月24日

7/24団地に対する妄想を祓いに行く。

朝から大量の古本を箱詰めして、無事に大阪に送り出す。ひとまず役目を果たして、ホッと一息。仕事も緊急の案件に素早く対処し、ホッと二息目。落ち着いたところで、ここ最近頭の中に渦巻いてしまっている妄想を、軽く検証して実地調査に当たることに決める。その妄想とは、練馬『光が丘』の古本屋事情である。超巨大団地地帯である光が丘には、今やリサイクル系の古本屋さんが二軒あるだけである。ならば、あの超立体的集合密集住宅内にある古本は、主に二店にドバドバと集まっているのではないだろうか。その中には当然古書も含まれているはずで、そうなるとお店では恐らく持て余し、廃棄か安値で販売している可能性があるではないか。もしかしたら通路の片隅に、安値の古書コーナーが設けられているかもしれない…。こんな馬鹿なことを考え始めたら、どうにも止まらなくなってしまい、もはやこの目で確かめるしか、妄想を止める手だてはなくなってしまったのである。と言うわけで鷺ノ宮駅から西武新宿線に乗り込み中井駅で下車。一旦地上に出て商店街を伝った後、名物書店「伊野尾書店」横の大江戸線への地下階段を深く下る。そこからおよそ十六分で、終点の光が丘へ。『A1』出口から蒸し暑い地上に出ると、街に張り巡らされた道路にはすべて街路樹が生い茂り、その緑越しに巨大で横にも長い団地群が胸から上を覗かせている。まるで大友克洋の超能力漫画「童夢」のような光景であるが、ブロックごとに団地のフォルムが異なるのは、統一感のない奇妙な印象を与える。東に向かい『東大通り』を北に進んで行くと、巨大な街の外周をなぞる形になる。道なりにグインと東に曲がり込み、交差点に到達すれば、対岸にもう第一のお店の姿が見えていた。

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●「古本市場 光が丘店」
マンション一階のワンフロアを占める店舗前には、物凄い数の自転車が停まっている。楽しい嬉しい夏休み中の子供たちだな…。中に入ると、倉庫のように広く明るい空間が広がり、華やかなゲームソフトコーナーや、左手前側奥にあるカードデュエルコーナーに、自転車の持ち主である子供たちのほとんどが群がっている。古本を目指し、人気のない左奥にズンズン入り込んで行く。背の高い棚で作られた五本の通路に古本は集められている。新刊のミステリ&エンタメと文庫を中心に、模範的なリサイクル店的並びを見せているが、量がとにかく多い。ちょっと「ブックセンターいとう」っぽい雰囲気である。最新入荷本がプラスチックカゴに詰め込まれて、棚に大量に並んでいるが、これを掘って見ろと言うのか…。そして驚いたのは、驚異の80円コーナーが存在すること。80均の単行本と文庫で、通路が一本成立してしまっているのだ。すでに妄想していた古書がないことは確認済みだが、この80均通路がこのお店の目玉だな、と勝手に決定し、目が痛くなるほど隅から隅まで眺めてしまう。ちくま文庫「七時間半/獅子文六」原書房「カニバルキラーズ/モイラ・マーティンゲイル」を計172円で購入する。

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●「BOOKOFF 練馬光が丘店」
まるで城のない城下町のような団地の外周を伝い、『東大通り』をそのまま下って、歩いて歩いて南端に出る。さらに団地沿いに西に向かい、『公園通り』を越えてからの信号で南の住宅街に入って行くと、なんだかゴルフ用品店のようなブックオフがこつ然と現れた。結果から言うと古書は皆無で、ちょっと大きめワンフロアのスタンダードなブックオフである。なのでじっくり棚を見た割には食指動かずに、何も買えずにお店を後にする。唯一琴線に引っ掛かったのは、通路の奥にあった古いスーファミソフトワゴンであった…。

とこのように現場に当たり、己の目で現状を把握すれば、酷く甘い妄想もあっけなく祓えるものなのである。ふぅ、スッキリした!
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2017年07月23日

7/23東京・吉祥寺 ホホホ座吉祥寺店 1日限定の本屋さん

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京都「ホホホ座」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P45参照)の山下賢二氏が上京し、本日だけの「ホホホ座吉祥寺店」を、ひとり出版社の『夏葉社』で開店するとのこと。古本も売られるらしいので、午後に様子を見に行くことにする。「ホホホ座」は緩くて奇妙なフランチャイズ展開を続け、現在西日本を中心に七店を数えているが、これがもしや東京進出の布石となるのだろうか…(ちなみに今年の二月には、新宿の『BEAMS JAPAN』で限定ショップを開いたことも(2017/02/05参照))。北口の雑踏を擦り抜け、『PARCO』前から『吉祥寺通り』をグングン北北東に進んで行く。雨がポツポツ落ち始めて来たが、本降りになりそうな気配はないので、構わず歩みを進める。『八幡宮』の白壁前に、スマホを操作しながら集まるたくさんの人を目撃し、「昆虫屋台やってま〜す」と呼び掛ける『昆虫食』イベントを開くギャラリー前を通過して、やがて『武蔵野第四小学校バス停』を過ぎると、マンション半地下の店舗ウィンドウに「ホホホ座吉祥寺店」と白い紙が貼り出されているのが目に飛び込んで来た。おぉ!駅前のワンルームマンション(以前の社の様子の一部は2013/08/29参照)から引っ越した夏葉社は路面店…いや、路面社になったのか!とその出世ぶりに感心し、しばし何処から入ったらいいのか逡巡した後、素直に左端の磨りガラス扉を恐る恐る開けてみる。するとそこに立っていたのは笑顔の夏葉社・島田氏で、お客さんが輪になった店内では、なんと世田谷ピンポンズさんがライブの真っ最中…うわ、失礼しました。慌てて右壁に寄り添うように逃げ出して、そのままピンポンズさんの熱唱に耳を傾けながら、壁棚を目力入れて注視する。社に備え付けられた壁棚の、最上段&最下段以外を使って、山下氏の古本が並べられている。文庫と単行本と雑誌が主で、ジャンルはカルチャー&サブカル・純文学・海外文学など、硬さと軟らかさがセンス良く交錯している。値段はかなり安めなので、とても嬉しい。フロア中央には雑誌類やリトルプレスや新刊が面陳され、左端には夏葉社の本も勢揃いしている。ライブ終了と同時に三冊をスパッと選び、奥の社長机で精算をお願いする。山下氏とは別府以来の挨拶を交わし(2011/11/27参照)、「ずいぶん頭が白く…」と言われる。あれからあっという間に六年…色々色々あったので、すっかりブラックジャックみたいな半分白になってしまいましたよ…。小学館入門百科シリーズ9「プロレス入門/監修■ジャイアント馬場」角川文庫「横溝正史読本/小林信彦編」旺文社文庫「アンクル・トリス交遊録/柳原良平」を計800円で購入する。島田氏とは最近の「大河堂書店」(2009/03/26参照)での功績の話をひとしきりしてから、新社屋の案内をしていただく。「前々から、ここで何かやりたいと思っていたんですよ」。確かにほとんどお店のような感じで、イベントを行う広さも充分にある。「ホホホ座吉祥寺店」で、イベント開催に先鞭を付けた夏葉社には、今後は出版物とともに、社屋の動きにも要注目である。
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2017年07月19日

7/19東京・国分寺 胡桃堂喫茶店

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コメントタレコミで知ったお店が、朝八時から営業していることを知り、まだそれほど気温が上がらぬ前に悠然と訪れてみることにする。ダイヤが乱れ気味の中央線で西へ向かい、巨大な駅コンコースから、これまた巨大な空地が目の前に広がる北口へ出る。北にそのまましばらく進んで、『本町二丁目交差点』で東へ曲がり込む。新しい街並の中を迷わず直線に進むと、やがて『国分寺街道』に合流する『本町一丁目交差点』にたどり着く。その北側角地に、炭色の壁を持つ開放的な喫茶店が出来ていた。右側は扉が大きく開け放たれ、路上と地続きのようなカフェ的雰囲気だが、左側は昭和アンティーク調な扉とウィンドウを備え、喫茶店然としている。そしてウィンドウの向こうには本棚が見えている…こういうお店で毎度困るのは、本を買うだけでも利用出来るのか、ということである。ここも店構えは完全に喫茶店なのであるが、取りあえずは様子を見るために突入して、本棚にまずは張り付いてみよう。喫茶利用が必須なら、いずれは声を掛けられるはずだ…。そう予想して、右側の開放的な入口から、左側の本棚を目指してナナメに店内に切り込んで行く。エプロンを着けた店員さんが「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」と迎えてくれるが、席には着かずに窓際の本棚前に立つ。ここは自社出版の本と新刊、それにテーマ別の新刊と古本が並べられている。さらに隠れるようにして左奥に進むと、壁際から二階への階段壁が本棚になっており、およそ二十ほどの棚段とボックスが連なっている。ここも新刊と古本が混ざり合い、民俗学・映画・絵本・児童文学・料理・天文・自然・博物学・詩集・出版・本&古本・東京・散歩などを細かく端正に並べている。古本は挟まれているデータスリップの飛び出し部分が、三角カットになっているので、わりと分かり易い。本の量はそれほど多くはないが、知性と教養を芯にしたセレクトがすべての棚に行き渡っている。値段はしっかりの高めが多い。一冊を選んでカウンターに差し出しながら「本買うだけでも大丈夫なんですか?」と聞くと「もちろんです。ここは書店でもありますから。水金土は、夜遅くまで書店としても営業していますので、またぜひいらして下さい」と教えてもらう。ふぅ、良かった。勁草出版サービスセンター「神戸の本棚/植村達男」を購入する。外に出ると通りがかりのおば様が、カウンターの店員さんに向かって話し掛け始めた。「突然ごめんなさいね。でも素敵なお店ね〜。後で絶対来ますわ〜」。

7/16にジョージ・A・ロメロが死んでしまった。映画監督であの現代的なゾンビ(死んだ時の姿の普段着で登場。動きはゆっくり。人の肉を求める。頭を吹き飛ばされると行動が停止。ゾンビに噛まれると潜伏期間を経てゾンビとなる。などなど…)を発明し、映画・ゲーム・漫画・ドラマ・小説の世界に、数多のエピゴーネンとリスペクトとパロディとパスティーシュが現在進行形で蔓延し続ける状況を作り出した、偉大なる人物である。そこで、家にあるロメロに直接関わる物を集めて追悼。LPレコード「ZOMBIE DAWN OF THE DEAD」はGoblinによる映画のサントラで、下北沢にある曽我部恵一経営のお店『CITY COUNTRY CITY』で購入。ABC出版「ゾンビ/ジョージ・A・ロメロ+スザンナ・スパロウ」は映画のノベライズ本。意外にレア本であり、安く手に入れようとすると、結構苦労すること必至。他にも講談社X文庫「死霊のえじき」があるはずなのだが、残念ながら文庫の山に埋もれて発見出来ず…。
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2017年07月06日

7/5東京・西荻窪 MAROGE

すでに昨日のことである。正午過ぎに家から出て、テクテク歩いて「ささま書店」(2008/08/23参照)。岡本綺堂「半七捕物帳」をベースに、昭和三十年代の刑法や捜査方法を紹介する警察系の新書、万歴書房「刑訴捕物帖 第一巻」を105円で購入。その後は西荻漥「盛林堂書房」(2012/0106参照)で「フォニャルフ」に補充した後(現在面陳中の麻耶&風太郎は署名本!)、ホームズ研究家&作家の北原尚彦氏と店内で落ち合い、店主の小野氏とともに三人で都内某所某宅の蔵書整理に向かう。三時間ほどのハードワークを熱中症に気をつけながらこなし、午後六時に西荻窪に帰還。店頭箱の中から新建築社「新建築 創刊號」(大正十四年の住宅研究雑誌。写真や図面やモダンな広告が豊富で、武田五一の寄稿が!)この後は小野氏がお店を閉めた後に労働の打ち上げを行う予定なのだが、ひとりひとまずお店を離脱して、駅の北側へと足を向ける。

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駅北口から東寄りの『北銀座街』に入り、東側歩道を北進する。ちょこちょこ歩いて、歩道アーケードを抜けて、緩やかな坂道を下り始める。二本の脇道をやり過ごせば、居並ぶ二階家うちの黒い建物二階階段口に、ヒラヒラと微風にさえも翻る婦人服が飾られているのが目に留まる。立看板に近づくと『古着・雑貨・本』の文字があり、店長は猫である旨が書かれている。A級情報屋の「やまがら文庫」からタレコミのあったお店だが、完全に女子向けのお店ではないか…。怖気を震わせながら赤いカーペット敷きの階段を上がると、こちらに開くサッシ扉が待ち構えている。狭い踊り場で身を引きながら扉を開け、ジャズの流れる店内に踏み込む。そこは階下同様、たくさんのヒラヒラした柔らかな洋服たちが集まっている。だが幸いにも、入って直ぐ左に小さな古本棚を発見する。なので洋服には目もくれずに棚前に屈み込む。セレクト海外文学を中心に、カルチャーを混ぜ込んである模様。一冊文庫を掴んで奥に進むと、押入れの如きディスプレイ棚があり、8ミリ撮影機などとともに、映画・テレビ・ジャズの本が飾られている。本の冊数はそれほど多くなく、お洒落寄りの少数精鋭主義である。値段はちょい安〜ちょい高と様々。本を見ている間に、古着の隙間をかいくぐるようにして、奥の帳場のロングヘアーの女性から「いらっしゃいませ」と声を掛けられていたので、精算をするためにそちらへ進む。本を差し出すと、値段を確認した後「900円ですがいいんですか?」とこの値段で文庫を買う私を気遣う発言。「本は別の者がやっているので」と笑顔で理由を教えてくれる。というわけで、サンリオSF文庫「ナボコフの一ダース/ウラジミール・ナボコフ」を900円で購入する。猫が店長さんのためか(この時は姿は見えず)営業日と営業時間がかなり変則的なので、来店時は注意が必要である。
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2017年06月29日

6/29古本屋ツアー・イン・せんべろ古本ツアー 都電荒川線編

六月二十八日水曜日午前十一時三分前の、小雨の池袋である。東口の『明治通り』から一本東に入った通りにある、二十四時間営業の『鳥良商店』に傘を畳んで入り、店員さんに待ち合わせであることを告げる。店内を見回すまでもなく、奥の窓際席ですでに聞こし召している、とみさわ昭仁氏(特殊古書店「マニタ書房」(2012/10/27参照)店主&ライター)・柳下毅一郎氏(特殊翻訳家&映画評論家)・安田理央氏(ライター&アダルトメディア研究家)が視界に飛び込んで来た。
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近づき挨拶を交わすと、もう一杯目を飲み終わるところ…は、早い、時間通りに来たのに、何だか遅刻した気分である。「ウチらはこの時だけはちゃんと時間守るんだよね。しかも時間通りというか、もっと早い」ととみさわ氏。「やっぱり飲んで古本買いに行くとなるとね」と安田氏。そして柳下氏からは扇形に並べた名刺の中から一枚を引き抜くよう勧められる。真ん中辺りのを引き抜くと…『無』と墓碑銘が刻まれた墓の写真であった…何故!?「それは小津のお墓の写真です。すごくいいお墓なんですよ」…うぅ、何故なんだ…。そんな風にせんべろ古本トリオに迎え入れられ、こちらも追いつくためにグイグイビールを呷り始める。プッハァ〜!これは幸せだ。安い酒場でお酒を楽しみつつ、古本屋を巡り倒す『せんべろ古本ツアー』に参戦する夢が、ついに叶ったのである。午前十一時から飲酒など、非常識も甚だしいのだが、もはやトキメキはノンストップ!たくさん本を買ってしまいそうな予感がするので、どうにか財布の紐は固く締めて行こう。しかし古本トリオは、すでに二杯三杯とアルコールをたんまりと身体に補充し続けている。俺は、果たして旅の最後まで同行出来るのだろうか?楽しさ嬉しさに任せて杯を重ねれば、恐らくアルコールの過剰摂取で昏倒してしまうだろう…こちらもペース配分をしっかり考えて行かなければ…。今回のツアーは、都電荒川線沿線の古本屋さんを巡る計画で、その第一歩は正午開店の「古書往来座」(2009/01/09参照)となっている。古本を買うことより、まず飲むことからスタートするこの集まりの志しに共鳴しながら、古本屋の話はもちろんのこと、『長ネギ=南蛮』説や日本に於けるグラマーの歴史や『ナポリタン』の起源について熱く話していると、あっという間に正午となり、周囲はランチ客だらけとなっている。すでに『せんべろ』を逸脱している一人頭二千円を支払い、早速重くなり始めた腰を上げ「往来座」へと向かう。テクテク歩いて店前に着くが、あれ?開いてない。臙脂色のシャッターが冷たく下がっている…「ここは時間通りに開いてる、盤石の店のはずなのに」と一同驚愕しながら初っ端から途方に暮れる。
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とみさわ氏はシャッターに耳を当て「人の気配がするんで、もうすぐ開くのでは…」などと小さな希望を抱いているが、まだまだ先は長いので、諦めて次のお店に向かうことにする。後で乗るはずの都電荒川線線路を越え、雑司が谷に入り込んで行く。すると目に入ったのが開店している「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)であった。三人とも初見のようなので、ちゃんと古本も売っていることを説明すると、躊躇なく店内に吸い込まれてしまう。うむ、さすが古本トリオ。古本を求める情熱には、とことん忠実なのであるな。
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まだ壁際に並んでいた撤収寸前の「猫ノフルホン市」(2017/06/16参照)に食いつく三人を尻目に旅猫さんにご挨拶し、ここでは「レティシア書房」さんから、新建築社「光跡 モダニズムを開花させた建築家たち/池原義郎」を900円で購入する。とみさわ氏は古本以外にも、雑貨店の魅力に魅せられ和雑貨も一点購入していた。続いてそのまま商店街の先に進み、途中肉屋のプラ看板の恰好良いフォントに感激しながら「ジャングルブックス」(2010/08/20参照)。今日はユキさんもケンさんも不在の日らしい。アイヌの観光写真絵葉書「熊を柵内に入れんとす」を500円で購入する。都電荒川線方面に引き返しながら、お煎餅屋の工場直売店にフラリと入ったり、昭和な『雜二ストアー』に吸い込まれたり(柳下氏が「そうか、雑司が谷二丁目だから『雜二』なんだ!」と謎を解明するシーンもあり)、
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公園のトイレでスッキリした後に、ようやく鬼子母神駅から都電に乗車する。
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全員『一日乗車券』を購入しようとするが、運転席には一枚しかないというので、次の乗車時に買うことにして、全員で安田氏購入のおせんべい(ミックス)を摘みながら、車内ではそれぞれがそれぞれの場所で自由に過ごす(とみさわ氏は文庫を読み、安田氏はスマホを操作、柳下氏は軽く睡眠)。イレギュラーで『滝野川一丁目』で下車し、三人にはぜひとも体験していただきたかった「龍文堂書店」(2009年07月08日参照)へご案内する。営業しているかどうか不安だったが、ちゃんと店頭雨仕様で営業しているではないか!
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そして目論みはズバリ的中し、古本トリオ全員がお店の佇まいに感動した後、すぐさま店内に突入し、狭い通路を忙しなく行き来し始めたのである。このお店をこんなにも楽しむなんて、『古本トリオ』どころか『古本三銃士』と呼ばせて下さい!と思考を酔いに任せてスパークさせつつ、遅ればせながら店内に突入する。すでに安田氏が、エロ本&写真集のコーナーを縦に深く深く掘り下げている(この状態を後に柳下氏は「ゾーンに入った」と表現)。とみさわ氏は私が棚からつかみ出した黒木香の「フルーツ白書」を受け取ると「300円か…これは店に並べられるな」と抱え込む。ウハハハ、何だかとても楽しい、楽しいぞ!と私は函ナシの三陽堂出版部「麒麟/谷崎潤一郎」を300円で購入する。再び都電に乗り込み『一日乗車券』を買おうとするが、今度も一枚しかないと言う。なんだ、都電は各車両に一枚しか『一日乗車券』を常備してないのか?と疑問に思いつつ、取りあえずその一枚を私が購入し、三人は運転手の提案により、ICカードに『一日乗車券』のデータを書き込むことにする。これで全員が乗り降り自由となり、続いて王子駅で下車。開店時より本の増えた感のある「コ本ヤ」(2016/07/19参照)では学研昭和49年「中学一年コース新年特大号」第3付録「なぞのゆうれいイヌ/エラリー・クイーン(原作)福島正美(文)」を500円で購入する。
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対岸に渡りつつ「山遊堂 王子店」(2008/08/31参照)へ。リサイクル書店の皮を被った狼であるが、欲しい本は値付がわりとしっかりしていたので、早々に退散する。三人は一階二階と存分に楽しんだ模様。
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さて、ここら辺でアルコールも尽き、小腹も空いてきたので二軒目の飲み屋に入ろうとするが、とみさわ氏提案の「立ち飲みのおでん屋なんだけど」の発言に柳下氏&安田氏が「えっ!?」…実は微妙に疲れていたので、全員が腰を落ち着け足を休めたかったのである。なのでそんなお店を探し、王子の街をゾロゾロうろつくが、結局午後四時開店の大衆酒場「山田屋」で再び飲み始める。いやぁ、広くてメニューが安くて味があって、感激のお店である。
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みなそろそろチューハイや日本酒に流れて行くが、俺はそれをやったら即沈没しそうなので、グッと我慢してビール一辺倒で過ごすことにする。半熟卵・ハムカツ・ウィンナー・磯辺揚げ・生揚げなどを摘みながら、準完全密封弁当箱『フードマン』の話で大いに盛り上がる(とみさわ氏と安田氏が企画し、三つのゾーンに分かれたその新型弁当箱に、美味しいお酒のおつまみをびちっとセンス良く詰め込む大会を開いたとのこと。自分の持ち寄ったつまみコースには、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド的な名を付けることが義務づけられたそうである。あぁ、この人たちは、仕事と遊びを絶妙にゴッチャにして、人生をとことん謳歌しているのだな…。そんな風に楽しく飲んでいたら、午後五時半に『梶原駅』の「梶原書店」(2008/08/31参照)。
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店頭100円棚で津軽書房「北津軽群東京村/三上寛」を発見して喜びながら店内に進むと、とみさわ氏が「スゴいの出てきた」とつぶやきつつ、うらやましい「ロールプレイングハンドブック」(パソコンRPGに至る前の、本やテーブルトークRPG時代の本!)を手にしているのを目撃する。私はさらに店内で萬葉堂書店「図説 陸前のオシラサマ/三崎一夫」を見つけて300円で購入。この後は一気に『三ノ輪駅』まで移動。車中、椅子に座っていない俺以外は全員夢の中に落ち込んでいた。短い束の間のリフレッシュ時間となる。降車するや否や、トイレに駆け込むオヤジたち…いや、だいぶ王子で飲んでいたんで、仕方ありません。「古書ミヤハシ」(2009/08/09参照)は、もはやレジに立っているのが、最近のコンビニ事情の如き中国人なのに面食らいながら、店内が異様に鉄道的に充実しているのに目を瞠る。
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ここではアムステルダムの街を紹介する洋書パンフレット「Starring Amsterdam」を300円で購入する。写真館のミニアーケードを抜けて、地元的書店ともはや生きた化石とも言える猫の寝転ぶCD屋に足を運ぶが収穫ナシ。都電で折り返して本日のツアー最後の目的地である『庚申塚駅』下車。すでに午後七時を過ぎているのだが、おぉ!予想に反して昭和遺産の「かすみ書店」がしっかりと営業しているではないか!夜の帳の中に浮かび上がる古本屋さん!その中に蠢く古本三銃士の惚れ惚れする勇姿!
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あぁ、この写真が間違いなく、本日のベストショットである。そして最後の最後に、都電駅のホームに直結した居酒屋「御代屋」で打ち上げ&総評を行う。
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いやぁ、本当にハードでやはりとことん酔っ払ってしまいましたが、楽しかったです。このツアーを別な視点から見た様子は、安田氏のブログ『ダリブロ』をご覧ください。
http://rioysd.hateblo.jp/entry/2017/06/29/160831
いやぁ、古本屋さんには、様々な楽しみ方があるものです。
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2017年06月20日

6/20東京・つつじヶ丘 むうぷ舎新川リサイクルショップ

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本日は三鷹と京王線つつじヶ丘駅の中間辺りにある、中原という所に流れ着く。両方の駅からはだいぶ離れているが、なんだか団地の多い地帯である。家に戻るには…『新川団地』から吉祥寺にバスで向かうのがベストか…そう確信して『新川5丁目交差点』から北東に歩を進め、団地中央のバス停を目指す。そういうことなら、今日は吉祥寺の古本屋さんを巡り倒して行くべきか…そんなあやふやなプランを立てながら下り坂に足を掛けようとした瞬間、右手の福祉系施設に違和を敏感に感じ取る。建物の右側にリサイクルショップが併設されているのだが、見え難いガラス戸の向こうに、古本が並んでいる気がする!と、矢も楯もたまらず飛び込んでしまう。静かな飾り気の無いお店で、右壁には食器類が多く並び、真ん中には古着などの衣料品類、左壁には雑貨類が置かれているのだが、左壁上段二列分に麗しの古本が二列分並んでいるのを無事発見!おぉ、俺の古本的野生の勘は、やはり正しかったのだ!そんな風に盛大に喜んでしまうが、並んでいる古本はそれほど多くはない、日本の景色&旅関連の箱入本が二十冊ほど。それにハードカバーが十冊前後に、文庫本が二十冊くらいの、ささやかな布陣なのである。だがそんなことはどうでも良い!小さくとも偶然古本販売に出会えた感激はとにかくひとしおで、ハードカバー100円文庫本50円の激安値付けにも感心してしまう。ちょっとだけ吟味して、岩波文庫「ロボット(R.U.R.)/チャペック」公益信託佐倉町づくり文化振興基金「椿咲く丘の町-島尾敏雄『死の棘』と佐倉-/高比良直美」(序文は島尾ミホ)を計100円で購入する。

そんな突然の古本販売と出くわした幸せを噛み締めながら、バスに揺られて吉祥寺駅着。せっかくなので「古本センター」(2017/03/06参照)にも飛び込むと、創元推理文庫アルセーヌ・リュパン・シリーズ「水晶の栓/モーリス・ルブラン」(3版)の紺背バージョンが棚に挿されているのを見出し、100円だったので喜んで購入させていただく。濃紺で見難いことこの上ない猫マーク(分類はスリラー&サスペンス)がたまりません!
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2017年06月15日

6/15東京・新小金井 古本・雑貨 尾花屋

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本日は武蔵境と三鷹の間にある巨大な『境浄水場』近くに流れ着く。『中島飛行機 武蔵製作所社』の工場引込み線跡が、遊歩道として残っているのか…などと感心していたが、武蔵境が近いのを幸いとして、今日もあの新しい古本屋さんを目指すことにする。今日こそは、開いていてくれ!そう激しく祈りながら、『境浄水場』をクリアして玉川上水を渡り、トコトコ歩き続けて駅に着き、西武多摩川線に無事乗り込む。住宅の間を走り抜ける単線は、二分ほどで次の駅に到着する。ホームから下りて突端の踏切前に立ち、乗って来た電車が通り過ぎるのを待って、遮断機の上がった踏切を渡る。改札を抜けると、小さな可愛らしい駅前である。ちょっと歩いて徐に振り返ると、そこにはさらに可愛らしい駅舎が建っている。まるで映画『パンダコパンダ』に出て来る郊外の駅ではないか!東京にこんなプリティーな風景がひっそりと存在していることに小さく拍手し、西へ向かって歩き始める。すぐに『新小金井西口商店会』のゲートが出迎えてくれるが、そこには入らずに一本南の杭が林立した道に進む。するとそこは鄙びた小さな商店街で、多数の電灯のカバーを広告として利用する電器屋に虚を突かれながら西に進んで行くと、おぉ!右手中華屋さんと薬屋さんの間に、古本屋さんが堂々誕生していた。スクエアな日除けには店名とともにシンボル化された尾花(ススキ)が描かれている。その下右には三本の100均単行本棚(「暮しの手帖」など雑誌もあり)があり、左には絵本棚が置かれている。単行本は硬めだが良い感じ…おっ、宝石社の仁木悦子が!と幸先の良いファーストコンタクトを果たし店内へ進む。小さめだが余裕のある空間作りが為されており、シックである。そして誰もいない…。右壁は古着から始まり、下には洋書ファッション雑誌とファッション関連が固まっている。その奥には木製のガラス戸付きキャビネットが三本続き、中を覗き込むとどうやら貸し棚らしい(下記のコメントにある通り、ここは“貸し棚”ではなく厳然たるお店の棚で、紙に書かれているのは買取先の情報とのことである。古本の元の持ち主のプロファイルが見られる棚!斬新である)。名刺大の紙に出店者の職業と年齢や情報やメッセージが記されている。現在は十二人が出品しており、吉本隆明・鳥類・ゴルフ・囲碁・共産主義・歴史・宗教・スタジオジブリ関連などが収まっている。フロア中央には棚とテーブルで島が造られており、文学復刻本・ごはん&料理とともに、店内同様シックな雑貨類が飾られている。左壁には大きな棚が連続して張り付き、絵本・洋書絵本・食・美術・美術図録・グラビアムック類・200均文庫&新書を並べている。奥には難解の極みである埴谷雄高棚もあり。そして正面奥に帳場があり、いつの間にか奥から姿を現した、何だか“冬”と言ったイメージの青年店主が立っている。本の数はそれほど多くはないのだが、これはこれですでに完成されたような、不思議なスタイルのお店である。そしてもう何年もこの場所にあるかのように、いきなり街に溶け込み始めている。値段は安め。みすず書房「鬼道/眞殿皎」(丹羽文雄への謹呈署名入り)宝石社「刺のある樹/仁木悦子」を購入する。精算時に、帳場前に古い電話機(受話器と送話器が別れているやつ)が取付けられているのにようやく気付く。ここにも名刺大の説明書きがあるので読んでみると、お店に人がいないときは、これを使って呼び出すことになっているらしい。つまりはインターホンなのであるが、いつか必ず使ってみたいほど魅力的な代物である。お店の外に出ると、自転車で通りかかった母娘が「ほら、古本屋さんできたんだ」と話し、斜向いの豆腐屋さんの女将さんも「100円の本があんなに…」と話題にしている。開店おめでとうございます!
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2017年05月26日

5/26駿河台の上と下で古本市

中央線で御茶ノ水駅下車。『聖橋口』から出てすぐ横断歩道を南に渡り、『本郷通り』前で信号待ち。目の前には高い現代的ビル『御茶ノ水ソラシティ』がそびえ立っている。この地下一階で『Solaマルシェ』という名の市場イベントが開催され、嬉しいとこに古本も販売されているのである。ビルに近づいて行くと、その途中に中庭のある地下広場へのエスカレーターが現れる。『強風時ベルトにしっかりおつかまり下さい』の表示が少し不気味である。そこを下り始めると、広い中庭が一望出来るのだが、肝心のマルシェの姿が見当たらない…と思ったら、今日の怪しい空模様に備え、ギリギリ屋根の下に陣取り直線に並んでいるようだ。古本の影を探すと、むっ、正面にその後姿が見えているではないか。だがすぐには向かわずに、一応他の出店も眺めて行く。雑貨・アクセサリー類・お菓子・ジャムなどが続き、なかなか古本は馴染めぬ状況のように思えるが、角を曲がって最後に古本コーナーにたどり着くと、しれっと同類の顔をして、三台の長テーブルや箱や小さな棚に本がしっかりと並んでいた。
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300円本・大量の相撲雑誌・中公文庫・新書・岩波文庫・音楽CD・「洋酒マメ天国」・一般単行本・古雑誌…勝手にもっと女子寄りなのかと思っていたが、意外に正統派な景色である。通りかかる人も、他のブースと同様ちゃんと足を留めて眺めて行くのに感心する。サントリー「洋酒マメ天国第14巻 男の服飾劇場/石津謙介」を500円で購入する。

だがこれだけでは物足りないので、駿河台下にある「東京古書会館」(2010/03/10参照)地下の「和洋会古書展」もハシゴすることにする。南側の階段で中庭から抜け出すと、そこは『幽霊坂』の上。そのまま『本郷通り』に出て西へ向かい、ビルの谷間の急坂を下り、やがて会館に到着し館内の階段も下る。
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荷物を預けてガラスケースを横目に進んで入口を潜り、大量の古本に囲まれると、もはや午後四時前なのでなかなかに落ち着いた空間となっている。色々見て回るが、今回は「玉睛」が素敵だなと感じ入っていると、「フフ、ブログのネタ探しですか…フフ」と、穏やかな笑みを浮かべながら近づいて来た紳士が一人。ミステリ評論家の新保博久教授である。慌ててご挨拶し、駿河台の上下の古本市を訪ねていることを説明する。「フフ、そうですか。どうでしたか、あちらは?確か出店しているのは、「ビブリオ」や「立石書店」でしたね…」「長テーブルが三つだけでした。教授は今日はずいぶん遅いご出馬じゃないですか?」「私は普段からこんなものですよ…フフ」などと互いに本棚を見ながら会話を続ける。その後も別の通路で邂逅し、その度に言葉を交わす。そして最後は「今日はエアコンが効いていて寒いですね。だからもう帰ります。フフ…」とお別れする。教授、おつかれさまでした!こちらも一周したところで、新小説社新小説文庫「稲葉の新介鬼神のお松 地獄極楽(上)/長谷川伸」南薫書房「日本伝承草紙 戦國時代 妖術者の群/藤澤衛彦」を計600円で購入し、再び駿河台の上に出て、神保町をパトロールせずに引き上げる。「Solaマルシェ」「和洋古書展」ともに明日27日も開催される。
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2017年05月04日

5/4東京・中野坂上 ブックパーク中野坂上店

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せっかくの連休なのに、世界中の疲労を抱えたような状態に陥り、中野坂上に流れ着く。集中力などはとっくのとうに霧散しているが、それでも古本屋ツアーはして行くべきだと、近所の古本屋さんを懸命に思い出してみるが、残念ながらこの辺りはずいぶん前から『古本屋無風地帯』と化している。う〜む、取りあえず新高円寺に向かい、商店街を北に遡ってみるか…などと考えながら『青梅街道』まで出ると、おやっ?あまり見慣れぬリサイクル系新古書店があるじゃないか。外観から察するに、恐らくアダルトメインのお店なのだろうが、もしかしたら何か売っているかもしれない。とノロい頭の回転で判断し、中にササッと踏み込んでみる。店内は案の定、明るく妖しく肌色が乱舞する空間である。だが、右側では普通の新刊コミックや車雑誌も売られ、左のアダルトコーナー入口前には懐かし系ムックのバーゲン本コーナーもある。ではこっちは?と右側通路入口側の行き止まり空間に入り込むと、そこには中古コミックやゲーム系バーゲン本に加え、角に細長いアクリルケースがあり、復刻版のジャガーバックッスシリーズとともに、アニメ雑誌「OUT」の創刊号が高値で飾られていた。おぉ、予想外にここだけ古本屋さんらしいぞ!と無邪気に喜ぶ。だが何を買おうかかなり悩んでしまい、何故か新刊でたくさん並んでいる、ガチャガチャ・おもちゃ・ファミコン・おまけなどの本の中から青幻舎「昭和ちびっこ怪奇画報/初見健一」を選んで購入する。文庫サイズだが、かつての「少年マガジン」グラビアページに掲載された、香山滋〈人見十吉シリーズ〉と小栗虫太郎〈折竹孫七シリーズ〉の秘境探検物が収録されているのが嬉しい。

「西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)が出版した「モモイトリ 2017年春闌号」に『“極める”を放棄する。』という一文を寄稿しました。どこかでお見かけの際は、ぜひご一読していただければ幸いです。相も変わらずのめり込んでいる古本屋と古本屋ツアーの話でありますが…。
http://blog.livedoor.jp/mongabooks-mokuroku/archives/70635573.html
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2017年05月02日

5/2東京・南阿佐ヶ谷 店名不明

今日は夕方前に久我山の北に流れ着いたので、己の方向感覚を信じ、どこまで行っても似た景色が連なる住宅街をアイスモナカで涼を取りながら歩き、荻窪に到達して「竹陽書房」に安らぎを求める。だがじっくりと全棚を見るも、今日は食指が動かず、哀れ何も買わずに退散してしまう…このままではいかんな。そこでお茶を濁す小ネタ店を思い出し、地下鉄丸ノ内線で南阿佐ヶ谷まで移動する。地上に出たら『中杉通り』を200m強北上し、最初の信号で西の小道へ曲がり込む。最初は雑貨屋・飲み屋・食べ物屋などが続き、楽しい小道の雰囲気であるが、『商工会館』前を通過するとお店の数は自然と少なくなり、やがてただの住宅街となる。だがめげずにそのまま西へテクテク歩いて行くと、右手に突然雑然としたお店が姿を現す。店名は不明。
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店頭が古着で覆われ、足元には陶器や雑貨を詰め込んだ箱やカゴが置かれている。基本的には古着ショップのようであるが、店頭には古本箱も存在しているのだ。布製ボックスの中に、全品50円の文芸雑誌・ムック・新書・文庫が二十冊ほど詰め込まれている。スポーツ・歴史・エンタメ・推理・教養…まぁ安いのが取り柄であろう。一冊取り出して店内へ進むと、眼鏡姿のマダムが待ち構える洋服で作られた柔らかい空間。新潮文庫「阿部一族・舞姫/森鴎外」を購入する。

その帰りに「千章堂書店」の店頭で立ち止まると、店頭右側の映画パンフボックスの中に、角川映画「蔵の中/横溝正史原作 高林陽一監督」を発見したので400円で購入する。表4は『文庫5000万部突破記念(ご、ご、5000万部って…) 横溝正史フェアの広告』で、横溝正史についての解説は友成純一が担当。いわゆる角川の大作横溝映画とは一線を画す、低予算の実験的作品である。パラパラ捲っていると、表3の主演女優・松原留美子のファーストアルバム広告が目に留まる…タイトルは「ニューハーフ」…なんでまたこんなタイトルにと不審に思っていたら、松原は正真正銘のニューハーフなのであった。良く見ると、パンフにはその話題で多くのページが割かれているではないか。こういう映画だとは、まったく知らなかった。さすがは映画界の風雲児・角川春樹と言うべきか……色々あったんだろうなぁ。映画作りって、なんか大変なんだなぁ…。

家に帰ると岡崎武志氏より封書が届いている。土曜のトーク&ライブのための、紙焼き写真である。三十枚ほどをデータ化し、前座余興として公開しますので、お楽しみに!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
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2017年04月23日

4/23東京・用賀 RYUSENKEI

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風は冷たいが、それでも陽気は春模様の日曜に流れ着いたのは、千歳船橋と用賀の中間の上用賀…さて、これからどう動くか?用賀に戻って高津まで出て、「小松屋書店」(2009/08/15参照)の動静を探るか、それとも千歳船橋から豪徳寺まで移動して「靖文堂書店」(2011/09/06参照)で安値の古い文庫を漁りまくるか…だが待てよ、ちょっとさっき見かけたお店が気になるので、取りあえずそこをチェックしてからでも遅くはないな…。駅からは北口から地上に出て西に向かい、桜並木で煉瓦敷き歩道の『西用賀通り』を北北西にひたすら進む。800mほど来たら、お蕎麦屋のある交差点で『用賀六条通り』を西に曲がり込むと、ほどなくして住宅街の中の右手に、民家に増築されたような、チープな三角破風を持つ小さなお店を発見出来るだろう。表には立看板が出されており、それには『BUS』とローマ字の店名が書き出されている。ガラス窓からチラチラ中を覗き込むと、どうやらバス関連のお店らしい。そして左の壁際には、明らかに古本らしき姿が並んでいるではないか!これは、かなり偶然の出会いのめっけ物!どんなジャンルであれ、古本が売っていれば、それでいいのだ!と扉を開ける。中は六畳ほどの小さな空間で、左に二本の本棚と飾り棚、真ん中にはガラスケースと飾り棚、右壁には大きなラックとガラスケースが置かれている。奥は帳場になっており、白髪短髪の佐伯泰英風店主が「いらっしゃいませ」と呟き天井の明かりを点けてくれた。むぅ、やはりここはバスと車の専門店。主にミニカーと本を扱っているようだ。入って直ぐの左には、名車の単行本&ムックが並び、下には「CAR GRAPHIC」や「モーターマガジン」などの車雑誌が多種集まっている。続いてレース関連・車開発エピソード・車小説・車関連ノンフィクション…荒地出版社って結構車の本を出していたんだ…。その奥にはF1や車会社などの関連書籍が収まり、下はいよいよ古本から離れ、日本の立派な工芸品とも言えるミニカーのオンパレードである。そう言えば帳場は、色々な細かい手作業が行えるよう、ミニカーのレストア工房的布陣になっており、何だか職人の仕事場的様相を呈しているのが格好良い。真ん中のガラスケースには、バスのミニカーが大集合。そしてその裏側には、バス関連の書籍(マニアックな車種本から懐かし昭和バス本やバス旅までを幅広く)とムックが集められている。下には「バスマガジン」という名の、そのものズバリな専門誌がズラリと並んでいる。右壁のガラスケースには、ボンネットバスなどの懐かし系ミニカー&モデルカーが飾られ、下を支えるのは車カタログを恭しく収納したマップケースである。その横のラックには、バス関連の新刊やミニコミがディスプレイされている。バスと車に特化した、趣味性の高いお店である。本の値段はしっかり目だが、ミニカーには安い物もあるので(箱無しトミカとか)、お店は狭くとも車&ミニカー好きなら、かなり楽しめるであろう。それにしても、こんな住宅街に何故こんなお店が?と単純に思ってしまうのだが、実はここからさらに西に進んで『環八』に出ると、車のディラーショップやパーツショップが並んでいたりするので、“車”という大きな括りで捉えれば、充分関連性の高いお店と言えるのかもしれない。せっかくなのでやはりバスの本を買っておこうと、トラベルジャーナル「大阪路線バスの旅」を購入する。
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2017年04月14日

4/14東京・五反田 第四二回 本の散歩展

早起きして、まるで夏の朝のような日射しが鋭い五反田の裏町を縫って歩き、『南部古書会館』へ向かう。「第四二回 本の散歩展」に、「聖智文庫」さん(2013/05/16参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)に誘われての行動である。午前九時四十分に会館に到着すると、すでに一階ガレージは開場され、安売本を求めてたくさんの古本修羅が本を抱えて活発に蠢いている。うむ、やはり古書会館の光景は、こうじゃなくちゃ!と同時に、二階へ上がる脇の階段入口から、修羅の整列が次第に長さを増していく。こちらは二階に命を懸ける者たちが、午前十時の会場を、今や遅しと静かに待ち構えているのだ。この様子だと、結局一階にも二階にも出遅れている感があるので、焦らずのんびり構えて、シンプルに読みたい本だけを買うことに決める。というわけで修羅化せずに、修羅に揉まれ修羅越しに本を見て、何も買わずにあっさりとカバンを預けて二階へ上がる。入口から静かな熱気と殺気と本気が交錯する会場に踏み込むと、右の帳場にいた「古書 赤いドリル」さんから陽気に声を掛けられる。その後も棚を見ながら「一路」さんと挨拶を交わし、会場をスルスル巡回。「聖智文庫」棚を眺めていると、いつの間にか背後を店主・有馬氏に取られており、「なにやってんだよ」と話しかけられびっくりする。そして徐に棚にあった横溝正史「変化獅子」を手に取り、「安くしてあげるから買いなよ」とその場で値段を半額に直してしまった…おぉ!逆植草甚一的値段修正!と喜び、もちろん買わせていただくことにする。さらにその後も突然近くに現れる有馬氏とポツポツお話しする。今度、なんだか面白い倉庫に連れてってくれると言うので、喜んで同行をお願いし、今から激しく楽しみに思ってしまう。三洋出版社「変化獅子/横溝正史」春陽堂文庫「宵待草/武田麟太郎」創元推理文庫「百万長者の死/G・D・H&M・コール」(三版)長崎文學社「長崎昔噺集/歌川龍平」を計2500円で購入する。この会館展は明日土曜も開催される。
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写真は実は新刊書店と向かい合っている南部古書会館。

そして家に戻って午後三時に、奇妙な依頼を果たしに近所のある店舗へ向かう。このお店のオヤジさんとは、日頃挨拶を交わしたり、時々立ち話をするご近所的間柄なのだが、会話の端々で私が古本好きなのを知ってから、度々自宅の本の整理について相談されていたのである。本を売るのだったら、私などに相談せずに直接古本屋さんに来てもらうのが良い、と常々助言していたのだが、どうも踏ん切りがつかないのと、どうしたら良いか決まらないらしい。だからなのか、今日古本市に出掛けのところを話しかけられ、「ちょっと本の様子を見てくれないか」と頼まれてしまったのである。無碍に断るわけにもいかないので、とにかく一度その蔵書と対面することになってしまった…なんだかますます人生が、古本のためにおかしな方向に進みつつあるな。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で第四部から『スタンド使い同士は引き寄せ合う』というようなコンセプトが出現するが、それと同じで『古本修羅は古本修羅と引き寄せ合う』運命にあるようだ…。それに私に出来ることなどたかがしれているのだが(何となく売れそうな本があるか蔵書をチェックし、合いそうな古本屋さんを紹介するのが関の山…)、まぁ何かの気休めにはなるのだろうと、お店の前に立ち、住宅部分への扉をノックしている。招き入れられ、本が多くあるという二階部分に付いていくと、確かに壁際に結束された本の山が築かれている。ジャンルは主に美術・建築をメインとしているようだが、不思議なことにあまり本は見せてくれないのでその全貌は結局分からず終いな上に、まだ他の部屋や一階奥にも本はたくさんあると言う。そして結局話を詳しく聞いてみると、整理したいことは整理したいのだが、何も具体的には考えていないらしく、溢れる話はただただ古本にまつわるエピソードと生き様について。あぁ、私は人の家でいったい何をしているんだ。だがとにかく何故だか、その本の整理分類から処分までを、私に頼みたいとのことなのである。古本屋さんに依頼した方がスピーディで適確なことを伝えても、「そこは君に」の一点張りなのである。恐らく私は、奇妙に気に入られているのだ。そして、恰好の話し相手に選ばれているのだ…。なので説得される形になったが、●時間のあるときに作業●それには時間がかかること●まずどこにどんな本があるのか確認を進めたい、などを条件に出すと「では一部屋に私が本を家中から厚め、そこを作業部屋にしよう」と提案がある。それなら多少なりとも楽なのと(気の方も…)、その本を集める作業は恐らくなかなか進まないだろうと意地悪く確信し、とにかく準備ができたら連絡してくれと伝えておく。…まったく奇妙なことになったものだ。自分の家もままならぬのに、人の家の蔵書整理を手伝うことになった、愚かな私。こうなったら、素晴らしい稀本でも出て来ることを期待するしかないか…でも、どんな本があるのか全然分からないんじゃ、まだ海のものとも山のものともなんともかんとも。それに本当に着手まで至るのだろうか…ふぅ、古本好きには、やっぱり変わった人が、多いなぁ。
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2017年04月03日

4/3東京・都立大学 近所に引越し「ROOTS BOOKS」!

朝から百冊弱の古本を詰めたダンボールを担ぎ出し、大阪に送る。なんとその重さ、二十九キロ!フェア用の補充本で、今回値段がお安めなものが中心。現地に届き次第「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジェが商品化し、棚に並べてゆきますので、西の古本好きのみなさま、折りを見て梅田駅ビル『ルクア イーレ』九階『古ツアフェア棚』を冷やかしにどうぞいらしてくださいませ。

さらに朝から、岡崎武志氏より怒濤の「中央線古本屋地図(仮)」原稿が届いたので、他の仕事と並行しながらレイアウトを進める。夕方に一段落着いたところで、都立大学にノロノロと向かう。コメントタレコミにより「ROOTS BOOKS」(2010/03/25参照)が移転作業中であるのを知ったので、そろそろ様子を見に行ってみるかと、重い腰を上げたわけである。高架下の改札を抜け、すぐに北西へ。道沿いの、古く昭和なショッピングセンター『トリツセンター』は、すでにその役目を終え全面的に閉鎖されてしまっている。このセンターの横っ腹に「ROOTS BOOKS」は格好良くへばりついていたのだが、その店舗のシャッターもがっちり下ろされてしまっている。だがその前には立看板が置かれ『移転します』と簡素な地図が書かれていた。
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壁には2009年からこの地で営業して来た思いが軽く語られ、ウィンドウの向こうにはダンボールに書かれた『I♥都立大』の言葉が掲げられている。相変わらず都立大学という場所に、熱い気持ちを持ち続けておられるのだな。そして地図を参考にして、そのまま『中根小通り』を『目黒通り』に抜ける。交差点から北を見ると、確かにすぐに『ジョナサン』がある。横断歩道を渡り、屋外自転車置場横の『ジョナサン』の入ったビル手前の小道に入り込む。前方には、左に小坂、右に小階段があり、その先には緑道に美しく咲き誇る桜の樹がのぞいている。階段をトントン上がって右を見ると、そこに古本屋さんの姿が地図通りに輝いているではないか。失礼ながら、以前のお店より、しっかりした今時の古本屋さんっぽいぞ!と思ってしまう。
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店頭にはアンティークな木製キャビネットや箱が並び、その上や中に安売本が並べられている。100均文庫&単行本&雑誌、洋書&絵本、それに300〜500円本も左側に並んでいる。中に入ると、思ったより少し狭い空間である。壁には棚がしっかり張り巡らされ、右奥が深くなる構造。だが、今はかなり雑然としている。引っ越したばかりだからだろうか?それともこれがスタイルだからだろうか…?疑問深めながら進入可能な通路に入り込んでみる。とは言っても見られるところは、入って直ぐの正面文庫棚(新しめの本中心)と、横向きフロア棚とガラスケース間の手前通路だけのようである。フロア棚にはCDやビジュアル本が並び、奥に入り込むと入口側壁棚に美術系大判作品集が収まっている。そのさらに奥には、積み上がった本や日用品で進めぬのだが、大きな壁棚を見ることは可能である。何だかノンジャンルで並んでいる感じなのだが、歴史・近代史・文学に良さげな本が紛れている。だが左奥は横積みゾーンとなってしまい、フロア棚の裏側も横積みゾーンになっている。ふ〜むと秘かに唸りながら、積み上がった本に面白そうなものがありそうなのだがあまり手を出せずに、移動出来る範囲をウロウロ行き来してしまう。値段は普通で、良い本にはしっかりプレミア値が付けられている。結局右壁棚から、爪先立って手を伸ばし、どうにか本を一冊抜き取る。ぐるっとフロア棚を回り込み、隠れ家のような小さな帳場で精算する。とにかく引越し、ご苦労さまでした。これからも都立大学で古本屋の灯を、常夜灯のように煌めかせていただければ幸いです。新潮社「上海租界映画私史/清水晶」を購入する。
posted by tokusan at 19:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする