2015年12月09日

12/9長野・上田 NABO

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車中で読了した木々高太郎の心理探偵小説「折蘆」の結末に、「そ、そんな…」とショックを受けながら(何故か脳内では、主人公の探偵・東儀四方之助が片岡愛之助のビジュアルで活躍…)、久しぶりの上田に到着。気温10度で風は冷たく清冽だが、日射しが強く頼もしく暖かい。『お城口』から出て目抜き通りの『真田坂』を北に上がっていく。エッチラオッラ進み、坂の頂上が近付く『松尾町交差点』で東に曲がり込み、寂しく疎らでうらぶれた『松尾商店街』を進んで行く。通りの終り近くで、大きな葦簀を立て掛けたいつでも大繁盛の名物蕎麦屋前を通過したら、突き当たった大通りを南へ。すぐに一本目の小道『北国街道下常田通り』を東へ入る。うだつの上がった古い商店建築が、そっと心の中に潜んでいた旅情を撫で上げる。すると左手和風割烹の隣りに『小島紙店』の古い看板を掲げたモルタル建築の商店が現れる。残された看板通り、大元は紙屋さんで、その後洒落た雑貨屋さん的なものになり、現在は即売展&ネット販売「VALUE BOOKS」が、古本とパンとコーヒーのお店を開いているのである。通りに面した部分は、昔の硝子戸そのままに店内が見通せるウィンドウと化しているが、ここに入口はない。横の礫敷き駐車場からぐるっと奥に回り込むと、植栽に囲まれた洒落た入口があり、白い外廊下を通ってコバルトブルーの扉を開けると、長いカフェカウンターのあるネイチャーシックな店内。ニット帽を可愛く被った女子二人と、お洒落髯の男子が「いらっしゃいませ」と穏やかに囁く。入ってすぐ右に本棚が一本あり、どうやらここは日替わり搬入ホヤホヤの古本が収められている模様。左に進むと一段低くなった本が集まるゾーンとなり、通りからの明るい光が飛び込んで来ている。そこには左右に立派な壁棚、フロアにディスプレイ棚が散らばり、中央では二階への開放的な階段が待ち構えている。ディスプレイ棚には、クリスマス特集・セレクト日本文学などが並ぶが、一番興味深いのは読書関連の本と共にパソコンが置かれ、「VALUE BOOKS」の在庫検索が出来るようになっていること。探してすぐに取り寄せてもらえるらしい。右壁には医食・食・料理・働く・仕事・ビジネス・町づくり・建築・住宅・住む・暮らす・自然・旅などが、文庫から大判本までバラエティ豊かに並んでいる。もっとも本は三ヶ月に一度入れ替えるそうなので、次に訪れた時はまったく異なるジャンルが並んでいるのかもしれない。窓際にキノコ本とキノコの精密画が集められ、左壁には『UNKNOWN BOOKS』という目隠し本コーナー・絵本・アウトドア(ウェアやグッズもあり)・冒険が続く。二階に上がると中央は吹き抜けで、頭上から迫り流れる屋根の下にカフェ席が並んでいる。左手通り側角に社会学・現代思想・宗教・本&読書が固まり、右壁一面に上部が屋根の形に沿った大壁棚。日本文学・アメリカ文学・海外文学・みすずの大人の本棚シリーズ・文学叢書&全集・講談社学芸文庫が並んでいる。新しくキレイな本がほとんどだが、選書は細やかにしっかりと行き届いている。値段はちょい安〜プレミア値のものまで様々。結局コーヒーもパンも頼まずに、ただ古本ばかりに集中し、河出書房新社奇想コレクション「輝く断片/シオドア・スタージョン」「どんがらどん/アヴラム・デイヴィッドスン」平凡社新書「昭和マンガ家伝説/平岡正明」を購入する。真田坂に戻って、定点観測したくともなかなか来られない「斉藤書店」(2010/04/24参照)にウキウキと向かうが、うぁっ!お休みだっ!…残念無念…。
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2015年05月06日

5/5新潟・長岡 長岡一箱古本市

新潟二日目は、午前のうちに新潟から新幹線で長岡へ移動。およそ三十分弱の車中で、岡崎武志氏と今日の一箱、それにトークについての作戦を練る。短い旅を終えると、まつりの準備でいつもの長岡とは異なる賑わいの気配を感じつつ、まずは「雑本堂書店」(2012/05/11参照)へ。まだ午前十時前だというのに、わざわざお店を開けて待ってくれていたのである。感謝しつつ二人で静かに古本を漁り始める。鼻歌を歌いながらすでに数冊の古本を抱え込む岡崎氏を横目に、こちらは二冊だけ。講談社「たのしい幼稚園 1966年12月号」(森康二・井上ひさし・金城哲夫などのビッグネームが!)サンリオSF文庫「死の統計/トマス・チャステイン」を計900円で購入。そしてそのまま雑本堂・矢尾板氏に案内されて、歩行者天国の設営が進行中の古本市会場へ。出店は十五箱だが、道路にはバラエティーに富む大掛かりな箱たちが、一直線に並び出来上がりつつある。中には『古本プール』とでも呼びたい、子供用プール形状の大きな箱に、古本が多層的に並ぶ恐るべき強者も。我々は末席にちんまりと二箱を並べるが、どうやら圧倒的に量が足りないようだ。まぁその結果は、惨敗と言ってよいほどの、二人で計7300円の売り上げにとどまる。それでも「なぁに、我々は古本を売りに来たのではない。トークをしに来たのだ」などと強がりを言い、隣りの『ブックスはせがわ』さんが並べていた「野呂邦暢古本屋写真集」や二人の著書がわりと売れたことに慰められたり、わざわざ挨拶に来ていただいた「成匠堂書店」さん(2012/05/11参照)と「有楽堂」さん(2010/10/29参照)の笑顔に救われたり、隣りの「FISH ON」(2015/05/04参照)さんと色々お話ししたりして、ぐっと敗北感を飲み込み下す。そんな一敗地にまみれた本日の収穫。古本市中はあまり出歩けなかったので、昼食時の帰り道に駅近くのフリマゾーンを息抜きに冷やかす。すると骨董屋さんがたくさんの箱を並べているのに出くわし、ちょっとだけ漁ってみる。すると古紙物箱の底から東成社「人間芝居/乾信一郎」を発見する。も、茂田井武の猫!と喜びながらオヤジさんに値を聞いてみると「それは…あぁ、それはね…500円だな」と悩みながら教えてくれた。即購入する。
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写真は会場定位置に戻っての記念撮影。左に岡崎氏の大きな背中、右に「FISH ON」店主の精悍な姿が捉えられている。

そして夕方から、隈研吾設計『アオーレ長岡』三階の多目的室で二時間ピッタリの、古本・古本屋・古本屋・古本・古本屋・時に真面目に野呂邦暢のトーク。最初は二十人ほどだったお客さんが、始まる寸前にさらに十四人ほどがドドドと駆け付け、急遽パーテーションの仕切りを外し、フロアを広げてトーク。岡崎氏はホワイトボードまでも使いこなす、八面六臂の活躍を見せてくれた。終了後は近くの居酒屋に移動して懇親会。そこは、様々な新潟の古本屋タレコミが飛び込む、歓喜の場所。やはり地元でしか得られぬ情報があるのだなと、新たに勉強させていただく。特に二年ぶりの再会を果たした「古本いと本」さん(2013/01/26参照。ただしここでの店舗営業は終了)は、細かな古本販売情報を握っているようなので、情報屋としての株がぐんとアップする。

このように、一日中朝から晩まで古本屋漬けになったまま、二日間の旅は終わった。「古本屋Harmas」横山氏、「雑本堂古書店」矢尾板氏、長岡読書倶楽部のみなさん、長岡読書家代表佐藤氏、「北書店」佐藤氏、「ブックスはせがわ」長谷川氏、両日のトークに耳を傾けてくれた方々、古本市会場で出会った方々、古本や著書を買って下さった方々、そして短い旅のパートナーだった岡崎武志氏に、大感謝いたします。ありがとうございました。あぁ、気付いたらゴールデウィークは、もう終りじゃないか…。
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5/4新潟・新潟 FISH ON

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午前十時に岡崎武志氏と東京駅から旅立ち、正午過ぎに新潟着。駅ビルの中にあるブックオフで、今回お招きいただいた「古本屋Harmas」横山氏と待ち合わせ。トーク前の肩ならしとして、ここから様々タイプの古本屋さんを行脚する計画なのである。明日の一箱用にと、焦りを顔に滲ませながら必死に本を抱え込む岡崎氏の姿…。ということでセドリはまだ続き、次も近くのブックオフへ。それが終り、ようやく正統派の古本屋さんを目指して、駅の東1.2キロほどにある『沼垂テラス』へ。駅からは北口から『東大通り』を北進。『明石通り』で東に曲がって真っ直ぐ真っ直ぐ進んで行けば、『栗の木バイパス』とぶつかる『栗の木交差点』。そこを越えると古く取り残されたような短い商店街が現れるので、一本目の脇道をグングン北へ。すると右手住宅街の中を東西に、古いトタン張りの小さな商店長屋が建ち並び続ける、不思議で胸躍る光景!元々は青果を商っていた『沼垂市場』が、たくさんの若者たちの手により新たな命を吹き込まれ、『沼垂テラス商店街』として生まれ変わったのである。カフェ・工房・家具屋・雑貨屋・アンティーク屋などが軒を並べる中、東に東に進んで行くと、『Eブロック』の東端に、見事に錆び付いた建物にマッチした佇まいの古本屋さんが姿を現す。以前は古町の古商店二階で営業していた「FISH ON」(2009/09/21参照)が、流浪の果てにここに腰を落ち着け、今や新潟駅近辺唯一の古本屋さんとして営業中なのである。しばしその奇跡的な姿に、おお!と感激しながらお店を激写。そのごっちゃりした店頭は、右側に単行本や雑誌を主に並べた100均壁棚、それに続く100均文庫箱、立看板やお店の来歴をを書いた黒板、魚のぬいぐるみなどで構成されている。妙に昭和三十〜四十年代の時代小説が多い壁棚に取り憑いてから、流木の立て掛けられた小さな入口へ。そこで靴を脱ぎ上がり込むと、二メートル四方で天井がナナメのプリティーな空間。壁際には棚がひしめき、部屋の真ん中には絶壁の孤島の如き棚の組み合わせ。左奥に小さな帳場があり、以前よりたくましさを増した感のある、赤銅色に日焼けした店主が立っている。棚は以前の流れを洗練させつつ、頑固に細かく細かくジャンル分けされている。猫・新潟関連・ミステリ・澁澤龍彦・種村季弘・海外セレクト文学・井伏鱒二・須賀敦子・関西・フランス・森茉莉・食・「暮らしの手帖」関連・青山光二・白州正子・絵本・建築・写真・アート・講談社文芸文庫・本関連・植草甚一・七十年代日本文学などなど。前述の通りお店はとても小さいので、次々とお客が入って来ると、順繰りに右回りにところてんが押し出されるように、通路をニュルニュルと進まねばならない。一周したところで精算。新潮文庫「娘と私/獅子文六」青樹社「部長刑事/島田一男」徳間文庫「殺人は面白い/田村隆一」創元社「日本伝承の手づくりの遊び/藤本浩之輔・相馬大」を計1050円で購入する。

この後も古本屋行脚は続き、ワガママを言って大形「ブックスバザール」(2013/04/21参照)に向かってもらう。するとそこでは、恐るべき獲物たちが『俺たちを買え!買うんだ!』と言わんばかりに、入口近くに強力な網を張ってくれていた。同行者そっちのけで大興奮して食らいついたのは、雄山閣YZミステリ「四枚の壁/楠田匡介」(函が盛大に壊れているので、これもあの人に直してもらおう…)審美社「怪盗幽鬼事件/カミ」(中身は「名探偵オルメス」!)朝日書房「地獄の銀髪鬼/城昌幸」(裸本)ロマン・ブックス「月姫系図/角田喜久雄」ちくま文庫「JAMJAM日記/殿山泰司」を計5306円で購入する。楠田本が3150円と一番の高額だが、それでも函が壊れているとはいえ、帯もしっかり付いているし、鬼安!これが安値の『マイ・ファースト・楠田匡介』!と大興奮してしまう。
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この時点で私の新潟行は、すでに終わってしまったような心持ちになるが、しかしそれでも夜は新潟の名書店『北書店』で岡崎氏とトーク。ザンザン降りの雨の中を集まっていただいた、少数精鋭の涙の出るほど暖かいお客さんたちに大感謝する。終演後はそのまま書店内での宴会に雪崩れ込み(通称“北酒場”)、新潟の夜は深く更けていくのであった。北書店・佐藤氏とその愉快な仲間たちに、大いなる感謝を捧げます。
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2015年01月12日

1/12長野・下諏訪 正午の庭

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どうしてか遠くに行きたい虫が、腹の底でモゾモゾと這い回っているようなので、中央本線でグングン信州へと向かう。四時間近くを車中で過ごすと、鏡のような冬の諏訪湖の輝きに目を射られて、万次の石仏のレプリカと御柱が二本屹立する氷結した駅前に立つこととなる。下諏訪で下車したのは初めてだが、上諏訪より神域感の強い街となっている。足を滑らせぬように、シャッターの下りた古い商店が並ぶ駅前通りを北へ真っ直ぐ。『下諏訪駅前交差点』で東に向かい、次の『大社通り交差点』で再び北に入る。街道は一層古くなり、昔の道幅と古い商店群が、身と心をちょっとした異空間に滑り込ませてくれる。小さな『御田町交差点』を過ぎると、左手に目標として来た『cafe Tac』を発見…ここの二階に古本とレコードのお店があるはずなのだが、何処にもお店の出入口は見当たらない…こりゃカフェの中に入口が?そう考え、暖かなカフェの中に突入するが、それらしき二階への階段は発見出来ない。途方に暮れて店員さんに助けを求めると、表通りに面した、まんま普通の家の玄関がお店の入口だという。お礼を言って表に回り、どう見てもただの民家の玄関にしか見えぬ引戸を半信半疑に引き開けると、そこはまさに靴を脱いで上がり込む玄関なのだが、手書きの紙看板が多数壁に飾られ、面妖な洋楽がデロデロ流れ落ちて来る左の階段上を指し示しているのであった。スリッパを履いてミシミシと二階に上がれば、トランクに詰められた100均文庫&単行本が廊下にあり、右に不気味なイラストで飾り立てられたお店らしきものが姿を見せる。入口を潜ると、六畳ほどの空間は主に赤と黒で装飾され、天井ではガレ風電灯が存在感。中央にDJブースとコックピット的帳場があり、その周囲と壁際を棚が埋め尽くしている。主である長髪眼鏡のお洒落な好青年が「いらっしゃいませ」と席に着く…まるで彼のエキセントリックな自室に入ったみたいだ…。入って直ぐ左には、文庫・ムック・サブカルの棚があり、右にはエロ漫画や怪奇漫画を含むカルトコミック棚。左奥には澁澤龍彦・「夜想」・映画・ペヨトル工房・「ガロ」、それに山本直樹一列や「血と薔薇」なども続く。中央部分にはブローディガン・人食い人種・音楽・アングラ&ディープサブカル・音楽雑誌・特殊同人誌新刊などが揃う。右奥スペースは、CD・レコード・DVD・VHSが多くを占めるが、最下段の隅に丸尾末広などのイラスト作品集やアート作品集もあり。特殊に偏重した、サブカルメインのカルト&マニアックなお店である。このこだわりの品揃えは、店主にとっての不純物は一切含まれていないはず!志向としては「パックレコードとしょしつ」(2011/07/30参照)「凸っと凹っと」(2014/08/16参照)「五っ葉文庫」(2012/12/09参照)「マニタ書房」(2012/10/27参照)などが親類と言えよう。値段はしっかりと隙がない。ニューミュージック・マガジン社「死者のカタログ ミュージシャンの死とその時代」を購入する。

一駅上って上諏訪に向かい、次の電車までの待ち時間を利用して、古本と古道具を置いている喫茶店「石の花」(2012/04/10参照)に腰を据える。
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ロイヤルミルクティーを優雅に啜りながら、入口部分左に移動した古本棚を漁り、富永興文堂「面白い歴史偉人のお話 織田信長と明智光秀/瀧霧州」刀江書院「趣味の昆蟲記/関屋牧」を計1500円で購入。うむ、やはりここは定期的に見なければならぬお店であることを、再確認する。
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2014年12月29日

12/29新潟・新津 英進堂ふるほん座

…ひとつ下の記事より続く…

西口を出ると、ロータリーの向こうには、低層の静かな住宅街が、大きく広がっている。冷たい空気を吸い込みながら、駅前通りを西に300mほど。信号で南に折れて、小さな完全に護岸された川沿いに歩いて行くと、500mほどで『山谷交差点』。ガスタンクや工場を見ながらさらに道なりに進むと、巨大過ぎる『秋葉区役所』が現れる。その先の、車が次々と吸い込まれ吐き出される、二つの郊外型ショッピングタウンに挟まれた通りを西に入り、次の信号で再び南へ。やがて右手に現れた『タウン403』の一角に、巨大な箱型の『本の店 英進堂』が建っていた。流れ込む車と共に敷地内に入ると、奥には「ブックオフ」もある、こちらもショッピングタウン。お店の正面に回り込むと、大きなガラス窓に取扱品目やメッセージが大きく書かれているのだが、『絵本』『鉄道』など共に、同列で大きく『高野文子』とあるのに度肝を抜かれる。
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そうか、ここは彼女の出身地なのか。いや、それにしてもスゲェ!クレージーだ!思わずワハハと笑ってしまう。そして入口空間に進むと、中古レコード群と共に、100均の漫画雑誌箱が置かれている。新刊書店なのにアナーキーだな。恐ろしくだだっ広い店内を見回し、新刊の海に潜む古本の影を探す。するとレジの左横に『古書あります』の看板が掲げられた200均文庫巨大ラックがあり、さらに横にはラノベやコミックのセットも置かれている。文庫は旅や遠藤周作・小沢昭一・井上靖・吉行淳之介などが目立っている…まさかこれだけなのか?取りあえず一冊掴んで店内をさらに徘徊する。すると左奥の壁際に中古レコード島があるので、その辺りが怪しいと睨み、最奥の通路へ近付く。奥にたどりついて通路を覗き込むと、レジ側の本棚一島と、さらに隣りの端っこの一本が古本で埋め尽くされていた。
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これは壮観ではないか!多少興奮しながら本を手にして行くと、棚を造っているのは大形の「ブックス・バザール」(2013/04/21参照)であることが判明する。道理で妙に古い本が多いわけだ。そして期待出来るぞ!講談社文芸文庫・岩波文庫・絶版文庫・田中小実昌・日本文学・映画・美術・歴史・思想などが、意味ありげに煽るように並んで行く。少しずつ本を確保して行くが、通路を挟んだ日本近代文学・純文学・文芸評論・近代思想・海外近代文学・探偵小説の茶色い古書棚にたどり着き、あたふたしてしまう。どれも背文字が読み難いので、丁寧に引き出し一冊残らず確認して行く。値段はしっかりめだが、相場より安いものや、隙も大いに見られるので、見ていてワクワクと楽しい。レジ横の文庫一冊と合わせ、ここでは安値の三冊を選んでレジにて精算。集英社文庫「孤高の棋士/岡本嗣郎」文化出版局「また一日/田中小実昌」光風社「下町立志伝/竹森一男」、そして本日一番嬉しかったのは春陽堂「山手暮色/里見ク」(函ナシ、裏の見返し切れ)は小村雪岱装釘本で800円!
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小鳥と朝顔に彩られた表紙布!見返しの紙の色ではなく白い紙に塗られた赤色の鮮やかさ!扉絵の震えるような瀟酒さ!そして見返しには下北沢「白樺書院」(2008/06/01参照)の古い古書店シール!新潟に苦労してたどり着いた果てに、我が手に小鳥のような雪岱本が飛び込んで来るとは!あのまま帰らなくて本当に良かった。しかし浮かれている場合ではないのだ。表ではすでに夜がグングン迫って来ている。これから心は急いていても、電車はゆっくりガタゴト、山を越えて帰らなければ…。
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12/29長岡後に新潟で大敗

午前六時前に家を出て、今日は青春18きっぷで初乗りの区間に怖々向かう。色々乗り継ぎ、午前九時半の水上駅は、もう先に進むことが不安で一杯の、上越線未知の領域なのである。線路の先には高い絶壁しか見えず、車内は意外にも混み合っており、車内検札で18きっぷを出す鉄道ファンが多いのに目を丸くする。辺りはすでに雪景色で、つららも下がる峻険な山肌の底を、列車が走り抜けて行く。小さな集落をつなぐように、“積もる”というより“乗っている”という感じの重そうな雪の中を、力強く疾走する。やがて山間を抜けて平野部に脱出すると、積雪は次第に薄く斑になり、濡れた灰色の街が剥き出しになって行く。水上から三時間弱で長岡駅着。次の電車まで五十分の空白があるので、街に飛び出し古本屋さんに向かってみる。小雨の中を早足で移動し、今にも開きそうだが店内は暗いままの「雑本堂古書店」(2012/05/11参照)に肩を落とす。続いてタッタカ踏切際まで移動し、「有楽堂」(2010/10/29参照)。
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石油ファンヒーターの暖かさが身にしみる、小さな店内を時間に追われながら探索。文藝春秋「草のつるぎ/野呂邦暢」報知新聞社「颯爽/樹下太郎」博文館講談雑誌新年號附録「戀と劔・讀切傑作小説集」(恋模様と剣劇が絡み合うお話集かと思ったら、チャンバラ小説と現代恋愛小説が交互に登場する変な本)を計800円で購入し、余裕を持って駅に戻る。さらに上越線で残り一時間強を走破して、怒濤の八時間をかけて新潟駅にたどり着いた。スゴいぞ!普通列車ばかりでも、日本海側に出られるんだ!と妙に浮かれて、ちょっと強くなった雨の中を歩き出す。しかし歩き詰めて探し当てた、素晴らしいロケーションのお店は、何と『12月〜1月』は通常の定休日に月曜日がプラスされてしまっていた…ギャーッ!要再訪&調査!結局濡れ鼠になって、這々の体で駅まで戻り、駅前の「古本小屋」(2013/11/23参照)が消滅していることも知り、打ちひしがれて駅頭に立ち尽くす。『もう、このまま帰ってしまおうか。一応古本も買ってることだし』…そんな弱い自分が頭をもたげてくるのだが、せっかく八時間もかけて来たのだから、やはりお店はどうにかしてツアーして行きたい…とここで、夏葉社「本屋図鑑」に載っていた、古本も売っている新刊書店があったことを思い出す。よし、時間はかなりギリギリいっぱいだが、チャレンジする価値はあるぞ。そう決心して、上越線上りに、ドキドキしながら飛び乗った。
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2014年12月22日

12/22長野・信州中野 ブックス柳沢

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午前中に『みどりの窓口』で青春18きっぷを購うが、今日は使用せずに大宮から贅沢に新幹線に乗る。わたくしは、皆様が古本を買ってくれたので、遠くまで行けるわけなのである。長野駅から西口地下のローカル線・長野電鉄に乗り込む。三両編成の銀色の電車は、数日前の雪を冠った白い街を走り、山の方へとシュンシュンバタバタと接近して行き、やがて複雑な形の山裾に沿うように走ることとなる。乗車時間四十七分で降り立った駅は、駅前ロータリーもまだ雪に包まれている。除雪はしてあるが、踏み固まり板のようになった雪をさらに踏み締め、南東に歩き始める。『中野駅東交差点』を過ぎ、なだらかな坂を下って行くと、左手に市役所が現れ、周囲の側溝にドウドウと雪解け水を流している。駅から400mほどの『市役所南交差点』で、北へ鋭角に折れ曲がると、高校グラウンドの向かいの小さなビル一階に、小さな古本屋が息づいていた。ここは以前にも訪れたことがあり(2013/06/05参照)その時は閉まっていたのだが、その現役感と営業感の低さに、もはや営業はしていないのだろうとほぼ決め込んでいたら、ある日『営業してましたよ』のコメントタレコミが舞い込み、ならば是が非でも再チャレンジしなければと誓ったお店なのである。恐る恐る停まった車の裏に回り込み、店内の様子をうかがう。本当だ!電気が点いている!本当だ!人が中にいる!と、雑な店名と『古本』の文字が残る戸をスライドさせて、荒んだ店内に入り込む。すると奥の帳場に座る花沢徳衛風店主と、その前に座ったお客さんが視線をこちらに投げ掛ける。ペコッと頭を下げると、「いらっしゃい」と相好を崩してくれた。二人は何事もなかったかのように話に戻り、次々と店を畳んでしまう行きつけの飲み屋について盛り上がっている。壁際にはスチール棚が張り付き、真ん中に背中合わせのスチール棚とシンプルな店内であるが、棚前や窓際には膝上〜腰高まで乱雑に本が積み上がり、これが荒みを生み出す一因となっている。その上には帆船模型や額絵なども放置中。棚脇の蒼ざめた長野信州信濃棚に目を通してから、まずは右側通路に進むと、通れるようになってはいるが、かなりの間放置されている印象。右側には70〜90年代の色褪せた埃まみれのコミックが並び、マイナーな絶版物が多く目につく。左側も乱雑で、実用・コミック・小説・文庫・学術・児童文学などがカオスに80年代で時を停め、二重置きの部分もあったりするので、ある意味古本修羅にとっては掘り出し甲斐のある状況と化している。本の状態は良くないものが多く、値段も付いていたりいなかったりする。左側通路には、入口左横に古雑誌や紙物や和本が無造作に置かれたガラスケースがあり、辞書・田村泰次郎・句集・郷土史函入と続いて行く。向かいには文庫とノベルスが収まり、上には大判本がドカドカ置かれていたり、掛軸が山を成していたりする。こちらの本の状態は、わりと良好である。長野郷土本が充実しているが、タイムカプセル状態の雑本とコミックも充実してしまったお店である。果たして値段はどのくらいなのだろうか?右側通路で発掘した五冊を、失礼してお客さん越しに店主に手渡す。すると本をパンパンパンパンと見て「500円」。安い!と即座に支払うと、「ハイ」と本を剥き出しのまま返してくれた。報知新聞社「さよならギッチョ やったるで!20年/金田正一」講談社「灯らない窓/仁木悦子」日本文芸社カラー版・ルパン全集「八点鐘/モーリス・ルブラン」ポプラ社文庫「赤い館殺人事件/A・A・ミルン」ソノラマ文庫「邪神惑星一九九七年/風見潤」を購入する。
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2014年03月30日

3/30長野・駒ヶ根 トレジャーマウンテン

早朝の、徹夜明けの酔客がくずおれるゾンビ列車で高尾まで行き、さらに中央本線を乗り継いで、甲信地方に入り込んで行く。青春18きっぷを使い、東京から遠出するための普通列車の中で、この中央本線が一番好ましいルートである。ダイナミックな山々、河岸段丘や盆地に集まる人家、小淵沢の山賊蕎麦、眼下を流れる清浄な上流域の川の流れ、勾配を上がって行く列車。読書と居眠りを繰り返して車中を過ごし、岡谷駅で久しぶりの飯田線に乗り換える。雨が激しくなり、広い山間に連続する集落と水田はびしょ濡れになって、天竜川に注ぎ込む数々の支流は、水蒸気を上げる濁流となっていた。六時間の旅を終え、大きな無人駅に降り立つと、改札の向こうに昭和スタイルではあるが、割と大きな街が広がっていた。ロータリーから西に延びる、歩道屋根の架かる商店街『広小路』を歩いて行く。お店を開けているのは1/3ほどで、おっ、音楽教室と一体化した本屋さんもちゃんとあるではないか。『広小路仲町交差点』で『国道153号』に入り、まずは南の警察署近くにあるであろうお店の探索へ向かう。…しかし、お店が見当たらない、たどり着けない…探索にそんなに時間をかけるわけにはいかない(場所をうろ覚えで来たのも悪かった。要再調査)…これはイカンな。本日のメインとなるはずであろうお店をツアー出来ないとなると、一時間に一本の飯田線から逆算する時間配分が難しくなって来る…この街で二時間を過ごすわけにはいかない。どうしても十二時四十六分の列車に乗り込まねば!三十分のうちにもう一店のツアーをこなし、駅へと戻るのだ!と決意して、より激しくなった雨の中をバチャバチャと駆け出す。

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『広小路仲町交差点』から、国道を北に400m。『北町交差点』を地下道で潜り抜け、『県道75号』に入ると、すぐに右手に派手なオレンジの屋根を持つリサイクル感満点のお店が現れた。『DVD CD ゲーム コミック トレカ 金 プラチナ』とあるが、普通の本よ、どうか売っていてくれ!と軽く祈りながら、ちょっと分かり難い入口をようやく見つけ出し、有線放送ががなり立てているキラキラの店内に突入する。すぐ右にレジ&作業場があり、周囲にトレカ・ゲーム・CD・DVDのコーナー、。左に少年コミック、右に少女コミックが広がっている。むっ!少女コミック棚の奥の奥に文庫の影が!慌てて近寄ると、日本文学文庫と少量の海外文学文庫で造られた壁棚が二本。ミステリ&エンタメ・ノベルスで出来た壁棚が一本半。新しめの本で構成され、特筆すべきことはナシ。値段はすべてきっちりと定価の半額である。岩波文庫「死に至る病/キェルケゴール」を購入。

またもやバチャバチャと雨中に駆け出し、国道を突っ走る自動車に水を跳ねられながら、どうにか時間通りに駅へと戻り、岡谷行きの列車に飛び乗る。そしてやはり古い本には触れておきたいものだと、上諏訪駅で途中下車して「石の花」(2012/04/10参照)へワクワクと急行する。だが!看板をそっぽを向いており、門は固く閉ざされてしまっていた!あぁ、無情のシャッターアウトならぬ、非情の閉門!
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深いダメージを受けた心をすこしでも回復させようと、戯れに「お願いです。門をお開けください!父上っ!」と取りすがってみるが、響くのはさみしい雨音ばかり。駅方面に捨てられた子犬のように戻り、駅前の『スワプラザ』二階のリサイクルショップ『宝箱』に古本棚を見出すが、コミックとティーンズ文庫の特殊な並び。すべてを諦め、帰りの列車に身を沈め、宮脇俊三よろしくカップ酒を傾けながら、今日の辛い旅を締めくくる。
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2014年03月21日

3/21長野・松本 日米書院

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空は明るいのに、小雪が所々で舞う中央本線で、長野県入り。ドアが開いてホームに降り立つと聞こえる、「まつもと〜まつもと〜」の女性アナウンスは懐かしい空気を纏っているので、改めて旅情を掻き立ててくれる。『お城口(東口)』に出て、ロータリーから蜘蛛の巣のように広がる道の中から『公園通り』を選択し、東北東へ歩き始める。続いてパルコ手前の道を北に進み、『中央大手橋』で流れの清冽な女鳥羽川を渡る。通りは『西堀通り』となり、『西堀公園前交差点』で東に向かうや否や、一本目の細い観光地の裏通りを北に入り込む。板塀が沿い、木造家屋が続く、気持ちのスッとする通りである。しばらく歩くと左手に、一際古い木造の二階建て商店長屋が登場する。三軒続きの一番奥のお店だけが営業しており、店頭に生花や野菜を並べている。ここは去年、古本さんぽ&街歩きをしていた岡崎武志氏が偶然見付け、その陰鬱な店内に本棚があるのを確認するも、「どうも入れなかった」と言うお店なのである。「キミなら入れるはずだ」と、お鉢を回してくれたのを長らく放置していたので、本日ようやくおっとり刀で駆け付けた次第。確かに薄暗く天井の低いコンクリ土間の店内には、半ば放置されたかのような本棚が見えている…それにしても菓子類やパン粉やホットケーキミックスが陳列されているので、一見何屋か判然としない珍妙な店先が展開。その混然一体な不可思議な状況が、店内に入るのを躊躇わせている…。しかしその時!店内から一匹の茶トラ猫が舌をペロペロさせながら、悠然と登場した!「ア、アオ」と一声鳴いたので、こちらもしゃがんで挨拶する。そして決心。よし、入るぞ!トラ猫とすれ違うようにして中へ。途端に時間の質がくるっと変化してしまう。土間に置かれた縦長の平台に置かれたお菓子類以外は、停滞したような店内。奥には広い上がり框があり、そこに立つ短躯の村長さん的鼻髯老店主が、訝しがりながらも「いらっしゃい」とボソリ。「あの〜、この本は売ってるんでしょうか?」「はっ?えぇ。一応、売ってますよ」「そうですか。ではちょっと見させて下さい」…それにしても“一応”って何だ?左壁には様々なタイプの本棚が並び、宗教・心・全集・児童文学・絵本・料理・「銀花」・美術がカオスに並ぶ。1980〜2000年くらいが中心か。お店の古さに比べて割と新しめな印象ではある。棚の前には雑誌の山・CD・レコードなどが積み上がり、間には完全に忘れ去られた地形図を収めるマップケースが埋もれている。奥の古めかしい造り付けの本棚には、エッセイ・ノンフィクション・実用・文学などが並ぶ。それにしても、どの本もスリップが天から頭を覗かせているようだ。これはみんな新刊なのか?良く見ると、平台のお菓子の下には横積み文庫の列が隠れていた。右壁の重厚な造り付け本棚には、大判美術本・美術全集・豪華写真集・ガイドブック・文学・信濃郷土・山岳・実用などが二重にごちゃごちゃと並んでいる。店内の光景に圧倒されながらも、一冊を手にして「これを下さい」と差し出すと「古い本だけどいいの?じゃあ半額でいいよ」となった。お礼を言いつつ「ここは古本屋さんなんですか?」と畳み掛けると「ここはね、元は新刊書店だったの。松本ではかなりの老舗店。でも店を畳むことになっちゃって、それをそのまま俺が引き継いだの」「あぁ、そうだったんですか。棚は以前のお店、そのままなんですね」「前はもっと良い本があったんだけどね。古本屋さんがみんな持ってちゃった。俺も良い本隠してるし」「隠してるんですか!」「読みたいからね。倉庫にもまだまだあるんだよ」「うわ〜、見てみたいッス…。ところでお店の名前は何て言うんですか?」「日米書院。ほら、そこに看板があるでしょ。もう出せないけど。ガッハッハッハ」…確かに、雑誌やガラクタの中から、『日米』とだけ見える立看板が、頭を覗かせている…。と言うわけで、編集工房ノア「北園町四十三番地/山田稔」を購入。店主はニコニコしながら「もう来なくていいよ。来ちゃダメだよ。あまりここの空気を吸うと、病気になっちゃうよ。ガッハッハッハ」。来るなと言われると、逆に来たくなるのが人間の性。じゃあ次は、お菓子でも買いに来ることにしようか。
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これが店内に招いてくれた茶トラ猫!ペロペロ真っ最中!
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2013年11月23日

11/23新潟でツアーはライトでも購入はハードに二店!

週末パスを昨日入手し、夜更けに何処に行こうか悩んだ末に、久々に新潟へ行くことにする。そういえば、まだ調査していないお店が、確か駅前にあったはず!

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●新潟「古本小屋」
『万代口』から寒い外に出ると、晴れてはいるが陰鬱な銀色に迫られ、銀杏の黄色が輝きを放つ巨大ロータリー。西寄りのバスターミナル脇から北へ抜け出し、巨大な『東大通り』から一本西に入った『弁天通り』を北に進む。そこは、七福神像が歩道に続く飲み屋街である。50mも歩かぬうちに、右手に『古本買取り中』『深夜12時まで営業』とある縦長の電灯看板が出現したので、古く小さなビルの軒を見上げる。上階のエステと煙草の広告看板に並んで、端に追い詰められたような古本屋の看板が架かっていた…ちょっと妖しい雰囲気である。店頭には煙草の自販機と幟しかないので、サッサと店内に入り込むと、そこにも幟が立っていた…何故?入った所はこじんまりとした空間で、右にそれほど長くない壁棚、左にはさらに短い壁棚があり、その奥は煙草売場と帳場になっている。真ん中には背中合わせの棚があり、奥の本棚とラックの向こうは、広めなアダルト空間のようだ。左壁にはコミック、真ん中左側にはコミックと単行本雑本、右側に出版社別ながらカオスな日本文学&推理文庫と官能文庫。入口右横にはビジュアルムックのラックが置かれている。ここには手塚治虫関連のプレミア値ムックの姿あり。右壁には時代劇文庫と海外文学文庫。奥に文庫とノベルスの雑本棚が二本と、同人誌満載のラックの姿。値段は安いがとても大衆的&雑本的である。この場所での深夜までの営業時間から推察すると、ここは繁華街の夜を支えるお店で、やはり煙草とアダルトを主力商品にしているのだろう。光文社文庫「小説釘師サブやん 裏勝負の巻/牛次郎」を購入。

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●新潟「Fish on」
か細い情報を頼りにして、万代橋を渡り西堀通の『ラフォーレ原宿・新潟』(わけが分からない名になってしまっている…)へ向かう。ここの二階に入っている雑貨屋さん『WONNDER3』に、かつて『上古町小路』にお店のあった「Fish on」(2009/09/21参照)が、棚を借りて古本を置いている可能性があるのだが…。現代建築ビルの『NEXT21』エントランスを早足で通過し、奥のラフォーレへ。ここも早足で移動して、エスカレーターの在処を素早く嗅ぎ付け、二階へ。そしてほどなくしてフロアの片隅の『WONNDER3』にたどり着く…あっ、古本棚が、ちゃんとあるじゃないか!しかも「Fish on」のチラシがペタペタ貼付けられている。狭い隙間で本棚を上から見て行くと、本関連・つげ義春・松浦弥太郎・言葉・暮らし・食・猫などが、六段に面陳も含め並んでいる。場所柄のせいか、皆キレイな本で女子寄りな構成となっている。値段はしっかりめ。奥にも古本棚が一本あるが、アート・サブカル・コミックを高値で並べる別店棚である。とにもかくにも、無事を確認出来たことに満足し、洋泉社「私は猫ストーカー/浅生ハルミン」を500円で購入。

しかしこんなライトなツアーでは、卑しい己の古本欲はとても満たされない。急いで白新線に乗り込んで、鉄道施設やススキの穂を見ながら二駅。「ブックス・バザール」(2013/04/21参照)に突撃する。静かな店内を静かにうろつき回り、春陽文庫「青春ダイジェスト/中野実」日本小説文庫「半七捕物帳(5)/岡本綺堂」平凡社ライブラリー「山からの言葉/辻まこと」金の星社「ヤマネコさつじん事件/舟崎克彦・作 佐々木マキ・絵」国土社創作子どもSF全集1「孤島ひとりぼっち/矢野徹・著 梶鮎太・絵」を計1417円で購入する。広大な田んぼのど真ん中を、古本を抱えて突っ切る帰り道。
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2013年11月08日

11/8長野・善光寺下 北島書店

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本日は早朝から長野に出動し、午後にはすぐさま帰京せねばならぬタイトなスケジュール。しかしそこはずる賢く慣れたもので、一瞬の隙を見逃さず、古本屋さんにも突撃する。相変わらずダークな地下駅から、有人改札を通り抜け『善光寺方面出口』から地上に出ると、大きな『善光寺下駅交差点』。西にある善光寺方面に向かい、坂道を上がって行く。この辺りは古い家が残る住宅街だが、観光地らしさは持ち合わせていない。道の先の紅葉した山肌と青空を見ながら200mも進むと、右手に水色の看板を一階屋根に張り巡らした、古い木造の商店が見えて来た。出桁造りに見えなくもないが、少し蔵っぽく豪壮で、右下のトンネルのような玄関がとても好ましい。両側が現在空地になっているので、化粧し直したばかりの白い外壁が剥き出しで、ピカピカとまぶしい古本屋さんである。『新刊・古書・古書籍』とある看板両脇には、本を読む童子の絵と共に、小林一茶の句が掲げられている。店頭右側にも細長い同色の看板がある。一階屋根の下には重なるように日除けがあり、前面は年代物の木枠ガラス戸六枚で構成されている…何と麗しい姿なのか。店頭には何も置かれていないワゴンが二台あり、真ん中に横長の新刊ラックが出されている。坂道からガラス戸とガタラッと開けて中に踏み込む。そこは想像以上に古い本屋さんで、左壁上部に貼られたままの、煤けた『週刊新潮』のポスターに少しギョッとする。店内は横長で、天井はそう高くない。両壁には頑丈な造り付けの本棚。左側には幅広な平台が付いている。真ん中は平台付きの背中合わせの棚がドッカリと一本。奥にはガラスケースの帳場があり、考え事中のようなお母様がチョコンと座っている。この空間性はときめく、ときめくぞ!左壁は山岳&登山から始まり、日本近代文学・會津八一・美術・句集・詩集・小林一茶と続く。新しい本は皆無に等しく、古く茶色い本ばかりである。平台には小冊子の「長野」や、函入り本・和本が乱雑に置かれている。向かいは平台に新刊雑誌が面陳され、棚には新刊の地元作家詩句集・長野&信州本を揃えている。車が通ると、ガラス戸がガタガタと侘しく音を立て、それだけで過去にプチ・タイムスリップ出来てしまう…。裏側にも長野&信州本が続くが、途中に「ゴルゴ13」・実用・古本も混ざって来る。右壁は太木枠の棚に頑丈そうな本ばかりが収まる光景。宗教・長野資料本・歴史・社会。足下には未整理本や本タワーが積み上がっている。古い良さげな本は、皆かなりのしっかり値が付けられている。昭和初期の大阪広告界について書かれた「大阪広告随想」…物凄く面白い本だが4500円か…悩みながら後ろを振り返ると、通路棚に横積みされた本の中に瀧口修造を発見。手を埃だらけにして抜き出すと、値段が付けられていない。本を手にして帳場に近付く。そこで初めて帳場ガラスケースの素敵さに気付いた。下部が白タイルと飾りタイル、上部が木枠に厚ガラスの、昭和商店街的意匠!うっとりするモダンさだ。中には和本・地図・書簡などが収められている。「すいません」と本を差し出すと、「あら、いらっしゃい」とお母様はにこやかな笑顔に。そして本の埃を払い「ごめんなさい」。値段が付いてないことに「ごめんなさい」。800円の値を付けて「ごめんなさい」。いえいえ、安めの値付けをありがとうございます。せりか書房「シュルレアリスムのために/瀧口修造」を購入する。
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2013年08月04日

8/4長野・松本 古本喫茶 想雲堂

少し寝坊してしまい、午前七時半に家を出る。初動失敗を悔やみながらも、この時間から行くとしたら…しばし考えた後、新しく『古本喫茶』の誕生した松本に向かうことにする。ネタ元は「書肆紅屋」さんである。中央本線で五時間の真夏の松本は、地元民と観光客がパワフルに行き交う賑わいを見せていた。『お城口』のロータリーから離脱し、『あがたの森通り』を東へ。『深志二丁目交差点』で北に向かい、『本町通り』→『大名町通り』と黒い松本城方向へ突き進んで行く。途中、ミニ松本城古本屋「青翰堂書店」(2010/10/11参照)をチェック。珍しく人の姿の無い店内。むむ?棚に『サマーセール50%OFF』の貼紙が!何と言う太っ腹なセールなのか!そう心の中で叫び、講談社 名作選名探偵ホームズ「4 消えたスパイ」「8 四本指の技師」を半額の計1000円で購入。

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早速カバンを膨らませながら、お店を出てすぐ北にある『松本城南交差点』から東に延びる『上土通り』にズンズン入って行く。古い商店が目立ち始め、旅情と風情が否応無く上昇し始める。すると通りが尽きる所に建つ『ホテル花月』前に、古めかしい二階建て箱型看板建築…すっかり塗料で塗り固められてはいるが、風雪を耐えて来た長い歴史を隠すことは出来ない。その一階にある古本喫茶は二つの開口部を持ち、右が上に看板を掲げ100均文庫棚を備えた出入口。左は小さなペパーミントグリーンの扉を持ち、どうやら風通しのために開け放たれている。店内はジャズが流れ、オイルの染み込んだ木でセンス良く内装されている。少し横長で、左右の壁には頑丈そうな木製棚、右奥の一部も壁棚、フロア右側に背の低い背中合わせの棚が二本、入口右横にはベンチがひとつ、入口正面には柱棚と低いテーブル平台、入口左横には壁棚とそれに続く木製ラック、そして正面奥にカウンター席、左の壁棚前にテーブル席が並んでいる。何となく山形の「紙月書房」(2012/09/02参照)を思い出す。本を見るだけでも入店はオーケーのようで、普通に古本屋に入ったように、本棚をジリジリと眺めて行く。窓際の映画パンフから、そのまま右壁棚に映画・マンガ評論・サブカル・スポーツ・雑誌・ハヤカワポケミス・SF文庫・児童文学・音楽・自然・山岳と続き、奥壁に美術。フロア棚には、新書・ハヤカワポケミス・海外文学・日本文学・ノンフィクション・日本文学文庫・時代劇文庫が収まる。平台にはテーマがあるようで、冒険・探検・紀行の本が並んでいる。柱棚は沢木耕太郎と地元松本新刊。入口左横は、長野&松本棚で、所縁ある作家の辻邦生・北杜夫・丸山健二も多く並ぶ。木製ラックには児童文学復刻本が飾られ、左壁棚にも文学復刻本が続き、文学全集多種・海外文学・詩集・現代思想・哲学・心理学・埴谷雄高・ノンフィクション・差別・宗教・地図・本・沢木耕太郎・歴史・風俗・永井荷風・江戸東京・民俗学・宮本常一・フィールドワーク・柳田國男・郷土史などが、多岐に細かく硬く並んで行く。息を詰めて一通り見たところで、席に腰を下ろして地ビールを注文する。きたろうがグンと男前になったかのような店主に「ここの本は全部売っているんですか?」と聞くと「全部売ってます。値段のまだ付いてないのもありますが、まぁ安いですよ」とのこと。棚には熟れている所とそうでない所がある。なので全体的にはこれからと言う印象を受けたのだが、左壁のクオリティは高く、特にフィールドワーク関連の棚造りは輝いていた。値段はちょい高。晃洋書房「屠場/三浦耕吉郎」を購入する。松本城の足元に、古本喫茶誕生おめでとうございます!古本屋巡りに疲れたら、ここで古本に囲まれて一休みを!

帰りに、前回(2013/06/23参照)良い本を安く買わさせてもらった「松信堂書店」(2010/10/11参照)に立ち寄り、ワクワクして血眼。そして当然の如くまたもや予想以上の収穫がっ!中央公論社「鐵道の旗/近藤東」同光社「嵐を呼ぶ新選組/中澤◯夫(◯部分は“徑”のぎょうにんべん無し)」養徳社「動物園奇談 全国動物園長座談會」を計2300円で購入。まだまだ欲しい本はたくさんあるが、キリが無いので今日はこれまで!さぁ、青春18きっぷで帰るとするか。
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本日の収穫。やはり「松信堂」で手に入れた右の三冊がスゴ過ぎる!
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2013年06月23日

6/23長野・松本 三洋堂書店

今日も週末パスを使って遠出し、中央線で久々の松本へ。当初の目標であった、駅北東1.2キロほどにあるお店をテクテクと目指す。しかしたどり着いてみると、お店は薄暗くドアに小さな貼紙が…。顔を近付けてみると『営業時間が不定期になっています。御用件がありましたら留守電に伝言して下さい。後日誠意をもって対応致します』と書いてある。“伝言”と言うことは、当日対応は出来ないと言うことか…。仕方ないので脳内古本屋地図にチェックを入れ、その場を後にする。

来た道を引き返しながら「秋櫻舎」(2010/10/11/参照)に立ち寄り、「昆虫少年の朝」と言うタイトルの見たことも無いSF童話を300円で発見。奥の店主に声をかけると、「あっ、これ買った時の値段がそのままに…すいません。本当はこっちなんです」とペラリと見返しを一枚捲ると、ご、五千円!…すみません、買えません。その時足下に猫がピャッと飛び出して来た。おぉ、お前は開店時に足にしがみついて来た、やんちゃな子猫じゃないか。すっかり大きくなって、と頭を撫でて何も買わずに辞去する。そのままズンズン「松信堂書店」(2010/10/11参照)に向かい、店内の本の山&断崖と対決!今日の問題社「大衆文藝戦時版7 仇討捕物短篇集/角田喜久雄」成光館書店「日本歓楽郷案内/酒井潔」(裸本で表紙は恐らく手製のものに…)を計1500円で購入。
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後で調べてみると、この二冊はなかなか貴重な本らしいと判り、ひとりいやらしくウフウフと微笑む…。そのまま『あがたの森通り』に流れ出て、次のお店へ。

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駅からは東口の『お城口』に出てロータリーを東に突っ切り、『あがたの森通り』を500m強東進。『深志三丁目交差点』東南際にそのお店はある。見た目は明らかに古本屋さんではなく、古めかしいノスタルジックな街の本屋さんである。優雅なラインを描くシマシマの日除け、毒々しい翼のように店頭に広がる雑誌ラック。小さなコンクリ土間の逆“U”字店内に入っても、まだまだ新刊書店の印象は変わらない…しかしここで撤退してはいけない。良く目ん玉をひん剥いてみると、入口上と左壁棚の左半分に、古本が並んでいるのを確認出来る。ちょっと古いミステリ&エンタメ・100均時代劇文庫・新書・山岳・テレビ・演劇などが並んでいる。また右側入口上には、日本近代文学や全集の姿が。この、街の本屋さんが本を売る雰囲気は、大阪・京橋「立志堂書店」(2011/11/21参照)福島「政文堂書店」(2012/08/08参照)と似通っている。雑本的ではあるが、値段は安め。戦国武将のように帳場を守る老店主に精算していただく。晩聲社「山谷・泪橋/宮下忠子」を購入。「どうもありがとうございます。またどうぞよろしく」の丁寧な言葉が、ぐっと胸に沁み入って来る。
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2013年06月05日

6/5長野・長野電鉄で去就不明&一店!

今日こそは遠出するんだ!と布団を跳ね上げ早起きして、鈍行列車で北西へガタゴトガタゴト…あぁ、待ち望んだ“旅と古本”の一日が始まる。JR長野駅から西口の地下駅に移動して、すでに乗り馴れた感のある長野電鉄に乗車。地下を疾走していた電車は、やがて地上に顔を出し、山間の平野を高度を微妙に上げながら、走り込んで行く。最初は住宅地だったのが、やがて葡萄畑となり、重厚な塀を持つ長野刑務所の脇をすり抜けると、低木の栗林が広がり始める。『栗と北斎と花のまち』小布施をあっけなく通過すると、いつの間にか緑猛々しい山が目の前に迫って来ていた…およそ五十分で信州中野駅に到着。橋上の古臭い有人改札から東口のロータリーに下りると、乾いた風が吹き、山と雲が大きく美しい駅前。その下に広がる街の道を、まずは東南に下って行く。500mほどで『市役所南交差点』。ここで鋭角に北に折れ曲がると、左手の小さなビルに目指して来たお店が…うぉあ!閉まってるのか?
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サッシウィンドウの小さなお店は、扉に店名と『古本』の文字の掠れた残骸を残し、その奥に透かし見える店内はかなりの荒れ模様…定休日でもないのに扉は閉ざされ、人影も無く、入口部分にはダンボールや本やプラモや絵が積み上がっている。店内は、縦二本通路のシンプルタイプで、右側通路にはコミックが確認出来、その通路には本がバラバラと落ちている。左側通路には文庫が並び、奥には今にも店主が現れそうな帳場も見えている。ウィンドウに正対した、ちょっと青ざめた長野本の棚をボンヤリ見ながら、私は頭を混乱させている…これは店舗営業しているのだろうか?悪い条件から見ると、それは考え難い。しかし、たまたま荒れていただけと言うことも、万が一あるかもしれない…しかし開いていないのは事実だった…よし、移動しよう!この地の滞在時間二十分で長野方面にガタゴト戻り、次の目標・須坂駅に降り立つ。

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●須坂「再起堂書店」
こちらも橋上の改札を抜けて東口に出ると、大きな建物に囲まれた地方都市的ロータリー。そこから東に延びて行く、派手なゲートが入口の『駅前末広会』を歩いて行くと、すぐに街は寂寥とした地方感を見せ始める。真っ直ぐ進んで『末広町交差点』を北へ。すると左手に現れた三階建て横長ビルの一階右端近くに、アニメキャラやカードゲームポスターに彩られたお店を発見…むむ。以前このお店に来たことのある岡崎武志氏から聞いていたのだが、その通りにリサイクル系なお店である。アルミサッシの扉を引いて中に入ると、横長で整理整頓が指の先まで行き届いた空間。だから少し薄暗くとも、猥雑さはゼロ…しかし頭上からは脳を蕩かすようなアニメ系ソングが、シャワーのように降り注ぐのであった…ぎゃぁ〜。左側2/3は完全なるコミックゾーンで、古本ゾーンは右側のベンチ席裏に隠されている。あまり期待はせずに、壁の裏へ歩を進める。縦に細長く、奥&右奥に小部屋的スペースが附属している。入った所は入口部分に戦争棚があり、手前壁棚に雑誌・歴史・長野本・民俗学。右壁棚にミステリ&エンタメ&日本文学・海外文学・SF児童文学少々。真ん中の通路棚は両面共日本文学文庫を収納し、絶版も積極的に混ざる展開。上部には揃いやビニールに包まれた古書が並び、棚脇に岩波文庫・ちくま文庫・雑学文庫棚あり。左壁棚は、ラノベ・海外文学文庫・時代劇文庫となっている。奥は真ん中通路にティーンズ文庫とBLノベルスを内包し、左に歴史小説・ノンフィクション・ノベルス・スポーツ。右に実用・参考書・新書が展開。奥壁に実用ノベルス・サブカル・心理学・宗教・ビジネス・自己啓発など。土台はリサイクル古書店なのだが、古い本・サブカル系面白本・絶版本などが実は絶妙に混ぜられている。しかしそれらの本には、決して油断無しの神保町並プレミア値が付けられており、基本値付けも高めな傾向にある。そんな中、どうにか監視の眼を擦り抜けた安値の本を探し出し、創元推理文庫「真夜中の檻/平井呈一」「ミス・ブランディッシの蘭/ハドリー・チェイス」「創元推理文庫解説目録 1976・4」を購う。レジでは女の子が、素早く値段ラベルにジッポーオイルを掛け、迅速に剥がすサービス。尚このお店は、8/1に駅の南側に移転するとのこと。「ブックス柳沢」に再挑戦しつつ、また覗きに来てみようか…。

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2013年05月05日

5/5善光寺前で2号店と門前古本屋巡り

「かぴぱら堂」さんからの誘いに乗って、高崎線と新幹線を利用して、交通費をなるべく節約しながら長野へ。古本市が開かれていたり、「団地堂」(2010/11/20参照)に何やら変化が起こっているとのことなのだが…。

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●権堂「だんち堂」
長野電鉄長野駅に向かい、明るい陽光降り注ぐロータリーから地下への階段を下って行くと、氷穴のような冷たい風が吹き上がって来る。改札脇通路のうらぶれた立食い蕎麦屋で栄養補給を行い、権堂駅地上で西に延びる『権堂アーケード』へ。今日は何かイベントでもあるのか、恐ろしいほどの人波である。アーケードの下を西に進んで行く。『ヨーカドー』前を過ぎ、映画館への脇道も過ぎて300m弱。レンガ敷きの道と交わる十字路北東角地に、秩序をあまり持たない新しい古本屋さんが開店していた…ここは「団地堂」の2号店なのである。軒に残されたままの看板を見ると、元はどうやら寿司店だったようだ。店内は什器や内装を剥がしたままの、いわゆる“原状回復”状態のままを店舗として使用している模様。その剥き出しのコンクリ店内と路上に、本店のだらしなさそのままに、古本があふれ出しているのである。それにしても、この人々の喰いつき具合は一体どうしたわけなのだろうか?常に店頭に人だかりがあり、そのまま皆店内を回遊して行く。松本「青翰堂書店」(2010/10/11参照)や倉敷「蟲文庫」(2012/11/24参照)に匹敵するほど、観光客で賑わいを見せている。そして老若男女が発している言葉は、どれも『懐かし〜い』なのである。おぉ、「団地堂」の才能が、今花開いている!店頭には長机と共に三十ほどのダンボール箱が置かれ、文庫・ポケミス・雑誌・単行本・100均文庫。それに加え、怪獣ソフビ・メンコ・ポスター・びん・プラスチック水槽・紙芝居・レトロ生活用品などが並べられている。右端には100均文庫棚の姿もあり。店舗はとことん開放されており、壁のある所以外は何処からでも入店出来る。フロアには手前に机と棚で造られた島が二つあり、真ん中に大きく横長な島がひとつ。奥壁は高い壁棚に覆われ、右壁には紙物を飾った机が置かれている。そして右側手前に帳場があり、ベレー帽を被った怪人二十面相が変装した紙芝居屋のようなご老人が、礼儀正しく忙しく店番中である。ダンボール箱は店内でも什器の一部として使われており、その内部は雑本的展開を見せている。特徴は古い本が多いことであるが、時々間歇的にまとまったジャンルが出現したりもしている。児童文学・絵本・雑誌付録・長野郷土本・歴史・麻雀・探検・教科書・和本・登山・時代劇文庫・日本近代文学など。他にも足下にはレコードが眠っていたりもし、色々掘り出し甲斐のあるお店となっている。何かありそうで無さそうな、無さそうでありそうな、絶妙なバランスが店内に漂う。値段は普通だが、良い本面白い本にはしっかり値が。しかしどうにか隙を見出し、旺文社中一文庫「まぼろしの犯人/ビガーズ」学研中学生痛快文庫「見えない手/A・バークリー」学研コースライブラリー「シカゴ・ギャング始末記」「打撃王ルー・ゲーリック」共に常盤新平を購入。

『中央大通り』に出て、人波に揉まれながら善光寺への坂を上がって「はなちょうちん」(2012/12/23参照)を再訪する。本棚が少し増えて、段々と古本屋さんらしくなって来ている。相変わらずフレンドリーな老婦人と会話を弾ませていると、途中で「あら?あなた以前にも来なかった?」と、私が来ていたのを覚えてくれていた。感激である。その上、ブログにお店のことを書いていたのがすっかりバレていた…何故?あんな巨大な卓上計算機を使っている人たちが、どうしたらこのブログにたどり着くことが出来るのか…とにかく赤面である。ベップ出版「ドロンちび丸/杉浦茂」文藝春秋新社「親馬鹿始末記/尾崎一雄」新潮社「六人の作家未亡人/野田宇太郎」を計3000円で購入。次来る時までに、また蔵から本を出しておいて下さい!

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●善光寺下「門前古本即売会」
そのまま坂を下り「遊歴書房」(2012/12/23参照)の入る古い元小工場の建物へ。以前ここにあったカフェは撤退されたそうで、その空きテナントを利用して古本市が開かれていたのである(市は5/6まで)。元カフェ壁面の棚はそのままに(本は非売品)、カフェ部分とガラス戸奥の通路部分に二十二のワゴンが置かれ、三つの島と壁沿いの列が造られている。「かぴぱら堂」「遊歴書房」「山峡書房」「追分コロニー」「古書内山」を確認。文学&人文がメインとなっている。そこに入口側に陣取る「かぴぱら堂」が大量の謎のスクラップブックと共に児童絵本・児童書・漫画・探偵小説なども並べ、バラエティさを加えている。しかし私は「山峡書房」にて、ちょっとボロいが探書し続けている春陽堂少年文庫二冊を発見し、大喜び。来て良かった!創元文庫「ブレイク詩集」中公文庫「黒岳の魔人/角田喜久雄」春陽堂少年文庫「まざあ・ぐうす/北原白秋」「水戸黄門物語/鷲尾知治」を購入。帳場で「かぴぱら堂」さんがいるか聞いてみると、何とご飯外出中。どうやら出会えるのは、また先になるようだ。しかし「遊歴書房」さんに名乗りを上げて、少しだけお話しをさせていただく。ありがたいことです…ハッ!肝心のお店に入るのを、完全に忘れてた!

この後は長野滞在時間のタイムリミットが近付いているので、一箱古本市には足を向けずに、点在する古本屋さんをたどりながら長野駅方向へ戻ることにする。お久しぶりの「光風舎」(2010/11/20に「古本 田中」としてツアー)では、多少乱雑気味な店内を回遊し、おっ!安値のテディ片岡(片岡義男)本を発見して小躍り。ワニの本「だじゃれ笑学校/しとうきねお・テディ片岡」中公文庫「新訳メトロポリス/テア・フォン・ハルボウ」を嬉しい50円引きの1000円で購入。続いて脇道に入って、今や本店の「団地堂」に行ってみると、店頭棚は見られるが、店内は横積み本タワーが所狭しな“古本洞窟”に成り果てていた…2号店が出来るわけだ…。大通りに出て南下していると、よよっ!「松書房」(2008/05/26参照)が開いている!サッシをスラッと潜ると、通りの喧噪が嘘のように消え去ってしまう。タイムカプセルっぷりは、五年前と全く変わっていない。手を埃まみれにしながら、明日香書房「赤い鳥名作童話読本第五巻 夢の卵/豊島與志雄」を帳場に出すと、「う〜ん、状態が悪いから500円だね」…店内には埃にまみれ、日に焼け、ひしゃげている本が溢れているのだが…。※ちなみにこの本、調べてみると意外に高値なので大いに驚く。中の童話はさすが豊島!面白い。

あぁ、今日もたくさん古本屋さんを巡ったら、たくさん古本を買うことになってしまった。カバンをやたらと重くして、電車を乗り継ぎながら帰り続ける。まぁ、テディ片岡本と春陽堂少年文庫が手に入ったのなら、長野行は成功と言えよう。それにしても、この「松書房」で貰った袋。AとFのそろい踏みなのだが、一体いつの袋なのだろうか…。写真は収穫の春陽堂少年文庫と共に。
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2013年04月21日

4/21新潟・大形 ブックス・バザール

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新潟駅から下越方面に白新線で二駅。こちらではまだ、咲き残った桜が雨に濡れている。温室のように華奢で小さな駅舎を潜って駅北側に出ると、笑ってしまうほどの一面の水田。その中を一直線に北に延びる道を、先に延びて行く電線と共に歩んで行く。アスファルトが雨に濡れて白く光り、両側には水の張られた水田…まるで水面を歩いている錯覚に囚われながら、とにかく真っ直ぐ北へ。ようやく水田を突っ切ると、出て来た駅舎が豆粒のような大きさに。すると目の前には『国道7号線』の土手が横たわる。東にちょっと歩いて、インター陸橋下の複雑な交差点を渡り、『県道3号線』を西へ。すぐ横のガソリンスタンドの、巨大過ぎる雪除け屋根の美しい半円フォルムに目を瞠ると、『県立大学前信号』の向こうに『本』の看板と青い建物が見えていた。信号を渡って近付くと、広い駐車場を持った横長な平屋造りで、上部のボロい看板を見ると、右がCD・VIDEOの『ベスト』、左がBOOKSの「バザール」(“ル”は脱落している…)となっている。三角屋根を持つ左側の入口から中に入ると、何だ、中はつながっていたのか。広く奥深く横長で、雑然としている店内。見通しはあまり利かぬが、割と賑わっている気配が漂う。外観から『アダルトの多いリサイクル店っぽいな』と判断したが、それは中に一歩入った瞬間に嬉しく裏切られた。入口右側に、CD・VIDEO(今はDVDがメイン)ゾーンと古本ゾーンを分つように大きなレジスペースがあるのだが、その前のラック下の平台に、古い文庫が集まっているのが目に入った。そして平台の奥を覗き込むと、さらに古書の列があるのを発見!…これは何かあるに違いない。そう確信し、身を屈めてラックの周りをグルグルと回る…古い科学雑誌や「こども家の光」や絵本もあるが、ぬぉっ!裸本だが大下宇陀児の「蛭川博士」が安値!すぐに胸に掻き抱く。…初っ端からこれだ。この先一瞬たりとも油断出来ぬぞ!結局入って二分でレジ前だけで三冊の本を抱えてしまうが、さらに古本を求めて奥へ入り込んで行く。通路を虱潰しに巡回して行くと、左奥以外は大量のコミック棚に紛れるように古本が点在していることが判明する。まずは入口左横に山岳&登山のワゴン。そして正面奥に映画・スポーツ・特撮雑誌の通路棚が一面。その左側に近現代史&戦争ワゴンと、ガイドブック・趣味・女性実用の通路棚が一面。またレジ周りには、多数の絶版漫画が無造作に置かれている。一通り見て回ったら、いよいよ左奥の古本ゾーンへ。五本の通路棚と壁棚の一部で形成されており、海外文学文庫・雑学文庫・時代劇文庫・日本文学文庫・官能文庫・ノベルス・100均単行本・300均単行本・歴史ワゴン・歴史・探偵小説文庫・寺山修司・幻想文学・アウトロー・美術・音楽・社会・日本文学・日本近代文学・文学評論・辞書などが並んでいる。通路には古本の入ったダンボールが積み上がり、すべて覗き込んでみたい欲望に駆られること頻り。それにしても、面白いほど古い本が目立っている。大抵はビニールに包まれ、棚にソッと挿されているのだが、その存在感がとにかく大きく目を惹き付けるのである。だから自然と期待に胸が高まって行く。ぐむむぅ、欲しい本が結構見つかったな。一旦抱え込み過ぎた本を、心のストッパーで改めて吟味し、店内を動き回って棚に戻して行く。値段はちょい安。良い本にはプレミア値が付いてはいるが、そのほとんどは地球と古本修羅に優しいお値段なのである。「蛭川博士/大下宇陀児」(裸本)「ぐうたら守衛/乾信一郎」共に東方社(そしてこの二冊は、共に越後線・巻駅「太陽堂」の貸本屋ハンコが捺されている)、子供の國「僕は原子である/原田三夫」講談社「お菓子の家の魔女/宇野鴻一郎」中公文庫「帰郷者/萩原朔太郎」秋元文庫「テレビアニメ全集2/杉山卓」春陽文庫「坊ちゃん重役/中野実」「若さま侍捕物手帳 幽霊駕籠/城昌幸」を購入。古本屋さんがジワジワ減りつつある新潟ではあるが、その余波はこう言うお店に古い本が流れ込む一因を作っているのかしれない。いや、たっぷりと楽しい夢を見させてもらった。またいつか来ることにしよう。

この後は『BOOK5』次号連載の取材で、ちょっと西へ。そして今の私の身では、どう逆立ちしても入れない古本屋さんを内包する、ある新刊書店を訪れる。あぁ、私が後十七歳若ければ…待て、次号!
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2013年03月07日

3/7新潟・柏崎 加納書店

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長岡で信越線に乗り換えると、空よりも明るい、布団を敷き詰めたような積雪の中をしばらく走る。しかし二十分ほどで雪は見えなくなり、街路整備の行き届いた街に着く。改札を出ると、明るくスコンと抜けた駅前ロータリー。原子力発電所を感じさせるものは、視界には全く見当たらない。ここから『駅前通り』を北にズンズン歩いて行く。歩道には立派な屋根が架かり、シャッターを閉めている商店も多いが、北に長く長く連なって行く。足下に置かれたプランターの形状は『クジラ』→『ホタテ貝』→『波の上の船』と変化して行く。長々と歩き続け、駅から400m強。『ニコニコ商店街』右側に古本屋さんが姿を現した。年季の入った木枠ガラス戸の、思わずほくそ笑んでしまう古めかしいお店である。このお店はグーグルマップには表示されず、「全国古本屋地図 21世紀版」を最後にその去就が不明であったお店なのだが、やはり確認しに来て良かった。大金星だ!戸に手をガッと掛ける…開かない…良く見ると左側通路に、大きな店頭台が仕舞われたままになっているのが見えた…まぁまだ昼前だ。きっとこれから開くのだろうと考え、まずは街をブラブラ歩きながら、東柏崎にあると思しきお店の去就をも確認しに行くことにする。暖かい陽光の中を、さらに二つの商店街をたどって目的地へ。しかし物の見事に空振りしてしまったので、踵を返して逆戻り。今度は表に台が引き出されていることを願い、午後一時前の店頭へ…はぁん、さっきと変わらずかぁ。見た目はいつ開いてもおかしくなさそうに現役感満点で、店内の様子を透かし見ると、古い色褪せた本が私を激しく呼んでいる!これはぜひとも見てみたい!の気持ちが強く大きくなり、意を決して電話を掛けることにする。こんなことは、いわきの「平読書クラブ」(2010/09/09参照)以来の行動である。店前でコール音を耳にしていると、お店の中から黒電話の鳴り響く音が聞こえて来た。ほどなくして受話器が上がり、おばあさんの声が応対。まずは今日はお店をやっているのかどうか聞いてみると、『今アタシひとりしかいないのよ。で、ゴハン食べてるとこなのよ』とのこと。ではお店は何時から開くのかさらに聞いてみると、『近くにいるんだったら、すぐ開けてあげるわよ』とのことなので、喜んでお願いする…あぁ、人はこうして面の皮が厚くなってゆくのだな…。すぐにガラス戸の向こうに、白髪パーマの小さなおばあさんが現れ、ニコニコしながら快く迎え入れてくれた。う、嬉しい!「ゴハン中なのにすみません。大丈夫ですか?」「別にいいのよ〜」。コンクリ土間に古い木製本棚で構成された古い店内は、右壁沿いには何も無く、真ん中の入口側に短い二本の棚があり、それに挟まれるように平台が置かれている。奥側には平台付きの背中合わせの本棚が二本。左壁と奥壁左半分が壁棚となっている。帳場は右奥の住居入口手前にあり、雑然としているが人が収まるポジション作りが為されている。ちなみに真ん中通路にはポリタンク、左側通路には布を被った店頭台が置かれているので、それぞれ半分以上奥へ進むことは出来ない。全体的に埃にまみれ、1980〜90年代で時間の停まった感が漂っている。おばあさんがゴハンの途中なのを思えば、あまり長く時間は掛けていられない。素早く見て回らなければ!右側通路の通路棚には、コミック・文庫・日本文学・文学全集端本・雑誌&ビジュアルムック。真ん中通路は、入口側に文庫&新書。奥側に文庫&ノベルスが集まる。コバルト文庫とソノラマ文庫が多いのが特徴である。左側通路は、日本文学・ノベルス・辞書類。たどり着けない奥壁には古く茶色い本が集まり、文学&郷土本の集まる気配…あぁ、もっと近くで見てみたい…。昔ながらの街の古本屋さんだが、やはり時間は停まり気味。文庫と一般文学が充実している。値段は古いものがそのまま放置されているので、安めな傾向にある。おばあさんの話によると、店主が出かけている時は、値段の判らぬ本もあるので面倒くさくて開けていないそうである。「出たっきり帰ってこないことが多くてねぇ。もうお店閉めちゃおうかと」と不穏なことを口にするので、「お元気な間は続けて下さい」と生意気に進言しておく。うっ!案の定値段の無い本も選んでしまったが、「もう知らん。適当に付ける」とぞんざいに値付け。お手間かけてすみません!ソノラマ文庫「タイムマシン殺人事件/加納一朗」コバルト文庫「海の十字架/佐々木守」ハヤカワ文庫「切り裂き街のジャック/菊地秀行」講談社大衆文学館「真・鉄仮面/久生十蘭」大陸書房「旧西洋事情/金森誠也編著」講談社「プラハからの道化たち/高柳芳夫」を40円引きで購入。駆け足だったので、今度は店主がいる時に、すべてを掘り出すようにじっくり見てみたいものである…必ず何かが見つかりそうな予感が。そしてこれからも、このような情報社会から弾き出されつつも、たくましく存在するお店の発見に努めなければ!と気持ちを新たにした柏崎行であった。
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2013年02月11日

2/11長野・上諏訪 くらもと古本市

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『スリーデーパス』三日目。今日も冬山を眺めながら、中央本線で北に四時間。十ヶ月ぶりの上諏訪は、恐ろしいほどの寒さで古本修羅たる私を、厳しく抱きしめてくれた。東口に出て目の前の『国道20号』を南東に歩いて行く。『諏訪一丁目交差点』を越え、街道沿いの商店街エリアに入ると、古い看板建築や造り酒屋が連続し、歴史の重みがヒタヒタと押し寄せて来る。ズンズン進んで『鍵の手交差点』もクランクして通過し、駅から700mほどの地点に『真澄』と言う蔵元に囲まれたような『元町交差点』にたどり着く。その中の一軒である『蔵元ショップ セラ真澄』で、古本市が今日まで開かれているのである。長野・群馬エリア(あぁ、まるで『頭文字D』みたいだ…)のお店とネット古書店が出店中。『セラ真澄』は黒格子で覆われ、お洒落&高級そうなオーラを交差点に放っている。大きな暖簾の掛かる入口左隅に、これも洒落た古本市の立看板がひっそりと立っていた。静かな自動ドアから中に入ると、そこは薄暗い日本酒ショップ。試飲コーナーもあり、結構観光客で賑わっている。左を見ると、外への扉の横に立看板があり、古本市会場を示している。そこから一旦中庭のような場所に出てみると、目の前に白壁平屋の建物があり、ここが目当ての会場となっていた。中に入るとそこは白いギャラリー的縦長空間で、右側は一面窓となっており、室内に明るい陽光を招き入れている。入ってすぐ右には美麗な製本ワークで知られる『美篶堂』のコーナー。フロアは、右側に本を寛いで読める大テーブルがあり、左側に板で立体的に組み上げられた平台が八つ置かれ、一店一台の展開を見せている。また奥には長テーブルもあり、この市の主催者である「VALLUE BOOKS」の本が、窓際も含め並べられている。この空間はすべてがしっかりとプロデュースされ、本のディスプレイも抑制の効いた並びを見せている。よって冊数はそれほど多くはないのだが、次々と会場に入って来る観光客たちには、空間も含め概ね好評のようである。平台を次々覗いて行くと、ご無沙汰してしまっている古本屋さんが実に多い。「追分コロニー」(2011/04/03参照)はすべて食&料理関連の本。「ことば屋」(2012/04/30参照)も食の本中心。「遊歴書房」(2012/12/23参照)は食・文学・人文とバランス良く。「kiji books」(2011/05/14参照)は自然や暮しを中心に男女どちらにもアピールする品揃え。「光風舎」(2010/11/20に「古本 田中」としてツアー)は文学と歴史。皆少ない冊数で、マイワールドを形成している。古本市と言うよりは、とても立派な古本ショップのよう。いっそのこと、お酒を呑みながら古本を読めるようにしてみては…。国書刊行会「花嫁人形/蕗谷虹児」光文社新書「フランク・ロイド・ライトの日本/谷川正己」作品社「古書/紀田順一郎編」を購入。精算は会場ではなくショップの方で行うので、本を持って本館に移動。併せてこの蔵元のお酒『真澄 吟醸あらばしり300ml』も購入する。レジが一人でちょっと大変そうだ。

お店を出たら、以前「月ロケットの秘密」を掘り出した喫茶店「石の花」(2012/04/10参照)に一直線!チキンライスを食べながら古本棚を物色すると、小學館「太陽/野尻抱影」白水社「ミイラ物語/テオフィル・ゴーティエ 田邊貞之介譯」を掘り出すことに成功する。やっぱりこのお店、ただ者じゃないな…。合計800円で購入。「太陽」は戦中の絵物語だが、中に挟まっていた手作りの日食観察写真がワンダフル!
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帰りに電車に乗り続けるのに飽きてしまい、八王子で途中下車。「佐藤書房」(2009/08/26参照)と「まつおか書房」(2012/08/30参照)の店頭で何冊かを購入してしまう。その中で一番嬉しかったのが、新潮文庫「甲蟲殺人事件/ヴン・ダイン」が帯付きで150円!ブラヴォ!「佐藤書房」!
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2013年01月26日

1/26新潟・新発田 古本いと本

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早起きして『ウィークエンドパス』で遠出。ガタゴト列車の旅を嫌になるほど繰り返して、新潟。ここから白新線に乗り換えて、越後平野・下越方面を目指す。雪はほとんど降っておらず、積雪もそれほど無いが、強風と気温の低さはいかんともし難い。列車も警戒して特定の区間で速度を落としたりしながら、雪煙を巻き上げ、風紋が刻々と変化する雪まみれの大地を走って行く。それでもおよそ四十五分で新発田着…無事に着けて良かった。このまま帰りまで、天候が保ってくれれば良いのだが…。駅前は綺麗に整備されているが、雪と広く白い空のために寂しげなロータリー。客待ちのタクシーが多く停まっている。ロータリーから抜け出て、融水でびしょ濡れて赤くなったスクランブル交差点を渡り、『駅前通り』西側の歩道を北西に歩んで行く。屋根があっても、サラサラと雪が舞い込む歩道を300mも進むと、凍った街に古本屋さんの姿が見えて来た。三枚のサッシ扉の向こうには、長い縄のれんのような目隠しと、壁際に並ぶ本棚。店頭には『古本あります』のメッセージボード、本の交換箱、それに雑誌類の並ぶ小さなラックが一つ置かれている。メッセージボードには、このお店が『お茶を飲んでゆったり』『何かを始めるキッカケ』『面白い人に出会える』サロン的な場であることが掲示されている。カラリと中に入ると、おぉ、オーブンのように暖かい!小さな空間で、右壁に本棚、その奥に小さな帳場、左には大きなテーブル。そして市民提供の古本箱が一つ。奥には和室が続いており、さらにそこから何か施設につながっている喧噪が聞こえて来る…。店主は若い眼鏡を掛けたほっそりした女性…むむ、何処か見たこのある感じだ…彼女は帳場ではなくテーブルに着き、何やらインタビュー取材を受けている。本はあまり多くなく、セレクト&綺麗にディスプレイされているパターン。『勤めないでくらすには』『心地良い休日を過ごすために』などのテーマ棚の他に、暮し・目隠しメッセージ本販売・童話・絵本・文庫・教育・冒険・スローライフ&スローフード・カルチャー雑誌・勝手に取り置き棚・旅などなど。察するに、発信力のあるお店を目指しているようで、ただ棚から本を買うだけではなく、店主とコミュニケーションを取ることにより、その機能を十分に発揮するのではないだろうか…つまり古本は“コミュケーションツール”のひとつと言うことか。静かに棚を見ていたい私にとっては苦手なパターンであるが、それでもこう言うお店があるのは素晴らしいことなので、ぜひとも地域に根付いて発展を続けていただきたい!値段は普通。店主はインタビュー中だが、申し訳なく声を掛け、精算していただく。「おっ、これは良い本を」と一言発し、何故かとても嬉しそう…あっ、そうか。誰かに似ていると思ったら、豆本×古本の「暢気文庫」さんにそっくりなんだ!それは、お互いに“替え玉”、もしくはアリバイ工作に使えるほどの相似性!いつの日かお二人には顔を合わせてもらいたいものだ、と訳の判らないことを考えつつ、お店を出て駅に引き返す。ところが駅では、強風と雪のために列車が130分遅れと言う悲惨な事態に!風がビュッと強く吹くと、視界が一瞬で真っ白に染まり、足下を妖精のような粉雪がクルクル駆け回る…これは、一体どうなってしまうのか…。
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2012年12月23日

12/23長野・善光寺下で気付いたらおとぎの国へ二店!

冬の青春18きっぷツアー第二回。夜明け前に家を出るが、雲が厚いせいか、空は中々明るさをみせない。早朝の接触事故でダイヤの乱れた中央線に乗り、西に、やがて北西に、そして北に大きく弧を描きながら六時間。二年ぶりの長野駅に到着する。薄暗い長野電鉄駅の、おいしい立食い蕎麦を啜ってから、電鉄に乗って三駅先へ…。

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●善光寺下「遊歴書房」
暗く煤けた地下駅から地下通路を通って、『善光寺方面』とある出口へ。地上に出ると『長野大通り』の『善光寺下駅交差点』。ここから『善光寺』に向かって西に進路を採り、古い街並が残る坂道を上がって行く。…この坂道の途中に、一軒古本屋さんがあるはずだが…案の定古い商店建築の古本屋さんにたどり着き、その良さげな佇まいに小躍りしそうになるが、カーテンが閉まってるじゃないか…残念無念。しばらくお店の前に立ち尽くすが、営業時間や定休日は何処にも書かれていないので、あきらめてさらに坂を上がる。すると『善光寺仁王門』へと続く交差点が見えて来る。その一本手前の脇道を南に下り、“長野のえびすさん”とある『西宮神社』前で再び西へ。さらに次の脇道坂道を南に下ると、坂の途中左手に大きな蔵のような建物が出現し、小さな古本屋さんの看板とガラス戸に店名を確認する…なんだ、『ラバーソウル』って言うカフェと一緒になってるのか?戸をスラリと開けて中に入ると、メインがカフェスペースで、左壁に高い天井までの壁棚が設置されている。おお!と何も注文せずにそのまま壁棚に接近し、並ぶ本に目を凝らす。建築の本がメインである。本を手に取ってみると、値段は何処にも書かれておらず、代わりに裏表紙に建築事務所のスタンプがペタッと捺されている…ここは本当に古本屋さんなのか?かなりの不安に襲われたので、カフェの店員さんに「ここは古本屋さんですよね?」と聞いてみると、「古本屋は奥です」とカフェの奥を冷ややかに指し示される。なにぃ〜!と驚きつつ顔を赤らめ、カフェを即座に突き抜けて、大きなガラス戸を開けて奥に進む。するとそこは作業場と廊下が合体したようなコンクリ土間で、左側に待望の古本屋さんの扉が、渋く鈍く輝いていた。ガラス窓の向こうに覗く本棚に瞠目しつつ、ドアをカチャリ。天井の大きなアールデコ意匠の照明から柔らかな光が降り注ぐ、“知のキューブ”と形容するに相応しい空間である。輝く木の床を踏み締めて四方を見渡すと、そこはすべて壁棚!十段の高さを誇る美しい造り付けの本棚が、左右は五列、手前と奥は六列のほぼ正方形的構成となっている。左に瀟洒な木造のレジがあり、ライダースジャケットを着た演劇青年的若者が美声を発し、年配のお客さんと文化的交流の真っ最中である。まずは入口左横にある安売り台と、レジ下の雑誌棚に視線を走らせ、ドア上の壁棚を見上げてみる。そこには全集類と共に、これも全集である「手塚治虫漫画全集」がビッシリ。入口右横にはセレクトコミック(つげ義春・諸星大二郎・水木しげる段あり)・幻想文学・探偵&推理小説が文庫も交えて上からドーンと並ぶ。右壁は、旅・食・みうらじゅん・小林信彦・山口瞳・映画・美術・日本近代文学・日本文学・三島由紀夫・丸山健二・本&書店&古本関連・「岡崎武志堂」が何故ここにっ?・文学評論・埴谷雄高・思想・科学・歴史・長野・郷土・民俗学…天井近くの棚はとにかく高く、まるで星空を見上げているように、首に負担がかかって来る…。奥壁は、近現代史・戦争・満州(充実!)・アジア〜オセアニア・中東・ロシア・ドイツ・東欧・ヨーロッパと多彩に並び、アジア以降はそれぞれに歴史・文学・文化・文明などを備えている。左壁はフランス(思想多し)・イギリス(文学&音楽が充実し、ホームズ・ビートルズ・ストーンズ・U2が突出)・アメリカ(ハードボイルド・ジャズ、それに政治&世界情勢が充実)と並んで行く。単行本・文庫・新書が平等に肩を並べ、何もかもが整然と美しく、小さな空間に詰まった知識のつながりを、浴びるように眺めることが出来る。本は70年代以降のものが多いが、タテとヨコに広がる古本のマトリックスに、とにかく圧倒されてしまう。よくぞこんな空間を!値段は普通〜高めでしっかりな傾向だが、全体に納得の魔法が掛けられているのがとにかくお見事なのである。講談社文庫「満鉄特急あじあ物語/林青梧」岩波新書「明治大正の民衆娯楽/倉田喜弘」を購入し、千円以上お買上げとのことで、通り抜けたカフェの100円割引券をいただく。

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●善光寺下「絵本・古本・雑貨 はなちょうちん」
すっかりお店の在り方に満足して「遊歴書房」を離れ、再び先ほどの坂の途中の古本屋さんを見に行くが、やはり閉まったまま…あまり時間は無いし、どうしようか?取りあえず坂をグイグイ上がって西へ進むと、交差点の手前で私は不思議なお店に出会ってしまった!元は何かの商店だったのだろうか?幅広い四枚のサッシ扉の上部には『たのしい絵本』の文字があり、右端の扉だけが開け放たれている。そこに見えたのは『古本・雑貨』と彫られた木の看板!全く知らないお店だ…最近出来た、若者が小さな夢を実現したお店っぽいな…思い切って中に入ると、そこはほとんどガレージのような空間で、真ん中にテーブルが置かれ、左壁際に大きな棚、右壁際に小さな本棚が三本。そして入った瞬間に「あら〜いらっしゃいませ〜!」と満面の笑みで迎え入れてくれたのは、モコモコと厚着をした二人のおばあちゃんであった!これは、予想外の展開!今までに出会ったことのないスタイルの、古本屋さんだ!「ゆっくり見て行ってくださいね〜」の声を背に、まずは左側へ。こちらは新しめの絵本が飾られており、クリスマス特集が組まれていたり、こけし・絵本グッズ(ハンカチや人形)も並んでいる。むっ、右下部分に、コミック・文庫・児童文学が少々…そこから一冊抜き出して、次は右壁棚を見に行くと、何だかいやに古い本が並んでいるぞ…。「こっちも見ていいですか?」と近付くと、その前に陣取っていた二人が「ああああ、ごめんね〜。ここにいたら見れないもんね〜」と中央テーブルに素早く移動してくれた。冊数は三十冊ほどだが、大正〜昭和三十年代の本ばかりである。日本文学・翻訳小説・森田草平・徳田秋声・「中央公論」・「太陽」など。棚を真剣に見ていると、ニット帽のおばあちゃんが楽しそうに色々話し掛けて来る。「ウチは冷やかしOKよ。だから買わなくても大丈夫。絵本は読んだヤツを売ってるの。古い本は蔵から出て来たヤツで、埃をはたいて並べてるのよ〜」ほぉぉ!何と胸騒ぐ古本エピソード!豪の者なら『その蔵をぜひ見せて下さいっ!』と大絶叫してもおかしくない話である。そしておばあちゃんのトドメの言葉は「古本好きなの?古本は今、キてるよねぇ〜!」でした。結局三冊を選んで「お幾らでしょう?」と聞いてみると、メガネのおばあちゃんが本を査定。とてつもなく古い大きい計算機を持ち出して計算開始!…結局一冊500円で精算することに決定。あぁ、何もかもが素敵です。ちょっと、おとぎの国に迷い込んでしまったような錯覚に…。早川書房ジュニアミステリ「黒い犬の秘密/エラリイ・クイーン」(訳は西脇順三郎で解説は都筑道夫!)中央公論社「二つの繪/小穴隆一」(こんな本があったなんて。きれいでビニカバ付き!)文藝春秋「小説のタネ/子母澤寛」を購入。

帰りの電車内でこれを書き留めているわけだが、ここまで書いた所でようやく松本にたどり着いた。まだ五時間弱かかるのか…。遠くに無理して足を延ばすのは本当に楽しいが、帰りがちょっと寂しくなって大変なのは、何度繰り返しても中々慣れない…。よし、いつものように読書して、居眠りするか。まだ明るい車窓をふと見ると、いつの間にか細かい雪がヒラヒラ…。
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