2018年09月16日

9/16久々に大台に到達する。

朝からゴロゴロ重い古本を引いて、電車に乗り、地下通路の人ごみを掻き分け、動く歩道の上を素早く移動し、「みちくさ市」に午前十一時から楽しく参加する。早速お出ましの古本神や古本高校生と情報交換したり、上目遣いに近付く「ドジブックス」さんから古本屋開店情報をタレ込まれたり、トーク登壇に向かう角田光代さんと道を挟んで手を振り合ったり、画家・武藤さんに遠目に作家の樋口毅弘さんを教えられたり、子供の手を引いたお父さんがカレル・チャペックの「園芸家十二ヶ月」を示しながら「ペチャックはいいぞ!」と真顔で言っていたり、隣りで売っていた『大鉄人17』のソノシートをきっかけに「JUNGLE BOOKS」(2018/06/16参照)ケンさんと主題歌について記憶を探ったり、オカルト関連本をゴッソリ買い占める勇者に目を丸くしたり、ママの押すベビーカーが目の前に停まり赤ちゃんと目が合ってニンマリ笑顔を見せたところ泣き出されたり、お客さんとECDについて喧々諤々の議論を交わしていたら唐突にカレーパン(豆入りで美味しかった!)を差し出されたり、塩山芳明氏の日本共産党参議院議員“吉良よし子”のニッチ過ぎるポスターヤフオク売買の話に爆笑したり、「朝霞書林」さんに一万円の両替を頼まれたり…などなどと、午後四時までの五時間を楽しく過ごす。おかげで今回は久々の大台突破となる、五十一冊を売り上げることが出来ました!会場にお越しのみなさま、足を停めて下さったみなさま、話しかけてくれたみなさま、古本をお買い上げのみなさま、わめぞのみなさま、今回もありがとうございました!そして今日の唯一の古本収穫は、市開始前に眠そうな駄々猫さんがスススと近寄り、「ハイ、これ。ようやく見つけたよ」と渡してくれた一冊。学研 昭和三十八年「中学一年コース」6月号第3付録「中学生傑作文庫 いなか保安官/レイモンド・チャンドラー」である。駄々猫さんが松本の一箱古本市で買った時から「とにかくヒドい表紙なの!」と言っていた珍品なのである。「古ツアさん向き」だと、譲り受ける約束をしてから一年以上…ようやく、新しい猫を飼い始めたために家の中を整理せざるを得なくなり、奥の奥から発見したとのことであった。うぅむ、確かにこの表紙はヒドい!表1だけだと、まぁ宙を掻きむしり無惨に琴切れた男と言った感じなのだが、実は表4に跨がるイラストを全体で見ると、ガ.ガニ股で死んでいる…こんな学習雑誌の付録があって良いものだろうか。とにかく駄々猫さん、ありがとうございます!
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2018年09月05日

9/5東京・国分寺 第1回国分寺大古書市&大物古本トレード!

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午後十二時半に国分寺駅着。改札から北口側に足を向けると、いつの間にか商業ビル『ミーツ国分寺』が完成しており、北への通路がかなり長くなってしまっている。本日からその『ミーツ』三階で、古本市が開かれるとのタレコミを、作家&ホームズ研究家の北原尚彦氏よりいただていたのである。感謝しながらエスカレーターを上がり、真っ白い空間に茶色の古本が集まる会場にたどり着く。およそ六十台のワゴンで六本の通路が造り出され、一般的な本や文庫や雑誌に加え、戦記・ミステリ・映画・宗教・歴史・郷土・山岳・美術・文学などが、わりと硬めな顔を見せている。高知県の「ぶっくいん高知・古書部」や広島県「ひろしま文庫」の古本が見られるのは、なかなか良い経験である。ツラツラと会場を眺めていると、いつの間にか午後一時を回っていた。すると、キビキビとした黒い影がこちらに急接近し、「どうもどうも」と挨拶の言葉を発した。タレコミ元の北原尚彦氏である。だがこれは、偶然の出会いではない。実は、北原氏がかねてから所望する私のある蔵書を、ついにトレードに出す決心をしたので、打ち合わせて本日の古本トレード会合となったわけなのである。なので、メインは古本市より当然トレード!即座に交渉に入りたいところだが、北原氏も尊い古本神なので「もちろん見ますよ」とワゴンに食らいつき始める。その間にこちらは、汐文社「絵本 はだしのゲン/中沢啓治作・絵」晶文社「ただただ右往左往/岡本喜八」湯川弘文館「天日の子ら/藏原伸二郎」(カバーナシ)現代思潮社「赤瀬川原平の文章 オブジェを持った無産者」(輸送箱ナシ)を計1980円で購入する。「はだしのゲン」は、見返しに中沢啓二の絵本出版当時のサイン入りであった。やれ、嬉しや。市は10/3までと、結構長く一ヶ月近く続く。
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そして小さな文庫サイズの『カラーブックス』のパロディ同人誌を買った北原氏と、「まずはトレード済ませてしまいましょう」と合意し、同じ階にある喫茶店の片隅に腰を落ち着ける。そして飲み物をレトロなメイド服に身を包んだウェイトレスさんに注文するや否や、ナプキンで机をテキパキ拭き清め、お互いに茶色い本をドサリと出す。こちらは磯部甲陽堂「幽霊探訪/大窪逸人」と不二書房「鐡腕拳闘王/大下宇陀児」の二冊。「幽霊探訪」の作者は実は山中峯太郎なのだが、この本はディープな峯太郎ファンでも、見かけた事のない稀少な本だそうだ。なので北原氏は、ホームズ翻訳の大家の資料として、いつかは手にいれたい!と思っていたそうである。「鐡腕拳闘王」はドイルのホームズ物『六つのナポレオン像』を翻案した「六人の眠人形」が挿絵入りで掲載されているため、こちらもホームズ研究家としては、ぜひとも入手しなければならない本なのであった。…もうこんな風に切望されたら、ウチでいつまでも横積みしているわけにはいかないのである。必要としている人のところに行って、存分に役に立ってくれ!と決断し、本日の大物トレードが実現となったわけである。お前たち、幸せになるんだよ。そして北原氏が差し出したトレード要員は、何と三冊!香風閣「現代戦争文學全集3 猛る空中艦隊/フォン・ヘルデス少佐」(イギリスとフランスの航空線を描いた未来戦記物。うひゃっ、面白そう!)三教書院「不死人/伊藤銀月」(異様な妄想に次ぐ妄想で展開して行く、世界を旅して繙く狂った書。北原氏もあまりのクレージーぶりに内容を説明しかね「横田順彌氏の「SFこてん古典」を読めば、少しは内容がわかるだろう」とのことであった…ちゃんと読んだ横田さん、すげぇ。オレ、この奇天烈な本、最後まで読むことが出来るだろうか…)世間書房「黄金假面/江戸川乱歩」である。手にして思わずニンマリ。前々回(2017/11/07参照)と前回(2018/05/12参照)のトレード同様、やはり基本的には変化球…クセは強いが特殊能力を持つ、楽しい選手をトレードに出したのであった。よし、頭がどうにかなりそうなのを覚悟して、まずは「不死人」から読み始めるか!と心に決めて、本の入手を喜ぶ北原氏を記念撮影。人の喜ぶ姿を見るのは、いつでも楽しいものである。またトレードしましょう。
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その後は古本と古本探しと古本マニアと書庫と古本屋とSFとホームズなどについて話しまくった後、お店から神輿を上げて南口に出て「まどそら堂」(2015/06/08参照)へ。店主と挨拶を交わし、「国分寺大古書市」の情報を提供しながら、福音館書店こどものとも344号「とらのゆめ/タイガー立石 さく・え」を千円で購入する。続いて激変しつつある北口に向かい、これも激変しつつある「七七舎」(2016/02/06参照)へ。現在1号店の隣りのお店を改装して、お店の拡大を図っている真っ最中である。
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トランスアート「ブルーノ・ムナーリ」を100円で購入する。駅で北原氏と分かれた後は、西荻窪駅で途中下車。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に先月の「フォニャルフ」売り上げを受け取りに行く。すると思ったより売れていたので、ついつい四千円の芸文新書アクション・シリーズ「残酷なブルース/河野典生」を購入してしまう。
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2018年08月30日

8/30古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第五章】

本日は“盛林堂・イレギュラーズ”に華麗に転身し、いざ新保博久教授の、毎回過酷を極めるトランクルーム整理活動へ!だがトランクルームに到着した途端、ボスの盛林堂・小野氏が「ごめん!」と泣き笑いの表情を見せる。「か、鍵を忘れて来ちゃった…トランクルームの鍵」…ガガァ〜〜ン!ぼ〜っとここで待っているのもなんなので、西荻窪に鍵を取りに戻る盛林堂号に同乗し、クーラーを満喫しながら一時間のドライブ………今度は無事に鍵が開き、トランクルームにようやく潜入成功となる。今回の教授不在のミッションは、文庫棚九龍城を空にすることと、以前結束した本&廃棄雑誌の運び出しである。まずはひたすら九龍城から文庫をマシンのように抜き出し、小野氏がそれをマシンのように結束して行く。するとすぐさま城は、明け渡された空家状態となる。
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続いて小さな部屋に押し込めていた結束本の束を廊下に出し、さらに大部屋の棚の上に教授の手によるあやふやな結束後に置かれた雑誌束を下ろしまくって行く。
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廊下に並べるといつもよりは少なめだが、全部を台車で車まで運び出すには、やはり三往復が必要な量である。チャチャチャッとすべてを二時間半ほどで済ませ、早々と撤収作業に入る。これで大部屋の棚以外の本はほとんど運び出したことになるので、次回からは、ダンボールに詰められた本を暴き、選別して後運び出しという行程に入ることになるだろう。だが、実は京都での教授の暮しに大きな変化が生じそうなので、それに合わせて今後の整理&運送計画も練り直しが必要となるのであろう、次回九月の教授上京時に、その打ち合わせを進めるつもりである…それにしても、昨年末からず〜〜〜っと、教授の蔵書整理をしている気がする…いや、気がするんじゃなくて、確実にしているのである。とても光栄で貴重な体験で楽しいのだが、まさかこんなにも長く深く関わることになるとは、夢にも思っていなかった。果たしてゴールは、いったいいつのことになるやら……。

そして本を台車に乗せ、車へと移して行く、最初は文庫本、次はハードカバーとノベルス、最後に雑誌類。だが、この最後の雑誌類が、軽い惨劇を巻き起こす。結束は緩いのだが、まぁちょっとの距離だ大丈夫だろうと、高を括ってガラゴロガラゴロ運んで行くと、振動により次第にバランスが崩れ始め、表に出て車まで後一歩のところで、哀れ崩壊してしまう…あぁ、やはり面倒くさがらずに、もう一度縛り直すべきであったか…。
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そんな今回の労働を癒す合法的強奪本は盛光社ジュニア・ミステリ・ブックス「耳をすます家/メーベル・イーリー 深夜の外科病室/クェンティン・パトリック」である。いつも通り、教授に大感謝を!西荻窪に無事に本を運び出し、献本していただいた盛林堂ミステリアス文庫新刊「冒険小説 宝島探検/森下雨村」とともに写真に収める。
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「冒険小説 宝島探検」は探偵小説の父・森下雨村が、“母子草”の名で十代の若さで著した、明治四十二年刊の幻の冒険小説である。
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2018年08月20日

8/20東京・荻窪 リニューアル「ささま書店」


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月曜恒例の「ささま書店」(2008/08/23参照)詣でであるが、少し出遅れて午前十一時四十分に店前に到着する。だがいいのだ。今日は、大幅にリニューアルしたお店を、ツアーするためにここに来たのだ!百均天国の店頭に変化はなく、右に文庫棚が二本、左に単行本棚が二本直列し、入口左横には300均単行本棚が泰然と構えている。長細く奥深い店内に入ると、棚のレイアウトなどはそれほど変わっていないのだが、入口側ゾーン・中央帳場ゾーン・最奥ゾーンのうち、最奥ゾーンに変化が認められる。以前は少しナナメに配置されていた通路棚二本が、動線と並行に置かれるようになったのだ。なので店内の見通しが増した感覚がある。入口側ゾーンは壁棚に挟まれるようにして、長い平台付きの背の低い通路棚が置かれている。右壁には映画文庫・美術文庫・音楽文庫・五十音順日本文学文庫・海外文学文庫・古い小型本少々・海外SF&ミステリ文庫・学術系文庫がズラッと収まっている。向かいの通路棚には自然科学・経済・東京などが集まり、裏側には最近刊文学・古本&本関連・エッセイ・文学評論・歌句集が集まる。左の壁棚には、今まで奥に籠っていた日本文学・日本近代文学・ミステリ・SF・幻想文学・海外文学・詩集が大移動。これまで奥で必死に目を凝らしていたジャンルが、明るい入口付近にあるのは、なんだか意表を突かれた珍妙な感じである。中央帳場ゾーンには大きな動きはなく、右の凹んで広がるスペースに二本の絵本&大判本・ビジュアル本棚が置かれ、その周りを取り巻く壁棚には、児童文学・神話・昔話・日本伝統文化・古典文学・芸能・演芸が並んでいる。帳場正面の棚脇には、ビニールに入ったプレミア本が展示され、今は亀鳴屋の「稚児殺し/倉田啓明」の特装本が強力に輝いている。最奥ゾーンに進む前に立ちはだかるナナメの通路棚には、民俗学と美術・音楽が揃えられている。左の帳場脇から延びる行き止まり通路には、店員さんが箱を組み立てる作業の真っ最中で、どうも入り難い。遠目に棚を伺うと、鉄道関連があるのを確認出来た。そして以前映画関連が収まっていた右壁棚は奥まで一直線となっており、今は近現代史・歴史・古代史を集めている。最奥ゾーン通路棚右側には、仏教・中国関連・哲学・思想・社会学が並び、左側には世界文化&歴史・音楽・映画・演劇となっている。奥の壁棚は東洋文庫・全集類・政治関連が収まり、左奥に出来た作業場横の棚から帳場横までは、カルト&セレクトコミック・風俗・性・世相・写真・美術などが並んでいる。前後が大きく入れ替わった形だが、しばらくするとこの状態にも、いつの間にか慣れているのだろう。店頭の豊潤な百均と、眺め渡せば必ず欲しい本が見つかってしまう深い棚があれば、それでいいのだ。店頭ではリブロポート「春歌 小林恭二 初期句集」を。店内では大移動した映画棚で、同文館「外国の映画界 その映画をつくる人、演ずる人/植草甚一」を見つける。植草の譯著・共著以外の、初単行本である!値段を見ると二千円で、相場の半額!これを買わぬ手はない!と己を即座に説得し、計2268円で購入する。こんな本がホロリと見つかるので、ついつい悪魔に囁かれ、財布の紐が緩んでしまうのである。
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新書サイズで装幀は花森安治。カラフルなリールの絵がとてもプリティ!
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2018年08月18日

8/18ハンガリーとチェコの絵本市

酷暑の中に突然割り込んで来た九月のような午後三時に、南荻窪に流れ着く。フラフラとうろ覚えの住宅街の道をたどりながら、西荻窪駅を目指す。JRの高架線が近付き、見慣れた『平和通り』に出られたので、ホッとしながら西へ。すると小さな「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の店先が、まるで外国の街角のお店のようにささやかに華やいでおり、何かイベントを開いているようである。
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外国新聞の並んだラックや、300均絵本箱に目をやりつつ、ウィンドウに万国旗のように下げられたカラフルなハガキに顔を近付けると、『ハンガリーとチェコの絵本市』の文字が。ちょっと見て行くか、と小さな店内にスルリと入る。先客は浴衣姿の女性に明るい柄のワンピースの女性、それに入口付近で写真を撮影中のカップルさん。なんの負けるもんかと、即座に入口付近で展開されている、読めぬ言語の絵本たちに自分なりの闘いを挑んで行く。無条件に可愛い絵、独特なアクを持つ不気味とも見える絵、作家性の強い絵、グラフィカルな絵、ケースの中で輝くダーシェンカ!…古いものほど魅力的なのは何処の国も一緒だが、やはり値段もそれなりとなる。背が布張りで、手にした瞬間に紙の軽さを如実に実感出来るのは、本の多様性を今更ながら感じ取れる楽しいひと時である。窓際には丁寧にラッピングされた可愛い紙物も多数並べられている。見知らぬ国の絵本に溺れるように、何を買おうかと散々多数の絵本を手にした挙げ句、結局は一冊の写真絵本が目に留まる。二人の兄弟と思しき少年が、港に停泊していた巨大客船にそっと乗り込んだところ、船が出港してしまい、密航者として船旅を余儀なくされる…と言うようなストーリーらしい。写真はすべてモノクロで、日本の写真絵本の名作「よるのびょういん」を彷彿とさせる、不安と寂しさと切なさと楽しさが交錯する、魅力的な一冊である。値札の説明によると、フィンランドの本のハンガリー語版らしい(複雑な…)。奥の帳場でにわとりさんご夫妻に挨拶し、Mora「Potyautasok/Tutta es kristiasn Runeberg」を1800円で購入する。この市は8/31まで。
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家に帰って『Potyautasok』の意味を検索してみると、やはりハンガリー語で『密航者』であることが判明する。
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2018年08月08日

8/8古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第四章】

台風が接近中だが、“盛林堂・イレギュラーズ”として出動を余儀なくされる。イレギュラーズであるからにはボスである「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに、都内某所のトランクルーム前。セキュリティの高い鉄扉がガチャリと開くと、そこには懐かしい新保博久教授の笑顔!上京のタイミングに合わせ、教授の飛石書庫でもあるトランクルームの整理を、少しでも進めるための、荒天の下の集合である。今日の作業は、教授がいつもの如く本の仕分けに専念し、小野氏は仕分け本と廃棄雑誌の結束、私が雑誌の運び出し&さらなる仕分けのための箱整理となる。と言うわけで、まずは大部屋2の積み上げられた箱の中から、雑誌をひたすら穿り返さねばならない。ダンボールをふんぬふんぬと移動させ、見やすいように固めて積み上げ、潜む雑誌を廊下に積み上げて行く(文芸雑誌類は意外に重いなぁ)。たちまち失われる体力とともに、廊下はいつものように物品で溢れ返る…何度見ても恐ろしい光景である。
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教授は、せっせと仕分けるとともに、性懲りもなくまだ京都に本を送るために、新たなダンボールを生み出している…や、山村美紗のノベルスなんて、もういらんでしょう!…などと心の中で突っ込みながら、新ダンボールと旧ダンボールを大部屋2に新たに積み上げて行く…。
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旧ダンボールは恐らく三部屋合わせて百箱近くあるのだろうが、資料や本や雑誌や雜物が、引越のドサクサで詰め込まれた状態なので、これはすべて開けてみて仕分けなければならないのである…こればっかりは、教授の上京頻度アップと根気強い作業に期待するしかない…ガンバレ、教授!
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※大部屋1で床に座り込みひたすら本を仕分ける教授。準備万端ジャージに着替え、午前十一から五時間程ぶっ続けで作業中。

そして結束された雑誌を、雨の中運び出すために、控え目に束を積み上げた台車の上に、展開ダンボールを広げて乗せる…何だか百科事典の列に変装した小林少年のような感じに…。
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一度西荻に廃棄雑誌を運び出し、戻ってからは結束作業と整理作業。午後四時半に作業を終了する。…三時間半だが、やはり本との格闘は重く濃密で、身体の芯にどっしりした疲労を残している。これで三部屋ともずいぶん余裕が出来、スペースを作るなどの雑用的仕事も少なくなって来たので(つまり古本屋的には後はひたすら本を運び出すだけ)、今後の作業の進行は、ひとえに教授の腕にかかっているわけである。教授は明日もここを訪れ、仕分けを進めるとのことである。果たしてこのシリーズは、いったい何章まで続いて行くのだろうか…。そんな本日の嬉しい収穫は、今は亡きミステリ古本屋「TRICK+TRAP」のブックカバー。以前いただいた物とは別バージョンで、こちらは、いしいひさいち描くシャーロック・ホームズがプリントされている。他には目をギラリと輝かせて、函ナシで背が赤いテープで補修された春秋社「Yの悲劇/バーナビイ・ロス」を強奪すると、教授が「「紙魚殺人事件」を抜かれてから(2018/06/22参照)、もう完全じゃなくなりました。いっそのことこっちも持って行って下さい」と笑いながら、ぶらっく選書の「Xの悲劇」「Zの悲劇」も手渡される。ありがたや〜ありがたや〜。
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「Yの悲劇」がやはり嬉しい。装幀は吉田貫三郎。この人の民藝チックなデザインワークに、本を手にする度に魅せられて行く。しかしその本がどれも高値なのは何故だろうか…。序文は江戸川亂歩で、冒頭近くの『私は今この翻譯のゲラ刷りを讀み終わったところなのだが、私の中の探偵小説の鬼が眞赤に興奮して踊り出してゐるのを感じる』の素敵で滑稽な一文が、物語への期待を俄然高みへと誘いまくる!
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2018年07月29日

7/29東京・平井 平井の本棚

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台風が過ぎ去った途端に全力で放射し始めた日射しを恨めしく思いながら、総武線に乗り込んで東へ。昨日順延となった花火大会が行われる隅田川を越え、両国・錦糸町・亀戸でたくさんの乗客を吐き出した後、旧中川を越えて下車。高架ホームから改札に下り北口に出ると、新し気なロータリーである。すぐに西に足を向けテクテク歩んで行くと、線路沿いの道が延び始めるコンクリ法面向かいのビルに、『本』の文字や、カラフルな本が描かれた看板が現れる。ここは昨日7/28に開店したばかりの、出来立てホヤホヤのお店である。内装を手掛けた、“古本屋建築界の安藤忠雄”中村敦夫氏からタレコミをいただいたのである。ピンクと黄色に塗り分けられた『本』とある標の横には、緑色の文庫木箱が四つ置かれている。安売文庫と絶版文庫の組み合わせに胸を軽くドキつかせながら、凝った造作の引戸をスライドさせて中に入ると、店頭箱同様緑の棚で構成された小さな統一感のある空間である。入口右側にはまず小さな棚があり、『文鳥文庫』(最大16ページの名作文特殊文庫)が並んでいる。続く右壁から奥壁にかけて八本の壁棚が設えられ、棚上には文学全集が積み上がり、棚最上段には100均単行本が横一線に並び、現代思想・ビジネス・社会・芸能・タレント・映画・歌舞伎・古書・文学・詩集・井上靖・三浦哲郎・庄野潤三・塚本邦雄・遠藤周作・小川国夫・辻邦生・中村真一郎・写真集などが続いて行く。とはいえ、まだ『値付前』ゾーンなどもあり、少し雑本的な並びを見せている。中央には背中合わせの緑の棚が二本あり、脇に南方熊楠粘菌手拭などを展示しながら、新書・美術大判本・文庫・自然・旅・エッセイ・エッセイコミック・料理・園芸などを揃えている。入口左横には児童文学と絵本が集まり、左壁棚には新刊書や南方熊楠&猫コーナーが設置されている。とここで、お久しぶりの「リコシェ」さんから声をかけられ、店主さんを紹介してもらう。長身痩身の女性店主は、何だかアニメ『名探偵ホームズ』のモリアーティー一味・スマイリーのような素敵な方である。アッ!良く見ると新刊書の棚の前には、独り出版社『共和国』の下平尾氏が本をディスプレイしているではないか。そんな風に知り合いと錯綜し、初めて来たお店で和やかな雰囲気になってしまったので、「リコシェ」さんに圧されまくり、勢いでオススメ本のポップを作成してしまう(店主さんから図らずもスマイリーを連想してしまったので、児童本のドイル「うしなわれた世界」とねずみの国のシャーロック・ホームズ「ベイジル」を推薦しております)。本は安値だが、棚造りは一部以外は、まだまだこれから固まって行く発展途上の模様。しかしお店造りと新刊&古本棚造りの楽しさに満ちあふれているのは確実なので、目を凝らせば良い本が買えそうである。出版芸術社「怪獣小説選集2 怪獣大戦争」(500円!)生活社「都市下層社會/西田長壽編」(『最暗黒の東京』『貧天地饑寒窟探檢記』『大阪名護町貧民社會の實況紀略』『東京府下貧民の眞況』を収録)を購入する。お店の左奥が帳場になっているのだが、黒塗りの木材で縁取られた畳敷きの上がり框があり、そこに置かれたカウンター代わりの、小さな飴色の古いミシン台がとてもとてもプリティーである。何はともあれ、開店おめでとうございます。地元らしきお客さんが「この辺り、本屋さんがないんで、すごく嬉しいです!」と力説しているのが、微笑ましく印象的であった。
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2018年07月24日

7/24古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第三章】

午後一時前に、家の前の道路にキキッと盛林堂号が停まる…そう、このパターンは“盛林堂イレギュラーズ”としての出動である。向かうは新保博久教授のトランクルーム!前回に続き教授は不在だが、八月に上京予定なので、その時までに少しでも整理を進めておく心積もりなのである。だが、今日もトランクルームのフロアは灼熱である。盛林堂・小野氏がフロア内温度計に目をやると、三十四度!センサーでエアコンが唸り始めるが、ただ熱い空気をかき回しているだけである。活動限界は二〜三時間だろう。今日の予定はトランクルーム小の文庫を運び出し棚をずべて解体、そしてダンボールだらけの方のトランクルーム大の整理…とここまで進めたい。早速小部屋の床にあった本や棚にあった本を大部屋に逃がし、文庫を運び出し始め、小野氏がそれを結束して行く。
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※作業前のトランクルーム小。スッキリしているように見えるが、恐ろしいほど文庫本が二重にビッシリ詰まっている…。

途端に汗塗れになりながら、水分をこまめに補給し、途中にアイス休憩を挟み、それでも確実に早い限界に近づきながら、文庫束四十本を造り出し、棚を五本解体する。するともう午後三時になっている。まだもう少し大丈夫だろうと、大部屋の雪崩れているダンボール箱を多数小部屋に逃がし、右側に現れた文庫本の集合住宅…いや、増築に増築を重ねたような文庫本・九龍城の全貌を露にする。
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これらは旧新保邸の台所周りや、押入れに収納されていたケースである。これらをスパスパ抜き出し、小野氏が素早く結束する。だが三十分も続けたところ、「小山さん、ゴメン。これ戻して。もう縛る手が限界だ!」と文庫束五十五本を作ったところで作業を中止し、撤収作業に取りかかる。時刻は午後四時半…酷暑の中の古本&その他もろもろとの格闘は、やはり三時間が限界であった…。だが、エネルギーをすべて使い果たし、身体は疲労の極地に達しようとも、今日の収穫は掠め取らねばならない!トランクルーム大の壁棚に齧り付き、あかね書房 少年少女世界推理文学全集「魔女のかくれ家/ディクスン・カー」(扉セロファンには、教授の手によるインク消しで描かれた魔女の横顔が!)「マギル卿さいごの旅/クロフツ」盛光社ジュニア・ミステリ・ブックス「物体Xの恐怖/ジョン・キャンベル・Jr」の三冊を拝受する。教授に報告すると『むむむ、痛いところを突いてきますね。でも可愛がってやってください』と返って来る。教授、大事にします!その後はゼエハァ西荻窪に本を運び出し、本日のお務め終了となる。お疲れさまでしたぁ!
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そして家に帰ると、嬉しいヤフオク落札品が到着していた。表紙は黄色い布張りのオリジナルになってしまっているが、中身はちゃんと奥川書房「孔雀屏風/横溝正史」!昭和十七年出版の短篇集であるが、このタイトルから思わず想像してしまう捕物帳ではなく、探偵小説・奇妙な味の小説・防諜小説・戦意高揚ミステリーなど、1932〜1941に執筆した十編を収録しているのである。これが何とライバルゼロで三千円!姿形はちょっと異なるが、まさか手に入る日が来るとは!読める日が来るとは!これが俺の「孔雀屏風」!と小躍りする。『二千六百萬年』は、何と横溝のSF作品!少女探偵小説『ヴィナスの星』では、三津木俊助が荻窪に住んでいることが判明する。ウヒヒヒ、素敵だな。楽しいな。たちまち昼間の疲れが、何処かに霧散した気になる。
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2018年07月20日

7/20東京・西荻窪 CARPE DIEM

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昨日は西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚にストトトトンと補充する。店主の小野氏と打ち合わせをしたかったのだが、不在で会えず。結局この日は補充だけに終わる。明けて本日、午後二時過ぎに昨日来たばかりの西荻窪に流れ着いてしまう。いつものように体力ゲージはピコピコ点滅状態…だが、最後の力を振り絞り、先ほど見かけたお店に白昼の幽鬼のように接近して行く。駅からは北口に出て『西荻北銀座』の西側歩道を北進。アーケードを抜け、カツ丼の美味しい赤い日除けの『坂本屋』前も通過し、プラタナスの生い茂る坂を下って三本目の脇道を西に入る。するとすぐに、小さく瀟酒で控え目なアンティークショップが目に入るだろう。その店頭に並ぶ足の長い木箱の一つに、一冊五十円の古本が十冊強並んでいるのだ。『地獄に仏』!『渡りに舟』!と二冊をつかんでドアを開ける。小さな薄暗い店内に目が慣れ始めると、アンティーク&雑貨たちに混ざり、右奥に岩波文庫棚・ちくま文庫棚・美術骨董関連棚もあるのが目に留まる。冊数は多くはないが、ちゃんと店内で古本を扱ってくれているのが、無性に嬉しくてたまらない。しかしそこから本は抜かずに、奥の小部屋のような帳場に入り込み、橋本大二郎風紳士に精算をお願いする。「二冊で百円ですね。お包みしますか?……うわっ!本が熱い!熱いじゃないですか!」「この日射しだから仕方ありませんよ。あ、このままで大丈夫です」「そんな暑さの中、お買い上げありがとうございました」などと楽しい会話を交わす。新潮文庫「楢山節考/深沢七郎」扶桑社ミステリー「ジキルとハイド/ロバート・ルイス・スティーヴンソン」を購入する。駅への道すがらの「TIMELESS」(2012/06/30参照)が開いていたので、店内で少し涼んで英気を養いながら、アスペクト「電子頭脳映画史/聖咲奇」を1500円で購入する。そして明日はいよいよ古本乙女カラサキ・アユミさんとのトークショー。よし、彼女に今回プレゼントする古本は、アレに決めたぞ!
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2018年07月10日

7/10古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第二章】

早起きして仕事を始め、何となく感じをつかんでから午後に外出。家の前の、アスファルトが溶け始めそうな通りに、キィッと盛林堂号が停まる。そう、“盛林堂イレギュラーズ”としての出番なのである。任務は2018/06/22に続く、新保博久教授のトランクルームの整理である。しかし本日は教授が不在なので、盛林堂・小野氏とともに、以前教授と何となくすり合わせておいたプランに基づき行動する予定。前回縛った本の運び出しと、廃棄と決まった雑誌の結束運び出し。そして大2・小1の三部屋のうち、小部屋のダンボールを外に出し、取り巻く棚の文庫本を取り出し、縛って棚を解体し、さらに収納率を上げるつもり…だが改めて開始時に教授に連絡を取ると、海外作家物は手放してもよいが、やはり日本作家物の選別は行いたいということになり、雑誌以外の本はそのまま棚に残すことになってしまった。というわけでちょっと予定を変更し、とにかく雑誌の運び出し+大部屋1の奥のスチール棚二本を解体し、棚の本は横積みしておき、選別し易いように準備しておく。棚が無くなって開いた部分に各所に蔓延るダンボールを上手く積み上げ、快適な作業空間を造り出すことにする。そうと決まったら話は早く、まずは運び出す物や余計な物や邪魔な物を廊下へ…いつものことであるが、たちまち廊下は物で一杯乱雑となり、とても他の利用者には見せられない光景となる。小野氏は「お願いだから誰も来ないでくれ〜」と頻繁に呟いている。
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本を移動させつつ、棚上の小棚を五本解体し、スチール棚は二本を解体……とまぁ順調に進んでいるように書いているが、実はこのトランクルームは、非常に熱がこもり易い空間となっており、二人とも汗みどろになり、体力がガリガリ奪われている状況…何故か二時間で効き目の薄いエアコンも停まった…途中アイス休憩を挟み体力の回復を図るが、よりこもって来た熱のために、あっという間に体力ゲージが点滅し始める。観念して四時間弱で作業を中止し、喘ぎながらも美しく華麗に撤収し、廊下はあっという間に元通り。大部屋1に大きな空間を生み出せたことにまずは満足し、最後の仕上げに西荻窪に大量の本を下ろしに行く。そんな暑中古本作業の報酬に、ポプラ社 世界推理小説文庫16「消えた鬼刑事/南洋一郎 原作アラン」(前回いただいた「怪盗ファントマ」の前編。これでようやく読み始められる!)講談社「孤独の罠/日影丈吉」岩崎書店 ベリヤーエフ少年科学空想小説選集4「学者象の秘密」(箱ナシだがオリジナルと思しきビニカバが掛かり、背には『5・6年生向き』とある金シールが貼られている。表4の広告を見ると、その仕様について『美装上製』とだけ書かれている。これは元々こういうものなのだろうか?)を拝受する。大いなる役得。今日も遠く京都の教授に感謝感謝である。
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※お知らせ二つ
1. そろそろ書店に並び始める「本の雑誌 麦茶ぐびぐび特大号 No.422」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、栃木・足利の「秀文堂書店」を久々に訪問。そしてたちまち、「やはりここには毎日でも通いたい!」と思わせてくれた素晴らしき本と驚きの安値で出会っております。
2. 古本乙女・カラサキアユミさんとのトークの予約が本日からスタート!みなさま、何とぞよろしくお願いいたします!
■「そうだ、古本屋へ行こう!2018古本乙女の古本行脚レポート」
カラサキ・アユミ×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
2018年上半期の古本乙女による古本行脚レポートを中心としたトークイベントです。カラサキさんが撮ってきた写真のスライドをお見せしながら、戦利品(同展示会でお披露目予定)自慢から、古本行脚アルアル、展示しきれない珍道中の裏話まで、古本屋探訪の楽しみを、お2人に熱く語り合っていただきます。
■日時:7/21(土)開場13:30 開演14:00〜16:00
■場所:東京古書会館七階
■参加費:1000円(当日現金支払い)
■定員:80名(先着順)
お申し込みはこちらから!→http://www.kosho.ne.jp/event/2018/index.html
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2018年06月22日

6/22古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第一章】

昨日、雨上がりの濡れた階段にパーフェクトに足を取られ、仰向けにひっくり返り、尾てい骨と右肘を強打。一瞬にしてポンコツな身体になってしまう…うぅぅぅ、痛い…。だがしかし、本日は“盛林堂イレギュラーズ”として、大いなる難敵に立ち向かわねばならぬのだ。ゆっくりゆっくり歩いて、大阪に向けて古本を発送した後(近日中に「梅田蔦屋書店」ラウンジ壁面古書棚に並ぶ予定)、都内某所のビルにあるトランクルームに向かう。表からすでに内部で作業を始めている方に電話をし、扉を開けてもらう。するとそこには、懐かしき新保博久教授の姿が!数日間の東京滞在の一日を割き、一月の引越以来放置していた、隔たりが多過ぎる飛び地書庫であるトランクルームの整理に、いよいよ端緒を付けるつもりなのである。「盛林堂」小野氏はまだ到着していないので、教授の近況など聞きつつトランクルーム三部屋の現状を確認する。大部屋1は、扉を明けるとダンボールが乱雑に放り込まれ、すでに雪崩始めているのを脚立が止めている惨憺たる有様。
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大部屋2は四本通路のうち二本の極狭通路手前以外は、ダンボールが詰め込まれて進入出来ない状況。三方を棚に囲まれた小部屋は、通路にやはりうずたかくダンボールが積み上がった状態である。初っ端から絶望的な状態であるのが丸分かりだが、今日の教授はとっても一味違っていた。「いや、もうここにあるってことは使わないってことですから、ほとんど手放そうと思っています。ダンボールは別ですが、棚に入ってる本や雑誌は、もう小野さんに任せて、バンバン処分して行こうかと…」。それならば話は早い!いらないものから結束して運び出し、場所を作り部屋を減らし、どんどん作業効率を上げて行くことが出来るのだ。遅刻して登場した小野氏もその話を聞き、早速スピード早めの長期的な整理方針を組み立てて行く。というわけで今日の作業は、まず大部屋1の手前棚の本を出し、結束していつでも運び出せるようにすること。そうと決まれば、即座にあの年末年始のチームワークが復活し、テキパキと静かなトランクルームで作業は粛々と進行して行く。本を私が出し、教授が選別し、小野氏が縛る。廊下も大胆に使用して、あっという間に本の山やダンボールの山や解体された本棚が流れ出す。
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おぉ、極狭通路しかなかった大部屋に、トランクルーム本来の余裕あるスペースが生まれたではないか。途中、教授からシューアイスを椀子そばのように四個差し入れられ、早食いしながら目を白黒させる。棚脇の下部に置かれた箱を開けると『香山滋全集』。すると教授が「その箱、いっつもなんだろう?って忘れていて開けてみるんですが、『香山滋全集』が出て来るんですよ。ちょうどいい。京都に送っちゃいます」と廊下へ運び出し、むりやりダンボールに詰め込んで行く。
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そんな風に、いつの間にかフロア全体のエアコンが停止していた蒸し暑い中で、四時間弱作業する。どうにか来月中には、一部屋減らすところまで漕ぎ着けようと決め、今日のところは終了。大変おつかれさまでした。そしてもはや教授書棚整理作業の恒例ともなっている、重労働に比例した古本を鉄面皮にいただくことにする。選んだ三冊は、日本公論社「紙魚殺人事件/バアナビイ・ロツス作 伴大矩譯」ポプラ社世界推理小説文庫「怪盗ファントマ/南洋一郎」王さまのアイデア事業部「王さまのアイディア NO.7」(その昔日本全国に展開していた、便利グッズ・珍グッズを販売するお店のカタログである。『こんな本出てたんだ!』と驚くとともに『何で教授こんなのを大事に本棚に並べてるんですか!』という気持ちが湧き上がる…)を拝受する。小野氏に「「ファントマ」と「ジゴマ」、本当に好きだねぇ〜」と言われる。すると教授が「「ファントマ」は「消えた鬼刑事」が共本なんですよ」「えっ?あれも『ファントマ』なんですか?」「そうです。元々「幻の怪盗」だったのが、何故か「消えた鬼刑事」に題名を変えたんです。だからこれは第二作というわけです」「なにぃ〜!」…だがすでに「鬼刑事」は、撤収荷物を詰め込んだ奥深く隠れてしまっていた…じ、次回の楽しみにとっておきます…。
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役得の三冊。「紙魚殺人事件」のアールデコ風な装画に俄然痺れてしまう。教授、教授、ありがとうございます!
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2018年06月10日

6/10古本ト占 JUNGLE BOOKS

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なかなかにハードだったここ一週間の、抜け切らぬ疲労を背負いながら、それでも突然の肌寒さに抗い、ヨタヨタ雑司が谷へと向かう。『弦巻通り商店街』の外れにあった半地下の古本屋さん「JUNGLE BOOKS」(2010/08/20参照)が、同商店街の中心部に移転開店したのである。地下深き副都心線の駅から、何度もエスカレーターを乗り換えて『1番出口』から、都電荒川線線路脇に顔を出す。池袋方面に足を向け、『大鳥神社』脇の踏切から東に折れ曲がり、街中のうねった道を進んで行く。ウネウネグイグイ歩いて行くと、やがて右手に「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)が現れ、おっ!そのすぐ先左手に、ピカピカの「JUNGLE BOOKS」が出来ていた。古本を扱うお店が近接しているのは、誠に嬉しい限りである。ジャングルっぽく緑と焦茶を基調にしているのは相変わらずで、緑の日除けの下にはガラスウィンドウが曇天の下でも輝き、移転開店祝のお花が溢れ返っている。中に入ると、焦茶のウッディでシックな空間。奥の帳場に座るジャングル・ケンさんと挨拶を交わす。ここは完全でまともな古本屋空間と化しており、奥のガラス障子で仕切られたスペースが、占い空間として独立している様子である。その証拠に奥からは、ジャングル・ユキさんがフランクにフレンドリーに託宣を告げていたり、筮竹を鳴らしているような音が聞こえて来る。古本屋空間は、左右の両壁棚と、真ん中に平台棚が置かれたシンプルな構成。以前のお店とそんなに蔵書量は変わっていない感じである。左壁棚には、日本文学文庫・ちくま文庫・講談社文芸&学術文庫・ミステリ系文庫・SF文庫などが質高く並べられ、さらに性愛・映画・ミステリ&エンタメ・文化・占い関連・新刊・占いグッズ・CDなどが続いて行く。中央の平台棚には雑貨類とともに、幻想文学・アート・絵本が集められている。入口右横にはLPや奇妙なプレイヤーが置かれ、右壁棚に児童文学・絵本・古書・神秘学・オカルト・民俗学・海外幻想文学が並んで行く。質は高いがその分値段はしっかり目である。ケンさんに引越は近所だからと言ってまさか台車で?と聞いてみると、ちゃんと車で運んだそうである。旧店にあった時から買おうかどうか迷っていた、博文館「動物小説集 紅鱒/乾信一郎」がまだ残っていたので、心を決めてついに買うことにする。函ナシで1500円也。

帰りに新宿で途中下車し、『BERG』のカウンターに寄りかかり、ハーフ&ハーフを傾けつつ小林信彦「冬の神話」を読み耽る。山奥の鍾乳洞を訪れる下りで、連想した江戸川乱歩「妖怪博士」を長々と引用する箇所があるのだが、それを受けた文章が残虐な展開になっているのが何とも不思議である。あれ?二十面相こんなことしたっけ?まぁもう、四十年前くらいに、親戚の家の近くの図書館で借りて一晩で読んだのが最後だからなぁ。でもやっぱり、二十面相は、こんなことしないはずだが…小林信彦の秘められた妄想、いや願望なのであろうか。などと思考を余計な脇道に盛大に逸らせ、雑踏の地下道の片隅のお店で、緩い読書の時間を満喫する。
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2018年06月02日

6/2東京・西荻窪 西荻ガレージセール

午後二時に西荻窪南東辺りの宮前に流れ着いたので、中央線に対して斜めに道が延びる住宅街を潜り抜け、『西荻南中央通り』にある『銀盛会館』に向かう。今日と明日、この商店街が共有する古いガレージで、安売アンティークが並び、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)が100均本を大量放出する、「西荻ガレージマーケット」が開かれているのである。すでに開始から四時間が経過しているのに、ガレージには多くの人が押し掛けている。
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主に右辺と奥がアンティーク&バーゲン品&デッドストック類で埋まり、古本は左辺と中央長テーブルに集まっている。ミステリ&SF文庫・文芸単行本・仙花紙本・推理小説単行本・ミステリ&SF雑誌・春陽文庫などがすべて100円でうずくまっている。すでに古本神と古本修羅に蹂躙され後なのだろうが、補充は常に行われているようななので、どうにか三冊を掴む。新潮文庫「アッシヤァ家の沒落/エドガア・アラン・ポオ」「日夏耿之介詩集」カッパ・ブックス「みみずく説法/今東光」を計300円で購入する。テクテク通りを北に遡り「盛林堂書房」に立ち寄る。「フォニャルフ」の動きをチェックしつつ、右上の本棚探偵「ひとたな書房」に視線を移す。おぉ!渡辺啓助の「海底散歩者!」、げえっ!その隣りには常に恋い焦がれている九鬼紫郎の別ペンネーム・九鬼澹の仙花紙本が並んでいるじゃないかっ!何てことをしてくれるんだ、本棚探偵!と一人で無闇矢鱈にいきり立ち、値段をチェックする……一万三千円か…いつものように、相場の半額ほどの破格値だが、さすがに高いな…。万超えの値に、古本心が少しクールダウンする。そして帳場に向かい、朝日新聞社「空を護る科學/淺田常三郎」アトリエ社「ピカソの歩いた道」を200円で購入し、とにかく心を落ち着けて「フォニャルフ」の先月分の売り上げを受け取ることにする。するとその額が、ちょうど一万三千円……あぁっ!これはいったい古本神の気まぐれな悪戯なのか!それとも思し召しなのかっ!たちまち心は麻酔され、フラフラと「ひとたな書房」に接近し、湊書房「探偵小説集 人口怪奇/九鬼澹」を脆くも購入してしまう…買ってしまった。もう喜んでいいんだか、嘆いていいんだか自分でもよく分からないが、この憧れの本がとにかく手に入ったのは、ちょっとしたパーティでも開きたいくらい嬉しい気分である。この本が、こんな値段で手に入るなんて、基本的にないもんね。

戦前に九鬼紫郎が編集長を務めていた探偵小説雑誌「ぷろふいる」に掲載された自作の探偵小説三編をまとめた全230ページの中編集である。戦後はハメット張りのハードボイルド系探偵小説を書き飛ばし、奇怪な輝きを放った九鬼だが、いったい戦前にはどんな小説を…と読み始めると、書き出しの「懐かしい東京よ、さやうなら(オールヴアール)」に早速ノックアウトされてしまう…や、やっぱり、か、買って良かったなぁ。良し、これからビールでも傾けながら、あらゆる読みさしの本をすっ飛ばし、この「人工怪奇」に取りかかることにしよう。本棚探偵、今日もありがとう!
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青空の下の「人工怪奇」。その歪な宝石のような原色の輝きで、俺の心を存分に魅了してくれっ!
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2018年05月26日

5/26東京・恋ヶ窪 ニコニコ堂

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いつかのように、疲れ切って土曜日の恋ケ窪に流れ着く。これを回復するには古本が一番なのだが、もはや隣駅の『鷹の台』に行って古本屋を巡るのも、『国分寺』に出て古本屋を巡るのも、エネルギー切れで面倒くさい!と、先ほど偶然見かけた古道具屋に、ツアー運命を賭けることにする。駅からは改札を出たら、南に横たわる『市役所通り』を西南へ向かう。この辺り的に繁華とも言える駅付近を離れ、緩やかにうねる通りを一キロ弱進む。左手に特養老人ホームが現れたら、そこを越せばお店にようやっとたどり着く。平屋のお店で、軒に架かる大きな看板は、もはや色褪せて判読するのはなかなか難しい。古びた格子窓が古道具屋的な店頭には、『古道具』の立看板と共に、牛の金属作品やシャベルや刺又やら壺やらブリキのバケツやら木材ブロックやら陶器やらが置かれている。赤い郵便受けには「ニコニコ堂」の店名と共に、『長嶋』と大きく書かれている…「ニコニコ堂」…『長嶋』………ハァッ!そうか!ここが作家・長嶋有氏のお父さんがやっている古道具屋なのか!えぇい、もう古本が売ってなくてもいいや。入っちゃえ!とサッシ扉に手を掛けると、扉がゆるゆると開いて行く。店内は古道具屋と言うよりは、アンティークショップの様相が強い。“山”の字型に通路が走る小さな店内には、標本・民具・古ハギレ・絵画・アクセサリー・楽器・人形・玩具・掛軸・ノベルティー類・レコード・古家電…戦中の風俗を伝える物が、割と目立ち異彩を放っている。そんな中に、絵葉書類・楽譜・ノート・和本・パンフレット・古雑誌・小冊子などもしっかりと点在している。そして目指す古本も、数少ないが所々に無造作に置かれている。一冊を手にして、旧式扇風機が健気に風を送っている、奥のプライベート感の漂う帳場的空間に声を掛けると、赤いズボンを履き長身で髭もじゃの、加藤嘉風老人が立ち上がって来た。精算をお願いすると、言葉は端折って不明瞭ながらも、しっかりと応対してくれて本を袋に入れてくれた。野球界社「ラグビー通になるまで/本領信治郎」を購入する。昭和六年三版の、熱の籠ったラグビー競技解説書である。作者は早稲田ラグビー部の主将を務めた人物で、己を『俄文士』とけなしつつも、解説はラグビー狂いの社長が、秘書と社員に熱く語る形を採っており、なかなかに読ませてくれる。これが嬉しい破格の300円であった。
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2018年05月25日

5/25東京・豪徳寺 絵本と育児用品の店Maar

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午後一時に梅ヶ丘に漂着したので、経堂に足を延ばして「大河堂書店」(2009/03/26参照)を楽しく探る。単行本にめぼしいものが見当たらないので、文庫本に狙いを定め、中央通路に腰を据える。春陽文庫「能面殺人事件/高木彬光」文春文庫「草のつるぎ/野呂邦暢」を計255円で購入する。続いて豪徳寺まで歩いて「靖文堂書店」(2011/09/06参照)も急襲して行くか!とテクテク東に歩き(この辺りの駅間はわりと歩き易い距離なのだ)、世田谷線の踏切を渡って『豪徳寺商店街』に、南の尻尾から入り込んで行く。すると右手に偶然古本棚を出しているお店を発見する。絵本と児童文学と一般文庫か…他には籐製の乳母車や子供服が店頭に置かれ、立看板には『絵本と育児用品の店』と書かれている…育児用品には縁も所縁も無いのでハードルが激高だが、絵本があるのならどうにかなるだろう…ままよ!と店内に滑り込む。中央のテーブル平台脇では、落ち着いた感のある女性店主がお客さんとお喋りの真っ最中である。よし、不審がられる前に、素早く見てしまおう。入口右横には平台+棚が置かれ、本&古本関連・SF関連が、文庫本単行本織り交ぜ並べられている。また、新刊と古本が混ざっているディスプレイで、通常のスリップが挟まっているのは新刊。お店オリジナルの茶色いスリップが挟まっているのが古本となっており、そこに値段が書かれている…ざっと見た感じでは、新刊の方が多そうである。右壁には児童文学と絵本が並び、かこさとしコーナーも作られている。その奥には育児・親子・教育などの本が一棚分集められている。左壁の飾り棚には、主に新刊オススメ絵本が飾られている。うむむむとちょっと悩むが、結局新刊の文春文庫「未来のだるまちゃんへ/かこさとし」に決めて精算をお願いする。すると本を見るや否や「かこさん、亡くなっちゃいましたね」としみじみした嘆きの言葉を投げ掛けて来る。「そうですねぇ。残念ですよね。最後までバリバリ描いてましたもんねぇ」「そう。だからいつまでもお元気だと、勝手に思っちゃってたんですが…」「お年でしたもんねぇ」…二人の間を、何だか温かいものが、仄かに流れて行く…。お店を出て商店街をそのまま北に遡り、予定通り「靖文堂書店」へ。中公文庫「肌色の月/久生十蘭」を200円で購入する。
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2018年05月22日

5/22東京・立飛 リサイクルショップ花音

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立川北部の栄町という郊外の住宅街に午後三時過ぎに流れ着き、『こんな所に古本の影はないだろうなぁ…』と高を括っていると、福祉系ショップに古本が並んでいるのを偶然発見し、世の中も立川も捨てたもんじゃないと、古本の神に感謝を捧げる。多摩都市モノレールの立飛駅(『立川飛行場』ということですな)から東側の地上に降り立ち、南東にグングン進み『芋窪街道』に突き抜ける。そのまま南にしばらく下って行けば、『栄町4丁目交差点』の東側に大きな『栄四丁目商店街』の現れるので、そこを潜る。すると信号と緑道を越えた『南部公園』の裏手のリサイクルショップに、どうにかたどり着けるであろう。店内はほぼ古着と雑貨で、おば様たちがショッピングを存分に楽しんでいるが、入口の両脇に小さな本棚も置かれ、新し目の時代劇文庫やミステリ&エンタメ文庫がしっかりと並んでいる。左壁棚には、少量の実用本や児童文学もあり。おば様たちに混じり、文庫本を二冊釣り上げ、奥の帳場で精算する。レジのご婦人は「えっと…本は定価の一割…一冊四十円で…二冊で八十円です!」…端数は切り下げてくれました、ありがとうございます!新潮文庫「釣師・釣場/井伏鱒二」文春文庫「三陸海岸大津波/吉村昭」を購入する。だがやはり、何となく物足りないので『芋窪街道』で見かけた「ブックオフ立川栄店」にも突入し、光文社文庫「現代詩殺人事件/齋藤愼爾編」河出文庫「怪異な話 本朝不思議物語/志村有弘編」を計216円で購入し、モノレールでスイスイ玉川上水まで出て、西武線を乗り継ぎ帰宅する。
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2018年05月20日

5/20東京・吉祥寺 引っ越していた「すうさい堂」

美しく雲が浮かぶ五月の空の下を、テクテク歩いて荻窪に向かい、「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭を覗き込む。講談社愛蔵復刻版少年倶楽部名作全集「新戰艦高千穗/平田晋策」レディメイド・インターナショナル「ECDIARY/ECD」を計216円で購入した後、吉祥寺に出る。人ごみを擦り抜けて幾つかの古本屋さんを偵察し、「バサラブックス」(2015/03/28参照)で再版だが角川文庫「冬の神話/小林信彦」が1500円とお得値だったので、思わず購入してしまう。強い風によりいつの間にか雲は一掃され、頭上には深い青空が広がっている。

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そして午後一時。駅北口から東に進み、横断歩道を渡って高架下飲食街『Atre』が尽きる所まで進み続け、北に進路を採る。ラブホテルと雑居ビルと集合住宅が向かい合う一角を進み続けると、左手に煉瓦で化粧されたわりと陰鬱なマンションが現れる。その雑然としたエントランス入口に、『古本屋すうさい堂引っ越しました。このマンションの2階です。』と書かれたミニアンプが置かれていた。薄暗い小さな中庭のようなエントランスに入り込むと、旧来のお店で使っていた立看板とともに、トーテムポールが置かれている。その奥の鉄階段をカンコン上がると、左手ドアがお店となっており、ノブには『OPEN』の札がかけられ、リリー・フランキーの色紙や、『ノックせずに土足でお入り下さい』などが貼り出されている。かなり入り難いのだが、勇気を奮ってノブを捻ると、そこはワンルームマンションそのままの店舗であった。床には玄関からミニマットが連なり置かれ、各所の段差を微妙にフォローした疑似バリアフリー構造となっている。右にはユニットバスへの扉があり、左がキッチンで、奥がメインフロアとなっている。玄関横から台所のシンクもそのまま利用して、100均コミック・100均単行本・100均文庫が並べられている。そこをクリアして奥に進むと…おぉ!床で大柄なクロネコがドベッと寝ている!可愛いじゃあないか!と近寄ろうとすると、気配を察知したクロネコは慌てて起き上がり、右横の帳場机に飛び上がった後、店主の膝に丸まって収まってしまった…くぅ、以前は思う存分撫でさせてもらったのだが、残念。左壁には幻冬舎アウトロー文庫・セレクトコミック・セットコミック・ちくま文庫・セレクト文庫・映画・音楽・サブカル・アウトロー・アングラ・裏街道などが集まり、正面にはカルトコミックがズラリと不穏な並びを見せている。その不穏さは、右横の映画DVDコーナーまで連続し、引っ越してもカルト的偏執傾向を決して失わぬ意志が込められている。景気良くかかり続けるサディスティック・ミカバンドの音楽に乗り、洋泉社「鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979」を700円で購入する。精算時に店主は膝のクロネコを床に下ろすが、クロネコはおとなしく従い、床に座ったままこっちをチラとも見ようとしない…全く持って可愛いヤツだなぁ。
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2018年05月19日

5/19東京・東陽町 古本と肴 マーブル

夕方前にどうにか国立に流れ着くが、今日は様々な方からタレコミされた、「みちくさ市」で頻繁にご一緒した錆猫さんが、お店をオープンする日なのである。疲弊しているのだが、どうにかして駆け付けなければ!と目から炎を出し、「ブックステーション門」(2009/12/18参照。だが今日気付いたのだが、すでにお店は「飛葉堂」と名を変えている模様…)で朋文堂旅装新書「映画界拝見」を324円で購入し、車中の友とする。昭和三十年代の日本映画界事情に溺れながら、一気に東京の西から東へ。
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『一番出口』から、地下への浸水を防ぐために高くなった入口階段を踏み締めて地上に出ると、夕陽がビルを染めている。『四つ目通り』を北に向かい、最初の信号で東に曲り、直ぐに北への脇道に入り込む…ほぼ都営住宅の間を進むような形だが、ここに果たしてお店などあるのだろうか。そう心配しながら道を進むと、奥は小さな飲食店が向かい合う形になっており、ほどなくして右手に新たにオープンしたお店が現れた。小さな三階建てビルの一階店頭に、開店祝いの花と大きな100均文庫木箱が並んでいる。そこを覗き込んでいると、お客さんを送り出して来た錆猫さんに早速発見されてしまう。とにかくどうにか、本日の開店に駆け込みで漕ぎ着けたことを告げられるが、なかなかどうして小さく細いながらも、古本屋さんであり飲み屋さんでもあるお店は、すでに立派な佇まいである。入口からチラと奥をうかがうと、カウンターではアルコールを摂取しながら楽しく語らう男女が、東陽町にすっかり馴染みながらキラキラと輝いている。入口脇には200均単行本棚があり、スッと店内に入り込むと、左に民間伝承関連・児童文学・絵本が棚に収まり、さらにカウンター前に並ぶ北海道豆本や文学と連なって行く。古本屋的メインは右壁棚で、本関連・民俗学・博物学・幻想文学・アイヌ・埴谷雄高・猫・海外文学・詩集・言葉・日本文学・セレクト文庫と、意外に硬めで偏執的な並びを見せている。所々に猫の置物やアイヌの彫り物や木村荘八絵葉書などが飾られ、最奥にさらなる猫や狐の小物に加え、辻邦生や司馬遼太郎が収まっている。本は安値で確固たるセレクトが小気味良いのだが、開店祝いを兼ねて盛り上がる店内は、古本屋さんと言うよりほぼ飲み屋の態である。福音館書店「かず/西内久典ぶん・安野光雅え」日本猫愛好会「ねこ文庫」第21集「猫を訪ねて/福田忠次」を計500円で購入しつつ、せっかくなのでカウンターに神輿を据えて、サッポロ赤星を一本注文して喉を潤す。う〜〜〜〜〜ん、幸せ。ちょっと仙台の古本立ち飲み屋「鉄塔文庫」(2012/06/23参照)に似た雰囲気である。錆猫さんは懸命に働きつつも、お店の形をいかにして行くのか、現在進行形で絶賛悩み中の模様。しかしとにかく、お店を形にして開店させたことは、紛う事なき立派なことである。開店おめでとうございます!また落ち着いた頃に、古本買いつつ飲みに来ますので、皆様も東京の東端に足を延ばし、古本とお酒を楽しんでみて下さい。定休日は日曜、月・木が19時〜23時、金・土が11時〜23時の営業時間となっております。
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本日の嬉しい収穫は「猫を訪ねて」。昭和49年刊の、猫好きのオッサンが猫好きが高じ過ぎて、全国の『猫塚』『猫山』『猫寺』や“猫”が付く地名を訪ねたりする、マニアックなフィールドワーク本。躍動する猫が店頭に大胆に描かれたお店で、こういう本が買えたのが単純に嬉しかったりする。
posted by tokusan at 20:21| Comment(4) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月02日

5/2東京・荻窪 おぎくぼ古本市

朝っぱらからいつものことであるが、家の中の古本たちと組んず解れつ格闘し、まずは五十冊弱をダンボールに詰めて、大阪へと送り出す。近日中に「梅田蔦屋書店」のラウンジ古書壁棚に、並び始めるはずである。レア本も署名本も含ませているが、今回値段が安めのものが中心なので、お近くにお寄りの際は、ぜひ駅ビルの九階にブラリとお立ち寄り下さい。そして午後に二十冊ほどを抱え、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」にトストス補充する。

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そして荻窪に向かい、単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の編集さんからのタレコミを確かめに行く。地下の中央改札から南口に出て道路を渡ると、賑やかな商店街である『南口仲通り』のゲート下。そのまま南に商店街を下り、すぐの脇道を西へ入り込む。すると直ぐに右手に、店頭に出された百均文庫棚の姿が目に入った。あれか!と近付くと、店内も立派な古本屋さん模様である。店脇と店頭上部には『古本』の繋ぎ飾りが渡されており、開かれっ放しの入口扉には、イベントのチラシがペタペタと貼られている。どうやらレンタルスペースを借りての、期間限定の古本市のようだ。表の棚を眺めてから中に進むと、しっかりと左右に五本ずつの棚が設えてあり、中央に背の低い時代劇文庫棚が二本置かれ、奥にDVD棚と新書棚と机を組み合わせた帳場が造られている。左の壁棚には、古本関連・映画・特撮・人文・サブカル・DVD・絵本・大判本・一般文庫・岩波文庫・秋元文庫などが並んでいる。一冊手に取り後見返しを見ると、値段札には「古本案内処」(2015/08/23参照)とあるではないか!右壁棚には作家五十音文庫・暮し・実用・音楽・建築・写真・デザイン・映画・現代思想・哲学など…一冊手に取り後見返しを見ると、そこには「ささま書店」(2008/08/23参照)の名が!なるほど、師弟店の共同開催古本市であったか!予想外の展開にちょっと魂消ながら、ちくま文庫「怪奇探偵小説傑作選5 海野十三集」アニメディア87年7月号第1付録「オリジナルビデオアニメ大事典」閣文社「SFバイオコミックス 超人類ディナー3/野原正光」(『バビル二世』+『デビルマン』みたいな、見たこともない聞いたこともない1972年の奇妙なSF漫画)を購入する。この市は5/13(日)まで。そのままの足で混み合う「ささま書店」に向かい、サンリオ「小さな雲の詩/やなせ・たかし」春陽文庫「姿なき怪盗/甲賀三郎」正芽社「正芽社少國民選書 野鳥の話/中西悟堂」を計724円で購入し、阿佐ヶ谷までテクテク歩いて帰る。
posted by tokusan at 16:36| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月26日

3/26東京・阿佐ヶ谷 古書・雑貨 雨前

午前中は色々雑事を片付けながらジリジリ荻窪に移動し、午前十一時半ぴったりの「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭。ビニカバはないが、思潮社「アレン・ギンズバーグ詩集/諏訪優訳編」(1965年第一刷)が嬉しい発見。他に東京堂出版「滯歐印象記/本間久雄」(函ナシ)三一書房「灰とダイヤモンド/イェジイ・アンジェイフスキー」創元推理文庫「失踪当時の服装は/ヒラリー・ウォー」(初版白帯ナシ)を掴み、計432円で購入する。

午後は連載の取材をこなした後、本郷三丁目の「大学堂書店」(2009/01/06参照)で白川書院「夢野京太郎のシナリオ 浪人街/天明餓鬼草紙/竹中労」を600円で購入してから丸の内線で神保町に移動。晴れやかに着飾った大学卒業生の人波をかき分けながら、「アムール」(2011/08/12参照)では三一書房「エヌ氏の遊園地 ショート・ミステリー/星新一」(第一刷)東洋書館「顔の診断/高間直道」を計100円で購入し、「神田古書センター」入口の「みわ書房」露店(2013/01/18参照)で教文社「童話 水車/童話研究會編」を310円で購入し、最後に「羊頭書房」(2014/05/02参照)に吸い込まれる。右側の文庫本通路より左側の単行本通路を念入りに見てしまい、SF棚からアルス・ポピュラアー・ライブラリー10「モロオ博士の嶋/エツチ・ジイ・ウエェルズ」が二千円売られているのを見つけ、ニヤニヤと購入する。大正十三年刊。“嶋”の字がたまりません。巻末の広告を見ると、このシリーズは探偵小説をわりと多く含んでいるようだ。シリーズ装幀を記憶しておいて、発見に努めることにしよう。
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写真は本扉である。

そんな風に簡易にパトロールを終えて、古本神の一人・塩山芳明氏と待ち合わせる。氏とは神保町で何度も偶然に行き合っているが、ちゃんと約束して会うのは初めてのことである。しかも今日は古本絡みではなく、漫画編集者としての塩山氏と仕事の打ち合わせ。全く持ってありがたや。

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阿佐ヶ谷に帰るとすでに夕闇の街。駅北口に出て『中杉通り』西側歩道を、ぐんぐん北に歩いて行く。夕暮れでもそれと分かる、芽吹き始めたけやき並木の下で、家路をたどる。400m強で、緩やかな谷底の交差点を通過して、緩やかな上り坂。そろばん塾やバイク屋や自転車屋や飲み屋や「ゆたか。書房」前や不動産屋前を順調に通過して行くと、ひとつの信号に行き当たる。左の脇道には、満開の桜の樹。そして歩道際のお店が、本当に超絶珍しく開いていた。ここが、もう何ヶ月も前に『阿佐ヶ谷に新しい古本を扱うお店が出来た』と入って以来、開いているのをず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと楽しみにしていたのが、いつ何時前を通りかかっても、シャッターががっちり下ろされ『もう開くことはないのでは?』と思っていた、幻過ぎる古書と雑貨のお店なのである。思わず涙で滲む、緑色のテント日除け下の店頭には、キャリーバッグや古着や100円洗剤とともに、300均のガイド・暮し・コミックエッセイが置かれている。表を見ても、窓から中の様子を窺っても分かることだが、完全に女性寄りのお店である。だが、ここで開店しているところに逢ったら百年目!えいやっと扉を開けて中に踏み込む。小さな店内には、右に古着が集まり、正面に白いカウンターが据えられ、表の立看板やショップカードに小さく描かれた猫の絵に似た女性が本を読んでいた顔を上げ「いらっしゃいませ」。入口右の窓際にはテーブル状の台が置かれ、道路側は絵本ラックで、上部にカントリーアンティーク雑貨を陳列している。そして左壁に大きく白い本棚が据えられ、民話&児童文学・コミックエッセイ・旅・犬&猫・人生・国内女性文学・国内男性文学・店主オススメ本・海外文学と収まる。棚の下部には絵本・未整理本・ムックなど。新しめのキレイな本がほとんどで、優しくふんわりのほほんとしたジャンル構成である。値段はかなりお安め。新潮文庫「義男の青春・別離/つげ義春」岩波文庫「シベリア民話集/斎藤君子編」を帳場に差し出し、たどたどしい精算後にショップカードをいただくと「ウチは不定期営業なんです」と話しかけられたので、開店したことを知ってもなかなかお店に入れなかったことを伝えると、笑いながら「仕事のない時に開けているんで…でもなかなか開けられなくて…すみません!」と教えてくれる。このダブルワーク店に入るには、幸運と根性が必要らしい。また開いてるところをラッキーにも見かけたら、寄らせてもらいます!
posted by tokusan at 20:38| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする