2013年02月09日

2/9岩手・宮古 春夏冬書房

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『ウィークエンドパス』の上位パス『スリーデーパス』を入手して、一路北へ。航続距離が延び、北海道の尻尾まで行けるのは何とも有り難いことである。盛岡から抹茶ツートンカラーの、二両編成ディーゼルカー・山田線に乗り換える。快速には『リアス』と言う良い名がつけられている。東の太平洋に向かって、最初は住宅の間を雪を舞い上げ汽笛を『プィ〜』と鳴らし走り始める。車内は三連休の初日なので、少し混雑しているらしい。およそ十分で都市部の辺縁を離れたら、後は徹底的に雪で真っ白な山間を走り続けて行く。駅間は長く、幾つもの暗く短いトンネルを潜り抜ける。しかし、海に近付くにつれ、雪は意外なほど少なくなって行くのだ。およそ二時間後に、宮古駅に着く。有人改札を通って小さな駅舎から出ると、新しく整備された駅前が山をバックに広がっている。吹き荒ぶ針のような冷風を身に受けて、北に向かって歩き始める。すぐの交差点際にある銀行の敷地内には、真新しい『津波到達地』の碑が建てられていた…宮古港に注ぎ込む閉伊川沿いに長々と続く防波堤を越え、およそ一キロを黒い海水が蹂躙した記憶である。自然の猛威に強烈な畏怖を覚え、今は寒さに身を震わせながら北へと歩き続ける。500mも進めば、右手に今日は閉まっている『宮古市魚菜市場』が見え、道は急激に西に折れ曲がる。道なりにそのまま西へ進んで行けば、右手に去年新しく開店した古本屋さんが現れる。ちなみに色々調べてみたのだが、宮古に古本屋さんがあったと言う記録は、どうしても見つけることが出来なかった。岩手県は元々古本屋さんが少なく、昔から盛岡に集中していたそうである。なのでもしかしたらこのお店が、宮古初の古本屋さんなのかもしれないのだ(過去に宮古の古本屋さんをご存知の方は、ぜひ情報をお寄せ下さい)。が、しかし!ここは残念なことにコミックの専門店なのである。古本修羅としては物足りないこと必至だが、それでもこの地に、大震災被災後に出来た古本屋さん!この目でしっかりと確かめるのが、私に課せられた役目なのである(あくまでも自主的に)!中に入って出迎えてくれたのは、武骨な石油ストーブの暖かさ。うむ、本当にコミックばかりだ。店内は広く縦長で、左側手前に帳場兼作業場とコミック揃いの山。壁際は本棚で、右壁の前後にはガチャガチャ群が置かれている。真ん中に背の低い背中合わせの本棚が二本連なっている。右を見ても左を見てもコミック…。尚帳場横には大きなテーブル席があり、訪れた人の交流スペースとなっている。マンガマンガと奥へ進むと、最奥には暖簾で隠されたアダルトスペースもしっかりと作られていた。さて、果たして何か買えるのか?と踵を返すと、目に入ったのは棚脇の小さなスチール棚!おぉぉ!これは何と、100均文庫棚ではないかっ!コミック専門店なのに、古本を置いてくれてありがとう!と二重に並んだ三段を物色する。ミステリ系文庫が中心で、教養文庫「鎌倉・三浦半島の旅/渋江二郎編著」ハヤカワ文庫「宇宙の戦士/ロバート・A・ハインライン」をどうにか購入する。

この後は、ブラブラと街を散策し、次第に東の河口付近まで足を延ばす。進めば進むほど、街路が新しくなって行くのが空恐ろしい。新しい信号・更地・工事中の建物・放置された廃墟…様々な異なる時間の流れを、この街は内包してしまっている。しかし荒涼とした感じは漂うが、街は少しずつその傷を治しつつあるのだろう。防波堤の向こうの漁船に止まった、たくさんのカラス、それに道路とほぼ同じ高さの水面を見ていたらとても寂しくなり、駅方面にトボトボと引き返す。その駅前に、三角形の小さな街の本屋さんが、風情をたたえてちょこんと建っていた…。

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●おまけ「増坂書店」
建物の形通り中も小さな三角形で、どうも雑誌・コミック・時代劇文庫以外は、妙に古臭い80年代前後の本が多い。フムフムと楽しく眺めていると、児童文学のコーナーで、偕成社「鉄仮面/原作・大デューマ 高木彬光」を見つけたので、喜んで購入することに!すると三角形の鋭角に潜んでいたおばあさんは、古い本で申し訳ないと180円を値引きしてくれた。ありがとうございます!

こんなわけで、どうにか街の人々の営みの一端に触れ、ようやくひとつのツアーの形になった気が…よし、後はまた長時間の電車移動で、家へと帰るだけだ。初の宮古に感謝を捧げつつ、しばらくは駅の待合室で、電車が来るのを待ち続ける…。

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2013年01月12日

1/12山形・米沢 羽陽書房

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JR東日本の『ウィークエンドパス』を購い、二日間の東日本管内(北限・宮城まで)乗り降り自由の身分となる。早朝五時半に電車に乗り始め、八度も車内が寒過ぎる普通列車を乗り継ぎ乗り継ぎ、ヒィヒィ言いながら福島に到達。ここで奥羽本線にさらに乗り換え、山間地帯をゆるゆると突破し、キラキラと光る雪の米沢盆地に入り込んで行く…七時間半の、長く寒い旅路であった。西口ロータリーに出ると、雪は積もっているが日射しがあるので、意外に暖かな北の街である。ロータリー西側中央から、二本の道が西に延びているが、南寄りの『八谷街道』を選んで歩き始める。車道の雪は融かされているが、歩道はほぼ雪の塹壕状態。歩いたり走ったりを交互に繰り返し、慎重に雪の上を西に向かい続ける。水鳥が浮かぶ最上川を、白い息を吐き出しながら越え、ひたすら直線的に進撃し、たくさんの小さな交差点をやり過ごして行く。駅からおよそ二キロの地点、右に素敵な丸窓を持つ表現主義建築の『岡崎写真館』が現れ、左手奥に『松が岬公園』が見えた所で北へ。50mも進むと、右手に雪国の古本屋さんが、ようやく姿を見せてくれた。当然の如く雪に囲まれたお店は、ガレージのように奥まっており、右壁に105均文庫棚が設えられ、その前から左の出入口までを、乱雑な本とダンボールの山が覆ってしまっている。文庫はSFが多いようだ。積雪とむき出しの本の距離感が、非常にスリリングである。店内に踏み込むと、あらゆる通路にバランスの悪そうな本タワー(腰高)が立つ乱雑な光景(梶原の「ろここ書店」(2008/08/31参照)に似ている)。入口右横に本に囲まれた帳場があり、ご婦人が「いらっしゃいませ〜」と高貴な声音で迎えてくれる。お店は広く、ぐるっと壁棚に囲まれた空間に、手前に短めの背中合わせの棚&奥に長めの背中合わせの棚のコンビが三本置かれている。棚に目をやると、何だかとてもカオスな状態…あらゆる所でジャンルの越境が行われてしまっているようだ。それでもどうにか領域らしきものを読み取って行くと、左壁は雑本(古めの本多し)から始まり、文庫少々・新書・カラーブックス・歴史・民俗学・建築・日本文化・芸術など。向かいには山形&東北郷土本&研究資料本・戦争・文化・演劇・日本近代文学・文学評論・文学復刻本。第二通路は、棚の本はほとんどが横積みされ、規則性を把握するのはかなり困難な状態になっている。市に出したものなのか、木箱が棚のように積み上がり、棚の下半分を隠していたりもする。木村東介・歴史・全集類・「あまとりあ」などが特徴か。第三通路は、左に絶版漫画・大量のハーレクイン、右に時代劇文庫と日本文学文庫となっている。絶版も多いが、ほとんどの本に値段が書かれていないので、少し不安が押し寄せて来る。奥壁はガラスケース内に高そうな和本が飾られ、壁棚には詩集・書関連・自然・山岳など。右端通路は、左側にSF文庫・ジュブナイル文庫・ラノベ・海外文学文庫・ハヤカワポケミス・教養系文庫・絶版文庫。壁棚には、美少女コミック・絶版漫画文庫.古い本・和本・古雑誌・日本文学・歴史小説・ノンフィクション・社会・選書…とにかく乱雑で読み取り難く、床から積み上がる本や古い本がやたらと気になってしまう。なので『何かあるんじゃないか、この下に!』と常に思えてしまったりする、捜索意欲の湧き上がるお店である。値段の明記されているものは普通な値段だが、付いていないものは果たして…。単行本を避けるように文庫ばかりを選んでしまい、「お幾らでしょうか…」と帳場に手渡すと、三冊が100円で一冊だけ200円…安かった。どうやら文庫はほぼ100均のようである。創元推理文庫「矢の家/A・E・W・メイスン」「ドウエル教授の首/A・ベリャーエフ」春陽堂文庫「犀星随筆/室生犀星」春陽文庫「ゆっくり雨太郎捕物控/多岐川恭」を購入。

ふぅ、私は長い時間をかけて、四冊の文庫を雪国に買いに来たのであった。あぁ、慣れぬ積雪に、もう足がワナワナ…。明日は果たして何処に何冊買いに行くのだろうか?雪を踏み締めながら、とにかく今は必死に帰ることにする。
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2012年12月21日

12/21福島・磐城棚倉 BOOKランド 棚倉店

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冬の青春18きっぷツアー第一回目。まだ陽は出ていないが、朝焼けのオレンジと夜空のグラデーションが劇的な早朝の街を後にして、総武線→山手線→常磐線と乗り継いで水戸駅に到着。ここからは初乗車の水郡線で、陸地内をグングン北に進んで行くのだ!三両編成の新型ディーゼルカーが、警笛を間歇的に鳴らしながら、郊外→田園地帯→農村地帯→山村地帯と走り抜けて行く。冷え冷えとした暗緑色の清流が、ずっと車窓を並走してくれている。凍った水田、枯葉色の大地…そして求めるは古本…青春は何処にも見当たらない気がする…。二時間も電車に揺られて福島県に突入すると、駅の周辺が少し開けて来る。しかし目的駅に到着し、グラウンドのようなロータリーに出たら、不安がドドッと押し寄せて来た。『やってるのか?やってなければ即座にツアーは終了だぞ』…何たってここ以外に、周囲に古本屋さんは皆無!ダメだったら、ここからさらに一時間北に向かい、郡山に出るしかないのだ!そんな悲愴な決意を固めて、ロータリーを離れて西南へ歩き始める。すぐにこの街のメインストリートとぶつかる交差点。南東に下ると、寂しい商店街に三軒もパン屋さんがあったりするが、古本は逆方向の北西に進む。すると右手前方に、大きな色褪せた古本屋さんの看板を無事発見!ドキドキしながら接近すると、店内の蛍光灯が点いているので、どうやら営業中のようである。ここは以前須賀川でツアーしたことのある「BOOKランド 須賀川店」(2011/05/21参照)の系列店なのである。看板同様色褪せた外観のお店に入ると、中は広く明るく、須賀川店より健康的である。所々に貼られている、『余震が起きたら危険なため立ち読み禁止』の貼紙が、この地も東日本大震災の被災地であることを知らせてくれている。フロア中央はコミックとゲーム(レトロゲーム&ゲーム攻略本含む)に占められており、古本は外周の一部と奥にまとめられている気配がする…。入口左横から左壁前半にかけて、児童文学・児童書・絵本・辞書・ビジュアルムック・ふくしま文庫「亜欧堂田善」複数冊・競馬・アニメムック・アイドル写真集が並んでいる。児童文学を二冊引っ掴んで奥へ進む。最奥に少し凹んだスペースがあり、壁棚に囲まれて通路棚が並べられている。古本は左半分と右壁の一部に集まっているようだ。左壁はノベルスのみで、奥壁が105均文庫と雑学系文庫。通路棚は左から、海外文学文庫&実用系文庫、105均日本文学文庫、210円から日本文学文庫二面、女流作家文庫&ロマンス系文庫、新書&純文学系文庫と並ぶ。絶版品切れもあるにはあるが、雑本的な展開が大部分を占める。右壁角の105均海外単行本を見てから、アダルトゾーンを通り抜け、右端通路の入口側方面へ。すると右壁に大判本・郷土本・全集・時代劇文庫・戦争文庫・歴史小説が現れ、向かいに105均単行本・ミステリ&エンタメ・詩集・戦争・タレントが続く。値段は安いが全体的に雑本ムードに支配されたお店である。狙い目は80年代前後の中途半端に古い本であろうか。気付けばそんな本ばかりを手にして、意気揚々とレジへ。講談社「私立探偵スベントン おばけ屋敷と四つの怪事件/ホルムベリイ作・眉村卓文」学研まんが「テレビ特撮のひみつ」講談社「妖都/津原泰水」創元推理文庫「日本探偵小説全集8 久生十蘭集」河出文庫「佐川君からの手紙/唐十郎」講談社文庫「解体屋外伝/いとうせいこう」を合計840円で購入。判ってはいたが安い!そして本が入った袋に目をやると、須賀川店・棚倉店の他に『二本松店』の文字が…これはいつか確認しなければいかんな…。駅に取って返し、またまた五時間かけて家に帰り着くと、疲れた身体を迎えてくれた街はすでに暗闇。暗い街を出発し、暗い街に帰り着く。侘しい一日が、もう終わってしまう…。
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2012年11月14日

11/14秋田・羽後本荘 文弘堂書店

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壮絶な遠方に行きたくなって、ゲリラの売り上げを握り締め、暗いうちに東京を旅立ち、夜が明けても雨雲で昏い新潟から羽越本線に乗り北上。車窓には日本海と水田とそこに時々浮かび上がる街々。荒れた重い灰色の水平線、途切れることの無い稲刈りの終わった水田、その上に閃く白い稲妻、野営する渡り鳥の群れ、未知の街と道を眺め続けていたら、三時間があっという間に過ぎて目的駅に到着。湾曲する川と山にコンパクトに抱かれた、本荘平野に広がる北の街である。高い建物の見当たらない、広く閑散としたロータリーに出ると、鋭い寒さが襲い掛かって来る。ロータリーを抜け、一応商店の並ぶ大通りを西に進む。するとすぐ、左手に建ち並ぶ赤枠の商店の一軒から、小さな『古本買入』の看板が飛び出しているのに気付く。…もうあった。だが、やっているのか…歩道の水たまりを避けながら店前に行き、薄暗い店内の上部に目を凝らす…蛍光灯が点いている。やっているな。店頭台などは無いので、即座に扉を開けて店内に進入する。…広い、昔の大きな街の本屋さんと言った感じである。全体的にうらぶれた雰囲気が漂うが、本棚には本がキッチリ収まっており、本もビニールに包まれているものが多い。入ってすぐ右に小さな帳場があり、ご婦人と老婦人がバリバリの秋田弁で日常会話中である。壁際はぐるっと背の高い壁棚が据えられ、フロアには左に長い背中合わせのラック、その手前に平台が二つ。右には長い背中合わせの本棚が置かれている。奥壁の真ん中辺りには、下が平台で上がラックの什器がひとつ置かれ、住居部分出入口への目隠しの役割を果たしている。入口左横には正方形のスチールラックがドスンと置かれている。外気に近い室温に身を震わせながら、シンとした店内をジリジリ探って行く…。入口左横には絶版漫画揃いと手塚治虫漫画全集が詰め込まれ、平台手前には新刊雑誌とアダルト雑誌、平台奥には児童文学・児童書・復刻本が集められ、平台と平台の間には無造作な文庫&新書の山が築かれている。左壁は70〜80年代のアイドル・ティーンズ文庫・児童文学から始まり、絶版漫画・ノベルス・新書・ポケミス・ミステリ&エンタメ・海外文学・日本文学・歴史小説・文学評論。そのまま奥壁に文学評論が続き、登山・自然・エッセイ・カルチャー。合間には推理小説&幻想文学もあり。フロアのラックには、主にグラフ誌・絵本・ビジュアル本が収まり、上部に写真・美術・映画・音楽が並び、下の平台には雑誌類が積み重なる。目隠し棚の上部は囲碁・将棋・鉄道模型などで固められ、下の平台には旺文社文庫が三段集められている。フロア右側の棚は両面共文庫が大量に収まり、左が出版社別日本文学文庫・時代劇文庫、右が官能文庫・SF文庫・海外文学文庫となっている。絶版が多く紛れているので見応えあり。上部にはセレクト絶版文庫や探偵小説文庫が乗っていたりする。奥壁の右側には、地方出版・秋田・郷土・歴史・宗教があり、右壁は手前からアダルト・古い学術&資料&文学本・写真集・欧米・アジア・社会科学・オカルト・犯罪・ノンフィクション・近現代史となっている。本の量が多く、並びに時代の深みがある。珍しい本もそこかしこにあり、非常にドキドキしながら楽しめるお店である。しかし値段はどれもきっちりで、隙がほとんど見られない状態。当然良い本にはプレミア値がバッチリ付けられている。と言うわけで、安めの本ばかりを六冊選び取り、いつの間にかひとりになっていた老婦人に精算をお願いする。あっ!老婦人は手を三角巾で吊っているではないか。これは手伝わないとイカン。協力を申し出て、値札を本から外し、袋詰めを自らの手で行う。「まぁまぁ、お客さんにやっていただくなんてすみません」と老婦人は優しい微笑み。腕を、どうかお大事に。角川文庫「真説金田一耕助/横溝正史」「SELDOM-ILLEGAL/坂本龍一」春陽文庫「傍若無人剣/南條範夫」創元推理文庫「髑髏城/ディクスン・カー」ヘラルド映画文庫「エレファント・マン/C・スパークス」共立出版「化石のつぶやき/井尻正二」を購入する。

古本屋さんが駅前にあったのをいいことに、すぐさま駅へ取って返し、羽越本線下りに乗って、次は秋田を目指す。里山的風景を突き抜け、砂丘が出来かかっている風の強い日本海沿いを進み、やがて大きな都市の中へ。うーむ、こんな所まで遥々来たなぁと、疲労と旅情を噛み締めつつ、入ったことはあるがツアーはしていない「松坂古書店」にダッシュで向かう…ほわぁっ!シャッターがガッチリ下りていて、水曜定休日っ!
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…やってしまった。これならやはり「山中文庫」に再チャレンジすべきであったか…しかしもはやその時間は無い。仕方無く通りをそのまま西進し、およそ三年ぶりの「古ほんや 板澤書房」(2009/01/31参照)に飛び込む。むむむ、以前はそれほどとは思わなかったが、ここはかなり良いお店だ。ハヤカワポケットブック「シェーン/J・シェーファー」ハヤカワポケミス「気ちがいピエロ/ジョゼ・ジョバンニ」光風社「銀と青銅の差/樹下太郎」金園社「探偵小説百科/九鬼紫郎」を合計2700円で購入し、秋田土産とする。では、気合いを入れて東京へ戻りますか。
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2012年09月02日

9/2山形・山形 紙月書房

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駅東口に出て、東方500mほどを南北に走る『国道112号』へ向かう。そこから進路を北に採り、道の先にある『山形市役所』方面に向かってテクテク進む。青い頭上を、山から下りて来た大きな白い雲が流れて行き、天気雨をパラパラと落とす。右手に『東北電力』を見ると、静かだった通りはちょっと賑やかな街のメインストリートに変化。駅前とこの辺りが繁華街なのか…などと思っていると、左手に大きな市役所ビルが見え、正面の広い空の下には、横に広がる石造りの洋風近代建築『文翔館』が、ドンと現れる。中央の屋根から、空を突き刺すように伸びる黒い時計塔が、山形の時をギクギクと刻んでいる。表門から建物をたっぷりと楽しんでから、開けた敷地沿いに東に向かい、脇道をさらに敷地に沿って北へ。すると行く手には、小さな教会が西側に建つ、静寂に包まれた四つ辻が現れ、その向かいの北東側に目指して来たお店の看板を発見する。駅からは二キロほど。…良い所だな。ブックカフェらしいのだが、果たして…。入口上には可愛い書体の濃緑店名看板、入口横にメニュー立看板、『氷』の旗が二枚風にはためき、右の大きな窓からは店内の本棚が良く見えている…おぉ、しっかりしてる。これは期待出来るぞ!木の扉を開けて中へ進む。入るとまずは、正面にカウンターのある喫茶ゾーン。客席は右の窓際にも続いているが、その右側がしっかりとした古本ゾーンなのである。右壁・奥壁に本棚が張り付き、フロアには横向きに背中合わせの本棚が三本並ぶ。店内には男性ひとり客が二人おり、本には興味を示さずにお茶を啜っている。カウンター内では、ご夫婦であろう落ち着いた雰囲気の壮年男女が、「いらっしゃいませ」と迎え入れてくれた。…何か頼まなくとも、本棚を見られそうな感じだ…良し!と勝手に判断して、フロア棚に素早く取り憑く。棚脇に紙物・絵本・児童文学の小棚を見て、科学・映画・広告・赤瀬川原平&南伸坊など。足下の古雑誌カゴに視線を落としながら右壁棚。おお、ここは右端のミステリ評論から始まる、一面の日本ミステリ文学!1980〜現代の佳作たちが、肩を並べてドバドバ続く。そしてその向かいの棚脇に、推理小説文庫・サンリオSF文庫・春陽文庫…何だかただならぬな気配が漂い始めたぞ…。続く第二通路は、手前側に探偵&推理小説文庫!アンソロジーもたくさん揃い、マニアックな並びを見せている。下には海外文学の姿も少々。向かいはちくま文庫・中公文庫・旺文社文庫・教養文庫など。第三通路はセレクト日本文学を中心に構成され、間に少量の仙花紙本や探偵&伝奇小説を含みつつ、エッセイ・食・医学・性・本なども。ここは喫茶ゾーン側棚脇に日本文学文庫棚、壁側に春陽文庫を多く含む時代劇文庫となっており、時代劇文庫はそのまま奥壁に続いて行く。最奥の通路は、一応『未整理本』の通路となっているが、取りあえず見ることだけは可能である。洒落た古本喫茶なのに、ミステリーが大好きなお店なのである!古い本はあまりないが、しっかりした棚造りと網羅性に要注目っ!店主の本好きな気持ちが、ビシビシと通路を飛び交っているのである。値段は安め〜普通。プレミア値の本もあり。値段は表4右上にシールで貼付けられている。春陽文庫「完全犯罪/小栗虫太郎」(新装版)「泥だらけの純情/藤原審爾」「姿なき怪盗/甲賀三郎」創元推理文庫「真夜中の檻/平井呈一」を購入する。…お店のマークは歯を剥き出しにした狼の口…“紙月”…“かみつき”と言うことらしい…素敵だ!

良いお店だった…と余韻に浸りつつ『最上義光歴史館』横の名店「香澄堂書店」(2010/11/06参照)にも当然立ち寄る。相変わらずレベルの高い店内100均コーナーにしゃがみ込み、数冊を鷲掴んだ後に、店内をじっくりウロウロ。教養文庫「ミステリー入門/メアリー・F・ロデル」徳間文庫「非常階段/日影丈吉」創元推理文庫「浜尾四郎集」新潮文庫「日本ロック学入門/相倉久人」教養文庫「無月物語/久生十蘭」朝日文庫「魔都/久生十蘭」角川文庫「110番街交差点/ウォリィ・フェリス」を購入し、二年ぶりの山形のミステリ漬け二時間に終止符を打つ。山形、お店は少ないが、棚は濃厚!また来よう。
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2012年08月08日

8/8福島・福島 政文堂書店

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突然雲間から光が射すように、一日がぽっかりと空白になったらしいので、ちょっと遠出してみるかと大宮から東北新幹線。平日なのに、すでに早い帰省が始まっているのか、自由席は満席で座ること叶わず、一号車の先頭デッキで立ち尽くしながら一時間の読書。駅のホームに降りると、爽やかな涼風が身体を優しく撫でて行く。東口に出て、一年半ぶりの福島駅である。「大槻本店」(2011/01/22参照)も店売りを辞めてしまうそうで(「古書通信2012/06」より)、この近辺で店舗で古本を買える所は、もはやリサイクル古書店だけに!と思われたのだが、ところがどっこい古本を扱っているお店が、意外な駅近に潜んでいたのである!駅前は人影も多く賑やかで、四方を緑深い山々に囲まれた、全く普通の地方都市の風景である。南北に横たわる駅前広場を真っ直ぐ東に進み、小さなピアニスト像&奥の細道像を見やりつつ、ビルとビルの間から始まる『駅前通り』へ。横断歩道をヒョヒョイと渡って南側歩道を東へ行くと、ワンブロック目の信号を過ぎた所で、分厚い歩道屋根の架かる地元商店街のゾーンとなる。その三軒目に、ピンと張った黄緑のテント看板が誇らしい、街の小さな新刊書店の姿がある。店頭には小さな雑誌ラックと、児童絵本の挿さった回転ラック…古本の気配は何処にも無い…。フラリと駅前の本屋さんに立ち寄った体で、いやに横幅の狭いサッシを開けて中に入る。小さく細長い洞窟の如きお店で、両壁は奥まで本棚が続き、真ん中には平台付きの長〜い背中合わせのラックが置かれている。コミック・雑誌・文庫・エロ本、そして震災後の福島関連本を集めた、やはり街の本屋さん。しかしそれらには目もくれず、奥までズンズンズンズン入り込み、オヤジさんが座る小さな帳場の横、右角隅の奥壁棚&壁棚を見ると、そこに愛おしい古本の姿がっ!棚三本分に、ミステリ&エンタメ・海外サスペンス&アクション・ノベルス・歴史小説・日本純文学・郷土本・ミステリ&エンタメ文庫・海外アクション文庫など。棚の上には手書きの『古本』札が貼り付けてあるが、取り立ててスゴい本はナシ。だが、ここに古本が並んでいるだけ、それだけでいいじゃないか!と心の中でわめき散らす。値段は安め。古本ゾーンから二冊を抜き取り、さらに店内の新刊郷土本棚から一冊。角川文庫「大いなる罠/ドン・スミス」創元推理文庫「007号の冒険/イアン・フレミング」、そして新刊で歴史春秋社「化石は語る/竹谷陽二郎」(あぁ、フタバスズキリュウ!)を購入する。

さて、一日空いたとは言え、何が起こるか判らないので、駅前古本買いのみに満足して、スパッと東京へトンボ帰り。駅で切符を購入すると、券売機からニュッと出て来たお釣りが懐かしの二千円札!あまりに見慣れないので、一瞬ギョッと固まってしまう…このお札、券売機で使えるんだ…。
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2012年06月23日

6/23宮城・仙台 SENDAI BOOK MARKET

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だいぶ二日酔いで、もう夏としか言いようのない午前中の仙台の街へ。強い日差しに目を細めながらテクテク歩き、『青葉通り』と『南町通り』間の『サンモール一番町』に向かう。今日はこの大きなアーケードの下に、五十ほどの古本箱畑が生まれるのだ!『青葉通り』からアーケードに入ると、左手に早速古本の並ぶブースが出現。すでに古本に目を凝らす人の姿も大勢!おっ!あの長テーブルと本棚の組み合わせを一人で仕切るのは、気仙沼「唯書館」(2012/02/25参照)の青年店員さん!再会の喜びと激励の意味を勝手に込めて、創元推理文庫「ドラキュラ紀元」「ドラキュラ崩御」共にキム・ニューマンを購入する。続いてはかなり立派な「出張わめぞブース」。昨晩あれだけゲハゲハとお酒を底無しに飲んでいた人たちが、真面目にキリリと声を出し働いている。己の萎びた体たらくと比べ、感心しながら創元SF文庫「トリフィド時代/ジョン・ウィンダム」…こんな新装版が出ていたのか。カバーのトリフィド図案がとにかく痺れる一冊。あぁ、私は何故こんなにもトリフィドを好きになってしまったのか…河出書房新社「昆虫標本商万国数奇譚/川村俊一」を購入。レジにいた向井氏が「もっと遠慮せずに買っていいんですよ」と悪魔の囁き…いや、ここは旅先旅先。自制しなければ。さらに南へ進むと。大量の絵本ブースと「ビッグイシュー」の販売所があり、その先は道の両側に自由気ままな古本の花が咲いた「一箱古本市」。若者から年配の方までが、しっかりと小さな店舗を形作り、古本を販売している!ぬぬぬ、ただ余った本を売っているようなお店は少なく、テーマ性や箱造りを楽しんでいるお店が連続。中には関東各地で見かける顔もあり、そのバイタリティに驚かされる。あっ、南陀楼綾繁氏も出店している。少しお話しさせていただき、集英社文庫「ミャンマーの柳生一族/高野秀行」を購入する。箱を連続で眺めつつ、次は左手中程にある「東北ブックコンテナ」を通り過ぎ、「Book!Book!Cafe」の「仙台文庫」で「仙台文庫別冊 月刊佐藤純子」を購入する。実は今日ここに来たのは、元をたどれば2012/04/28の一箱古本市(12:25の項参照)で言葉を交わした佐藤純子氏に「今度はぜひ仙台に来て下さい」と言われ「ハイ」と答えたことだったりする。どうにか約束を守れたことにホッとする。彼女は自主的に「サインしてもいいですか?」と扉ページにサインペンを走らせる。こちらはギクシャク緊張しながらお話しさせていただく。さらに南には再び「一箱古本市」が展開。そしてここで本日一番の収穫を手にすることとなる!小さなお子様が店番する「ななみやたかちん」で、500円のダヴィッド社「神代辰巳 オリジナルシナリオ集」を発見!総毛立ち、即購入!お子様に「これを下さい」と手渡すと、困惑しつつ近くの父を呼んで精算にこぎ着ける。その後、売り上げノートに娘に本の題名を記入させようと、しばし父が奮闘する展開。「カミは神様の神で、ダイは代替わりの代…」…果たして通じるのだろうか、お子様に!ふう、とここで一息つき、カチッと古本スイッチがオフになる。本に群がる人々から離れ、昨日の『壱弐参横丁』に足を踏み入れる。今日の「鉄塔文庫」は午前十一時から営業しているので、腹ごしらえに一杯!と暖簾を潜ると、うはっ!岡崎武志氏と萩原魚雷氏!今日も驚き&脱力し、入る度に知り合いに会う、この酒場に畏敬の念を抱く。せっかくなので同席させていただき、しばしの昼呑みモード。もはや古本に囲まれた空間は仙台には見えず、ただただ古本屋話に耽溺する、素敵な人たちと素敵なひと時…。小一時間ほど飲んだ後、サンモールに別れを告げて、ひとり街の北にある「火星の庭」(2008/05/24参照)を目指してテクテク。かなり歩いて「定禅寺通り」にたどり着き、四年ぶりの店内へ。
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美味しそうなカレーの匂いの中を泳ぎながら探すのは、『架空の土地へのガイドブック展〜怪獣の世界編〜』。首尾良くカウンターレジ前にあるピアノの上に、関連本が飾られているのを見付ける。おぉ、『モスラ』原作本!金城哲夫と佐々木守のシナリオ集!成田亨!円谷英二の児童偉人本!と興奮しながら手を伸ばすが、ここにあるのはすべて非売品の閲覧用。涎を垂らしながら眺めた後、店内を寂しくウロウロ…すると窓際に販売用の本が並んでいるのを発見。こちらも中々楽しい本が…むっ、これは「宇宙船ビーグル号の冒険」のジュブナイル版!少し値が張るが、これに決めたとレジに一直線。すると今日は店主さんが一箱古本市に出向いているので、旦那さんが「ありがとうございます」と顔を綻ばせ精算。偕成社「宇宙怪獣ゾーン/バン・ボクト」を購入する。そして「特集コーナーお買上げの方には、これを」と吊るしてあった手製のブロマイドくじモドキの束を差し出す。血の滾るサービスではないか!一枚力を入れて引き抜くと、中にはさらなる手製なオリジナルの怪獣カード…おぉ「火星の庭」よ、あなたは一体何処に向かっているのだろうか…。そんなことを楽しく思いながら、仙台の旅を終えへビュワーンと帰ると、午後五時の東京には、復活間近な新しい東京駅舎の姿が、ドンと横たわっていた。

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6/22宮城・仙台 鉄塔文庫

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仙台駅西口から『青葉通り』をひたすら西に進み、仙台の中心アーケード街『サンモール一番町』を南に下る。しばらく進むと、左手に懐かしくごちゃついた『文化☆横丁』。そこからさらに南に進むと、広い駐車場の横に、トタンの壁に覆われて長々と延びる、古い建築群の異形…アーケード下の正面に立つと、『100MARKETS』と大書されたパステルレインボーの劇場の如き軒があり、その下に長い120mほどの通路を携えた二つの入口が見えている。戦後闇市の風情を色濃く残す『壱弐参横丁(いろはよこちょう)』である。飲み屋・喫茶店などの他に、肉屋・総菜屋・雑貨屋・洋服屋・占いなどがバラエティに肩を寄せ合い、その中に古本を商う立ち飲み屋も敢然と存在!去年の冬に荻原魚雷氏に教えられ、“いつの日か!”と思っていたお店なのである。早速『青葉通り』側の小アーケード通路に入り込み、50mほど東へ。途中にぽっかり現れる、空を大きく切り取った中庭的脇道が何とも言えず、素晴らしい。やがて左手に現れる、無骨な木材で化粧された小さなお店…分厚い木材に一字ずつ文字が彫り込まれた店名看板と共に、『古本立ち呑み』の言葉がキラリと光る。足下には文庫&新書の安売り箱。期待に胸をときめかせながら暖簾を潜ると、お店が開いたばかりなのに、すでに立錐の余地無い満席状態!こ、これはイカンぞ!と一瞬怯むと、何と全員明日の一箱古本市に参戦するわめぞチームの皆様であった。驚き&脱力しながらズイと入り込み、末席に加えていただく。天井が低く小さな店内。奥に“L”字のカウンターがあり、フロアには正方形の足の高いテーブルが二台置かれている。カウンター・テーブル共に椅子が収納されているが、ここは基本立ち呑みなので、座り込まずにワイワイガヤガヤ。そして左右壁面&入口横下部に頑丈な木製本棚が設えられ、通常の飲み屋と一線を画する光景を生み出している。皆が談笑する中、私はコソコソと本棚の前を飛び回る。入口横の小さな棚には、ビジュアルムック&雑誌が収まっている(ここは値段ナシ)。左壁を見ると、あっ!「古本T」さんの棚になってる!鎌倉「ヒグラシ文庫」(2011/09/11参照)に続いての立ち呑み屋への進出…何か無性に羨ましいぞ!本は社会・歴史・思想・落語など、結構硬めなラインナップ。棚にはガスメーターや蛇口が陣取る奇景もあり。右壁は四×六の壁棚となっており、ここがお店の領域となっている。北海道・アイヌ・海外文学・本&出版・コミック・日本文学・三島由紀夫・大江健三郎・中上健次・藤沢周・柳美里・佐伯一麦・伊集院静・太宰治・東北関連・文芸雑誌などがびっしりと並んで行く。左右合わせて非常に生硬な棚造りで、冊数も多く古本屋さんとしてしっかりしている。値段は普通。美味しいポテサラをつつきながらビールを三杯飲み、棚を必死に覚えながら談笑。途中、樋口毅宏「二十五の瞳」ファンの一般男性が入店し(サイン本所持)、装画担当/武藤良子氏・校正担当/水玉氏との幸福な出会いに感動する一幕も…フフフ、楽しい酒場だ。新潮社「戦後詩壇私史/小田久郎」を購入する。この後は、そのままみなさんの飲み会に加えていただき、仙台チームの「火星の庭」さん(2008/05/24参照)「書本&cafe magellan」さん(2008/12/06参照)佐藤純子氏、そして「五つ葉文庫」さんを交え、絶品の牛タンに舌鼓を打つ。明日の一箱古本市が、より楽しみになる夜となった。
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2012年06月17日

6/17福島・会津若松 勉強堂書店

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『ウィークエンドパス』二日目は、郡山から“赤ベコ”マークのある電車・JR磐越西線に乗り込む。西に向かって徐々に標高を上げながら、狭い緑の谷底を走り抜け、一時間二十分。爽やかな風吹き渡る、四方を山と雲に取り囲まれた会津盆地に到着。駅舎を出て、赤ベコ像と白虎隊像に挨拶をし、ロータリーを抜け出してから線路に沿うように北へ。左にコンテナ基地や、扇形の操車場を眺めつつ、ズンズン北へ。道なりに500mほど進んで、『国道49号』とつながる『北柳原交差点』。この辺りにもはや観光地の気配は無く、完全に地元民の生活圏内となっている。ここから東に進むと小さな『不動川』が現れるので、橋を渡ってからすぐ川沿いに北へ。後は住宅街の中を北に進みつつ、右へ右へ右へと入り込んで行くと、やがてたどり着く自動車教習所。脇の直線道を真っ直ぐ北へ進むと、行く手に見える緑に囲まれた広大な敷地は『会津大学』で、直線道が終わった所で左を見ると、ほぉ、『会津の古書處』とある看板が立つ、モダンな和風建築の古本屋さんがそこにあった。大学前だが辺りは異様に静かで、緑の多い歩道には雑草も繁茂している。三角屋根・白壁・連続する大きなガラス窓が品良く特徴的で、入口上には金文字の店名。早速中に入ると、まずは陶器や古道具が出迎えてくれ、物や本が重層的な景色を生み出している、物量に満ちた店内。しかし乱雑さは何処にも無く、上から下までビッと整頓が行き届いている。壁棚にぐるっと囲まれた空間は横長で広く、フロアに三本の分厚い背中合わせの棚を備えている。入口右横に古道具(イタチの毛皮?や様々な人形もあり)と本に囲まれた帳場があり、白髪の萬屋錦之助と言った店主が、横向きに店番中。左壁は上部に箱入りの歴史&風俗の資料本が並び、下に歴史小説・海外文学文庫・時代劇文庫・海外文学。足下にも横積み本があり、ここには日本文学も混ざっている。向かいは下がラックになっており、大量の紙物・錦絵&浮世絵類と共に、「銀花」・自然・生物・植物・詩集などが続く。棚脇棚には全集本類が積み上がり、奥壁には左から新書(足下にオカルトあり)・書・会津資料館的紙物類&古道具類。左から二番目の通路は、左側に和本・古地図・登山、右に日本文学文庫・中公文庫・岩波文庫・選書・日本文学評論。棚脇に会津古文書ラックあり。第三通路は、左が戦争・近現代史・日本近代文学(古い本あり)・日本文学・科学、右に中国・文学復刻本・随筆・エッセイ・民俗学・日本語。こちらの棚脇には、会津の絵葉書が集合している。右端の第四通路は、入口側棚脇に美術・工芸が集まり、左側に仏教・福島本・郷土本、右壁に日本各地郷土本・東北・福島・会津がドッシリ収まっている。かなり見応えのある本棚たちなのだが、実は他にも見るべき所が潜んでいる。各通路や棚脇に足下から積み上がる本タワーが曲者なのだ!様々な方向を向く本の背を、首を横に倒しながらチェックして行くと、時折愉快な本の姿が!う〜ん、このセンス、中々絶妙だな…。郷土本の充実レベルは高く、文学にも深みと古さあり。そこかしこに美しく分布する紙物類も、目玉を楽しませてくれる。値段は普通。ただし嬉しい隙のある値段も、ジャンルによりチラホラ。新書館「さよならの城/寺山修司」青也書店「ブルークリスマス/倉本聰」ハヤカワ文庫「ミクロの決死圏/アイザック・アシモフ」講談社文庫「幻想博物館/中井英夫」を購入する。

ビデオを巻き戻すように素早く東京へ引き返し、午後六時の下北沢。盆地の爽やかさとは異なる、亜熱帯な蒸し暑さの中、雑踏をかき分けて進む。「幻游社」(2008/10/03参照)…ライブハウスの行き帰りに、時間が無くとも飛び込んだ古本屋さんである。このお店が、本日を持って閉店する。表の特徴ある細足の均一台は、すでに片付けられようとしている。店内の棚にも、所々にブランクが生じており、非常に寂しい光景となっている。しかし表にも店内にも、今日が閉店であることなどは、一切書かれていない。このまま、いつも閉店するように、静かに密かにお店を閉じるのだ。ならばこちらも、ひとりのお客として、普通に古本を買うことにしよう。「幻游社」最後の買い物は、河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」。長い間、お疲れさまでした。そして本を安く売っていただき、ありがとうございました!寝室の灯りを、そっと消して眠りにつくように、下北沢の古本屋さんが一軒、フッと姿を消しました…。
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2012年05月20日

5/20福島・植田 瑞雲堂書林

天気も良いし、普通列車で遠くを目指す。常磐線で、東京→千葉→茨城と通過して福島県。四時間の旅程で目的駅に到着する。緩やかに長く弧を描く小山沿いのホームから、跨線橋を渡って東側の改札をSUICAで抜けると、平坦で白っぽい田舎街…目の前には、静かで陽光煌めく二つのロータリー。左側のロータリーから人影の無い通りを東に進む。体感する時間の流れが、東京とは明らかに異なっており、夢の中の1シーンのようにホワホワと歩む。誰もいない交差点を過ぎて、200mほどで見えて来る渋川に架かる『東田中央橋』。右の海方向に、火力発電所の大きな三本の煙突を眺めながら、橋を渡り切る。すると左手に『ハローワーク』と『ブックオフ』が現れ、街のメインストリート的な交差点に至る。そこを北に曲がり込み、すぐに『ブックオフ』裏手の脇道に進入。すると豪壮な住宅の隣りに、一階は『車庫』と大書されたシャッター、二階に『東田大堀塾』の看板、そして建物脇に張り付いた外階段下に、『営業中』の真っ赤な幟が立つ…とても店舗には見えない、小さなアパート的建物である。しかしここが目指すお店!しかもやっているようだ!二階の窓を見上げると、風を入れるためか開け放たれており、窓には店名と共に『古書販売』『古銭買入』の紙が貼り出されている。あまりにも入り難い特殊な佇まいである。その世間からはみ出した姿に感動&興奮し、膝を屈して写真を撮りまくる…素敵だ!
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牛乳受けのぶら下がる、狭くて急で短い外階段をカツカツ上がると、目の前に中国紙幣の貼り付いた看板が現れ、手前の薄い合板ドアが開け放たれている。
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恐る恐る敷居を跨いで中に入ると、六畳ほどの小空間で、左側半分の壁際に本棚、中程を古銭&コインの飾られたガラスケースで仕切り、その向こう側に読書中の福々しく若々しい中年店主が座っていた。「あっ」とお互いに頭を下げ、私は早速本棚に目を移す。すると店主は、何くれと無くフレンドリーに、所々で話し掛けてきてくれる。「すいません、ちょっと荒れてますが…」「お近くの方なんですか?」「古本はあんまり売れないんで、最近は仕入れてないんですよ」「もしかしてお仕事は火力発電所?あそこも津波でやられたんですけど、どうやら動かすらしくて。それで人が流れて来てるんですよ」「古本は二割引。貴重なやつじゃなければ、もっと引きますよ」「ウチは、セドリの人も立ち寄らないですね〜」「お店はまぁ、私の気分で開けてるようなもんで…」。色々お話しさせていただきながら、棚に目を走らせて行く。ちなみに店主の言葉は、すべてプリティーな福島弁での発言である。宗教・オカルト・戦争・福島&いわき・性愛・満州・朝鮮・韓国・戦争…非常に偏りまくっているが、棚造りは極めてしっかりしている。特に満州&朝鮮&戦争関連は、茶色い古い本も含めて充実。足下には安売り文庫箱(ここは一般的)があり、入口右横には風水の羅盤と共に古い外国のシングルレコード、それに戦前のポスター類や、軍服なども飾られている。うむむむむ、よくぞ地方でこのようなマニアックなお店を営業してくれてました!うぉっ!ガラスケースの中に、中国・国民党の鉄兜(40万円)が!本を二冊ケースの上に差し出すと、しっかりと二割引精算!すると店主が「はぁ〜」と切ないため息をつき、「本が売れるなんて嬉しいなぁ」と一言。魂の震える、古本屋ツアー冥利に尽きる展開!私も嬉しいので、この後も満州資料・紙幣・陶貨!・鉄兜なども見せていただき、200円を古い50円玉に両替するなど興奮のひと時!店主の「あぁ、戦前の朝鮮半島に、本当に行きたいな」と言う夢が、狂おし過ぎました。もしまたこちらに来ることがあれば、遠慮なく再訪させていただきます!真珠社「横浜正金銀行の十九年/滝口昌英」文研出版「食中植物/近藤誠定・勝彦」を購入する。さあこれからまた四時間、ノンビリトロトロ読書しながら、長い海沿いを電車に揺られて帰るとするか。
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2012年03月30日

3/30福島・安積永盛 Small Town Talk

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仕事の異次元をどうにか脱出したら、どうしても遠くに行きたくなってしまい、『青春18きっぷ』を発動して北へ!乗り換える度に車両数が段々減っていき、未だ枯れ草色の風景を突っ切る二両の東北本線で到着したのは、郡山のひとつ手前の駅。改札を抜けて東側の小広場に出る。栄えた所の無い地方の町並みが、ただ広がっている。北側の大階段跨線橋を渡り、遠くに雪を被った山脈を眺めながら、『国道4号線』に出る。駅周辺より、この道沿いが街の中心地となっている。大型店舗をなぞりながら北へ進むと『安積一丁目交差点』。ここで『郡山南インター線』と言う近代的な名の、新しくキレイな道路を西へ。進んで行くと、道は北に反り返って行き、水の煌めく笹原川を渡る。橋を渡って道なりには進まずに、真っ直ぐ北へ進むと、そこはもはや何の変哲も無い住宅街となる。最初の信号で東へ。ほわっ!左手前方に『古書 古本』とある、小さなオレンジの看板がポツン。まるで夢のようだと思いつつ、先の五叉路小交差点に近付き、お店の正面に回り込む。白い下見板張り風の小さな平屋で、前面は四枚のガラスサッシで構成され、左から二番目に白の店名文字が配されている。スラッと開けて中に入ると、右側にあるガラスケース帳場に店主が現れ「いらっしゃいませ」とにこやかに挨拶。リーゼントを下ろした休日のロックンローラーのような方である。お店は広々としており、配置されている棚類はほとんどが腰〜胸の高さで、見通しが良くなっている。棚類は種々様々なものがセンス良く据えられており、左壁際と奥壁、真ん中に小均一棚&平台と共に低めの本棚たち。平台には「平凡パンチ」〜「STUDIO VOICE」までと幅広くカルチャー雑誌がが平積みされ、棚には絵本・写真関連・写真集・美術・映画・デザイン・ポップアート・渋谷系・「宝島」・伊丹十三・小林信彦・山田宏一・海外文学・幻想文学・詩集が集まっている。左壁際には、スヌーピー・寺山修司・70年代女子向け本・安井かずみ・佐野繁次郎装幀本・堀内誠一などのプレミア絵本・70年代実用ノベルス・宇野亜喜良・アートビジュアル本・ファッション&カルチャー雑誌など。奥壁には陶器・文庫・日本文学の民藝的装幀本・久保田万太郎・小島政二郎・森田たま。奥への入口を挟んで、白い飾り棚に久里洋二・篠山紀信・深瀬昌久・DVD「荒野のダッチワイフ」など。この棚を見ていると、店主が「奥の部屋にも入れますので、よかったらどうぞ」と、靴を脱いで上がり込む、絨毯の敷かれた小部屋に促してくれた。では、と遠慮なく上がり込む。横長の三畳ほどの小部屋で、レコード・蓄音機・古雑貨・古着と共に、粟津潔デザインの『東風』ポスター・ブローディガン・食・デザインなどが簡素に収まっている。ここは古着があるせいか、お店と言うよりは他人の部屋に限り無く近い…。靴を履いてフロアに戻り、ガラスケース内のプレミアビジュアル本をぼやっと眺める…何だこのお店は!東北の住宅街に、こんなにも70年代が渦巻く場所があるなんて!テラヤマ・ヨコオ・アラキ・ウノ・モリヤマ・シノヤマ・ワダ・ウエクサ…セブンティーズのカルチャー巨人たちが、モノクロと原色を絶え間なく放出しているのだっ!よくぞここまで一色に染めたものだ、と偉そうに感心しつつ、各所に飾られたパネルなども眺めて楽しむ。値段はちょい高〜高めのしっかり値となっている。「植草甚一、お好きなんですか?」と聞かれながらJICC出版局「宝島 1974/10」を購入する。気持ちよくお店を出て、昼食でも買おうと思いコンビニを探す…無い。この街にはコンビニが無い。キョロキョロ脇道も見回しながら駅方向へ戻るが、結局一度も目にすることはなかった。地元のスーパーで地元パン屋の菓子パンを購入。そしてその中のひとつ『クリームボックス』に感動する。小さな食パンに牛乳カスタードクリームがドバッと乗ったアバウトなパンなのだが、とにかく下品に美味!さてお腹も満ちたことだし、とんぼ返りするか。

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2012年02月25日

2/25宮城・気仙沼 唯書館 気仙沼店

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東北に向かうと、雨が途中から雪に。一ノ関で、ワンマンディーゼル二両編成の大船渡線に乗り換える。車内は、何かの交流行事で気仙沼に向かう小学生で一杯。私が本を読んでいると、そのボックス席に着いた女子三人も読書を開始…外では雨のように雪が降っているのだが、ディーゼル車はものともせず、谷間をクネクネと進んで行く。およそ八十分後、列車は時刻通りに駅に滑り込んだ。降雪にも積雪にも揺るがない、タフさに感動。…気仙沼…果たして街はどのような状態なのか…ちょっと緊張しながら駅を出ると、燈台と鮫とカジキマグロが凍えている、田舎の小さなロータリー。十五センチほど積もった雪のために、視界は白。ここはまだ谷間の雰囲気が残っており、ゆっくりと二キロほど先の気仙沼湾に向かって落ち込んで行っている土地なのである。なので駅周囲では、津波の被害は見当たらない。ロータリーを抜けて、駅前の大通りを北西に進む。やや上り坂な上に、歩道にほとんど人の歩いた痕跡が無く、新雪をキュッキュッと踏み込み、開拓者のように進む。左手に半島のように横たわる小山があるので、それを北から回り込むようにして、雪の中を先へ。時々、電線から落ちて来た雪塊が、爆撃弾のように傘を直撃したり、足下が新雪で白過ぎるため、至近距離なのにホワイトアウトしたりする…そしていつの間にか雪で重くなる傘。フウフウと苦労しながら、300mほどで『一関』と『東新城』への分かれ道。左の『東新城』を選択し、下りながらヘアピンカーブして行く道を、滑らぬよう注意して進む。小山の突端を回り込み、二本の川を橋で越すと、道は南への直線道となる。橋からズボズボ100mほど進むと、左手に駐車場のある二階建ての大きなプレハブが、二棟連なる寂しい光景…ここは商店街なのである。その名を『東新城 つばめ通り』と言い、3/11の津波や地震で被災した商店が、今年の二月に場を移し、新たに仮店舗で再出発したのである。
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そしてその中の一店に、フェニックス古本屋「唯書館」もっ!一年の時を待たずして、被災したお店がついに気仙沼に戻って来たのである!去年の夏に避難先の群馬で再起し(「唯書館 中之条店」2011/07/29参照)、そして気仙沼への帰還!こんなスゴいことを、指を加えて放置するわけにはいくまいっ!しかも私自身『いつの日か、気仙沼に帰ったその時は、万難を排して、古本を買いに駆け付ける所存です』と誓っていた!と言うことで、張り切って雪の中を進んで来たわけなのである。
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目指すお店は奥の一棟の左端。二階窓下に『本お売りください』とある大きな看板、それに玄関灯と窓ガラスにも店名がある。傘をすぼめて近付くと、中からメガネ女子店員さんが姿を現す。「やってますか?」と聞くと「ええ。いらっしゃいませ」と傘立てを出してくれた。身体に付いた雪を払ってサッシの入口を潜ると、左側のレジ帳場からメガネ男子店員さんがにこやかに「いらっしゃいませ」。床はコンクリだがプレハブそのままな店内。右の壁際に本棚が七列。フロアには右に背中合わせの本棚、左に背中合わせの雑誌ラック。左の壁際には本棚が張り付いている。各棚はすべて胸辺りの高さまでで、店内を広く見通せる状態。右壁棚は、ビジネス・ノンフィクション・エッセイ・社会・日本文学・海外文学・歴史・サブカル・文化…新しい本を中心に、少しカオスな並びとなっている。向かいは出版社別文庫がズラッと並び、何故か集英社文庫に古めの本が多い。真ん中の通路は、右にガイド・村上春樹・ハーレクイン・新書・ノベルス・海外文学文庫・時代劇文庫・岩波文庫・ちくま文庫、左に女性誌&ムック・絵本・児童文学となっている。左端通路は、ラックにカルチャー雑誌&ムック・アニメ・同人誌、左にコミック・ラノベ…そして奥は両側共アダルトゾーンとなっている。おぉ、完全なる街の古本屋さんなのである。教養からアダルトまでを一気に引き受け、復活したのである!値段は定価の半額が基本だが、見返しに値段札のあるものはちょい安となっている。気仙沼への帰還&開店、純粋に祝わせていただきます。おめでとうございます。そしてお帰りなさい。創樹社「硝子障子のシルエット/島尾敏雄」双葉文庫「殺意という名の家畜/河野典生」コアマガジン「裏の大事典」を購入。しかしそんな風に感激しながらも、駅への道のりを考えると少し憂鬱になる…あの大回りさえなければ近いのだが…。帳場で精算しながら、駅への近道はないのか聞いてみたが、やはり来た道が一番近いとのこと…帰りも雪中行軍か…。

犬に吠えられたりしながら、どうにかヒーフー駅まで戻る。駅前食堂のカレー粉カレーライスで腹ごしらえした後、駅前の商店街を下り、港方面を目指してみる…しかし雪のため、400mほどで挫折する。…情けない。しょぼんと駅へ引き返して行くと、駅前のクリーニング屋「ママ号」が古本を扱っているのを発見する。何か買えるだろうか?…残念、湿ってざらついた本に手が出ず。これにて気仙沼行は幕を閉じ、14:26の大船渡線で帰路に着く。あれだけ降っていた雪が止み始め、相変わらずの曇り空だが、車窓の景色が、日が射し始めたかのように、明るくなり始めていた。
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2011年08月27日

8/27福島・小名浜で青春で盛大に空振りす!

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五回目の青春18きっぷ(つまりは最後である)を使い、常磐線で北上すること四時間。いわき駅の三つ手前、泉駅に到着。ここから東の小名浜へとバスで向かうのだが…バスが全然無い!時刻表がスッカスカだ!…これは、いつものように走るしかないと言うことか…。覚悟を決めて、駅前から東へ果てしなく延びる県道を、タッタカ走る。平坦な市街地を抜け『国道6号』の下を潜ると、歩道が狭い田舎道。ダンプに負けじとさらにタッタカ。やがて川を越えて坂を下ると、そこが小名浜の港町。駅から四キロ弱くらいだろう。『小名浜郵便局』向かいの小道を北に進むと、最初の小さな十字路右手に、個性的な古本屋さんが現れた!「古本エルエル」である。う〜ん、好みな店構えだ。手製の『古本 レコード』の木の看板、そして窓ガラス一面に貼られた、取扱い品目多種・『昭和の香り 古本&レコード』・『在庫展示品の殆んどが平成10年前の書籍です』などなど…あ、良く見るとこのお店、以前は不動産屋だったようだ。早く入りたいのだが、残念なことに中は真っ暗。一縷の望みを託してサッシに手を掛けるが、ビクともせず!う、ううううううっ…ハッ!営業開始時間が14時からとなっている…現在時刻は午後十二時半。良し、ここは後でまた来ることにしよう!と心を取りあえず宥めすかし、店前の道をそのまま東に進んで『鹿島街道』。後はこの道を、またもやダッシュと歩きの繰り返し。郊外型大型店舗が連続する道を、とにかく心を無にして北へ。『いわき警察署』を過ぎると、大型店舗がようやく鳴りを潜め、道は緩やかな上り坂となり、山を真っ二つにした巨大な切り通しに差し掛かる。急斜面に自生するユリと、街路樹として植えられた棕櫚の、奇妙なアンサンブルを楽しみながら切り通しを越えると、開けた眼下に新しい街が広がる!おっ!道沿いには目標としてきた、巨大な『ヤマダ電機』の姿!もうすぐだぁ、といい加減重くなり始めた身体をムチ打ち、坂道を駆け下りて『ヤマダ電機』前を通過。すると右手に大きな『古書』の文字。あったぞ!「古書文楽」だ。ここまでまたも四キロほど。倉庫のような巨大なお店で、右端に鉄製の階段と小さな出入口がある。ウッ!しかし強烈に嫌な予感が…何だ、あの内側に簾が下がったままの入口は…営業は午後十二時からとあるのだが…恐る恐る階段を上がり、ノブをガチャリ…開かない。なな何てことだぁっ!こっちは確実に開いてると思ったんだがなぁ。しかしこのまま引き返すのもシャクなので、斜向かいのコンビニでパンを買い、食べながらしばしの張り込みタイム。もしかしたら、今しも主人が現れお店が開くかもしれない!と思いながらモグモグ…ゆっくり食べて十五分…残念と言うか当然と言うか、何も起こらず。あきらめて『鹿島街道』を南に四キロ引き返す。そしておよそ四十分後、先ほどの店前に立つが、14時はとっくに過ぎているのに開いてない!開く気配も無い!こうなったら最後の手段!意を決して携帯電話を取り出す。貼紙のひとつに『お急ぎの方はこちらにお掛け下さい』の携帯番号があったのだ。ドキドキしながら番号をプッシュし、呼び出し音に耳を凝らす…五回・十回・十五回…出ない!あぁあ、うわぁはぁ〜!こ、このままでは小名浜に、ただ走ってパンを食いに来ただけになってしまう…。

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●小名浜「ときわ書店 いわき小名浜店」
そんな小名浜の思い出が、ダッシュとパン食いだけにならぬよう、実はすでに保険を掛けていた。それは『小名浜 本町交差点』から『鹿島街道』沿い北方二キロにある、巨大リサイクル新古書店である。「ときわ」=「常盤」と言う名からして、福島&茨城のマイナーチェーン店であろう。中に入るとやたら女の子のDVDが面陳され押し寄せる展開。中々アナーキーであるな。右側に展開するコミック棚の間を抜けると、右壁に古本棚が出現。ちょっと日に焼けて青ざめたラインナップである。右から100均単行本・ミステリ&エンタメ・タレント・海外文学文庫・ラノベ&ティーンズ文庫・日本文学文庫・ノベルス・50均&100均文庫…あれ?でも良く見ると、すべての文庫は100円、ハードカバーも100円とある…って言うことは全品100均(50均除く)てことじゃないか。う〜ん安い。50円と100円文庫を一冊ずつ手にして、レジを探し女の子DVD棚の間をウロウロ。動線が判り難いな…左奥にようやくレジを発見し、どうにか精算して目的を果たす。幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い 仁義なき戦い・広島死闘篇・代理戦争・頂上作戦/笠原和夫」ソノラマ文庫「破嵐万丈ヒット・カップル/富野由悠季」を購入。

目指して来た二店共に入れずと言う情けない結果になってしまったが、しっかりと営業されているようで一安心。それが確認出来ただけでも来た甲斐があると言うものだ。特に「エルエル」は港に近かったので、もしや津波の被害に…などと思っていたのだが、津波が押し寄せたのは一本南寄りの道までらしい。そちらまで行ってみると、道路には砂が残り、商店のシャッターはひしゃげ、ビルの一階はベニヤで塞がれ、すでに基礎だけになっている家の姿も。巨大な電車基地を持つ『福島臨海鉄道』の小名浜駅駅舎も閉鎖され、フェンスや電柱はぐにゃりと曲がり、線路上にはコンテナやボートが転がったままとなっている。頭上に飛び交うカラスの大群…初めて目にした津波の被害にしばし呆然とする。海からの底知れぬ力を目にしながらも、またもしつこく「エルエル」を確認する悪あがき。やっぱり開いてませんでした。空振りと疲労と二冊の文庫と海からの脅威を抱いて、帰りはバスで駅まで戻る。さらば小名浜!また来るぞ!

※帰りの常磐線に乗って一時間後、何と「エルエル」さんから電話が入る。一足と言うか百足遅かったっス…留守電を聞くと、車を運転していたので電話に出られなかったとのこと。返す返すも残念也!
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2011年07月17日

7/17岩手・盛岡で街をぐるっと二店!

仕事スケジュールに魔法的調整を施し(ちなみにしっぺ返しはすべて己に…)、最後のJR東日本パスによる東北行!都合五回目は、東京から四時間かけて盛岡へ。ターゲットは以前は入れなかった「つれづれ書房」で、『今度こそ!』の思念を強く発しながら、北口からカラッとした青空の下のロータリー。そのまま北上川沿いの『駅前北通』に出て北西へ進む。遥か先には夏の岩手山と、モクモクの夏雲。『夕顔瀬橋西交差点』を東に入り、北上川、さらには山田線の踏切も越える。北の夏の日射しの青空の下を、東に進んで交差点をひとつ過ぎると、道路拡幅工事中地帯右手に「つれづれ書房」…うぅぁ〜い、閉まってる。くそぅ、またいつの日か再チャレンジか…。残念な結果を引き摺らずに、そのまま東へ進んで二つ目の脇道を東南に進み、再び山田線の踏切を越えると、おぉ!右手に「浅沼古書店」(2009/02/02参照)の雄姿!しっかりと営業中なので、久々の出会いを楽しみつつ、芸艸堂出版部「連翔/鏑木清方」を購入する。

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●盛岡「TUMI(ブックセンター)」
「浅沼古書店」を出て、道を東南にひたすら進み続ければ、やがて中津川に架かる『富士見橋』。しかしそこに到達する一本手前の道に、確か発見はしたのだが、入れなかったお店(2009/02/02参照)があったはず…。と覚えのある通りに目をやると、以前と変わらぬ二棟続きの屋根の高い木造建築…お店はある。おっ、しかも開いてるぞ!「TUMI」の大きな立看板は変わらぬが、入口上に『TUMI トゥミ』の文字と共にペルーの国旗が掲げられている。さらに店頭には立看板がひとつ増え、『古本』と共に『ブックセンター』と書かれている…かなり再利用度の高いブツではある…。ちょっと狭い開け放しの入口から中に入ると、左に焼き鳥屋的カウンター席、右には待望の壁棚が早速展開する。細長く、食べ物屋特有の匂いが漂う店舗で、奥は小部屋状になっており、三方に壁棚があり、中央に背中合わせの棚が一本。奥のカウンター端に三人の男性が集まっており、静かに静かに将棋対戦の真っ最中。私の気配を察したのか、カウンター内のループタイ着用谷川俊太郎風店主が爽やかな笑みをこちらに向けた。「本を見てもよろしいですか?」と問うと「どうぞ」と快く応対。しかしすぐに盤上へと戻って行った。右壁棚は奥深く、二重にどっさり本を満載している。日本文学・ノンフィクション・タレント・スポーツ・宗教・谷口雅春・大川隆法・精神世界・オカルトなど。棚前に小さな棚があり、日本文学文庫と女流作家文庫を並べている。対局の邪魔をしないように、息を潜めて乱雑にコミックの積み上がる横を通り、奥の小部屋へ。カウンター端下にある日本文学文庫もしっかりチェックした後、三方壁棚に歴史・日本文学・思想・自然・全集端本・古典文学・児童伝記・資料類・戦前本・日本純文学文庫・ノベルス。フロア棚には、東北・民俗学・教養&雑学文庫・歴史&時代劇文庫・新書が収まっている。本の量は中々多く核もしっかりしているのだが、時間の経過と共に少しずつ乱雑に、雑本的になって行っている模様。ちょっと古めの本が多く、探せば何か見つかりそうな雰囲気はある。値段が安いのはとにかく嬉しい。対局中の店主にさり気なくアピールし、精算をお願いする。どうやら店主の棋力はかなり高いようで、さっきからお客さんチームはうんうん唸りっ放し…店主は目を離しても余裕綽々なのであった。新潮社「六十九の非/田辺茂一」を購入。

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●盛岡「ブックショップさとう」
その後は、中津川沿いの道に出てしばらく北上すると、岩手県交通『愛宕町バス停』前に、オレンジの日除けのお店が現れた。ここは『まんが古本』専門店で、例外を除いて全品一冊100円でコミックを販売している。店内は本当にすべてコミック。奥のレジ横に、例外の絶版漫画が少々集まっている。ステテコ姿のスローモーなおじいさん店主がプリティーである。講談社「愛蔵版デビルマン/永井豪」を購入。

上の橋袂の「東光書店」にも立ち寄り、相変わらず古めかしい店内をウフウフと愛でた後、新潮新書「明治大正翻訳ワンダーランド/鴻巣友季子」を購入して、盛岡古本行脚を締めくくる。JR東日本パスよ、ありがとう!おかげで安値で東北のあちこちに行けました!
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2011年07月15日

7/15宮城・仙台近辺調査の末に幻の店一店!

ずれ込み続けるスケジュールを逆利用して、無理矢理一日の間隙を作り出し、JR東日本パスで東北へ!三連休となる週末は激しい混雑が予想されるので、とにもかくにも平日に出向きたかったのである。今回は、仙台近郊の古本屋さんに的を絞り、午前中から新幹線の人となる…。

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●北山「古書 ビブロニア書店」
仙台から仙山線に乗り換えると、新幹線の描いたカーブをそのまま引き継ぐように、この路線も街中を大きく西に曲がり込んで行く。三つ目で下車すると、傾斜地の中腹にある駅。南側へ峠を越え、仙台の街を遠望する急坂を下って、どうにかお店にたどり着く。しかし残念ながら休業中の様子。恐らく震災の影響であろう。取りあえず写真を一枚撮り、入口サッシ扉の貼紙に顔を寄せる。そこには、六月中旬営業再開の予定が延期になったこと、様々なことが重なりさらに再開が遅れる見込み、などの事が7/1の日付で書かれていた。無事の再開を願っております!要再訪!

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●名取「有隣堂」
続いて仙台駅に戻り、今度は東北本線で南へ。車窓に見えた仮設住宅群に頭を垂れ、九分ほどで目的駅に到着。あたふたと店前に到着すると、こちらもシャッターが下ろされ休業中の様子なのだが、顕著な建物へのダメージが痛々しい。シャッターには3/18に判定された『応急危険度判定結果』の、黄色い“要注意”の貼紙が貼り付けられたままなのである。お店の左側壁はブルーシートで応急処置され、右側壁には大きなひび割れ…営業は望むべくもないのか…。

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●仙台「ぼおぶら屋古書店」
さて困ったなと思い、取りあえずは仙台に戻りつつ、走ってあの何度行っても開いていないお店をチェックして、それから福島・郡山と廻ってみるか!と決意する。仙台駅西口に出たら、上り新幹線の時間との勝負!空中歩廊の左側最奥『15番階段』から、下の『愛宕上杉通』へ。そこを南にちょっと下り、次の信号を西へ入ると、先へ先へと延びる『柳通』。ひたすらそこを西に進み、『大通り』を突っ切り、さらにその先の『五橋通』とクロスする交差点を越えれば、左手に何度も煮え湯を飲まされたお店が姿を現す。もう六回は訪れているだろうか。私は開いていないことを前提に、お店の方に視線を飛ばす。ところが予想に反して、心ざわめく今まで見たことのない光景が店頭に展開していた!本が出てる!本の入った箱が並んでるぞ!信号が変わるのももどかしく、慌てふためいてお店の前に駆け寄る。開いてる!古本が売ってる!どひゃっほう!ついに「ぼおぶら屋」をツアー出来るぞっ!細く茶色いビルの一階がお店で、側壁に大きな『古書買入』のオレンジ看板、軒からはくたびれた日除けが張り出し、観音開きに開け放たれた入口扉。そこには『入らいん Herein!』とある木の札。店頭には無数のダンボール小箱が並び、壁面には木箱が積み上がっている。右側に一応店内への入口があり、中へも入れるようになっている。入口右横と左壁(だいぶ傾いてるなぁ…)、合わせて三十ほどの木箱が積み上がり、後は在庫や雑多な物の山が迫る、独居房のような極狭スペース…阿佐ヶ谷の「穂高書房」(2009/02/15参照)より狭いかも…。中の様子を伺っていると、奥目の八千草薫似老婦人が顔を出し、「いらっしゃいませ。中もどうぞ」と優しい微笑み。店頭は、文庫・文学評論&研究・探偵小説・日本文学・海外文学・晶文社本・歴史・民俗学・戦争・思想・宗教など。店内は、東北・みちのく・宮城・仙台・温泉・刀剣・こけし・玩具・民芸・演劇・建築・洋書など。硬めの良書が多く、郷土本も充実。店頭は安売りと言うわけではなく、ここもまたお店の中となっている模様。ただし店内には古い本が多い。値段は高め。店内に入った私と入れ替わりに、外に出ていたご婦人に、外に出て精算をお願いする。そして思い切って、積年の夢が叶い初めてお店に入れたことを伝えると、「まぁ〜、それは申し訳ございません」と意に反して恐縮されてしまう。「今はこんな陽気でございましょう。大体12:00〜16:00に開けてるんですけど、二日開けるともう大変で。この齢でございましょう。おまけにひとりでやってるもので中々…」とはにかみながらお話ししていただいた。とにかくついにお店に入れた嬉しさを伝え、「開けてくれてて本当にありがとうございます。これからもがんばって下さい」とお辞儀。「フフ、ありがとうございます」とあちらも深々とお辞儀。走って見に来て本当に良かった…心底そう思える瞬間であった。ありがとう仙台!ちくま文庫「美食倶楽部/谷崎潤一郎」垂水書房「潜水記/黒岩茂喜」を購入。

目標として来た二店は残念だったが、幻のお店に遂に入ることが出来て、本当に良かった仙台行。お土産はやっぱり『萩の月』を購入。あぁ、後一回はパスを使って、遠くのお店へ行ってみたい…。
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2011年06月17日

6/17秋田・横手 横手書店

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今回が私にとっては“JR東日本パス”第一回利用期間の、最後の東北行である。山形新幹線と、その終点・新庄駅で乗り換えた奥羽本線で、山形県を縦に切り裂くように北進して行く。進むごとに山間は深さを増し、漏斗のように細く狭くなって行く。が、やがて秋田県の南東部に突入。すると山間は再び広がり始めるのだが、山々はいつまでも消えず、沿線の人々の暮らしも途切れることなく車窓に続いて行く。東京から六時間で目的駅に到着。行動可能時間は一時間である。ひとつしか無い改札は東口に面しているが、私は西側に行かねばならぬのだ。駅では大きな東西自由通路を建設中だが、まだ通行は出来ないようなので、駅の地図で線路を横断出来る場所を探し、降り注ぐ暑い日射しの中を、まだ見ぬ古本屋さんに向かってダッシュする。駅前通りを北に向かい、200mほど先の信号で西の脇道へ入ると、行く先には『本荘街道踏切』。そこを駆け抜け、駅裏の空地と住宅が集まる地帯を抜けて『国道13号』に脱出。そこから南に向かい『三枚橋交差点』を過ぎれば、お店が左手に現れ…ああぁっ…こ、これはガッツリアダルトDVDショップ…しかも路上には『ビデオ安売王』の立看板…書店が安売王になっちゃったのか?あっ、でも軒の巨大な『DVD』の文字下に、小さく小さく店名が残っている…でも…。激しく意気消沈しながら、自動ドアの向こうの店内を、キョトキョト覗き込んでみる。ラック棚が見えているが、並んでいるのは可愛い女の子のパッケージばかり…六時間かけての結果がコレなのか…あぁ、空振りは痛過ぎるなぁ〜…空振り後に再び六時間移動するのも、切な過ぎるなぁ〜…。などと凹んでいると、自動ドアがンガァ〜ッと開いてしまった。成り行きで幽鬼のように入店してみると、そこはエントランスゾーンで、比較的ソフトなものたちが並んでいる。本格的なものたちは、暖簾の奥のアダルト迷路に多数展開しているようだ。そしてここには、二本の背中合わせの棚があるのだが、何とここに書店の残滓を確認することが出来た。とは言っても、コミック・美少女コミック・アイドル写真集・コミック文庫・タレント本などしかない。一番端に置かれた旧版「忍者武芸帳」のバラ一冊(何故か値段はプレミアの二千円!)が涙を誘う。何も買えずにお店の外へ…。嗚呼、来る時は車窓の田舎風景を眺めながら、秋田の街ではどんな古いお店が待ってくれているのだろうか?果たして開いているのだろうか?地震は大丈夫だったかなぁ?おじいさん(想像)は気難しいのだろうか?もしかしてあんな本やこんな本が……だが!すべては砂上の楼閣であった!うわわぁ〜このままではおかしくなりそうだぁ!対策を練るのも放棄し、国道を取り合えず北に歩き始めると、500mほど遠くに『本』の看板があるのを発見!ここは藁をも掴むつもりで、『助けて下さい!』と言わんばかりに駆け寄ると、「ブックオフ13号横手店」。背に腹は代えられぬ!と新潮文庫「レディ・ジョーカー 上中下/高村薫」を購入する。空振りではなく、身をボールのコースに乗り出し、無理矢理“デッドボール”を掴み取ったカタチ…とても痛く切ないツアーであった。帰りは、やけに揺れるが山中の景色が極上の北上線に乗って東へ。北上駅から東北新幹線に乗車する。もう段々、古本屋さんに行ってるんだか、列車に乗りに行ってるんだか、非常にこんがらがってきました…でも第二回利用期間も、絶対何処かへツアーしてみせるぞ!
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2011年06月13日

6/13東北でパスを使って東北本線行ったり来たり二店!

昨日の山形行テンションそのままに、本日も新たなJR東日本パスを握り締めて東北へ!最初は秋田方面に向かうつもりだったが、“こまち”に自由席が無かったので、取り合えず仙台まで向かうことにする。そして車内で計画を練り直し、新しいツアー先を塩釜&水沢に定め、予備で仙台と言うプランに決定!仙台駅はかなり修復が進んだが、あっ!伊達政宗像が無くなってる!それに構内には、復興ボランティアの人々や被災地へのガイド役などがおり、常時とは違う熱気と緊張感が漂っている。私は古本屋を目指して、まずは東北本線に乗り換えると、何と目の前には森まゆみさんが座っていた!…驚いたなぁ。

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●宮城・塩釜「明日香書店」
高台のホームからロータリーに出て、駅前の通りを北へ。右手には白く大きな『生涯学習センター』。そこを過ぎると、『古本 駐車場』とある黄色い立看板が出現…古本のための駐車場かっ!?…砂利敷きの駐車場を備えた、プレハブ小屋のちょっとアナーキーなお店である。おぉ!と感動しながら、小石を踏み締め建物へ近付く。左手には看板や木材が、廃物のように積み上がっている。入口横にも改めて立看板、壁面にも大きな店名看板…看板が多い…と扉の前に立つと、そこには小さな貼紙があった。『東北関東大震災の為、当分の間休業いたします。店主敬白』。誠に残念であるが致し方ない。営業再開の日を、待ちわびてます!すぐに駅に踵を返し、東北本線で仙台へ逆戻り。ここから再び新幹線に乗り、一ノ関でまたもや東北本線に乗り換える。パスが無ければ容易には実行出来ない荒技である…電車は美しい北上川の土手に沿いながら、みずみずしさに溢れた土地を、北へ進んで行く。

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●岩手・水沢「白神堂書店」
有人改札を、パスを見せて抜ける。白く爽やかな、ちょっと大きな街で、中央には岩手競馬を応援する、和風の小塔が屹立している。ロータリー左奥の南へ延びる道を進んで行く。寂れた駅前の脇道と言う感じだが、明るい陽光と気持ちの良い風のおかげで、侘しさは生まれてこない。やがて県道のような『国道397号線』にたどり着くので、今度は進路を西へ採る。すると50mも歩かないうちに、左手の道路際にお店の看板が、ぴょこんと立っていた。近付いてみるとお店も道路際まで迫っており、シャッター四枚のうち二枚がガッチリ下ろされ、一枚が1/3、一枚が1/4下ろされている不穏な状況…これは営業中なのだろうか?そおっと開いている部分に近寄ると、岩手郷土資料本が並ぶウィンドウとガラス扉は、汚れて曇りガラスに成りかけていた。シャッターの隙間に本の入った木箱や壁棚が見えているが、詳しく見ることは出来ない。ちゃんと見られて本が取り出せるのは、入口横の新書棚のみである。ちょっと入口で逡巡したが、中の電気が点いているのを確認し、思い切って扉に手を掛けた。鍵は掛かっておらず、スッと抵抗無く開いた。その瞬間に押し寄せる古本の奔流!…店内はギチギチ状態だったのである。本のタワーと棚越しに右手を見ると、本の山に囲まれた真ん中で、西部邁風店主が前屈みな姿勢で読書中。店内が倉庫のようにも見えるので、取り合えず「こんにちは」と挨拶してみた。ギョロリと上目遣いに一瞬視線を寄越しただけで、すぐに本の世界へ…まぁ見ていいと言うことだろう。店舗は小さな逆“L”字型で、壁際には本棚、左手前には横向きの背中合わせの棚が一本、右奥は壁棚と真ん中にラック棚が置かれ、右側の帳場と思しき場所は、壁棚と幾重もの本の山と小さな棚に取り囲まれている。そして各通路には横積み本や未整理本が、顎辺りまでドバドバと背を伸ばしている。おかげで棚の下部は見えず&通路自体も人間ひとりが通れるかどうかの状況になっている。一応すべての通路に床は見えているのだが、これはもう古本職人だけが辿ることの出来る、秘密の間道である!私は周りに接触して被害を及ぼさぬようよう、赤外線センサーを切り抜けるかの如く、珍妙な動きで各間道にチャレンジして行く。入口右横の小さな棚に、古めの中国系文庫・海外文学文庫・思想系文庫が並んでいる。入口左横壁際には、岩手資料本・歴史。背中合わせの棚には、日本文学文庫・日本純文学文庫・海外文学文庫・新書が収まっており、品切・絶版が多く見応えあり。左奥壁にはミステリ&エンタメ・海外文学・フランス文学・辞書と続く。こちら側の二本の通路は、奥までの侵入は不可能となっている。身体を縦に横に巧みに操作し、忍び足で右奥へ。左には美術ビジュアル本と下に宗教棚。真ん中のラックには、落語・映画・音楽・鉄道雑誌・文学ビジュアル雑誌・兵器・美術が並ぶ。奥壁には、お茶・都市・政治・思想。右壁の帳場前にも一本通路棚があり、古典文学が並べられている。右壁棚には、科学・数学・動物・昆虫・日本文学・文学評論と続き、ウィンドウ裏のアジア&中国文学・探検・紀行・飛行・詩歌となって行く。おっ、帳場の周りに民俗学が…。店内はかなり過酷な状況だが、文庫と文学に良書が多い。上段しか見られないのが、返す返すも残念である。値段はしっかりの隙ナシ。文庫や新書には安い本あり。古本間道を脱出して、二冊の文庫を店主に渡すと、一冊を指し示し「これ高いよ。いいの?」と聞いてきた…時たま聞かれることであるが、こう言う場合は、1.こちらが値段を知らずに買おうとしてると思っている、2.何でこんな高い本を買うの?よく考えた方がいいよ…と言うことなのだろうが、まぁ“1”なんだろうな…などと考えるが、もちろん値段は知っていたので「ハイ!○○円ですよね!」と無邪気に元気良く答えてみた。すると何やら計算し、オマケの値引をしていただいた。ありがとうございます!角川文庫「青葉の旅・落葉の旅/田部重治」河出文庫「男の旅行カバン/くろすとしゆき」を購入。

帰りは北上川をゆっくり見ようと思い、水沢駅から新幹線の水沢江刺駅まで歩くことにする。…がっ!何と橋の手前に来た時に、人も車も通行止めなことが判明!上流にある橋に迂回しなければならないのだが、それではとても新幹線に間に合わない!水沢駅まで戻っても、東北本線はとうに出発…絶体絶命だ!見知らぬ土地でウロつきながら焦っていると、タクシー会社を偶然発見。そこに飛び込み、水沢江刺まで運んでもらい、事無きを得る。…それにしても、昨日と今日で電車に二十時間は乗っている。家に帰ってジッとしていると、何やら身体はずーっと振動している感じ…ガタガタゴトンガタガタゴトン。
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2011年06月12日

6/12山形・鶴岡 阿部久書店

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いよいよ使用可能になった“JR東日本パス”で遠くへ!普段手の届かない、東京から離れた所へ!とやたら意気込んで、新潟駅で古びた特急列車の羽越本線に乗り換える。生まれて初めて乗る路線である。広大な機関区と阿賀野川を過ぎると、スケールのデカイ水田群が続く。もはやそれは、稲が揺れる緑の海である。途中、坂町駅にある操車場のイカした廃墟に震えたりしながら、一時間ほどで待望の日本海に接触!水田や墓場越しに見る、岩礁あらわな海は、今までに見たことの無い新鮮な景色である。絶壁に挟まれたような、砂浜のある集落を、トンネルと共に次々と通過して行く。初めて目にする車窓を楽しみまくっていると、時間は素早く流れ去り、いつの間にか庄内平野に入り込んでいる。またもや稲の海となるが、山が近いので新潟とは異なる印象を受ける。駅に到着して降りようとすると、足元の電車とホームの隙間には、大きな蕗の葉が広がっていた。長閑さを感じつつ、跨線橋を渡って改札から外へ。ぽっかりした小規模な地方都市である。まずはロータリーを抜けて『駅前通り』に入ろうと思ったのだが、左右共に大きく回り込まないと先には進めない構造になっている。ブツクサ言いながら車道をショートカットし、南へ進み始める。ビルの間を抜け空の広い通りを歩き、交差点を三つ過ぎると、歩道屋根の架かる『サンロード日吉商店街』に差し掛かる。そこもタッタカ抜けると、行く手にナナメの交差点が現れ、右には『山王日枝神社』。そこを南西に曲がり込むと、道は『山王通り』となり、道だけが新しい観光地的な商店街。さらに進む…ちょっと不安になりながら歩を進めるが、それは杞憂に終わった。通りの終わりが見えて来た時、右手にある古本屋さんが視界に入って来た…こ、これは…ここまで来た甲斐があったと即座に思わせる外観に、先制パンチをバスッと食らう!少し新宿紀伊国屋書店のファサードを連想させるな…。モダンな昭和四十年代的建築!丸みを帯びた軒にある明朝の看板文字が、その印象をさらに強くする。二階真ん中はガラスブロックがはめ込まれ、壁からは『週刊現代』&『with』の看板が飛び出している…元は新刊書店だったのだろうか?一階真ん中には、大きな『本』の看板があり、二ヶ所の出入口には「古書ビビビ」(2009/10/15参照)と同じようなプラ扉のある手作り棚や、スライド本棚・ダンボール箱・柳行李が迫っている。文庫・新書・単行本・雑誌・実用ノベルス・コミックなどの、それほど古くはない本が並んでいる。左端の棚には『古本50円』の看板あり。一通り眺めてからラジオの流れる店内に入ると、ちょっと雑然としているが…あれあれ?新刊書店みたいだな…古本はあることにはあるが…。左側手前にまずは古本で出来た大きな島がある。古い単行本・和本・雑誌が構成物。左奥には二階へ上がる階段があり、その壁沿いに上がって行く階段の下に、文庫と新書の棚が二本。古い岩波文庫が特徴的である。右側にあるラック下に詰まった和本の束に驚きつつ右奥へ。すると壁棚に、山形・庄内の本がズラッと並んでいる。大半は古本のようだ。右端通路はその流れか、山形関連の新刊や地方出版物が集まる、素晴らしい棚とラックが続く。ラック脇には鶴岡出身作家・藤沢周平の色紙や手紙と共に、藤沢周平地図も置かれている。棚から一冊取って入口側にあるレジへ。そこには元気な鼻歌交じりの老婦人。本を差し出すと同時に、上がれそうだった二階について聞いてみると、「あ、二階は古本です。どうぞご覧になってください」とのこと。やった!古本への喜びが滲み出ていたのか、精算が終わると老婦人は一枚の紙片を取り出し、「これよかったらどうぞ。佐藤賢一さんが中央公論に、このお店について書いてくれたんですよ」とにっこり。ありがたく頂戴する。「じゃあ見させてもらいます」と、全集の積み上がる階段を上がり、電灯の点いていない薄暗い二階へ!するとそこは、予想もしなかった驚きの古本迷宮!これは大変だっ!壁際はすべて本棚で、三本の背中合わせの棚と、間仕切り的な本棚が一本、右奥は小部屋状になっておりそこにも本棚は続いているのだが、大きな机と大きな収納棚があり、どうやら作業スペースのよう。階段部分は吹き抜けになっているので、フロアの手前側の辺がナナメになっており、二階全体を少しだけ複雑な印象にしている。そして棚の並びはかなりのカオスっ!しかも棚には二重に本が入っており、奥に背がチラリと見えている。完全なる無秩序ではないのだが、各所に同ジャンルが出現したりと、非常に把握し辛いことになっているのだ。そのジャンルは、山形・庄内・鶴岡・東北・日本文学・日本近代文学・丸谷才一&佐藤賢一など地元所縁作家・文学評論・俳句・短歌・古典文学・古い翻訳本・文芸雑誌・歴史・歴史小説・近代史・戦争・民俗学・古代史・考古学・風俗・世相・修身教科書・和本・仙花紙本・思想・科学・自然・宗教・全集・辞典・学術書・文庫・新書…。山形・歴史・日本近代文学・戦争が目立ち、とにかく古い本が多い。いやいや、とてもこの短時間で見きれる量じゃないぞ。薄暗い棚の間で、ひとり激しく静かに興奮しながら、必死に本の背文字を読み取る作業!…楽しかった!しかしどれも値段が付いてないな。四十分ほど二階に篭もり、三冊を手に階下へ。いくらなんだろう?とドキドキしながら「ありがとうございました。二階、スゴイですね」と本を渡すと、一律四百円の値を告げられる。安いっす!さらにお礼を告げて精算を済ませ、歌うような「ありがとうございましたぁ〜」に送られ外へ。気持ちの良い庄内の空気を、胸いっぱいに吸い込むが、大変だ!もはやタイムリミット!急いで駅まで駆け戻り、またもや羽越本線の人となる。日帰りで遠くまで来ると、やっぱり滞在時間がシビアになるなぁ…。一階にて東北出版企画「横光利一とやまがた/工藤恆治」を、二階にて日本週報社「どろんろん 最後の忍者/藤田西湖」弘文社「歌境心境/吉井勇」現代思潮社「虚空/埴谷雄高」を購入。
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2011年05月21日

5/21福島・須賀川 久々の東北南端でありがとうございます二店!

新白河で東北本線に乗り換え“みちのく”に突入。南端とは言え、あの日以来ずーっと来たかった東北である。白河で、城跡の城壁が崩れ落ちているのを目撃し、驚愕。電車は田植え真っ最中の、空と森を映し込む水田の中を、スルスルと進んで行く。屋根をブルーシートで覆った家が、段々と増えて来る。そんな景色を眺めながら、たくさんの元気な中学生と入れ替わりに、東北の大地に久々に降り立った。

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●須賀川「古書ふみくら」
ひとつしか無い改札を出ると、東側のロータリー。駅舎は二階への立入が禁じられているが、街は日常な感じが漂っている。『駅前通り』をテクテク南へ。緩やかな坂道を下り『須賀川橋』で釈迦堂川を渡ると上り坂…この辺りから、徐々に地震が街に残した爪痕を、目にすることになる。ひしゃげた商店・崩落した壁・傾いた給水タンク・割れたガラスウィンドウ・歪んだ路面…街自体はしっかりと形を成しているのだが、細部に残されたままの破壊の跡が、目に飛び込んでくるのだ。そして建物に貼られた『応急危険度判定結果』。緑は『調査済』でこれは大丈夫なのだが、他に黄色の『要注意』と赤の『危険』があり、こちらは建物の使用に様々な注意が必要となるようだ。しかし建物や道が傷付いていても、お店は営業を再開し、すでに復興と日常が混ざり合い始めている。人間のたくましさに心の中で拍手しつつ、改めて地震の恐ろしさを感じながら、古本屋を求めてさらに南へ。通りは途中からその名を『松明通り』と変え、いつの間にか街のメインストリート。駅から1.5キロで『国道18号線』に到着。この交差点で東を見ると。『古書買入』の看板が街路樹の向こうにチラリと見えている。おぉ〜!よくぞご無事で!と思いながら駆け寄ると…何と言うことだ…入口横に『危険』の判定結果が貼り出されている!…なになに『落下物(壁・看板に注意)』『この建築物に立ち入ることは危険です。応急処置を行った後に立ち入ること』…なるほど。まぁどうやらちゃんと営業中なので、これらはクリアしているのだろう!ガガララと重いサッシ戸を開けて店内へ。ほほぅ、とても地震があったとは思えない整然さだ。さぞかし復旧には心血を注がれたのであろう。薄暗く天井まで棚が伸び、細い通路が連続している。壁際はすべて本棚で、真ん中に背中合わせの棚が三本、奥に帳場があり、年若い古本屋さんらしくない若い女性がパソコン操作中。左端通路に入ると、壁棚に横積み福島郷土資料本がレンガのように収まっている。右は棚のほとんどが空いているが、奥に戦争関連が集められている。足元には古雑誌や小冊子の詰まった木箱が置かれている。第二通路は、左側に引き続き郷土本が収まり、奥に宮本百合子・短歌・斉藤茂吉。そして棚脇に梶山季之&オカルト棚あり…濃厚な組み合わせだ。右側には新書・ちくま文庫・中公文庫・講談社学術文庫・日本文学文庫・時代劇文庫が並ぶ。足元には大量の美術図録。第三通路は、左に辞典・焼物・海外文学・出版・図書館・読書・書店、右に詩歌句・文学評論・現代史・戦争・歴史・江戸風俗。棚脇に民俗学や岩波文庫棚あり。入口右横にはカオス気味に本が並び、文化・教育・科学・風土・文学・宗教などが掴み難い状態。右端通路は、左側に文学評論・文学復刻本・戦争・古い文学&実用&手引き類、右壁棚には全国郷土資料・中山義秀・日本文化・社会制度・古典文学となっている。各棚の下部は大判本&ビジュアル本が見え隠れしながら収まっている。帳場の左には演劇・歌舞伎・戦争文庫、右に福島関連本と「ふくしま文庫」棚。郷土資料本と戦争関連の多いお店で、古本だけでなく紙物や古道具も店内に潜んでいる。棚はカオスな感じが漂い、店舗と言うよりはちょっと倉庫的な印象を受ける。値段は普通〜高め。ここは郡山駅前にもお店があるので、近いうちにツアーしたいものである。早川書房「正午二分前/ノエル・F・ブッシュ」を購入。

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●須賀川「BOOKランド」
「ふみくら」近くの『くまたぱん本舗』で、何かも知らず『くまたぱん』なる可愛い名前のお菓子を買い(後で食べたら、サクサクの餡子に砂糖をまぶした甘いお菓子。でもそれほど甘くなく美味!)、今度は駅の西側を目指す。釈迦堂川を西に渡ると、こちらの方が被害が少ない気が…気のせいだろうか…。駅からはロータリーから西に進み、『東北本線跨線橋』を渡って『須賀川駅入口交差点』を深い地下道で通過。坂道を上がって『須賀川桐蔭高校』脇を下って行く。こちらは通り沿いに大型店舗が連なる、郊外の典型的風景。坂道を下り切って交差点を越えると、左手に高い『古本』の看板が見えて来た。大きな店舗かと思って近付くと、駐車場は広いが中規模のリサイクル古書店。駐車場右側には著作権を無視しているであろう、横長な『ドラえもん』のパチモンイラストがあり、店舗は二階中央に不可解な花のイラスト、一階左側はトタンで覆われ何やら応急処置が施されている。真ん中の出入口には『余震が続いているので立読みはご遠慮下さい』のコワイ貼紙。中は薄暗く広く、女性店員が独りで切り盛りしている。棚のほとんどはコミック&ゲームだが、左端の通路二本に古本が集合している。トタン裏の窓際にはゲーム攻略本と児童文学が並び、左壁は不自然なほど古めかしい古書ゾーンからスタート。正統派な文学系や全集類・戦争・教育関連が並び、ガイド・実用・ビジュアルムック・再び古書・50円単行本・雑本・海外文学。向かいにはアダルトDVDとミステリ&エンタメ。棚脇には雑学文庫が細く収まる。隣の通路には、左に女流文学文庫(津原泰水と中島らもが混入中)・時代劇文庫・歴史&時代劇小説・日本純文学文庫・新書・ノベルス。右に日本文学文庫・ミステリ&アクション文庫・ラノベと並んで行く。本の量はそれなりに多いが、雑本的で微妙に古い棚となっている。値段は安め。ちくま文庫「浅草寿司屋ばなし/内田栄一」を購入。

無事に二店を回ったと言うよりは、無事に営業してくれていて、本当に嬉しかった!ありがとう!色んなことがあるけども、色んな形で人間の生活は続いて行く。よし『JR東日本パス』を利用して、東北の古本屋さんに次々と足跡を残して行こう!あぁ、早く六月にならないものか…。
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2011年01月22日

1/22東北右下宮城&福島にて半店+一店!

郡山の未踏のお店に行こうと思っていたのだが、行ったことの無い土地に、やはり行ってみたくなり、さらに北の東北右下へ。福島県から宮城県へ…。


book_three1.jpg●宮城・角田「スリーブック」
福島駅で隅っこの暗がりにあるホームから、阿武隈急行線に乗り換える。二両編成のワンマンカーにガタガタと揺られ、融けかけの雪に覆われた大地と、枯木の果樹園の間を進んで行くのは、とてものどかで心を和ませてくれる。『伊達氏発祥の地』高子、『伊達氏のふるさと』梁川など、キャッチフレーズの付いた駅が連続。やがて寒い凍った山の中を抜けると、いつの間にか宮城県に突入。緑色の大河・阿武隈川を越えると、ようやく目的地に到着。改札を抜けると立派な駅舎だが閑散としている。空が広く荒野のような寒い街を、ロータリーから東に延びる直線道を東へ。人影は無く、街では車移動が基本のようである。舞い散る粉雪を顔で融かしながら、『駅前交差点』『栄町交差点』『市役所東交差点』と通過して行く。すると一キロ強で、大型店舗が建ち並ぶ大通りに出る。ここを南に曲がれば古本屋さんの姿が…おぉ、あった!が、しかしこれはっ!?…何と言うオンボロの建物!これではまるで掘っ立て小屋ではないか。箱状の平屋の前に、日曜大工的店舗が、だらしなく歪んでへばりついているのだ!合板の壁と、窓にはガラスではなくプラ板がはめ込まれ、軒の看板は中央が欠落している。そのプラ窓の向こうにはたくさんの本の影が見え、左にあるサッシ戸のあるトタン小屋は、戸が半開き…営業しているのか?入口らしき扉に近付くと、白い貼紙が目に入った。『近日買取より復活します』…おぉぅ、やってしまった。私は休業中のお店を訪ね、はるばる宮城までのらくらとやって来てしまったのだ。もはや良くあることなのだが、やはり力の抜ける瞬間である。
book_three2.jpg店内を覗き込むと、しっかりと古本の並ぶ棚が確認出来るが、床には本がボトボト落ちていて荒れた状態。良く見ると扉は角材で封鎖されていた。もしや左の小屋に誰かいるのでは、と開いた戸から覗き込む…うわっ、ただ開けっ放しなだけだ。大量の漫画雑誌と文学全集が詰め込まれた小部屋…は〜ぁ、と大きなため息をついて後ろを振り返る。うわっ!信号待ちの車の中の顔が、みんなこっちを向いちゃってる!こ、これはイカン。完全なる不審者と見做されているようだ。あくまでも何気ない風を装い、口笛まで吹きながら、本をたっぷり備蓄したままの半廃墟古本屋さんを後にする。営業している時に訪れたかった…買取が復活したら、店売り復活もよろしくお願いします!


otsuki_honten.jpg●福島・福島「大槻本店」
阿武隈急行で福島へ逆戻り。東口を出ると、地方都市の大きなロータリー。ここからとにかく東にある『国道4号線』に出る。判り易いのは、駅前広場から『駅前通り』→『レンガ通り』と進み、一本北側の『テルサ通り』をさらに進んで『北町交差点』に出るコースであろう。雪の残る歩き難い歩道を、北へと進んで行く。夕方になった途端、気温は急降下し始めている。しばらくすると『仲間町交差点』に行き着くので、一本東の『旧電車道』に入ってちょっと北へ。大きく聳える『ヨークベニマル』の前に小さなお店を発見。側壁にはモガのイラストと共に『明治・大正ロマン』と書かれ、さらに『古い本・せと物・タンス・きもの・茶道具・刀・絵画』とある。どうやら古道具屋も兼ねたお店のようだ。正面には軒にも壁にも黄色い看板。店頭はサッシ戸になっており、さらに『切手・金券』を求める貼紙までも。中はちゃんと明かりが点いており、奥には人の姿…が、サッシには準備中の木札が掛かっていた!…しばし悩むが、こう言う場合はもはや当たって砕けるしかないのだっ!サッシをララッと引き開けて中に入る。すると奥から加藤嘉的風貌の、防寒体勢バッチリな老店主が出て来た。私は「あの、やってますでしょうか?」と聞くと、老店主はガラスケースに両肘を突き、ゆっくりと両手を組みながら「どう言う御用ですか?」。「あっ、本を見せていただこうと思って」「あ〜。えぇえぇ、よろしいですよ。何処か遠くから?」「東京からです」「そうですかぁ。まぁウチには東京のような大した本はありませんが、それでもよかったらどうぞ」「いえいえそんなことは。ありがとうございます」…やった!入ってみて本当に良かった。老店主は再び元のスチール棚の裏へ。飾り気の無いお店はシンプルで広々と素っ気無く、右側が古道具屋ゾーン。棚やガラスケースに大皿・茶碗・そばちょこ・丼碗・和本などが飾られている。左側が古本ゾーンで、入口左横から左壁際に本棚、その前に左壁に沿うカタチで斜めにスチール棚が置かれ、奥にも二本の横並び棚がある。この奥の棚の中段は空洞となっており、裏の店主とやり取りする会計場所となっている。棚の所々に、『お買い上げは30分以内でお願いします』の貼紙がペタペタ…どうやら長っ尻のお客への牽制らしい…。入口左横には歴史雑誌・歴史・日本文学・戦争が並び、左壁の歴史・日本文学・カバー無し時代岩波文庫・海外文学文庫・古い文庫・新書と続く。ここはすぐ足元に箱が積み上がり、あまり奥には入り込めない。手前のスチール棚には、福島・会津・郡山の郷土関連本が並び、歴史・日本文学・思想・世相・ふくしま文庫、そして中段に漫画雑誌附録・郷土文芸誌・和本が飾られ、正面に歴史・新書・古い新書と並んで行く。全体的に硬めで歴史&福島関連本多し。時々挟まる古い大衆小説が良いエッセンスとなっている。何故か古美術関係の古本はナシ。あ〜本棚が見られて嬉しいぞっ!どの本にも値段は無く、どうやら帳場で値付けするシステムらしい。と言うわけで選んだ本を棚の空洞に差し入れると、「こっちが200円でこっちが300円」と安めな値段を付けてくれた。「いただきます」と棚の向こうに伝えて精算。あぁ、開いてる古本屋さんって本当にいいな、と激しく感じ、「ありがとうございます」の声が、自然と朗らかに大きくなった。新潮文庫「私の紀行/林芙美子」岩波新書「雷/中谷宇吉郎」を購入。

もっと雪に埋もれていると勝手に想像していたのだが、しっかり地表が見えていたので拍子抜け。それにしても大きな街なのに、福島駅周辺には古本屋さんが少ないようだ(リサイクル系を除く)。もっとしつこく調べてみれば、何処かに一軒浮かび上がる…かも…。
posted by tokusan at 21:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする