2017年07月19日

7/19東京・国分寺 胡桃堂喫茶店

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コメントタレコミで知ったお店が、朝八時から営業していることを知り、まだそれほど気温が上がらぬ前に悠然と訪れてみることにする。ダイヤが乱れ気味の中央線で西へ向かい、巨大な駅コンコースから、これまた巨大な空地が目の前に広がる北口へ出る。北にそのまましばらく進んで、『本町二丁目交差点』で東へ曲がり込む。新しい街並の中を迷わず直線に進むと、やがて『国分寺街道』に合流する『本町一丁目交差点』にたどり着く。その北側角地に、炭色の壁を持つ開放的な喫茶店が出来ていた。右側は扉が大きく開け放たれ、路上と地続きのようなカフェ的雰囲気だが、左側は昭和アンティーク調な扉とウィンドウを備え、喫茶店然としている。そしてウィンドウの向こうには本棚が見えている…こういうお店で毎度困るのは、本を買うだけでも利用出来るのか、ということである。ここも店構えは完全に喫茶店なのであるが、取りあえずは様子を見るために突入して、本棚にまずは張り付いてみよう。喫茶利用が必須なら、いずれは声を掛けられるはずだ…。そう予想して、右側の開放的な入口から、左側の本棚を目指してナナメに店内に切り込んで行く。エプロンを着けた店員さんが「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」と迎えてくれるが、席には着かずに窓際の本棚前に立つ。ここは自社出版の本と新刊、それにテーマ別の新刊と古本が並べられている。さらに隠れるようにして左奥に進むと、壁際から二階への階段壁が本棚になっており、およそ二十ほどの棚段とボックスが連なっている。ここも新刊と古本が混ざり合い、民俗学・映画・絵本・児童文学・料理・天文・自然・博物学・詩集・出版・本&古本・東京・散歩などを細かく端正に並べている。古本は挟まれているデータスリップの飛び出し部分が、三角カットになっているので、わりと分かり易い。本の量はそれほど多くはないが、知性と教養を芯にしたセレクトがすべての棚に行き渡っている。値段はしっかりの高めが多い。一冊を選んでカウンターに差し出しながら「本買うだけでも大丈夫なんですか?」と聞くと「もちろんです。ここは書店でもありますから。水金土は、夜遅くまで書店としても営業していますので、またぜひいらして下さい」と教えてもらう。ふぅ、良かった。勁草出版サービスセンター「神戸の本棚/植村達男」を購入する。外に出ると通りがかりのおば様が、カウンターの店員さんに向かって話し掛け始めた。「突然ごめんなさいね。でも素敵なお店ね〜。後で絶対来ますわ〜」。

7/16にジョージ・A・ロメロが死んでしまった。映画監督であの現代的なゾンビ(死んだ時の姿の普段着で登場。動きはゆっくり。人の肉を求める。頭を吹き飛ばされると行動が停止。ゾンビに噛まれると潜伏期間を経てゾンビとなる。などなど…)を発明し、映画・ゲーム・漫画・ドラマ・小説の世界に、数多のエピゴーネンとリスペクトとパロディとパスティーシュが現在進行形で蔓延し続ける状況を作り出した、偉大なる人物である。そこで、家にあるロメロに直接関わる物を集めて追悼。LPレコード「ZOMBIE DAWN OF THE DEAD」はGoblinによる映画のサントラで、下北沢にある曽我部恵一経営のお店『CITY COUNTRY CITY』で購入。ABC出版「ゾンビ/ジョージ・A・ロメロ+スザンナ・スパロウ」は映画のノベライズ本。意外にレア本であり、安く手に入れようとすると、結構苦労すること必至。他にも講談社X文庫「死霊のえじき」があるはずなのだが、残念ながら文庫の山に埋もれて発見出来ず…。
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2017年07月06日

7/5東京・西荻窪 MAROGE

すでに昨日のことである。正午過ぎに家から出て、テクテク歩いて「ささま書店」(2008/08/23参照)。岡本綺堂「半七捕物帳」をベースに、昭和三十年代の刑法や捜査方法を紹介する警察系の新書、万歴書房「刑訴捕物帖 第一巻」を105円で購入。その後は西荻漥「盛林堂書房」(2012/0106参照)で「フォニャルフ」に補充した後(現在面陳中の麻耶&風太郎は署名本!)、ホームズ研究家&作家の北原尚彦氏と店内で落ち合い、店主の小野氏とともに三人で都内某所某宅の蔵書整理に向かう。三時間ほどのハードワークを熱中症に気をつけながらこなし、午後六時に西荻窪に帰還。店頭箱の中から新建築社「新建築 創刊號」(大正十四年の住宅研究雑誌。写真や図面やモダンな広告が豊富で、武田五一の寄稿が!)この後は小野氏がお店を閉めた後に労働の打ち上げを行う予定なのだが、ひとりひとまずお店を離脱して、駅の北側へと足を向ける。

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駅北口から東寄りの『北銀座街』に入り、東側歩道を北進する。ちょこちょこ歩いて、歩道アーケードを抜けて、緩やかな坂道を下り始める。二本の脇道をやり過ごせば、居並ぶ二階家うちの黒い建物二階階段口に、ヒラヒラと微風にさえも翻る婦人服が飾られているのが目に留まる。立看板に近づくと『古着・雑貨・本』の文字があり、店長は猫である旨が書かれている。A級情報屋の「やまがら文庫」からタレコミのあったお店だが、完全に女子向けのお店ではないか…。怖気を震わせながら赤いカーペット敷きの階段を上がると、こちらに開くサッシ扉が待ち構えている。狭い踊り場で身を引きながら扉を開け、ジャズの流れる店内に踏み込む。そこは階下同様、たくさんのヒラヒラした柔らかな洋服たちが集まっている。だが幸いにも、入って直ぐ左に小さな古本棚を発見する。なので洋服には目もくれずに棚前に屈み込む。セレクト海外文学を中心に、カルチャーを混ぜ込んである模様。一冊文庫を掴んで奥に進むと、押入れの如きディスプレイ棚があり、8ミリ撮影機などとともに、映画・テレビ・ジャズの本が飾られている。本の冊数はそれほど多くなく、お洒落寄りの少数精鋭主義である。値段はちょい安〜ちょい高と様々。本を見ている間に、古着の隙間をかいくぐるようにして、奥の帳場のロングヘアーの女性から「いらっしゃいませ」と声を掛けられていたので、精算をするためにそちらへ進む。本を差し出すと、値段を確認した後「900円ですがいいんですか?」とこの値段で文庫を買う私を気遣う発言。「本は別の者がやっているので」と笑顔で理由を教えてくれる。というわけで、サンリオSF文庫「ナボコフの一ダース/ウラジミール・ナボコフ」を900円で購入する。猫が店長さんのためか(この時は姿は見えず)営業日と営業時間がかなり変則的なので、来店時は注意が必要である。
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2017年06月29日

6/29古本屋ツアー・イン・せんべろ古本ツアー 都電荒川線編

六月二十八日水曜日午前十一時三分前の、小雨の池袋である。東口の『明治通り』から一本東に入った通りにある、二十四時間営業の『鳥良商店』に傘を畳んで入り、店員さんに待ち合わせであることを告げる。店内を見回すまでもなく、奥の窓際席ですでに聞こし召している、とみさわ昭仁氏(特殊古書店「マニタ書房」(2012/10/27参照)店主&ライター)・柳下毅一郎氏(特殊翻訳家&映画評論家)・安田理央氏(ライター&アダルトメディア研究家)が視界に飛び込んで来た。
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近づき挨拶を交わすと、もう一杯目を飲み終わるところ…は、早い、時間通りに来たのに、何だか遅刻した気分である。「ウチらはこの時だけはちゃんと時間守るんだよね。しかも時間通りというか、もっと早い」ととみさわ氏。「やっぱり飲んで古本買いに行くとなるとね」と安田氏。そして柳下氏からは扇形に並べた名刺の中から一枚を引き抜くよう勧められる。真ん中辺りのを引き抜くと…『無』と墓碑銘が刻まれた墓の写真であった…何故!?「それは小津のお墓の写真です。すごくいいお墓なんですよ」…うぅ、何故なんだ…。そんな風にせんべろ古本トリオに迎え入れられ、こちらも追いつくためにグイグイビールを呷り始める。プッハァ〜!これは幸せだ。安い酒場でお酒を楽しみつつ、古本屋を巡り倒す『せんべろ古本ツアー』に参戦する夢が、ついに叶ったのである。午前十一時から飲酒など、非常識も甚だしいのだが、もはやトキメキはノンストップ!たくさん本を買ってしまいそうな予感がするので、どうにか財布の紐は固く締めて行こう。しかし古本トリオは、すでに二杯三杯とアルコールをたんまりと身体に補充し続けている。俺は、果たして旅の最後まで同行出来るのだろうか?楽しさ嬉しさに任せて杯を重ねれば、恐らくアルコールの過剰摂取で昏倒してしまうだろう…こちらもペース配分をしっかり考えて行かなければ…。今回のツアーは、都電荒川線沿線の古本屋さんを巡る計画で、その第一歩は正午開店の「古書往来座」(2009/01/09参照)となっている。古本を買うことより、まず飲むことからスタートするこの集まりの志しに共鳴しながら、古本屋の話はもちろんのこと、『長ネギ=南蛮』説や日本に於けるグラマーの歴史や『ナポリタン』の起源について熱く話していると、あっという間に正午となり、周囲はランチ客だらけとなっている。すでに『せんべろ』を逸脱している一人頭二千円を支払い、早速重くなり始めた腰を上げ「往来座」へと向かう。テクテク歩いて店前に着くが、あれ?開いてない。臙脂色のシャッターが冷たく下がっている…「ここは時間通りに開いてる、盤石の店のはずなのに」と一同驚愕しながら初っ端から途方に暮れる。
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とみさわ氏はシャッターに耳を当て「人の気配がするんで、もうすぐ開くのでは…」などと小さな希望を抱いているが、まだまだ先は長いので、諦めて次のお店に向かうことにする。後で乗るはずの都電荒川線線路を越え、雑司が谷に入り込んで行く。すると目に入ったのが開店している「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)であった。三人とも初見のようなので、ちゃんと古本も売っていることを説明すると、躊躇なく店内に吸い込まれてしまう。うむ、さすが古本トリオ。古本を求める情熱には、とことん忠実なのであるな。
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まだ壁際に並んでいた撤収寸前の「猫ノフルホン市」(2017/06/16参照)に食いつく三人を尻目に旅猫さんにご挨拶し、ここでは「レティシア書房」さんから、新建築社「光跡 モダニズムを開花させた建築家たち/池原義郎」を900円で購入する。とみさわ氏は古本以外にも、雑貨店の魅力に魅せられ和雑貨も一点購入していた。続いてそのまま商店街の先に進み、途中肉屋のプラ看板の恰好良いフォントに感激しながら「ジャングルブックス」(2010/08/20参照)。今日はユキさんもケンさんも不在の日らしい。アイヌの観光写真絵葉書「熊を柵内に入れんとす」を500円で購入する。都電荒川線方面に引き返しながら、お煎餅屋の工場直売店にフラリと入ったり、昭和な『雜二ストアー』に吸い込まれたり(柳下氏が「そうか、雑司が谷二丁目だから『雜二』なんだ!」と謎を解明するシーンもあり)、
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公園のトイレでスッキリした後に、ようやく鬼子母神駅から都電に乗車する。
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全員『一日乗車券』を購入しようとするが、運転席には一枚しかないというので、次の乗車時に買うことにして、全員で安田氏購入のおせんべい(ミックス)を摘みながら、車内ではそれぞれがそれぞれの場所で自由に過ごす(とみさわ氏は文庫を読み、安田氏はスマホを操作、柳下氏は軽く睡眠)。イレギュラーで『滝野川一丁目』で下車し、三人にはぜひとも体験していただきたかった「龍文堂書店」(2009年07月08日参照)へご案内する。営業しているかどうか不安だったが、ちゃんと店頭雨仕様で営業しているではないか!
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そして目論みはズバリ的中し、古本トリオ全員がお店の佇まいに感動した後、すぐさま店内に突入し、狭い通路を忙しなく行き来し始めたのである。このお店をこんなにも楽しむなんて、『古本トリオ』どころか『古本三銃士』と呼ばせて下さい!と思考を酔いに任せてスパークさせつつ、遅ればせながら店内に突入する。すでに安田氏が、エロ本&写真集のコーナーを縦に深く深く掘り下げている(この状態を後に柳下氏は「ゾーンに入った」と表現)。とみさわ氏は私が棚からつかみ出した黒木香の「フルーツ白書」を受け取ると「300円か…これは店に並べられるな」と抱え込む。ウハハハ、何だかとても楽しい、楽しいぞ!と私は函ナシの三陽堂出版部「麒麟/谷崎潤一郎」を300円で購入する。再び都電に乗り込み『一日乗車券』を買おうとするが、今度も一枚しかないと言う。なんだ、都電は各車両に一枚しか『一日乗車券』を常備してないのか?と疑問に思いつつ、取りあえずその一枚を私が購入し、三人は運転手の提案により、ICカードに『一日乗車券』のデータを書き込むことにする。これで全員が乗り降り自由となり、続いて王子駅で下車。開店時より本の増えた感のある「コ本ヤ」(2016/07/19参照)では学研昭和49年「中学一年コース新年特大号」第3付録「なぞのゆうれいイヌ/エラリー・クイーン(原作)福島正美(文)」を500円で購入する。
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対岸に渡りつつ「山遊堂 王子店」(2008/08/31参照)へ。リサイクル書店の皮を被った狼であるが、欲しい本は値付がわりとしっかりしていたので、早々に退散する。三人は一階二階と存分に楽しんだ模様。
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さて、ここら辺でアルコールも尽き、小腹も空いてきたので二軒目の飲み屋に入ろうとするが、とみさわ氏提案の「立ち飲みのおでん屋なんだけど」の発言に柳下氏&安田氏が「えっ!?」…実は微妙に疲れていたので、全員が腰を落ち着け足を休めたかったのである。なのでそんなお店を探し、王子の街をゾロゾロうろつくが、結局午後四時開店の大衆酒場「山田屋」で再び飲み始める。いやぁ、広くてメニューが安くて味があって、感激のお店である。
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みなそろそろチューハイや日本酒に流れて行くが、俺はそれをやったら即沈没しそうなので、グッと我慢してビール一辺倒で過ごすことにする。半熟卵・ハムカツ・ウィンナー・磯辺揚げ・生揚げなどを摘みながら、準完全密封弁当箱『フードマン』の話で大いに盛り上がる(とみさわ氏と安田氏が企画し、三つのゾーンに分かれたその新型弁当箱に、美味しいお酒のおつまみをびちっとセンス良く詰め込む大会を開いたとのこと。自分の持ち寄ったつまみコースには、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド的な名を付けることが義務づけられたそうである。あぁ、この人たちは、仕事と遊びを絶妙にゴッチャにして、人生をとことん謳歌しているのだな…。そんな風に楽しく飲んでいたら、午後五時半に『梶原駅』の「梶原書店」(2008/08/31参照)。
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店頭100円棚で津軽書房「北津軽群東京村/三上寛」を発見して喜びながら店内に進むと、とみさわ氏が「スゴいの出てきた」とつぶやきつつ、うらやましい「ロールプレイングハンドブック」(パソコンRPGに至る前の、本やテーブルトークRPG時代の本!)を手にしているのを目撃する。私はさらに店内で萬葉堂書店「図説 陸前のオシラサマ/三崎一夫」を見つけて300円で購入。この後は一気に『三ノ輪駅』まで移動。車中、椅子に座っていない俺以外は全員夢の中に落ち込んでいた。短い束の間のリフレッシュ時間となる。降車するや否や、トイレに駆け込むオヤジたち…いや、だいぶ王子で飲んでいたんで、仕方ありません。「古書ミヤハシ」(2009/08/09参照)は、もはやレジに立っているのが、最近のコンビニ事情の如き中国人なのに面食らいながら、店内が異様に鉄道的に充実しているのに目を瞠る。
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ここではアムステルダムの街を紹介する洋書パンフレット「Starring Amsterdam」を300円で購入する。写真館のミニアーケードを抜けて、地元的書店ともはや生きた化石とも言える猫の寝転ぶCD屋に足を運ぶが収穫ナシ。都電で折り返して本日のツアー最後の目的地である『庚申塚駅』下車。すでに午後七時を過ぎているのだが、おぉ!予想に反して昭和遺産の「かすみ書店」がしっかりと営業しているではないか!夜の帳の中に浮かび上がる古本屋さん!その中に蠢く古本三銃士の惚れ惚れする勇姿!
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あぁ、この写真が間違いなく、本日のベストショットである。そして最後の最後に、都電駅のホームに直結した居酒屋「御代屋」で打ち上げ&総評を行う。
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いやぁ、本当にハードでやはりとことん酔っ払ってしまいましたが、楽しかったです。このツアーを別な視点から見た様子は、安田氏のブログ『ダリブロ』をご覧ください。
http://rioysd.hateblo.jp/entry/2017/06/29/160831
いやぁ、古本屋さんには、様々な楽しみ方があるものです。
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2017年06月20日

6/20東京・つつじヶ丘 むうぷ舎新川リサイクルショップ

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本日は三鷹と京王線つつじヶ丘駅の中間辺りにある、中原という所に流れ着く。両方の駅からはだいぶ離れているが、なんだか団地の多い地帯である。家に戻るには…『新川団地』から吉祥寺にバスで向かうのがベストか…そう確信して『新川5丁目交差点』から北東に歩を進め、団地中央のバス停を目指す。そういうことなら、今日は吉祥寺の古本屋さんを巡り倒して行くべきか…そんなあやふやなプランを立てながら下り坂に足を掛けようとした瞬間、右手の福祉系施設に違和を敏感に感じ取る。建物の右側にリサイクルショップが併設されているのだが、見え難いガラス戸の向こうに、古本が並んでいる気がする!と、矢も楯もたまらず飛び込んでしまう。静かな飾り気の無いお店で、右壁には食器類が多く並び、真ん中には古着などの衣料品類、左壁には雑貨類が置かれているのだが、左壁上段二列分に麗しの古本が二列分並んでいるのを無事発見!おぉ、俺の古本的野生の勘は、やはり正しかったのだ!そんな風に盛大に喜んでしまうが、並んでいる古本はそれほど多くはない、日本の景色&旅関連の箱入本が二十冊ほど。それにハードカバーが十冊前後に、文庫本が二十冊くらいの、ささやかな布陣なのである。だがそんなことはどうでも良い!小さくとも偶然古本販売に出会えた感激はとにかくひとしおで、ハードカバー100円文庫本50円の激安値付けにも感心してしまう。ちょっとだけ吟味して、岩波文庫「ロボット(R.U.R.)/チャペック」公益信託佐倉町づくり文化振興基金「椿咲く丘の町-島尾敏雄『死の棘』と佐倉-/高比良直美」(序文は島尾ミホ)を計100円で購入する。

そんな突然の古本販売と出くわした幸せを噛み締めながら、バスに揺られて吉祥寺駅着。せっかくなので「古本センター」(2017/03/06参照)にも飛び込むと、創元推理文庫アルセーヌ・リュパン・シリーズ「水晶の栓/モーリス・ルブラン」(3版)の紺背バージョンが棚に挿されているのを見出し、100円だったので喜んで購入させていただく。濃紺で見難いことこの上ない猫マーク(分類はスリラー&サスペンス)がたまりません!
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2017年06月15日

6/15東京・新小金井 古本・雑貨 尾花屋

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本日は武蔵境と三鷹の間にある巨大な『境浄水場』近くに流れ着く。『中島飛行機 武蔵製作所社』の工場引込み線跡が、遊歩道として残っているのか…などと感心していたが、武蔵境が近いのを幸いとして、今日もあの新しい古本屋さんを目指すことにする。今日こそは、開いていてくれ!そう激しく祈りながら、『境浄水場』をクリアして玉川上水を渡り、トコトコ歩き続けて駅に着き、西武多摩川線に無事乗り込む。住宅の間を走り抜ける単線は、二分ほどで次の駅に到着する。ホームから下りて突端の踏切前に立ち、乗って来た電車が通り過ぎるのを待って、遮断機の上がった踏切を渡る。改札を抜けると、小さな可愛らしい駅前である。ちょっと歩いて徐に振り返ると、そこにはさらに可愛らしい駅舎が建っている。まるで映画『パンダコパンダ』に出て来る郊外の駅ではないか!東京にこんなプリティーな風景がひっそりと存在していることに小さく拍手し、西へ向かって歩き始める。すぐに『新小金井西口商店会』のゲートが出迎えてくれるが、そこには入らずに一本南の杭が林立した道に進む。するとそこは鄙びた小さな商店街で、多数の電灯のカバーを広告として利用する電器屋に虚を突かれながら西に進んで行くと、おぉ!右手中華屋さんと薬屋さんの間に、古本屋さんが堂々誕生していた。スクエアな日除けには店名とともにシンボル化された尾花(ススキ)が描かれている。その下右には三本の100均単行本棚(「暮しの手帖」など雑誌もあり)があり、左には絵本棚が置かれている。単行本は硬めだが良い感じ…おっ、宝石社の仁木悦子が!と幸先の良いファーストコンタクトを果たし店内へ進む。小さめだが余裕のある空間作りが為されており、シックである。そして誰もいない…。右壁は古着から始まり、下には洋書ファッション雑誌とファッション関連が固まっている。その奥には木製のガラス戸付きキャビネットが三本続き、中を覗き込むとどうやら貸し棚らしい(下記のコメントにある通り、ここは“貸し棚”ではなく厳然たるお店の棚で、紙に書かれているのは買取先の情報とのことである。古本の元の持ち主のプロファイルが見られる棚!斬新である)。名刺大の紙に出店者の職業と年齢や情報やメッセージが記されている。現在は十二人が出品しており、吉本隆明・鳥類・ゴルフ・囲碁・共産主義・歴史・宗教・スタジオジブリ関連などが収まっている。フロア中央には棚とテーブルで島が造られており、文学復刻本・ごはん&料理とともに、店内同様シックな雑貨類が飾られている。左壁には大きな棚が連続して張り付き、絵本・洋書絵本・食・美術・美術図録・グラビアムック類・200均文庫&新書を並べている。奥には難解の極みである埴谷雄高棚もあり。そして正面奥に帳場があり、いつの間にか奥から姿を現した、何だか“冬”と言ったイメージの青年店主が立っている。本の数はそれほど多くはないのだが、これはこれですでに完成されたような、不思議なスタイルのお店である。そしてもう何年もこの場所にあるかのように、いきなり街に溶け込み始めている。値段は安め。みすず書房「鬼道/眞殿皎」(丹羽文雄への謹呈署名入り)宝石社「刺のある樹/仁木悦子」を購入する。精算時に、帳場前に古い電話機(受話器と送話器が別れているやつ)が取付けられているのにようやく気付く。ここにも名刺大の説明書きがあるので読んでみると、お店に人がいないときは、これを使って呼び出すことになっているらしい。つまりはインターホンなのであるが、いつか必ず使ってみたいほど魅力的な代物である。お店の外に出ると、自転車で通りかかった母娘が「ほら、古本屋さんできたんだ」と話し、斜向いの豆腐屋さんの女将さんも「100円の本があんなに…」と話題にしている。開店おめでとうございます!
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2017年05月26日

5/26駿河台の上と下で古本市

中央線で御茶ノ水駅下車。『聖橋口』から出てすぐ横断歩道を南に渡り、『本郷通り』前で信号待ち。目の前には高い現代的ビル『御茶ノ水ソラシティ』がそびえ立っている。この地下一階で『Solaマルシェ』という名の市場イベントが開催され、嬉しいとこに古本も販売されているのである。ビルに近づいて行くと、その途中に中庭のある地下広場へのエスカレーターが現れる。『強風時ベルトにしっかりおつかまり下さい』の表示が少し不気味である。そこを下り始めると、広い中庭が一望出来るのだが、肝心のマルシェの姿が見当たらない…と思ったら、今日の怪しい空模様に備え、ギリギリ屋根の下に陣取り直線に並んでいるようだ。古本の影を探すと、むっ、正面にその後姿が見えているではないか。だがすぐには向かわずに、一応他の出店も眺めて行く。雑貨・アクセサリー類・お菓子・ジャムなどが続き、なかなか古本は馴染めぬ状況のように思えるが、角を曲がって最後に古本コーナーにたどり着くと、しれっと同類の顔をして、三台の長テーブルや箱や小さな棚に本がしっかりと並んでいた。
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300円本・大量の相撲雑誌・中公文庫・新書・岩波文庫・音楽CD・「洋酒マメ天国」・一般単行本・古雑誌…勝手にもっと女子寄りなのかと思っていたが、意外に正統派な景色である。通りかかる人も、他のブースと同様ちゃんと足を留めて眺めて行くのに感心する。サントリー「洋酒マメ天国第14巻 男の服飾劇場/石津謙介」を500円で購入する。

だがこれだけでは物足りないので、駿河台下にある「東京古書会館」(2010/03/10参照)地下の「和洋会古書展」もハシゴすることにする。南側の階段で中庭から抜け出すと、そこは『幽霊坂』の上。そのまま『本郷通り』に出て西へ向かい、ビルの谷間の急坂を下り、やがて会館に到着し館内の階段も下る。
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荷物を預けてガラスケースを横目に進んで入口を潜り、大量の古本に囲まれると、もはや午後四時前なのでなかなかに落ち着いた空間となっている。色々見て回るが、今回は「玉睛」が素敵だなと感じ入っていると、「フフ、ブログのネタ探しですか…フフ」と、穏やかな笑みを浮かべながら近づいて来た紳士が一人。ミステリ評論家の新保博久教授である。慌ててご挨拶し、駿河台の上下の古本市を訪ねていることを説明する。「フフ、そうですか。どうでしたか、あちらは?確か出店しているのは、「ビブリオ」や「立石書店」でしたね…」「長テーブルが三つだけでした。教授は今日はずいぶん遅いご出馬じゃないですか?」「私は普段からこんなものですよ…フフ」などと互いに本棚を見ながら会話を続ける。その後も別の通路で邂逅し、その度に言葉を交わす。そして最後は「今日はエアコンが効いていて寒いですね。だからもう帰ります。フフ…」とお別れする。教授、おつかれさまでした!こちらも一周したところで、新小説社新小説文庫「稲葉の新介鬼神のお松 地獄極楽(上)/長谷川伸」南薫書房「日本伝承草紙 戦國時代 妖術者の群/藤澤衛彦」を計600円で購入し、再び駿河台の上に出て、神保町をパトロールせずに引き上げる。「Solaマルシェ」「和洋古書展」ともに明日27日も開催される。
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2017年05月04日

5/4東京・中野坂上 ブックパーク中野坂上店

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せっかくの連休なのに、世界中の疲労を抱えたような状態に陥り、中野坂上に流れ着く。集中力などはとっくのとうに霧散しているが、それでも古本屋ツアーはして行くべきだと、近所の古本屋さんを懸命に思い出してみるが、残念ながらこの辺りはずいぶん前から『古本屋無風地帯』と化している。う〜む、取りあえず新高円寺に向かい、商店街を北に遡ってみるか…などと考えながら『青梅街道』まで出ると、おやっ?あまり見慣れぬリサイクル系新古書店があるじゃないか。外観から察するに、恐らくアダルトメインのお店なのだろうが、もしかしたら何か売っているかもしれない。とノロい頭の回転で判断し、中にササッと踏み込んでみる。店内は案の定、明るく妖しく肌色が乱舞する空間である。だが、右側では普通の新刊コミックや車雑誌も売られ、左のアダルトコーナー入口前には懐かし系ムックのバーゲン本コーナーもある。ではこっちは?と右側通路入口側の行き止まり空間に入り込むと、そこには中古コミックやゲーム系バーゲン本に加え、角に細長いアクリルケースがあり、復刻版のジャガーバックッスシリーズとともに、アニメ雑誌「OUT」の創刊号が高値で飾られていた。おぉ、予想外にここだけ古本屋さんらしいぞ!と無邪気に喜ぶ。だが何を買おうかかなり悩んでしまい、何故か新刊でたくさん並んでいる、ガチャガチャ・おもちゃ・ファミコン・おまけなどの本の中から青幻舎「昭和ちびっこ怪奇画報/初見健一」を選んで購入する。文庫サイズだが、かつての「少年マガジン」グラビアページに掲載された、香山滋〈人見十吉シリーズ〉と小栗虫太郎〈折竹孫七シリーズ〉の秘境探検物が収録されているのが嬉しい。

「西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)が出版した「モモイトリ 2017年春闌号」に『“極める”を放棄する。』という一文を寄稿しました。どこかでお見かけの際は、ぜひご一読していただければ幸いです。相も変わらずのめり込んでいる古本屋と古本屋ツアーの話でありますが…。
http://blog.livedoor.jp/mongabooks-mokuroku/archives/70635573.html
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2017年05月02日

5/2東京・南阿佐ヶ谷 店名不明

今日は夕方前に久我山の北に流れ着いたので、己の方向感覚を信じ、どこまで行っても似た景色が連なる住宅街をアイスモナカで涼を取りながら歩き、荻窪に到達して「竹陽書房」に安らぎを求める。だがじっくりと全棚を見るも、今日は食指が動かず、哀れ何も買わずに退散してしまう…このままではいかんな。そこでお茶を濁す小ネタ店を思い出し、地下鉄丸ノ内線で南阿佐ヶ谷まで移動する。地上に出たら『中杉通り』を200m強北上し、最初の信号で西の小道へ曲がり込む。最初は雑貨屋・飲み屋・食べ物屋などが続き、楽しい小道の雰囲気であるが、『商工会館』前を通過するとお店の数は自然と少なくなり、やがてただの住宅街となる。だがめげずにそのまま西へテクテク歩いて行くと、右手に突然雑然としたお店が姿を現す。店名は不明。
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店頭が古着で覆われ、足元には陶器や雑貨を詰め込んだ箱やカゴが置かれている。基本的には古着ショップのようであるが、店頭には古本箱も存在しているのだ。布製ボックスの中に、全品50円の文芸雑誌・ムック・新書・文庫が二十冊ほど詰め込まれている。スポーツ・歴史・エンタメ・推理・教養…まぁ安いのが取り柄であろう。一冊取り出して店内へ進むと、眼鏡姿のマダムが待ち構える洋服で作られた柔らかい空間。新潮文庫「阿部一族・舞姫/森鴎外」を購入する。

その帰りに「千章堂書店」の店頭で立ち止まると、店頭右側の映画パンフボックスの中に、角川映画「蔵の中/横溝正史原作 高林陽一監督」を発見したので400円で購入する。表4は『文庫5000万部突破記念(ご、ご、5000万部って…) 横溝正史フェアの広告』で、横溝正史についての解説は友成純一が担当。いわゆる角川の大作横溝映画とは一線を画す、低予算の実験的作品である。パラパラ捲っていると、表3の主演女優・松原留美子のファーストアルバム広告が目に留まる…タイトルは「ニューハーフ」…なんでまたこんなタイトルにと不審に思っていたら、松原は正真正銘のニューハーフなのであった。良く見ると、パンフにはその話題で多くのページが割かれているではないか。こういう映画だとは、まったく知らなかった。さすがは映画界の風雲児・角川春樹と言うべきか……色々あったんだろうなぁ。映画作りって、なんか大変なんだなぁ…。

家に帰ると岡崎武志氏より封書が届いている。土曜のトーク&ライブのための、紙焼き写真である。三十枚ほどをデータ化し、前座余興として公開しますので、お楽しみに!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
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2017年04月23日

4/23東京・用賀 RYUSENKEI

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風は冷たいが、それでも陽気は春模様の日曜に流れ着いたのは、千歳船橋と用賀の中間の上用賀…さて、これからどう動くか?用賀に戻って高津まで出て、「小松屋書店」(2009/08/15参照)の動静を探るか、それとも千歳船橋から豪徳寺まで移動して「靖文堂書店」(2011/09/06参照)で安値の古い文庫を漁りまくるか…だが待てよ、ちょっとさっき見かけたお店が気になるので、取りあえずそこをチェックしてからでも遅くはないな…。駅からは北口から地上に出て西に向かい、桜並木で煉瓦敷き歩道の『西用賀通り』を北北西にひたすら進む。800mほど来たら、お蕎麦屋のある交差点で『用賀六条通り』を西に曲がり込むと、ほどなくして住宅街の中の右手に、民家に増築されたような、チープな三角破風を持つ小さなお店を発見出来るだろう。表には立看板が出されており、それには『BUS』とローマ字の店名が書き出されている。ガラス窓からチラチラ中を覗き込むと、どうやらバス関連のお店らしい。そして左の壁際には、明らかに古本らしき姿が並んでいるではないか!これは、かなり偶然の出会いのめっけ物!どんなジャンルであれ、古本が売っていれば、それでいいのだ!と扉を開ける。中は六畳ほどの小さな空間で、左に二本の本棚と飾り棚、真ん中にはガラスケースと飾り棚、右壁には大きなラックとガラスケースが置かれている。奥は帳場になっており、白髪短髪の佐伯泰英風店主が「いらっしゃいませ」と呟き天井の明かりを点けてくれた。むぅ、やはりここはバスと車の専門店。主にミニカーと本を扱っているようだ。入って直ぐの左には、名車の単行本&ムックが並び、下には「CAR GRAPHIC」や「モーターマガジン」などの車雑誌が多種集まっている。続いてレース関連・車開発エピソード・車小説・車関連ノンフィクション…荒地出版社って結構車の本を出していたんだ…。その奥にはF1や車会社などの関連書籍が収まり、下はいよいよ古本から離れ、日本の立派な工芸品とも言えるミニカーのオンパレードである。そう言えば帳場は、色々な細かい手作業が行えるよう、ミニカーのレストア工房的布陣になっており、何だか職人の仕事場的様相を呈しているのが格好良い。真ん中のガラスケースには、バスのミニカーが大集合。そしてその裏側には、バス関連の書籍(マニアックな車種本から懐かし昭和バス本やバス旅までを幅広く)とムックが集められている。下には「バスマガジン」という名の、そのものズバリな専門誌がズラリと並んでいる。右壁のガラスケースには、ボンネットバスなどの懐かし系ミニカー&モデルカーが飾られ、下を支えるのは車カタログを恭しく収納したマップケースである。その横のラックには、バス関連の新刊やミニコミがディスプレイされている。バスと車に特化した、趣味性の高いお店である。本の値段はしっかり目だが、ミニカーには安い物もあるので(箱無しトミカとか)、お店は狭くとも車&ミニカー好きなら、かなり楽しめるであろう。それにしても、こんな住宅街に何故こんなお店が?と単純に思ってしまうのだが、実はここからさらに西に進んで『環八』に出ると、車のディラーショップやパーツショップが並んでいたりするので、“車”という大きな括りで捉えれば、充分関連性の高いお店と言えるのかもしれない。せっかくなのでやはりバスの本を買っておこうと、トラベルジャーナル「大阪路線バスの旅」を購入する。
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2017年04月14日

4/14東京・五反田 第四二回 本の散歩展

早起きして、まるで夏の朝のような日射しが鋭い五反田の裏町を縫って歩き、『南部古書会館』へ向かう。「第四二回 本の散歩展」に、「聖智文庫」さん(2013/05/16参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)に誘われての行動である。午前九時四十分に会館に到着すると、すでに一階ガレージは開場され、安売本を求めてたくさんの古本修羅が本を抱えて活発に蠢いている。うむ、やはり古書会館の光景は、こうじゃなくちゃ!と同時に、二階へ上がる脇の階段入口から、修羅の整列が次第に長さを増していく。こちらは二階に命を懸ける者たちが、午前十時の会場を、今や遅しと静かに待ち構えているのだ。この様子だと、結局一階にも二階にも出遅れている感があるので、焦らずのんびり構えて、シンプルに読みたい本だけを買うことに決める。というわけで修羅化せずに、修羅に揉まれ修羅越しに本を見て、何も買わずにあっさりとカバンを預けて二階へ上がる。入口から静かな熱気と殺気と本気が交錯する会場に踏み込むと、右の帳場にいた「古書 赤いドリル」さんから陽気に声を掛けられる。その後も棚を見ながら「一路」さんと挨拶を交わし、会場をスルスル巡回。「聖智文庫」棚を眺めていると、いつの間にか背後を店主・有馬氏に取られており、「なにやってんだよ」と話しかけられびっくりする。そして徐に棚にあった横溝正史「変化獅子」を手に取り、「安くしてあげるから買いなよ」とその場で値段を半額に直してしまった…おぉ!逆植草甚一的値段修正!と喜び、もちろん買わせていただくことにする。さらにその後も突然近くに現れる有馬氏とポツポツお話しする。今度、なんだか面白い倉庫に連れてってくれると言うので、喜んで同行をお願いし、今から激しく楽しみに思ってしまう。三洋出版社「変化獅子/横溝正史」春陽堂文庫「宵待草/武田麟太郎」創元推理文庫「百万長者の死/G・D・H&M・コール」(三版)長崎文學社「長崎昔噺集/歌川龍平」を計2500円で購入する。この会館展は明日土曜も開催される。
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写真は実は新刊書店と向かい合っている南部古書会館。

そして家に戻って午後三時に、奇妙な依頼を果たしに近所のある店舗へ向かう。このお店のオヤジさんとは、日頃挨拶を交わしたり、時々立ち話をするご近所的間柄なのだが、会話の端々で私が古本好きなのを知ってから、度々自宅の本の整理について相談されていたのである。本を売るのだったら、私などに相談せずに直接古本屋さんに来てもらうのが良い、と常々助言していたのだが、どうも踏ん切りがつかないのと、どうしたら良いか決まらないらしい。だからなのか、今日古本市に出掛けのところを話しかけられ、「ちょっと本の様子を見てくれないか」と頼まれてしまったのである。無碍に断るわけにもいかないので、とにかく一度その蔵書と対面することになってしまった…なんだかますます人生が、古本のためにおかしな方向に進みつつあるな。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で第四部から『スタンド使い同士は引き寄せ合う』というようなコンセプトが出現するが、それと同じで『古本修羅は古本修羅と引き寄せ合う』運命にあるようだ…。それに私に出来ることなどたかがしれているのだが(何となく売れそうな本があるか蔵書をチェックし、合いそうな古本屋さんを紹介するのが関の山…)、まぁ何かの気休めにはなるのだろうと、お店の前に立ち、住宅部分への扉をノックしている。招き入れられ、本が多くあるという二階部分に付いていくと、確かに壁際に結束された本の山が築かれている。ジャンルは主に美術・建築をメインとしているようだが、不思議なことにあまり本は見せてくれないのでその全貌は結局分からず終いな上に、まだ他の部屋や一階奥にも本はたくさんあると言う。そして結局話を詳しく聞いてみると、整理したいことは整理したいのだが、何も具体的には考えていないらしく、溢れる話はただただ古本にまつわるエピソードと生き様について。あぁ、私は人の家でいったい何をしているんだ。だがとにかく何故だか、その本の整理分類から処分までを、私に頼みたいとのことなのである。古本屋さんに依頼した方がスピーディで適確なことを伝えても、「そこは君に」の一点張りなのである。恐らく私は、奇妙に気に入られているのだ。そして、恰好の話し相手に選ばれているのだ…。なので説得される形になったが、●時間のあるときに作業●それには時間がかかること●まずどこにどんな本があるのか確認を進めたい、などを条件に出すと「では一部屋に私が本を家中から厚め、そこを作業部屋にしよう」と提案がある。それなら多少なりとも楽なのと(気の方も…)、その本を集める作業は恐らくなかなか進まないだろうと意地悪く確信し、とにかく準備ができたら連絡してくれと伝えておく。…まったく奇妙なことになったものだ。自分の家もままならぬのに、人の家の蔵書整理を手伝うことになった、愚かな私。こうなったら、素晴らしい稀本でも出て来ることを期待するしかないか…でも、どんな本があるのか全然分からないんじゃ、まだ海のものとも山のものともなんともかんとも。それに本当に着手まで至るのだろうか…ふぅ、古本好きには、やっぱり変わった人が、多いなぁ。
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2017年04月03日

4/3東京・都立大学 近所に引越し「ROOTS BOOKS」!

朝から百冊弱の古本を詰めたダンボールを担ぎ出し、大阪に送る。なんとその重さ、二十九キロ!フェア用の補充本で、今回値段がお安めなものが中心。現地に届き次第「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジェが商品化し、棚に並べてゆきますので、西の古本好きのみなさま、折りを見て梅田駅ビル『ルクア イーレ』九階『古ツアフェア棚』を冷やかしにどうぞいらしてくださいませ。

さらに朝から、岡崎武志氏より怒濤の「中央線古本屋地図(仮)」原稿が届いたので、他の仕事と並行しながらレイアウトを進める。夕方に一段落着いたところで、都立大学にノロノロと向かう。コメントタレコミにより「ROOTS BOOKS」(2010/03/25参照)が移転作業中であるのを知ったので、そろそろ様子を見に行ってみるかと、重い腰を上げたわけである。高架下の改札を抜け、すぐに北西へ。道沿いの、古く昭和なショッピングセンター『トリツセンター』は、すでにその役目を終え全面的に閉鎖されてしまっている。このセンターの横っ腹に「ROOTS BOOKS」は格好良くへばりついていたのだが、その店舗のシャッターもがっちり下ろされてしまっている。だがその前には立看板が置かれ『移転します』と簡素な地図が書かれていた。
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壁には2009年からこの地で営業して来た思いが軽く語られ、ウィンドウの向こうにはダンボールに書かれた『I♥都立大』の言葉が掲げられている。相変わらず都立大学という場所に、熱い気持ちを持ち続けておられるのだな。そして地図を参考にして、そのまま『中根小通り』を『目黒通り』に抜ける。交差点から北を見ると、確かにすぐに『ジョナサン』がある。横断歩道を渡り、屋外自転車置場横の『ジョナサン』の入ったビル手前の小道に入り込む。前方には、左に小坂、右に小階段があり、その先には緑道に美しく咲き誇る桜の樹がのぞいている。階段をトントン上がって右を見ると、そこに古本屋さんの姿が地図通りに輝いているではないか。失礼ながら、以前のお店より、しっかりした今時の古本屋さんっぽいぞ!と思ってしまう。
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店頭にはアンティークな木製キャビネットや箱が並び、その上や中に安売本が並べられている。100均文庫&単行本&雑誌、洋書&絵本、それに300〜500円本も左側に並んでいる。中に入ると、思ったより少し狭い空間である。壁には棚がしっかり張り巡らされ、右奥が深くなる構造。だが、今はかなり雑然としている。引っ越したばかりだからだろうか?それともこれがスタイルだからだろうか…?疑問深めながら進入可能な通路に入り込んでみる。とは言っても見られるところは、入って直ぐの正面文庫棚(新しめの本中心)と、横向きフロア棚とガラスケース間の手前通路だけのようである。フロア棚にはCDやビジュアル本が並び、奥に入り込むと入口側壁棚に美術系大判作品集が収まっている。そのさらに奥には、積み上がった本や日用品で進めぬのだが、大きな壁棚を見ることは可能である。何だかノンジャンルで並んでいる感じなのだが、歴史・近代史・文学に良さげな本が紛れている。だが左奥は横積みゾーンとなってしまい、フロア棚の裏側も横積みゾーンになっている。ふ〜むと秘かに唸りながら、積み上がった本に面白そうなものがありそうなのだがあまり手を出せずに、移動出来る範囲をウロウロ行き来してしまう。値段は普通で、良い本にはしっかりプレミア値が付けられている。結局右壁棚から、爪先立って手を伸ばし、どうにか本を一冊抜き取る。ぐるっとフロア棚を回り込み、隠れ家のような小さな帳場で精算する。とにかく引越し、ご苦労さまでした。これからも都立大学で古本屋の灯を、常夜灯のように煌めかせていただければ幸いです。新潮社「上海租界映画私史/清水晶」を購入する。
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2017年03月25日

3/25「第19回チャリティ古本市」と「古書 むしくい堂」はプレプレオープン中!

早起きして西武新宿線に乗り込み、拝島線→国分寺線と乗り換え、青梅街道駅で下車。今日明日と激安「チャリティ古本市」(2011/07/10参照)が開かれる『小平中央図書館』に午前九時半に到着し、会場入口で整理券を受け取ると、自分ではなかなか頑張った感のある、36番であった。ロビー食堂で野菜ジュースを飲みながら英気を養い、市への闘志を徐々に高めて行く。
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午前九時五十分に整列開始。ほどなくして岡崎武志氏も姿を見せ、ちょうど100番の整理券を見せながら「何かもらえるんちゃうかなぁ〜」と笑いながら、明るい中庭を囲んで半周した、列の最後尾へ姿を消した。午前九時五十八分、「そろそろ始まります。みなさん、心の準備をお願いします」とのボランティアスタッフのアナウンスに、忍び笑いがさざ波のように列に広がる。だが開始時間を迎えると、そこは瞬く間に熾烈な古本戦場と化し、老いも若きも男も女も古本を抱えて入り乱れ、場内が酸欠気味になるほどの、いつ果てるともしれない古本バトルロイヤルが展開してしまう。少しでも気を緩ませたら、何も掴めないぞ!と己に言い聞かせつつ、文庫島→単行本島→児童文学&絵本島→古書列→新書列を二周半。小粒な収穫である二十八冊を抱え込み、長い精算の列についた後、計1080円で購入する。一番の掘出し物は情けないことに、田中角栄の「日本列島改造論」であった…。這々の体で会場から脱出し、岡崎武志氏と市仲間の表具屋さんと合流。ロビー食堂で歓談しながら、「中央線古本屋地図(仮)」の大詰め打ち合わせをする。段々形を成して来ましたが、予想以上に面白い本になりそうです。引き続き編集制作作業に勤しみますので、四月後半の発売を、どうぞ楽しみにしていて下さい!

『新潮講座』に向かう岡崎氏と別れ、重い古本を両手に提げて駅に向かい国分寺へ。ホームの立食い蕎麦屋で腹ごしらえを済ませ、続いて八王子へと向かう。北口に出て、モザイクタイルが敷き詰められた『西放射線ユーロード』を北西に踏破し、東に鋭角に折れ込んで『甲州街道』を進むと、ほどなくして粗いレンガで化粧されたマンション一階に、本日オープンしたての古本屋さんが姿を現した。真新しく眩しい真っ赤なテント日除けの下には三本の100均棚が並び、文庫・新書・単行本を質高く収めている。右には開店祝いの立花が並んでおり、おっ!ひとつは「音羽館」さん(2009/06/04参照)からじゃないか!熱く義理堅いなぁ、と感じ入る。縦に広い店内は木材を基調にしており、現在東京の新興古本屋さんの内装&什器を多く手掛ける中村敦夫氏の仕事であることが、容易に見て取れる。そこに奥の帳場からおずおずと現れたのは、噺家の雰囲気を常に纏う「むしくい堂」さんである。何故かとても恐縮の態…その理由は、寝ずに本を運んで値付をし、棚に並べても並べても棚は一向に埋まらない状況のまま、ついに開店の日を迎えてしまったことを、大真面目に悔やんでいたのである。いや、もう開店したからには、そこはもう目をつぶりましょう。後はじっくり粘り強く棚を造り埋めて行けば、どうとでもなるはずなのだ。何はともあれ走り出したことが、この際とても重要なのである。その証拠に、明らかに地元のお客さんが物珍しさからチラホラと飛び込み、ちゃんと本を購入して行く。すでに「むしくい堂」さんは、この地でここに住む人たちと、縁を結び始めたのである。後はいかにその人たちに再び足を運んでもらい、また本を買ってもらえるかということであろう。ファイト、「むしくい堂」!現在プレプレオープンの状況は、前半右壁に文庫や新書が集まり、左に絵本・生活・暮らし、中央にアートや夏葉社&本関連に岡崎武志コーナー、そして奥に日本文学&海外文学棚がある。だがこれらは、今後も本が増えることによって、大いに変化する可能性あり。ただ現状で芯が太く厚く堂々存在しているのは、左端通路の鉄道と切手、それに音楽関連(ソフトだけではなく楽器についても集められている)である。ここには強い意志が感じられ、今後お店の柱となるであろう雰囲気が、すでに漂っている。とまぁ、そんなプレプレオープン状態なので、詳しいツアーレポートは後日に譲ることにする。「むしくい堂」さんは「後一ヶ月位でもっとちゃんとしたい!」と血を吐くような叫びでお店の完成を宣言。恐らくその頃には「八王子古本まつり」(2011/05/02参照)が『西放射線ユーロード』で開かれるはずなので、グッドなタイミングであると言えよう。晶文社「踊る地平線/室謙二」朝日新聞社「常紋トンネル/小池喜孝」を計900円で購入する。
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写真は祝いの立花がある店頭と、その影に顔を隠し恥じ入る店主の姿…再びファイト!「むしくい堂」!

帰りに西荻窪で途中下車し、「盛林堂書房」で表紙デザインを担当した盛林堂ミステリアス文庫最新刊「怪星の秘密/森下雨村」(ベタベタでイカした喜国雅彦氏のイラストが目印!)を受け取り、色々打ち合わせる。みなさま、4/7(金)の開催の、「怪書探訪」著者・古書山たかし×「盛林堂書房」小野氏×古本屋ツアー・イン・ジャパンの、三つ巴の三竦み古本トークも、何とぞよろしくお願いいたします!

「ある怪書好き会社員の軌跡」 トークイベントvol.1
■『怪書探訪』著者 古書山たかしさん、古本屋ツアーインジャパンの小山力也さん、盛林堂書房店主 小野純一さんによるトークイベントを開催!
http://www.kosho.ne.jp/news/news_info170213.html
■日時:2017年4月7日(金)開場18:00 開始18:30〜20:00
■場所:東京古書会館 7階会議室
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目 東京古書会館
■入場料1000円(現金のみ) 事前申込 先着100名様
■3月6日(月) 午前10時 予約開始! http://www.kosho.ne.jp/event/2017/s/page2.html

あの天下の奇書「醗酵人間」が欲しいあまり、コピーをを手作り製本してしまった伝説の男が語る古本愛!…まぁ恐らく私は、古書山氏と小野氏の濃厚な話には、何光年も置いてけぼりを食らうと思うので、暴走する二人を御する司会的役目に徹する覚悟で臨みます。楽しそうだけど、疲れそうだなぁ…また、帯の話とか、カバー異装版の話とか、ず〜っとするのかなぁ…。トークと同時に、古書山氏の貴重なコレクションも展示されていますので、どうかみなさま、展示ケースに涎を垂らしにおいで下さいませ!
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2017年03月20日

3/20東京・曙橋 古本 おふね舎

昨日は「みちくさ市」で楽しい古本販売の一日を過ごし、喜びの五十二冊を売り上げる。お買い上げのみなさま、フリーペーパーを貰って下さったみなさま、わめぞのみなさま、いつもながらにありがとうございました!そして本日、久しぶりに少し遠出をしようと思い、そういえば下妻の名店「ピノキオ」(2009/11/15参照)が閉店間近なはずなので、ぜひとも古本を買いに行かなければ!と早起きして前のめりに意気込むが、なんと閉店セールは3/15で終わっていた…ぐむぅ、不覚&無念…。そこで方針を転換し、明日3/21に閉店を迎えてしまう南武線・中野島の「ブックセンターいとう 中野島店」(2013/12/12参照)を見に行くことにする。駅から車通りは多いが、長閑な春の『中野島商店街』を南にゆるゆる下って、交差点際の黄色とオレンジのお店にたどり着く。閉店セールは『中古全品30オフ』である。扉を潜り、即座に二階へ上がり、最初に右奥の古書コーナーへ向かう。お客さんはかなり多く、店員さんと惜別の言葉を熱く交わす老夫婦がいるほどである。古書を丹念に見終わった後は、は文庫ゾーン→単行本ゾーンと巡り、二階階段脇のレジで、書肆山田「これからのねじめ民芸店ヒント/ねじめ正一」新春社「娯楽雑誌ユーモア 春季特別號 昭和二十四年四月」講談社「日本SF・原点への招待U」草友出版「反核でゼッケン/金子徳好」を三割引の計1449円で購入する。この最後の「反核でゼッケン」は、不朽の迷著「ゼッケン八年」(ベトナム戦争反戦に、日常生活でゼッケンを、なし崩しに着け続けることで挑むサラリーマンの熱いノンフィクション)の続編とも言える、八年後に反核運動のために禁断のゼッケンを装着することを決意した、再び立ち上がる男の物語である。…こんな続編的単行本が存在していたとは…(「ゼッケン八年」について詳しく取り上げた洋泉社MOOK「この本は怪しい」にも、この本については言及されていない)。ちょっと読み始めたら、冒頭は奥さんにゼッケンの縫製をなんとか受け入れて欲しいお願いの手紙から始まり、その真面目で心を打つ目的意識からずれたところに、期せずして生まれるユーモアが、相変わらず最高なのである。日常生活(つまり通勤や会社での就業中にもである)でのゼッケン装着に関する心の機微と葛藤を綴らせたら、この人の右に出る者はいない、無類の面白さなのである。あぁ、こんな本を最後に手渡してくれた「ブックセンターいとう 中野島店」に感謝いたします!
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駅に戻って南武線から小田急線に乗り継ぎ新宿へ。南口の大階段を下りて、何故か満開の桜の樹の下を通り抜け、かつての猥雑な南口ヘアピン坂道の残滓とも言える『食堂 長野屋』に腰を据え、カレーライスとビール小ビンで昼食とする。満腹した後は、人ごみを擦り抜け擦り抜け『靖国通り』まで出て、曙橋方面にプラプラと向かう…。駅からのルートは以下。ちょっと陰気な都営新宿線ホームから地上に出ると、大きな『靖国通り』。右に『あけぼのばし通り』の商店街アーチを見て、『住吉町交差点』を横切り、北側歩道を西進して行く。振り返れば、東京全域を監視しているような、巨大過ぎる防衛省のタワーがそそり立っている。その機械的視線を振り切るようにしてさらに西に歩き続ける。スーパー『丸正』創業者の胸像が建つ石造りの小広場前を通り過ぎ、やがて三本の杉が立つ三角形の『富久町遊び場』にたどり着くので、ここで一本北側の通りに目をやると、白い二階建て低層古ビルの端に、『古本』と書かれた縦長の白い暖簾が、風に揺れているではないか。コメントタレコミで知ったのだが、日月限定営業のためになかなか訪れることが出来なかったお店なのである。暖簾を潜って引戸を開けると、四畳半ほどの狭い店内。壁際には白い本棚が巡り、真ん中には平台と棚が合体した什器が置かれ、右にすぐ窮屈な帳場がある。そこには大工の棟梁のような短髪白髪でマスク姿の壮年男性がキュッと収まっており、「いらっしゃいませ」と渋く一声。入ってすぐの平台棚には、岡本太郎・美術系文庫&新書・アート関連書がビッチリと収まっている。左壁の少し低めのボックス棚には、美術図録・作品集/写真集・デザイン・民藝などが並び、上部には堀内誠一・荒木経惟などが飾られている。正面の高い壁棚には、サブカル・アート・写真関連・現代美術・前衛美術・デザイン・建築・文字・測量・色彩・日本美術・植物・舞踏・土方巽・ファッションと、容量はそれほどないはずなのに、緻密に綿密に並んで行く。右壁にはカルトコミック・セレクト日本文学・再びの建築・再びの民藝が続き、バックヤードの扉と帳場の上にさらに一枚の板が渡され、漫画評論・カルト漫画・岡本太郎などが、映画『宇宙人東京に現わる』のパイラ人(岡本太郎デザイン)フィギュアとともに並んでいる…根っからの岡本太郎好きだな。帳場下には美術系文庫&新書・都市・詩集などが収まっている。美術を背骨に、建築・写真・漫画を太い枝とし、細やかで見たこともない本も飛び出す、レベルの高いお店である。値段には幅があり、安い値付が多いのがとても嬉しい。欲しい本がたくさん見つかり、すぐさま掌の中に本が溜まって行くので、一旦冷静になって買うべき本を改めて吟味する。ニトリア書房「戦後前衛所縁荒事十八番/ヨシダ・ヨシエ」三笠書房「不純異性友遊録」読売新聞社「また横道にそれますが」ともに田中小実昌、弘南堂「炉辺詞曲 アイヌ神謡集/知里幸恵編」を購入する。満足して扉を開けようとすると、その扉が帳場で屈んだ店主のお尻に激突してしまう。「す、すみません!」「いえ、狭くて、すみません!」などとやりとり。いつの間にか曙橋に、日月だけ営業する、素晴らしいお店が誕生していました。
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2017年03月18日

3/18東京・九段下 第3回 昭和レトロ市

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『北の丸公園』の『科学技術館』で、面白そうな玩具系骨董市が開催される情報をキャッチし、地下鉄東西線で九段下駅下車。『4番出口』から地上に出て、日本武道館で開かれる卒業式の混雑を避けるようにして、『牛ヶ淵』沿いを南に向かう。閉鎖され、人気の感じられない典型的帝冠様式の『九段会館』前を通過して、お濠の上を『清水門』へと向かう。二つの門を鍵型に潜り、階段とも坂ともつかない斜面を上がり、やがて『北の丸公園』の端っこに上がり込む。そして白いイスラム的ファサードを持つ『科学技術館』に到着する。正面玄関からエントランスホールに入ると、袴姿の女学生の群れに混じり、短い列が右のイベントホールから延びているではないか。その列の最後尾に付くと、ほどなくして午前十一時の開場となり、入場料500円を支払ってから、二十店ほどの臨時店舗が並ぶ空間に突入する。長テーブルや持ち込んだ棚を使い、アンティーク店・プラモデル店・駄玩具店・ソフビ店・紙物店・レコード店・ペナント店・女子向けアンティーク店・女子向けファンシーアンティーク店・女子向け駄玩具店・玩具武器店・古道具店が連なる、懐かしさが高揚に火を点ける、楽しい空間となっている。隅には駄菓子バーもアリ。もちろん狙うは古本なのだが、紙物は多いが古本は案外に少ない。一店が雑誌や漫画雑誌や児童書&児童入門書を扱っていたが、欲しいものは見つからず。ぐるっと回った左隅のお店で、ようやく古い絵本の山などを見付け、じっくりと挑みかかる。二冊を選んで精算しようと店主に近づくと、おっ!付録漫画が並んでいるではないか。だが、それほどめぼしいものは、結局見つからなかった…ただ一冊、付録本の分厚い「トニー谷の名たんてい」が気になるが、八千円か…とあっさり見送ってしまう。講談社のディズニー絵本「ドナルドの名たんてい/絵ウォルト=ディズニー・文大木雄二」(収録された五話は、すべてドナルドを主役にした他愛もない探偵物である。ディアストーカーに天眼鏡にパイプが揃っているので、完全なる北原尚彦氏ホームズ案件であろう…だが、氏はすでに所持している可能性大である)Golden Book「A Rocket Trip to the Moon/Geraldine Russell」(人形とミニチュアを使った洋書写真絵本。1970年発行の犬も連れた月旅行を描くSFである。その出来は悪夢のようにエクセレント!だがクレジットを良く見てみると、日本の凸版印刷がプリントしており、版権も『Shiba production』となっている…もしかしたら日本語版が存在するかもしれない)を計1500円で購入する。この市は明日も開催される予定。

そして家に帰って、明日の「みちくさ市」参戦の準備に奮闘する。久々にフリーペーパー『五十歳になって思うこと(主に古本屋について)』など作成しましたので、明日お時間ある方は、ぜひとも雑司が谷でお会いいたしましょう!待ってます!
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2017年03月08日

3/8東京・御茶ノ水 エスパス・ビブリオ 第一回蔵出し古本市

早起きして地図作りを東小金井まで進める。作業の手を止め、身支度を整えて外出すると、午前十時半。総武線で水道橋に向かい、そのまま久しぶりの神保町パトロールに突入する。初っ端の「丸沼書店」(2009/12/17参照)で中公文庫「ダンディズム/生田耕作」国書刊行会「ク・リトル・リトル神話集H.P.ラヴクラフト他」を計500円で購入し、先陣を切る。そこからしばらく南に下った、いつでも店頭を楽しみにしている「日本書房」(2011/08/24参照)では、中央柔々和本タワーの間から、郷土研究社「爐辺叢書 越後三條南郷談/外山暦郎」を抜き出して500円で購入する。大正十五年刊、文庫サイズ167ページの民俗学調査的聞取り話集である。地名や方言や民話や農事などの項目もあるが、『化物のこと』『怪火』『天狗』『河童』『動物』『神』『變つた人々』などの妖怪や怪談奇談関連についても採集されている。自身の体験談や近しい人の聞取りが多く、主に明治〜大正と刊行時に近接した生々しい話が多い。特に『怪火』には、いわゆる火の玉以上の大きさや活動をする、UFO的な目撃体験談が多く含まれ、興味深い。よし、良いものが手に入ったぞ!と小さく喜びながら、「神田書房」(2012/02/16参照)では福武文庫「香港読本/山口文憲編」ちくま文庫「尾崎翠集成(上)/中野翠編」を計200円で購入する。だがその後は、「山本書店」(2012/04/25参照)にてハヤカワ文庫「幻想と怪奇 ポオ蒐集家/仁賀克雄編」を100円で購入するに留まる。残念ながらつい先頃閉店してしまった絵本のお店「BOOK HOUSE」が撤収中なのと、二階の「北沢書店」(2014/05/26参照)が必死に営業中であることをアピールしている巨大な貼紙を目撃する(だってお店への入口階段が、閉店した店内一階にあるんだもんな)。

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パトロールを終えて、駿河台崖下の『猿楽通』を北上している。途中脇道に入って『男坂』の石段を懸命に上がると、そこは『とちの木通』である。石段東南脇ビルの、地下にあるブックカフェ「エスパス・ビブリオ」への階段前に立つ。今日から3/17(金)まで、改装のための古本市が開かれているのである。このカフェに架蔵されているのは、主にアート・デザイン・建築・映画・写真集などであるが、果たしてどんな本が蔵出しされているのだろうか…。豪奢な階段を下り、ガラス張りの店内に滑り込むと、カフェは女性客で満杯である。もちろんそちらには目もくれずに、左の市が開かれている純白のギャラリースペースに足を向ける。右の壁際に長テーブルが二つ付けられ、100円の本が背を上にして置かれている。中央には大きなテーブルがあり、そこにも背を上にして、ぐるりと本の列が一周している、左にはセレクトされたバーゲン本アートブックが、500円と1000円の値で並んでいる。当然の如く100円のワンコイン本に己の耳目を集めてしまう。…なんだかわりと家庭的な古本市である。読み古された本や読み終えた本が多く、持ち寄った人の趣味嗜好がダイレクトに透かし見えているのだ。食や美術や旅行にカルチャー&美術雑誌、それに小さな展覧会の図録類も多い。クルクル回って三冊選び、レジで精算しようとするとそこには誰もいない。そのまま左奥の戦場のような厨房カウンターに声を掛け、忙しい中精算していただく。青土社「現代アメリカ映画談義/黒沢清+蓮實重彦」夏葉社「冬の本」新人物往来社「衝撃の絵師 月岡芳年」を計300円で購入する。帰りは『とちの木通』を北西に進み、『アテネフランセ』前を通過して、水道橋駅近辺のパノラマが楽しめる坂の上に脱出。さて、さっさと帰って机の前に座り、眼下の鉄路をさらに西へ向かうとするか…。
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2017年02月22日

2/22グラノーラ専門店と懐かしもの屋で古本を買う。

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●上井草「井草ワニ園」
各駅の西武新宿線から、ピンクと白の壁と柱のホームに足を突き出すと、わりと段差があり、油断していた踵に軽い衝撃が走る。ホームベルは『機動戦士ガンダム』。コンクリタイルがアーガイルに埋め込まれた、古いタイプの駅の南口から街に出る。駅前は道路で、東に進めば線路とともに直線に延びて行く『上井草商店街』の入口である。所々下ろされたシャッターにガンダムが描かれており、すぐにアニメ制作会社『サンライズ』のビルも左手に出現する。真っ直ぐ、何のてらいもなく駅から150mも歩けば、道は徐々に下り坂になり始める。そこで右手を見ると、白くシンプルなガラスウィンドウのお店…一見カフェのようだが、その機能も有する“グラノーラ”専門店とのことである。そして店頭には、古本箱が置かれているのである。数段のレンガタイルステップを上がり、白いテント日除けの下の箱をのぞき込む。料理・食・暮らし・絵本など。100均と言うわけではなく、表4側見返しに、糸付きの値段タグが貼付けられており、そこに各々の値段が書かれている。店内はほぼカフェのようだが、すぐ目の前のウィンドウ越しに本棚の裏側が見えているので、勇気を奮ってドアを開ける。ゆったりしたと言うか、情報量の少ないガランとしたイメージの空間である。左がカフェスペースで、正面に厨房カウンター、そして右側壁面に結構本棚が並んでいる。右寄り手前フロアに固まる絵本箱やセレクトコミックで作られた通路に入り、まずは入口右横の棚に目を凝らす。そこには『並んでいるのは古本です』のカードがあったので、本を手に取り開いてみると、見返しにあったのは「古本 一角文庫」のラベルであった。ここは、一角文庫の出張販売棚なのか。この居候なのに意外に多い本の量は、まるで立派な一角文庫の店舗のようではないか。入口右横は旅や街の本から始まり、田辺聖子・村岡花子・高峰秀子・岩崎ちひろ(一段分。ご近所に『ちひろ美術館』があるためか)・100〜300円コミック、そして小さな絵本棚。右壁沿いには、セレクトコミック・暮らし・お洒落・絵本・レコード・植草甚一・本&古本・日本文学・海外文学・幻想文学・美術・映画・現代思想・漫画研究&評論などが並ぶ。キレイ目な本が多く、空間に合わせたライトなこだわり棚造りが為されている。値段は普通。結局グラノーラはいただかずに、カウンターで本の精算をお願いする。向こうから顔を覗かせたのは、ファッショナブルなインパルス板倉風メガネお兄さん。タグ付きは自分の本で(カウンター下に食&音楽の個性的な棚あり)、他は定期的に入替補充も行う一角文庫のものであることの説明を受け、さらに一角文庫の活動内容についても詳しくレクチャーされる。一角さん、幸せなお店に本を置いてますな。主婦の友社「60年代郷愁の東京/本橋信宏」集英社「学習漫画 くらしの相談室」を購入し、ホットなジンジャーシロップお湯割を振る舞われる…美味しい!

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●阿佐ヶ谷「1960年代専門店 甘辛人生劇場 懐かし屋」
のどを生姜でヒリつかせながら、その後は新宿に出て用事をこなし、さっさと阿佐ヶ谷に帰り着く。買物を済ませたり、古本屋の店頭を冷やかしたりしながら、『中杉通り』西側歩道を北上して行く。谷を超えて坂を上がり、駅からはおよそ700m弱の地点。昨年末から開店準備を進めていたアンティーク&懐かし玩具店が、いつもは『Close』の札を出しているばかりだったのに、今日は『Open』になっているじゃないか。これは、やっている!ちょっとガラス越しに店内の様子を透かし見た後、本日二度目の勇気を奮って店内へ。整然とガラス棚やガラスケースに、大量の玩具やキャラ物やアンティークが飾られている。そして壁面に並ぶクラシックな掛時計たちが、ガチャガチャチクタクカチカチと時を刻むオーケストラを奏でている。左奥に帳場があるようだが、誰もいない…と思っていたところ、突然「いらっしゃい」の声がそちらから聞こえて来た…あっ!白髪白髯眼鏡の店主が、ちゃんと帳場にいるではないか。どうやら店内の情報量があまりに多過ぎ、店主を人として認識出来なかったようだ…。実はここは下北沢から移転して来たお店(2013/09/19参照)で、以前は残念ながら何も買うことが出来なかった思い出が。果たして今回は…。壁に飾られた紙物(新宿『どん底』の歌集なんてものが!)や、大小様々なソフビに目玉が吸着するが、肝心の古本は見当たらない。うむぅ〜、残念だなと思っていると、ガラスケースの下の隙間に、薄く横並びに隠されたように本が詰まっているのを発見!我慢出来ずに「下の本、見せてもらっても良いですか?」と聞くと「どうぞどうぞ。ちょっと手が汚れるかもしれませんけど…」「いや、構いません!」となったので、堂々としゃがみ込み、優しく本を引っ張り出して行く。浮谷東次郎・のらくろ関連・古い漫画・雑誌付録・映画パンフ・ソノシートなどがあるが、一番多いのは玩具系のガイド本である。だが、見たこともない良い一冊を掘り出せたので、値段を問うてみると、何と500円だったので喜んで購入する。購入会話を交わしながら、流れで古本好きであることを明かし、時々見に来ることを約束する。鶴書房「のらくろ先生の観葉植物/田河水泡」を購入。
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田河先生のオリジナル観葉植物の楽しみ方をしたためた本であるが、中にはのらくろイラスト(描き下ろし)が満載。遠い世界の果てのような、園芸ギャグ四コマ漫画(もちろん主役はのらくろである)までが収録されており、まるでのらくろ外伝に出会ったような喜びが迸ってしまう。
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2017年02月05日

2/5東京・新宿 ホホホ座 at BEAMS JAPAN

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野暮用で横浜方面の実家に里帰りし、夜になって東横線で帰京する。東横線に乗り続けて渋谷駅を通過し、電車が各駅の副都心線に成り代わった後に、午後七時前の『新宿三丁目駅』で下車したところで、昨日から京都の「ホホホ座」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P45参照)が『新宿丸井本館』裏の『BEAMS JAPAN』にて、3/5までの期間限定ショップを開いているのを思い出す。果たして古本が売っているかどうか定かではないが、念のため足を運んでみるかと『A2出口』から丸井前に出て、『明治通り』からその裏側に回り込み、若者で賑わいを見せるガラス張りの『BEAMS JAPAN』ビル前。通り側のウィンドウには、路面電車・嵐電が写る大きなポスターが貼り出され、横にはコラボショップのロゴマーク。そのガラスの向こうには、商品を品定めする、お洒落な若者たちの楽しそうな顔・顔・顔。角面の入口から中に入ると、異様にジャポニズムを意識した、モダンシンプル和匠な空間。入口近くのウィンドウ際には、ホホホ座がセレクトした独特な京都商品や雑貨・ZINEなどが集められ、ほぼ若者のためのニューウェイブなミニ京都が出現中。入口右側のカフェスペース前には、三方(切腹するときお尻を乗せるやつ)が巨大化して重層化したような台があり、京都の銘菓や新刊本などが並べられている。その裏側に回り込むと、おっ!三十冊ほどだが古本がちゃんと並んでいるではないか。すべては京都に関する本で、歴史・史蹟・寺社・人間・風土・祭事・庭・文化財・動物園などなど。値段はほとんどが千円以下で、リーズナブルな印象である。下の段には「月刊京都」というローカル雑誌が、三十冊ほど横積みされている。ふむふむと一冊選び、奥の全国を象徴的記号的に並列化したようなジャポニズム商品を集めた棚にぐるりと囲まれた、奇妙な神殿的レジで精算をしようとすると、お客をひとりずつ、丁寧過ぎる過剰な接待&包装を施しているので、大いに神殿外で待たされてしまう。京都新聞社「京都 滋賀 秘められた史跡」(京都と滋賀がワンセットになっているコンセプトがワンダフル!)を購入し、ホホホ座作製の『ホホホ座の考える京都エリア地図』も手に入れる。レジ待ちで瞬時にちょっと疲れてしまったが、古本をちゃんと売ってくれていて、本当に良かった…。
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2017年01月31日

1/31東京・下北沢 古書明日

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様々な方から「何故初日にちゃんと行かないんだ」とお叱りの言葉をいただいていた、元々都立大学にあった時々入れる事務所店(2013/01/22参照)の新実店舗に、冷たい風に巻かれながら駆け付ける。北口に出ると、仮改札はいつの間にやら北東に向いており、目の前はフェンスに囲まれた味気ないアスファルトの広場になっている。かろうじて懐かしい面影を残す『下北沢北口駅前食品市場』の無惨な残滓を横目に見ながら、狭く賑わう商店街を北東に進む。途中鍵の手に曲がりつつ、さらに歩き続けて短い坂を下ると、目前の小ビル二階に「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)の強い明かりが輝く『下北沢一番街』である。緩い坂道の商店街を東南に下り、『茶沢通り』とつながる元小田急線踏切を目指して歩いて行く。すると左手の、ついこの間まで下北沢老舗の「白樺書院」(2016/12/23参照)が入っていた店舗に、カラフルな立花に祝されている古本屋さんが、すでに誕生していた。おぉ!出入口が、左右二ヶ所になっている!店頭ワゴンには木箱が所々はめ込まれ、100均文庫・安売本・変な新書・猫本などが並び、茶色く古い本が紛れ込んでいるのが特徴的。ガラス扉には店名含め、お店の情報が貼り出されているが、それはすべて半紙に墨で柔っと書かれている。左側から中に入ると、正面奥が帳場となっているのだが、白樺時代とずいぶん違い、後がぶち抜かれ、すっきりと広くなった印象である。その帳場には昭和の雰囲気をたおやかにまとう女性が店番中。左右の両壁は本棚で、左奥壁も本棚。そして真ん中に背中合わせの棚が一本立ち、すべての棚下に低めの平台が付属している。店内には、香水なのか花の香りなのか、古本屋さんにはあまり似合わぬ香しき匂いが漂っている…。左壁は新書サイズ本と文庫(大藪春彦多し)から始まり、少しカオス気味にサブカル・カルチャー・文学・社会・民俗学・近現代史・映画などが混ざり合い、続いて行く。平台は棚と近い並びで、単行本が背を見せて並んでいる。向かいは文庫棚で、講談社学術・岩波・ちくま・ハヤカワSFが幅を利かせ、平台にはちょっと古めのはみ出し文庫や、おかしな新書サイズ本が集まっている。右側通路へ移動すると、奥壁棚は民具や骨董・文学古書・歴史資料系古書・園芸古書がなどが集まり、一部は面陳となっている。右壁には映画・演芸・美術・思想・海外古典文学・西洋宗教が並び、下には紙物箱や雑誌や小冊子が置かれている。通路棚は、戦争・植民地・アジア・沖縄・東京・文学評論&評伝・大判本・図録類となっている。小さなお店である。そして結構な硬さを誇っている。まさか若者文化溢れる下北沢に、こんな硬めの正統派古本屋さんが誕生するとは、思ってもみなかった。新書・古書・紙物に奇妙なところがあり、どちらかと言うと軟派な私は、そこに惹き付けられてしまう。値段は普通。三井物産株式會社機械部「ライブラリ・ビウロウ 鋼鐵製書架 並ニ圖書館用品各種」大月書店「神奈川県の戦争遺跡/神奈川県歴史教育者協議会編」を購入する。凶暴インコはいないけど、店舗を引き継いで下さり勝手に感謝!そして開店おめでとうございます!

字面が物々しい「鋼鐵製書架」は恐らく昭和十年代の、米國ライブラリ・ビウロウ製造品の棚を中心とした商品カタログである。使用例の『大阪毎日新聞社圖書室』の写真や、強固で巨大な本棚やレミントンのタイプライターまでが掲載されている。中でもまるで巨大なビルディングのような『鋼鐵製カード凾』と青銅&ガラス製陳列箱の見開きページには、尋常ならざる魅力を感じてしまう。これはカッコいい!
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2017年01月24日

1/24東京・西八王子 ガレージランドHarps

前回の記事にあるように、西八王子「一歩堂」(2015/05/11参照)に何やら大変な変化が訪れているようなので、確かめに向かう。北口に出て、未だに銀杏の踏み付け痕が残る歩道を進んで『八王子市役所』方面へ。緩やかな坂を下り、交通量の多い『陣馬街道』を越えてさらに進むと、右手に『古本』の文字が見えて来た…サッシ扉にそっと近付くと、硝子に小さい貼紙があり、営業時間と“営業中”の文字を確認する。店内に100均棚が引き込まれているが、ちゃんと営業中のようだ…多数の猫の気配もとりあえずはナシ(古本神・森氏は誰もいない店内を歩き回る多数の猫を目撃したそうである)。扉を開けて中に入ると、お香の匂いが微かに漂い、店内は風がないだけで、外気温と変わらぬ極寒の室温である。帳場奥には老婦人が座り、小声で何やら話しかけているので、どうやら猫たちと会話をしているようだ。…まぁ、しっかり営業していて良かった。震えながらも棚に集中し、二冊を手にして帳場に向かい、奥に横向きに座る老婦人に声をかける。そしてそのスキに、奥の間に目を凝らすと、おぉ!いるいる。以前からいる白黒猫に加え、黒の多い白黒猫が毛を膨らませてジッと屈み、白地に虎柄猫が室内を闊歩しながら、こちらの様子をうかがっている…か、可愛いな。老婦人はにじり寄りながら本を受け取り、値段を確認。そして「今日はとても寒いですね。もうお仕事終りなんですか?」「いえ、今日は休みなんです」「そうですか。ずいぶんと早くからいらっしゃるから。ホホ、休みなのに、ちょっと寄って下さったのね」などとやりとり。すると、帳場の下に猫がスルリ。「そこ寒いでしょ。寒いでしょ」と老婦人。書肆ユリイカ「ユリイカ 特集・自殺 19587月号」講談社「鳥/庄野潤三」(帯はないが函も本もキレイで、これが200円とは拾い物!)を計700円で購入する。

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『日吉町交差点』のある『陣馬街道』まで引き返し、そのまま街道を『追分町交差点』に向かい東に歩いて行く。しばらく歩くと右手に黄色い看板が見え、そこが森氏にチラと教えられた、古本も少しあるリサイクルショップであろうか。店舗手前はガレージ状になっており、そこにすでに様々な物品が飾られている。右はアンティーク家具や古道具をお洒落にディスプレイし、左には工具や大工道具などが賑々しく置かれている。どうやら、アンティーク+古道具+リサイクル要素を併せ持つお店のようだ。中に入ると薄暗く、まずはアンティークショップの雰囲気。それが左に行くほど日用品度がアップし、左奥の駐車場側出入口へとつながって行く。何気ない風を装いながら、古本を激しく求めてあちことに視線を飛ばす。右端通路には、面子やソノシートやレコードなどを確認。紙物も幾つか飾られている。だが、ここではない。第二通路は物品ばかり…では第三通路は…右側に絵葉書などの紙物をを発見。おっ!そしてその向かいの棚の上に、古そうな小型本や大型雑誌が二十冊ほど集まっているじゃないか。ほくそ笑みながら手を伸ばし、セロファン袋に入った薄手の本を確認して行く。駄菓子漫画・雑誌付録・付録漫画・児童雑誌…幸せなラインナップだ。値段も800〜1000円
となかなかお手頃価格になっている。ずいぶん古い北田卓史の付録海賊絵物語が三冊あるが、続き物か…う〜む、榎本書店のターザン駄菓子漫画も気になる…しかしこれにしておこう!と一冊だけ選び、奥の方も一応見に行く。そこは生活用品+家具+楽器の世界で、古本はバンドスコアやグラビア雑誌を確認するのみであった。みくに書房「長編ポケット漫画 怪奇探検 冒険児/竹田文吾作」を購入する。
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「冒険児」の表紙はなかなか凛々しい紅顔の美少年。
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だが中身はやっぱりこんな感じ。一ページに上下二コマで、全32ページ。その中に探検地図争奪戦、船の難破と島への上陸、ライバルとの格闘、人食い人種との戦闘、巨大猛獣や未知の類人猿との出会いが、ギュギュッギュギュッと詰め込まれている。表3には広告が掲載され、1.魔島征服記 2.密林の王者 3.冒険児 4.古塔の魔王 5.白假面 6.ノンビリ名探偵 7.冒険太郎など、何処かで聞いたようなタイトル含めラインナップされている。
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2017年01月22日

1/22東京・吉祥寺 吉祥寺パルコの古本祭り

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駅北口からお洒落な人波に乗って、西にある『吉祥寺パルコ』にユラユラ向かい、セールで華々しく飾り立てられた一階女子世界を、何食わぬ顔で堂々進んでから、地下への一人幅エスカレーターに飛び乗る。地下一階でステップから離れ、ぐるりと上りエスカレーター側に回り込むと、その脇の一角で、およそ二十ほどのワゴンを並べた、『パルコブックセンター』主催の古本市が開催されていた。キャッチコピーは『若手店主が営む個性派古書店12店舗が吉祥寺パルコに集結!』である。それにしても『吉祥寺パルコ』は古本市が好きであるな。ついひと月前にも、七階で「ART BOOK BAZAR」(2016/12/12参照)が開かれたばかりなのに、またもやの古本市開催に加え、開催期間が2/20(月)までと長めなのである。あっ!良く見ると奥のレジに立つエプロン姿の男性は、「ARt BOOK BAZAR」で、たった一人で広い会場を守っていた人と同じ人じゃないか…恐らく永遠の古本市担当なのかもしれない…ありがとうございます。古本がいつもお世話になっております。会場内には家族連れや若い男女がワゴンに向かっており、なかなかの盛況を見せている。洋書絵本や近刊文庫が人気のようだが、映画系文庫や美術やCDやレコードも幅を利かせ、小さいながらもバラエティに富み、キレイ目な古本世界を展開している。一番心惹かれたのは代々木八幡「rythm_and_books」(2011/08/10参照)のワゴンで、完全にカルチャー変態度全開な新書サイズ本の並びに、この世の中におかしな本を撒き散らしてやる!という素敵な気概を勝手に感じ取る。そんな中から一冊を選び取ったのだが、なんと値段が付いていない。近くに並ぶ本の間や周辺を見回すが、スリップが落っこちている気配はない。だがその本がとても欲しかったので、あえて永遠の古本市担当男性に値段を聞くことにする。するとしばらく待たされたが、方々に電話を掛けていただき、およそ七分後に500円であることが判明する。「あっ、じゃあいただきます。お手数かけてすみませんでした」「いえ、こちらこそ申し訳ございませんでした。では税込で540円になります。今スリップを作りますので、少々お待ちください」などとやり取りし、新興音楽出版社「口笛の吹き方/金井セツヲ」を購入する。

この本、文庫サイズの音楽独習&名曲集の一冊なのだが、他はみなちゃんとした管楽器打楽器洋楽器和楽器なのに、これだけが何故か異色の人体楽器の一冊(附録として他にも「柴笛(木の葉を利用)」や、裏聲を必要とする「聲笛」、口の中に手を叩いた音を響かせ演奏する「マウス・シロホン(口の木琴)」の技法も紹介)として滑り込んでいるのである。内容はもちろん技術的なことにページが割かれているのだが、冒頭や合間合間に口笛の市民権を高めるための文章がしつこく挿入されており、それが悲哀を誘いつつおかしくてたまらない。口笛に関する石川啄木の短歌を引き合いに出し、口笛に潜むロマンチシズムを熱く語ったり、「二十有餘年來この口笛を吹き通して來たが未だ一度も泥棒に見舞われたこともなければ、又蛇が出て來たといふこともない」などと、口笛が好き過ぎて民間伝承などにも立ち向かう始末なのである。フフフフ、今日も古くて面白い古本が買えたぞ。
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ついでに最近開いているところにお目にかかれなかった、南口側凶悪極狭バス通り沿いにある「バサラブックス」(2015/03/28参照)を見に行くと、今日はちゃんと開いている!よかったと胸を撫で下ろし、小さな三角形店内の豊穣な棚を慈しむ。双葉社「ルパン殺人事件/野坂昭如他」の帯付きを400円で購入する。その後はテクテク西荻窪まで歩き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にちょこっと補充すると、帳場脇に古本神・森英俊氏がヌゥッと立っており、挨拶を交わしつつ古本屋情報交換。千葉・松尾「サティスファクション」(2012/12/19参照)移転や、西八王子「一歩堂」(2015/05/11参照)の猫多頭飼いに驚かされる…これはちょっと確かめに行かなければ…。
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