2013年01月07日

1/7静岡で空振りの嵐に巻き込まれどうにか二店!

冬の青春18きっぷの使用期限は一月十日まで(短いなぁ)。それならば、今日旅立ってしまおう。平日だが仕事はエアポケットに入ってしまったので、どうにかなるはずだ。と言うわけで東海道線に揺られて三時間半。清水駅で降りて、北西二キロにあるはずの「ほんやら堂」を早足&ダッシュで目指す。しかし該当地にはお店の姿など、一平方メートルも存在していなかった。再び早足&ダッシュで駅まで戻り、次は新清水駅近くの一度も入れていないお店(チャレンジ記録更新中)へ…駄目だ。青いブリキの雨戸が、がっちり閉まっている。しかしまだ望みは途切れない!静岡鉄道に乗って御門台駅で下車。「にし古書倶楽部」なら……お店はむごたらしいほどのお休みであった。あぁ、ここは何故いつも開いていないのだろうか?中にはあんなにちゃんと古本が並んでいるのに!仕方無いのでそのまま一駅分歩いて草薙駅へ。またもや駅北西二キロほどにあるはずのお店を訪ねてみたのだが、住所に中々たどり着けず迷いまくってしまう。一丁目に行かなければならないのだが、二丁目がデカ過ぎるのか、何処まで言っても二丁目なのだ!…?俺は、知らぬ間に攻撃でもされているのか?それでもめげずに、道行く人に丁目を訪ねて、どうにかたどり着いてみると、お店はあざ笑うかのように影も形も無いのであった。…『タ、タスケテ…』と心の中で半べそをかきながら、『南瀬名町交差点』脇にあった、巨大なリサイクル古書店にヨロヨロと入り込む。

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●草薙「ブックマーケットa-Too 南瀬名店」
古本は入ってすぐ左奥の、手前第一通路と第二通路の片面に並べられている。お店がデカイだけあって量はそれなり。すでに体力の消耗が甚だしく、とても本など探すような状態ではないのだが、クワッと目を見開き、無理矢理本の背に視線を注いで行く。第一通路には女性実用・児童文学・最新刊単行本・ミステリ&エンタメ・単行本各種・50均単行本・日本文学文庫・海外文学文庫・時代劇文庫・50均文庫。第二通路にはラノベ・ノベルス・新書・50均新書&ノベルスとなっている。並びは雑本的で、古い本や絶版文庫はほとんど並んでいない。値段は普通。飛鳥部勝則のノベルスにプレミア値が付けられているのには魂消た。疲れながらも50均の二冊をどうにか選ぶ。岩波ジュニア新書「ぼくたちのアニメ史/辻真先」グリーンアローブックス「宇宙人の死体写真集/中杉省三」を購入…あぁ、私は散々歩き回った挙げ句、何を買ってしまっているのか…。

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●静岡「コバヤシ古本」
一応古本は買えたのだが、こんな締まらない終わり方は断固として拒否したい。がんばってトボトボ草薙駅まで戻り、東海道線でついこの間訪れたばかりの静岡駅へ向かう。既視感のあり過ぎる改札を抜けて、今回は南口へ。北口に比べて少しこじんまりとしているが、立派な地方都市のロータリーである。そのロータリーから南に延びる『石田街道』を300mほど進み、五叉路の『稲川交差点』で東へ。真っ直ぐ200mほど進んで、『稲川交番西交差点』で再び南へ。大通りから入った住宅街の路地をちょっと進むと、右手に突然怪しい古本屋さんが現れる。それにしても、あるべき場所にちゃんとお店が開いているのは、何と嬉しいことなのか!蓄積した疲労をが少しだけ何処かへ…。店頭には立看板・幟・自販機が並び立ち、中央入口の両側に巨大なテント幕が垂れ下がり、雑然と統一性の無い反住宅街な雰囲気が漂う。サッシの引き戸を開けると『ピピピピピピ』とブザーが鳴り、店内の何処かにいる店主に、来店を知らせる仕組みとなっている。そして店内は、店頭よりさらに怪しい状況となっている。入ってすぐの空間は棚に疎らに囲まれ、入口右横に文学・実用・雑学・サブカルの単行本棚。右奥には物凄く明るいアダルト小部屋があり、その入口脇に五段の文庫棚が置かれている。左には中身の疎らなコミック棚があり、正面にはノベルス・新書単行本棚。その横に奥に進む通路があり、左側にコミック横積みの峻険な山で造り上げられた、立ち入り禁止の通路が広がっている…この奥の何処かに店主は潜んでいるようだ。右には入口に100均文庫棚を置いた、行き止まりのアダルト雑誌&アイドル写真集の通路が、奥へと延びて行っている。行き止まり部分には、シネアルバムの姿が少々。ほとんどコミックの山で埋まった、一本の通路と玄関と小部屋で出来た、不思議な構造のお店である。古本は雑本的で、値段は普通。まぁとにかくアダルトとコミックがメインである。そんな中からも二冊をセレクト。立ち入り禁止通路の奥に声を掛けてみる。すると、「あ、今そっちに行きます」と返答があり、コミックの山の間から、仙人化した村上隆風店主が姿を見せた。愛想良く通路を行き来して精算していただく。実業之日本社「ゲームボーイ大百科」二見書房「仮面ライダー大研究/TARKUS編」を購入…あぁ、またしても私は何を買っているのか…。

冬の青春18きっぷツアー最終回は、予想外に過酷な展開となってしまった。駄本をバッグに詰め込んで、もはや走ることの叶わぬ疲れた足を引き摺りながら大通りに出ると、往きには気付かなかった、ビルの側壁に残された完璧なる『原爆タイプ』のトマソンに感激する!夕暮れに浮かび上がる、不気味なほど黒々としたその痕跡に、今にも吸い込まれてしまいそうだ。
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2012年12月27日

12/27静岡・静岡 あべの古書店

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昨晩飲んだお酒のためか、朝五時半に目覚めてしまい、そのまま眠れなくなる。ならばと、もう起きてしまって仕事に取りかかる。ひとつやっつけて、もうひとつは目鼻の付くところまで。いつの間にか陽が昇り、午前十時を回っていた。よし、ちょっと遠い所に行ってしまおう。早くも三回目の使用となる、青春18きっぷをポケットに忍ばせて、今年最後の遠征ツアーへ!東海道線をちょこまかと乗り継いで、三時間半で静岡駅に到着。北口に出て地下道に入り、『御幸通り』に出てグングン北西へ向かう。近代建築県庁&区役所の間を早足で過ぎ、一キロ弱で巨大な赤い鳥居の立つ、久しぶりの『静岡浅間通り』。2012/04/09に訪れて、放置店頭台しか見ることの叶わなかった「あべの古書店」を目指す。商店街を200mほどタッタカ進むと、左手にたくさんの黄色いプラケースを積み上げたお店が!そして以前は閉じていたシャッターが、ぽっかりと口を開けている。車道ギリギリに、ラックが一本・雑誌&ムックケース・ベビーベッドのような100均単行本ワゴンが二台・コミックケースが二つ並んでいる。店頭右側には和本や古い教則本などの入った箱・古い雑誌箱・安売り単行本棚が一本。熟成された古本屋の雰囲気を漂わせるコンクリ土間のお店は、古めかしく奥深く、左右の壁は天井まで本棚で、真ん中には背中合わせの長い本棚が一本。これは入口側は全面棚だが、奥側半分は膝上に箱型平台が設置されている。奥の棚脇にはガラスケース、入口側には大映の妖怪映画VHS三本が寂しく並んでいる。また左壁棚裏には、狭く短めの行き止まり通路が一本隠されている。棚下には所々に本タワーや箱が置かれ、整然と雑然が同居中。右側から店内に入り、壁棚に熱い視線を注いで行く…。最初は結構細かくジャンル分けされた文庫棚で、日本純文学文庫・海外文学文庫・岩波文庫と続き、棚下にも横積み文庫タワーが立っている。さらに民俗学・江戸・風俗・探検・旅・自然・科学・地震・映画・演劇・落語・海外文学・幻想文学・吸血鬼・魔術・性愛・マイノリティー・ペヨトル工房本が並んで行く。古い本が多く、自然と真剣に見入って行くこととなる…。向かいは児童文学・絵本・児童文学研究・実用・食・ちくま文庫・探偵&推理小説・日本70年代近辺文学・本関連・日本近代文学・文学評論・古典文学・日本文学…こちらもやはり古い本が多く見られ、ついつい本を取り出す回数が多くなって行く。左側通路は、壁棚にSF文庫・探偵&推理&ミステリ系文庫・官能文庫・時代劇文庫・戦争・京都・美術と並ぶ。向かいには、絶版漫画・古いノベルス少々・美術図録・古い少年漫画雑誌・女流作家文庫・新書・時代小説・東洋文庫・歴史・詩歌句・宗教・オカルトが収まる。プレミア物が積み重なるガラスケースと、その上に並ぶ思想&社会科学系の古い本を見てから、頭より上の高さを誇る本の山脈の横を擦り抜けて左端の通路へ。ここももちろん本棚や木箱に囲まれており、文明・法律・社会科学・学生運動・アダルト・建築・思想・心理学・静岡・富士山・東海道・映画&音楽の文庫&新書が詰め込まれている。ここは芳醇で、楽しく棚にのめり込めるお店である。古い本や見かけない本も多く、並びに深みあり!値段は安め〜普通で、良い本にはプレミア値が付けられているが、余裕のスキありな本も多いので、あっちがダメならこっちがあるさ!とめげずにアグレッシブに攻め続けることが出来るのである!六冊を抱えて、奥の番台帳場にたどり着くと、帳場正面の土間にポツンとサンダルが脱ぎ捨てられている…あぁ、店主はここから机を乗り越えて出入りするのだな…。座っているのはニット帽を被り、マスクを着けた鈴木慶一風男性。まとめた金色の長髪が肩にパラリと掛かっており、この古いお店の店主とは思えない風貌なのである。丁寧に優しく精算していただく。福武文庫「スティーヴンソン怪奇短篇集」ハヤカワ文庫「ロンドンの恐怖/仁賀克雄」アニメージュ文庫「ホルスの映像表現/解説・高畑勲」集英社文庫「挟み撃ち/後藤明生」白地社「ボン書店の幻/内堀弘」。そして恐らく今年最後の“どひゃっほう”に値する本が、理論社「てのひら島はどこにある/佐藤暁・作 池田仙三郎・絵」である!これは童話作家『佐藤さとる』の漢字名表記時代の本(奥付を見ると、他に他社の五冊の本が確認出来る。また気持ちを新たに探さねば)!長らく探していた一冊なのである。カバーは無く二刷だが、そんなこと構うもんかっ(ちなみに帰りの車中で読了したら、思わず胸が熱くなってしまった…オッサンなのに…)!あぁ、今日奮い立って、ここまで来た甲斐が本当にあった…青春18きっぷよ、ありがとう!そうこうしていたら、時刻はいつの間にか午後四時になろうとしている。もう、戻らなければ……また来ます、静岡。
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2012年12月09日

12/9愛知・犬山で城下町の二店!

一夜明けて目覚めればまだ大阪。今日は単独行動で帰還することにして、年初の約束(2012/01/07参照)で今年訪れなければいけない古本屋さんの最後の一店、「五っ葉文庫」を目指すのだ!節約のため普通列車を乗り継いで犬山まで行くつもりなのだが、大阪駅に着くとJR京都線が人身事故で停まっており(大阪〜京都間)、出端をガッキリ挫かれる。こりゃ一体どうしたらいいんだ?と散々慌てた後に、阪急電車で京都へと向かうことに。そしてようやく乗れたJR京都線で米原へ。次にJR東海道線で岐阜に到着。痛いほどの冷風と降り始めた雪に出迎えられ、ここからは名鉄各務原線・犬山線に乗り換える…これで最後だな…。二両編成の、小さな駅が連続する路線を楽しみ四時間半をかけて、やっと犬山に到着する…。

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●犬山「五っ葉文庫」
犬山は古い城下の面影を所々に留めている、意外に大きな郊外の街である。西口に出てロータリーから脱出し、すぐの『犬山駅西口交差点』を南へ。400mほど歩いたらGS『エッソ』横の細い脇道に入り込んで西へ。居並ぶ古い屋敷や、年季の入り過ぎた木造家屋に引き込まれながら奥まで進んで、そこを再び南へ。冷た過ぎる風に早くも凍えながら前進すると、左手に黄色と白の縞模様にペイントされた小屋が現れ、そこに『キマワリ荘』の看板が出ている。横に広がる敷地には、横長の、これも年季の入った木造モルタル長屋が建っており、ブロック塀の横にセーラー服女の立看板と「五っ葉文庫」の小さな看板を発見する。『このおく』の指示通りに、小石をジャギジャギ踏み付けて、ブロック塀と建物の間の細い道を、これでもか!と奥に入り込んで行く。不法侵入してるんじゃないか?と思うくらい、プライベートな敷地に入り込んで行く。ひと際狭い部分を通り抜けると、外に小さな簀子の置かれたガラス戸の玄関があり、どうやらこれが『キマワリ荘』の入口。がたつく戸を開けて靴を脱ぎ、中に上がり込むと廊下があり、左前方に早速「五っ葉文庫」の入口が。アパートの一室を店舗として使用している感が丸出しで、ナイスなお店となっている。隣りの部屋から聞こえて来る話し声から察するに、店主の古沢氏はそこにいるようだ。まずは入口左横の廊下に出された、二本の100均棚を覗き込む。一本はコミック、もう一本は単行本を上に乗せた文庫棚である。その時古沢氏が後から出て来て「いらっしゃいませ。どうぞゆっくり見てって下さい」とニコヤカに甲高く声を掛けてくれた…これはどうやら気付かれていない!よし、そうと判れば、このまま普通のお客さんとして振る舞おう!文庫を抜き取って中に入ると、店内は白い空間で、まずは細い通路で始まっている。左側だけが本棚になっており、作家50音順にカルト系コミックがドッと並ぶ。間に美少女コミックや大物作家も貪欲に挟み込んでいる。正面壁には、右から水木しげる・児童コミック・怪奇少女漫画棚、隣りにゲーム・プラモ・児童絵本(キャラクター物)・アニメムックの棚が続き、次はこのお店のキモとも言える“痕跡本”陳列棚が登場!天板には自著を飾り、ガラスの向こうに一見普通の本と変わりない十五冊ほどの本が、“痕跡”の説明付きで、美術作品のように静かに美しく飾られている。左端にはリトルプレスや新刊棚がある。ここまで来ると、すでに白い小部屋の内部となり、右壁にカウンターカルチャー・アングラ・新興宗教・麻原彰晃・八切止夫・サブカル・根本敬・みうらじゅん・現代思想&文化・ホームレス・非行・革命・海外文学&日本文学文庫・ちくま文庫・幻冬舎アウトロー文庫・日本文学・海外幻想文学・映画・音楽・建築・写真・オカルト・ファンタジー画集・フェティッシュ・写真集・ホモ関連となっている。内装も見た目も爽やかでお洒落だが、中身はドロドロデロデロ…。奥壁には絶版漫画(宮谷一彦が結構揃っている!「ブラックジャック4巻」『植物人間』が載ってる初版が!)・児童入門書・性愛・エロ・エロ劇画・絶版少女漫画・70年代少女関連。左のラックには今までの流れを踏まえた、洋書絵本・アート絵本・児童文学・コミックが飾られている。噂に違わぬ特殊な濃厚さを持っている。中野「タコシェ」(2008/06/18参照)や神保町「マニタ書房」(2012/10/27参照)と同族の匂いを発しているが、見せるセンスと負のセンスが絶妙なバランスを築いており、すべてを素晴らしいものとする魔法が、端から端までしっかりと掛けられている!値段はちょい安〜ちょい高。プレミア値付けの本も多い。本を手にして一旦廊下に出て、隣りの部屋にいる古沢氏に声を掛けて精算していただく。「寒いのにありがとうございます。今、上のギャラリーで作品展を開いている作家さんたちが来ていて、もてなしているところなんですよ。よろしかったら、一緒にお茶でもいかがですか?」と誘われるが、これ以上の接触は確実に正体が露見してしまうので、涙を飲んで辞去する。ベップ出版「少年児雷也/杉浦茂」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」集英社文庫「モンマルトル日記/辻邦夫」春陽文庫「花の真実/小林のぶ」を購入。よし、今度来る時は取って置きの“痕跡本”を持ち出して、買い取ってもらうとするか。

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●犬山「椙山書店」
『キマワリ荘』の敷地を出て、古い街並の中を北に向かい大通りまで出る。ここは駅西口から真っ直ぐ西に400mほど来た地点。さらに西に進んで、謎の『忍術道場』前を興味津々通り過ぎて『本町交差点』。ここから南に向かうと、道の両側に歩道屋根の架かる商店街…しかしそのほとんどはシャッターを固く閉ざしており、プラスチックの飾り花だけが寂しく風に揺らめいている。東側の歩道を進み、一旦屋根が途切れて再び屋根が復活すると、まるで洞窟のような古本屋さんが姿を現した!ここ、これはっ!道路際に出された『古本』の看板に気付かぬほどの、入口の向こうに薄暗く長く延びる、妖気を発する古本通路が見えているのだ!逸る気持ちをぐっと抑えて、まずは二本の50均店頭文庫棚に目を凝らす。うっ、本が二重に並んでいる…時間が無いので表側を見るだけに留めておく。その周囲には、すべて50均のノベルス・雑誌・BLノベルスの箱など。良しっ、本番だ!勇んで中に飛び込むと、右に十一本の高い天井まで届く日本文学文庫棚が並び、表の棚同様ここも二重に本を並べている。品切れや絶版が多く目につき、自然と心臓の鼓動が早くなる…。左の壁棚はポケミスから始まり、海外ミステリ&SF文庫・海外文学文庫・100均単行本・実用・オカルトノベルス・趣味・タレント・文化・辞書類・日本文学・歴史小説・プレミア文学&郷土本・斎藤茂吉・詩集、そして後は少女漫画ゾーンとなり、最奥の部分は大量のLPレコードと音楽CDが並んでいる…ポケミスが安いぞ!天井近くの棚が見えない!気になるところは時間の許す限り奥もチェックだ!などと次第に深みにはまり、時間がどんどん過ぎて行ってしまう…。文庫棚の裏には、二本の長く歪な古本通路が存在し、真ん中は少年&青年コミックだらけ、右端は美術・鉄道・雑誌各種・映画パンフ・アイドル系写真集が集まっている。正面奥(本当に遠い)帳場前には、音楽CDと共に絶版漫画・貸本漫画が並ぶ棚があり、コミック文庫棚の裏にはしっかりとアダルト空間が隠されていた。部屋のようなカウンター帳場では、壮年夫婦が斜め上のテレビを見上げ、楽しそうに笑いながら番組に突っ込みを入れている。だがその周囲には、ビニールに入れられた高額絶版漫画や映画パンフが、無数に飾られているのだ。プレミア絶版漫画やプレミア映画パンフ以外はみんな安く、古めの本も多くドキドキワクワク楽しめる。単行本は数が少ないが、文庫に見果てぬ夢あり!それにポケミス棚が中々魅力的だ…。結局ハヤカワポケミス「気ちがい〔サイコ〕/ロバート・ブロック」「O・S・S・117号 ガラスの眼/ジャン・ブリュース」、田中小実昌訳の「笑ってくたばる奴もいる」「カラスは数をかぞえない」共にA・A・フェア、さらに河出新書「若き日の旅/井伏鱒二編」春陽文庫「裂けた背景/山村正夫」を購入。…あぁ、文庫棚の奥側を、すべてじっくり見てみたい…。

犬山、楽しかった!こっそり約束も果たせたので、言うことなしの遠征になった。ここには後一軒古本屋さんがあるようなので、次回ツアーで訪れたときは、“痕跡本”を買い取ってもらいつつ、文庫棚の奥も漁りつつ楽しむことにしよう。さて、もう帰らなければ…ここからは、どうやって帰れば良いのだろうか?大阪から来たので、ここがどの辺にあるかもいまいち理解してなかったりするのだ…。

※webマガジン『ゴーイングマガジン』で連載中の『均一台三段目の三番目の古本』第九冊目が更新になりました。上記の長い文章でお疲れでなければ、さらにこちらもどうぞ!「やはり蘇じゃのう〜」にご注目を!

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2012年11月18日

11/18静岡・城ヶ崎海岸 壷中天の本と珈琲

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熱海から伊東線に乗り換え、そのまま伊豆急行に乗り入れ伊豆半島右側を南下。雨上がりの斑に乾いた伊東の街を過ぎると、車内の観光客は極端に姿を減らし、窓外は森と海に変化する。およそ三十分で目的駅に着くと、山の斜面にへばりついたロッジ風の駅舎。階段をジグザクと下りて、駅前の『桜並木通り』の坂道を下る。この辺りには桜が多く植えられているようだが、皆一様にその根がアスファルトを盛り上げてしまっている…。ほどなくしてぶつかる『県道109号』を南西へ向かってトボトボ。道は上り坂となるが、上がり切った所の交差点で南東に向かうと、今度は桜並木の急坂を下ることとなる。荒れた歩道に我慢を重ね、右に左にうねりながら下り続ける。500mも下れば、行き先が『つり橋』(この吊り橋は、昔の『仮面ライダー』で良く撮影に使われた、海崖に架かるあの吊り橋である)と『いがいが根』に分岐するしっかりした道が現れるので、『いがいが根』方面を選択すると、そこはもう『伊豆高原分譲地 城ヶ崎地区』と言う、立派で閑静で広大な別荘地帯。足下のマンホールを見ると『伊豆急』の文字が刻印されているので、伊豆急行(東急グループ)が開発した別荘地なのだろう。さて、目指すはこの中の『3次地区』である。少し奥に進むと、すぐに右側に遊歩道のような小さな道が出現するので、まずはそこに入り込む。進んだ先は、ドーナツ型の植木を中心に持つ小ロータリーで、左に進んで別荘地のさらに奥へ、奥へ…ちなみに人影は皆無である。長い坂を下り切ると、右への脇道際に『11番』の案内表示が立っている。そこにしっかりと、目指すお店の名が輝いていた。と言うわけで案内表示に従って脇道を右に進むと、すぐに『13番』の案内表示が現れ、店名とともに『次の角左折』と書かれている。矢印に従い右に進み、すぐさま左折。ぐんぐん進んで行くと、分かれ道に今度は小さな表示板が現れた。雑木林の向こうには、白い洒落た建物が見えている…。ふぅ、どうやらたどり着いたか。「追分コロニー」(2011/04/03参照)「Kiji Books」(2011/05/14参照)「GAKE」(2012/11/01参照)など、別荘地内、もしくは隣接地にある特異なお店たちと、何やら共通な雰囲気を漂わせている…。それにしてもここは、お店と言うよりはやはり立派で羨むような別荘である。建物の下を潜るアプローチが見た目にも楽しい。その入口に『Book Cafe』とある看板が置かれ、右の玄関兼土台兼門柱のような所には、金属の店名文字がしっかと取り付けられている。建物の下を潜って階段を上がると、そこは落ち葉舞い散る中庭で、カーブを描く白い建物には、窓のような扉が三つ離れて並んでいる…どれが入口だ?一瞬迷ったが、一番右の扉を選択して緊張しながら中に入ると、ほぅ!正解だ。そこは左がカフェで、右の緩やかな階段状の部屋が古本スペースとなっていた。ここはつい先ほど潜った所なのだな。幅広で緩やかな階段部屋の両脇に白い壁棚が設置され、上がり切った所は作業部屋への入口になっており、その両脇にも巨大スピーカーを内包した壁棚の姿…スピーカーからはかなりの音量で音楽が流れ出ている。誰の姿も見えないが、表には『営業中』とあったので問題は何もないだろう。入口に置かれた一冊200円・三冊500円の美術書を眺めてから、階段に足をかけてまずは右壁棚。ここは十段あり、単行本ばかりが集まっている。種村季弘・洲之内徹・幻想文学・藤原新也・美術全般・美術作家評伝&評論・小型写真集・美術洋書・美術蒐集・デザイン・荒俣宏・荒木経惟・旅・美術エッセイなど。決して安易な関連で並べた流れではなく、深く取捨選択した質の高い棚である。階段の真ん中には美術系雑誌を横積みしたボックス棚あり。奥壁には、絵画系美術図録・丸尾末広・丸田祥三・ウォホール・彫刻など。回り込んで左壁は大型の本ばかりで六段。和書&洋書写真集・同じく作品集・写真系美術図録・横尾忠則・安藤忠雄・森山大道・現代美術・ファッション・石子順造などなど。こちらも深くセンス良く、作品集&図録で、個人的にたどって来られたであろう個人的美術史の体験を、見事に綾なしている。う〜ん、素晴らしい。図録や作品集に値段は付いているが、単行本には付けられていない。1000円以下の本は見当たらず、値段はしっかりである。プレミア値も頻出。とここで背後から「うわっ、気付かなかった!」と、オレンジセーターにチノパンのYOU THE★ROCKがダンディーな壮年となったかのような店主が登場。「お邪魔してます」と頭を下げる。彼は笑いながら奥に引っ込み、ビシッとしたバリスタスタイルに着替えて再登場…いや、もう完全に遅いですよ。単行本について聞いてみると「こっちも売り物なんだけどね。でも、手が回らなくて、まだ値段を付けてないんですよ。ココは写真集だけかな…」とのこと。そしてテーブルにお水とメニューを出していただいたので、せっかくなので珈琲を一杯。海沿いの山中のような別荘地で、明らかに場違いな私に、静かで贅沢な時が流れて行く…。毎日新聞社「フォロン展」図録を購入。
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2012年09月27日

9/27愛知で三ケ根一店と岡崎で空振り三振の末に一店!

昨日思った通り、ちょっと遠くへ。仕事がこれから混乱期に入りそうなので、その前に魂の栄養を前借りしておこうと言う寸法なのだっ!豊橋駅を出た東海道線は、左に静かな三河湾を垣間見せながら、タタンタタンと西に進んで行く。“三”がやたらと付く駅を次々と通過し、海から離れたと思ったら、すぐに目的駅に停車した。

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●三ケ根「いこい古本店」
西口に出ると、小さなロータリーの向こうは、緑陰濃い神社の小山。そのすぐ前に横たわる、トラックが多く行き交う県道を、北西に向かってひたすら進んで行く。さしたる特徴も無い、長閑な田舎町の風景を眺めながら、ひたすら真っ直ぐテクテク…長閑過ぎて、古本屋さんがちゃんとあるのかどうか疑ってしまうが、とにかく迷わず歩を進める。信号をひとつふたつと過ぎて、駅から一キロ強の地点で、左手に『本』の文字が見えて来た。おぉ、こんな所に!と近付くと、あまりに素朴な自宅合体型店舗で、軒に黄色い日除けが少し張り出し、そこにボロボロになって『いくい古本占』と成り果ててしまった店名。冊子扉には何枚かの貼紙があり、『9月20日に雑誌など入荷しました』『文庫小説(時代劇)お譲り下さい』『お店が狭いので三人以上での入店は…』などと書かれている。二段のコンクリステップを上がって、カララと店内へ。ほぉ、コンクリ土間の、古くくたびれたお店である。左奥の帳場に座る老婦人が、「いらっしゃあ〜い」とにこやかに迎え入れてくれた。小さな空間は壁棚に取り囲まれ、入口左横には仕切り棚があり、左に小空間を生み出している。土間の真ん中には、下が平台・上が二段棚の木製什器がドデンと置かれている。そして棚に入っているのは、80〜90年代コミックの揃いなのである。他には平台や小空間にアダルトが集合している…。入った瞬間はコミックだらけの印象なのだが、落ち着いて棚を見て行くと、目指す古本もしっかりと所々に存在!入口右横奥に雑本棚が一本、平台に10円文庫、その上の二段棚に日本文学文庫と時代劇文庫、そして奥壁の四段ほどに実用単行本&日本文学。あくまでも街の古本屋さんである。この田舎町と共に生き続けているお店である。ほとんどがちょっと古めの雑本なのだが、値段は激安!文庫は10均以外は50〜150円。単行本も500円以下で、コミックバラは100円、コミック揃いでも1000円は稀である。そんな中で計四冊を手にして、老婦人に捧げるように帳場に差し出す。「ありがとうございます〜。あら、古い漫画ね。これって二巻で終りだったかしら?」とフレンドリーなコミュニケーションが嬉しい。「いえ、後一巻続きがあるはずですよ。…こんな漫画を良くご存知で…」「フフフ、漫画は結構見て来たのよ〜」などと楽しくやり取りしていると、単行本の『400』円の値段を見るや否や「あら高い。安くするわね」と鉛筆を持ち『200』円に書き直してくれた。ありがとうございますっ!先客のオジサンも、アダルト雑誌を大量購入していたら、一冊無料サービスに!おぉ、三ケ根の“いこい”の場よ!いつまでもこのままお元気で!ワニ文庫「世界の秘宝マップ/平川陽一」白泉社「低俗霊狩り」「低俗狩り 其の二」共に奥瀬早紀、双葉社「ペニス/津原泰水」を購入する。

続いて岡崎に向かい、西に北にとお店を求めるが、虚しく空振りが続いてしまう。最後に東にある『西友』内のお店を、ワクワクしながら目指したのだが、たどり着いてみると三階建ての2フロアを『ブックオフ』に占領された、もはや『西友』と言うよりは『ブックオフ』が目の前に…これじゃあ生き残れるわけがない…一応店内を探索してみたが、お店の姿は何処にも見当たらなかった。三たび虚しく、熱い日射しを顔に受け、悄然として駅に向かう…。疲労困憊した身体を前へ運び続け、ようやく駅舎が見えて来た。そしてこの時、何故私は右側を振り向いたのか…それは、古本の神が『ニヤリ』と微笑んだからではないのかっ!?

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●岡崎「古本販売専門 読書人」
東口に出て、ロータリー左側をぐーっと回り込んで、駅前の大通りを北へ。少し道が右にカーブし、すぐに『羽根町東ノ郷交差点』に到着。ここで左の交差点際を見ると、暗いガンメタ色のコンテナ群が角地を取り囲んでいる。どうやらどれも、改造され事務所やお店として使われているようだ。そして道路際の一台のコンテナの傍に先ほど振り返った時に、偶然目に入った立看板…『本all 1冊100円』『マンガall 50円』などと書かれている。…これは、古本屋さんでは?このコンテナが?コンテナの間から中庭のような敷地内に入り、コンテナの前面らしき所に回ってみると、中央にドアがあり中の本棚が見えていた。古本屋さんだっ!突然の予期しなかった出会いに感激しながら、店名と共に『知識の無いのは心の病』と書かれた扉を開いて中へ。お店はもちろん横長で、奥側に十三本の壁棚が並び、手前側には左に四本の本棚、そして右側に低めの棚が続いて、その奥に帳場が設えられている。帳場前には、白髪黒眼鏡白髯を蓄えた恰幅の良い仙人的オヤジさんの姿があり、鼻歌を中断して「いらっしゃいませ」。礼儀正しく会釈して、店内精査の態勢に入る。それにしても、コンテナの中とは思えないほど、キレイな内装である。入口左横には歴史小説・時代劇文庫が並び、最奥に美少女コミックと同人誌が少々。入口右横は児童文学・児童書・絵本が集まっている。奥壁は右奥から、書の本・官能文庫・日本文学文庫・コミック・ミステリ&エンタメ・実用・ビジネス・ノンフィクション・食・新書・日本純文学文庫・絶版文庫少々・海外文学文庫・暮し・自己啓発など。足下の平台にはおススメ本や美術ビジュアル本などが置かれている。新しい本がメインで、古い本は少しだけ。ただし漫画には絶版が目立つ。本の背には色違いのシールが貼られており、100〜500円の値を表している…と言うことは『all 100円』じゃないのでは?ちょっと疑問に思いつつ、一冊を手に仙人の元へ。すると200円の値を即座に100円にしてくれた。疑ってすみません!ありがとうございます!この幸運な出会いと値下げに、感謝の念を捧げる。ちくま文庫「リリス/G・マクドナルド」を購入。

岡崎で見事な空振り三振をしたと思ったら、嬉しい振り逃げが成立。まさかあんな古本屋さんがあるとは…。しかしこれはあくまでも氷山の一角で、まだまだ様々な所に、古本が潜んでいるのだろう。夢の如き全国制覇の道のりは、相変わらず厳しく険しいのだ…。
※後で調べたところによると、『西友』のお店は、『西友』の裏手にあることが判明…不覚!これはまた調べに行かなければ…。
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2012年08月26日

8/26静岡・三島で北山書店にお別れを

コメントで三島唯一の古本屋さん(2009/06/06参照)が閉店してしまうことを知る。一度ツアー以外にも、雑誌で記事を書いた時に取り上げさせていただいたので、何が何でも見に行かなければと激しく思い、本日鈍行で急行する。南口から出て駅前ロータリーの半島から信号を渡り、片屋根歩道アーケードの商店街に入る。よし、ここからは敬意を表してダッシュで行こう!そうと決めたらサンダルでペタペタ地面を蹴って、右に大きくカーブする商店街を下って行く。確かアーケードが尽きる辺りにお店が…あれ?無いぞ。おかしいな…まさかもう閉店しちゃったなんてことは…しかし何の痕跡も見当たらないしな…それにしても駅からの距離がちょっと近過ぎる感じがしたので、もっと先まで進んでみるか、と再びペタペタペタ。すると一分ほどで、電柱に「北山書店」の文字を発見!あぁ、アーケードはとっくに撤去されていたんだ。まるで発掘され、長き眠りから覚めたような店頭。
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そこには左端に括られた全集本があるだけで、以前の台車棚は一台も見当たらない。その代わり、ウィンドウに扇情的な赤の『65周年 全書籍半額』のビラが貼り出されている。その脇には小さく『買取りはしておりません』の文字も…供給をストップすると言うことは、やはり閉めてしまうのか…。ちょっとセンチになりながら自動ドアを潜ると、そこは三年前と変わらぬギュウギュウの、自称“本の森”。おぉ、老店主も通路を行き来して、元気に棚の整理を休まず続けている。再会を一方的に喜びつつ、今日は多少通路の発掘に従事してみようと決意する。視認可能な棚の上半分を見た後は、人ひとりしか通れない通路(いや、もはやひとりが通るのも困難な通路に成りかけている…)で身体を右に左に前に後に折り曲げ、足下から積み上がる本や棚下を覗き込んで行く。気になる所は、頑張って本の山を退かしてみる(本の山は、冬ごもり前の薪の山の如し…)…すぐ疲れる。何が出て来るか判らないとは言え、重労働&底知れないので『何故こんなことをしているのか?』と言う当然の疑念が、心に墨のように広がってしまう…しかしそれでも、途中手を抜きながらもどうにか発掘作業を続けて行く。客同士は、相変わらず『パックマン』のように進む通路の先に別の客を見付けたら、違う通路に自主的に回避する。おっ、奥の倉庫扉が開いていて『こちらもご覧になって下さい』の貼紙が!遠慮なく中に入ると、裸電球がぶら下がる、括られた本の束が乱雑に積み上がるダークな空間!書名などろくに確認出来ず、這々の体で店内通路に這い出す。いや〜、こりゃもはや洞窟探検に近いな。一時間ほど悪戦苦闘し、新潮社「ウエー 新どれい狩り/安部公房」創元社「いのちの初夜/北條民雄」(青山二郎装幀!写真は左が表紙で右が扉。ビューティフル!)
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新潮文庫「アウトドア・ライフ入門/小林泰彦」角川文庫「私は嘘が嫌いだ/糸井重里」ちくま学芸文庫「ケルト 装飾的思考/鶴岡真弓」東京創元社「魔人ドラキュラ/ブラム・ストーカー」を帳場へ運ぶ。そこには奥さんであろう老婦人がおり、「いらっしゃいませ」と本を選り分け始める。するとそれを遠くから見ていた店主が「計算しようか」と近付きペンを取る。婦人が裏表紙の値を読み上げ、店主がそれを書き留めて行く。その光景を勝手に麗しく思い、こうなったら以前記事に取り上げさせていただいたお礼を…と思ったその時、帳場脇に置かれたチラシの束が目に入った。全品半額セールのチラシなのだが、そのキャッチが『男の隠れ家の日本全国超厳選古本屋に出た北山書店』となっていたのだ!…見た途端に顔から火が噴き出した…すみません、私が書きました…もはや恥ずかしくて名乗ることは断念。二人のゆっくりしたやり取りを見つめながら、心の中で不義理を詫びて、締めて1050円也を支払い「お店はいつまで?」と聞いてみる。実はさっき、お客さんとの会話が耳に入り、『九月の半ばくらいまで(あ。少し伸びたのかな?)』と言うのが聞こえたのだが、やはり自分でも確認しておきかたったのだ。すると店主が「九月いっぱいかな…まだ良く判んないんだけど」。あれ?ちょっと増えたぞ。まぁもうしばらく営業してもらえるのは、とにかく有り難いことである。みなさんも発掘探検モードで、九月中に三島の老舗店にぜひ!
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2012年08月18日

8/18静岡・浜松 開陽堂書店

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東海道線を、朝から乗り継ぎ乗り継ぎ、西に五時間。電車の中で暮らすのは、もう限界だっ!とばかりに列車の旅をリタイアすると、そこは大きくキレイな地方都市…浜松であった。三年半ぶりのこの土地にも、未踏のお店がまだ残っているはず…。巨大なバスターミナルを内包した北口ロータリーの、左側をぐるっと回り込んで『鍛冶町通り』を西へ。商業ビルの谷間の大きな道を、信号から流れる“富士山”の電子音をバックに歩き続ける。『伝馬町交差点』で『国道257号』に入り、一旦北へ。二つ目の『連尺交差点』で、交差点下の地下道を潜ってから、西に延びる『姫街道』に足を掛ける。道は結構な坂道で、そこに商店がポツポツと連なって行く。信号を二つ過ぎ、どうにか坂の上にたどり着く。さらに道なりに西に向かうと、右手に暗い店内を見せつける、職種判別不能な光景が出現。その暗闇に目を凝らすと、おぉ!本棚の姿が浮かび上がった!入口上の看板には、書店名にプラスして『不動産・ビル管理』の肩書きがあり、さらには『税理士・行政書士』事務所の看板が下半分を占めている…むぅ、何やら様々に混ざり合っているな…しかし店内は、生活道具に多少侵食されているとは言え、古本屋さんの設えなのである。ならばと、躊躇せずに暗闇の中に入り込む。途端に赤外線チャイムがピンポンと鳴り響く…それを聞き付けたのか、奥の磨りガラス戸の向こうから、すぐにユニフォーム作業ジャンパーを着た白髪の店主が姿を見せた。「いらっしゃい。あ、今すぐバイクを外に出しますね。これじゃぁ本が見られないもんね。いや、さっき突然雨が降って来ちゃったから…」と、店内にデンと置かれていたバイクを表に移動させ、彼はその後もサッシを開けたり閉めたり、本の整理をしたりしなかったり、終いには入口で棚の本を読み始めたり…どうやら突然の闖入者を持て余しているようだ。その暗い店内は、左右に高い壁棚、真ん中に平台付きの背中合わせの棚(平台下部も本棚)、奥壁にカラーボックス組み合わせ棚となっている。全体的に雑然としているが、棚はちゃんと確認することが出来る状態をキープしている。それにしてもこれは…少し時が止まり気味な傾向…古い本も多いが、所々に見られる複数冊ビニールパック&ビニールランダムパックは何なのだろうか?シリーズ物やジャンルでのパッケージはまだ判るが、ランダムジャンルパックの真意は何処に?保存?もしや雨漏り予防?さらには本棚の並びもカオスで、左通路は割と日本文学でまとまっているが、右側通路はカオスな状況なのである。落語・戦争・海外文学・五木寛之・高木淋光・松本清張・歴史・静岡・官能小説・コミック少々・新書・社会科学・風俗・囲碁・ヤマハ関連・地震関連・文学全集・紙物・「宇宙戦艦ヤマト」…文庫は目立たないが、店内各所に潜んでいる。暗過ぎて背文字を確認出来ない場所もあり、布団叩きを退かして見なければならないところも。しかし逆に言えば、とても探し甲斐があり、何かが隠れていそうな予感がヒシヒシ。『タイムカプセル・ビニールランダムパック』なお店なのである。値段はちょい安だが、値段の付いていない本は、一律200円で精算してくれた。「いや、もう買っていただけるだけでありがたいんですよ。だからまとめて500円にしちゃう!」とさらに合計金額から100円引きに。ありがとうございます!東邦出版社「兵隊やくざ/有馬頼義」読売新聞社「日本の秘境/柞木田龍善」学研「世界の未確認動物」を購入する。店主は満面の笑みを浮かべ「またお待ちしてます」と送り出してくれた。嫌いじゃないです、と言うか大好きだ!こう言うお店!

ゴロゴロうるさく怪しい空模様を気にしながら、『浜松城』そばの「時代舎」(2008/05/26参照)にも足を延ばす。
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ここでweb連載の取材を、と考えていたのだが、何と店頭ワゴンが雨に備えてシートで完全密封状態!これではどうにもならないので、早々に諦めた後、店内をただ楽しむことに集中する。あぁ、やっぱりここは良い古本屋さんだな。棚から発せられる美しい古本のメロディに酔い痴れながら、佐々木邦の充実っぷりに目を回す。ちくま文庫「妖精族のむすめ/ロード・ダンセイニ」原書房「定本 山之口獏詩集」(千円は安いです!)を購入。そして帰りなのだが、何と五時間立ちっ放しで電車の中で暮らすことになり、東京に帰り着いたら疲労困憊…う、うぅぅう…。
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2012年07月26日

7/26愛知・刈谷 あじさい堂書店

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週明けから立て込んでいた仕事を、鬼神のように片付けて、先日の市での売り上げを古本界に還元するため、遠くへ!豊橋でひかり号を乗り捨てて、東海道線の新快速で西に向かってひた走る。三十分で目的駅に着くと、蒸し焼きオーブン内に迷い込んだような熱波!もはや強烈過ぎる陽光は、生命を削り取る危険なエネルギーに!日の光にこんなにも怯えることになるなんて‥と戦きながら、北口側の空中通路からすぐの西側階段を下りて、ロータリーには目もくれず、線路沿いに北西へと進む。するとすぐ左手に踏切が現れ、道はナナメ45度に折れ曲がり、商店街と風俗街が優しく手を結んだ静かな通りとなる。道なりにそのまま北東に歩いて行く。桁下3.2mの陸橋下を抜け、まばらな商店街をさらに先へ。ほっほぅ、100mほどで左手に、白く清潔な古書店の姿が見えて来た。三階建て集合住宅の一階にある店舗は、近付くとかなり横幅を持っていることが判る。軒にはシンプルな看板文字と縦長看板‥素敵な店名だ。出入口右側に二台のフレーム本棚があり、文庫・古めのノベルス・単行本が100均。左は箱入り本・単行本・詩集が100均。反応の良い自動ドアから中に入ると、白く通路に余裕のある整頓の行き届いた光景が広がり、薄くスーパーのようなラウンジミュージックが流れている。帳場に座る加東大介的壮年店主と目が合い、「いらっしゃいませ」に会釈を返す。壁際は本棚で、真ん中には背中合わせの本棚が縦に三本。左奥に壁棚に囲まれた小スペースがあり、そこにも背中合わせの棚が一本置かれている。入口右横の大判歴史&ビジュアル本前を通って右壁。世界の歴史&文明・古代史・三河&岡崎&刈谷&名古屋郷土本。向かいに、戦争・兵器・近現代史・会社&企業出版本(面白い!)。棚下はミニ平台になっており、棚と同ジャンルの本が背を上にズラッと並んで行く。右から二番目の通路は、右に歴史(戦国&江戸)・旅・紀行・食・珈琲・スポーツ・武道・占い・囲碁・性愛。奥の棚脇に美術図録の棚あり。左に時代劇文庫・戦争文庫・ノベルス・日本文学文庫・官能文庫・ちくま文庫・中公文庫。三番目の通路は、右に新書・講談社学術文庫・朝日文庫・東洋文庫・岩波文庫。左に美術・陶芸・仏教・音楽・映画。背後の入口左横は、美術系雑誌&ムックと美術作品集が並んでいる。左端通路は、右に登山・アウトドア・生物学・自然・民俗学。壁棚は工芸・書・絵画・心理学・哲学・思想・数学・海外文学と並んで行く。奥スペースは、左壁からそのまま中国文学・古典文学が続き、奥壁に古典文学・日本文学・文学評伝&評論が帳場後の右壁に流れて行く。真ん中の棚には、辞書・日本語・本&出版関連・幻想文学・探偵小説・芥川賞受賞作・詩歌句が集まっている。また帳場右横には、小さいながらもしっかりとアダルトコーナーあり。大衆的な実用さと、学術的高尚さをキチンと並び持つお店である。古い本はあまり無いが、70年代〜現代の本で頼もしい見せ方を発揮。文学評論・戦争・海外文学・登山・美術・郷土が充実。値段は普通〜ちょい高である。勁草書房「美の味わい/エリック・ロメール」ウスイ書房「随筆京都」永田書店「頭のトレーニング第二集/長田鉄男」を購入する。

この後は電車移動し、さらに古本屋を目指すつもりだったのだが、木陰でお店の見取り図を書き留めているうちに、熱波にやる気を根こそぎ奪われてしまう‥足を引き摺り駅へと戻り、情けなくも還元の心をすっかり失い、早々に帰路に着く‥くぅ、無念‥。
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2012年07月01日

7/1静岡・狐ケ崎 ふしぎな古本屋 はてなや

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清水駅から静岡鉄道・新清水駅まで歩き、『ビーバップハイスクール』の鉄橋アクション風景を抜けて三駅目。何だか化かされそうなホームに立つと、雨がシトシトからザーザーに変わって行く。侘しい駅前から大きな通りに出て、道なりに東へ。辺りは静かに広がっている郊外の住宅街である。車しか動いていない人気の無い道を500mほど進むと、線路に45度の角度で渡された踏切。斜めに通過してさらに200m進むと信号があるので、ぐいっと曲がって北西へ。後は、よく整備された歩道の広い道を進んで行けば、『国道1号』とぶつかる『北脇東交差点』の左手に、『ふしぎな古本屋』と自ら名乗るお店が出現!直方体を横に寝かせた平屋の店舗で、屋根の上には己を暗闇に照らし出す無数のライト、壁面にはお店の特徴が『なつ漫・特撮・芸能・映画・スポーツ・くるま・バイク・非売品・グリコのおまけ・趣味・昭和レトロ・サブカル・フィギュア』と大書、入口横には四十二品目の買取メニューが挙げられている…これは何だか期待しちゃうぞ!傘をすぼめて中に入ると、地元のお客さんで結構賑わっている。縦長のフロアに三本の背中合わせの棚が置かれ、入口左右と左壁がさらに本棚。右壁は吊るされた映画ポスターがワササと大量に並び、後半はガラスケースに覆われている。ケースはそのまま奥にある、奥深い作業場兼帳場横までつながって行く。左奥には18禁暖簾で区切られたアダルトスペース。入口左横の雑誌附録箱をいぶかしげに眺めてから、まずは入口右横の100均棚…文庫・単行本・廉価コミック…中々小粒で良さげな本が、と三冊手にしてしまう。右端通路は懐かしい映画ポスター、ケース内にはプレミアおもちゃ・フィギュア・ノベルティ・ヤンキー&暴走族&レディース写真集が飾られている。通路棚はコミックがどっさり並び、奥には『100均でいいの?』と思ってしまう絶版コミック棚。第二通路には、コミック・廉価コミック・絶版漫画・カルトコミック・貸本漫画・復刻漫画・漫画研究・アニメ&特撮&コミック関連ムック・大百科類が集まる。第三通路から古本の姿が徐々に……右側に映画・テレビ・芸能・役者・タレント・アイドル・音楽・ジャズ・雑誌類(おぉ!宮川一夫のサイン本が800円だと!と即座に我が胸に抱きしめる)。左側にDVD・雑誌類・映画VHS。入口左横には一般文庫・ラノベ・新書・ミステリ&エンタメ。また各通路棚脇には、廉価コミック・暮し&女性実用・社会&CDの棚がある。最後の左側通路に入ると、前半ではかなりの古本天国がウェルカム!壁棚は茶色く古い本が目立ち、サブカル・犯罪(オウム出版本が二冊も!)・写真・ドラッグ・古本関連・日本近代文学・探偵小説・鉄道・海外文学・植草甚一・久保田二郎・武道・プロレス・マイノリティー・アングラ・妖怪・風俗・幻想文学・澁澤龍彦・山岳・実用古本・日本刀・オカルト・静岡関連。その向かいが、UFO・異次元・怪奇・趣味・ファッション・児童書&児童入門書・ジュブナイル・美術図録・ビジュアル本となっている。棚下平台や足下には箱が蔓延り、映画パンフ・探偵小説・絵葉書・観光地図類・車&企業系パンフ・雑誌附録・紙物などが入っている。む、天野忠のエッセイがたくさん揃っている姿は、中々壮観である。通路後半はこちらと打って変わって、アイドル写真集と美少女コミックの嵐となっている。…楽しく安定した良いお店だ。漫画やおもちゃだけではなく、古本がいやらしくマニアックに充実している。値段はしっかりだが、相場より安めの気配が漂う。そして時たま嬉しいスキありっ!奥のレジで大月隆寛風男性ににこやかに精算していただく。壮文社「趣味の植物誌/牧野富太郎」エール出版社「セガに怯える任天堂/馬場宏尚」話の特集200号記念増刊「話の特集の特集」PHP研究所「キャメラマン一代/宮川一夫」大和書房「傷だらけの天使/市川森一」を購入する。
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2012年06月02日

6/2山梨・月江寺 不二御堂

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岡崎武志氏からの密命を帯び、緑が爆発したかのような山中を通り抜け、三たびの月江寺!ついにこの、緩い斜面に広がる昭和三十年代的風景の中に、一軒の古本屋さんが誕生したのである!おめでとう、月江寺!乗って来た富士急線の車掌さんに切符を渡し、小さな駅舎から寂れた『月江寺駅前名店街』を南東に下る。通りは『中央通り』となり、急流の宮川を越えて、シャッターで鎧った商店の間をさらに先へ。やがて左手に、北東へゆっくりと長く下り続ける『西裏通り』が現れるので、様々な意匠の酒場建築を楽しみながら、水が流れ落ちるように坂下へ。ようやく行き着く『月江寺大門商店街』をまたもや南東に進んで行くと、カフェ向かいの四角い店舗兼住宅に、新しい古本屋さんが出来ていた…ここは「富士吉田一箱古本市」(2011/10/30参照)の時に、会場のひとつとして使われていた所だ。一階部分はタイルで化粧され、入口&ウィンドウ上部には『インテリア 石川表具』と前身店の看板文字が。入口のガラス戸に富士山型(上が白で下は緑)の店名看板があり、両側のウィンドウには妙なすだれが…何だこれ?規則的にたくさんの穴が穿たれているようだが…パンチカードみたいだな。この辺りは、機織りが盛んだったから、機織機のパンチカードを再利用したのかも…。ガラス戸を開けて中に入る。静かで誰の姿も無く、左右の両壁に七段の本棚が設置されている。奥壁にも同様の飾り棚があり、右奥の開け放しの扉がお店のバックヤードへと繋がっている。入口左横にはオルガンとテーブルと低い平台。右横には低い丸テーブルが置かれている。フロア左真ん中には四角い柱がドンとあり、小さな棚や椅子が取り巻いている。店内のそこかしこには、廃材を使ったアート作品や、空き缶&鉄棒で作った富士山グッズ・富士山トートバッグ・トタンポストカード・金子光晴肖像写真などが蔓延り、独特な雰囲気を充満させている。柱下棚にはちくま文庫・新書がキッチリ収まり、左側ウィンドウ周辺には音楽本が集められている。左の壁棚には、絵本・児童文学・児童書・女流作家・教育・美術など。入口右横テーブルには、雑誌「思想の科学」と共に何故だか缶ビールがディスプレイされている。右の壁棚には、東海林さだお・食・落語・スポーツ・近現代思想&人物・東京・大阪・名古屋・各地郷土・赤瀬川原平・南伸坊・映画・役者・タレント・サブカル・日本文学・文学評論・エッセイ・建築(藤森照信多し)・夏目漱石・詩などが丁寧に並んでいる…好みなのか『路上観察学会』関連に力こぶ。そして奥壁棚に、写真集・山梨関連・「鳩よ!」・金子光晴・富士正晴・竹中労・色川武大と共に、富士山グッズ・手書き短冊&パラパラマンガ(?)・『快傑ライ◯ン丸』『ドラ◯もん』のパチもん茶碗が並んでいる…絵柄が凶暴に愉快なので、思わず茶碗を買いそうになってしまった…。不思議な富士山グッズの多いお店で、脱力出来る感が非常に好ましい。しかし棚はピシッと背筋が通り、店主の見つめているものたちが、ボワッと浮かび上がっている。値段はちょい安〜普通。もうすぐ棚を見終わりそうなところで、女子客二人がご来店。「わぁ〜」と感嘆の言葉を吐き出しながら、奥壁の棚に駆け寄った。するとこの時、店主が奥から初めて姿を現し「いらっしゃい」と横向きの椅子に腰掛けた。モコモコと何やらたくさん着込んでいるので、古本屋さんと言うよりは、山小屋の主のよう。たいまつ社「私の大阪地図/寺島珠雄」(600円とはっ!)朝日選書「女絵かきの誕生/丸木俊」を購入する。同じ通りにある驚異の新刊書店「月之江書店」(2011/06/29参照)と共に、末永く営業していただければっ!

帰りに『ミリオン通り』に入り込むと、道の真ん中にプリティーな飼い猫。しかしこの柄は、素敵にスゴい!まるで地図のような虎柄だ!
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2012年05月24日

5/24岐阜で「ギフノート」に導かれて二店!

月末はかなり忙しくなりそうなので、先手を打って遠くへ!向かうは先日「古書ますく堂」(2011/10/15参照)で入手したリトルプレス「ギフノート」に載っていた二店。これを目にした瞬間から、行きたくて行きたくて仕方無くなってしまったのだ。色々無理して木曽川を越えて、おぉ!久しぶりのギフ!

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●岐阜「bicabooks」
北口の空中広場に出ると、まずとにかく目に入るのは金ピカの織田信長像!いや、その輝く色はもはや金を通り越し、カールのチーズ味色!そして火縄銃を携えたその姿は、“戦国武将”の枠を軽々と凌駕しており、“魔王”と呼ぶに相応しいクレイジーさを漂わせている。そんな魔王の足下を、逆鱗に触れぬようこそこそと通り過ぎながら、地下道を抜けて、北へ延びて行く『金華橋通り』に入る。最初のブロックは、昔ながらのお店やビルが集まる繊維街で、店先では多数のブラウスやシャツが風にひらめいている。ここを抜けると、第二・第三ブロックはだだっ広い地方都市の街路。駅から北に600mほどの『金町5交差点』を越えると、息を吹き返したように繁華街へと変化する。さらに北に進んで『高島屋』前を通過し、『柳ケ瀬信号』で安っぽいギリシャ賢人像が見下ろすアーケード街『フローレンス柳ケ瀬』に進入する。東に進んで二つ目の十字路を北へ。飲み屋やスナックの酒精的影が濃くなって行く中、右手に独特なデザインフォントの看板を掲げた『やながせ倉庫』が姿を見せる。古い長屋的店舗ビル三棟(一棟は工事中)に、ショップやギャラリーが細々とひしめく、若者たちの文化的九龍城である!内部はとても複雑で、意外な所に通路があり、お店があり、階段があり、繋がり合い、中をうろついているだけで、たっぷりと探検気分を味わえてしまう。そしてこの中に、カフェが経営する無人古本販売所も紛れ込んでいるのだっ!アーケードから見た右端、『1号館』の長い直線通路を奥へ奥へと進むと、最奥の通路角に古本棚が三本と、四角いボックス棚が設置されている。通路左側の横長棚には、映画・児童文学・文学・エッセイ・アート・デザイン・若者カルチャー。奥壁の本棚には、食・音楽・美術雑誌。一段上がった右奥のガラス天板棚には、絵本・作品集・写真・建築・ファッション。向かいのボックス棚には文庫や雑誌が収まり、その脇にはお店の看板が床に直置きされている。肩肘の張らない、若者向けセレクトの棚造りで、読むための本たちが並んでいる。値段はどれも500円前後で買い易い印象。狭くごちゃついた中庭を通ってたどり着く『ビッカフェ』が営業中の時は、そこに代金を払いに行く。カフェがお休みの時は貯金箱が置かれ、そこに代金を投入する仕組みになっている。地面の矢印に従い中庭を突破し、カフェのカウンターで精算する。青山出版社「メイド・イン・ホンコン/原案フルーツ・チャン 百瀬しのぶ著」を購入する。

『やながせ倉庫』向かいの細長い蕎麦屋で『志の田そば』を頼んで昼食。聞いたこと無い名で、食品サンプルを見ても具が何なのか判然としない。しばらくして出て来た蕎麦は、ざっくりと切られた油揚げがたっぷりと入っていた。そうか!油揚げ→狐→信太の狐→志の田と言うわけか。
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●岐阜「古本 徒然舎」
昼食を終えたらアーケードをそのまま北へ抜ける。『若宮町通り』に出たら、東へひたすら進んで行く。最初は風俗街の一角と言う感じだったが、『神田町3交差点』を越すと静かに人影が少なくなり、麓が神社の小山が迫って来る。道なりに進んで南に曲がって行くと、『殿町2交差点』脇に二階屋がくっ付いた、屋根が不思議な片流れの古本屋さん。雑司ヶ谷近辺の『外市』(2010/09/05、2012/01/07参照)で、本を買わせていただいたり、今年の始めにはご挨拶もさせていただいたりしているのだが…。小さな路上の立看板・濃紺の日除け・窓内の店名看板を見やりながら、開け放しのドアから緊張して中へ入る。するとそこは玄関。スリッパを履いてカーペットを踏めば、お店が奥へと広がって行く。奥の窓も開け放たれており、風が本棚の間をフゥッと通り抜けて行く。玄関には100均棚が二本あり、主に文庫がたっぷりと収まっている。室内に上がり込むと、右には低い絵本&児童書棚と、暮しエッセイ本やカラーブックスの姿が。ミニコミ誌棚の後側に帳場があり、女性が一人静かに作業中…あれ?この人が店主さんだっけ?…い、いかん、思い出せん!こりゃ、まずい。しかし向こうも反応無し…よし、このまま気配を殺して、あくまで一般客を装って行くか。帳場向かいの左壁には、食・冒険・旅・本&古本・夏葉社本・写真・建築・工芸・映画・音楽・美術・図録が続く。足下にはミニプラケースも置かれ、棚と同ジャンルの本が詰められている。奥に進むと左側が少し膨らみ、和をテーマにした棚が一本、文具&雑貨棚、犬&猫・切手&手紙・児童文学・絵本が並ぶ。奥壁には雑誌・デザイン・特価文庫。帳場横の右壁は、詩歌・講談社文芸文庫・澁澤龍彦・ミステリ文庫・日本古典文学・貸し棚一本(「五つ葉文庫」さんも!)・復刻児童文学・絵本と続く。…小さく小さく話し声が聞こえる。どうやらどなたかもう一人いるようだ…。真ん中には“T”字型に五本の棚が組まれ、セレクト日本文学・エッセイ&随筆・海外文学・サブカル・鉄道・スポーツ・哲学・思想・科学・動物・文学評論・歴史が収まっている。建物は不思議で面白いが棚造りは丁寧で美しく、扉をちょっとだけ開いた小さな宇宙たちが、人が好奇心一杯で入り込んで来るのを待ち受けている。値段はちょい安〜普通。二冊を選んで帳場へ…あれ?さっきと人が変わってる?気のせいか…この人が…そうだっけ?あぁ〜判らない!ご、ごめんなさい!学研M文庫「後方見聞録/加藤郁乎」みすず書房「科学者点描/岡部昭彦」を購入する。何となく後ろめたい気持ちを抱きながら、お店から脱出。すみません、今度岐阜に来た時にまた寄らせていただき、しっかり名乗って挨拶を…と心の中で謝罪しながら、お店から数十メートル離れたベンチに座り、頭の中に描いた店内見取り図を懸命にメモメモ…。

己の社会性の無さに呆れつつも、奇麗にお店を回れたことに幸せを感じる。帰りは『長良橋通り』から駅へ、と進んで行くと、一軒の木曜が定休日の古本屋さんに行き当たる。下ろされたシャッターを、透視してしまいそうなほど見つめてしまう…中には一体どんな本が…。あぁ、やはりまた来なければ、ギフ!
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2012年04月09日

4/8静岡・静岡 あべの古書店 営業時間外セルフサービス

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片付けなければいけないことが多数あるのだが、青春18きっぷの使用期限が4/10と迫り来る!なので、今日はどうしても遠くまでいかなければ!と無理矢理東海道線で西へ。行き帰りの時間の読み易い所として選んだ、七ヶ月ぶりの静岡駅に降り立つ。街はとても華やかに飾り立てられており、桃色の提灯がブラリブラリと風に揺れている。どうやら今日は、『静岡まつり』のクライマックスらしく、午後には中尾彬扮する徳川家康が、駅から『駿府城』まで練り歩く予定。幸いまだ午前中だ…混雑や道路封鎖前に、お店にたどり着かないと…。もうすぐ始まる盛大なお祭りへの期待感溢れる街を、切り裂くように歩む。北口から『御幸通り』を黙々と北西へ。とにかく進んで行けば、桜咲く石垣が美しい駿府城のお堀端。県庁や市役所に挟まれた通りを、さらに先へ先へ。一キロほど進んで来ると、真っ赤で巨大な鳥居がヌッと立ちはだかり、それを潜って観光地的商店街の『浅間通り』に入る。直線道の彼方にある『静岡浅間神社』を目指して行けば、左手に40度ほどの鋭角で曲がり込む脇道が現れ、そこには以前訪れたことのある「古本ブックスランド」(2011/08/20参照)。今回はそちらには足を向けずに、神社方面へちょっと進むと、左手に古本屋さん!が、閉まってる!が、店頭には本がっ!…これは一体?と慌てながら近寄ると、放置された無人販売本であることが判明。本は100均と10均で、代金はシャッターの真ん中にある郵便受けに入れるシステム。…お店が開いていないのは痛手だが、とにかく本を見て行こう。シャッター前右側に、文芸雑誌の並ぶ小さな本棚・白い格子の単行本&箱入り本ワゴン・雑誌縁台が並んでいる。左側に、文庫(谷崎潤一郎&田辺聖子多し。店内の“た”の棚に何かあったのだろうか…)+新書+単行本ワゴン.雑誌&図録縁台・「俺は直角」箱。少し離れた左に、10均単行本&カバー無し文庫と言う配置…きっとお店を開けても、店頭はこのままなんだろうなぁ…。あまり期待せずにワゴンに闘いを挑んでいると、奇跡的に欲しかったカラーブックスの発掘に成功!やった!ちょっとだけ報われた気分。一通り漏れの無いよう念入りに眺めてから、では代金を支払うか、と財布を取り出すと、うっ!百円玉が無い。かろうじて、十円玉五枚と五十円玉一枚があったので、支払いは可能…六枚の小銭をコンパクトに重ね、金属の羽を押し開けて郵便受けに落とし込む。ジャラジャラパシャーン!うわ、店内の床に直接落ちたみたいだ…受け皿、用意してないんだな…アバウトな。カラーブックス「クラフト入門/内田邦夫」を購入する。次回こそはお店の中にしっかり突撃したいものである。早々とタイムリミットなので『静岡まつり』を見ずにとんぼ返り。夜は『ぴっぽTV』に出て、『パンの會』について熱く、軽薄に語らせていただく。
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2012年02月21日

2/21静岡・袋井で“はた”と“タケ”の双子店!

遠くに行きたい衝動を抑え切れずに、東海道線でガタゴト…。乗り換えを幾度か重ね、いつの間にか三両になった銀色の列車が着いたのは、静岡県の左下、東海道のど真ん中である『袋井』と言う名の街だった…。

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●袋井「ブックスはた」
北口はキレイで白っぽいロータリー。左から回り込んで北に向かい、『袋井駅北交差点』を通過して、『袋井商店街』の『西通り(東通りもあるのだ)』をズンズン進んで行く。やがて前方に『原野谷川』が現れ、そこに架かる姿の良い橋の真ん中に立つと、四方に平坦な視界が開け、晴々とした気分になる。街に人影は少ないが、車が多く、開いているお店や事務所が連なり、何かしっかりと人のエネルギーが脈動しているのが伝わって来る。さらに北へ進み、小さな用水路と小さな『沖ノ川』を渡り切ると、左に『古本』の立看板が見えて来た。駅からはおよそ一キロ弱の距離である。側壁には店名と『お売り下さい』の大きな文字。軒にはオレンジ色のプラ日除けがあり、下は素っ気ない手書きの貼紙があるウィンドウとなっている。中に入るとラジオが鳴り響く、ちょっと狭苦しい店内。壁際は本棚で覆われ、フロアには縦に背中合わせの棚が二本置かれている。奥には横向きの棚が一本あり、その奥が秘されたアダルトゾーンとなっている。右側に壁と平行にカウンター帳場が張り出し、マスクをした実直そうな店主が、忙しそうに梱包作業に勤しんでいる。そして店内はそのほとんどがコミック!入口右横に写真集ゾーンと、正面棚脇にグラビア雑誌ゾーンがあるが…もしやこれだけなのか?…おっ、右端極狭通路の帳場前の棚が、一面の文庫棚になっていた!日本文学文庫・海外文学文庫・戦争文庫・ミステリ&エンタメ文庫・日本純文学文庫・105均文庫…純文と105均に絶版&品切れが多いが、血流が増加するような並びではない。ちなみにこの通路、本を見ていると、至近距離の背後に店主がいる形になるので、ちょっとスリリングな時が流れることとなる…。他に普通の古本は…と真ん中通路に進むと、おっ!一部が時代劇文庫・女流作家文庫・雑学文庫棚となっている。コミックとアダルトがメインのお店で、古本は文庫のみの潔さ。値段は安めである。非常に丁寧な応対で、集英社文庫「ポエム君とミラクルタウンの仲間たち/横田順彌」を購入する。

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●袋井「Book's TAKE」
お店を出て、来た道をさらに北へ。『永楽町交差点』を越え、いつの間にか郊外的店舗が建ち並ぶ、個性の消えた景色の中を歩いて行く。『国道一号』の陸橋下を潜り、ズンズン…。駅から二キロ強で、行く手に一直線に横たわる『東名高速道』が見えて来た。そこに近付いて行くと、道が二股に分岐し、高速道にピタリと張り付いたような、歩道の島に目が留まる。両脇にトンネルを従えたその島には、駐車場と共に二店のお店がポツリと建っている。ほぉ!右の青い店舗が古本屋さんだ!未だかつて、こんなにも高速道に寄り添った古本屋さんは、見たことがないぞっ!軒にはちょっと壊れかけた看板が架かり、擬人化された『買』の字と、スージィ甘金擬きのイラストが目立っている。あれ?そこに『火よう日定休』の文字…これはやってしまったのか?と少し焦るが、店内には電気が点いており、入口の向こうには車椅子のおばあさんの姿…?店内に入り、その光景の事情を察する。おばあさんは孫に連れられ散歩中らしく、その付き添いの孫は、入口横のカゴに詰まった同人誌を繰るのに、夢中になっているのだ。おばあさん放置!しかし彼女が『もう帰りたい』と訴え、孫は渋々同人誌を置き、お店から去って行った…。そして何だこのお店は!さっきのお店とほとんど同じ造りではないかっ!何故「ブックスはた」と構造が一緒なんだ!?いざと言う時のための…ト、トリック用…!?それとももしや姉妹店なのか?とコミックだらけの店内をウロウロしてみる。違っているのは、入口の両脇に同人誌とアニメ&コミックムック、帳場前はDVD・CD・105均VHS。そして奥に横向きの棚が一つ多く置かれ、その裏側が日本文学文庫・時代劇文庫・官能文庫の文庫棚となっており、帳場奥右壁に実用・サブカル・ノベルスの棚があったことである。それと帳場で働くのはご婦人でした。棚造りはあくまでも一般的だが、値段は安めとなっている。コミック揃いで城門と化しているカウンターにて精算。カッパノベルス「ギャングスターウォーカーズ/吉川良太郎」創元推理文庫「D坂の殺人事件/江戸川乱歩」を購入する。

非常に地道な調査を終えた気分で、道すがらの和菓子屋で『味噌まんじゅう』を買って駅に戻ると、改札の向こうに上りの東海道線が滑り込む光景!慌てて改札と跨線橋を鬼神のように駆け抜けて、滑り込みセーフ。ハァハァ…ふぅ〜。さあ、ゆっくりトロトロ帰りますか。
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2011年12月26日

12/26静岡・焼津 港書店

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仕事のギャラが小切手で送られて来た。こんなこともあるのかと、人生初めての出来事に面食らいながら、苦労して現金化する。むぅ…現金を手にしたら浅はかにも気が大きくなり、遠くへ行きたくなってしまった…。ふと気付くと、停電のためにダイヤが大混乱&大混雑の東海道新幹線に乗り込み、自由席で一時間半…。私はカツオのおつまみ『ツナピコ』発祥の地に到着。ここを古本屋さん目的で訪れるのは三度目なのである。一度目は定休日に来てしまい(2011/01/23参照)、二度目は午後からの臨時休業にぶち当たる(2011/08/20参照)。今日こそは三度目の正直だ!の思いを胸に南口方面へ。ロータリーには下りずに、細い通路からつながる空中歩廊を渡り、駅正面の『駅前通り』に出る。潮の匂いが流れて来る、港をモチーフにした寂しげな商店街である。途中の橋の欄干にある、巨大なタツノオトシゴが不気味なインパクトを放っている。何だか銚子と感じが似てるな、と考えながら強風に抗いつつ、商店街の先を目指して東南へトボトボ。500mほどで商店街が終わり、『本町2丁目交差点』に到着。クロスする『国道150号』に入って、次は南へ。左半身に見えない海の存在を感じつつ、『本町3丁目交差点』を経て一キロ弱で『焼津5丁目交差点』である。進路を東に採って、ひとつめの信号で人魚と時計を備えた鉄製のゲートが迎えてくれる、『神武通り商店街』に足を踏み入れる。奇麗に整備されてはいるが、たっぷりの地元感と、通り沿いに現れる空地が寂しい商店街…果たして今日は開いているのか…祈るような気持ちで眩しい陽光に目を細めながら、南に歩いて行く。左手に二店続きで庶民的に味のある商店建築が見えて来た。二階壁面には『with/週刊現代』の看板があり、窓下には二店共通のオレンジ色の日除け…やった!開いてるぞ!さらにその下には、『こどもの本の』とあるお店の看板があり、さらにその下に緑のテント看板が張り出し、『ミッフィー』…いや、この場合は『うさこちゃん』と呼ぶのが相応しいイラストが描かれている。ここは焼津港にほど近いため、漁船員用の古週刊誌も扱う新刊書店なのである。古本は果たして並んでいるのか…おや?早速店頭右端に、古い木製100均ワゴンがあるではないか!それほど大きくはないが、近付いて何度も視線を走らせてみる。中途半端に古いコミック・古めの文庫・単行本少々・大判ムック…文庫はカバー無しが1/3あるが、創元推理文庫のSFが多い…もしや漁船員にSF好きが…!?私は三冊を手にして店内へ。サッシ戸を開けると同時にチャイムが鳴り響く。古びた町の新刊書店である店内に、人の姿は無い。しばし物憂げで静か過ぎる、私だけの時間が店内に流れる。コミック・雑誌・文庫、それに町の書店にしては充実した児童文学と絵本…そして、右奥角に新刊書店とは異なる棚を発見。その時、奥から老店主が姿を見せ、「いらっしゃい」と言いつつ入口裏の帳場へ座った。右隅に進むと、そこにあるのは横積みされた週刊誌と漫画雑誌で、70or140円で販売されている。一部に地方出版の詩集や古い本も少々。児童用の「あめのひぶんこ」一揃いのようなものも置かれている。まぁ古い本を探すとしたら、表のワゴンに期待するしかないようだ。値段は激安。角川文庫「戯曲 少女仮面/唐十郎」創元推理文庫「スポンサーから一言」「73光年の妖怪」共にフレドリック・ブラウンを購入する。お店を出たら商店街を抜け出して、恐らく今年最後の海を見に行く。青黒く、風が強いのに静かな海と青空を見ていると、雄大さを感じるより先に、畏怖の念を抱いてしまった…。早々に引き上げて、『駅前通り』の『遠州屋』で『一本釣りもなか』を購入して帰路に着く。あぁ、やっぱり遠征はとてつもなく素敵で楽しいなぁ。

昨日は『古本ナイアガラ』内「フォニャルフ」の棚を、半分以上文庫に入れ替える。「盛林堂」さんは月曜は定休日だが、年末は31日まで営業とのこと。今年は後一回くらい、手を入れに行こうと思っております!
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2011年10月30日

10/30山梨・月江寺 富士吉田一箱古本市 第二回本町本ずらウォーク

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私が衝撃を受けまくった街・『月江寺』(2011/06/29参照)で古本市が開かれると言う!あの、時代から取り残されまくった街で、またもや古本が買えるチャンスが訪れるとは!その麗しい瞬間を貪らねばっ!と富士急行に乗車して、秋に成りかけの山間を進む。何と前々日には、岡崎武志氏がイベントの一環として、中川五郎氏と月江寺でトークしたとの情報あり!そして古本市にも一箱を送り込む予定だったのが、アクシデントにより送り込まれなかったとのこと…残念である。無人駅を出ると駅前も無人。街は以前とまったく変わらず、そのまま時だけをドシャドシャと積み重ねている。まずは飲み屋街の(いや、街全体が飲み屋街なのだが…)横道『ミリオン通り』を目指し、ひとり坂をスタスタ下る。裏側から怪しい通りに入り込むと、以前私を助けてくれた『PONI』とその前の駐車場が小さな会場になっている。テントの下にはフードブースと、地面に置かれた木箱・カゴ・プラケースに本が並べられている。ふむ、結構しっかりした品揃えと率直に感じ、すぐに恒文社「ブタペストの古本屋/徳永康元」を購入する。ここで『下吉田てくてくMAP』を手に入れ、赤丸でポイントされた会場を目指してさらに先へ。『西裏通り』に出ると、そこには『本町本ずらウォーク』の立看板があり、どうやらこれが各会場の目印となっているようだ。通りを下り切る寸前の角に、二店の一箱。子供店長と、カメラを首から提げた若者店長が店番中。若者店長(彼は手にする本の解説をマメにしてくれるのだ)の建築&デザインが充実する箱から、武蔵野美術大学出版局「タウトが撮ったニッポン」を購入。即決の購入に驚く彼に代金を支払い、続いて『月江寺通り』に入る。人影が皆無と言う訳ではないが、時々チラチラと現れる程度…やはり閑散としているのだ。「月之江書房」の雄姿を楽しんでから、空き店舗を使用したオヤジさん店長の店に入ると、日本文学・絵本・出版関係が充実した良い並び。しばらく店内に滞留し、河出文庫「みんな不良少年だった/高平哲郎」を購入する。そしてすぐ近くにもうひとつの会場…こちらは三店で、雑貨と共にSF箱と暮らし関連・絵本が並び、自然派アウトドアなファッションに身を包んだ若者たちが、楽しげに談笑している。ここは何も買えずに先に進むのだが、後で戻って来ることとなる…。最後にこの街のメインストリート『本町通り』に出て、雑貨屋内に並ぶ本を眺める。心やエコの本がメイン…買えずに「お邪魔しました」と奥の女性に声を掛けて表へ。むむ、人が圧倒的に少ないので、やはり全体的に漂う淋しさは否めない。街がひっそりしているのに合わせるかのように、イベントもひっそりと行われているので、もう少し賑やかさが出せると変化が起こるのではないだろうか。この街と古本の組み合わせはとにかく絶品なのだから、今後も工夫して継続し、ぜひ多くの人が訪れることになって欲しいものである。そして私は前述通り、坂を下って再び『月江寺通り』。先ほどの絵本の横で視界に入った手作り雑貨が、妙に気になって仕方なかった…それはテーブル上に可愛く並んだ、廃材のブリキと木片で作られた小さな小さな家たち!おぉ、テーブルの上に、まるで街があるようだ!じっと眺めていると製作者であろう若者が近寄って来て「いらない物で作ったんですが、富士吉田の街みたいですよね」とニンマリ。うん、確かにその通りだ。ひとつとして同じ家は無く、皆錆びて古びている…。私はちょっと夢を見て、真剣に住むならどの家が良いか考え、外階段のある納屋のような家を選択!「これを下さい」と告げると、若者の顔が明るく輝き「ありがとうございます!」と喜びが真摯に伝わるお礼の言葉。「これ、実験作なんですよ」と袋詰めした家を手渡される。袋には『わじあじあ』とある…これがお店の名前なのだろうか…。古本と小さな古いマイホームを携え、ちょっと月江寺を持ち帰れたような心持ちで、駅のホームで四十分待ち。ヒマを持て余して、赤いベンチに家を置いて写真を一枚撮る。ほぅ、まるで中に住めるようではないか…よし、二階には古本を運び込んで書庫にして……小雨が降り始めたホームに、妄想にのめりこむ阿呆な男がひとり…。
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2011年09月14日

9/14愛知・渥美半島中ほどで二店!

豊橋駅から至近の新豊橋駅まで歩き、豊橋鉄道渥美線に乗車して、三河湾・伊勢湾・太平洋に囲まれた渥美半島に分け入って行く。出発駅も含め、十六駅をおよそ三十五分で走り抜ける。半島の体幹を貫く、緩やかな三両編成の動脈なのである。錆の浮いたような街を抜け出した後は、農地と住宅の平坦な大地をウネウネと進み、やがて終点の三河田原…。

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●三河田原「ゆうゆう書房 田原店」
駅員さんに切符を手渡し駅舎を出ると、遠くに蔵王山がそびえる、閑散とした田舎町。ロータリーには数台のタクシーが列を作り、まだ遠い半島の先端方面へ向かうお客を待ちわびている。そこを通り抜けて『駅前通り』を北に進むと、早速左手に見える『古本』の文字とご対面!こんな近くに!と喜びながらも、何かがっついているのを見透かされたように照れながら、お店の前へ。元は古く黒い出桁造りの建物で、軒回りは黄色い看板で覆い込まれ、それに合わせて下の瓦や前面壁も黄色に塗られている。出入口は素っ気無いサッシ扉で、ちょっと入り難くもある…しかし“難い”だけなら入れるのだっ!と扉をカラッと開き、身体を中に捻じ入れる。入口同様装飾性の無い室内で、コミックを収めたスチール棚が立ち尽くしている。入口右横にはガラスケースで造られた帳場があり、漫画家・湊谷夢吉の描く自画像的主人公に似た男性がひとり。静かな店内を、古本を求めてまずは左側に入り込む。すると入口左横棚裏に、三本の古本棚を発見。上部に小説単行本が並び、ラノベ・出版社別文庫・ノベルスがスチール棚に二重に並べられている。棚造りは一般的で、どうやら嬉しい100均のようだ。文庫は古くても80年代止まり。店内中央の棚にも、上部にノンフィクション・タレント・エッセイ、下部にゲーム攻略本を確認する。角川文庫「SP/金城一紀」を購入。

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●三河田原「天満堂 田原」
駅前のお店を出て、そのまま寂しい『駅前通り』を北進すると、大型商業施設のある『田原萱町交差点』。進路を東に採ってテクテク進むと、すぐに『船倉橋西交差点』に到達。ここから再び北に向かい、柳並木の道をさらにテクテク。200mも進めば左手に広い駐車場が現れ、おぉ!奥にまたもや『古本』の文字!側壁の赤い看板に釣られるように近付いて行くと、水色の二階建て店舗の一階が古本屋さん。軒には赤・黄色・水色の看板が巡らされ、ガラス窓には営業時間や『田原の古本屋』『全巻セットたくさんあるよ』の文字が躍っている。入口横の安売り文庫揃い&100均棚を眺めてから、マンガのポスターが貼られた自動ドアから店内へ。横長で広くキレイで、リサイクル古書店な雰囲気だが…。左側のコミック揃いに囲まれた帳場には、肌着姿のおっちゃん店主がおり「いらっしゃいませ」。背後の大きな郷土資本&箱入り本棚が、微かに何かを期待させてくれる。壁際は本棚で、フロアには横向きに長く高い背中合わせの棚が二本。右奥にアダルトゾーンがあり、仕切りにもなっている背中合わせの棚が一本。手前第一通路・左壁棚・第二通路右半分・アダルト仕切り棚は、すべてコミックで埋まっている。真ん中通路左側に、時代劇文庫・夏目漱石関連文庫・出版社別文庫・ラノベ・児童書・児童文学・語学・サブカル・新書・タレント・ハーレクインが集まっている。そのさらに奥の第三通路には、歴史・戦争・実用・オカルト・日本文学・エッセイ・ミステリ&エンタメ・美術・作品集・美術図録・アニメ・写真集・ビジュアルムック・芸能雑誌など。古い本がひょこひょこ顔を出して、古本屋さん的て楽しいぞ…ぬぉぉおおお!大好きな森やすじ先生の幼稚園&保育園用の動物カット集を発見!これは、この前買った展覧会の図録より、遥かに素晴らしいぞっ!うぁ〜、ここまで来た甲斐がありまくりだっ!…値段は…100円!!!!どひゃっほうっ!もう、私の今日は終わりました!お疲れさまでした…と言うように、意外な本がちょっと並んでいたりもする。値段は安め(特に単行本)。おっちゃんに不思議なイントネーションで精算していただく。あ!帰りの車中で気付いたのだが、90円オマケされてる。おっちゃん、ありがとう!小学館「森やすじの動物カット集/森やすじ」講談社文庫「浪漫疾風録/生島治郎」辰巳出版「人喰い映画祭【満腹編】/とみさわ昭仁」中公文庫「カッパドキヤの夏/柳宗玄」を購入。

豊橋からは距離にして十五キロほどなのだが、半島と言う地理的状況が、どうして私はこの地に来てしまったのか…の思いをムクムクと湧き上がらせる。もちろん古本屋さんを目指して来たからなのは判っているのだが、今日この時に、この渥美半島にいるのが本当に不思議でしょうがない。おかげで森やすじが手に入り、万々歳なのではあるが…。楽しさや焦りや後ろめたさや好奇心や探究心や欲望や後悔の念に、背中を押されたり足を引っ張られたりしながら、まだまだツアーは続いて行く…。
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2011年08月20日

8/20静岡・静岡で駿府公園をぐるりと一周二店!

行きたかった焼津のお店に二度目のチャレンジ!…しかし何と、午前中で今日の営業を終えたとの貼紙がっ!?…何故今日に限ってこんなことに…己の不運を呪いながら、取りあえず静岡へ戻る。さてどうするか?と考えてる間にも、貴重な時が流れて行く…そうだ!新しいブックカフェに行ってみよう…くっ?ド、ドアが開かねぇ!ええぃ、こうなったらオーソドックスに、静岡未踏の古本屋さんをツアーしてみよう!

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●静岡「文高堂書店」
巨大で新しく、現代的なビルが建ち並ぶ北口ロータリーから、大通りを北西へ。進路を微妙に北に向けて『北街道』に入り、古い歩道屋根の架かる商店街を北にテクテク進む。やがて左手の景色は、お堀と石垣と緑が絶妙に混ざり合う『駿府公園』となるので、城址を偵察するかの如く、さらにお堀に沿って逆時計回りに進んで行く。やがて『草深橋交差点』にたどり着くが、ここは通り過ぎて次の信号で北へ進むと、すぐに『長谷通り商店街』。ここまで来ると観光地的賑やかさはなりを潜め、普通の田舎町の日常が広がっている。道を西に進むとすぐに古本屋さんに出会えた。ほほぅ、時の流れに身を任せた、正統派の街の古本屋さん!黄緑の日除けはビシッと張り詰め若々しいが、サッシ扉の店頭は渋く年月を経たオーラが漂っている。店頭のラックには何も並んでおらず、下部は破れたビニールにより何らかの補修が施されている。店内はコンクリ土間で、壁一面が造り付けの木製本棚、真ん中には手前がラックで奥が本棚の背中合わせの棚が一本。その奥の棚脇に帳場があり、老け役を演じる宇野重吉風店主が読書中。う〜む、素敵な古いお店の芳香が鼻孔をくすぐっている…。左の壁棚は、上部と下部に全集横積みゾーンが重量感たっぷりに存在し、それにサンドイッチされるカタチでコミック・ミステリ&エンタメ・歴史小説・日本文学・江戸東京・歌舞伎・映画と続く。向かいにはビジュアル本・大判本・雑誌が並び、奥に新書が集まっている。奥壁棚を見ようとすると、帳場の店主は左角隅に移動。どうやら棚が見易いように気遣ってくれたようだ。ありがとうございます。と思いながら、歴史・郷土・静岡・オカルト・辞書などを眺めて行く。右壁は奥から、古典文学・文学評論・橋・道・海外文学・戦争・講談社学術文庫・中公文庫・江戸&落語関連文庫・ミステリ&エンタメ文庫・時代劇文庫の流れ。ちなみにこちらも全集サンドイッチ状態である。向かいはノベルス・100均文庫、そして岩波文庫の黄・青・緑・赤。単なる街の寂れた古本屋さんかと思いきや、2/3が硬めな本の硬派なお店!ミステリ&エンタメ・コミック・文庫は新しい本が中心だが、それ以外は古めの本もしっかり混ざり込んでいる。値段は安め〜普通。精算時に袋を辞退すると、「フォッホッホ、そうですか、ありがとう」と喜ばれてしまう。カッパブックス「近代日本の文学史/伊藤整」岩波文庫「古い玩具/岸田国士」を購入。

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●静岡「古本ブックスランド」
続いて再び公園のお堀沿いに戻り、またもや逆時計回りにテクテク…この辺りは学校が密集してるなぁ…などと思っていると、公園西側の『御幸通り』に接触。進路を西北に採って、ビルの足元や横断歩道を通り過ぎると、大きな赤い鳥居がドドンと出現!そこを潜れば『浅間通り』で、両側に商店が並ぶキレイに整備された観光地的街路となる。そこをサッサカ進み、一本目の脇道を鋭角に西南に曲がり込むと、今までの明るい感じから景色が一変!『浅間通り』と『御幸通り』をつなぐその道は、古めかしいトタン板の商店街となっているのだ!多くのお店はシャッターを閉じているが、やったぞ!行き先左手に『古本』の文字が見えている!時代を感じさせる、名も無き商店建築の二階に縦看板があり、古いトタン歩道屋根の下には、隠れるようにもうひとつの大きな店名看板。店頭は左に木製壁棚四本、右に雑誌ラックが二台と壁棚が一列備わっている。クナクナの「太陽」やムック類・箱入り大判本と共に、100均文庫&単行本が並んでいる。真ん中のガラス戸は、人々の手で木枠が磨耗し、美しい丸みを帯びている。ガタガタと音を立てるが、驚くほど軽快に滑って開く…む、快感である!中は横長で古く、正にガラス戸と直結した空間となっており、ただひたすらに静かである。入口横・左右壁・奥壁両端に本棚、真ん中に背中合わせの棚が四本。奥に舞台のようなカウンター式帳場があり、奥の椅子でショートカットのおばさまが、のけぞって就寝中…。入口左横はビジュアル本や図録から始まり、途中からパラフィンやビニールに包まれた日本文学が続いて行く。かなりしっかりとした並びは、そのまま右壁に継続し、途中から探偵&推理小説・アダルトとなり、奥壁に古いノベルス&エロ系新書が収まっている。向かいの通路棚は、美しい日本文学の続きで、下段にノベルスと大量のハーレクイン。左から二番目の通路は文庫で埋まっており、上半分は時代劇やミステリ&エンタメが並び、下半分はセンスの良い並びの絶版&品切れ棚となっている。日本文学・児童文学・推理小説・海外ミステリ・SF…通路に屈み込み、長時間目をキラキラとさせてしまう。真ん中はコミック通路。右から二番目は、文学評論・歴史・民俗学・新書・選書・宗教。入口右横は豪華大判本が多く並び、右端通路にはテレビ・文化・政治・犯罪・思想・実用・静岡・ノンフィクション・世界文明・古代・美術・山岳・釣り・映画・戦争が多少カオスに集まり、帳場横に詩歌句あり。その軽い店名からは想像出来ない、芯のあるセンス良しな本棚が立つお店である!特に私は文庫の並びに感心&満足。しかし値段はしっかり値付け…それでも少しは綻びがあるところも…。すでに起床したおばさまに精算をお願いすると、椅子を降りてカウンター前で立膝になり、小さな計算機のボタンを連打!嬉しいことに店内棚の本は30%引きであることを告げられる。すると結構安くなるぞ!ありがとうございます!朝日ソノラマ「人物写真/林忠彦」市民文庫「旧友芥川龍之介/恒藤恭」毎日新聞社「古代文明の謎と発見5 ミイラは語る」を購入。

本日の二店は、年月を経た店舗が非常に好ましく、私の懐古心と旅情を大いに刺激してくれた。棚はしっかりと動き、古本屋さんとしても機能しているが、もはや現代と完全に異相となった空間として存在しているのが、とにかく素敵で素晴らしい!今後もどんどんスライドして、さらなる時空の開きが生まれることを期待しています。
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2011年07月31日

7/31静岡・磐田で古本だけでなくビクター犬二店!

今日こそはと早起きして、東海道線を細かく乗り継いで、西へ四時間五十分。もはや浜松一歩手前のその場所は、水色に支配された『YAMAHA FC ジュビロ磐田』の街であった…。

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●磐田「武蔵野書店」
北口に出ると、ジュビロのフラッグが翻るロータリー。その右端を抜け『磐田駅前交差点』を通過し、『天平通り』を真っ直ぐ北へ。途中に現れる水色の歩道屋根の商店街は『ジュビロード』と名付けられ、サッカーボールを冠する外灯と、選手の足型がはめ込まれた歩道が続く。400mほど歩けば『商工会議所前交差点』に到るので、そこを西に入って後は道なりにダラダラ。二つの近接した信号を通り抜け、右手に注意を払っていれば、何やらゴチャついたお店が目に入って来る。まずスゴイのは、お店の右横に集まる大量の火鉢で、まるで打ち捨てられたかのように積み重なっている。住宅兼店舗の正面壁面には大きく店名が書かれ、ビッと張り出すオレンジ日除けの下には、陶器や壷・置物と共に二台の100均ワゴンがある。どうやら古本屋と古道具屋の融合店で、『古着・茶道具・古本・古道具』を買入れている。中に入ると、店頭同様ゴチャゴチャした店内。各通路には腰辺りまで和本・古道具類・雑誌・額装絵画&色紙など積まれているが、各棚の上半分は意外にスッキリ見られる状態となっている。壁際はぐるっと本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本、右奥に帳場があり老婦人が古道具と古本の山の向こうで店番中。頭上からは多数の肉筆短冊(俳句)が垂れ下がっている。左壁には美術関連豪華本・日本美術・中世歴史・徳川家康が並び、途中からは静岡・浜松・磐田・遠州などの郷土本が続き、そのまま奥壁までズラリ。向かいには書・禅・文学少々。そしてこの通路には和本と共に、大量の古い占い本が足元に集まっている。真ん中の通路には、歴史・風俗・新書・江戸・刀剣・安部公房・野坂昭如・山岳…むっ!「魔太郎がくる!!」9巻が一冊だけ…。ここには下に絵葉書箱や、古い小冊子が集合している…『電気の使い方』の本が何冊も…。右端通路は半分が古道具&置物の棚となっており、小さな観音像・人形・根付・篆刻などの間に、句集・陶芸大判本・お茶・民芸の姿。最初に表から見た時は、古道具の一部として古本を扱っている雰囲気だったが、しっかりと古本屋さんの部分あり!古い資料本が多く、紙物も豊富である。値段は安め〜ちょい高で、良い本にはプレミア値付けあり。私の他にも車で乗り付けたお客さんがやって来たが、その人は本には見向きもせずに火鉢を購入。金魚鉢にするんだそうです。講談社「猫は知っていた/仁木悦子」(再版だが100円だしジャケ買い!)朋文堂「山の文学紀行/福田宏年」美術出版社「母と子の針穴写真/田所美恵子」陶製置物「ビクターの犬」(全高16cmで千円!)を購入。

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●磐田「山田書房」
実は最初に行ったら閉まっていたお店。帰りに立ち寄ると、今度はしっかり開いていた。ひゃっほう!『磐田駅前交差点』から『天平通り』を北に進み、二本目の脇道を東へ。奥にお寺が見える駅近住宅街ゾーンだが、右手奥の壁のように高い三階建住宅に『本』の文字!いそいそ近付いて正面へ回り込むと、ピロティガレージ横の住宅の一部が古本屋さんと化している!細長い直方体看板と、レンガ壁面にも勘亭流の看板文字。さっきは閉まっていたサッシが開いており、中にはちばてつや風のオヤジさんの姿が。静かに入口を通り「こんにちは」と素早く挨拶。十畳ほどの店内に、良く整頓された棚が並んでいる。壁際はすべて本棚、左壁沿い中央辺りに帳場があり、フロアには横向きに背中合わせの棚が二本。各棚の足元にはどこも、隙間無く括られたコミック揃いがキレイに置かれている。左壁手前は、上部に時代劇文庫・下部にミステリ&エンタメ文庫が並び、隅に少量の絶版漫画・児童本・官能文庫のスペース。帳場を越えて右奥スペースには、静岡・磐田の郷土本が集められている。入口右横の壁棚は書・古代史・中国・ちくま文庫・アウトローが並び、向かいに新書・選書・文学評論・古典文学・海外文学・戦争。右壁には、オカルト・鉄道・趣味・実用・古い日本文学・日本文学・歴史小説・美術ビジュアル本・映画ポスター。真ん中の通路は、手前に歴史・江戸風俗・新書、奥に評伝・宗教・ビジュアルムック(特撮あり)・雑誌・美術図録の構成。最奥通路は、手前に釣り・アダルト、奥に植物・牧野富三郎・陶芸・お茶・美術・世界文化・建築・アングラ&幻想文学・落語・映画・アダルト。整頓が行き届き、棚造りのバランスは美しく細かく、街のための知識から欲望までを端整に担ったお店である。あえて言うならば、歴史・中国・郷土が突出している。値段はちょい安〜普通。洋泉社「市川崑大全」を購入。

来るのに四時間五十分かかったと言うことは、帰りにも同じ時間がかかると言うこと…滞在時間一時間十五分で、ジュビロシティーを後にして、またもや東海道線の車中。あぁ、今日はまるで、東海道線の中で暮しているようだ…電車で暮して家で寝る。今度は何線の住人になってみようか。
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2011年06月29日

6/29山梨・月江寺 PONI

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大月から哀しみの富士急行で四十分。2010/11/12以来の山梨行である。古本屋さんの少ない山梨での、危険な賭けなのである!ホームの向こうに溶岩石がゴロゴロと転がる駅から出ると、そこは何とゴーストタウン化が進行しつつある、昭和三十年代の街!シャッターを下ろした店舗がほとんどだが、街が、街が、風雪に晒され続けた看板建築と木造建築で構成されている!先日の秩父行(2011/06/07参照)でも似た体験をしたが、こっちの方がかなり衝撃的だ!コンビニもまったく見当たらないし…。おぉ、それほど省みられずに、朽ち果てて行く文化遺産たちよ!と嘆きながら興奮し、駅から延びる『中央通り』を南東に下って行く。脇道には驚くほどの大量の小飲食店が蔓延り、街全体が『新宿ゴールデン街』の、恐るべき猥雑な姿となっている!もはや心も身体も擬似タイムスリップしながら、目指すのは古本が置いてあるチベット料理屋さんなのだが…。『中央通り』の坂を下り、水流の速過ぎる川を越えてテクテク。すると小さな交差点が現れるので、北東に坂を下る『西裏通り』へ進む。とにかく壮絶な建物が続くのに目を奪われながら200mほど歩くと、左手にある小道が目に入る。行く手には建て込んだ飲み屋街と、その入口に『ミリオン通り』とある小さなゲート。おぉ、あったぞ。ここにお店があるはずなのだが…と昼間の白けた飲み屋通りに入る…しかしお店が無いっ!何処にも無いっ!これはかなりキツイ空振りだぞ…小さな通りを何度往復してみても、やっぱりお店は無かった…肩をガックリ落としながら、昭和三十年代的街路を、当ても無く一時間ほど散策する。ひたすら網の目のような飲み屋街と、次々と現れる倦怠感溢れる商店街を巡り、もしかしたら古本屋さんが!と期待するが、そううまくいかないのが世の中である。午後三時二十分。いつの間にか迫った帰りの電車時間ではあるが、諦め切れずにもう一度だけ『ミリオン通り』へ。すると先ほどまで閉まっていた、通り入口横のハンドメイドアクセサリーのお店が開いていた。古着や雑貨も売っているようだが…と、道より低くなったお店の中を覗き込むと、ほわぁ!奥に細いが本棚があるぞ!これこそ“地獄に仏”ではないかっ!即座にお店に飛び降りるように入り込むと、カウンターにいた若い女性が、目を丸くして驚きながらも「いらっしゃいませ」と迎え入れてくれた。飲み屋の造作そのままに、右は年代もののカウンターバーで、左は一段高くなったアクセサリー売場。古本は正面奥の扉と仕切りに挟まれた、六段ほどの細い壁棚に並んでいる。真っ直ぐその棚前に進んだ私を見て、女性は「電気点けますね」とオレンジ色の白熱電球をパチリ。「ありがとうございます」と言ったものの、古本への飢えと予想外の出会いに我を忘れて、心はすでに棚の上。そこにはしっかり『USED BOOKS』の紙札があり、水族館・アジア・旅・ファッション・大宅歩・宮城まり子・小林紀晴・竹久夢二・海野弘・荒俣宏・泉麻人・片岡義男・枝川公一などなど。冊数は少なく、女子方面に寄り気味だが、決してただ不要な本を並べているのではなく、店主の個性と息遣いと心遣いを感じ取れる棚である。値段は普通〜高め。「これを下さい」とカウンターに本を出すと、女性は古本購入に驚き、「おっ!」と小さな叫び声。精算中に、件のチベット料理屋について尋ねると、やはり閉店されたとのこと。「でもイベントに出店したりするので、どうか注目しといて下さい」と、元隣人を守り立てる優しい一言。いや、それよりも、本当に古本を売ってくれていて、ありがとうございます!これからもこの、素晴らしくも恐ろしい街で、小さな古本棚の優しい明かりを、灯し続けて下さい!河出書房新社「メイド・イン・オキュパイド・ジャパン/小坂一也」を購入。

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●おまけ・月江寺「月の江書店(新刊)」
街を所在無く彷徨っている最中に、『月江寺大門商店街』で見つけたお店である。古本は売っていないが、とにかくこの姿でここにあるのがワンダフルっ!年代物の軒看板と店名書体とその擦れ具合に心震わせ、脇にある『春陽文庫』の文字に心撃ち抜かれる。かすかに波打つ板ガラスの六枚の引戸の向こうには、本は新しいが薄暗くそれでいて華やかな昭和三十年代的商品陳列風景!本棚や平台はすべて昔そのままで、ここが古本屋さんであったなら…と中に入れば、その妄想は止め処無く回り続ける!奥では首にタオルを巻いたご婦人が、番台のような帳場で、正座をしながら店番中。たっぷりと店内を回遊して、まちミュー友の会「ふじよしだ歩楽百景ガイドブック 下吉田編 上吉田・下吉田編」を購入する。
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2011年04月30日

4/30富山・高岡 文明堂書店

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仕事の都合に乗っかって、そこから遥か遠くへ流れ流れて富山県。去年の12月以来…と言うか、こんなに早くこの土地を再訪するとは思わなかったな…。高岡は富山のちょっと西にある都市である。正面口から外に出ると、路面電車の駅もある昭和四十年代な地方都市のロータリー。うっとり見とれる間も無く、駅と直結するようにある『高岡ステーションデパート駅前地下入口』に深く潜り込む。地下世界も、地上同様ノスタルジックな状態である。北の高岡大仏方面へ進み、『C2出口』から地上に出ると、歩道にプラ製屋根の架かる『末広町通り』に出る。お祭りの準備のためか、大量の屋台が組み上がる脇を擦り抜けるように北へ。300mほど進むと『末広町交差点』に差し掛かり、東にも歩道プラ屋根が続いて行く。その下をそのまま東に進むと、途中から薄暗いアーケード商店街『御旅屋通り』に入ることとなる。少しうねりつつ、地方アーケード街を楽しみながら、さらに東へ。すると、アーケードが途切れる左手手前に、屋根から下がる『古書』の文字がある看板を発見。おぉ、古い擬洋風商店建築である。そしてお店の名前を見て、単純にカステラを連想…。軒のタイル部分には赤い看板文字が並び、店内正面両脇にも、店名と『読書は精神の糧』とある、縦看板が確認出来る。店頭には木箱ワゴンが三台、ダンボール一箱、屋根付きワゴンが展開し、時代劇文庫・時代小説・一般文庫・「太陽」・雑誌・松本清張全集が並んでいる。サッシ戸を開けて中に入ると、古い古いお家の匂いがプンと鼻をつき、ラジオからは地方放送が流れている。店内はシンプルな二通路式で、壁際は下に平台付きの本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本あり、入口側に大判豪華本ディスプレイ、奥側にガラスケースが置かれている。さらに奥には広めな帳場があり、老婦人がちょこなんと座っている。右壁棚は新書と辞書から始まり、食・料理・歴史・民俗学が並んだ後は、帳場の背後まで富山&石川本が多ジャンルで並びまくる。むむ、壮観。下の平台には、箱に入った単行本や絵葉書・小冊子・観光地図・雑誌・和本が詰まっており、紙物率高し。これは各棚下共通である。向かいは、世界・日本文学・猿・動物学・解剖学・戦傷学・科学・スポーツ・思想・映画・現代史・社会・東洋文庫が収まる。ガラスケース内のプレミア詩歌本を恐る恐る眺めて左通路へ。壁棚には日本文学文庫・囲碁・海外文学文庫・教養系文庫・日本近代文学・評伝・古典文学・文学評論・詩歌・宗教・ウィトゲンシュタイン全集と続く。向かいは、お茶・京都・「キング」・「婦人之友」・美術・書が並ぶ。入口近くには、通路に置かれた絶版コミック箱あり。古い本が多く、地方都市の文化を古くから担う古本屋さんである。棚造りは背筋がビッと通っており、大判本も目立つ。値段は普通で、良い本にはバッチリプレミア値が。よし!続いて氷見線に乗って、伏木に向かおう。意気揚々とお店を出ると、激しい雷と、アーケード屋根をバラバラ叩く雨粒…春雷に出会う。雄山閣「日本の盗賊/原田種純」を購入。

この後、一時間に一本のディーゼル車に乗って伏木へ。ここの駅構内に「よか書房」と言う古本屋さんがあるはずなのだが…無かった…ただの観光案内所があるだけだった。遅かったか…(後で調べてみると、一駅先の越中国分に移転していることが判明)。およそ四十分後の上りにて高岡駅へ引き返す。サッサと東京へ戻らねばならないのだが、次の特急『はくたか』が来るまで三十分…時間潰しに駅ビル内をウロウロ。すると二階に『北洋スタンプ』と言うコイン屋さんがあるのを発見。漫然とコインや切手を眺めていると、寺田寅彦の肖像10円切手を見つけてしまい、つい200円で購入してしまう…あぁ、私は一体こんなところで、何をしているのだろうか!?

posted by tokusan at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする