2020年03月02日

3/2古書まつり「明屋書店 中野ブロードウェイ店」

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完全に真冬に逆戻った如月二日目。細かな雨に傘を差し掛け、テクテク荻窪に向かい、けなげに「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。当然店頭は、入口軒下と店内に棚を引き込んだ雨仕様。冬樹社「山川方夫珠玉選集-下《最初の秋》」万博日本民藝館出展協議会「日本民藝館」を計220円で購入する。午後に所用あり、中野に出て『中野ブロードウェイ』内を散策する。さすがにいつもより人出は少ないようだが、それでも閑散という感じはしない。三階の『ブロードウェイ通り』を歩いていると、通りに長〜く面している「明屋書店 中野ブロードウェイ店」の北側店頭に、何やら古本を並べている銀フレームワゴン二台があるのを発見する。ワゴン上のガラスウィンドウには小さなチラシが並んで貼付けられている…ほほぅ、2/1〜3/31まで開かれている「古書まつり」なのか。『新刊書点に古本あり。』『別段、意味はないが「喜びはある!!」』などと書かれている。並んでいたりダンボール箱に詰まっていたりするのは、映画関連・雑誌「時代映画」・映画ロビーカード・「プチセブン」・車カタログ・絶版コミックなどである。映画関連はなかなかクセのある良いラインナップだな。各古本に貼られたタグを見ると、「ひろしま文庫」というカルチャー&文芸に強いお店が出品しているようだ。値段は大体500円前後と、非常にお手頃価格となっている。ふむふむ、この映画美術の本、面白そうだな…などと存分に食指を動かしていると、何だか気になる薄手の肌色の小冊子が目に留まる。本の間から引き出してみると、石森章太郎ファンクラブ「ショート ショート ショート/石森章太郎」なのであった。天才・石森の超シュール&ナンセンスな毒だらけの一コマ漫画集である。お値段が770円と激安だったので、すぐさま「明屋書店」に飛び込み、レジにてニコニコ購入する。“まつり”と名乗るには寂し気だが、掘出し物があるならそれでよしっ!と大いに満足する。
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「ショート ショート ショート」以外にも、「斗牛に賭ける男」と昭和四十五年までの「石森章太郎作品リスト」(憧れの『まだらのひも』もちゃんと載ってる!)を収録している。
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2020年02月25日

2/25東京・豊玉南 潮路書房

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ここに最寄り駅というものは存在しない。敢て挙げるのならば、西武新宿線の野方駅か沼袋駅、それに西武池袋線の練馬駅か桜台駅、さらに都営大江戸線の新江古田駅である。本当に丁度、この五駅の中心辺りにある、静かな住宅街である…行き方がよく分からないので、結局阿佐ヶ谷から歩いてここまでたどり着いてしまった…。『豊玉南一丁目交差点』から、南の『中新井川緑道』に向かって美しいカーブを描く道を南東に進めば、左手に青い日除けを張り出し、店頭に立看板を出したカフェが現れる。お仕事支援系の一般社団法人が経営しているとのこと。一階はコーヒースタンドで、二階がカフェとなっているのだが、右側のドアが開け放しになった玄関に近付くと、中に無料の古本箱が置かれているのに気付くだろう。それに惹き付けられ、靴のまま建物内に上がり込み、廊下の奥へ進むと、いつの間にか小さな古本屋に入り込むことになる。ちょっと縦長で、奥が少し広い小部屋の右壁と、左奥の空間が少し広がる壁際に本棚が張り付いている。右壁には実用・自然・旅・雑誌・児童文学・絵本・社会・ノンフィクション・文学の単行本が並ぶ。左奥には、日本文学作家五十音文庫・ノベルス・コミック・海外文学文庫・新書が収まる。基本は単行本が300円均一、文庫・コミック・新書は100円均一である。例外もあり、その場合には背や背表紙に値札が貼付けられている。ほとんどが寄付で集まった本らしいが、新しめでキレイな並びである。漫画「忍者武芸帖」が詰め込まれたダンボール箱もアリ。文学最下段に江戸川乱歩賞受賞作がズラッと並んでいるのが、寄付者の好みをうかがわせて面白い。店番の、エプロンとマスクを着けた不動の男性を気にしながら、棚を端から端までしっかり眺め、三冊を選ぶ。そして精算をお願いすると、「こちらでお願いします」と、玄関近くの隣りのコーヒースタンドに通じた小窓に案内される。朝日文庫「東京《奇想》徘徊記/種村季弘」平凡社ライブラリー「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む/宮本常一」新潮社ポケット・ライブラリ「宇宙への道●ガガーリン大佐の体験記録/Y・ガガーリン」を購入する。このクオリティを保ち続けてもらえれば、タイミングが次第で面白そうな本に出会える気がする。またテクテク歩いてやって来よう。
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2020年01月25日

1/25東京・西荻窪 本屋ロカンタン

大阪に無事に三十冊ほどの厳選奇天烈古本たちを送り出す。しばらくすれば、「梅田蔦屋書店」の古書棚に並び始めることであろう。括目してお待ちいただければ幸いである。そして本日は、出来上がった新刊を受け取りに、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/016参照)へ馳せ参じる。手にしたのは、江戸川乱歩の旧友で竹久夢二の弟子で男色研究家・岩田準一の小説作品集「彼の偶像」(盛林堂ミステリアス文庫)である。
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カバーデザインを担当させてもらったのだが、もう山下昇平氏のカバー絵がぶっ飛び過ぎていて…何たってアレを糸で◯っている絵なんで、精密にトリミングを施し、『いや、◯っているのは、美味しいお餅なんですよ』みたいな言い訳が出来るようにしておいたのである。そんな楽しい苦労を思い出しながら、読み始めることにしよう。店頭からは、清和書院「黒い肌 ビリー・ホリデイ/ウィリアム・ダフティ 油井正一・大橋巨泉訳」(晶文社「奇妙な果実」の元版である)弘文社「處女地/村山知義」を計200円で購入すると、店主の小野氏から「なんか一本向こうの通りに、ライターさんが映画系の本屋さんを開いたらしいんだよね」とタレ込まれる。間髪入れず、そのお店に向かうことにする。
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盛林堂のある『西荻南中央通り』を、ズンズン南に下って行く。駅からは三百メートルほどの、いつも古本市でお世話になっている商店街の拠点木造建築『銀盛会館』横の細い脇道を東に入る。一本向こうの通りに出て、ちょっとだけ南に下ると、角の白タイル小ビルの一階に、確かに新しい本屋さんが出現していた。近付くと店頭には安売棚が置かれ、映画関連の単行本や、文学系文庫などが収まっている。出窓の横の壁に貼られた紙を見ると、『本。』とあるのと同時に、表現主義的な線画の鋭角人間が、本を小脇に抱えて口からタラリラ何か図形を吐き出している絵が描かれている。その横には『飲み過ぎたわけじゃない』のキャッチコピー…。店内に上がり込むと、そこは小さなちょっと薄暗い洒落た空間で、左壁に沿って華やかで知的文化的な新刊が並び、中央には新刊平台と、映画関連バーゲンブックの台が置かれるとともに、何故かコタツも可愛く鎮座している。そして右奥壁に六本の細長棚があり、古本らしい映画関連の、研究・ガイド・技術・歴史・俳優・脚本・DVD.新書・文庫・雑誌などをドバッと並べている…良く見ると棚脇に小さな紙が貼り出されており、『店主の蔵書。値段は応相談』と書かれていた。その、奥の帳場に立つ店主は、髪型もファッションも今時にビシッと決まった、男性である。「ここの本は売っていただけるんですか?」と聞いてみると、「すみません、まだ値付けしてないんですが、欲しい本があれば値段は相談に応じます」とのこと。では…と、青土社「映画はおそろしい/黒沢清」を選ぶと「オッ…では千円でいかがですか」となったので、承諾する。「これで蔵書のほとんどなんですか」「まぁだいたい。でもまだちょっと奥の方にありますよ」とのことであった。欲しい本がもし見つかれば、迷わず交渉すべし!そして受け取ったレシートに目を落とすと、上部には何やらお店のシンボル的人物が吐き出したらしいものに塗れた本の絵が…フフフフ。
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2020年01月22日

1/22東京・吉祥寺 古書 防破堤

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駅北口に出たら、中央総武線を西に伝うようにして移動し、パルコ前の交差点。そこを西に渡り、『井の頭通り』と平行ではなく、離れて行くように微妙に角度のついた繁華な『中道通り』のお洒落な商店街に入り込んで行く。そろそろと西北に250mほど進み、『車両通り抜け不可』の黄色い看板が電柱に架かる、六本目の南への脇道に入り込む。道の入口には、新しい古本屋さんの黒い立看板が出されている。道の先は一見行き止まりに見えるが、実は人がひとり通れるほどの細道が続いているのだ。左側には低層の雑居ビルがあり、一階は表が不動産屋で、側面が自転車屋。奥のセメント外階段の下にはまたもや黒い立看板が続き、『階段の上!!』と書かれている。指示通りにタントン上がり、ビル内に入り込むと、白い廊下の向こうに、ドアを開け放した、本日開店の古本屋さんがお目見えしていた。中はこじんまりとしながら整然としたた空間で、床にはカーペットが敷かれている。壁際と窓際には主に高い棚が置かれ、中央には顎くらいまでの高さの通路棚が背中合わせに二本と飾りテーブルが一台並び、漢字の“目”の字の通路を形作っている。右手に下に棚を備えた帳場があり、まろやかな寺脇康文と言った店主が「いらっしゃいませ」と物腰柔らかにお客を迎え入れる。手前通路の壁際は、古典文学と日本文学からスタート。純文学を基礎としながらも、マイナー・ポエット文学やSF文学もタイミング良く組み込んでいるので、棚に独特なリズムが生まれているのが楽しい。そこからさらに詩と海外文学につながって行く。左奥の壁には、思想・哲学・社会・民俗学・アート・サブカル・写真・絵本・図録などが、これも丁寧な流れで収まっている。通路棚には、手前から岩波文庫(緑・赤・青)・岩波現代文庫・講談社学術文庫・講談社文芸文庫・講談社文庫・ちくま文庫・ちくま学芸文庫・新潮文庫・さらなる出版社別文庫・新書と並び、最奥にはセレクトコミックに加え、ラノベやノベルスが一部並んでいるのだが。コミックは吾妻ひでお推しで、ラノベは『涼宮ハルヒ』シリーズと『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のみで、ノベルスは北山猛邦・辻村深月・殊能将之・麻耶雄高のみとなっている…何故だ…好きなのか…。窓際にはCDとともに、演劇・音楽・映画が教養深くマニアックに並んでいる。帳場下の棚に近付くと「そこは百円均一になってます」と店主がすかさず教えてくれた。硬めで芯の通ったお店であるが、硬い中に独特なしなやかさを持ち合わせているので、決して堅苦しくはない。値段は普通で、ハードカバーの良書はしっかり値。岩波現代文庫「戦後日本のジャズ文化/マイク・モラスキー」を購入すると、「これからご贔屓に。よろしくお願いいたします」と丁寧に挨拶される。開店おめでとうございます!

その後はプラプラと吉祥寺の街を流し、「一日」(2017/08/11参照)で大和書房「子供にしてあげたお話してあげなかったお話/岸田今日子」を330円で購入。さらに「よみた屋」(2014/08/29参照)では、早川書房「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン 創刊号」(北園克衛は創刊号からカットを描いていたのか)國際建築協會「國際建築 第七巻第7號 獨逸建築博覧會號」を計220円で購入する。「國際建築」はミース・ヴァン・デア・ローエ設計の住宅の写真やグラビアが何ページが切り抜かれてしまっているが、グロピウスの展示出品パネルや、会場の一巡記などが載っており、1931年当時の建築界の尖端を楽しめる一冊である。
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2019年12月20日

12/20東京・永福町 グランマーズ

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所用あって永福町を歩いていると、不意に“古本”という言葉が目に飛び込んで来た。永福町に古本?…もはや「ドエル書房」(2015/07/16参照)が古本屋さんとして機能不全に陥っている今、街の救世主のように新しいお店がこつ然と出現しているではないか!しかも店名が「グランマーズ」(2011/12/23 &2018/10/11参照)…あぁっ!八幡山にあったお店じゃないか!ひっそりと閉店してしまったと思っていたら、ここに移って来ていたのか。い〜やっほう!駅からは北口を出て、すぐの『永福町駅前交差点』から素直に『永福通り』に入り、北へ真っ直ぐと進む。およそ百メートル強進めば、左手にお店が見えて来るはずである。店頭にはモジャついた頭の優し気な女性が本を読むイラストと、『古本・絵本・雑貨・カフェ』と書かれた立看板。それに安売児童文学絵本小箱が置かれている。店内に進むとキレイで細長な空間。道路側が古本屋ゾーンで、奥には帳場を挟んでカフェスペースが設けられているようだ。右壁沿いには、主に時代劇文庫の安売文庫棚が置かれ、その後にビジュアル本&ムック・絵本・児童文学・雑貨類が続く。中央には絵本箱・オススメ単行本・雑貨類・暮らし・旅・実用などが集まっている。左壁は時代劇文庫から始まり、日本文学文庫・海外文学文庫・文学&歴史が収まっている。以前のお店よりコンパクトだが、街の古本屋感は増している感じ。新しめの本がほとんどだが、時代劇文庫と絵本に力が入っている。値段は定価の半額前後。光文社文庫「宛先不明/鮎川哲也」を250円で購入する。思わぬ古本屋さんとの再会に心躍らせながら、駅前でバスに乗り込み高円寺方面へ。駅に着く前に下車し、「アニマル洋子」(2014/03/14参照)に立ち寄る…今日はいやに混んでいるなぁ。通路にお客さんが座り込んじゃってるぞ。そんな先客さんたちと『すいません』と譲り合いながら、西和リブロス「中央委員会殺人事件/バーケス・モンタルバン」(スペインの推理小説である)インパクト出版会「廃墟の可能性/栗原幸夫編」を計200円で購入する。さらに北へ北へと進んで「都丸書店」(2010/09/21参照)。『中通り』に出された店頭絵本箱に、フランスのモーティマーシリーズの漫画本が突っ込まれてるぞ。もちろんフランス語なので読めないのだが、ページを開いているだけで楽しいのと、100円はいかにも安いので買っておくことにする。LOMBARD「MORTIMER A PARIS S.O.S METEORES/Edgar P.Jacobs」を購入する。
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2019年12月15日

12/15東京・代田橋 プチニコラ

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所用で正午過ぎに代田橋駅北西にある『和泉仲通り商栄会』という、わりと長〜い地元商店街に足を踏み入れると、なにやら所々で小さなイベントが催されている…これはもしや、商店街のイベント日!そうか、今日は第三日曜なのか。実はかなり以前に、この商店街に古本と玩具のお店があることをタレ込まれたのだが、何時行っても開いておらず、終いにはガラス戸に携帯番号が書かれているだけになってしまったので、これはもう営業していないのでは…と諦めていると、嬉しいことに店主さんからメールをいただき、お店に二時間もいると飽きてしまう故の不定期営業や、メールをして予約すれば開けてくれることや、第三日曜日の商店街のイベント日には午前九時〜午後一時まで確実に開店していることなどを教えてもらっていたのである。タイミングが合わずに、なかなか駆け付けられなかったのだが、まさか今日が第三日曜とは!と所用を少しだけ脇に置くことにして、急ぎ足で商店街を遡上する。駅からは北口から『甲州街道』に出て、歩道橋を渡って西側二本目の道に入り、は北北西にひたすら商店街を500m近く進めば、左手に緑の日除けのお店が見えて来るはずである。…おぉ、店頭に何か出てる。ドアに『OPEN』の札か下げられている。やってるぞ!店頭には様々な物品とともにコミック安売箱が一つ置かれている。主に「進撃の巨人」が詰まっているようだ。ガラス窓から見えるアートブックの棚を一渡り眺め、一時も時間を無駄に出来ぬのですぐさま店内へ進む。すると、犇めく物品と棚のせいで小さな空間となっている店内に立つのは、髭もじゃの山小屋の主のようなオヤジさんで「いらっしゃい」とニコヤカに出迎えてくれた。左右の壁に本棚やラックが並んでいるのだが、その周りや上を覆い尽くすように、ソフビなどの懐かし系オモチャ、アンティーク系オモチャ&人形.フィギュア、その他に細々とした雑貨的物品が置かれたり詰め込まれたり乗っかったりしているのだ。オヤジさんがすかさず「見難くてすみませんね。ちょっと片付けなきゃいけないと思っているんですが…」と照れくさそうに苦笑い。いや、こういうのがまた楽しいんですよ。左は主に美術やアート古本で占められ、右は和洋の絵本&児童文学がズラッと並んでいるようだ。両方とも新しいものから古書までが無秩序に折り混ざり、ちゃんとじっくり掘り返せば、何か出て来るような予感がヒシヒシとこの身に食い込んで来る。だが今は時間がないので素早く焦りながら視線を走らせ、岩波書店「もくたんじどうしゃ もくべえ/渡辺茂男文 岡部冬彦絵」(初版函付き)フレーベル館「幼稚園お話集 上巻/日本幼稚園協会編」を選び出し、値段がないのでオヤジさんに値段を聞く。すると二冊で千五百円ということだったので、謹んで購入させていただく。次は時間のある時に訪れ、ゆっくりと棚も積み上がっている本も掘り出したところである。
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2019年11月11日

11/11東京・京王八王子 まつおか書房

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いつも悪天候の時にテレビ中継されるJR駅北口の空中通路に出ると、都心より少し冷たい風が吹いている。取りあえず地上に下りて『東放射線アイロード』を東北に進むと、すぐに京王八王子駅の駅ビルにたどり着く。その前に展開する、三角形の鋭角なロータリーから、『甲州街道』に向かって進路を北に採る。ちょっと歩くと、左手には京王駅の西口地下階段が現れ、さらに進むと右手の歩道橋交差点手前の白いビル一階の引っ込んだところに、小さな古本屋さんが蛍光灯を明るく点していた。新しい古本屋さんと言う訳ではなく、以前は西寄りにあった「まつおか書房」(2010/01/05&2016/08/29参照)が、規模を小さくして移転して来たのである。店頭には図鑑や絵本やビジュアル本のラックが一本。店内に進むと、細い縦型で二本の行き止まり通路が奥へと続いている。ただし左は帳場の奥から垂幕が下がり、18禁のアダルトコーナーであることを如実に示している。というわけで一般本としては、ほぼ一本の通路のお店となっている。入ってすぐの左の棚には、文学・絵本・ビジュアル本などが並んでいる。アダルト通路との間の棚には幻冬舎文庫など。右壁は一面の棚で、最上部に文学単行本やSF単行本がソロリと並び、出版社別文庫(角川文庫ゾーンが古い文庫が多く小気味よい)・時代劇文庫・SF&推理文庫(推理よりSFの方が充実)・新書・幻想文学・海外文学・サブカル&カウンターカルチャー・澁澤龍彦・稲垣足穂・日影丈吉・唐十郎などが続く。向かいの通路棚には奥から、日本文学・社会・戦記・映画・美術・歴史・東京・八王子・郷土が揃う。見かけは街の古本屋さん的になり、以前の三店のお店を構えていた時から比べれば、蔵書数は圧倒的に少なくなってしまったが、視線と方向性は保ちつつ、濃縮還元マニアックな展開を見せている。とにかく実店舗としての形を残してくれたことに感謝しなければなるまい。やはり直接古本を探しに行くことが出来、対面で古本が買えることは、人として幸せである。改造社 世界大衆文學全集「メトロポリス(他一篇)/ハルボウ 秦豊吉」を330円で購入する。

表に出たら、いつの間にか雨がしっかり降り始めていた。アワワワワと街を西に突っ切り、「佐藤書房」に逃げ込む。店内を隅から隅までうろつき、いつの間にか中央通路手前左の下段に移動した古い文庫群の読み難い背文字に目を凝らし、博文館文庫「青頭巾(後編)/土師清二」を見つけ出し、500円で購入する。…いつの日か前編も安値で手に入れたい…。
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2019年10月29日

10/29東京・吉祥寺『喜国雅彦のそれはオカズだ展』

朝から原稿を書き続け、一応すっかり書き上げて、一旦時間をおいて見直すことにする。昼食を摂った後外出。冷たい雨に上着を着込んで傘を差し、吉祥寺『リベストギャラリー創』で10/30(水)まで開かれている、本棚探偵・喜国雅彦氏の『喜国雅彦のそれはオカズだ展』を観に行く。人混みを擦り抜けギャラリーまでの道をたどりながら、「外口書店」(2010/02/22参照)を覗き、何も買えずに「藤井書店」(2009/07/23参照)まで行くと、残念ながらお休みであった…あぁ、そうだ。俺は古本を買いに来たのではなく、個展を観に来たのだ!と、古本への妄念を振り切り、北の対岸へ素早く渡り、傘をすぼめてギャラリーに飛び込む。おぉ、こんな雨の日なのに大賑わいである。入口で出迎えてくれたのは喜国氏の奥さまの漫画家・国樹由香さんの満面の笑顔。促されて芳名帳に記帳し、会場内に流れるバンド・大島渚のBGMを聴きながら、壁一面にズラリドバリと貼り出された、その下の台にもズラズラ置かれ並べられた「傷だらけの天使たち」と「悪魔のうたたね」の、赤黒二色の生原稿に熱い視線を注ぐ。原稿なので、誌面より遥かにデカイ!そして懐かしい!なのに面白い!やはり下品だ!と、つい、素敵にひねられたくだらないギャグにニヤニヤしてしまいながら、まるで一冊の漫画本を読むように展示を楽しんで行く。原稿はすべて販売されており、9900円(星印)6600円(無印)3300円(黄丸マーク)の値に分けられている(表紙絵やスペシャルカットや『館』シリーズのジークレ版画などは別値である)。大好きな漫画家さんの生原稿が手に入る機会など、そうあるわけではない…さ、3300円のやつから選んで買って行こうと、隅に貼られたもはや残り少なくなっている黄色いスマイルマークを目印に、原稿を吟味する。散々悩み、結果選んだのは『うたかた』である。同じ場所で、それぞれ待ちぼうけを食らった別々のカップルの男女が、その偶然の出会いをきっかけにデートしようとすると……結末が気になる方は、原典に当たってみて下さい。サブタイトルは『ふはははは あと5本描いたらローリング・ストーンズだ』となっている。90年の初来日公演あたりか…後五本、頑張れ!喜国先生!と過去の本棚探偵を応援しつつ、目の前にいる現在の本棚探偵に挨拶をし、会場を後にする。生原稿は紙物だ。これを買えば、今日はもう古本を買わなくとも大丈夫だろう。そう決めて、家路を急ぐ。
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家に帰って取り出して見たら、もっと大きく見えてくる生原稿(右下が個展の案内ハガキ)。そして本物の持つ力はやはり素晴らしい。それにしてもよくあんなにたくさん、ちゃんと保管してあったものだなぁ。
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2019年10月23日

10/23東京・吉祥寺 mounga吉祥寺店

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午後二時過ぎに下連雀に流れ着いたので、井の頭公園周辺にやけに多い外国人たちと足並みを揃え、吉祥寺駅に向かって進んで行く。『吉祥寺通り』を歩き続け、北東へ進んでいた道が、北にグインと曲がり込み、すぐに『井の頭通り』が見える所で、予想外の古本に遭遇する。通り南側のビル一階には店舗が並んでいるのだが、そのうちの一軒が、アウトドア&登山&キャンプ中古用品のお店で(何と本店は奥多摩の御岳の麓にあるそうだ)、その店頭にワケアリ格安品とともに、鉄籠と木箱に入った二十冊ほどの古本も並んでいるのだ。慌てて近付くと、フフフ、見事に山と登山の本ばかりだ。店長さんの蔵書なのだろうか。値段はシールで表紙に貼付けられており、大体100〜300円である。せっかくばったり出会ったのだ、何か買わなければ…と、山と渓谷社「続山野いで湯行脚/美坂哲男」を選び、200円で購入する。その後は「バサラブックス」(2015/03/28参照)に立ち寄り、店頭雑誌カゴの脇に潜んでいた数冊の付録漫画本の中から、小学館「小学五年生」昭和三十年六月号付録「万次郎の冒険/木の実和(画)」を200円で購入する。そのままいつものように「よみた屋」(2014/08/29参照)に向かい、入口新書サイズ百均棚の下部に、番号の大きいポケミスがズラッと並んでいるのを目撃する。番号が大きいからって、おろそかにしてはいけない。そう思い、しゃがみ込んで細い背に目を凝らして行く。するとほどなくして、“日影丈吉”の文字が飛び込んで来た。やった!というわけでハヤカワポケミス「そそっかしい暗殺者/ルネ・レウヴァン 日影丈吉訳」を110円で購入する。今日も吉祥寺は、楽しい古本日和である。
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2019年09月20日

9/20東京・神楽坂 アルスクモノイ

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「新宿支部に新しい人が入ったんですよ。お店もやるらしいですよ」と随分前から「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏にタレ込まれていたお店が、いよいよ本日開店を迎えるという。色々と片付けてから、東西線で神楽坂に向かい、構内を吹き抜ける強風に嬲られながら『1b』出口から地上に出る。するとそこは露店が参道に並んだ『赤城神社』の前。露店の誘惑に抗い、鳥居前から離れ、『白銀公園』方向に足を向け緩い坂を東に下る。そしてすぐに行き当たる北北東に延びる道に曲がり込む。趣きのある神楽坂の裏路地が、たちまち変哲の無い住宅街へと変化する。道なりにぐいぐい進むと、道は急激にガクンと落ち込み、神田川沿いの谷間へと誘い込んでいる。コンクリに刻まれた丸い滑り止めを踏み締めて、落込むように北北東に進み続ける。途端に街の雰囲気は一変し、スクエアな街区に、集合住宅と雑居ビルや小工場が殺風景に建ち並んで行く。大小印刷会社・箔押し会社・孔版印刷…フォークリフトがやけに目につくのも、この辺りの特色である。ずんずんずんずん進み、『目白通り』一本手前の通りを西へ。すると小さな十字路の先、右手の小さなビル一階に、シンプルなファサードの、白っぽいお店が見えて来た。白い立看板の上の壁には、丸傘の付いた電灯が備え付けられている。夜になったら、路上に明るく看板を、照らし出すのだろう。蜘蛛の巣をモチーフにしたロゴマークの刷られたサッシ扉を開き、店内へ。板敷き白壁のシンプルな広めの空間である。右側にはしっかりしたカウンターが据えられ、先客の数人が楽しくお酒を飲みながら、有名グラフィックデザイナーについて熱く論議を交わしている。入って直ぐ右側のゾーンには、アンティークな机の上に、古い紙物が飾られている。足元にはマッチ箱を詰めた箱も置かれている。忍者記念館のパンフレット、いいな。左壁沿い初っ端には、ミシン台が置かれ、洋書などを並べている。腰高に平台を備え、下部が大判棚となった壁棚には、海外文学(充実)・洋絵本・パリ・アート・デザイン・海外詩集・言葉・民俗学・西洋思想・ビジュアルブックなどが、良く練られた感じで端正に並んで行く。ヨーロッパを核とした偏愛の棚である。古書も良く混ざり、時々太宰治や林芙美子の古書が混ざるのもまた面白い。奥には、洋雑誌や「暮らしの手帳」が入った箱が床に置かれている。さらに右奥のゾーンに進む。手前壁際には小さな文庫棚があるが、思想・学術・民俗学・歴史・江戸などの特殊な並びである。右奥の壁棚には、性風俗・志村ふくみ・ファッション・児童文学・澁澤龍彦・佐野繁次郎装幀本・料理・金持ち・建築・武田百合子・女性関連(何故か『女性便所』の強烈な木札あり!)・旅などが収まっている。所々に額装された古い変な紙物があり、お店の雰囲気を造り出すのに一役買っている。こだわりが美しく顕在化した、見ていて気持ちの良いお店である。右奥の資料的にいががわしい本も混ざる棚がとにかく魅力的で、欲しい本が何冊も見つかってしまう。値段は普通〜ちょい高。店主はショートボブの、笑顔と笑い声を絶やさぬ女性で、お客さんとの会話で「砂漠のような場所に店を出したかったんです。寂しいところにポツンと灯りが浮かんでいるようなお店」と語っていたのがとても印象的であった。帝國出版協會「世界建築めぐり/藤島亥治郎」(カバーカラーコピー)を購入する。開店おめでとうございます。この地での古本オアシスとしての活躍を、心より祈っております!

「世界建築めぐり」に載っていた、ニューギニヤの住宅がスゴ過ぎて、思わず口アングリ。
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2019年09月08日

9/8東京・高円寺 tata

昨晩気まぐれに、昭和十二年第二刷の岩波書店「墨東綺譚/永井荷風」(“墨”は本来、さんずいに墨である)を一気読みする。暗闇に向って窓を開け放ち、生温い空気を取り入れ、蚊取り線香を炊きまくり、大きな総ルビの活字と、木村荘八の墨の挿絵を目玉で追い、玉ノ井の迷宮を脳内でうろつき回る。何度目かの再読だが、やはり荷風の街の描写は、愛と寂謬を引き摺りまくりながら、微に入り細に入り叙情を湛え、やがて失われる風景を、見事に文中に定着させている。巻末には「作後贅言」という「墨東綺譚」とはそれほどクロスしない、隨筆とも創作ともつかない掌編が載っているのだが、こちらは銀座の街と風俗が詳細に記されており、荷風といつも行動を共にする、帚葉翁という老人が街行く人々を今和次郎のように考現学的に観察記録しているのが、何とも言えず味わい深い。二編併せてまさに名作の逸品である!…などと感じ入った晩夏の寝苦しい夜…。
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これは函背の『蚊遣香』の絵。第七章の章タイトル横にも載せられている。

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そして本日は、綿菓子のような雲がモクモクと青空にはびこるのを口を開けて見上げ、高円寺へ。駅北口に出て、喧噪の『高円寺純情商店街』を北へズンズン突き進む。突き当たったら西に曲がって『庚申通り』に入り、そこからさらに北へ進む。ちょいちょい進んで、右に通りの名の由来となる『庚申塔』を眺め、さらに先へ。この辺りから、道の右側に潜む細路地に神経を使って歩くようにする。すると、中華麺屋の手前の行き止まり路地の入口に、白い儚い立看板が出ているのが目に留まる、看板上部に細い線で幾何学的に書かれたお店のロゴも、これまた儚い。それを目印に路地へふいっと入り込む。飲み屋や食べ物屋がひっそりと並んでいるが、右手奥には白い袖看板を掲げた洒落たお店が潜んでいる。おぉ、ここは「アバッキオ」(2008/10/14参照)のあった所ではないか!そうか、ここに新しい、bookshop galleryが出来たのか!と西洋風扉を開けて店内に滑り込む。そこは、いつか来た「アバッキオ」とほとんど変わらぬ光景。右にカウンターがあり、一人のシュッとした青年が先客と楽しそうに話している。入口左横には本棚、左壁に小さな棚が続き、真ん中には二階への鉄梯子。さらに棚が続き、奥には大きな棚が張り付いている…什器も旧店そのままのようだ。並んでいる本はかなりセンスが良く、池波正太郎・伊丹十三・岸田衿子・原節子・赤瀬川原平・粟津潔・カンディンスキー・ジョン=ケージ・ブルーノ=ムナーリ・アート・絵本・モビール・デザイン…う〜む、いいなぁ。値段はかなりしっかりめ。気になる本を手に取っていると、先客を送り出した店主が、フレンドリーに話しかけてくれた。「アバッキオ」さんとは以前からの知り合いで、本屋をやる条件で、この場所を受け継いだこと、今は並んでいるのは古本だけだがそのうち新刊も取り扱うこと、二階は急な梯子で昇るのが難儀だがギャラリーとして使うこと、カウンターではコーヒーやお酒を提供すること(恐らく飲み屋になってしまうのでは…と店主は楽しそうに危惧)、などなど楽しくうかがう。まさに「アバッキオ」の場所も精神も受け継いでいる感じである。色々整ったら、お酒を飲みにフラリと寄ってみることにしよう。晶文社セレクション「バウハウスからマイホームまで/トム・ウルフ」を購入する。うらぶれた路地裏に開店、おめでとうございます!
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2019年09月06日

9/6東京・江古田 がらくた屋ネバーランド

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古本神・森英俊氏より、江古田にある古本もちょっと扱う昭和レトロ雑貨屋をタレ込まれる。早速駅北口に立ち、お店に向かって歩き始める。目の前に見える『浅間神社』を右にしながら、北へと進んで行く。浅間神社の奥には、鬱蒼とした富士塚があり、街と雰囲気を異にしている。そのまま坂道を下って行き、斎場前を過ぎたら西へ曲がり込む。小さな商店街に突き当たったら、再び北へ…すると、緑の日除けテントに『体質整体院?』と書かれた、角地のお店が見えて来る。良いロケーションだ。店頭では物品がすでにせめぎ合っているが、それほどカオスな感じはしない。一部には物品保護のために布が掛けられている。中に入ろうと思ったら、前を歩いてた女子二人に先に入られてしまった…ちょっと間を置くか…。しばらくして扉に近付くと、そこには『10円ゲーム機、今日は故障中です。すみません』と書かれている。ようやっと中に入ると、アジア的音楽が流れ、昭和な物品や古道具やアンティークや駄玩具やプラスチック製品やパチ物製品が集められた空間。くすんだカラフルさが、過ぎ去った昭和を間近に感じさせる。古本は古本は…とまずは手前の通路に視線を走らせると、古いキャラクター商品や古着で盛り上がる女子二人の向こうに、本が並ぶ棚が見えている…あそこか。よし、奥の通路から回り込もう。と通路をずんずん進むと、うひゃっ、カウンター帳場前で行き止まりになっている。そこに座るポニーテールの女性店主と思わず視線がバチリ。照れながら通路を引き返し、意を決してショッピングを楽しむ女子二人に「すみません」と声をかけ、奥へ通してもらう。途中の通路棚に、雑誌やオールドファッションムック類があり、最奥に下にビジュル本やガイド本やテキスタイル本を並べたラックを従えた、一列の古本棚があった。『セレクト古書 50円〜』の小さな貼紙がある。横積みの文庫本が十冊弱、それに精神&超能力・森見登美彦・町田康・バロウズ・「こども家の光」・「たくさんのふしぎ」・雑誌など。珍しい大判B5サイズの昭和三十七年「こども家の光 進級お祝い特大号」(つまり文字通り“特大”というわけだ)を購入する。その後は日芸前の「根元書房 日芸前店」(2008/10/07参照)を見に行くと、森氏がタレコミと同時に『根元書房、の店内がすごいことになっています!』教えてくれた通り、本がギッシリ通路に詰まっている状態である。真ん中通路でかろうじて奥と行き来が出来るようだが、入った途端に店主が探し物途中の手を止め、こちらをギラリと睨んだ…と、とてもこれ以上は進めない。そんな風に即座に心を折り曲げ、入れたばかりの身体を外に出し、そっとガラス戸を閉めてしまった…。そしてせっかくなので、ちょっと最近どうなっているのか気になっていた、富士見台の「新井書店」(2010/08/30参照)を見に行くことにする。商店街の坂を下り、お店の前にたどり着くと、そこにあったのは右半分のシャッターを
1/3ほど開け、日除けテントが破れて垂れ下がる侘しい光景…う〜ん、これは営業しているのだろうか。低い、低いなぁ。以前はもう少しシャッターが上がっていて、奥に声をかけたら入れたのだが、これはもう開けているというよりは、風を通すためにちょっと開けているだけみたいだ。ちょっとしゃがんで声をかける勇気はないなぁ。だが、店内にまだ本はあるみたい…また見に来て、もっとシャッターが上がっていたら、入店チャレンジしてみよう。
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2019年09月02日

9/2荻窪→中野→高円寺と動き回る。

前回の北原案件について、当の北原尚彦氏に報告すると、『一週間前にすでに訪問しております』との返事が…まさかあんな小さなギャラリーのマイナーなホームズ展示まで追いかけているなんて(展示は昨日9/1に終了)。愕然としながら激しい敗北感に襲われる。このように、案件認定の道はいつも果てしなく険しい。シャーロック・ホームズに関する情報収集にかけては、もはや神の如き手腕を発揮している北原氏。彼が知らぬ未知のホームズ関連物を提示するのは、もはや運動場に落とした針を探すように難しい。だが、だからこそ燃えるのである。案件報告をして、氏にとって未知のものだと認められるのは、十件に一件にも満たないが(これはさすがに…というようなものでも「持っています」「当時新刊で買っています」「封切り時に観に行ってます」などと即座に返されるのだ)、あまりにもその壁が高過ぎるせいか、未知の案件と判定されたその時の喜びたるや、計り知れないものがあるのだ。なので案件ハンターとして、これからも何十回も「持ってます」を聞くことになるだろうが、めげずにホームズ物に目を光らせて行くことにしよう…そんなおかしなことを考えながら、月曜午前十一時半定点観測の「ささま書店」(2018/08/20参照)へ。ちょうど外に店頭棚が引き出され、女子店員さんたちがカラフルな髪を風に揺らしながらドカドカと補充しているところ。サンリオ・ギフト文庫「マッチ売りの少女/文=アンデルセン・絵=味戸ケイコ」角川文庫「世界のミステリー・ゾーン/アーディーケント・T・ジェフリィ」講談社「ミニミニSF傑作展/アシモフ他編」岩波全書「東亞植物/中井猛之進」を計432円で購入する。「東亞植物」の中井猛之進は、言わずと知れた中井英夫のお父さん!北はカムチャッカから南は台湾までの広い『東亞』に分布する植物を、地域ごとに紹介する労作である。巻末の索引だけで八十七ページもある…。
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そして昼食を摂ってから所用で中野へ。中野へ来たら当然「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)を覗き、春陽堂書店 日本探偵小説全集「完全犯罪/小栗虫太郎」(カバーナシ)を108円で購入し、トボトボと『早稲田通り』を伝って帰路に着く。当然途中の高円寺にも立ち寄ると、『あづま通り』の「越後家書店」(2009/05/16参照)も「十五時の犬」(2011/11/22参照)も何故か開いていない。その代わりに通りに面したシャッターを下ろした店舗に、自由に持ち帰っていい古本が、クリップに挟まれぶら下がっているのを見つける。磁石付きクリップは十四個あり、その内の五つに文庫本が挟まれている。端にある紙を見ると、「コトバノニオイブックス」とあり、『クリップに挟んである本はご自由にお持ち帰りください(1日1人1冊まで)』『空いているクリップにはおすすめの本を挟んでください(厚さ1.5cm以内)』と二つのルールが書かれている。こんなところでも、本は読まれるためにひっそりと、息づいているのだ。
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そんな楽しい光景を目撃しながら『庚申通り』に出て、「DORAMA高円寺庚申通り店」に引き寄せられてしまい、店頭のラックから大日本図書「ワールドブック 世界はひとつ 船の旅四九〇〇〇キロ/日下実男 イラスト梁川剛一」を108円で購入し、ようやく寄り道を終える。
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2019年08月28日

8/28押入れツアー・イン・ジャパン再び!

本当は取材に行きたかったのだが、朝から雨が降ったり止んだりなので、古本屋さんの店頭が、いつもと異なる雨仕様になっているのを憂い、結局重い腰は上がらずじまい。ため息をつき、窓ガラスに突進する大きな雨粒を眺めながら、それならばと、久しぶりに押入れの本たちに挑む覚悟を決める。以前も行った、久方ぶりの「押入れツアー・イン・ジャパン」の続きと言えようか(2013/01/23参照)。家にただひとつある押入れ下段に、過去読了した本が主にダンボールに詰め込まれて十箱近くあるのだが、その上に大量のコミックを積み上げてしまっているので、いつも調べたり片付けたりするのに、大変な手間と労力がかかってしまうのである。しかし、やる時にはやらねば、片付けは決して進まぬのだ!と気合いを入れ、押入れ下段前に跪き、まずはコミックを出す作業から始める。ところがこの押入れがある部屋は、周囲をすでに本や資料の山に囲まれているので、さほど移動させた本を置くスペースが確保出来ないのだ。なので、ダンボール一箱分の上に乗ったコミックをまずは引きずり出し、その後ダンボールの中を検分するというのを繰り返すことになる。その上、ダンボールは前後にも置かれているので、奥の箱を見る時は、コミックを退かした後に押入れに上半身を突っ込み、無理のある体勢で検分しなければならない。なので二度も三度も四度も繰り返していると、腕と腰と足の筋肉にみるみる疲れが溜まって行くのだ…あぁ、色んなところがプルプルし始めている。熱中症にならぬよう水分を摂りながら、まるで脱獄トンネルを掘っているような、つらいミッションをこなして行く。ある程度めぼしい本が溜まったら、部屋の外に運び出し、小休止。そしてまた押入れに挑むのである。結局午前九時〜正午辺りまで作業に没頭し、整理を進めながら、およそ六十冊ほどを抜き出すと、スペースもだいぶ空いたので、最終的に押入れがわりと美しく整頓される。ふぅ、やったぞ。しかし夏にやることではないな。それにまだ、いつもたどり着けない、奥の奥の衣装ケースが心残り…だが、その重労働の代価として、色々使えそうな本をたくさん掘り出すことに成功した。
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これらは、再読したいもの、「フォニャルフ」で売るもの、みちくさ市で売るもの、大阪に送るもの、処分するもの、などに仕分け、再び本としての役目を担ってもらうことにしよう。今回の整理で高揚した瞬間は、ダンボールとダンボールの間に挟まれた紙袋の中に、自分でも忘れていた幻想文学関連や博物学関連が詰まっていたこと。中でも『おっ!』と思ったのは、NTT出版「日本ロボット創世記/井上晴樹」(1993年刊)があったこと!大正から昭和初期の日本のロボットブームを、図像資料を丹念に集め追った素晴らしい研究書なのである。様々なメディアや芸術作品に登場する、クラシックなロボット&人造人間のフォルムの豊かさが、悪夢のように各ページに踊っているので、図版を只見ているだけでも楽しめる。
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これはカバー裏表紙に印刷された「幼年倶楽部」付録絵葉書のロボット。ス・テ・キ!
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2019年08月27日

8/27気まぐれにブックオフで。

午後一時過ぎに世田谷の赤堤に流れ着いたので、豪徳寺の「靖文堂書店」(2011/09/06参照)にでも顔を出して行くかと、住宅街の中で朧げに駅方向に足を向ける。フラフラ歩いているうちに、人通りが多く、お店が建て込んだ、うねった商店街に合流する。これは、駅北口の商店街だな…と気付きつつさらに南に歩を進めると、目の間に小さな「ブックオフ豪徳寺駅前店」が現れた。たまにはちょっと覗いてみるか、と何の気の迷いか店内へ進む。見当をつけて左端の通路に進むと、通路棚が108〜200円単行本棚であった。初っ端の日本文学棚を漫然と眺め始めると、ほほぅ、ところどころにそれほど珍しい訳ではないが、ちょっと古い本がいやに目につくじゃないか、とついついほくそ笑んでしまう。旬の過ぎたエンタメ小説類に混ざり、安藤鶴夫・池波正太郎・北杜夫・柴田錬三郎・司馬遼太郎・辻邦夫などの、古びた七十年代古本が並んでいるのだ。恐らく同じ人の蔵書なのだろうが、これは予想外の良い景色だ。何か買えるものはないだろうか…と安売単行本棚をじっくり精査し、講談社「大東京繁盛記 下町編」新潮社「柘榴抄/結城信一」番町書房「にらめっこ/岡本太郎」の三冊を計508円で購入する。ブックオフでも、ささやかではあるが、こういう粋な買物が出来る時も有るのだな、と気まぐれな偶然の出会いに大いに感謝する。
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その後は小田急線高架を潜り、ようやく「靖文堂書店」へ。テレビで二時間ミステリドラマを注視する奥さまを邪魔せぬよう、ゆっくりと店内を一周し、アカギ叢書第十二編「喜劇新聞記者/フライタツハ傑作 齋藤文学士編」を200円で購入する。扉にでっかくある『フライタツハ傑作』…喜劇脚本の傑作っぷりを強調しているのかと思ったら、巻末自社広告を見ると『フライタツハ原作』となっている…どうやら盛大な誤植らしい…。
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2019年08月17日

8/17東京・国分寺 一二三書店

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灼熱の午後に干涸びる寸前で、武蔵小金井と国分寺の間の、南の坂下にある『貫井南町』に流れ着く。すでに体力は赤信号だが、どうにか「雲波」(2017/02/03参照)にでも寄って、古本を手にして行くか…と、ズルズル足を引き摺り歩いていると、目の前に『本』の看板があり、小さな町の新刊書店があることに気付く。こんな何処の駅からも遠く離れているのに、よくぞまぁ生き残っているものだ…などと大いに感心した瞬間、驚くべき文字が目の中に飛び込み、眼底で像を結んだ!『古書 古書 有ります 1冊100円から』の貼紙が窓にあったのだ!うぉぉぉぉぉっ!こんなところで古本が売っている!駅からは南口に出て『東経大通り』をひたすら道なりに東へ歩む。『東経大南交差点』を通過し、道が細くなり始めても、さらに道なりに東へ。そして『貫井南町四丁目交差点』で、『西の久保通り』を南南西に進む。長らく歩けば『貫井南町五丁目交差点』。そこからちょっとさらに南南西に進み『いなげや』を越えると、『本』と青い文字で書かれた四角い看板がすぐ左手に見えて来るはずである…ハァハァ。戸を引き開けると、すぐ右にレジがあり、お客の来ることをまったく想定していなかった、ノースリーブシャツに短パンの浅井慎平風オヤジさんが、ほぼ椅子に横臥していた体勢から起き上がり、読み耽っていた本から目を離して「いらっしゃいませ」と慌てる。こちらは堂々と落ち着いて店内を見渡すと、三本の通路が縦に延びる、棚のしっかり生きている新刊書店である。これは、町の人が必要としているからこその、生きた棚なのであろう。そして目指す古本は…と、この時は慌てて棚を検分して行くと、右端通路の壁棚二本に、面陳と背並び合わさった古本の姿が見出された。七十年代の思想・文学・柴田翔・カウンターカルチャー・ニューアカ・岩波文庫が中心である。文庫本は100円で、単行本が300円〜500円。おそらく慎平風店主が青春時代に熟読した本たちなのであろうか…。晶文社「あたしのビートルズ 佐藤信作品集」筑摩書店「終末から 特集■破滅学入門 創刊号」を計600円で購入する。意外な場所での古本との出会いは、激しく心がときめいてしまうものだ。

「終末から」は1973年創刊の豪華な文芸誌。赤瀬川原平の『櫻画報』、東松照明の沖縄エッセイ、開高健の雑文、中井英夫の連載『蒼白者の行進』、井上ひさし『吉里吉里人』(佐々木マキのイラストが描き文字含め超プリティ!などが掲載、口絵の横尾忠則が手掛けた『豪華絢爛長尺絵巻 千年王国』も七つ折りで尖っているが、やはり無駄に長〜い!
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2019年08月14日

8/14東京・高円寺 ヨーロピアンパパ

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今日も今日とて、雨と晴れを繰り返す表をボ〜ッと眺めながらだらしなく過ごす。だが、雨が上がり何度目かの晴れの午後に、実家から持ち帰ったレコードを抱えて外出する。本当に必要なもの以外は、もう売ってしまうことにしたのだ。トボトボ歩いて、高円寺北口の『あづま通り』に入り込む。グングン北へ進んで、「十五時の犬」(2011/11/22参照)の前を通り、さらに「越後屋書店」(2009/05/16参照)を通過すれば、左手に緑と白のだんだら日除けを張り出し、その下に安売レコード箱・DVD・雑貨、そしてコミックセットや古本を並べた平台が置かれた、中古CD&レコードの小さなお店が現れる。そう言えばここは、確かに以前から古本をチラチラ販売していたな。レコードを買い取ってもらうとともに、何かを買ってツアーと洒落込もう。そう決めて、まずは店頭の古本に目を凝らす。松本零士・日野日出志・諸星大二郎の激安コミックに、河合奈保子や大場久美子の雑誌別冊特集本…う〜む、店内にも古本はあるのだろうか…。ビニールカーテンを潜り、狭い通路に上がり込む。左側には主にCD、右側行き止まり通路にレコードが並ぶ小さな空間である。まずは奥のレジに声をかけ、パーマをかけたO次郎のような青年にレコード買取をお願いする。「三十分ほど時間がかかります」とのことなので、まずは店内をウロウロ。レジ前の小さな棚に音楽関連本・バンドスコアなどがあり、その脇に古い映画パンフをまとめたビニールも置かれている。レコードゾーンに進むと、棚に面陳で洋書の音楽詩集が並んでいる。他には通路に安売の雑誌箱がひとつ。それだけ確認してから、しばらく高円寺の街を時間潰しにウロウロする。水曜日は高円寺の古本屋さんは定休日が多いんだよな…などと考えながら駅の方まで行くと、ガード下の壁にたくさんのカラフルな付箋が貼付けられている。近付いて見てみると、『香港加油!』と香港のデモを応援するたくさんのメッセージであった。そんなことをしていたらたちまち三十分が経ち、店に戻って買取のお金を受け取りつつ安売雑誌箱にはみ出して挿さっていた、値段の付いていない気になる一冊を抜き出す。ヒマワリ社「中原淳一 きものノ繪本」。贅沢やお洒落を楽しむことが抑え付けられていた戦中にも出していた、ある意味反骨とも言えるファッション本である。これは昭和二十一年の戦後版であるが、何故レコード屋にこんなものが!と驚きながら、早速「これお幾らですか?」と切り出してみる。すると青年は「これ、みなさん手にするんですが、二千円って言うと戻しちゃうんです。いつまでも置いとくと傷んじゃうんですよね。ちょっと安くしますんで、お幾らなら買いますか?」と言われてしまったので「じゃあ千五百円でどうですか?」と、たちまちこちらも交渉成立する。レコード屋さんでこんな素晴らしい本と出会えるとは、ラッキーでした!
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昭和二十一年という“戦後すぐ”を感じさせる、粗悪だがなるべく丈夫な紙に、なるべくカラフルにカラー印刷が施されている。だが全ページには、お洒落出来る喜びと解放感が中原淳一の筆で美麗に爆発しまくっているのだ。
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2019年08月11日

8/11東京・阿佐ヶ谷 ネオ書房

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駅北口を出てロータリーを北に渡り、ビルの下からつながっている『北口アーケード街』を突き抜ける。化粧レンガの敷き詰められた『旧中杉通り』を北にグングン進んで行くと、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の五十メートルほど手前右側に、三月に閉店してしまった元貸本屋の古本屋さん「ネオ書房」(2019/03/10参照)があった。お店を閉じた後は選挙事務所になり、選挙後は店主が本の無くなった店内で、ひたすら地道に片付けを進めていた…だが、急転直下!なんと作家の切通理作氏が縁あってお店を継ぐことになり、ついに昨日店名はそのままに再開店したのである!店構えは以前と変わらぬ、小さな古い古本屋さんである。店頭には三つの百均籐籠が置かれ、漫画や文庫本や雑誌を収めている…おや、何だか古い絶版コミックが混ざっている…以前の「ネオ書房」の気配が漂って来たぞ…店内に入るとお客さんがいっぱいの大賑わいである。中央には大きな駄菓子スペースが設けられ、親子連れが楽しそうに選んでいる。左右の壁は以前と同じく壁棚になっており、左壁手前から、音楽・フォーク・暴走族・学生運動・カウンターカルチャー・コミック・絶版コミック…やはりここには多くの旧「ネオ書房」の本が混ざっている。どうやら売り切らずに、まだストックが残っており、それをネオ「ネオ書房」が引き継いでいるようだ…現代社会&風俗・サブカル・映画など。奥の帳場近くになると、フィギュアやプラモデルなども混ざり始め、さらに奥に怪奇漫画類が集まっている。切通氏と女性の立つ帳場周辺にはマニアックな映画関連がディスプレイされ。右奥は切通氏の新刊著作が飾られている。その下には大百科系が一列カラフルに並び、右壁奥には、おぉっ!ウルトラ関連・怪獣・特撮が集まり、興奮必至の濃厚な小宇宙を形作っている。さらにそこから、フィギュア類を挟んで児童文学・アニメ関連・SF&ミステリ文庫・少女漫画と続いて行く。棚下には主に雑誌や同人誌類や漫画雑誌や特撮ムックが積み重なっている。旧「ネオ書房」の雰囲気を一部残しながらも、新しく明るくマニアックな楽しいお店となっている。ウルトラ好きは必見。値段はまだついていないものが多く、これは「おたずね下さい」とのことである。だが値段は帳場での値付を耳に挟むと、総じて安めなので、安心してたくさん本を抱えてたずねるべし。徳間文庫「都筑道夫ドラマ・ランド/都筑道夫」と、左棚の片隅で見つけた怪しい本・光林堂書店「科學小説 四百年後 地球滅亡の巻/古荘國雄」を選び、帳場で「すみません、両方とも値段がついていないです」と値付をしていただく。まずは文庫本を手にして「500円でどうですか?」「いいですよ」「ハハハハ、ありがとうございます」。続いて単行本「むっ、これは………………長考……………………千円でどうですか?」「いいですよ」「ハハハハハ、ありがとうございます」「でも、ここで粘るともしかしたら値段が下がるんですか?」と聞いてみると「ではこちらは800円にしましょう」と、何と即値下げしていただいた。そんなつもりじゃなかったのに、ありがとうございます!いやぁ、これは楽しいお店に生まれ変わったものだ。マニアックな本に加え、また旧「ネオ書房」の本を楽しめるのだ。また遊びに来ることにしよう。まずは開店おめでとうございます。そして「ネオ書房」を引き継いでいただき、本当にありがとうございます!

購入本の「科學小説 四百年後 地球滅亡の巻」は、大正拾五年刊の函ナシ本。何だかこのタイトルに引っ掛かるものがあったので、家に帰ってから記憶をたどり、盛林堂古書目録第3号「盛林堂の本棚 2016年10月」に当たってみると…ややや、16ページに載っている!函がちゃんとあると、恐ろしいほどの高値じゃないか!面白そうだと思って買った本ですが、目録を見て今、どひゃっほう!と遠慮なく叫ぶことにいたします。
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口絵は物語の冒頭、世界第一の都會『ロンヨーク』で暗殺され落下する、アングロサクソン大統領の圖。そして次々と暗殺されて行く世界の指導者たち…。
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2019年07月28日

7/28東京・武蔵境 おへそ書房

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武蔵小金井の南にある、部活の女子中学生自転車軍団が「スゴい坂ぁ!」「坂だぁ〜」「キャァーッ!」「ギャワワワァ〜!」「帰りこれ登るのぉ〜?」「ヒィエ〜〜〜〜」「ブレーキーーーーーー」などと楽しい多種の叫び声を上げながら下って行く急坂に、お昼過ぎに流れ着く。ちょうど良い、武蔵境に行って、七月二十日にオープンしたお店を見に行くことにしよう…。というわけで『中央改札』から北口に出て、ちょっと左手に見えている、ビルの間を北に真っ直ぐ延びて行く『すきっぷ通り』に入り込む。飲食店が建ち並び、食物の匂いに支配された、賑わいのある駅前通りである。その商店街も尽きて、ひとつ目の交差点を過ぎると、途端に郊外的な新しい道に変化する。テクテク北に歩き続けると、大きな食料品スーパーが現れ、その先の左手に目指して来た古本屋さんらしいお店が見えている。近付くと真新しい緑のテント日除けの下に、安売古本棚&台が出されている。何とも珍妙で可愛らしい名前のお店である。軒下には木製の袖看板も設置されており、“おへそ”の文字で
顔を形作ったシンボルマークが彫り込まれている…なんとなく岡本太郎の『太陽の塔』の顔に似ている。店頭には百均文庫と単行本とムック類と、それに古めの絵本が多く出されている。うむむ、ちょっと良い雰囲気…中にも良い絵本がありそうだなと思わされ、店内に踏み込む。左右の両壁に頑丈な白木の棚が据え付けられ、中央にも低めの棚と高めの棚を組み合わせた背中合わせの通路棚が一本鎮座している。右壁棚には、アート・建築・デザイン・写真・郷土・自然・思想・哲学…最下段にはまだ何も並んでいない。奥には「話の特集」を大量に集めたゾーンあり。向かいには海外文学・ブローディガン・セレクト日本文学・北杜夫・詩集・本関連・言葉などが集まっている。左側通路に移動すると、壁棚には絵本が多数展開し、長新太や佐々木マキゾーンが俺の耳目を集める。さらに児童文学・暮らしなどが続き、向かいには文芸雑誌・日本文学文庫・海外文学文庫・セレクトコミックが収まっている。フレッシュな若めのセンスを貫き、優しく線香花火のように趣味がジリジリ炸裂する棚造りである。七十年代辺りの新文学・新思想・カウンター&サブカルチャーが源泉か。値段は普通で、良い本にはしっかりとした値が付けられている。…やはり買うなら絵本だろ!と手にしたのは、フレーベル館「キンダーおはなしえほん かくれんぼ/作・村山筹子 絵/村山知義」(昭和四十七年刊)である。こぐまとあひるのアナーキーな『かくれんぼ』と、だいこんとごぼうのシュールな共同生活の突然起こったいざこざを描く『ごぼうとだいこん』と、これらの二編よりさらにシュールな童謡『もしも あめの かわりに』を収録…村山筹子って、絶対に変だ…と思いつつ、フリーの青年登山家の様な店主から予想外の安値で購入する。…おぉ、これで武蔵境に来たら、「浩仁堂」(2011/02/15参照)とコンボで巡ることが出来るのだな。さらに南に足を延ばして、「尾花屋」(2017/06/15参照)と古本屋トライアングルを形作ることも可能なのだな。開店おめでとうございます!
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『かくれんぼ』がメインストーリーなのに、表2と扉は何故か『ごぼうとだいこん』が占領!
posted by tokusan at 15:41| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月24日

7/24原田治旧蔵書!

荻窪からバスに乗車し芦花公園に向かう。駅の北側でバスを降り、南に線路を越えて、一路『世田谷文学感』へ。現在『原田治展「かわいい」の発見』が開かれているのだが、先週の金曜日に観覧した文庫善哉さんからその日のうちに急報が入り、一階のグッズ売場で原田治の旧蔵書が300円均一で売られているというのだ。ほとんどが函ナシやカバーが剥がされた本で、売り上げは環境保全団体へ寄付されるとのこと。本当はすぐさま駆け付けたかったのだが、色々あって本日の出撃となってしまったのである。『明日にはほとんどなくなっているかもと思いつつ、これは面白いのではないかとタレ込んでみます』と言われていたので、激烈な人出の土日を乗り越え、少しでも残っていることや補充されている可能性に縋りつつ、すでに女子がさんざめく入口を突破する。すると直ぐ左に、件のカートが目に入り、最上段にまだ十冊弱の本を残しているようだ。やった!と喜び、すぐそちらを見に行きたかったのだが、受付のお姉さんと目が合い「いらっしゃいませ。展示のチケットですか?」と言われてしまったので、おとなしくチケットを購入し、まずは展示から観ることにする。グッズ売場の商品やガチャガチャは人気だが、誰一人として旧蔵書に興味は持っていないようだ…この分なら大丈夫だろう。そう高を括りながらも、展示の前を通る足は、自然と早足になってしまっている。それでも、展示の質の高さと量には充分圧倒される。主にイラストレーターとしての仕事をまとめてあるはずなのだが、すべてが絵ではなく物欲を刺激する物資として感知され、POPと原色と太線とアメリカと日本が融合した不変性と永遠性を維持し続けるパラダイスに首まで浸かる。カルビーポテトチップスのキャラは原田治だったのか…「幻想と怪奇」の表紙もやっていたのか…岸田衿子との見たこともない幼児用の絵本はいつか手に入れなければ…蔵していた北園克衛『PLASTIC POEM』や小村雪岱の木版画がスゲェ!…そう言えばこの間「ささま」均一で買った「57人のブラッドベリアン」は装幀も挿絵も原田治だったな。帰ってから改めて良く見てみよう…などと感じ考えながら、足早に観覧終了。続いて一階の展示室で開かれているコレクション展『仁木悦子の肖像』も楽しむ。小規模ながら、直筆の原稿やプロットや書簡類を集めた見応えのある展示である。推理小説関連も良いのだが、紙芝居の「うそつききつね」や自家製童話集「ありとあらゆるもののびんづめ」、スミセイ児童文庫版「消えたおじさん」、雑誌「こどもの光」に連載されたジュニアミステリ「口笛たんてい局」の分厚い原稿束に特に目を細めてしまう。四枚蛇腹折りのパンフ代わりのリーフレットを入手する(裏面には一面に日下三蔵氏の寄稿が!)。そしていよいよグッズ売場の片隅へ。ラックカートの前に立つと、娘さん直筆の説明POPが付けられている。歴史系の本が多いのが不思議なところ。新潮文庫の「Xの悲劇」があるな…などと悩みつつ、結局はこれはちゃんとカバー付きの岩波文庫「特命全権大使 米欧回覧実記(一)」を買うことにする。この文庫は中を開くと、ページを折った跡があり、蛍光マーカーで所々に線が引かれているのだ。普段だったら決して買わぬ『ラインあり』という本なのだが、これが原田治が引いたのなら話は別となって来るのだ。購入してレシートをいただくと、ちゃんと品名が『原田治旧蔵書』となっているではないか。展覧会のチケットとともに、大事にこの本に挟んでおくこととしよう。それにしても展覧会の会期は9/23までなので、また旧蔵書が補充販売されると面白いのだが…。
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posted by tokusan at 16:24| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする