火急の用事で雪の札幌に日帰り往復。忙しない時間の中でも、古本屋さんは絶対に見て帰らねば!と、残り少ない滞在時間を工面して、札幌駅北口にて雪まみれ。『西4丁目線』を北上し、『北8西4信号』を過ぎ、さらに次の信号を過ぎると、左手の小建築が連続する中に、古本屋さんの袖看板を見出す。直下のお店の入口を見ると間口は狭く、ドアのガラスには各種貼紙がペタペタ貼られているので、何だか事務所店に見えなくもない。おまけに通路には横積み本タワーが蔓延っているようだ。しかし表でいつまでも雪に吹き付けられているわけにもいかぬ。勇気を持ってドアをスライドさせ、二重入口の中に入り込む。右にはウィンドウ内のように見える古本の山。店内にコソリと進むと、細長く奥深く、左右の壁には棚が張り付き、真ん中には背中合わせの棚が一本。壁際は先述した通りに本タワーが連続しているので、棚の下部は見ることが出来ず、真ん中棚の下部は本が横積みで収まっており、本が見えなかったり見え難かったりする状況。奥に煙突のあるストーブと、倉庫棚通路を背後に抱えた帳場があり、小さなヒグマのような壮年男性と、マスクをした女性店員の姿が、雑然とした古書の中に溶け込んでいる。会釈をして身体を横にして右側通路。右壁は北海道に相応しく、アイヌ関連から堂々始まる。言語・暮らし・住居・道具・習慣・祭祀・歌・研究・などから、童話・民話・石森延男・「カムイの剣」!そして金田一京助棚もあり、納得と充実の並びを見せる。向かいには北海道開拓関連が、一般書・地方出版・研究書・論文などでバリエーション豊かに揃う。ガニガニと横歩きで引き返して左側通路。通路棚には東北・蝦夷・鰊・炭坑・満州・山岳関連が収まり、新刊らしき本もチラホラ。壁棚には北海道の市史や町史類・自然・動植物、そして奥に彼方の地、樺太やシベリアが地図を北上するように続いて行く。『オール・ザッツ・北海道』のお店である。基本は学術系であるが、『北海道』に関わる本を執拗に網羅する傾向にあるので、本タワーの中に面白そうな本が紛れ込んでいる。値段は普通〜ちょい高。北海道新聞社「さっぽろ文庫23 北海道の建物」を購入すると、袋にお店のスタンプをペタリと捺しながら、「建築の本なら良く入るんで、また見に来て下さい」と柔和なヒグマの微笑み。
この後は、時間の無さにさらなるツアーはあきらめ、駅に一番近い2フロアの正統派古本屋さん「南陽堂書店」に本を買うためにだけ滑り込む。
だがあまりにも焦りまくっていたので、入口近くの児童本棚から、集英社「エミールと三人のふたご/ケストナー」「怪盗ルパン/ルブラン」を勢いで掴んで購入。同時に帳場に置かれた「2014年版 さっぽろの古本屋ガイドMaP」を手に入れられたので、ひとまずはうれしやうれしや。本格ツアーは、またいつの日か!


今日は仕事で札幌行。飛行機に一時間半ほど乗ると、そこはすっかり雪景色。晴れてはいるがマイナス温度の世界…。早速仕事場から消え入るようにス〜ッと脱出。何だか走りやすい雪の上を、それでも気をつけながら小ダッシュ!地下鉄・琴似駅から凍った地上に出て、『琴似栄町通』の西側歩道を南へ。右に『西区役所』、左に『琴似神社』を眺め、さらに進むと『琴似2-7』の交差点脇のビルに、目指すブックカフェの入口を発見。その『地下名店街』入口には大きな看板が設置され、周りに小さなイベント告知の立看板も置かれている。大看板には『60〜70年代の文芸書を中心に3000冊の蔵書』などと書かれている。左に折れ込む階段を下ると、そこにはすぐにお店の入口。ショウウィンドウには美術作品が飾られているが、地下名店街の雰囲気が勝っている状況。喫茶店風の扉を開けると、右に展開するカウンターから、明るい「いらっしゃいませ〜」の輪唱。年配のご婦人と若い女性が優しく微笑んでいる。店舗は横長に展開し、中央のフロアを中心に、本棚の裏に隠れるように座席が配置されている。右奥にはギャラリーもあり。出入口通路左横に三本の棚、座席への二つの入口横に四本の棚、カウンター横にL字に組まれた二本の棚、右奥にもL字に組まれた四本の棚がある。お客さんはひとりしかおらず、静かでカフェの割には意外に落ち着ける店内。カフェと言うよりは完全に喫茶店である。しかし棚の見やすさは特筆モノ!古本を売るからにはカフェと言えども、棚はしっかり見えなければいけない!…と思う!取りあえず気持ちを落ち着け、奥のボックス席にひとりで腰を下ろす。ホットミルクを注文した後、即座に席を立ち棚に突撃。出入口横には、海外文学・日本文学・全集が並び、奥の壁には評論・ノンフィクション・エッセイ・北海道本・ミステリ&エンタメ・現代文学。カウンター横には岩波文庫・岩波新書・作家50音順日本文学文庫。右奥には海外文学文庫・時代劇文庫・SF文庫・児童文学・大判ビジュアル本が収まっている。シェイプされ目の行き届いた棚が続いて行く。本は70年代〜のキレイな本が中心。そんなに珍しい本があるわけではないが、毎日訪れれば何か見つかりそうな予感と、値段が安いのが魅力的。岩波文庫&新書のみが定価の半額で、他はほとんど定価の1/3となっている。本を選んで席へ戻り、ホットミルクで身体を温める。パラパラとページをめくるが、あっという間に戻る時間となりました。カウンターでミルク代と本代をご婦人に支払い、ショップカードを手に取ると、そこには本を手に持つステレオタイプなソクラテスのイラスト。恐妻家ということを、おくびにも感じさせないファンシーな姿を晒している。外に出ると、途端に寒さが全方位から襲い掛かる。雪の交差点の上には。氷片のように薄い下弦の月。自分の吐く息に包まれ、カカトでしっかり雪を踏み締め、あぁ仕事場へ!幻影城「匣の中の失楽/竹本健治」を購入。※後で調べると古書価が大体5000〜10000円。それが何と430円!あぁ、こう言う時もやっぱり嬉しいのが私の限界なのでした。
●札幌「大学堂書房」
●札幌「八光書房」
●札幌「古本 なづな書館」
●札幌「さっぽろ萌黄書店」
北の大歓楽街・すすき野にあり、場所柄のせいか夜遅くまで営業している珍しいお店。しかし煌びやかなネオンに目もくれず古本屋に直行…野暮の極みですな…。すっかり暗くなった夜の街に浮かび上がる古本屋…見れば見るほど不思議な気分。そして店の名前が、ど真ん中直球ストライクだけどいい。異を唱える余地はゼロ!店頭には安売りラックが二つ。ビニールがかけられているが、中の本は瀕死の本ばかり…ちょっと嫌な予感が背中を走る。しかし店内に足を踏み入れた瞬間、そんな予感は払拭!意外なほど奥行きのある店内。キレイに揃えられた本棚が、ズワッと続いている。古めかしい本が多く、全体を見ただけで気持ちが逸り、止められない。壁は左右とも天井までの本棚。真ん中には背中合わせの棚が一本……さて、ここからいつもだったら店内のジャンル配置の説明に入るのだが、後ほど起こるある事情のため、詳しい位置が脳内から飛んでしまったのである…。そこで取りあえずはジャンルを羅列。文庫(所々手製のカバーが掛かった不思議な本あり!)・絶版文庫・全集本・自然科学・北海道本・日本文学・探偵&幻想小説・戦記・辞書・海外文学・アダルト・新書・映画・演劇・脚本・歴史・建築・美術・実用・医学・料理・LPレコード・児童文学・etc...。古い本が多く掘り出し物感満載の棚が続く。夜更けの宝探しはことさら楽しい。奥のレジには中年の女性が一人。途中で店主らしき初老の男性に交代したところから事件は始まる!私はすでに右通路は見終わり、左通路も2/3を過ぎていた。ここでこちらを伺っていた店主が「何かお探しですか?」と声をかけてきた。特に目的もなく楽しく棚を見させて貰っている旨を伝えると、店主は突然ブレーキの壊れたダンプカーへと変貌したのだ!株価下落の話からスタートし、競馬・ロト6・政治・北海道の政治・文学・商店会・ノーベル賞・火事・バンド・女優・古本屋・東京・地上げとの戦いの歴史・死刑制度……もうありとあらゆる話題をマシンガントーク!最初は棚を見ながら話していたのだが、途中からまったく棚に集中出来ず、『えいやっ』と腹を決めレジ前へ。差し向かいで小話を30以上聞きました…。その小話の落ちは半分がダジャレで、しかも何だか落語風。あぁスゴイ話術を持った古本屋さんだ…なんて楽しそうなんだ。途中で常連さんらしき人が入って来たが、棚を見ながら店主の話を聞いて笑い声をあげる。どうやらこの店ではこの棚の見方が正しいスタイルのようだ…未熟者でした。私はこの時、選んだ本をすでにレジに置いているのだが、まったく精算する気配はない…。すでに30分以上話し続けている。もうこうなったら『蛇に睨まれた蛙』『まな板の上の鯉』、拝聴し続けてやろうじゃないか!…さらに30分経過。東京で田辺茂一に会った話・大宅壮一の笑い顔を見た話・大江健三郎にあしらわれた話・ゆずの話…もうどうにでもしてくれぃ!と思ったところで質問。北海道と言うことで「佐藤泰志の本は無いですか?」と聞くと「誰?それ?…知らないなぁ〜横山やすしなら知ってるけど。俺、知ったかぶりはしないよ、正直に言うよ」…いやごもっとも。そして余計な一言にも感謝!この後、永井荷風・谷崎潤一郎・三島由紀夫へと話は流れ、いつのまにやら一時間半。すっかりタイムリミットなので、暇を告げるとようやく精算状態に。そこで「本二冊を買うのに、こんなに時間がかかったのは初めてです」と真意を伝えると「スマン!」と即座に笑いながら謝罪。何とも憎めない店主です。ここで気付いた店主に似てる人…オシムです!オシムに似ている、和風オシム!…四角い感じも似ている。そして最後の最後に、本に書皮(紙のカバー)を付けているところで、この店のオリジナル書皮が川上澄生の作品だと教えられる。昭和四十五年に直接お願いして作ってもらい、版木もしっかり保存してあるそうだ。とここから話は棟方志功と浅虫温泉の話へ流れ、またもや10分経過。長いような短いような強烈な一時間四十分でした。もしここを訪ねる機会があったら、お酒を持って行き飲みながら話すことをオススメします。あぁぁぁぁぁぁぁ…。朝日文庫「私の三面鏡/沢村貞子」中公新書「未来の思想/小松左京」を購入。
冷たい風が吹き荒れる、北海道全開な札幌は琴似。その駅からメインstを少し歩いたところにお店はある。ディスプレイには児童文学・寺山修司・土方巽など。中に入ると細長〜い店内。レジがだまし絵のように遥か遠くに望める。通路は三列あり、入り口からは真ん中しか入れないので、とりあえず直進。文庫(新らし目)・文学・生物・戦記・全集などを通り抜けた通路の中ほど、右に昭和初期の小説・風俗。左は美術カタログ・寺山修司・村山知義など。両方の棚の後ろに奥の通路が見えている。右は文学関係、左は映画・音楽・児童書…胸が躍る。ゆっくりと児童・郷土史&文学・写真・哲学などを横目にレジ前へ。まずは左へ行こうと思い曲がると、本を満載した台車がとおせんぼ。「えっ!?」と思いつつ、仕方なく「こっちがメインだろ」と思いつつ右の通路へ行こうとすると、今度は本棚が目の前にっ!?何とどうやら真ん中の通路しか通れないらしい。ドラクエのダンジョンのように、壁の向こう側に通路があるのは分かってるのにたどり着けない状態…。ここには下る階段などあるはずもなく、トボトボと来た通路を逆戻り。未練がましく棚を見返しても何も見つかるわけがない。私に勇気と時間があれば「向こうの通路に入れますか?」ぐらいは聞けたのですが……。サッシを開け外に出ると冷たい風が骨身に凍みました…無念。