2018年08月26日

8/26福島・いわき 阿武隈書房

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岡崎武志氏との共著古本本のために、本日はいわきで単独取材。すると先日メールタレコミのあった新店が、無事に開いてくれていた。元々は「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)や柏の古書市で見かけていた、古本屋さんなのであるが、福島・泉の「古書文楽」(2011/08/27参照)を引き継ぎ、当地で倉庫店を開いていたのが、いつの間にかのいわき進出となっていたのである。駅からは南口の空中デッキから『駅前大通り』に下りて、二つ目の信号を東へ。繁華なはずの駅前なのに人気のない街路をズンズン300mほど進み、『五町目(ごちょうめ)』交差点にたどり着けば、もう青い『古本』と書かれた幟が翻るのが目に入るであろう。何だか古い伝統ある商店建築であるが、元は何屋さんだったのだろうか?軒下には笹らしきシンボルマークが残されているが…。重い扉を動かして店内に進むと、入口右横には大量のスヌーピーぬいぐるみが集められている。やむなく仕入れてしまったのだろうか?天井の高い店内には、オリジナルの木製本棚が立て込み、現状では四本の通路を造り出している。奥のガラス障子の向こうには、雑然としているがとても奥行きのあるバックヤード&住居的空間が続いている。そこから現れた年配のご婦人が「いらっしゃいませ」。さらにしばらくしてクール目な男性が後姿しか見せずに「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。二人とも、なんだかとっても忙しそうである。そして目指すべき棚は、まだまだ盛大に準備中&模索中らしく、右端の通路は棚に空きがあり奥は倉庫のようになっている…。入口右横の小さな棚には、本&出版&古本関連が集まっている。入口左横にはちくま文庫・岩波文庫などの文学&教養文庫系本棚が。その裏側は、自然科学・数学・オカルト系文庫などが集まっている。左の天井近くまで延びる壁棚には、コミック・近現代史・古書・和本・戦争・社会学・社会運動&闘争・福島&いわき関連郷土本が集まり、奥の帳場脇まで郷土本の攻勢は続いて行く。頭くらいまでの棚で作られた二番目の短い通路には、棚脇やその裏も含めて絵本・児童文学・民俗学・宗教・幻想文学・海外文学・アニメDVD・貸本漫画・古い少女小説・ノンフィクション・映画DVD・映画が集合。帳場下の棚には、永島慎二・手塚治虫・辞書が並んでいる。右の高い棚には、世界文化&風俗&歴史が集まり、わりと硬めに圧巻な並びを見せている。取りあえず現状の棚造りを見ただけでも、志の高いお店を目指しているのが見て取れる。大変に喜ばしいことである。値段は普通だが、安めなのもチラホラしており探し甲斐あり。奥でご婦人が「ほら、うろうろしないのよ」などと足下に話しか
けている…何か小動物がいるのだろうか…恐らく猫なのではないかと推測するが、残念ながらその姿は確認出来ずじまい。風濤社「当世滑稽裁判譚 いかれる七人証言集/呉智英・高橋悠治・鈴木志郎康・野坂昭如・神吉拓郎・中島誠・赤瀬川原平」を購入する。
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2016年01月06日

1/6福島でリサイクル系古書店に撃沈する

最後の青春18きっぷを使い、ガタゴト福島を目指す。相変わらず早朝からの出立なので、長い車内生活では読書とうたた寝を繰り返すのが常であるが、今回は一睡もすることなく、辰野九紫の昭和十二年刊ユーモア小説集「重役子守唄」を読了してしまう…面白い!佐々木邦や源氏鶏太とは異なる、滑るように粋で洒落のめす文章は、まるで新作落語の語り口のようである。だがこの“新作”は昭和初期の“新作”なので、江戸洒落風俗と最尖端の昭和初期が混ざり合い、妙にペダンチックで気持ちの良い古臭さを醸し出している。本が出版された“当時”にしか存在出来なかった文学に接し、見たことのない昭和初期の世界に足を踏み入れる車内生活…気づけばいつの間にか、遠望する山の頂きにしか雪のない、曇り空のそれほど寒くない南東北に突入していた。福島駅北端で一年ぶりの阿武隈急行に乗り換え、三十分でこの路線では数少ない有人駅の梁川駅に到着する。

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●福島・梁川「ファミコンショップヒーロー梁川店」
乗って来た電車のすぐ後ろで線路を渡り、駅舎を抜けると広く殺風景な駅前ロータリーである。そこを突っ切り、交差点を渡って北に進むと、駅のホームからすでに見えていた元『靴流通センター』であることが露なお店が、廃墟の雰囲気を湛えて静かに佇んでいた…この店名…秩父にかつてあったお店(2011/06/07参照)と同系列ということか…。外壁や看板に踊る風化しかけた文字は、リサイクル店であることを如実に表しているが、それでも『古本』『和本』などの文字に期待を寄せてしまい店内へ。広々としているが、今のところトレカのガラスケース・DVD&ゲーム棚・ファミコン&スーファミカセットが大量に下がるパーテーションしか目に入らない。しかし左側奥に目を凝らすと、場違いな掛軸ワゴンが存在し、骨董類ガラスケースも置かれている…よい兆しだ。では、古本は何処だ!と奥のコミック通路に分け入るが、行けども進めどもコミックばかりで、広大なアダルトゾーンの手前でようやく一本のラノベ&文庫&単行本棚を発見するに留まる。本は激安だが、まったく色めきたてない自分が、そこに悲しく屈んでいた。講談社文庫「水の中の八月/関川夏央」を購入し、サッサと駅へ戻る。

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●福島・福島「ブックタウン野田町店」
駅の待合室と一体化した明け透けな蕎麦屋で昼食を摂り、福島駅に引き返す。地下の東西自由通路を経て、初めての西口に出る。ロータリーから西に離脱すると、地方都市の繁華さはすぐに影を潜めてしまう。真っ直ぐ西に『県道70号』を歩いて行くと、ジリジリと正面から山塊が近付いてくる。駅から500m強の六つ目の信号で北に向かい、うねる道をしばし歩く。『学習センター』前を通過し、一本目の脇道を住宅街に入り込むようにして西へ向かうと、福島交通『桜の聖母学院バス停』前に、店頭が雑然としたお店がこつ然と現れた。チェーン店ではあるが、ちょっと期待で来そうな面構えではないかと期待し、店内に突入する…が、期待は見事に外れる。アダルトとコミックメインの通路の狭いお店である。一般ゾーンにもアイドル系写真集&DVDと成年コミックが幅を利かせてしまっている。唯一左端通路の壁棚に、海外文学文庫・ラノベ・時代劇文庫が一部並んでいるが、それさえも通路に積み上がったアダルトDVDダンボール箱群に遮られ、あまり見ることが出来ない。肩と共に視線も落とすと、DVDダンボールの表蓋には、AV嬢の写真が大きくプリントされ、彼女の口から出た吹き出しには「宅急便のお兄さん、ごくろうさまです♥」と書かれていた…くくっ、何という新しい気配りかっ!と感心しつつ、角川文庫「悪魔くん 貸本まんが復刻版/水木しげる」を購入し、お店から敗走する。

駅に戻って再び長い自由通路を通って、今度は東口へ。駅前商店街の古本も扱う新刊書店「政文堂書店」(2012/08/08参照)が喫茶店になっている悲しい現実を目撃し、その先の「ブックオフ福島駅前通り店」で資料用の春陽堂江戸川乱歩文庫「孤島の鬼/江戸川乱歩」を購入し、ついに大した収穫もなく帰路に着くことを決意する。
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2015年12月05日

12/5福島・木戸 岡田書店

昨日は己のフェア棚に軽く補充してから、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)ガラスウィンドウ内で開かれている『虚無への供物展』をフムフムフムと眺め、無料配布の小冊子「『虚無への供物』と中井英夫 そして西荻窪」をいただく。そして夜九時からは、本の雑誌社『菊池寛賞贈呈式二次会』に駆け付け、有名無名の人間の坩堝の中でひたすらビールを呷り、酔いを深めながら受賞を祝す。ビールがドシドシ消費されて行くが、ほどほどにしなければならない…何故なら明日は2015/12/02のお店に再チャレンジするのだから!

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家に帰り気絶するように就寝したら、明けて早朝午前六時に無事に起床。三時間かけていわき駅に到達し、さらに四両編成の常磐線で北へ向かう(竜田駅〜原ノ町駅間は未だに不通で、ノンストップバスが運行中。そのバス車内では、一回通行するごとの被爆線量をしっかり測定…)。今日の太平洋は暗く青緑色を湛え、海岸線はそのほとんどが造成中で、遠くに小さく重機が蠢いている。電車は低山の中を、谷を滑り数多のトンネルを潜り、北へひた走って行く。三十分ほどで目的のひっそり閑とした無人駅に到着。駅頭に立つと、人家はあるが人影はなく閑散としている。駅前広場片隅の自転車置場には、スタンドを立てたままの錆び付いた自転車が、十九台放置されている。この楢葉町一帯は、九月五日に避難指示が解除されたばかりの地域である。駅前の放射線量計のデジタルカウンターに目をやると、0.128マイクロシーベルト。町の中を歩き始めると、空家・廃屋、それに人が戻って来た家・定期的に手入れをしているような家が、混在しているのに気付く…。駅前広場から西に向かい、すぐに北へ曲がり込む。道なりにテクテク歩き続け、シャッターを下ろしっ放しらしい『豊政商店』脇の道を南西に入る。そこからまた道なりに坂をダラダラと上がれば、車の行き交いが賑やかな『国道6号』に出る。目の前のなかなか変わらぬ『名古谷交差点』の向こうに、『本・古本』『営業中』などの派手な幟が、威勢良くはためくのが目に飛び込んでくる。それらに導かれ、いそいそと大きな日本家屋の一部を改装した古本屋さんに急接近する。ここは、避難指示が解除されたと同時に、神速に設えられ開店したお店なのである。こんな、こんな、素晴らしい行動力と心意気を見せてくれたお店を早急に見に行かなければ、いったい何のための古本屋ツアーか!と古本魂を盛大に焚き付けられ、今ここにようやく立っているのである。さらにお店に近付くと、横手からギターケースを持った黒ブチ眼鏡の青年が現れ、お店に向かう私を見つけ、ペコッとお辞儀。そのままお店の中へ消えて行く…彼が店主なのか。若い!続いて開け放たれたままの入口から中に入ると、すぐ正面の帳場に立つ件の青年が、明るく爽やかに「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。横長の八畳ほどの空間で、フロアは板敷きで一段高くなっている。左の壁と奥壁にはDIY感あふれる壁棚が設置され、右壁には本棚が置かれている。フロア真ん中には大きな平台がひとつ置かれ、入口正面にナナメに机を置いた帳場がある。「土足のままどうぞ」と言われ、壁棚に接近。左壁には廉価コミックと作家50音順最近刊ミステリ&エンタメ文庫。奥壁棚には福島郷土本・最近刊コミック・古児童雑誌&漫画雑誌・ジュブナイル少々・絶版漫画(充実)が並ぶ。平台には、入口側にレンガのような厚さの廉価コミックが詰まり、奥側は官能文庫と絶版漫画文庫の取り合わせ。田河水泡のらくろ色紙が掛けられた右壁には、時代劇文庫・ロック・ジャズ・ルパンシリーズ・アダルト雑誌などが固まっている。大衆性と趣味性が炸裂する小さなお店で、絶版漫画に力を入れている模様。値段はちょい安〜普通。帳場脇にあるプレミア付録漫画やジュブナイルの入ったケースを覗き込み、その横に置かれた付録漫画箱を漁る。今は催事に本を出している(「所沢古本まつり」)ので品が分かれていること、開店して間もないが付録漫画を探しにお客がやって来ること、結局買うことになる表紙がナゾ過ぎる付録漫画の話などを店主とアレコレ楽しく話す。光文社「少女」ふろく「星からの合図だ!/原作・園生義人 構成・大竹昌夫」4・5・7・8月号の四冊を購入する。避難指示が解けるや否や、復興の地に猛々しい若芽の如く誕生した古本屋さんよ。その勢いを失うこと無く、グングン己の道を突き進むのだ!と密やかにエールを送り、これからまだ二時間電車の来ない駅へ、トボトボと引き返す。

駅の待合室に独り陣取り、持参したパンで昼食を摂る。しかしどうしても二時間は余りにも長いので、腹ごなしに海まで歩いてみることにする。ほとんど家の無い、家の跡の残る更地と、強制的休耕田の荒野を真っ直ぐ進む。休耕田とは言っても、耕され、土の中から掘り出された瓦礫が所々に山を作り、少しずつ耕作の準備に入っているようだ。水の残る所では、白鳥が群れをなし、泥の中のエサを探っている。やがて海岸線に近付くと、高い盛土のために海が見えなくなってしまった。その盛土の向こうに出ようと思っても、切れ目なくすべての区域が工事中のため立入禁止となってしまっている。瓦礫の詰まった黒い大きな袋が大量に積み重なる異様な光景の中を、駅に向かって渋々引き返す。海をバックに本日の獲物を写真に撮るつもりだったのだが…。代わりに風吹き荒ぶ強制的休耕田をバックに撮影することにする。
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この付録漫画は、表紙からはまったく何の漫画かうかがい知ることは出来ない。すべて内容とは無関係の、可愛い犬のカラー写真なのである。唯一タイトルと数種のキャッチで(『こわい宇宙まんが』『こわいまんが』『スリラーまんが』)何となくSFっぽい匂いが感じ取れる。中を見せてもらうと、園生義人原作の横山光輝タッチ少女SF漫画であることが判明。主人公・まち子のお父さん柴田博士は、完全に鉄人の敷島博士である。そして!バレリーナ姿の宇宙人が攻めて来る…あぁ、攻めて来る!
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2015年12月02日

12/2福島・いわき 名前のない古本屋

久々に遠くに行きたくて行きたくてしょうがなくなり、早朝から常磐線で北を目指す。水戸を過ぎれば、右には潮汁のような白い太平洋が、明るい曇天の下に穏やかに広がっている。ところがようやくたどり着いたお店は、事前の調査では定休日が日曜日だったのに、いつの間にか水曜日にすり替わり、冷たくシャッターを下ろしていたのである…あああぁぁ。久々の遠出で空振りしてしまった…だが、めげずにここは近日中にも、必ず再チャレンジしよう。それは、店内の棚がどうこうと言うよりも、お店の成り立ちが、とても気になっているからである…。

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そんな風にして今日の夢は破れ、流れ着いたのはいわき駅。以前訪れ、ガラス窓越しに痛恨のツアーをしたお店を目指す(2014/08/19参照)。駅南口の空中広場から地上に降り立ち、西の『レンガ通り』へ。ゴールデン街的に猥雑な小路をうっとりしながら通り抜け、件の通りに出て南に下り、交差点をひとつ越えると、そこは『南レンガ通り』となる。さらに南に歩き、一本目の西への脇道に入れば、もう素っ気ない裏町。ほどなくして右手に古い肌色の雑居ビルが出現し、その一階左側に『グリニッジビレッジ』というヴィンテージ雑貨屋さんがある。ここに古コイン屋さんが古本を並べているのである。前回探訪時は「植田コイン 平店」だったのが、古本屋さんのみ「名前のない古本屋」と改名したようだ。入口前に車が停まっているが、どうやら開店しているらしい。躊躇せず中に踏み込むと、何だか少しガランとしてしまっている…もしや閉店準備中なのか?と一瞬考えてしまうが、左奥のガラスケース帳場に立つミュージシャン・SION風店主が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。ちゃんと営業中なんだ。窓際にはレコード箱、そして右壁側にCDと古道具&雑貨類が固まっている。そちらには目もくれず、開けたフロアを横断して、左壁の白いスチール棚に向かう。以前無様にガラス越しに見たときより、遥かに冊数を減らしている。だが放置されているわけではなく、面陳も交えているので、販売の意志を微妙に感じ取れる状態…福島郷土本・オカルト・幻想文学・歴史・戦争・日本文学・知的ムック…時々古書が出現し、ガラスケース内には第二次大戦・満州・大陸・南洋の古書が多く飾られている。値段は普通。ムムムと少し悩み、回光社「亜米利加をのぞいてきて/西田天香」(昭和四年刊。新興宗教的思想団体開祖のハワイとロスアンゼルス旅行記)を購入。大きな空振りはしたが、振り逃げでどうにか出塁した思い。いわきに感謝しながら、次打席でのヒットを固く心に誓う。
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2014年08月19日

8/19福島・いわき 植田コイン 平店

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青春18きっぷを使い、常磐線で遠出。土浦駅近くで壮観な蓮畑の中を突っ切り、日立駅付近で太平洋の水平線に接触すると、海上と海岸付近には潮風のためか炎熱のためか、白いもやが吹き流れていた。そんな風に東京から四時間。南口に出て、四年ぶりの白いいわきの街に潜り込んで行く。空中広場から地上に下りて、駅前の通りを西へ。大きな『レンガ通り』に行き当たったら南へ。商店街である整備された『本町通り』を通過して、次の裏通りな脇道を西へ入る。すると右手にズングリした古いビルが現れ、飛び出した側壁に守られたような一階に、二軒のお洒落なショップが入っている。左側の音楽雑貨店『グリニッジ・ヴィレッジ』に注目すると、おぉ!全面がガラス張りなので、左壁手前に三本の古本棚を確認出来た。以前、常磐線植田駅でツアーした「瑞雲堂書林」(2012/05/20参照)であるが、現在は『植田コイン』と名を変え、純粋なコイン屋として営業している。その古本部門とベーシックなコイン屋部門を、この音楽雑貨店の一角を借りて移植したのが、平店と言うわけなのである。本棚から視線を外さずに右端の扉に手を掛ける…ガチッ…開かない。中の灯りは点いているのに。その時、メモを千切った小さな貼紙があるのに気付く。『配達に出ています。1時半には戻ります』…現在は十二時半である。仕方ない、昼食を摂りながら待つとするかと、扉を閉ざした「平読書クラブ」(2010/09/09参照)横の公園で、集う雀と共に地元パンを齧る。そしてどうにか時間を潰して午後一時半。しかしお店に動きはなく、まだ戻っていないようだ。その後、時間をおいて何度か見に行くが、やはり帰って来ない!いつまでもこうして、不審者よろしく張り込んでいるわけにはいかぬので、幸い外から本棚が丸見えなのをいいことに、ウィンドウに張り付いて、強引にツアーを決行してしまうことにする。三本の本棚は六〜七段に分けられ、真ん中はディスプレイ用。密教などの宗教・技術書・専門書・近代亜細亜・風俗・歴史・戦争・和本・古雑誌・利殖・コインなどが目立ち、カオス気味で古書も多め。しかしそのディスプレイは、お店に合ったしとやかさを獲得している。あぁ!触りたい捲りたいが、古本はガラスの向こう…。まるでビートたけし主演映画『哀しい気分でジョーク』(死期間近なコメディアンが息子と共に別れた妻の姿をオーストラリアまでこっそり見に行く話)みたいなツアーになってしまった。多少の罪悪感を覚えながら、そそくさと駅へ戻り、常磐線上りに乗り込む。

どうもこのまま帰ってしまうのは具合が悪いので、日立駅で列車を乗り捨て、陽の傾いた海岸段丘の街をひとっ走り。蘇鉄も健在な「佐藤書店」(2011/01/19参照)に飛び込んで、少ない時間で街の古本屋さんを味わいつつ、足下の古い本の山を穿り続けたいのをグッと我慢して、創元選書「ポオ詩集/日夏耿之介譯」講談社ノベルス「十四年目の復讐/中町信」を計850円で購入。ようやく古本にありつけた!と返す刀で駅まで戻り、後は東京を目指すのみ。
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2014年03月22日

3/22青森・長苗代 古書 坐来

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実は昨日も使った『三連休乗車券』で、普段使う『週末パス』より航続距離を延ばし、さらに特急券も併用して、三時間半と言う恐るべきスピードで八戸着。念願の青森初ツアーであるが、久々に新幹線に乗ると、とてつもない贅沢をしている気が…そして分かってはいたのだが、街は雪景色なのである。立食い蕎麦でお腹を安上がりに満たし、JR八戸線に飛び乗る。街から離れると、雪原の真っただ中を進む列車内には、『津波警報が発令された場合のお願い』、線路各所に設けられている『八戸線避難口』、『車両からの降り方』などの、普通では見られない案内板が取り付けられている。網棚の上には、存在感の大きい緊急避難梯子が置かれている。そんなものたちを眺めていたら、雪原の端にある無人駅にあっという間に到着。簡素過ぎるホームから下り、自動車も走る跨線橋の階段を上がる。遠くに煙をモクモク吐き出している港湾地区が見えている。雪はある程度積もっており風は冷たいが、気温自体はそれほど低くない。まずは北の市街地を目指し、『国道104号』を歩いて行く。シャーベット状に残る歩道の雪に難儀しながら、大きな交差点をひとつ越えてさらに北に進み、歩道橋で『下長交差点』を乗り越えると、道は幅と歩道を狭くして『県道8号』となる。時折消滅する歩道にさらに難儀しながら、400mほど北にベシャベシャ歩き、道が大きく西にカーブする手前で、一本東寄りの住宅街の道に逃げ込む。豪壮な住宅の間をまだまだ北に進むと、視界が開けて行く手には団地と大きな通りが現れる。ホッとしながらその大通りに出てちょっと東に進むと、おぉぅ!『河原木団地南口バス停』前に、『本の骨董屋』とある大きな店名看板が見えていた。たどり着いたぞ!喜び勇んでベシャベシャと入口に近付き、風を避けて立っていたバス待ちのおばあさんに道を譲っていただき、重く新しい引戸から中へ。そこは二重の玄関なのだが、右にはすでにプレミア本の飾られたガラスケース…どうやら本格的な店舗の気配。さらに同型の引戸を開けて店内へ。ふぅ、暖かい。すると電子チャイムが鳴り響き、奥の部屋の帳場から、相撲部屋親方風店主が伸び上がり「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。薄暗いが横長でまだ充分に新しいお店である。壁際には、右側に低い棚とラック、左側に高低の壁棚が混在。そしてガラスケースと背中合わせの本棚や柱棚が、計五本の通路を造り出している。ガラスケースの中の見たことも無い大正時代の「シャアロック・ホームズ」に気を取られながら、入口右横の科学数学棚をまずは見て、右奥の大衆小説棚に張り付いていると、奥から「何かお探しのものでもあるんですか?」と聞かれ、ここから店主との楽しい怒濤の会話がスタートしてしまった。古本屋経営・ネット販売・在りし日の古本屋巡り・青森古本屋事情・東京古書店との熱き闘い・紙物・骨董業界とのつながり・上階の立入禁止倉庫・蔵整理・本を集めること残すこと、etcetcetc!と、古本屋稼業&冒険譚のオンパレード。棚を見ながらも思わずグイグイ引き込まれ、通路の奥でお互いに姿も見えぬのに大声で会話を続ける始末。なので自然と棚への集中が、いや本への集中自体も疎かになってしまう…他には古い政治社会・思想・自然・本&古本・映画・山岳・青森関連・郷土・岩波文庫・新書・旅・スポーツ・ノンフィクション・宗教・文学評論・海外文学・日本文学。文庫はワゴンや通路に置かれた多数の箱に200均で詰め込まれている。だがこれで終りかと思ったら、「奥も見ていいからね」と帳場のあるスペースに招き入れられる。うぉっ!応接セットを中心に、壁棚と箱と飾り棚と低い本棚が置かれた、さっきより古い本の多い空間である。そしてさらに奥には、屋根のある能舞台のような座敷スペースがあり、さらにその周囲を重厚な壁棚が取り巻いている!そこに並ぶのは、さらさらに古い本たち!なんなんだ、この古本屋さんはっ!興奮しながらさらに会話しながら、本棚と箱の前を雀の如く忙しく飛び回る。真ん中スペースには、日本文学・辞書類・ジュブナイル少々・キリスト教・戦後文庫・定価半額セレクト文庫・古雑誌・海外文学・美術・雑誌付録・日本刀・旧日本軍関連・戦争時物・絵葉書・プレミア文学本・古観光地図など、戦中戦後を中心とした組み立てである。そして奥のスペースには、和本・地図・映画ポスター・双六・雑誌・全集・教科書類・戦争・日本文学・探偵小説・歴史・美術・郷土・社会・ガイド・戦前文庫と、戦前の古書がドバドバドバ。もはや私に正常な思考能力は無く、古書の海にただガボガボ幸せに溺れゆくのみ。古本大量!良い本と珍しい古い本が、奥に行けば行くほど現れる素敵なお店である。ただし店主によると、良い本や物はすべて倉庫にあるとのこと。値段はしっかりだが、店主が優しく色々サービスしてくれるのが嬉しい。改造文庫「胡桃割人形と鼠の王様/ホフマン」ハヤカワ文庫「地獄の家/リチャード・マシスン」講談社文庫「抱擁家族/小島信夫」河出文庫「あちゃらかぱい/色川武大」「ポロポロ」「かぶりつき人生」共に田中小実昌、ちくま文庫「JAMJAM日記/殿山泰司」を、改造文庫を500円引き、定価半額文庫を200均にしていただき購入。そして「じゃあ良いものをあげよう」と、「隔月刊 あおもり草子 特集・あおもり古書店歩き」を袋に同封。これは青森県で現在活躍する古書組合加入店を、ほぼ網羅特集!これは嬉しい!思わぬレア(古本屋狂の私にとって)な収穫を喜びながら、お店を辞去。すっかり話に夢中になり長居してしまったので、本八戸のお店も巡るつもりだったのが、予定の変更を余儀なくされる。と言うわけで、吹き曝しの雪原のホームの上で、八戸行の次の列車が来るのを、もう三十分以上待っているのだ…。
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「あおもり草子」。詳細な青森県内十二店の記事と、喜多村拓氏による『青森市古本屋小史』を掲載。

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2014年02月07日

2/7福島・須賀川で新生と閉店を見る

本当は土曜に行こうと思っていたのだが、明日は朝から大雪だと言うので、その予定をでんぐり返し、北へ!久々の福島県須賀川駅前に出ると、いつの間にか須賀川市が『M78星雲 光の国』と姉妹都市になっていた、衝撃の事実を知る!さすがは円谷英二を生んだ街(『須賀川追記』2011/06/04参照)!おまけに水晶の結晶群から空中に飛び出しかけた、やたらに筋肉質のウルトラマンモニュメントまで設置されていた。ぜひともこのまま、この市には突っ走って欲しいと願い、駅前を後にする。

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●須賀川「古書ふみくら」
2011/05/21に訪れた時のように、『駅前通り』を南に下って、釈迦堂川を越え、坂を上りながら須賀川の街へ入って行く。街並は三年前とは違って、軽やかな新建材ですっかり新しく装われていた。風が強く、広い空に細かに丸まるちぎれ雲が流れる様は、カネゴン誕生時の空の様。一キロ強南進し、見覚えのある交差点に差し掛かると、左手に大きなカステラのような直方体の、新しく生まれ変わった「古書ふみくら」が見えた。これはもう、すっかり新しく建て替えたのか…。側壁上部と正面左側に簡素な店名看板が架かり、正面には取扱品目と買取品目が細かく明記されている。早速中へ入ろうとするが、引戸が動かない…ヤバい!と少し慌てるが、取っ手の中のボタンを押し込んでから戸をスライドさせる、新式の引戸であった。店内は天井が高く、それに合わせてか棚も高く、かなり上にも本が並んでいる。棚は上部が細かな段で、下部1/3ほどが大きな段になっている。その棚で造られた通路が縦に四本。左奥にガラスケースと小さなガラス扉の付いた本棚。右奥に帳場があり、今やこのお店を引き継ぎ店主となったお嬢様が、パソコンと格闘中である。入口左横の100均文庫棚、それに右横の箱入大判豪華本を眺めてから、右端通路に入り込む。古書や和本、それに古い紙資料が多い。そして棚並びは、ジャンル分けのある所とあやふやな所があり、全体的に少々カオス気味である。ちなみに整頓は行き届いているので、ビジュアル的なカオスさはほとんどない。ここには戦争・文学・民俗学・児童文学・東北福島本・草野心平&天平・埴谷雄高・中山義秀・真船豊などの福島所縁の作家本・映画などが集まっている。第二通路は戦争・歴史・福島・関東大震災・全集・出版・短歌・建築・教育・性愛・キリストなど。第三通路は東洋文庫・風俗・性愛・工芸・西洋文化&文明・オカルト・署名本・キリスト・山岳・自由民権・ヒトラー・天皇・古い教科書・農業・戦争。左端通路は、東北福島郷土本・戦争・豆本・紙物など。古い本・郷土関連・戦争関連が非常に幅を利かせており、独特の硬さは以前とそう変わらぬ印象である。そして同ジャンルが繰り返し出現するのは、何かこのお店独特のルールでもあるのだろうか…。値段はしっかり隙無しであるが、時々良い物が安値で見つかることも。悩んで悩んで、あまりに状態が新刊のようにキレイで、表紙の印刷もカラフルな昭和四年の本、日本郵船「死都ポンペイを訪ふために/下位春吉」を1500円で購入。

表に出ると、いつの間にか雲が厚く大きくなって来ている。身体を切るような風がビュウ。街中を西にテクテク向かい、東北本線を跨ぎ、再び釈迦堂川を渡り、2/11に閉店してしまう「BOOKランド 須賀川店」(2011/05/21参照)を訪れる。うお!お店の駐車場にコミックの山が放り出されている、ちょっと無惨な光景が!
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恐る恐る近付くと、窓には閉店のお知らせと、2/5から始まった『売りつくし閉店セール』が貼り出されていた…なんだか最近毎度お馴染みになっているような『閉店50% OFF』である。広い雑然とした店内に入ると、たくさんのお客が店内をさすらっている。私も即座に感化され、特に左端の古書棚と、長い文庫通路を探索。目玉をぎゅるぎゅる動かしながらも、三年前に来た時には店内に『余震が続いているので立読みはご遠慮下さい』の貼紙があったことを思い出す。五冊を手にしてレジに赴き、おばさまに精算していただく。一冊一冊値段を読み取り、レジに打ち込んで行く。そして「2045円」ですと告げられた。えっ?高いじゃん。半額になってないんじゃ…と思考しながら面食らっていると、おばさまの後ろのお姉さんが「の、半額です」と付け加える。おばさまはハッと気付いて「半額ですから…1022円です」と改めて告げられる。スリリングなミニコントにハラハラし、鐵道技術社「死の装甲列車」朝日新聞出版「惡人/束芋」春陽文庫「五階の窓」「屍を 他6編」共に江戸川乱歩他、双葉文庫「本棚探偵の冒険/喜国雅彦」を購入する。尚「棚倉店」(2012/12/21参照)は今後も営業を続けるそうである。

そして帰りは郡山まで出て、ある日本酒を買いに走る。それは、人気酒造の『地球侵略』!箱側面の写真にあるように、メトロン星人とメフィラス星人とガッツ星人が造った、阿呆…いや、素敵なお酒である。福島の一部が、徐々に円谷に、ウルトラに染まって行く…。
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左が「死の装甲列車」右が「死都ポンペイを訪ふために」。そして中央が馬鹿…いや、愉快なお酒『地球侵略』である。

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2014年01月12日

1/12岩手・釜石で古本を求めて二店+1!

『三連休乗車券』二日目は、またも早起きして北へ移動して、まずは新花巻駅で下車。雪の積もった単線ホームの駅から、“銀河ドリームライン”釜石線に乗って、東の太平洋を目指す。この路線は元をたどれば、宮沢賢治の愛した岩手軽便鉄道が走っており、様々な作品のモチーフとしても使われていた。そのため現代のJR路線も『銀河鉄道の夜』になぞらえられ、駅の表示板には一駅ごとに異なるイラストとエスペラント語が踊り、逆にひたすら賢治の背中を追いかけて、ロマンチックに運行している。しかしその実体は、ジワジワと時間を遡る集落と谷間を、ディーゼル音と警笛をを響かせ走り続けるローカル線…。雪に塗れながら、美し過ぎるアーチ型鉄道橋を渡り、山をひとつ越える。一時間でたどり着く遠野の田園地帯は、どこまで雪を被り、灰色の空と共に明るく輝いている。さらに進んでもうひとつ山を越え、鉱山の遺構などを目にしながら谷間を下って行くと、いつの間にか雪の姿は掻き消え、計二時間で釜石駅に到着した。

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●釜石「古本小屋」
地下道で線路の下を潜ってから駅の改札を抜けると、綺麗に新しく整備されたロータリーの向こうには、白い煙をモクモクと吐き出す『新日本製鐵釜石製鉄所』の有無を言わさぬ巨大な姿が、山のように立ちはだかっていた。その工業的姿態にとにかく圧倒されてしまう…さすがは『鉄と魚とラグビーの街』!まずは南の『国道283号』に出て、西にスタスタ歩き始める。製鉄所を左に眺め続けて、市街から遠ざかるようにして西へ。やがて行く手に巨大な緑のガスタンク二基が見え、その脇をアリのように小さく通り過ぎ、水の澄んだ甲子川を渡る。その橋を渡っている途中で、目指すべき古本屋さんが目に入り、嬉しい開店中であることを視認する。慌てて橋を渡り切り、川沿いに北へ折れ込んで、二本目の住宅街の脇道に入り込む。すると目の前に三階建ての住宅兼店舗が現れ、一階には三宿「山陽書店」(2008/11/17参照)に比肩する黄色い巨大な日除けが張り出している。『マンガ本買います』の幟がはためき、シャッターの上がった引き戸部分には、取扱漫画がペタペタと貼り出されている。そのガガララと大きな音を出す戸を開けて中に入ると、コンクリ土間の倉庫のような空間で、スチール棚で出来た四本の通路が縦に延び、ブロックの如きコミック揃いの群れを、並べ、収め、積み上げている。右奥に藤田弓子風ご婦人のいる帳場があり、その横にはアダルト通路もあるようだ。しかしコミックばかりではなく、右から二番目の通路右側に二本のミステリ&アクション文庫棚、三番目の通路左側三本に時代劇文庫の姿を見出し、ひとまず胸を撫で下ろす。並んでいるものは90年代以降の新しめが中心だが、必死にガルガル喰らいつき、文春文庫「落城記/野呂邦暢」集英社文庫「ハサウェイ殺人事件/平岩弓枝」ちくま文庫「ぼくらは下町探検隊/なぎら健壱」を購入。文庫は安めだが、コミックは割と普通な値段。しかし絶版の揃いもしっかり多く、レジ横のプレミア絶版も要注目であろう。

釜石での任務を無事に果たしたので、帰りの電車まで一時間ほど余裕があるのをいいことに、駅前に引き返して東にテクテク向かい、釜石市街に突入して行く。一度でいいから入ってみたかった『釜石橋上市場』(今は取り壊され、駅前の『サン・フィッシュ釜石』と言う味気ない施設に移転している)を幻視しながら、鮭の死骸が多数沈んだ川を渡ると、ツギハギな未だ復興継続中の街。数々の東日本太平洋沿いの街で目にして来た光景と同じで、新しい街路・公共物・家々・更地・廃ビルなどが混ざり合っている。そんな空間にズカズカ入り込んで行くと、二つ目の交差点で古本を扱う真新しいお店を発見してしまう。

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●釜石「松坂屋 とれぱに店」
ほぼトレーディングカードのお店なのだが、右側にコミック棚が並び、その最奥に一般文庫・ノベルス・時代劇文庫・ラノベ・ティーンズ文庫・BL文庫が棚に箱に集められている。あまりに一般的なので、残念ながら手が出ず…すみません、古本販売していることに感謝の念をこっそり捧げ、素早くお店を後にする。

最後は『青葉通り』まで出て山裾の『青葉公園』に向かい、仮設のプレハブ二階建て商店街『青葉公園商店街』に入り込む。三年前の震災時に、店舗も在庫すべても津波に流されてしまったのに、泥の中から顧客名簿を掘り出して、即座に配達販売をタフにスタートさせた『桑畑書店』で本を買うためである。サッシ扉を開けるとまずは廊下があり、左端に店舗としても復活を果たした小さな新刊書店があった。
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小学館文庫「戦中派動乱日記/山田風太郎」を購入し、お店の名の入った書皮を掛けていただく。そこにはこの公園とは違う住所が印刷されている。やはりそれは、元のお店の住所…いつかそこに戻ると言う意志を勝手に読み取り、本を大事に受け取る。

気仙沼・宮古・いわき・銚子・石巻・相馬、そして釜石。津波で甚大な被害を受けた街を、長い時間をかけて訪ね回り、どうにか気になっていたお店の消息を調べることが出来た。そして最後に残ったのは、青森県の八戸。いずれここにも足を向け、古本屋事情を調査して来なければなるまい。昔ながらのお店は姿を消し、リサイクル系のお店しか残っていないそうだが、実は古本を売る喫茶店があるとかないとか…。と言うわけで、八戸の地元古本屋についてご存知の方、首を長くしてヨダレを垂らし、タレコミお待ちしております!
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2014年01月11日

1/11秋田・能代 市民プラザ

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昨日、JR東日本の『三連休乗車券』を手に入れ、晴れて北海道の尻尾まで普通列車の乗り降りが、この三日間だけ自由となる。遠くへ、遥か遠方へ…と心の中で呪文のように唱えながら、特急券を買ってまずは秋田に急行する。もはや凍ったように真っ白な秋田駅からは、奥羽線に乗り換えてさらに北へ。軽い雪を巻き上げ、白い集落と荒野と凍った川を過ぎ、時に秋田杉の鉄道林に守られ、日本最大の干拓地・八郎潟の横をゴグンゴドンとひた走る。終点の東能代駅で五能線に乗り換えて五分。七時間かかって、雪の吹き荒ぶ目的駅に到着する…所々で列車が遅れたため、現地での活動時間が絶望的に少なくなってしまった…。しかし雪の吹き込むホームには、小さなバスケットコートとリングが設置されていた!ここ能代は、高校バスケ強豪校『能代工業』のあるバスケットの街なのである!さらにホームに飾られた、ユニフォーム・優勝盾・使用ボールなどに心ざわめくも、目的はあくまで古本にあることは変わらないので、気を引き締めて改札を抜け、密閉された駅舎から外に出て、風雪の攻撃をこの身に受ける。積雪は五センチほどだが、とにかく寒い。西口の駅ロータリーは緩やかな斜面に広がっており、人影は無くとても荒涼としている。ロータリーを右から、決して雪に足を滑らせぬよう小走りに回り込んで、ちょっと西にある低層のビルに囲まれた『駅前交差点』。道沿いには隙間無く四角い建物が凸凹と並び、まるで映画のセット的な、不思議な景観を造り出している。交差点の西側北寄りにある、『Canon』の看板文字と『大栄百貨店』と、二つの看板のある年季の入った横長ビルに注目する。面取りされた角の一階には、「市民センター」の入口がある…元駅前地元百貨店の建物を再利用した、市のサービス施設なのであろう。しかしここでは、安値で古本が販売されているらしいのだ!とにかく時間が無いので『ままよ!』と飛び込んでみると、当然の如く市民の憩いの場なのである。まず右に軽食やドリンクも販売するレジがあり、目の前のテーブル席ではご婦人たちがワークショップを開催中。さらに最奥のテーブルでは、中学生が団子のように固まり、間断なく歓声を上げながらゲームに熱中している。ズンズンと色々なことには構わず、その奥に進んで行くと、ひょう!右奥に結構広く、しっかりした古本ゾーンが姿を見せてくれた。またも激しくざわつく心。このゾーンは少し右側に奥まっており、手前壁・右壁・奥壁に本棚が張り付き、フロアには10均カバー無し文庫ワゴン、背中合わせの本棚が横向きに三本と斜めに二本重なっている。奥にはアップライトピアノも本棚のように並んでいる。さぁ、急いですべてに目を通さなければ…。手前壁には児童文学・児童書・絵本。右壁には料理・スポーツ・趣味・実用・参考書・辞典・自然科学・アイドル写真集(捌けてるなぁ…)・大量の文学全集。奥壁は文学全集の続きと、日本文学・コミックが収まる。フロア棚は横向き三本に、作家五十音順日本文学文庫と最上段にノベルスの列。斜めの棚は、海外文学文庫・海外文学・社会・日本文学文庫続き・雑学文庫・新書・詩歌句・郷土・宗教・オカルトと続いている。市民からの寄贈本で成り立っている、図書館的ビジュアルのお店だが、品揃えと棚造りが意外にしっかりとしている。ちょっと古い文庫も多いのでちょっと血眼になってしまうが、一番の魅力は値段が定価の九割引と言う安さであろう。正進社名作文庫「オッペルと象/宮沢賢治」「ガリヴァー旅行記/スウィフト」講談社文庫「夜の三部作/福永武彦」ソノラマ文庫「死者の学園祭/赤川次郎」光風社ノベルス「殺人魔術/梶龍雄」理論社「5000匹のホタル/松下竜一」を購入する。これだけ買って330円…。さぁ、七時間かけて来た東北の地で、三十分で330円分の古本を買ったので、もう東京に戻らなければならない…あぁ、私の頭のネジは、かなり緩んでしまっているのだろうか。電車は目まぐるしく晴れ間と吹雪が入れ替わる中を、またもゴグンゴドンと、重々しく走り抜けて行く。

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2014年01月06日

1/6宮城・角田 買取屋本舗 角田店

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通常なら今日から姿勢を正して仕事始めなのだが、年またぎの仕事が無かったのをいいことに、青春18きっぷの消化に勤しんでしまおうと、払暁の早朝に家を抜け出る。東北本線を乗り継いで行くと、郡山で篝火の灰のような雪片が、キラキラと晴れた空の下に舞い始める。沿線には、除染作業後の土をカラフルな袋にパンパンに詰め、土嚢の如く積み上げた馴染めぬ光景。福島駅で突然雪が強くなる中、阿武隈急行線に乗り換えて、福島北東部に分け入って行く。強い雪はあっという間に消え去り、またもや雪片がヒラヒラキラキラ…。濃緑の阿武隈川とランデブーしながら、キャッチフレーズの付いた駅をこなし続けて一時間。『梅花の里』角田は、未来的な駅舎を持ち、住宅街の屋根越しに屹立したロケットの見える、地方の街である。強い風が、広く平坦な街に吹き荒れている…ここは2011/01/22に遥々訪れたことがあるが、目的のお店「スリーブック」は残念ながら休業中で、その二ヶ月後には、東日本大震災が発生。もはや再びの営業は叶わぬかと思っていたのだが、最近何やら形を変えて営業を再開しているらしい情報をキャッチしたので、とにかく勢いに任せて偵察に来てみたのである…駄目だったら以前タレコミのあった、梁川のリサイクルショップに寄ればいい…。そんな軽い心持ちで、雪片を吹き付けられながら、誰もいない『駅前通り』を東に歩んで行く。『駅前』『栄町』の交差点を通過し、駅から真っ直ぐ700m余り。『市役所東交差点』で北を見ると、右手にリサイクルショップの派手な巨大看板が立っていた。パッと見、古本とは縁の無さそうな感じだが、しかし多数ある取扱品目の最初が『古本』となっているのだ!これは期待していいのだな!と大きなお店に足早にギュンギュン接近する。店頭にはワゴンがたくさん出ているが、古本は見つけられない。自動ドアから中に入ると、うおっ!目の前奥に、しっかりとした古本ゾーンがあるではないか!広い横長店内の右奥1/4が、古本・コミック・CD・ゲームに割り当てられている模様。この地に滞在出来る時間はわずかなので、古本だけを目標にして棚に取り付く。奥壁棚はすべてコミックだが、その前に並列する九本のスチール棚に、結構な量の本が並んでいる。右からラノベ・海外文学文庫・日本文学文庫・時代劇文庫・教養系文庫・絶版文庫・古書・新書・歴史&歴史小説・日本文学・海外文学・サブカル・スポーツ・エッセイ・タレント・実用・ビジネス・児童文学・絵本・コンピュータ・美術図録など。また左端通路奥には無秩序な古本の山(小)があり、少し離れた所に雑誌ラックの姿も。全体的に雑本の流れではあるが、文庫には絶版が多く混ざり、単行本には80年代の本が多く見受けられ、少しだけ興奮する。値の付いていない文庫は150均、単行本は400均。値段の付いている本は、どれも普通なしっかり値となっている。何だかんだ言いながら、春陽文庫「かりそめの唇」「夜いくたび」共に北条誠「社長の娘/源氏鶏太」「青春爆弾児/風早恵介」新潮文庫「加田伶太郎全集/福永武彦」角川文庫「きまぐれ星のメモ/星新一」ハヤカワ文庫「地図にない町/フィリップ・K・ディック」盛光社ジュニアSF「人類のあけぼの号/内田庶」新潮社「何?/後藤明生」、そして本日最大の収穫は桃源社書き下ろし推理小説全集14「白の恐怖/鮎川哲也」!作者自身が封印した、今年初の完全なるどひゃっほう本である!
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以上はすべて値付けナシの本である。三十五分で任務終了。さて、心はこの地に着いた時から焦り始めていたので、早めに帰ることにするか。しかし帰りの電車を調べてみると、このふるえがくるほどの接続の悪さはどうだ!…帰り着けるのは…十時くらいだろうか…。
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2013年12月11日

12/11山形・蔵王 舘岡商店

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どうにも遠くに行きたくなってしまった旅心を抑え切れずに、背徳の山形新幹線。福島駅から車体を傾けて西に曲がり込み、低速で山間を進む。米沢駅で奥羽本線に乗り換えて、暖かいシートにお尻を乗っけて四十五分。枯草の田園地帯と列島のように現れる街と駅を重ねて行き、山形駅ひとつ手前の蔵王駅で下車すると、予想していたリゾート感は皆無で、生コン工場と、すでに冬眠しているような街が広がっていた。駅舎から出て、真っ直ぐ東に延びる道を歩いて行く。擦れ違う人影は無く、『蔵王駅前商店街』は壊滅の一歩手前…。そんな寂しい光景の先には、雪を被ったとても高い蔵王の山々が見えている。あの遠く高く白い山肌で、若い男女がレジャーに興じ、恋に落ちたりしているのだなと、まるで下界から天上界を見る思い。須川を渡り、車ばかりが賑やかな『国道13号』を越え、道は緩やかな上り坂になる。駅から一キロ強も東進して、『県道267号』を南の『蔵王温泉』方面にテクテク。雪はまだ山の上にしか見えないが、その山から吹き下ろして来る風は冷たい。まだまだ道は緩やかに山裾を上がって行く。一キロ弱も進むと、右手に『本 リサイクル自転車 ビデオ』とある看板が見えて来た…明らかにハイブリッド店である。大岡山「ふるほん現代屋」(2013/09/24参照)と同じく、中古自転車屋と融合してしまっている…それにしても、何と言う立ち姿!あぁ、トタン塀とトタンに包まれたバラック的建築が、倒錯的に甘美なのである!そんなお店の外観にのぼせ上がりながら、中古自転車の並ぶ店頭に、ジャリジャリと近付く。ガラス窓の向こうには、間違いなく乱雑に並ぶ、古本の後姿が!サッシを開けてほぼコンクリ土間の店内に入ると、『キャワワワキャワワワ!』と奥のサッシの向こうの住居部分から、チワワに激しく吠えつかれる。コタツがあり、おじいさんとご婦人が暖を取っている。鳴き止まぬチワワに苦笑しながら会釈すると、ご婦人がお店の電気を灯してくれた。自転車修理の作業場兼倉庫の壁に、木板で作られた本棚が巡らされている。右奥は自転車関連の小部屋になっているようで、全体的には“L”字型をしている。入口右横は通路状になっており、ミステリ系文庫とコミックが並んでいる。足下にはダンボールや車輪・サドルなどの部品類の他に、様々な生活ガラクタや未整理本が置かれている。右壁には一番充実している時代劇文庫と、二十冊ほどの山形資料本が棚上に集まる…チワワはおとなしく伏せているが、その大きな黒い目は、ギロギロと闖入者の一挙手一投足を凝視している…。左際には、入口近くにアダルト雑誌と共にUFO&オカルト系ノベルスが二段分。奥のちょっと見難い部分には、官能文庫・ノベルス・時代劇&ミステリ文庫がカオスに収まっている。乱雑で雑本的な、文庫中心の大衆店である。が、所々未整理本や棚上に、やけに古い学術系の本があるのが少し気になる。本に値段は付いていない。なので三冊を手にして「すいません」と声を掛けると、チワワが『キャワワン』と再びヒートアップ。今にも飛び出して来そうなので、細めに開けたサッシの隙間から本を差し入れる。すると値段はすべて100円。チワワは『キャゥ〜』と小さく唸りながら、グルグルグルグルその場で回転中…ご婦人と共に苦笑する。新潮文庫「キャリー/スティーブン・キング」(旧版・初版)河出文庫「悪魔礼拝/種村季弘」青樹社BIG BOOKS「殺人病棟の女/中町信」を購入。

この時点で時刻はまだ午後一時過ぎ。よし!山形まで出て、「香澄堂書店」(2010/11/06参照)と「紙月書房」(2012/09/02参照)で、“ミステリー古本黄金体験”をしに行こう!と決めて駅まで戻ると、何と電車は一時間十分後…ガラガラとすべての予定が瓦解して、即帰ることにする。しかし次の電車に乗ったとしても、二駅先で四十分待ちしなければならない…。待合室で、少し青ざめながら、ひとり寂しく座り込み、石油ストーブに当ることしか、出来ることはなかった…。
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2013年09月21日

9/21福島・相馬 書林堂

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昨日の夜に『週末パス』を手に入れ、朝五時に東京を出発。例の如く普通列車を乗り継いで、何度見ても飽きることのない景色の東北本線で北へ進む。仙台駅にほど近い岩沼駅で常磐線に乗り換え、まずは二駅先の亘理まで。ここから常磐線は寸断され、途中隔離された相馬〜原ノ町間を走るのみとなるので(南は、亀田駅からはいわき駅まで。その先は上野まで続いている)、JR東北代行バスに乗って相馬を目指す。駅に隣接する城の形をした図書館に別れを告げ、黄金色になった稲穂の大地をバスは走り抜けて行く。仮設住宅や仮説商店街、造成盛んな海岸線、やけに売りに出されている高台の土地、草木に埋もれてもはや自然の谷と化した常磐線線路などを目にしながら、約一時間で相馬駅着…午後三時二十分…移動時間は八時間、延べ待ち時間は二時間、計十時間の長旅であった…。東京からは直線距離でたかだか300kmだが、震災と人災が距離をそれ以上に延ばしてしまっているのだ…東北は今、一部が歪に広くなってしまっている…。駅前は広くキレイに整備されており、街も新しい部分が非常に多い。まずは西に進み、直ぐの交差点を南に曲がると、閑散とした『相馬駅前商店街』(この街の賑わいは、もう少し西寄りにある)。交差点をひとつ越えると、何も様子は変わらないが『ハートフル商店街』となる。そして次の交差点際に、UFOの遊具が楽しい『新町緑地』がある。さらに南に進むと、その公園に接して、真新しい建物の古本屋さんが待ってくれていた。不定期営業だと聞いており、開いているかどうかかなり心配だったのだが、見事に営業中ではないか!ありがとう「書林堂」!ここは二年半前の震災以来、その消息がとても気になっていたお店である。何たって海に近く、原発にも近いのである。しかしその後、『日本古書通信社』の方より無事と再建を知らされ、喜びながら『これはいつか必ず訪ねなければ』と心に密かに誓っていたのである。その誓いを、十時間の移動でズタボロになりながらも、守ることが出来たぞっ!そう心の中で熱く絶叫しながら、表情はあくまでクールを装い、サッシ扉に手を掛け中へ。まだ新しい家の匂いが漂う、三角形の狭い店内。斜めの右壁に四本の本棚、フロア真ん中に三本の棚の組み合わせ、左に二階への階段があり、階段下に本棚が一本。階段外壁に棚が続き、奥の三角形な隠れた部分に机だけの帳場がある。そこからゴマ塩角刈り頭の店主が身を反らし「いらっしゃい」。階段下の棚には武道と官能小説に少々の児童文学。階段には所々に本が積み上がり、二階を見上げると本棚がチラリ。右壁棚には歴史・映画・差別・社会運動・日本文学・句集・詩集。フロア棚には近代史・戦争・中公文庫・ふくしま文庫など。階段棚には、時代劇文庫・新書・句集が収まっている。中々硬めな印象である。古い本はあまりないが、80年代辺りの本はチラホラ。値段はちょい安〜普通。では二階はどうだろうと、本を「これは何の汚れなんだ!」と呟きながら激しくクリーニングする店主に「二階は見られるんですか?」と聞くと、キョトンとした後に「上はね、まだ片付いてないんだよ。まだ…一年ぐらいかかるかな」「そうなんですか。じゃあ上は広いんですか?」「ん、一階とおんなじ。上はね、ここより硬くなるよ」とニヤリ。と言うわけで二階を見ることは叶わず。TBSブリタニカ「ガロ曼荼羅/『ガロ史』編纂委員会」ポプラ社「おばけ野球チーム/水木しげる」を購入。「おばけ〜」の方には値段が付いていなかったが、何と「サービスだ!」とタダでいただけることに。ありがとうございます!そして「ちょっと本を拭かさせてね」と、およそ三分にわたり本をクリーニング!重ねてありがとうございます!二階が片付いた暁には、ぜひとも再訪するつもりだが、その時には常磐線も開通していて欲しいものである。

帰りの代行バスの中で、山に日が落ちるのを見る。知らない土地で日が暮れてしまうのは、とても心細く寂しい。どんどん明度の落ちて行く、夕闇の亘理駅に到着すると、目の前に一匹の白黒猫がゴロン!おぉ、おぉ!と撫でさせてもらい、寂しい心持ちをたっぷりと慰めてもらう。猫の名は“大五郎”であった。
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2013年08月18日

8/18福島・白河 白河戊辰見聞館 古書コーナー

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今日は弛めの青春18きっぷ行。宇都宮を過ぎて、涼しさの欠片も無い熱暑高原地帯を、東北本線でガタリゴトリ。黒磯で列車を乗り換えて、しばらく続く古本空白地帯を疾走して白河駅で下車する。長く古く人気の無いホームからは、夏草が生えた何本もの錆びたレールの向こうに、『小峰城』の美しく修復された石垣が見えている、ホームの先端から地下道を通って、これも古い駅舎を潜って南側のだだっ広いロータリー。古さと新しさが消極的に融合した、ゆったりとした街並が広がっている。ロータリーを突っ切って南へ。現在放送中の大河ドラマ『八重の桜』のポスターがあちこちに貼られ、イメージキャラの『八重たん』と共に、福島の向上と盛り上がりを図っている。二つ目の交差点で『旧奥州街道』を西に入れば、左手に木塀に囲まれた駐車場前庭を持つ、和風な複合商業施設『楽蔵』にたどり着く。まだ真新しい敷地内で探し求めるのは『白河戊辰見聞館』と言う名の、小さな歴史博物館である。右手前方、蔵造りの大きな二階建て建築の二階に、それは入っているようだ。左端の入口に歩み寄って、引き戸をガラッと開ける。薄暗く短い廊下を奥へ進んで、年季の入った木造階段を曲がり込んで上がる…昔の小学校や役場のような雰囲気である。急階段を上がり切ると二階は明るく、正面に受付兼レジ兼寛ぎスペース兼事務所があり、右に小さな展示スペース、右奥にパーテーションで仕切られた小さなグッズ売場がある。クラシックな受付で入場料200円を支払い、まずは『白河の戦い展』を観覧。錆びたエンフィールド銃やスナイドル銃や単筒類・連発銃、それに新選組の鎖帷子やパネル展示を眺め、早々にグッズ売場に到着する。するとそこは、新選組の本や衣類からフィギュアまでがひしめく空間なのだが、何と最奥に古本棚が設置されているのである!これを見たいがために、古本を求めるために、ただこの地に、この館に遥々やって来たのである。胸高の割りと幅広で奥深い棚は四段で、本は何と三重に詰まっている。しかし奥までちゃんと見られるようにするためか、各列それぞれ微妙に空きが作られている。一段目が幕末関連・西郷隆盛・明治天皇、二段目が新選組・坂本龍馬、三段目が福島・白河・会津郷土本と、特定の歴史を中心に少数精鋭な構成を見せている。ちなみに四段目では、とても恥ずかしくて履けない“新選組”と名の入った下駄が売られている…。ワンコーナーにしては本の量が多く、値段は高めとなっている。ふくしま文庫「ふくしまのこけし/橋元四郎平」を購入。

帰りの電車が、時刻表を見ると午後二時台が皆無となっていたので、すべてを素早く済ませて、白河滞在時間五十五分の記録を刻み、上り電車に乗車する。そして黒磯で途中下車して、およそ二年ぶりの「白線文庫」(2010/07/19参照)へ。
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入口が通り側に移り、読書室が特価本ルームに変化。そして扉を開けて上がり込む一室に、お店としての機能がすべてまとめられ、以前は入れた廊下や絵本部屋はバックヤードになっているようだ。中に入った瞬間、ニッコリ微笑み「ご無沙汰しております」と帳場に立つ店主さんに礼儀正しくお辞儀され、「今日は判りましたよ」と明晰にピカリと正体を見破られる…うぁぁ、恐れ入ります…。棚を見ながらポツポツと楽しくお話しさせていただく…「今日は何処にいらしてたんですか?」「白河に小さな歴史博物館みたいのがありまして。そこの古本棚を…」「アハハハ、そんなとこ誰も知りませんよ!」…。他愛も無い話しをしつつも、すっかり古本屋稼業が板に付いているのと、この交差点脇にちゃんと古本屋さんがあり続けていることに敬意を表しながら、旅先で交わす言葉と輝く笑顔に胸をジーンとさせる。避暑地でも外は酷く暑いが、この古本屋さんは高原のように涼しげで爽やかなのである!ハヤカワ文庫「黒い犬の秘密/エラリイ・クイーン」新潮社「すばらしい新世界/田村隆一」を計1300円で購入。最後に唐突に「パンはお好きですか?」と聞かれ「古本はありませんよ」と釘を刺されつつ、駅前に出来たおいしいパン屋さんを教えていただく。早速駆け付け、メロンパン・ミルクフランス・ハニートーストと甘いパンばかりを買い、帰りの車中の友とする。
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2013年07月28日

7/28宮城・石巻 第2回石巻一箱古本市 二日目

早起きして午前九時には仙台。ホームに滑り込んだ瞬間に、仙石線への乗り換え時間が五分しかないことに気付き、サンダルをペタペタと高らかにペタつかせ、最上階の新幹線ホームから地下ホームまでを駆け下りる。仙石線は、仙台と石巻を結ぶ仙台湾沿いを東に走る二両編成のローカル線である。しかし途中、東日本大震災によって甚大な被害を受けた区間は未だ復旧しておらず、代行バスでそれを補っている。と言うわけで、路線は地下→住宅街→水田→山中と移動しつつ、右手に穏やかな海の気配。松島海岸駅で代行バスに乗り換え、レールとつかず離れずな関係で東へ進んで行く。奇岩と鏡面のような海と地層が美しい松島地区・ホタテ貝の山・宅地造成が進む高台・破壊されたままの駅や家や橋・放置された農地・稲穂茂れる水田・新築の家々・夏草に覆われた更地群…そんな景色が車窓にクルクル流れて四十分。矢本駅で再び仙石線に乗り込んで、十五分ほどで石巻着。東端の改札に向かうと、おぉ!様々な石ノ森章太郎…いや、私はあえて慣れ親しんだ“石森章太郎”と呼ばさせていただく!先生、お許しを!…そう、石巻に『石ノ森萬画館』を建立した名漫画家のキャラが、次々と目に飛び込んで来たのである!009・ライダー・ロボコン・エッちゃん・ゴレンジャー・ジュン…良く見ると、駅舎の屋根も石森キャラのオンパレード。新潟の水島新司、境港の水木しげるに負けじと、街は石森一色なのである!感動と、その親和性の高さに多少の気恥ずかしさを覚えながら、ロータリーから『駅前大通り』を南へ。通りにはFRP製のサイボーグ戦士像が続き、萬画館への道しるべとなっている。前方にこんもりとした『羽黒山』を見上げながら、西に延びて行く『立町大通り商店街』の歩道屋根の下に入り込んで行く。商店街の案内図を見ると、ほとんどのお店の名が消されてしまったシャッター商店街。人通りはあるのだが、石森キャラ以外は時が停まり、取り残されたような印象を抱いてしまう。
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右手裏町に、それでも飲屋街が展開するの見ながら、ほどなくして『立町復興ふれあい商店街』に到着する。縦長の駐車場的スペースにプレハブのお店が四列連なり、仮の商店街を形成しているのだ。入口に立つスタッフさんに「古本市やってま〜す」と声を掛けられ、スルスルと中へ。すると入って直ぐのテントに下に、早速四箱(箱の範疇はみな越えている…)が長テーブルの上に展開!
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すでに顔見知りの「亡羊堂」にて角川文庫「横溝正史読本/小林信彦」を、「RAINBOWBOOKS」にて国枝史郎伝奇文庫「十二神貝十郎手柄話」を購入…何と言うスタートなのか。奥にひっそりとあった、「いらっしゃいませ」が可愛い少年と古い駄玩具を売る老人の二箱を覗き込んでから、再び通りへ。途中50〜100均の長テーブル二台分古本バザーを眺めてから、東にある『アイトピア通り商店街』に進む。南北に走る道沿いに、人だかりのある店頭会場が二ヶ所見えている。全部合わせて十箱ほどで、「くものす洞」にて中央公論新社「東北おやつ紀行/市川慎子」を、「駄々猫舎」で創元推理文庫「墓標なき墓/高城高」を購入。それにしても仙台から参戦の「鉄塔文庫」(2012/06/22参照)は、一箱古本市にあるまじき硬さを誇っていた…。あっけなく見終わってしまったが、スタッフ&店主さんたちが何ともフレンドリーで、大変和やかな古本市である。

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最後に同じ通りにある、昨日オープンしたばかりの「石巻 まちの本棚」を見に行く。元書店を柔らかな木材で内装したコミュニティスペースは、板の間と右に壁棚を擁し、テーマごとやゲストがセレクトした本をびっしりと並べている。一瞬不埒にもサンダルのまま上がろうとしてしまい、ぐっと踏みとどまって事無きを得る。本は『一箱本送り隊』の尽力により集まったもので、本によっては送り主やコメントの書かれた紙片が挟み込まれている。…とここまで来たら、このイベント影の主催者・南陀楼綾繁氏に会えると思っていたのだが、残念ながら会えずじまい。それにしてもこの地に来て実感したのだが、南陀楼氏の石巻に関わる一連の活動には、ただただ頭を垂れるしか無い。本と言うツールを媒介として、たとえ人が少なくても、街が衰退して行く一方でも、その地を耕し、種を蒔き、水をやり続けている。それはムダなようでいて決してムダには終わらない、とても地道なチャレンジなのである。新藤兼人の映画『裸の島』のような、水の無い島に本土から水を運び、萎びた作物に水を愚直にやり続ける…そんな地道な作業を連想してしまうのだ。そしてその作業は、まず「まちの本棚」として結実した。後で私が出没したことを聞き付け、電話を掛けて来てくれた南陀楼氏によると、いずれはここでも古本を販売するとのことである。その暁には、必ず石巻を再訪し、今回訪れることの叶わなかった『石ノ森萬画館』と共に巡るつもりである。それまでさらば、石巻&石森先生!

またもや仙石線ルートで仙台に戻り、一目散に「火星の庭」(2008/05/24参照)へ。今日こそは前野さんに、一ノ関のナゾの古本屋について聞き込まねばならぬのだ!慌ててカレーの匂い漂うお店に飛び込むと、あぁっ!今日は優しいダンナさんしかいないじゃないか!肩を落としながらも、取りあえずは本棚を眺めて行く…ぬぬっ、奥の本棚で探していた講談社「のらくろ捕物帳/田河水泡」を発見。高いかな?…恐る恐る値段を見ると、この本にしてはリーズナブルな3000円!ひゃっほうと購入を決意して鷲掴みにする。河出文庫「パノラマニア十蘭/久生十蘭」300円と共に購入…あぁ、仙台には古本を買いに来たわけじゃなかったのに…。
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2013年06月22日

6/22宮城・名取 有隣堂

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予定通りに行動していかなければ、目的地到着時間が大幅に遅れてしまう!そんな危機感を抱き、昨日手に入れた週末パスを手にして、正確に午前六時に家を出る。普通列車を乗り継いで乗り継いで乗り継いで、七時間で宮城県…もはや疲れているのだが、段々この行程にも慣れて来た気がする。訓練を積み重ねて行けば、普通列車乗車航続距離を、もっと延ばせるようになるのだろうか?自身の伸びしろを信じたいところである…。東口の駅前は街路がキレイに整備されており、高い建物は見当たらず、郊外的な見通しの良さを誇っている。ロータリーから抜け出して東に歩いて行くと、頭上から突然轟く雷鳴。それを振り切るようにして『名取駅前交差点』で狭めな『国道4号』を南へ。気の抜けた商店街風街道を歩いて行く。Y字路を過ぎて500mほどの地点、左手にクリーム色の側壁を見せた古い商店建築が見えて来た…一階側壁は二年前と同じく、ブルーシートで応急処置されたままだが(2011/0715参照)、ヒビが入っていた部分は修復が施されている…何はともあれ営業を再開されていて、良かった良かった。通り側に張り出した緑の日除けは所々剥げ落ち、ワイルドなビジュアルと化している。埃に曇ったサッシ扉の前には、『古本・掛軸・古民芸品』とある黄色の立看板。『グワラララ』と豪快な音を出すサッシを引き開け中に入ると、そこは雑然と本が積み上がる古くカオスな空間。入ってすぐ左側に、ガラスケースと共に古道具&民芸品の高密度なスペース。左右の壁は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本…しかし棚下には、微妙なバランスを保ち積み上がる本の山が胸高まで伸び、棚の1/2〜2/3を隠してしまっている。通路も人ひとり通るのがやっとの状態である。奥に小部屋を背後にした帳場があるのだが、真ん中に座る老高島忠夫風店主を中心として、古道具&古本が融合しつつ擂り鉢状に積み上がり、まるで物質化した後光のようである。右端通路は壁棚に、言葉・宗教・岩波新書・文庫少々・カラーブックス・歴史学術本・古い児童誌&学年誌・絶版漫画・雑誌付録。児童誌は棚下の山も形成しているので、上から下まですべて見てみたいものである。奥の横向きの棚には、俳句や郷土本など。向かいは東北・宮城・仙台・みちのく本で埋まっているようだ。棚脇棚には盆栽・民俗学・柳田國男・宮澤賢治など。真ん中通路に本の山を崩さぬよう、注意しながら身体を滑り込ませる。その時、雷鳴が店内にもゴロゴロゴロ…思わず古い天井をジッと見上げてしまう。この通路は見られる所がわずかで、日本文学・「アララギ」・刀・工芸・和本・文芸誌をどうにか確認。奥の棚脇には美術・江戸が集められている。奥からしか入れない左端通路は、掛軸と和本の聖地となっている。とにかく乱雑であるが、古い本が多く、興味津々で棚も山も眺め続けることが出来る。郷土本が充実し、山に紛れた古い映画雑誌&グラビア誌&児童雑誌が見所か。しかし本には値段が付いておらず、店主に聞いてみなければ判らぬ玉手箱方式。教文社「逸話秘話/田中貢太郎」をドキドキしながら購入する。

スコールのような大粒の雨にいじめられながら駅に戻って、最後の一ふんばりで仙台へ。西側にある『サンモール商店街』に急行し、今年も盛況の「Sendai Book Market」に滑り込む。各箱を覗き込んで本を買いつつ、わめぞ軍団・南陀楼綾繁氏・往来座瀬戸氏・荻原魚雷氏らに挨拶し、仙台で東京の人々と出会う不思議さと嬉しさを噛み締める。新潮社「松本竣介とその友人たち/村上善男」国書刊行会「Fiasko 大失敗/スタニスワフ・レム」中公文庫「私は鍵師/杉山章象」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」角川文庫「自動巻時計の一日/田中小実昌」を計3750円で購入…意外に大物をガッツリ買ってしまったなと思いつつ、『文化☆横丁』の「鉄塔酒場」(2012/06/23参照)に飛び込み、ビールをぐいぐい呷る。…あぁ、もはや帰りたくなくなってきた…電車にも乗りたくなくなってきた…。
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2013年05月12日

5/12福島・保原 ぶっくらんど

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『週末パス』二日目は、渋谷駅の火事騒ぎに巻き込まれてスタート。新宿から埼京線→宇都宮線→東北本線と小刻みに乗り換え。どうにか北に少しずつ進んで行く。昨日の灰色の雨模様は、今日は青と緑に一掃され、大きな白い雲たちが、横たわる人形・カブトムシ・犬・亀など表情豊かな造形を見せながら、車窓をゆっくりと流れて行く。福島駅で阿武隈急行線に乗り換え、キャッチフレーズの付けられた駅を通過して行く。およそ二十分で着いた保原は『ファッションニットの町』であった。土手上のホームから駅舎に下りて、新しい駅前ロータリーに抜け出すと、目の前には放射能線量計が立っていた。0.48マイクロシーベルト…放射能がこのような形で身近になる世界を、誰が想像しえたであろうか。ロータリーを通り抜け、北に延びる道を300m弱進むと、一つ目信号のある小さな交差点。ここから西に進むとすぐに『国道349号』のメインストリート的商店街に行き当たる。再び北に足を向けると、やがて左手に三角屋根風入口を持った、横長な商店が姿を現す。看板には『トータルファッション なかや』とあるが、道路際には『本買います』の幟がはためいている…良く見ると、道路際看板には色褪せてもはや白紙になりかけている「ぶっくらんど」の貼紙、さらにウィンドウにも店名や営業時間が大きく貼付けられていた。どうやら中型の元洋品店を、居抜きで古本屋さんとして使っているようだ…素敵!中に入ると、右にクリーニング屋のカウンターそのままのレジがあり、左にフロアが広がっている。壁際は本棚で、横向きに背中合わせの長い本棚が四本置かれ、五本の通路を生み出している。最奥通路だけが行き止まりとなっている。そして店内に流れるBGMは、ず〜〜っと『秘密戦隊ゴレンジャー』の歌。徹頭徹尾ゴレンジャー!それを聴きながら仕事に集中しているのは、ちょっと小さいキレンジャー的男性である。手前側から。第一〜第三通路まではゲーム・コミック・DVD(棚脇にラノベ&ケータイ小説棚あり)。奥の第四通路に、日本文学文庫・時代劇文庫・海外文学文庫(少々)・ハーレクイン。第五通路にラノベ・アダルト・新書・ノベルス・実用・日本文学・コンピュータ・絵本・児童文学が並ぶ。安値で基本はリサイクル店であるが、文庫に絶版&ティーンズ文庫が目立ち、ノベルス系にも面白い本が紛れ込んでいたりする。文庫には値段の付いてないものも見受けられるので、そのままレジへ持ち込んでみることにする。二冊の文庫に値段が無く、本をためつすがめつ眺めた店主は「これ、何処から持って来ました?」「文庫の棚からです」と答えると、「う〜ん」としばらく唸った後、「ちょっと調べますね」とパソコンに向かってしまった…あぁ、ネット検索を始めてしまった…こう言うときは、男気をビシッと見せてもらった方が、高かろうが安かろうが客としては気持ち良いのだが…。「武器よさらば」は500円、ヴァン・ダイン「誘拐殺人事件」は600円とのことなので、「武器よ〜」だけを買うことにする。その他もちょっと古めの本ばかりのセレクトで、値段は100〜200円のものばかり。店主はレジを打ちながら「前の人が付けたんで値段がデタラメだ…」とボソリ。何やら激しく後悔している模様である。角川文庫「武器よさらば/ヘミングウェイ」春陽文庫「梟の城/司馬遼太郎」双葉新書「競馬放浪記/新橋遊吉」トクマドキュメントシリーズ「実録・大物死刑囚たち さらばわが友/カービン銃ギャング事件主犯 元死刑囚K・O」を購入。ここ保原では道を渡ろうとしていると、車が親切にすぐに停まってくれる。皆すぐに道を譲ってくれる。ちょっとした善意なのだが、大いに心和む瞬間。和みついでに、風に飛ばされたおばさんの帽子を追いかけ、キャッチしたりして、保原に小さな小さなお返しをする。

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2013年04月29日

4/29福島・船引 BOOK・JOY

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お得な切符が何も無いので、徒手空拳の普通列車で郡山。ここからいわきへと通じる磐越東線に乗り換えると、二両編成のディーゼルカー。阿武隈川を渡り、低山地帯谷間の川沿いを、車体を左右に傾けながらブリブリと進んで行く。汽笛と石積みトンネルと里山の二十分が過ぎれば、ホームの端で大きな魔除け人形『お人形様』が、ゼンマイのような両手を広げて待ち構える駅に到着。駅舎と駅前は新しく整備されているが、そこから一歩離れると人影の無い微睡んだ田舎町。駅前通りを道なりに南に下って行けば、500mほどで『国道288号』とぶつかる交差点。迷わず進路を西に採ると、右手にすぐ地元過ぎる大型ショッピングセンター『ふねひきパーク』が現れ、その向かいに水色のラインが引かれた二階建ての『ブックオフ』的配色なリサイクル系店舗が建っていた。ゲームとコミックの匂いが漂っているが、こう言う所は入ってみるまで結果は判らぬものなのだ!…入った途端にきゃりーぱみゅぱみゅの歌に全身を包まれる。すぐ右に雑誌やビジュアル本のコーナー、それにラノベ棚を備えたレジがあるが、見渡す限りはコミックとゲームと、左にあるCD&DVDフロアへの階段である。しかし、通路の奥にチラッと見えた奥壁棚に、どうにか古本の影を認める。ツカツカとそこまで進んでみると、左壁一面に張り付く九本の棚が文庫で埋まっているのにもようやく気付く。そして通路棚の奥側棚脇にも古本コーナーが設置されていた。左壁には日本文学文庫をメインに、雑学文庫と海外文学文庫。足下には文庫揃いが並び、品切れ&絶版もしっかり混ざる構成である。奥壁は、左から新書・ノベルス・ミステリ&エンタメ・海外文学・実用・ビジネス・スポーツ・女性実用・サブカル・タレントが並び、下には『人に読ませたい100冊』の特別コーナーがある。ここいらは通常のリサイクル店。しかし棚脇には、全集コーナーと共に『レトロ本コーナー』が造られていた!古めの70年代の本を中心に、単行本・文庫・ノベルス・絶版漫画が集められている。『値段の高いものも〜』と但し書きがあるが、大抵は安値に設定されている。他の棚脇には、児童文学と絵本が収まっている。文庫とレトロコーナーに面白みあり。値段は安め。案の定、主にレトロコーナーから抜き出す結果となり、カッパブックス「アイラブユー事典/浜口庫之助」芳賀書店「エロチックSF 宇宙のエロス/福島正美編」双葉社「スケバン/前原大輔」ケイブンシャ「仮面ライダー大百科」ハヤカワ文庫「メグレ罠を張る/ジョルジュ・シムノン」理論社「なぞなぞライオン/佐々木マキ」を購入。おぉ、1000円未満に収まるとは!

駅で電車を四十分待った後、連載取材のために郡山で途中下車。そこでついひと月前にツアーしたばかりの「古書ふみくら 郡山店」(2013/03/22参照)が移転してしまったことを知る。以降はインターネット・オークション・探求書販売を営業形態とするそうである。須賀川店は変わらず元気に営業継続中。…よもやあの日の訪問が、ギリギリ滑り込みセーフであったとは…。
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また、シートに座りっ放しの帰り道。まだ苗の植わらぬ、水をとっぷりと張った水田の照り返しを、やけに美しく暖かく感じながら、電車にひたすら揺られ続ける。
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2013年03月26日

3/26宮城・北山 古書ビブロニア書店

来週は色々と忙しくなりそうなので、今のうちに青春18きっぷを消化しようと、早くも三回目の使用。早起きして、先日の郡山行で通った路線をなぞるようにして北へ。その郡山を通過し、福島も通過し、普通列車では未知の領域に突入して行く。途中の岩沼駅で、東北本線から“ここまで延びているのか!”と驚いた常磐線に乗り換え。ついに電車に乗って七時間が経過…やはり私は“鉄”にはなれない…そう確信しながらゲッソリして長町駅で下車する。広瀬川を渡った若林区にある古本屋さんを目指して、まずは小走り。広瀬川の雄大な岸辺をタッタカ走って行く。ところが苦労してたどり着いたお店は、シャッターを冷たく閉ざし、皮肉にも『営業中』の札を下げているだけであった。イヒヒヒヒヒ、開いてない。私は再びタッタカ広瀬川の岸辺を走り、駅まで戻って常磐線に滑り込む。次に向かったのは塩釜の「明日香書店」(2011/06/13参照)。以前震災後に訪れた時は、店内整理中のためお店を開けていなかったのだが、今回はどうだろうか?島式ホームから駆け下りて、駅近くの懐かしいプレハブ的店舗に一目散。扉にはカーテン、そして貼紙…猛烈に嫌な予感がする。貼紙に目を凝らすと『只今、店頭販売はしておりません 店主』と書かれていた。
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イヒヒヒヒ、ここにはまるで貼紙を見に来ているようだ…まぁ書いてくれているだけでも、非常にありがたいのだが。すぐさま駅へ取って返す。さっき出たばかりなのに、もう戻って来てしまうのは、どうにも気恥ずかしいものがあるな(青春18きっぷは駅員さんに切符を見せ、有人改札を通らねばならないのだ)。そして次の三店目が、時間的に訪ねることの出来る最後のお店となるであろう。

仙台に引き返して、仙山線で三駅。山の中腹にへばりついたホームに下り、狭い改札を抜ける。急坂の切り通しを南に上がると、すぐに頂上の平坦な部分に至り、その後は広い広い仙台市街に向かって急坂が落ち込んで行く。そこをバタバタと300mほど駆け下りると、西への道が現れるので、そこをさらに300m進む。信号のある開けた交差点で南に向かうと、『北山三丁目バス停』の斜向いに、サッシ扉とウィンドウとグレーの日除けを持つ古本屋さんの姿が見えた。
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電気が点いているぞ!ついにやったぞ!2011/07/15探訪時には入れなかったお店なのだ。乱雑に積み上がった本が見えるサッシ扉に近付くと、『営業時間 午前11時より午後5時まで』とある!これはヤバい。現在午後五時五分。ええぃ、入ってしまえ!と扉を開けて強引に本棚の間に収まってしまう…何も言われない。よし、素早く棚を見て回ろう。店内は横長で、各通路は狭く、床から膝上〜腰高まで本が積み上がる。通り側を除く三方の壁には本棚、そして通り側に短めの本棚が三本並び、奥側には背中合わせの高い本棚が四本並ぶ。左側の三本は角度の違う“/”のように斜めに配置されている。右側通路手前側に、国語教師然とした店主が立っており、目が合うとニッコリ笑顔で挨拶してくれた…良かった。入った場所は本棚に挟まれており、左に児童文学(二重棚)、右に日本現代文学が乱雑に並んでいる。本が収まった棚の隙間にも、強引に本が横に突っ込まれている。脇には本&雑誌関連棚もあり。微妙に古い本が多いが、本格的に古い本も多く視界に入るので、ワクワクする。左端の通路に進むと、手前側には福祉関連の教科書&参考書がドッサリ。奥側左壁に女流作家と日本現代文学。通路棚に美術・音楽・建築を確認する。ちなみにここは行き止まりである。二本目の通路は、左に辞書&辞典・ジャーナリズム、右に日本古典文学文庫・岩波文庫・海外文学文庫。第三通路は、左に日本文学文庫、右に海外ミステリ&SF文庫・日本ミステリ文庫。第四通路は左に新書がミッチリ収まり、右に哲学が並ぶ。右端通路は、通路棚にキリスト教、壁棚に海外文学・英米文学・フランス文学が収まり、古典も網羅している。奥壁は左から、日本文学・歴史・中国史・死・経済と続く。全体に硬めではあるが、古い本が多く目につき、何かあるのでは?と期待感に胸が膨らむ。棚の下半分が見えないのは残念だが、腰を据えてまずは山を掘り返し、その後ろに棚を見たならば、眠っている面白い本が出て来るのかもしれない。なので、今回時間が余りにも少ないのが残念至極。値段は普通〜高めでしっかりな傾向。講談社文庫「中国迷宮殺人事件/ヴァン・グーリック」廣済堂文庫「草軽電鉄殺人事件/梶龍雄」を購入すると、100円おまけしてくれた。ありがとうございます!そそくさと表に出ると、扉にあったもう一枚の貼紙が目についた。『「ビブリア古書堂」はここではありません!…まちがえることないか。(笑)』…思わず脱力し、疲労がドウッと圧し掛かって来た。しつこく訪ね回ったおかげで、ツアーは無事に完遂出来たが、私は果たして東京に帰ることが出来るのだろうか…ちょっと何処かでショートカットしないと、無理かもしれないな…。
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2013年03月22日

3/22福島・郡山 古書ふみくら 郡山店

青春18きっぷ二回目。都心の満員電車から始まり、電車を乗り換える度に人の姿はどんどん少なくなって行く。宇都宮線と東北本線の乗り継ぎが見事なスムーズさを見せ、四時間二十分で郡山着。西口に出て横長な巨大ロータリーを突っ切ると、横断歩道脇の花壇に、郡山に所縁あるミュージシャン・GReeeeNの手形が並んでおり、若者が三々五々集まって来る。横断歩道を二度渡って、高い歩道屋根の架かる『駅前大通り』南側の歩道を、春の風を切ってズンズカ進んで行く。途中横断歩道をひとつ渡って、『国道4号』にぶつかる交差点が近付いて来ると、小さな古本屋さんが姿を見せる…ぎゃっ!やってないじゃないか…去年雄々しくリニューアルした「古書ふみくら 須賀川店」(2011/05/21参照。レポートはリニューアル前のものである)の姉妹店なのである…定休日は日曜のはずだが、何故なんだろう?
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シャッター前に放置された土嚢の山を虚ろに見やりながら、早急に計画の立て直しを迫られている。未踏のリサイクルショップと「古書 てんとうふ 池ノ台本店」(2010/05/30参照)を訪ねてから、もう一度見に来てみよう。もしその時も開いていなかったら、何か別な手を考えなければ…と早速西に向かって早足で歩き出す。所々で日常的に進んでいる、放射能除染作業を目にしながら、目的のリサイクルショップのあるべき場所にたどり着く。しかしそこには新しいマンションしかなかった…気絶しそうになりながら、『麓山公園』突っ切って「てんとうふ」へ。とにかく古本を買って、平静を取り戻すことにしよう。
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三年ぶりの店内は、変わらぬ良さげな古本ジャングル!入ってすぐの床にあった古本山が、妙なオーラを放っているぞ!早速飛び付き二冊を掘り出す。値段は判らないが、これは欲しい!店内を一巡して半額文庫を三冊掴み、店主が外から戻って来たばかりの帳場に差し出す。古本山から掘り出した春陽文庫「人生の阿呆/木々高太郎」KEY BOOKS「海外ミステリ入門/仁賀克雄」は、とても嬉しいリーズナブルな共に1000円。さらに文春文庫「日本百低山/小林泰彦」講談社文庫「あの日この日(三)/尾崎一雄」新潮文庫「日夏耿之介詩集」を計945円で購入する。

古本欲をガッツリと満たして『駅前大通り』に戻ってみると、やった!今度は開いている!
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土嚢は変わらずそのままだが、店頭棚(高木彬光ノベルス多し)・斉藤栄&西村京太郎箱・ミステリ文庫箱などがジャリジャリしながら展開している。ドアにペタペタ貼られた、「須賀川店」リニューアルのチラシを目にしながら中へ。小さな昔ながらの古本屋さんの基本形である。入口横、両壁共本棚に覆われ、左壁途中にはガラス戸棚あり。真ん中には背中合わせの本棚が一本置かれ、最奥にはオーソドックスな帳場がある。そこでは割烹着姿のお母様が、忙しく紙物やパソコンと格闘中。入口右横は、新書・日本純文学文庫・海外文学文庫。右壁はノベルス・女流作家文庫・文学を中心とした横積み本ゾーン(古い本もあり)・絶版漫画・横積み「歴史読本」など。向かいは日本文学文庫・官能文庫・時代劇文庫・中公&岩波文庫。棚下には1970年代少年漫画雑誌あり。左側通路は、壁棚に歴史&雑学系文庫・古典文学・児童文学・絵本・海外文学・詩集・ミステリ&エンタメ・ビジュアルムック・地図・絵葉書・福島関連プレミア本・福島本。通路棚には実用・ガイド・ハーレクイン・文学・山岳・戦争・近現代史・福島本となっている。全体的に掴み難い雑本的な並びだが、福島関連本は充実。単行本には古い本が混ざるが、文庫類は新しめである。値段は普通。文春文庫「世界ハッカー犯罪白書/セルジュ・ル・ルードラン フィッリップ・ロゼ」を購入。明るい「ありがとうございます」に続いた、「気を付けていってらっしゃいませ」の言葉にグッとくる。

帰りは往きとは大違いで、東北本線の本数の少なさと接続の悪さに泣かされる。結局五時間かかってしまった…きっぷの残りの何処かで、仙台近くまで行こうと考えているのだが、先が思いやられるなぁ…。
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2013年03月17日

3/17山形・鶴岡 なんだ屋

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ウィークエンドパス二日目は、新潟から『特急いなほ』に揺られ、緑色の日本海を見ながら二時間。二年ぶりに海坂藩入りする。白く神々しい出羽三山の柔らかな姿に目を細めながら、突っ切り難いロータリーを強引に突っ切り、『駅前通り』を南へ。交差点をひとつ過ぎ、次の交差点手前の脇道を西に入る。真っ直ぐ進んで200m。右手に広い駐車場を備えた『癒の蔵』と言う仰々しい名の岩盤浴場が現れる。その右側壁奥には別の店舗入口が見えており、中はシンバルが窓から覗く楽器屋になっている…ズムズムとロック音楽が響いて来るが、ここは古本も扱っているらしいのだ。怖々と中に入り込むと、そこは広めの通路になっており、最奥に倉庫への入口があり、通路はギターネック・楽器部品&小物・CD、それに音楽古雑誌やEPレコードの姿が。入口右横の部屋が楽器店になっており、その隣りのスタジオからロックの生音が聞こえて来ている…むぅ、古本は雑誌だけなのだろうか?ちょっと焦りながら通路をうろつき、楽器には何の用も無いのだが、古本確認のために店内に突入する。何処までもロックの匂いを強く漂わせる楽器屋さんだ。だが、入口左横にレコード棚を発見。そして入口右横に、大きな本棚を無事発見する。良かった!ボックス棚のメインは「ミュージックマガジン」などの音楽雑誌やバンドスコアだが、棚の両端にミュージシャン自伝&評伝・ジャズ&ロック評論・寺山修司(充実)・澁澤龍彦が並んでいる。値段は普通でかなり偏った並びだが、質は中々。欲しかった本が意外な安値で発見出来たので、それを掴んですぐさまレジへ。黒ぶちメガネのテクノボーイ・白髪のロック少女・山男的男性にチラ見されながら精算する。河出書房新社「じゃがたら/陣野俊史」を購入。

いょしっ!これでツアーは無事に終えた!行くぞ、あのお店に!ともはや小走りで、再訪したくてたまらなかった「阿部久書店」(2011/06/12参照)へ。
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二年前の記憶を頼りにお店にたどり着くと、店頭にはダンボール箱がたくさん積み重なり、100均棚がほとんど見えない状態…いや、仕入れがたくさんあると言うことは、お店が元気な証拠である!喜びながら一冊抜き取って店内へ。郷土本や古い本の島をひっくり返したりしていると、帳場のおばあさんが突然「お雛様見るか?」「へっ?」と、お店の奥に招いてくれた。戸惑いながらも住居部分に入り、靴を脱いで部屋の中へ…するとそこには、緋毛氈を敷いた十段はある巨大な雛壇!並ぶ人形や小物類は、どれも古めかしく立派な、江戸期の細工の物ばかりである。瞬間、このお店の古い歴史を垣間見る…おばあさんの説明を聞きながら、古本を抱えたまま、しばらく雛壇の周囲をウロウロする。俺は今、本当に海坂藩に来てしまったのだろうか?丁寧にお礼を言い、続いて二階の探索へ向かう。あぁぁ、やはりここはスゴいお店だ。帰りの電車までまだ時間はあるので、棚をじっくり眺め、時に床に跪き、気になる所は二重棚の奥まで覗いて行く。あっという間に古本の小山が出現。ちょっと買い過ぎかな…と最後に本当に必要かどうか心の篩に掛け、数冊減らして意気揚々と階下へ向かう。本の束を帳場に差し出すと、おばあさんは「まあまあたくさん。ありがとうございます」とニコニコ顔。計算してもらうと、やはり単行本は四百円均一で、文庫は百円均一、そして収穫の「こども家の光」は二百円均一であった。どひゃっほうである。家の光協会「こども家の光(昭和二十七年〜三十七年のバラ十一冊)」(日影丈吉・星新一・西條八十・仁木悦子・北村小松・戸川幸夫などのジュブナイルが!)大地書房「私のアンデルセン/森田たま」羽田書店「宮澤賢治名作選」(昭和十四年刊の一冊もの)櫻井書店「詩集 初雪/大木實」雄鶏社「春の夜/芥川龍之介」金鈴社「朔風/牧野吉晴」文省社「日本作者辞典」筑摩書房「バトルロイヤル/サミュエル・フラー」相模書房「今和次郎著作集 住生活」春陽堂少年文庫「七面鳥の踊/鈴木三重吉」春陽堂世界名作文庫「アルマンス/スタンダール」「チュルヂス伯爵夫人/メリメ」春陽堂文庫「ドルヂェル伯の舞踏會/ラデイゲ」を計五千円ポッキリで購入。大大大満足する。また必ず、古本を買いにやって来ます!
posted by tokusan at 22:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする