ここ数日の間に、教授には必要とする本を書き出してもらっていたので、それを元にしてそれぞれが本の選別を進めて行く。トランクルームの中に閉じ込められると、たちまち囚人気分に襲われる。あまつさえ、教授に金網越しに飴を手渡され、悲しい差し入れ気分も味わってしまう…。
そして肝心な作業は、初っ端からかなり難航を極めることになった。まず教授のメモが書きなぐっているので読み難いこと、それに作家ごとに特定作品指定があったりすること、ルーム内が暗いこと、通路が激狭なことなどなど。
※これが教授のメモである。各棚ごとに掲出されていた。だが抜けもかなり多くあり、結局不要本として出したものを、再び棚に戻す虚しい作業あり。
軟体人間に変化し、テレスコープ・アイ(by香山滋)を振り回し、棚の上段から下段まで容易く確認出来れば、どれだけ楽に作業が進むことか…。かなり苦心して選別を進めながら、手放す本は廊下に出しまくり、縛り易いように同じ高さに揃えて行くと、そこにはたちまち本の海が誕生してしまう…恐ろしい光景だ。
それを小野氏が結束しつつ、私は右側二部屋の本を表に出し切り、スチール棚の解体を進めて行く。棚上のボックス棚から雑誌を抜き取り、下に下ろす。その後二本の棚を解体。ふぅ、続いて右側手前の部屋だ。こちらも棚上棚を下ろし、ツッパリ棒を外し、棚の解体に取りかかる…だがその瞬間、最初に背中にかなりの重量がもたれかかり、さらに次の瞬間、たくさんの本が上から降り注いで来た。壁際の本棚が突然こちらに倒れかかって来たのだ!咄嗟に必死に支えつつも、本の雨と大きな落下音が、心の中に恐慌を巻き起こす!これはヤバイ、ヤバイぞ!だが、背中に力を込めて踏ん張ると本の雨は止み、棚の傾きもひとまず押さえることが出来た。息を荒げながら棚の上を見上げると、雑誌がたっぷり詰まった棚が、かろうじてバランスを保ち乗っかっていた…これが落ちて来ていたら、確実に病院送りになっていたな…。九死に一生を得た思いで、「小野さん、小野さん!」と外に向かって呼び掛けると、駆け付けた小野氏が顔を青ざめつつも、すぐさま棚と崩れ落ちた本の復旧作業に入ってくれた。こちらはその間、動けぬ体で取りあえず懸命に棚を支え続ける。途中、そんな緊急事態に陥っているのに、教授がノンアルコールビールを持って現れ、にこやかな笑顔で「まぁ動けぬ状態なら、これでも飲んで一息入れて下さい」とキング・オブ・暢気な振る舞い。思わず気持ちが和んでしまう。結局二十分ほど倒れかかる棚を支え続け、体力を一気に削り取られてしまった。
※必死に棚を支える己の手を激写してみました…。
そんなことがありながら、午後七時前まで作業を続け、どうにかトランクルーム右側二部屋の整理仕分け作業完了に漕ぎ着ける。また近日中に、左側二部屋&ドア前トランクルーム&本邸の急ピッチ整理仕分けのスケジュールを組み上げて、本日のお仕事は終了を迎える。教授。小野さん、お疲れさまでした。命の危険を味わった報酬に、共に函は傷んでいるが、光風社「墓標なき墓場/高城高」浪速書房「天狗の面/土屋隆夫」をありがたく頂戴する。(つづく)

